Riverside

2009年7月26日 (日)

<ジャズ雑感 第30回> リヴァーサイドの不思議

2人のエンジニア~Jack HigginsとRay Fowler

 《Tadd Dameron/The Magic Touch(1962年) 青モノラル》015

リヴーサイドが好きである。ジャズ聴きの初期からモンクやエヴァンスを聴いてきて、だから彼らの一番いい時代の演奏が残されているリヴァーサイドというレーベルを嫌いになるはずがない。このレーベルには、もちろんモンクやエヴァンス以外にも好きなレコードはたくさんあるが、今回はジャズの中身(演奏)についてではなく、「リヴァーサイド録音の質感」について書いてみたい。    

また音の話しか・・・と思われてしまいそうだが、今回は、僕自身が「いい録音」「あまりよくない録音」と思える盤のタイトルを挙げながら、いつものように自分の思い込みを展開したい(笑)
要は・・・まず僕自身の「好き・嫌い」を明らかにすることで、それに対し「いや、それは違う!オレはあっちの方が好きだ」とかの意見も当然あるわけで・・・つまり「音の好みというのは本当に人それぞれなのだ」ということを、充分に認識することで、そうした方が・・・たぶん音の話しの「いい・悪い」も伝わりやすくなると思うのだ。そうしてこれらは録音についての僕の好みの話しなので、「音の良くない」方で挙げた盤があったとしても、それは・・・決してその盤の中身が悪いというわけではありません(笑)

以前からリヴァーサイドには、録音がとてもいいと思えるタイトルと、そうでないものがあって、だから、bluenoteやprestigeのようには「リヴァーサイドは、これこれこういう音だ」と簡単に表現できないもどかしさを覚えていた。僕のリバーサイド認識は・・・基本的には「自然な感じのしっとり感のある音質」だ。そうして、そのソフトな質感をもちろん嫌いではない。しかしそうとは感じない音の盤もけっこうあって・・・どうもリヴァーサイドの音はよく判らない・・・そんな感じもあるのだ。
今回は、その辺のことをできるだけ具体例を挙げながら書いてみたい。

さて、いろんなリヴァーサイド盤を聴いてきたが、この頃になってようやく、同じリヴァーサイドであっても2人のエンジニア~Jack HigginsとRay Fowler~によって、だいぶ音造りが違うようだぞ・・・ということに気づいた。
だいたいの掴(つか)みとして~
Jack Higgins(Reeves Sound Studios) 1956年くらいからのモノラル録音が主。[参考~モンクのBrilliant Corners、ビル・エヴァンスのEverybody Digs~やPortrait In JazzはHiggins録音]
*追記~Portrait In Jazzついて~モノラル録音はHigginsだが、ステレオ録音はひょっとしたらRay Fowlerかも?という話しが、bsさんのHP(BLUE SPRITS 8/20付)にてアップされました。そのCDのデータを巡る興味深い記事です。必見です!
Ray Fowler(Plaza Sound Studio) 1960年くらいからのステレオ録音が主。
[参考~但し、モンクのMonk's Music(1957年),ファイブスポットのライブ(1958年),Monk Orchestra at Town Hall(1959年)などはFowler録音]

Monk_town_hall_blue_21960年代に入ると、ほとんどの作品がRay Fowlerになっているようで、その音の違いは・・・スタジオ自体の響きや年代による録音機器の違いによるものも大きいはずだが、やはり2人の音造り(ミキシング、マスタリングのバランスなど)の違いというものもはっきりとあるように思える。 僕の場合、一聴して「おっ、いい音だな」と感じると・・・Ray Fowler録音の場合が多かった。
まず、Fowlerの方からいこう。006_2
ひと頃、リヴァーサイドの中編成ものが好みになっていくつか入手した。
Thelonious Monk/~Orchestra at Town Hall(1959年) 青モノラル
Jonny Griffin/Big Soul Band(1960年) 青モノラル 014
                     

                     Blue Mitchell/Smooth as the Wind(1960年)黒ステレオ(写真上)
Blue Mitchel l/A Jazz Version of Kean(1961年) 黒ステレオ
Tad Dameron/The Magic Touch(1962年) 青モノラル

Mark Murphy/Rah (1961年) 青モノラル/黒ステレオ(写真下)016_4   017

《特にマーク・マーフィーのファンではないのだが、このRahは、ビル・エヴァンスも何曲かに参加しているという情報もあり入手した。しかし・・・何度聴いてもどのトラックがエヴァンスなのかはっきりとは判らない》

上記6点のFowler録音盤は、モノラル盤、ステレオ盤どちらであ っても、多くの管楽器のエネルギー感もたっぷりで、スポットが当たるソロ場面での音色には鮮度感がある。しかもドラムスやベースのリズム陣の音圧感も充分にあり、さらにそれら全体のエネルギーバランスが強すぎず弱すぎず・・・のいい具合だったのである。
どれも好きな音だが、特にTad Dameron盤でのジョニー・グリフィンのテナー、Mitchell盤でのブルー・ミッチェルの艶やかなトランペットは、素晴らしい音だと思う。これら6タイトルは全てRay Fowler録音である。
こんな確認をしていると・・・まあ要は僕がFowlerの録音を(ミキシング、マスタリング含めて)好きというだけのことかもしれないが、いずれにしても、僕は今やはっきりとそういう認識を持ってしまったわけである(笑)
Photo *モンクの未発表LP~Evidence(milestone 1983年)A面には、At Town Hallからの別テイク~ラウズとのカルテットが3曲、オーケストラの1曲(thelonious)が収録されている。モノラル盤を聴いていて感じた、ブラス陣やベースの厚みある音そのままに、ナチュラルなステレオ音場になっており、なかなか素晴らしい音質だと思う。Ray Fowlerはやっぱりステレオ録音が得意なのだ。たぶんそのステレオ音源を元として、モノラルにミックスしているのだろう。Monks_music_rs
そのRay Fowlerの初期のステレオ録音とされているMonk's Musicは、3rd(黒ステレオ)と4th(茶色abc:モノラル)しか持ってないが、その演奏を僕はとてつもなく好きなので、Monk's Musicについてはまた別の機会に(笑)
*追記~皆さんがコメントで異口同音に触れてくれた、Riversideにおける[同じ作品でのステレオ盤とモノラル盤での音質違い]~これは・・・確かにある(笑) それは、Monkの「ミステリオーソ」です。2年ほど前に、Yoさんとのやりとりの中でも浮上したこの話題。その過去記事がこれです。

さて、好きなリヴァーサイドであっても、何もかもオリジナル盤というわけにもいかないので、当然、OJC盤やビクター国内盤でもいろいろと聴いている。OJC盤は、それまで国内盤で聴けなかった(入手できなかった)タイトルをいくつか聴いたのだが、「いい音」が印象に残っているものをいくつか紹介したい。オリジナル盤で検証しなくては無意味だ~というご意見もあるかと思うが、僕自身の感じとしては・・・国内盤、あるいはOJCであっても、もともとの録音の素性(質感、楽器のバランス)みたいなものは、ちゃんと表われるもので、つまり・・・「良い録音」か「あまり良くない録音」くらいは(何が良いか悪いかは、人それぞれであっても)どんな版でも判るものだと思う。

Victor Feldman/Merry Olde Soul(1960年 Ray Fowler) OJC盤007 
~このレコード・・・やけに音がいい。フェルドマンのヴィブラフォン、ピアノが適度にしっとり感のある音で捉えられており、ベースやドラムのバランスもちょうどいい。それから「サム・ジョーンズのベース」という観点で後述の2枚に比べてみると、低音の響きが豊かに捉えられていて、実にいい具合なのだ。
Milt Jackson/Bags Meets Wes(1961年 Ray Fowler ) OJC盤008
~これもとてもいい録音だ。ウエスのギターの艶々した質感が素晴らしい。サム・ジョーンズのベース音に限って言えば、先の2枚に比べると、ほんのちょっとだけベースの低い方が薄い感じがある。しかし充分に芯のあるいいベース音だと思う。
Blue Mitchell/Blue's Moods(1960年)もいい。これはビクターの紙ジャケCDを聴いただけだが、そのしっとりしたペットの質感と、サム・ジョーンズのベースの豊かな鳴り具合には、間違いなく元録音の良さを感じた。未入手・未確認だがエンジニアはRay Fowlerだと思う。

サム・ジョーンズは・・・おそらく右手のピチカットの時、その引張り力が強すぎて(アタックを掛けすぎて)「グシャッ」という感じに潰(つぶ)れたような音色になることもあるようだ。そしてその強烈さのためか・・・実際、その「引っ張り力の強さ」だけが強調された録音が多くて、ベースの録音としては、ややペンペンしたような音に聞こえてしまう録音のものも少なくないようにも思う。そんなサム・ジョーンズのベース音が良くないと思える録音盤を2枚だけ挙げよう。
*訂正~Things Are Getting Betterのベース奏者はパーシー・ヒースでした。Solarの方はサム・ジョーンズです。

Cannonball Adderley/Things Are Getting Better(RLP 12-286) *モノラル・青・大ラベル 1958年 Jack Higgins
013 ~このモノラル盤・・・一聴、ベース音が遠く霞(かす)んだ感じで音圧感に乏しく、ドラムの音は大きく入ってはいるがシンバルなどが歪っぽく、音そのものに鮮度感がない。サックスやヴィブラフォンも大きめに鳴ってはいるのだが、なにかにガチャガチャと暑苦しくこもったような感じに聞こえる。僕にはとても疲れる音だ。

《追記1~Yoさんからは、Things Are Gettingのステレオ盤(黒・小)の音は素晴らしい~とコメントもあり謎は深まる(笑) だとすると・・・どうやら、Jack Higginsの録音自体が悪いわけではない・・・ということかも》

*《特別追記!》~ついにこの「ステレオ盤Things Are Getting Better」を聴くことができた。昨日(10月10日)ニーノニーノさんの集まりにてYoさん宅で、まず僕のモノラル盤、それからYoさんのステレオ盤(黒・小ラベル)を聴いたその印象を以下。一聴して・・・「これは良い!」でした。Yoさん、NOTさんが仰るとおり、ジャクソンのヴィブラフォン、キャノンボールのアルトには芯に充分なエネルギー感があり、(ジャクソンは左側からキャノンボールは右側から)たっぷりの音量バランスで鳴る。そして僕がモノラル盤で感じた最も「苦手」な部分は・・・ドラムのシンバルや打音の「ガシャガシャ感」(歪む一歩手前くらいか?)であるが、ステレオ盤ではドラムスは全くでしゃばることなく、ちょうどいい按配の音量だ(僕にはそう聞こえた。この辺は、ぜひNOTさんブログでのレポートもご覧ください。ドラムが暴れ気味の方を好むであろうNOTさんの正直な感想にも納得。同じドラムの音量の聞こえ方に対しても、個人の好みでその印象はだいぶん違ってくる・・・という好例だと思う(決して良い悪いの話しではありません、くれぐれも:笑)それからもうひとつ~パーシー・ヒースのベース音にも大きな違いが!直前に同じ装置で聴いたモノラル盤よりも、ステレオ盤では明らかに、ヒースの音が太めに大き目に聞こえました。この点でも、特にベース音バランスが気になる僕にとっては「ステレオ盤」の方がベストなバランスだと感じました。


《追記2~上のモノラル盤とは違うジャケットのモノラル盤(*青・小ラベル)が存在しました。というより、僕の手持ち盤の方がモノラルの2ndジャケだろう。そして「音が悪い」のも、ひょっとしたらこの2ndジャケ盤だけの症状かもしれない(笑) その1stジャケットの写真は右下(ネットからお借りしました)
図柄は同じですが別ジャケットには、左下に[○囲みのSPECTROSONICロゴ]と右上のRIVERSIDE文字のすぐ下に[CONTEMPORARY SERIESと12-286]表記が入ってます》

Things_getting_2001_3







《追記3~そして今になって気づいたのだが(笑)・・・ジャケットだけでなく、センターラベルにも違いがあったのだ!Riversideに詳しい方ならすでにお判りだと思うが、センターラベルにも「小ラベル」と「大ラベル」があったのだ。普通の場合、「小ラベル」の方が先らしい(一部に例外あり) そして今回のケースでは~僕の手持ち盤(2ndジャケ:写真左上)の方が「大ラベル」で、1stジャケ(写真右上)が「小ラベル」のようだ。
大と小の簡単な見分け方のポイントは~ラベル左側のタテ書き[LONG PLAYING]文字と溝が交わらずに溝の外側にあるのが「大ラベル」、そして[LONG PLAYING]文字の上を溝が縦断しているのが「小ラベル」だと思う。
ラベル中央上部の「カセットテープみたいな図柄」でも同様に「溝が通る位置」の違いが明らかだ》

《追記4~bsさんコメント(2009年8月 2日 (日) 20:48)により、このThings Are Getting Betterのセンターラベルにもう一種あることが判明。それは[青・大・溝なし]で、bsさんによれば[僕の耳には、この盤の「音」は〇、それも◎に近い]とのこと。この[青・大・溝なし]と僕の手持ち[青・大・溝あり]とが同一の音質とは断定できないが、bsさんコメント内での音質感の描写は、僕の耳に聞こえた質感と近く、おそらく「同じ音」を耳にしているものと思われる。興味深いのはその「同じ音」に対しても受ける印象が異なってくる場合も充分にあり得る・・・ということです。
この辺りのことについて、bsさんがご自身のHP(8/12付け)で取り上げてくれました。コメントと併せてぜひご覧ください。


Red Garland/Solar(jazzland:JLP73)モノラル・オレンジラベル 1961年 Ray Fowler 001_2
~どのトラックでもサム・ジョーンズのベース音色がはっきりと薄い。もう少しは出ているはずのウッドベースの低い方の音がざっくりと抜け落ちてしまって、乾いてペンペンしたような音色になってしまっている。いい方の録音のサム・ジョーンズとはだいぶ肌合いが違う。サム・ジョーンズは、こんなに軽い感じのべーシストではないはずだ。002
ついでに「ベース音が遠い、薄い」録音として、Sonny Rollins/The Sound of Sonny(1957年 Jack Higgins)のことも。
ロリンズのレコードの中では・・・なぜか今ひとつの感がある。僕の好きなソニー・クラークも入っているのに、なぜだか演奏に生気が感じられないのである。ああ・・・今回は「演奏」については触れないでおこう。あくまで「録音」に拘りたいところなのだが、ちょっとだけ思うに、この「サウンド・オブ・ソニー」~ベースはポール・チェンバースなのに、(*訂正~チェンバースのテイクは3曲、パーシー・ヒースが6曲でした)かなり小さめでしか聞こえず(しかも遠めに)ロリンズのテナーも何となくエネルギー感に乏しいように聞こえてしまう。その要因に一部は・・・こうした「録音の拙(まず)さ」にもあるように思えてならない。なお、このSound of Sonnyは、米milestoneの2枚組で聴いてきたが、recooyajiさんが「モノラル白ラベル」をお持ちで、その真性オリジナル盤を何度か聴かせてもらった時の印象もまったく同じである。

*アダレイやサム・ジョーンズ好きな方が以下の3枚~
Cannonball Adderley/~ at the Lighthouse(riverside)
Cannonball Adderley/Poll Winners(riverside)
Cannonball Adderley/JAZZ Workshop Revisited(riverside)
をお持ちなら、ぜひ聴き比べてみてください。たぶん・・・ベース音には相当な違いがあるかと思います。情けないことに、僕は3枚とも未入手です(笑)なお、以上の3枚の録音はWally Heiderとのことです(厚みのあるベース録音に特徴)
*そのWally Heider録音によるjazzland盤を見つけたので紹介したい。
Harold Land/West Coast Blues(1960年)小豆色ラベル:モノラル
011 ~いい具合にベースはサム・ジョーンズだ。低い方まで太めに響くベース音が聞かれる。オン・マイクで録った音だとは思うが、適度な自然響きもあって、僕には好ましいベースの音だ。ただ・・・前回の記事で書いたように<そのミュージシャンの本当の音>という観点から言うと、サム・ジョーンズとしては、ややマイルドすぎる音色になっているかもしれない。しかし・・・さすがにWally Heiderさん、いい録音だ(笑)

さて・・・どうやら僕はRay Fowlerの音が好きなようである。もちろんこの辺のことは好みの問題だがそれだけではなくて、2人の録音盤を見ると判る録音年月の違い(スタジオや録音機器の違い)という要素もあるはずだ。だから機器の性能レベルでは、より有利なはずのFowler録音の方を「良い」と感じるのは、実はごく当たり前のことかもしれない(笑)
今回は僕自身の音の好みとして「Fowlerの音を好きで、Higginsの音が苦手」という流れで話しを進めてきた。そしてそのサンプルを見ると好きなFowler録音にはステレオ盤が多く、苦手なHiggins録音にはモノラル盤が多い・・・ということも事実のようである。
ちょっと白状すると、僕の好みが「ステレオ」なので「モノラル」の方ばかりを「良くない音」に感じてしまうのではないか・・・という怖れが自分自身にもあったので、手持ちでは数少ないJack Higginsのステレオ盤も聴いてみた。

003 Philly Joe Jones/Showcase(RLP1159)黒ラベル:ステレオ 1959年 Jack Higgins
~それほど悪いという訳ではないのだが、3人の管楽器にもうひとつ鮮度感が乏しい。ドラムもシンバルが大きめに鳴ってはいるが・・・004なんだか緞帳(どんちょう)の向こうで叩いているような感じだ。
Johhny Griffin/The Little Giant(ビクター盤:ステレオ)1959年 Jack Higgins
~アダレイのGettin' よりは若干すっきり目にはなったが、やはり暑苦しい感じが聴きづらい。全体に音量はあっても、どの楽器にも自然な音圧感・実在感がいまひとつ感じられないのだ。鳴ってはいるが・・・直(じか)に伝わるエネルギー感に乏しい・・・と言ったらいいのか。推測だが・・・Jack Higginsは、どの楽器もオンマイク気味で録った後、抑える方向でミキシングし直して全体のバランスを取ろうとしているのではないだろうか? それがために自然なエネルギー感が損なわれてしまう・・・ということがあるのかもしれない。

それから、Ray Fowlerのモノラル盤もひとつ~
Harold Land/In New York(jazzland:1960)モノラル・小豆色ラベル010
このレコード、ベースはサム・ジョーンズではないが、太めに入ったベース音と小気味のいいシンバル音も気持ちのいい、そしてランドのテナーも自然な感じで、なかなかいい録音だと思う。ただ、このベース奏者(Clarence Jones)、太い音色は魅力的なのだが、4ビートでのビート感がドタバタした感じになってしまうのがちょっと残念だ。

2人のエンジニアの音盤のことを書いてきて、その音の特質みたいなものを自分の中では整理できたのだが、 ここで僕は正直に言わねばならない。
お気づきかもしれないが、レッド・ガーランドのSolarのエンジニアがJack Higginsではなく、Ray Fowlerとクレジットされているのだ。
Solarは、「良くない録音」の2番手に挙げた盤だ。 そういえば同じガーランドのNearness of You(1960年:Ray Fowler)の音も全体に生気感に乏しくて、拙(まず)い録音だとの思いもある。こうなると・・・判らなくなってくる(笑) Ray Fowler氏はピアノ・トリオの録音が苦手だったのかもしれない。

さらに言えば、Higgins録音でも初期の1956年~Presenting Ernie Henry(12-222 モノラル・青ラベル)には、さっき書いたような違和感(ドラムスやベース音が遠い感じで音圧感に乏しくこもったような)は、ほとんど感じなかった。僕が一番耳にしてきたであろう、モンク作品もチェックしてみると・・・Higgins録音は以下の3タイトルのみ~*4タイトルに訂正~Five By Monk By FiveもHiggins録音でした(Yoさんからご指摘~thanks!)
<Thelonious Himself, with John Coltrane, Mulligan meets Monk, Five By Monk By Five>で、それらについてもCannonball Adderley/Things~に感じたような「録音の違和感」も特にないので、となると・・・Jack Higgins録音がどれも良くないのでは?・・・という僕の推測も頼りなくなってくる(笑)
どんなミュージシャンにもその演奏に好不調があるように、録音エンジニアであるHigginsにもFowlerにも、その音録りに当たり外れがある・・・というのが実際のところかもしれない。
ただリヴァーサイドでは、その当たり外れが録音だけでなく演奏の中身も含めて大きく現れてしまう・・・そんな印象が強い。そんなちょっとばかり毅然(きぜん)としない感じが個性的とも言える。まったく不思議なレーベルである。だから・・・リヴァーサイドは面白い(笑)

*僕の好みでは特に「良くない録音」と感じる2枚を明記しておきます。
Cannonball Adderley/Things Are Getting Better(RLP 12-286)モノラル・青ラベル
Red Garland/Solar(jazzland:JLP73)モノラル・オレンジラベル
言うまでもなくこれは「録音」についての印象で、中身(演奏)についての良い・悪いではありません(笑)
このレコードをお持ちの方の印象・感想もぜひ聞いてみたいと思います。皆さんが思う「良い録音」「良くない録音」レコードもお知らせ頂ければありがたいです。音の好みというのも、まったく不思議なものですね(笑)

《*10月4日(日)追記》~
いつも更新が遅いこの「夢レコ」だが、今回は2ヶ月も空いてしまった。更新しなかったのは、もちろん次の記事が書けなかったからなのだが、苦しい言い訳をするならば・・・実は、心理的に次に進めないような感じもあったのだ。それはもちろん・・・夢レコ:7月28日<Riversideの不思議>関わりである。この記事で僕は「音の好みは人それぞれ」ということについて少々突っ込んで書きたくて、それにはまず自分の好みを明らかにした方が話しが判りやすいと思い、自分が「あまりよくない録音」と思う2~3の具体的なタイトルを挙げたわけだ。それに対して、各氏から濃厚なコメントを頂き、それについての検証や報告(手持ち材料の中での)などのやりとりが、じわじわと続き、またその間に、NOTさん、bsさんのブログ、HPにおいても関連話題の記事も登場してきて・・・どうやら僕はそんなRiverside渦に充分に巻き込まれてしまったようなのだ。「渦」と言っても、これは楽しい渦ですが(笑)
あるレコードについての新しい検証コメントが出てくると、そんな聴いてみたい音盤たちのまだ見ぬイメージに苛(さいな)まれ、いろんなレコード雑学的なことも気になったりで、もう精一杯になってしまい(笑)・・・まあそんなこともあって、なかなか更新できなかったというわけです。

さて、約2ヶ月に渡るRiverside音盤についてのやりとりの中から、このレーベルに関わるいろんな側面が浮き彫りにされてきたようだ。自分のアタマを整理するためにも、ポイントだけ整理してみたい。

《Riversideの初期ステレオ盤(1100番台シリーズ)への再認識》
僕自身、実は「1100番台」という呼び名にほとんど認識がなかった(笑)「リヴァーサイド・ブック」(ジャズ批評社)でも、普通にRLPの201~499番と並べられていて、例えば、モンクのBrilliant Cornersの226番の所にカッコで(1174)番と表記されている状態で、だから・・・「1100番台」を連続したひとつのシリーズとして認識し辛い状況だったのだ。推測だが、よほどのマニアの方でなければ、リヴァーサイドのステレオ盤としての「1100番台」を認識されている方は少ないだろう・・・と思う。しかし今回は、その「マニア」の方が、2人も揃ってしまったようだ(笑)

まずYoさんからその1100番台について詳細なレポートが続き、Yoさんがこのレーベルを如何に愛しているのか・・・が判明しました(笑)
そのYoさんのレポートにNOTさんが鋭く反応。NOTさん手持ちの1100番タイトルを再検証・・・、お2人の手持ち盤を併せると30タイトルほどとなり、それぞれの盤に対する熱の入った報告から、モノラル盤とはまた違った「ステレオ盤の良さ」~定位的なことだけでなく、各楽器の音圧感や存在感など~を伺い知ることができた。特に音が良いと報告されたものをいくつか挙げておこう。(全容については、ぜひ各コメントをお読み下さい)

~Cannonball Aderley/Things Are Getting Better(1128番:
黒小DGあり(モノラルは286番) 録音:Jack Higgins
◎~各楽器がとても自然で音圧感も申し分ない。RiversideのCannonballのアルトの最も良い録音!!(Yoさんコメント)

Blue Mitchell/Blue Soul(1155番:黒小DGあり)(モノラルは309番)録音:Jack Higgins
音圧が凄く高く迫力満点です。MITCHELLは全ての曲で常に中央に位置し音のクリアさを含め録音の良さでは所有する1100番台中随一(NOTさんブログ~
http://blogs.yahoo.co.jp/not254/50839518.htmlより)

Wynton Kelly/Kelly Blue(1142番:黒小DGあり)(モノラルは298番)
録音:Jack Higgins
◎~どの楽器も自然でエネルギー感十分、バランスも良い
(Yoさん)
音が中央に集中していないため中抜け?と思えるような部分もありますが、KELLYのピアノ、NATのコルネットの生々しさはMONOを上回ります(NOTさんブログ~
http://blogs.yahoo.co.jp/not254/50839518.htmlより)

Jimmy Heath/Really Big!(1188番:黒小DGあり)(モノラルは333番)
録音:Ray Fowler
◎(-)~ビッグバンドの録音として素晴らしい。しいて言うと音全体が若干硬質(Yoさん)

ちなみに、NOTさんは以前からに並々ならぬ興味をお持ちで、ご自身のブログにおいても「モノラル盤VSステレオ盤」なるコーナーで、多くのサンプルを検証されている。その最近記事~http://blogs.yahoo.co.jp/not254/50980289.html
http://blogs.yahoo.co.jp/not254/50922757.html
も必見です。

こうしてみると、今回の拙ブログのコメントやりとりは・・・モノラル録音が専門だと思われている「Jack Higginsの初期ステレオ録音」についての、YoさんとNOTさんによる再検証の記録とも言えそうだ。
音質の評価については、僕も何度も言い訳しているように(笑)「個人の好み」で変わるものかもしれないが、NOTさんもたびたび仰るように「定説に振り回される」ことなく、可能な限り自分の耳で判断することが必要だと思う。
モノラル盤とステレオ盤の好みが分かれることについては・・・どちらが良いとか悪いとか一元的に決められるものでないことはもちろんだが、「良い/悪い」の状況は、あくまで個々のタイトルごとで変わってくるものだと思う。そんな「モノラル/ステレオ」については、次のコメントを紹介しておきたい。
《楽器の音に厚みや力感を求める方であれば(定位的に中央でないとダメというポリシーの方でなければ)ぜひ「良い録音のステレオ盤」を耳にしてみてほしい》(by Yoさん)

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2007年5月 7日 (月)

<ジャズ回想 第11回>(その2)ああ・・・この音だ。Yoさん宅、再・再訪期。

Yoさん宅~3人の音聴き会は、まだまだ続く・・・。

ちょっと前に、ニーノニーノの新納さんからTELがあり、ピーターソンのWe Get Requestsの「モノラル溝あり」の音は凄いですよ・・・と教えてくれた。「ええっ!T字MGM-VERVEに溝があるんですか?」「はっきりしないんですが、初期のT字にはあるらしんですよ」
僕など、いわゆるT字ラベルの場合「long playing(Verve Inc.)には溝がある」が「MGM-VERVEになってからは溝がない」と思い込んでいたのだが、そうではなかったのだ。T字MGMになってどの辺りのタイトルまで「溝あり」が存在するかはよく判らないが、ともかくT字VERVEラベルの初期のいくつかには「溝あり」があるらしい。Dscn1687_1
そうして自分の手持ち盤をいくつか調べてみると・・・Night Train(V6-8538:T字MGM)には、はっきりと幅の広い溝があったのだ。そして、Requests(V6-8606:stereo)の方はというと・・・とても溝とは言えないわずかな段差のある「筋」(T字の横棒の左右の1cmほどを通っている直径7cmほどの円周)」があるだけだったのだ。
《上の写真では「筋」だか「溝」だか判りにくいが、下のラベル写真と比べると明らかに「溝」とは違う。残念である(笑)》
ちなみに、この「筋」は、普通の大きさの円周だが、Trio Plays(V6-8591)のセンターラベルの「筋」は、3cm弱の円周とうんと小さい。だから「溝」なしにも「大筋」「子筋」とあることになる(笑)

このRequestsがいわゆる 「優秀な録音のレコード」ということは知ってはいた。しかし、オーディオ的な興味の薄かった僕は、かえってそんな評判への反発もあり(笑)あまりちゃんとその音を聴いてなかったのかもしれない。アンプを真空管に、そしてスピーカーをJensenに換えた頃から、だんだんとピーターソン自体を聴くようになり、そうして改めてこのRequestsを聴きなおしてみると・・・これがチャーミングないい音だったのだ(と、気づいただけなのだが:笑) もちろん「音」の前に、演奏が素晴らしいことは言うまでもない。どの曲でも、レイ・ブラウンやエド・シグペンという名人たちが、その至芸をさらっと見せてくれるのだが、特に、1曲目のボサノヴァ風の quiet night がいい。この曲のエンディング・・・同じ和音パターンの繰り返す辺りで、ピーターソンが高音部で「遊ぶ」のだが、その意図的に軽くしたようなタッチが、実に、小気味いい。このレコードでは、1曲が短いこともあり、いつものピーターソンよりだいぶんあっさりした感じでもあり、それがまた僕には気持ちいい。軽めのタッチではあるが、しかし、しっかりとキーを叩いている」~そんな感じのタッチの質感を凄くよく捉えている録音だと思う。もちろん、レイ・ブラウンのウッドベースの音圧感・存在感も充分に出ている。そして、このレコードの録音engineerは、いつものVal Valentineではなく、Bob Simpsonとなっているのだ。Simpsonは、ハリー・ベラフォンテなどRCAでの仕事が多いようだが、Bill Evans/Trio 64(verve)や、ミンガス/ミンガス、ミンガス、ミンガス(impulse)なども彼の録音らしい。僕は、このRequestsの音が好きだ。

そんな「いいステレオ録音」のRequestsに、「モノラル・溝あり」があったとは・・・。同じ頃、Yoさんとのメールやりとりでも、そのRequestsの話題になり、Yoさんは「ステレオ・溝あり」をすでにお持ちで、なんと「モノラル・溝あり」も、つい最近、入手されたとのこと。Request_st_1
「じゃあ」ってんで、その3種・・・
ステレオ溝なし~bassclef
ステレオ溝あり~Yoさん
モノラル溝あり~Yoさん
を聴き比べしてみよう!ということになっていたのだ。

僕はすぐに3枚のセンターラベルをぐぐっと見つめた。Yoさんの2枚には確かに「幅の太い溝」がくっきりと彫りこまれている。これこそ「MGM-Verveの溝付き」だ!《センターラベルの写真2点は、Yoさん提供》
さっそくこの3枚を聴き比べてみた。Request_mono

先にステレオ盤の2枚をかけた。この2枚・・・右からのレイ・ブラウン、左からのエド・シグペン、そして中央(やや左か)からのピーターソン・・・音場の感じは全く同じだ。音質の方も、大きな差というのはなかったかもしれない。しかし、「全体としての鳴り」が・・・やはり「溝あり」の方がよかったのだ。ピアノがどう、ベースがどう、ということではないのだが・・・それぞれの楽器の音色に、より太さが、より艶が、そしてより瑞々しさが感じられたのだ。

そしてモノラル盤。ベースが中央により、やはり、かなり「太く」なった。ピアノの音自体も幾分、大きくなったようだ。一聴して、迫力はやはり増している。このモノラル盤が鳴ったらすぐに、僕の右隣に座ったkonkenさんが「オレ、この方が好きだな・・・」と一言。
そして・・・このモノラルの太さ、たくましさは充分に判るが・・・やはり「オレはステレオの方が好きだな」とbassclefが対抗する(笑)
Yoさんも、「このピーターソンのレコードに関しては・・・ステレオの方が好みかな・・・」と洩らす。
僕個人の気持ちとしては、先ほど書いたような、このレコードの「軽めのタッチ」「あっさり感」という感覚が、モノラルの方だと「たくましく」なりすぎてしまうような気がして、ステレオ録音のベースが右、ピアノが左、というちょっと薄め(とも言える)の音場の中で、軽々とノッているような感覚・・・説明しづらいのだが、そういう「軽み味」には、ステレオ盤の方が「合っている」というような、ごく感覚的な理由で、ステレオ盤の方がいい、ということなのだ。
それにしても、自分の手持ちRequestsは「溝なし」であることがはっきりしてしまったわけで、少々、落胆した。あのわずかな筋~段差を、無理やりに「溝」かもしれんぞ・・・と思い込もうとしていたのかもしれない(笑)

ピーターソンをもう1枚~Night Trainから1曲聴く。konkenさんのステレオ盤では、なぜかレイ・ブラウンのベース音がやや小さく聴こえるそうで、その点をYoさん宅で確認したかったとのこと。聴いてみると・・・左チャンネルのレイ・ブラウンのベースが、やや押さえ気味のバランスで、他のVerve盤で聴かれるいつものレイ・ブラウンと比べても音圧感が物足りない。
konkenさん手持ちステレオ盤は、ラベルの色が灰色っぽいもの(小筋)で、やや後期の再発盤かもしれない。
音全体がちょっとこもったような録音のように感じる。いずれにしても、先ほどのRequestsに比べると、だいぶん平凡な音だと思う。そして、レイ・ブラウンに関してはどちらかというと「よくない録音」かもしれない。
ちなみに僕も戻ってから、さっそくこのNight Train(ステレオ溝あり)も聴いてみたが・・・やはり同じようなバランス・音質で、ちょっと残念であった。ただ、このレコード・・・レイ・ブラウンが遠い代わりに、右側からのエド・シグペンのドラムスは、けっこう迫力のある録音だ。ハイハットがしっかり(ちょっとやかましいくらい)入っており、バスドラもちょっとこもり気味だが、音量豊かに鳴る。ドラムス好きには楽しめるレコードかもしれない。録音は1962年、エンジニアは、Val Valentineだ。

そういえば、もう1枚、強く印象に残っているピアノ・トリオの盤がある。
バリー・ハリス/Breakin' It Up(argo) all the things you are である。
この渋いピアノトリオのレコード、僕はCDとビクターの国内盤(ステレオ)を持っていた。
bassclef~「録音があまりよくない印象」に対して、Yoさん~「いや、そんなことはない「録音そのものはいいが、ピアノ自体がちょっとよくないのかもしれない」というようなやりとりがあった。そして、Yoさん宅で聴かせてもらったArgo のオリジナル盤(モノラル)では・・・う~ん、確かにピアノの響き、その余韻に若干の「古ぼけた」ものを感じたのだ。スタジオに置いてあったピアノの調弦が微妙にずれていたのかもしれない(ピアノというのは1つのキーに対して複数のスチールの弦(太い針金みたいなもの)を使っているのだが・・・その複数の弦のたった1本のピッチが微妙にずれている~そんな風に聞こえないこともなかった。よくホンキー・トンク・ピアノという表現で、場末のバーのピアノから聴かれるあの独特の「くたびれサウンド」あれが・・・調弦のずれたピアノの音、といえば雰囲気はお判りいただけると思う。もちろん、このバリー・ハリスの使ったピアノは、そんなにホンキー・トンクはしていないが、部分部分で、時にちょっとそんな響きを感じたのだ。あまり状態のよくないピアノだったのかもしれない。
そんなところまで~つまり「録音の拙さでのイマイチのピアノの音」ではなく「ピアノ自体の状態の拙さ」での、あのちょっとくすんだようなピアノ音~というところまで判ってしまった(少なくとも、そういう風に感じ取れてしまった)のだ。それにしても、このYoさんのシステムは・・・そのレコードのサウンドを聴けば、その時の演奏、そして録音の「真実」までもが、その場に暴き出されてしまうような・・・そんな「怖ろしい」装置だと言えるのかもしれない。

さて、この会・・・「その1」で書いたように、冒頭のラウズ3連発から、ほとんどテナー特集と化していった。

ラウズ(epic)の2枚とtakin'care(jazzland)の3連発
ズート・シムス/ズート!(riverside)白ラベル fools rush in
ベニー・ゴルソン/the other side of~(riverside)  jubilation
ジミー・ヒース/really bag から ?
ジョニー・グリフィン/Big Soul Band(riverside)から
deep river, jubilation 
ロリンズ/at the village vanguard(bluenote) softly as in a morning surrise
<ゲッツの Plays~聴き比べ>
JRモンテローズ/The Message(jaro)
straight ahead と violets for your furs
コルトレーン/coltrane(prestige)NY  violets for your furs
テディ・エドワーズ/It's About Time(pacific) fools rush in
エディ・ロックジョー/Tranckin'(prestige:青・イカリ RVG)
there'll never be another you
フリップ・フィリプス/I'll never be the same(ClefのEP盤)

どれもこれもいい演奏のものばかりで、これらのいくつかを続けてかけたり、もちろん間にヴォーカルなどを入れたりしたのだが、さすがにテナーばっかりではねえ・・・てなわけで「ミニ・アルト特集」となった。
フィル・ウッズである。

Dscn1695_1 Quincy Jones/Quintessence(impulse) A面1曲目のQuintessence~

この曲~ちょっと北欧の雰囲気が漂うような優雅なメロディだ~僕はもう大 好きである。
そして、この曲でフィルウッズのアルトが、もう巧さ爆発!何度聴いてもこの曲は厭きない。
輝くようなバックのブラス群の乗ってフィル・ウッズが唄い上げる。
このimpulseのVan Gelder録音は、特に好きだ。強すぎず、甘すぎず、適度な輝きと張り具合~バンドのメンバーが巧い人ばかりなのでそこのクインシーのアレンジが合わさって、ゴージャスなビッグバンドジャズが楽しめるいい1枚だと思う。

ウッズのもう1枚~Alive & Well 60年代後半の「激情ウッズ」の有名盤だ。この欧州オリジナル盤はジャケットも封筒型(上下が裏側に折り返している。全体に紙質が薄くて、その薄さに品がある)で、人気も高いらしい。
1曲が長いのだが、ウッズは最初から激情している。そして、途中のベースソロが・・・これはまたすさまじい音だった。アルトが鳴っている間は、ドラムのダニエル・ユメールも叩きまくるので、さすがにベースがちょっと隠れがちだが、ベースソロのなったとたん・・・録音技師がグンッとフェーダーを上げたに違いないのだが(ドラムの音も止み、入力オーバーにならないので)突然、ベースが巨大化する。
そして、サポートするリズムがない状態で、ベース特有の幽玄な世界に入っていく。このベース奏者、とにかく「熱いハート」があるなあ・・・ジミー・ギャリソンが時々見せるような「フラメンコ奏法」に近いような弾き方を混ぜて、堂々としたソロを展開する。この場面での音は・・・生のベースかもしれない。3人で聴いたが、この1968年頃は・・・ウッドベースに付けるアタッチメント(駒に貼り付けるタイプの小さいマイク)を付けた音なのかどうか微妙に判りにくい。生音をうんと近づけて録音したような音でもあるし、アタッチメントからの(電気的)音の配分を少なめにしてアンプから鳴らしているような音でもあるし・・・はっきりしない。だがひとつ言えるのは、ヨーロッパのべーシストはとにかく「巧い」ということだ。アタッチメント付きだったとしても、その前にまず、「ベースがよく鳴っている」 「しっかりと弾いている音」 「きちんとした音程」~そんな技術的な基礎がしっかりしているベースの音なのだ。一音一音のタッチに力感・質感がしっかりとあり、だから聴いていて全然、不快ではない。
1975年くらいのペデルセンも「巧い」ベースの代表だ。一時期のライブでは、どうしてもアタッチメント全開の電気的サウンドになったようだが、レコードではやはり「いい音」を出している。
そしてYoさんのウーレイは、こういう巧い奏者の音をひときわ甘く、そして音楽性豊かに鳴らしてくれるようだ。Jwalking ともう1枚のsteeple chase盤(ドラムスがビリー・ハートで、ギターが若いジョン・スコのやつ)を聴いたのだが、この装置で聴くペデルセンは、とにかく気持ちがいい。そういえば、1年半ほど前に初めてYoさん宅を訪れた折にも、たしかこのペデルセンのJwalking(LPとCD)を聴かせてもらったな・・・この日、聴いたのもやはり、カルロス・ジョビン作のFelicidade・・・甘い中にサウダージ(哀愁)を感じさせる見事なメロディ・・・好きな曲だ。そしてこの曲を選んで、ベースでメロディを弾くペデルセンのセンスにも素晴らしいと思う。
ちなみに、もう30年前のことだけど、このJWalkinにはちょっと思い出がある。ジャズ研の先輩ギターのケニー・マー坊氏の好きなレコードで、このLPの中の”J Walkin"にトライしていたので、何度も聴いたはずなのに・・・その頃にはペデルセン=巧いだけでおもしろくないべーシストという、全くレベルの低い思い込みで、深く聴こうというスタンスさえなかった。あの時、すでにボサノヴァ好きだった僕が、このFelicidadeを聴いていたならば・・・僕のジャズの好みというのは、どうなっただろう? そんな意味のないことを考えてしまう僕である。
ペデルセンということで、僕が持ってきていた1枚もかけてもらう。Dscn1696_1
ピーターソン/Great Connection(MPS/テイチク)just squeeze me 1971年録音。
この頃の録音盤をあまり聴かない僕なのだが、このレコードは例外的に好きな1枚だ。ペデルセンのたっぷりとしたベース音が軽くグウ~ンと伸びる様が、実に気持ちいいのだ。ベースという楽器の胴体や、弦の芯が鳴ってからの、アタッチメント増幅音なので(だと思う)軽々しくは聞こえない。
やはり、ペデルセンは本当に巧い!
ルイス・ヘイズの切れのいいシンバル音、そして軽めに弾くピーターソンの艶やかな音色とタッチ感(音圧にまだまだ余裕がたっぷりあるような感じ)も素晴らしい。そんな「好録音」のピアノトリオ盤なのだ。
それにしても、テイチク盤でこの音なら、MPSオリジナルならさぞや・・・(笑)

僕の手持ち盤から、もう1曲、お願いする。
Dscn1694 Blues For Tomorrow(riverside)~a sad thing
この1曲は、ハービー・マンのリーダーアルバム(great idea of Western Manne)からだ。このsad thing でのバスクラの音を聴いた時、「ぞぞ~ッ」とした(笑)もちろんハービーマンが吹いているのだが・・・怖ろしいほど透徹したような音色なのだ。a sad thingというタイトルからも覗(うかが)えるように、マンがそういう風に吹いているのだとも思うが、録音されたこの「音」も凄い!バスクラ自体をそれほど聴き比べる機会もないが・・・この音に、僕は驚いてしまったのだ。そしたら・・・この1曲(1枚)は、riversideにしては珍しい西海岸の録音で、マンの西海岸ツアー時にロスで録音されたとのことだ。どうりでいつものriversideの音とはちょっと肌合いが違ったわけだ。それにしても、ハービー・マンという人、たまに吹くテナーも巧いし、バスクラもこんな音で鳴らす・・・すごい才人だったのだろうな。

さて、この会。インストばかり聴いていたわけではない。ヴォーカルものを大好きなkonkenさんが、いい盤を持ってきたので、随所にそれらを混ぜながら進めていった。(以下4点は1144ross_2konkenさん提供)

Annie Ross/Gypsy(world pacific)から 
Overture 
Everything's C oming Up Ross

Darlene/The Nearness Of You(epic)1314_darlene_2

《このepic盤は、以前にrecooyajiさんに教えていただいたもので、それを気に入ったkonkenさんが速攻で入手した》

Greetje Kauffeld/Clifford : Sings To A Tribute To Clifford Browon(オランダomega)から1336kauffeld

I remember Clifford 《konkenさんのお気に入り盤。しっとりした風情のあるいい歌い手だ。70年代後半のオランダ録音だが、音は瑞々しい感じもあり、とてもいい》

Marlene/Marlene(savoy)から
Some Oter Time
If I Love Again

1322marlene_1 どれもよかったのだが、やはり、savoyのマーレーンは素晴らしかった。優しくて柔らかいマーレーンの声も、丁寧な唄い方も、そしてハンク・ジョーンズのバッキングなど全てが素晴らしい。以前、リキさん宅でこのマーレーン(僕の手持ちは、残念ながらAudiophileのreissue盤)をかけた時も、Yoさん、リキさん「いいねえ」とうなずいたなあ・・・そういえばあの時、リキさんが一言。「このトランペット、なんでこんなにエコーが・・・・」そう思って聴くと・・・たしかに、このレコードでのジョー・ワイルダー、いい感じで唄の合間にフレーズを入れるのだが、いかんせん・・・エコーがかかりすぎだ。やっぱりRVG録音だなあ(笑)
この「エコー」だけはちょっと気にはなるが、savoyのヴァン・ゲルダーは、適度に柔らかく、そしてベースやドラムスの音がtoo muchではなくて、ちょうどいいバランスなのだ。僕は、savoyでのヴァン・ゲルダーの音・・・嫌いではない。

こんな風に3人でいろいろ聴いていると、知らぬ間に・・・もう陽が落ちかけている。なぜそれが判るのかというと・・・二つの巨大なウーレイの1mほど後方の壁の高い位置に小窓があって、そこにはいつもカーテンがかけられているのだが、どうやらその方角が西側らしく、陽が落ちてくると・・・いつもそのカーテンが濃いオレンジ色に染まってくるのだ。そのオレンジ色を見ると「ああ・・・もう夕暮れかあ」という気持ちになってしまう。6時にはおいとまする予定だったので、もうあまり時間がない。こりゃあ、いくら時間があっても足りないや(笑)そんな僕らの気持ちを見てとったか・・・「僕はもうちょっと遅くなってもいいですよ」と、Yoさんが助け船を出してくれた。「いやあ・・・それは・・・」と恐縮するkonkenさんと僕。しかし・・・その恐縮にはあまり迫力がない(笑)ほとんど「そうしてもらっていいですか?」という雰囲気が顔に出ていたのだろうと思う。「ちょっと休憩がてら外で軽く何か食べて、それからまた少し聴きましょう」というYoさんのありがたい申し出に乗っかった格好で、それでは・・・pm9:30をリミットに第2部をやりましょう!ということになった。いやあ・・・これはうれしかった(笑)実際、その方が夕方の渋滞からも逃れられるし・・・いや、それよりなにより、もうちょっとこの音を聴いていたいのだ・・・よかったあ! Yoさん、ありがとう!

そうして第2部(pm8~9:30)でかけたのは・・・
エラ~
Songs In A Mellow Mood(decca)~
米decca:ジャケが灰色でなく青っぽい色のやつ。若いエラがちょっと前田ビバリに似ている(笑)
英brunswick(エラの声、輪郭がやや細くなるが気品を感じる。若くてきれいになったような感じ)

アン・バートン~
ballads & burtonとblue burton を Artoneのオリジナル、Artoneの2nd?(2枚組の1976年の)とオランダCBSの盤で聴き比べをしてみた。
Artoneのオリジナル~ballads & burtonは、瑞々しさがいっぱいでやはりいい! ところがblue burtonの方、これはどうやら・・・プレス段階の不具合らしいのだが、ヴォーカルやピアノやらの音圧が上がった箇所で「歪む」のだ。ちなみに、同じArtoneを2枚買ったパラゴンさんによると、やはり2枚とも、同じ箇所で「歪む」そうだ。2ndでは「歪まない」。
Artoneの2nd?(2枚組の1976年の)~悪くない。ただ、やはりベースのキレが、ややなくなったような感じはある。
オランダCBSの盤(blue burtonのみ)~歪まない。けどちょっと鮮度が落ちたかな・・・。

サラ・ヴォーン~
swingin' easy(emarcy) p :ジミー・ジョーンズ、b :リチャード・デイビス、ds:ロイ・へインズ、 
After Hours(roulettte) 伴奏はドラムレスで、b:デュビュビエ、g:マンデル・ロウなどであった。

Swingin_sarahここでは、swingin' easy(emarcy) のことを少しお伝えしよう。
このemarcy盤・・・サラが椅子に座っているジャケットで、あまり知られているレコードではないように思うが、むちゃくちゃいい音だった。サラの声だけでなくドラムのブラシのざわざわ感や、ベースの音圧、ピアノの艶・・・鮮度感もたっぷりの文句なしにいい音だった。サラもこの頃は、まだ可愛げがあるかな(笑)
《上と下の写真2点~Yoさん提供》

Yoさんが、polka dots & moon beamsをセレクトする。
実はこのバラードには、とんでもない場面があった。知っている方は知っているアレだ(笑)
ピアノのイントロから、サラが情感込めて静かに歌いだしてすぐ・・・全く唐突に「ドタっ!」という音が鳴ったのだ!それもかなり大きな音だ。その「ドタッ!」の、あまりの違和感に、3人とも思わずスピーカーの方を振り向いた。「何? 今の音・・・」 もう一回聞いてみる・・・「ドサッ!」はっきりと聞こえる。・・・どうやら何かが落ちたような音か・・・いや・・・バスドラの音だぞ・・・と、僕は言う。だとしたら・・・この「ドサッ!」は、ロイ・へインズの「演奏」なのか? いや、どう聴いても・・・この音は、意図した音には聞こえない。鳴るタイミングもあまりにも中途ハンパの場所だ。
「音楽」になってない。だから・・・演奏での音ではないだろう、と僕らは推測をした。
では、なぜあんな音が鳴ったのか?
konkenさん~ロイへインズの単純ミス説<たまたま右足を降ろしたら・・そこにバスドラ・ペダルがあった>
(笑)
bassclef~ロイ・へインズのミスはミスだが「バスドラ・ペダルのチェック説」
つまり・・・<ペダルの踏み具合を何気なくチェックしようとして(鳴らすつもりではなく、軽く踏むだけのつもりだったのだが、足が勝手に踏み込んでしまった>(笑)Swingin_sarah_l
《補足》このロイ・へインズの「ドサッ!」については、その後、konkenさんから、素晴らしいコメントをいただいた。「あれはミスではなかったかも・・・polka dots~という曲の中の歌詞(bump:ドスンという音/人がぶつかること、というような意味)に合わせて、ロイ・へインズが意図的に出した音だろう」という「新発見」である。コメント欄もぜひお読みください》

それにしてもサラ・ヴォーンは偉い。バラードの出足にあんな音響が鳴ったというのに、動じることもなく、そのまま唄い続けてしまう・・・プロですね。
いや・・・それでもあの「音」の後に、すっと振り返り、ロイ・へインズを睨みつけたかもしれない(笑) そうしてロイ・へインズの右足が凍りついていたのかもしれない。
実際・・・この曲では、もう2度とバスドラの音は鳴らなかったのだから(笑)古いレコードの中に潜んでいた、こんなエピソードと共に、この会もようやく終わろうとしているのだった。

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2007年4月20日 (金)

<ジャズ回想 第10回> ああ・・・この音だ。Yoさん宅、再・再訪記(その1)

いくつかの聴き比べを交えて「音楽」に浸った9時間。

推測だが・・・ジャズ好きという人種は「偏屈」である。もちろん、僕も例外ではなく、どちらかといえば狭い人間関係の下で生きている(笑) ところが、この3年ほどか・・・九州の新納さんの田園の中のレコード店~Ninonyno(ニーノニーノ)さんのBBS「こだわりの杜」に顔を出すようになって、そこでのやりとりを通じて、ジャズのお仲間が増えてきた。その後、このブログ<夢見るレコード>も始めて、さらに多くのジャズ好きの方と知り合うことができた。このごろでは、「杜」のお仲間と「ミニ杜」と称してオフ会的に集まったりもする。持ち寄ったレコードを聴いたり、しゃべったりしていると、本当に楽しい・・・そうして、判ったことがひとつある。「ジャズ好きはジャズ好きと語りたい」のである(笑) そして「オン/オフ」に係わらず、「語り合えるお仲間」がいるということは、素晴らしいことだ。
そんなお仲間のYoさんとは、たびたびジャズ話しのメールやり取りをしている。たいていは、最近入手して気に入ったレコードとか、逆にそうでもなかったもの、あるいは再発ものなどでも、やけに録音がいいと感じたものとか・・・そんなレコード話題である。レコードやミュージシャンに対する好み、あるいは録音に対する好み・評価などは、合ったり合わなかったりなのだが、そんなやり取りをしていると、「聴き比べてみたくなる盤」が、次々に浮上してくる(笑)
例えばこんな具合である。ある時、ラウズ~モンクのことから話しがグリフィン(リヴァーサイドの「ミステリオーソ」(nutty)に及んだ。
Yoさん~「モンクとやっているグリフィンは、緊張しているせいか大人しい」
bassclef~「いや、そんなこともない。いい感じでノッてるのでは」
お互いに「そうかなあ?」そして再聴してみるのだが、やはり意見は変わらない。それも伝える。またまた「う~ん・・・変だなあ」
その「ミステリオーソ」・・・双方の手持ちの盤は何なのかな?
う~ん・・・それじゃあ、ひょっとしたら録音の感じが違うかもしれんぞ(特にリヴァーサイドだから:笑)じゃあ、ぜひ聴き比べてみよう!・・・てな感じなのである。
Yoさん~Misterioso(riverside)黒・ステレオ《下の写真2点はYoさん提供》MisteriosoMisterioso_l

Dscn1691

《左写真:bassclef~Misterioso(riverside)青・小・モノラル》

この「ミステリオーソ」の聴き比べについては、すでにニーノニーノさんのBBS「こだわりの杜」に書き込みレポートをしたので、その書き込みを以下に再掲させていただきます。

モンク/ミステリオーソ(riverside)~
これは「モンクとのグリフィンはおとなしい感じ」というYoさんの印象~[ミステリオーソでは頼りなげに聴こえるんです。録音の所為かもしれません。モンクのピアノが強く明確に録られているので余計に音の小さなグリフィンがそのように聞こえるのかもしれません。ステレオだと左隅で小さくなって吹いているように聴こえます。(モノとステレオの違いも有るのかも?)]というYoさんと「いつものグリフィンだと思う」というbassclefのメールやりとりから、Yoさん手持ちの<黒・小・ステレオ>とbassclefの<青・小・モノラル>を、ぜひ比べてみよう!という経緯があったわけです。
曲はlet's cool one にした。この曲、途中でモンクらがバッキングを止めてしまい、完全にグリフィンのテナーだけになる辺りがスリリングだ。メロディがチャーミングで、モンク曲の中でも特に好きなのだ。
先に[黒・小・ステレオ]から~
聴き馴染んだあのメロディが始まる・・・ところが、グリフィンが左の方、それもかなり遠い。確かにYoさんの印象どおりで・・・・他の楽器とのバランスからいっても、かなり小さめだ。これは・・・「おとなしいグリフィン」になってしまっている(笑)これを聴いたのなら・・・たしかに「モンクに遠慮でもしているのか?」と感じてしまうだろう(笑)Yoさんに「う~ん・・・(なぜグリフィンが大人しい・緊張?と感じたのか)これで判った」と言う僕。Yoさん、ちょっとホッとしたような表情。
続いて[青・小・モノラル]~いきなりのピアノのイントロから音が元気だ。カッティングレベル自体もモノラルが高めにしてあるようだ。
そして・・・グリフィン。中央から太く、そして大きな音量バランスでテナーが鳴り始める。Yoさん「全然、違う!」さきほどホッとしたYoさん、今度は、モノラル盤の「粋のよさ」に、少々、悔しそう(笑)
どちらかというとステレオ派(特にライブ録音では)の僕でも、こうして続けて聴くと・・・この「ミステリオーソ」に関しては、モノラル盤の方が「音楽」が
楽しめる。う~ん・・・モノラルも悪くないなあ(笑)
それにしても解せないのが、この黒・ステレオ盤は、裏ジャケにray fowlerもクレジットされており、例の「変なステレオ3D図面」もある。
そして僕が聴いてきたステレオ盤(昔のポリドールの2枚組monk's world)でも、こんなに「遠いグリフィン」ではなかった。戻ってから聴いたファイブスポット未発表テイクでのグリフフィンも、中央やや左から、もっと大きなバランスで元気に鳴っていたのに・・・。この「黒・小・ステレオ盤」では、フォウラーが、意図的に、テナーを抑えたバランスでのミキシングをしたのかなあ・・・?当時のriversideは、ちょっと変則で、あるセッションなりライブの際、モノラル用の録音とステレオ用の録音を「同時に」やってしまったらしい。ミキシングで各楽器の位置、音量を「変えて」しまったのかもしれないし、録音の際の「マイクの位置取り」において・・・モノラル用の方にアドヴァンテージがあったのかもしれない(笑)
いずれにしても・・・モンクのファイブスポットは、本当にいいライブです。僕はもう大好きなレコードで、これでベースがアブダリマリクでなく(もちろん悪くないのですが)ウイルバー・ウエアだったらなあ(笑)と隣のkonkenさんに洩らした僕でした。



レコードというのは、普通は~普通でない場合ももちろんあるでしょうね(笑)~なかなか同じタイトルのものを何種類も集めない。しかし、そのレコードに「ラベル違い」があることが判っていて、しかもお互いの手持ちの中でそれらが揃ったとなると・・・これはやはりその「ラベル違い」で、どんな具合に音質が違うのか、あるいは違わないのか?  そんなことを知りたい気持ちになるのも、レコード好きとしては無理からぬことだろう(笑)
さきほどの「グリフィン」と同じ経緯で浮上してきたここ最近の「聴き比べ候補盤」あるいは「お勧めの好録音盤」(ほんの一部)を以下に挙げてみる。

Lorindo Almeida/~Quartet(pacific:PJLP-7) 10インチ盤~[ラベルの艶:有り/無し]
Stan Getz/~Plays(clef:10インチ盤)と ~Plays(norgran:12インチ盤)と 同音源のEP盤(EP-755)
Oscar Peterson/We Get Requests(verve)~このレコードは、MGM-VERVEのT字ラベルなのだが・・・「モノラル溝あり」と「ステレオ溝あり」と「ステレオ溝なし」の3種あることが判ったので、それもぜひ聴き比べてみよう!とあいなった(笑)
(以下は、bassclefの思う好録音盤として)
Frank Rosolino/Free For All~[米specialty盤とセンチュリー国内盤]
Thelonious Monk/Blues Five Spot(milestone/ビクター)
Bill Evans/Time Remembered(milestone/ビクター)この2タイトルは共に
1982年頃発売されたriversideの未発表音源だ。

こんな具合に「聴きたい盤」が増えてくると、どうしても集まりたくなる(笑) そんなわけで半年振りにYoさん宅におじゃますることになり、今回はkonkenさんと2人で藤井寺に向かった。早めに出たのだが、関~伊賀辺りが事故渋滞で、そこを抜けるのに1時間以上もかかってしまった。トンネルの途中で止まってる時など~まだこの先、何時間待たされるかも判らないので~せっかちな僕は「チャンスは今日だけじゃない・・・」と、あきらめかけたりしたのだが、konkenさん「ここまできたら絶対に行く!」と力強い一言。じゃあ、ってんで、覚悟決めて、あれこれとジャズ話しなどして渋滞の苦痛を耐え忍ぶ二人。いいかげんイヤになってきた頃・・・天は我々を見捨てなかった(笑) 伊賀の「加太(かぶと)トンネル」を出ると、とたんに渋滞が消えたのだ。二人とも「やったあ!」 後はもう、飛ばすに飛ばす(笑)
そうして 11:30頃にはYoさん宅に到着できたのである。よしっ、これでまた「あの音」が聴けるぞ!

左側に手すりのついた、ちょっと急なこの階段を上り始めると・・・そういえば昨年の秋、この部屋に14人も集まったのだなあ・・・と懐かしいような気持ちになる。あの時は先に到着していたパラゴンさんが「ヴォーカル特集」を展開しており、階段の途中で漏れ聞こえてきたのは・・・キャロル・スローンだった。スローンのOut Of The Blue(columbia)からの・・・deep purple~イントロ部分での、弦を使ったちょっと不協和音のようなアレンジが特徴的なあの曲~が流れていたように記憶している。もっともこういう記憶は、後から自分の中で勝手に脳髄インプットされたりもするので、アテにはなりません(笑)
*10月の「大阪・神戸・秋の陣」会の模様は、拙ブログ記事に長々と書いてあります。こちらからどうぞ。

さて・・・今回の3人会は、ラウズ3連発から始まった。ラウズから始まり、そのまま「テナー特集」と化し、次に「聴き比べ」をやり、インストばかりではちょっと厭きるので、「ヴォーカル」や「ピアノトリオ」を混ぜ、再び「聴き比べ」。その後、ちょっとだけクラシック。それからアルトで、またヴォーカル・・・そんな感じで、実にいい按配に、次々と「音楽」が流れていった。ひとつの曲が終わると、短くその感想を言い合い、そして次にかけるレコードを取り出す・・・時間がどんどん経っているようでもあったが、3人とも休む素振りを見せない。そして・・・全く疲れない。まるで名手の吹く自然なアドリブのようではないか(笑)

YeahYoさんが最初にかけたのは、チャーリー・ラウズの Yeah!(epic) からyou don't know what love is。普通はバラードで演奏されることの多いyou don't know だが、ラウズは、あえて最初からベースがゆったりテンポの4ビートを刻むリズムを選んだようだ。そして、ペック・モリソンの強くギザギザしたような音色が、目の前のスピーカーから弾んだ瞬間・・・「ううっ。これは凄い!」と僕:bassclefは、 唸ってしまった。右隣に座ったkonkenさんも、やはり「うう・・」とスピーカーの方を見つめたままだ。

《上下の写真2点ともYoさん提供》
Yeah_l前回、レコードによっては響きが膨らみすぎる場合のあった、ウッドベースの音が見事に締まっているのだ。いや、充分に存在感を感じさせながら、わずかに引き締まった感じになっているようなのだ。ペック・モリソンという人の参加レコードはそれほど多くないと思うが、そのいくつかのレコードで、音の大きそうなガッツあるタイプのべーシストだとは感じていたが、正直に言うと、ここまでペックモリソンが「凄い」と感じたことはなかった。
「凄い」というのは・・・なんというか、ペック・モリソンというべーシストの「音が大きい」ことが判るだけでなく、その一音一音に込める気合やら、ベースで紡(つむ)ぐライン全体の迫力・・・そんなものまで「判って」しまったという意味なのだ。
いかにも音が大きそうで太くて重くて、ちょっとギザギザしたような独特なモリソンの音色。心持ち、弾むようなビート感が心地よい。彼の刻む4ビートが見事にゆったりと、しかし決して鈍重にはならずに「音楽」を支えている。それに乗っかって、ラウズのテナーが深く沈みこむような音色でもって、自分の唄を吹き進んでいく。それから、デイブ・ベイリーの重心の低いドラムス。
それらがしっくりと溶け合った実に感じのセッションではないか。たぶん「音色」の相性までもがよかったのだろう。Yeah!という作品は・・・本当に傑作と呼んでもいいだろう。

そういえば、ラウズのテナーも、このEpic盤:Yeah!では、実に魅力的な音で録られているように思う。前々回の<夢レコ>では、ラウズの音色を「深い」と表現したが、Yeah!でもやはり・・・深い。その深さにさらに落ち着きが増して、どっしりした重さも加わっているような感じなのだ。
そのラウズのテナーの音色が、面白いことに、同じ時期の2枚のEpic盤~[Yeah]と[We Paid Our Dues]とでは、微妙に違っていたのだ。レーベルが同じでも「同じ音」と決め付けてはいけないようだ(笑)
以下、その比較の印象を少しだけ。(jazzlandのTakin' Care~も参考として聴いてみた)

Yeahの方~深みと重み、それに渋みがブレンドされたような音色。豊かに響く。ラウズは元々、わりとサブトーンを使うので、音色の輪郭自体も丸みのある方だが、やや膨らみ気味かもしれない。だがしかし、僕はラウズに関しても、Yeahでの音色の方が好みのような気がする。

We Paidの方~(Yeahに比べると)音色自体もちょっと締まり気味で、サブトーンなどの響きの余韻を程よく抑えたような感じ。だから・・・ラウズが少しだけ知性的になったような感じがする(笑)

Takin' Care(jazzland) からpretty strange ~この盤では、再び「膨らみ気配」のテナーになった。サブトーンの余韻もやや強調気味か。もちろん悪い録音ではないのだが・・・2枚のEpic盤の~両者共にどうにも魅力的なテナーの音色だった~直後に聴いたこともあり、「あれ?」という感じがするくらい「普通」のテナーの音に聞こえてしまったことも事実だが、まあそれくらいYeah!の録音が素晴らしいということだろう(笑)

・・・・・ラウズ3連発を聴き終えると・・・このYeah!を初めて耳にしたらしいkonkenさんも「ラウズも、いいねえ」と嬉しそうだ。
ハロルド・ランドやテディ・エドワーズ、それからこのラウズ・・・独りでじっくりと吹かせると実にいい味を出すタイプだと思う。その手のテナーのちょっといいレコードも、この後でかかることになる。

さて・・・今回は、いきなりの「驚愕のベースサウンド」で始まったので、その後かけたいろんなレコードのそれぞれのべーシスト達の「音の印象」を少しまとめてみたい。

《We Paid Our Dues(epic)黄・モノラル。写真2点ともYoさん提供》
We_paid_lWe_paid









ラウズ2枚目のレコード~We Paid Our Dues(epic) からは、バラード:when sunny gets blueを聴いた。 

~ラウズとセルダン・パウエルが3曲づつ分け合っての1枚。交互に1曲づつ配置されているとのこと。ラウズの3曲は以下。
When Sunny Gets Blues
Quarter Moon
I Should Care
2曲のスタンダードなど、とても趣味のいい選曲だと思う。気になるペック・モリソンの名が、なぜかパウエルの方のセッションに載っている(笑)

この曲でのべーシストはレジー・ワークマンであった。(このレコードでの)ワークマンは・・・ベースの音色がもうちょっと下の方に伸びたような感じ。音色の説明はとても難しい(笑)そうだな・・・ビル・エヴァンスのExplorations(riverside)でのラファロのベース音に近い感じかな。ワークマンもラファロと同じく一音一音をグウ~ンと伸ばすビート感を持つ弾き手だ。このレコードでも「巧いべーシスト」の音色だったが・・・その音量はたぶんペックモリソンよりも小さい。そして、ラウズのテナーのもっさり感には・・・ペック・モリソンの方が「相性」がいいように感じた。
いずれにしても、さきほどのペック・モリソンとはおもしろいように「音」が違う。いや・・・「音が違うことが判る」のだ。そしてそれは、それぞれの奏者にそれぞれの「個性」がある~そんな当たり前のことを、もう理屈ではなく目の前の音から確認できるということなのだ。
2人のベース奏者を比べただけでも、こんな風に「個性の違い」が見えてくる・・・これは面白いですよ(笑)
もちろん演奏の良し悪しや録音の具合によって、その「表われ方」に微妙な差はあるかもしれないが、音量・音圧、そして音色、そんなその奏者の「真実」を、そこにあるスピーカー(の間の空間)から感じとることができるのだ。聴く方には面白いが、演奏者には「怖い」ことだろうなあ(笑)
ちなみに、サックスやピアノは違いが判るが、ベースやドラムだと判りにくい・・・とよく言われるかと思う。管楽器やピアノの場合だと、その主役の吹くテーマやアドリブを聴き込めば(そして身体で覚えてしまえば)音色やら(特徴的な)フレーズなどから、各奏者の違いを聴き分けやすいのかもしれない。その点、たしかにベースが主役のソロイストとして、メロディーを弾いたり、アドリブを弾きまくることは少ない。しかし・・・僕は、ベースやドラムスの場合でも全く同じだと思う。ベースならその(好きになった)べーシストの演奏(ライン)を意識して、ある程度まで聴き続ければ、終いには「その奏者」のクセを身体が覚えてしまいます。そうなれば何かのレコードをメンバーを知らずに聴いたとしても「あれ?この弾き方は・・・」てな感じで「その奏者」だと、判るようになったりします。(もちろん判りやすい奏者と、そうでない奏者がいますが)
そうして、そんな「耳」(意識)になってくると・・・オーディオの「素晴らしさ」そして「怖さ」は、よりいっそう増すのかもしれない。

ベースの音がいいねえ・・・という感想をkonkenさんと言い合っていると、Yoさんが次なるレコードを繰り出してきた。
ソニー・ロリンズ/A Night At The Village Vanguard(bluenote)~UAラベルだったかな?~から softly as in a morning sunrise をかける。
*訂正~このbluenote盤は<RVG刻印ありのリバティー・モノ盤>でした(Yoさんコメント参照)

強烈な引っ張り力でウッドベースという楽器を雄大に鳴らしているであろうウイルバー・ウエア。
そのベース音は、ガット弦の特徴でもある、音色のエッジが丸く膨らみながら低い方に伸びるような音色だと思う。そのウエアの大きな音像が、充分な膨らみを持ちつつ、切れ味ある鳴りっぷりだ。
この曲でのエルヴィンはブラシで通すが、時にアタックを効かせたエルヴィンのバスドラが、コンパクトにドシッ!ドシッ! とすっとんでくる。乾いたいいドラムスの音だ。この頃のエルヴィンは、まだまだ端正な感じだ(笑)
僕は、もちろんこの「ヴィレッジ・ヴァンガード」は大好きなレコードで、以前にも記事にしたのだが、実は、このライブ盤の音については、ちょっとひずみっぽい雑な録音だと思っていた。しかし、このリバティ・ラベル盤は、ドラムもべースも、そしてもちろんロリンズのテナーも、いい具合にすっきりした、そして実にいい音だった。
以前からYoさんの装置では、ベースがよく鳴る。充分すぎるほどの音量・音圧がベース好きの僕にはうれしくなるようなサウンドだった。ただそれがゆえにレコード(その録音バランス)によっては、どうしてもベースが出すぎ・膨らみすぎの感じもあって、Yoさんももちろんそれを自覚されており、今回は、その辺りも調整をしてきたらしい。どこをどうしたとかは、例によって尋ねもしなかったが・・・出てくる音~その低い方から中音・高音のバランスは~さらに「いい方」へ(少なくとも僕の耳には)変わっていたのだ。
「ベースの音色」で言うと・・・低い方での響きの輪郭の広がり具合が2割くらい締まってきて、そのことで、ベースのライン(弾いている音程)が、より鮮明になってきた。「ベースの抜け」がぐんとよくなったのだ。特にウイルバー・ウエアとかジョージ・デュビュビエらの「大きく太く鳴らす」タイプのベースラインが、見事に「抜けた」ように感じる。今、思うに・・・どうやらYoさんは、「ベース音像膨らみの絞り気味調整」~その仕上がり具合を、ベースにうるさい僕に聴いて(聴きとって)もらいたかったのかもしれない(笑)

そして、ベースの音色の輪郭がややスリムになったことで、さらによくなった(と僕が感じた)のは・・・ドラムスなのである。実はベースの低い方とドラムスのバスドラ(右足で踏む大きい太鼓。直径が一番大きいので「ドン!」と低く鳴る)は、実際の演奏においても、わりと「かぶり」やすいらしく、バスドラがドン、ドンと大きめな音量で鳴ると、その瞬間(バスドラの響きの余韻が残っている間)自分で弾いているベースの低音が聞き取りにくくなることがあるのだ。そのバスドラが、以前よりすっきりしてきたようだ。バスドラ、ベースの中低音~その辺りの景色が、霞(かすみ)が晴れたように、クリアに浮かび上がってきたのだ。
そしてなぜか、ハイハット(左足で踏む~シンバル横向きに上下2枚に合わさったやつ。「ッシャ!ッシャ!」と鳴る)の音も、前よりくっきりと感知できたのだ。いや、以前ももちろん聞こえてはいたが、今回聞いたハイハット・・・シンバルの厚みというか・・・重みのある「ッシャ!」になっているのだ。特に冒頭でかけた、Yeah!(ドラマー:デイブ・ベイリー)とこの辺りは僕の錯覚かもしれないが・・・低音域のややかぶり的な要素が取り払われたことで、もともと鳴っていた中高音辺りのハイハットも、より実在感のある「鳴り」として浮かび上がってきたのかもしれない。あるいは、この「ハイハット」については「弦の艶が出てきた」ことと~ちょっと前の「杜」に、そんなコメントがあった~関係があるのかもしれない。
いずれにしても・・・ベースが豊かな響きはそのままに、よりタイトに少しスリムに(このことで、僕などはベースの音色により色気みたいなものを感じた)、しかもドラムスの方もぐっと見晴らしがよくなり、バスドラ、ハイハットもくっきりと浮かび上がる! これは・・・リズムセクションの動き・具合までじっくりと聴きたいジャズ好きには・・・もうたまらなく魅力のある音だったのだ。

~「じゃあ次はちょっと新しいエルヴィンだあ!」とkonkenさんが取り出したのは・・・
Elvin Jones/ Polly Currents (bluenote)liberty から Mr. Jones。
《写真2点はkonkenさん提供

Polly_currents_2 これは1968年だったかの録音で、だいぶエルヴィンの音が荒々しくなっている。テナーが凄い。このレコードには2人のテナー奏者がクレジットされていた。ジョー・ファレルとジョージ・コールマンだ。僕はジョー・ファレルはけっこう好きなので、初期のメイナード・ファーガソン時代のルーレット盤なども聴いていているが、なかなかワイルドな凄いテナー吹きだと感じている。長いソロを取るテナーがジョー・ファレルだろう。どうやらこの曲ではファレルだけがソロをとっているようだ。Polly_currents_label

エルヴィンのドラムス・・・この頃の録音になると、先ほどの1957年録音のコンパクトに締まった音とは、だいぶん違う。まず全体にドラムス(正に複数形のドラムスでないと感じが出ない)の響き全体がバカでかい!(笑)
スネアやらバスドラが、いちいち「ドカン!」「ドカン!」と鳴り響いている。いいんだもう・・・何でも。エルヴィンなら・・・許す(笑)
3人で豪快な鳴りのエルヴィンを堪能しました。しかしこの時代のエルヴィン・バンドのべーシスト~ウイルバー・リトル~は大変だったろうな・・・。さすがにエルヴィンが大きく鳴らしている時には、その響きに隠れがちだったが、それでもあのうねり・あの響きの中で、きっちりと芯のある強い音色が強力にビートを刻んでいるウイルバー・リトルもいいべーシストだ。
ああ・・・今日はベースばかりに耳がいく(笑)いや、耳がいかなくても・・・勝手に身体にベースの音が入り込んでくるのだ(笑)もともとベース好きの僕には、このYoさんの装置は、もう実に極楽なのであった(笑)


さて・・・そろそろ「聴き比べ」をやらねばならんね(笑)とYoさんと僕はゲッツの盤を取り出した。
同じ音源で4種の盤が揃った。
Yoさん~ Stan Getz/Plays(clef:MGC-137) 10inch
Yoさん~ Stan Getz/The Artistry(clef:MGC-143) 10inch
bassclef~Stan Getz/Plays(norgran:MGN-1042) 12inch
bassclef~Stan Getz/~Quintet(clef:EP-155) 7inch

ちなみに「子供キス」のジャケットで有名なStan Getz Playsだが、もちろん10インチ盤の方が古い。
Plays(137)とartistry(143)~こちらの方が元々の「子供キス」ジャケなのだ~の2枚の10インチ盤が発売された何年か後になって、12インチ盤のStan Getz Plays(1042)が出たのだろう。10インチ盤には各8曲。12インチ盤には12曲(137の8曲+143のA面4曲) 収録してある。

このスタン・ゲッツの聴き比べは、少し前に、ニーノニーノさんのBBS「こだわりの杜」の書き込みから浮上してきた話題だった。以下にちょっとその模様を転載します。

No.15098
ハンドルネーム:Yo   (2007.3.8,14:58:03)     
皆さん、ご無沙汰です。
ひょいと見たら10インチと12インチの話ですね。大概は10インチが先かなと思うのですが、Dukeさん、ひとつ下記の3枚の順序を教えて欲しいのです。(乱入すみません。)
Stan Getz Plays (Clef MGC137):Dec.12'52
Artistry of Stan Getz (ClefMGC143):Dec.29'52&Apr.16'53
Stan Getz Plays (Norgran MGN1042):Dec12&29 '52
Norgran12インチ盤が10インチのClef盤2枚をカップリングしてある感じですが、52年12月のセッションだけでまとめてあるので、オリジナルがどうなのか知りたいのです。特にあの有名なジャケがNorgran盤とClef143と同じなのでどちらが先か知りたいです。よろしくお願いします。 

No.15099
ハンドルネーム:Duke   (2007.3.8,16:06:44)     
Yoさん、お久しぶりです。Goldmine Jazz Album Price Guideとw. Bruynicckx著Modern Jazzz Discographyの両方で調べた結果、Clef MGC 137とMGC 143は1953年、Norgran MGN 1042は1955年となっています。NorgranのほうにはApr.16'53のセッションは入っていないようです。Yoさんのおっしゃるように「Norgran12インチ盤が10インチのClef盤2枚をカップリングしてある」ということになります。ご参考になれば。

No.15100
ハンドルネーム:Yo   (2007.3.8,16:49:02)     
Dukeさん、ありがとうございます。
あのゲッツがサックスを抱いて子供のキスを受けているジャケがどちらが先か気になったんです。そうですか Norgran1042は2年も後ですか?12月の早い2つのセッションをまとめてあるので、ひょっとしたらClef143が最後かなと思っていました。・・・良かった。Clef盤大事にします。(笑)・・・でもClef盤のゲッツの音が特別すごいとは思わないので、Norgran1042も聴いてみたいですね。

No.15101
ハンドルネーム:bassclef   (2007.3.8,19:24:31)     
Dukeさん、みなさん、こんばんわ。
10インチと12インチ・・・なにやら面白そうな気配が(笑)Yoさんが挙げられたゲッツの3種、やはり10インチ2枚が先ですか。「子供にキス」のジャケットは、10インチだと[plays]ではなくて、artistryの方なんですね。
>Norgran1042も聴いてみたいですね~
Yoさん、偶然にもそのNogran1042(12インチ)なら持ってました(笑)
以前「関西・杜の会」(Yoさん宅)でもちらっとかけてもらったゲッツのclef・EP盤(time on my handsやらbody & soulなど4曲入り)の音もかなりいいぞ、と思ってるのですが、Norgranの12インチ盤の方も、ゲッツのテナーの音は・・・かなりいいように感じました。もっとも僕の好みのゲッツが、52年頃なので、何を聴いても「よく」感じてしまうのかもしれませんが(笑)
またぜひ10インチと12インチとそれと7インチでbody & soulなど聞き比べてみたいですね。

~こんな具合で、この「ゲッツ・聴き比べ」は、僕自身もものすごく楽しみにしていたのである。1952年のゲッツ・・・僕はこの頃のゲッツがどうにも好きなのだ。どの曲においても、ゲッツがあのマイルドなテナーの音色で吹き始めると、フレーズがどうだとかなど考える間もなく・・・その曲は「ゲッツの唄」になってしまう。もう何をどう吹いても・・・ゲッツなのだ(笑)言わば・・・too marvelous for words(笑)  とにかく素晴らしい。

さあ、その1952年のStan Getz Plays・・・かける順番をちょっと相談した。
やはり時代の新しい方からということで、僕の12インチ盤Playsからにした。どの曲も素晴らしいのだが、どうせならEP盤(4曲収録)にも入っている曲にしよう、ということで、time on my hands を選んだ。 

Dscn1688_11  Norgran盤~ミディアムテンポにノッたピアノのイントロが流れてくる・・・すぐにテーマを吹き始めるテナー。盤質がそれほどいいとは言えないので、多少チリパチが入るが、ゲッツのテナーの音色は・・・くっきりとして充分に鮮度感のある悪くない音だ。ただ、中高音をわずかに強めにしたような感じもあり・・・だから、この12インチ盤でのゲッツのテナーは、ちょっとだけ硬質な感じに聞こえなくもない。というのも、僕はこのtime on my handsを、12インチ盤よりも先にEP盤で聴き込んでいたので、そのEP盤に比べての話しである。

Getz_plays10inch Clef盤~これが「Plays」だよ、と言われると、一瞬、たじろぐが(笑)・・・このイラストのジャケットも、さすがにデビッド・ストーン・・・実にいい味わいだ。なかなかお目にかかれない一枚でもある。裏を見て嬉しくなる。というのは・・・この10インチの裏ジャケットの写真(黄色のゲッツ)が、僕のEP盤と同じ写真だったのだ!

Getz_plays_bGetz_plays_l_2









《10インチ盤3点の写真はYoさん提供》

さあ・・・と同じ曲、time on my handsをかけてもらう。イントロでは、それほど大きな差は感じなかったが、 ゲッツのテナーが入ってくると・・・う~ん、やはりだいぶ違うぞ・・・先ほどの12インチの方がすっきり感のあるちょっと新しめの音とすると、10インチの方は落ち着いた感じで、ややこもった感じもあるが・・・その「こもり感」が心地いいのだ。 ゲッツのテナーが、よりソフトにマイルドに聞こえるのだ。  「ソフト」と言っても、音色がふやけたわけではない。テナーの音色の肌触りが「より木目細やか」になったと言えばいいのか。 そうしてその「マイルド」さは、僕が以前から知っているEP盤でのゲッツの音と同質なものだったのだ。音全体のイメージとしては「温かみと品がある」ということかもしれない。

7inch Clef盤~このEP-15 5は以前にも<夢レコ>に登場させたことがある。ここ、Yoさん宅の10月の集まりの時、第1部の最後にかけてもらった。その時、たしかDukeさんがこう言った・・・「いつものゲッツと違う!」僕の推測では、その「違う」は、よりソフトにキメ細やかに聞こえる、という意味だったのだと、今は思う。7インチ盤は一般に盤質が良くないことが多い。扱い方の問題なのか盤の材質の問題なのかは判らないが、僕のいくつかのEP盤にも盤質のいいものはほとんどない(笑)そして・・・ゲッツのこのEP-155は、うれしいことに、盤質が最高なのである。
Dscn1689このEP盤からの time on my hands は・・・音色の質感はやはり10インチ盤と同じ感じである。そして、もう少しだけテナーの音色に潤(うるお)いが増したようで、そのテナーの音色が、軽く「フワ~ッ」と浮かび上がってくるような感じでもある。う~ん・・・Dscn1690やっぱりこの45回転はいいなあ(笑)

《EP盤~EP-149とEP-155。10インチ盤:Playsの8曲が、この2枚のEPに、4曲づつ収録されている。同じセッションからの音源で型番も近いのに・・・なぜか155の方が音がいい。ゲッツのテナーが、滑らかでクリアなのだ。コンディションの差だけではないように思うのだが・・・不思議である》

もう1枚の10インチ盤~artistryの方からも何か聴こう、ということになり、かけた曲は、A面のthese foolish things。さきほどのPlaysの8曲は、52年12月12日の録音で、こちらのartistyのA面4曲は、12月29日である。録音日はとても近い・・・なのに録音の感じはちょっと違うようだ。Yoさんも僕も、この点については同じような印象を持ったようだ。つまり・・・artistryも、もちろん悪くないのだが、ゲッツのテナーの生々しさ~そんな「気配」のレベルでは、どうも12日の8曲の方が「いい録音」のようだね・・・というような話しをした。 Artistry_1《写真3点:Yoさん提供~この10インチ盤のartistryが、「子供キス」の初出自ジャケットである》 Artistry_b

・・・と、まあ、こんな 具合で会は進んでいくのだった。まだほんの少ししかお伝えしていないが、このままではあまりに長くなりすぎるArtistry_l(笑) だから、とりあえずここまでを「その1」として、ひときりつけよう。いったい「その~いくつ」までいくのだろう(笑)
まだまだお伝えしたいレコードのことや、聴き比べの話しもある。 
次回をお待ちください・・・。

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2006年9月26日 (火)

<思いレコ 第12回> Ernie Henry/Presenting(riverside)

ウイルバー・ウエアのこと(その2)Wilbur Ware の discography

_002_3 昨年8月頃~夢見るレコード<やったあレコ 第3回> After Hours Jazz(Epic) ああ、エルヴィン!~の記事中に、エルヴィン・ジョーンズ参加作品のディスコグラフィ(1959年くらいまでの)みたいなものを載せたことがある。あのリストは、主に(コルトレーンとの共演以外の)「ハードバップのエルヴィン」という興味から、1959年くらいまでの参加作品をまとめたものだった。

僕は一人のミュージシャンを好きになると、しばらくの間、そこに集中してしまう(笑)前回の<夢レコ>でフューチャーしたウイルバー・ウエアについても、一時期あれこれと調べてみたことがある。ちょうどその頃、発売され始めたリヴァーサイドのビクター盤裏ジャケットに載っているウエアの参加作品紹介などを参考にして、ウエアのディスコグラフィを作ったりしていた。
しかし、そのビクターの国内盤発売がひと段落してしまうと・・・ウエア参加盤は、なかなか見つからなくなった。もうないのかな・・・と思ってる頃に、米ファンタジー社からOJCシリーズが発売されるようになって、それまで全く知らなかったリヴァーサイド盤やプレスティッジ盤が次々と発売されるようになった。そしてそれらの中に、ウイルバー・ウエアの参加作品がけっこうあったのである。それらも含めて、とりあえず僕が知っているウエアのレコードをまとめてみた。

そんなわけで、今回は、ウイルバー・ウエアのディスコグラフィを載せたい。もちろん未完なのだが、とりあえず録音年と月の順番で並べてみる。
その後で、思いつくままにいくつかの盤について、あれこれと書いてみたいと思う。

*もちろんウイルバー・ウエアの参加作品は、他にもまだあるはずである。ご存知の方は、ぜひコメント欄にてお知らせください。

  1. Johnny Griffin/J.G.(cadet) 1956年
  2. Art Blakey & Jazz Messengers/The Cool Voice Of Rita Rey
   (phillips) 1956年6月(2曲のみ)
  3. Art Blakey & Jazz Messengers/Originally(columbia) 1956年
  (2曲のみ)
  4. Ernie Henry/Presenting(riverside) 1956年 8月
  5. Matthew Gee/Jazz By Gee!(riverside) 1956年 8月(A面5曲)
  6. J.R.Monterose/~(bluenote) 1956年10月
  7. Zoot Sims/Zoot(riverside) 1956年10月
  8. Lee Morgan/Indeed(bluenote) 1956年10月
  9. Kenny Drew/This Is New(riverside) 1957年 3月
10. Hank Mobley/Hank(bluenote) 1957年 4月
11. Herbie Manne/The Jazz We Heard Last Summer(savoy)
  1957年 5月(B面2曲)
12. Thelonious Monk/Monk's Music(riverside) 1957年 6月
13. (various artisits) /Blues For Tommorrow(riverside) 1957年 6月
  (1曲のみ)
14. Thelonious Monk/Monk With Coltrane(riverside) 1957年春
  (とされているが、どうやら1957年夏の録音のようだ)
15. Sonny Clark/Dial S For Sonny(bluenote) 1957年 7月
16. Jenkins, Jordan & Timmons(new jazz) 1957年7月
17. Thelonious Monk/Monk Meets Mulligan(riverside) 1957年 8月
  (オルタネイト・テイク集のLPも出た)
18. Ernie Henry/Seven Standars and Blues(riversied) 1957年 9月
19. Kenny Drew/Pal Joey(riverside) 1957年10月
20. Kenny Drew/I Love Jerome Kern(riverside) 1957年
21. Kenny Drew/Harry Warren Show Case(judson) 1957年
22. Kenny Drew/Harold Aren Show Case(judson) 1957年
23. Dick Johnson/Most Likely(riverside) 1957年10月
24. Wilbur Ware/Chicago Sound(riverside) 1957年10月・11月
25. Sonny Rollins/A Night At The Village Vanguard(bluenote)
  1957年11月
26. Sonny Rollins/More From The Village Vanguard(bluenote)
    1957年11月
27. Kenny Dorham/2 Horns, 2 Rhythm(riverside) 1957年12月
28. Toots Thielmans/Man Bites Harmonica(riverside)  1957年12月
29. Toots Thielmans/Time Out For Toots(decca) 1958年 1月
*上記のデッカ盤~ベースはダグ・ワトキンスでした。
30. Johnny Griffin/Way Out(riverside) 1958年 2月
31. Johnny Griffin/~ Sextet(riverside) 1958年2月
32. Blue Mitchell/Big Six (riverside) 1958年7月
33. Tina Brooks/The Waiting Game(bluenote) 1961年 3月
  (モザイクのティナ・ブルックスboxセットが初出自。その後CDで発売)
34. Clifford Jordan/Starting Time(jazzland) 1961年 6月
35. Grant Green/Remembering(bluenote) 1961年 8月
36. Charles Moffett/The Gift (savoy) 1969年
37. Paul Jeffrey/Family (mainstream) 1969年
38. Clifford Jordan/In The World (strata east) 1969年
39. Cecil Payne/Zodiac (strata east) 1969年・1970年
40. Walt Dickerson/Tell Us Only Beatiful Things(whynot) 1975年
《以下、追加》
41. Music Minus One:Alto Sax,Jazz Rhythm Records(MMO)
42. RAVE/LPS 502/SAVINA/SAVINA AND ALL THAT GENTLE JAZZ
     (未確認)
このリストの中で持ってないのは、34.36.38.である。
34のRememberingは、1980年頃にキングの世界初登場シリーズだったかで出たことがあるのだが、つい買いそびれた。
たぶん・・・グラント・グリーンの米capitolのCD(タイトル不明)この音源が入っているかと思う。

・・・さて、ウイルバー・ウエア。
1956年のargoのジョニー・グリフィン。このJ.G.のオリジナル盤は・・・ジャケットが「カンガルー・スピリット方式」で有名なのである。
このJ.G.については、リンクしてある NOTさんのブログ these music suit me well に詳しい。
僕の手持ちは、1975年のビクター盤で、もちろん、ジャケットは左右に分かれない(笑) ウエアの(僕が知っている限り)初録音らしいが、リーダーがジョニー・グリフィンなので、さすがのウエアもちょっと遠慮しているのか・・・1年後のもう本当に自由自在に飛び跳ねているかのような感じに比べると、案外におとなしく弾いているように聞こえる。ソロ場面もほとんどない。
それと、どの曲も3分程度と短く、あっさりと1曲が終わってしまうので、「ゴリゴリのハードバップ」を期待すると、ちょっと違うようだ。いつもはもっと豪快に演っているシカゴ一派が、今日はちょっとヨソイキの演奏をしました・・・という感じだったのかもしれない。しかしながら、A面4曲目に riff-raff というウエアのオリジナル曲が1曲だけ配置されており、この曲ではウエアの「ウエア節」がたっぷりと聴ける。グリフィンのテナーは、どの曲においても、もうすでに・・・「グリフィン」である(笑) 

それにしても、こうやって並べてみると・・・ウイルバー・ウエアの参加レコードは、やはりリバーサイドに圧倒的に多いようだ。
ケニー・ドリューとのjudson2枚も含めると、20枚もある。そのriverside音源のほとんどはOJC盤で入手したが、なぜだかOJCでは発売されなかったタイトルもいくつかあった。ケニー・ドリューとの諸作(19~22番)である。
19番については、ビクター国内盤CDでガマンしたが、他の3タイトルは、長い間どこからも出なかったはずだ。

_003_4うれしかったのは・・・20番の I love Jerome Kernである。これはWAVEシリーズの第1回発売タイトルに含まれていて、僕は雑誌の広告で見たような記憶があった。しかし、WAVEの復刻シリーズもこの頃はあまり認知されていなかったようで、地方都市では販売されていなかった(笑)
そうこうしているうちに・・・浜松の中古レコード店で、この I Love Jerome Kern を発見したのだった。

ついでに言うと・・・前述のJudsonの2枚も、OJCではついに出ずじまいで、このWAVEシリーズのだいぶ後の方の回で~しかも一度、発売延期になった後にようやく~復刻されたのだった。この2枚は3000円もしたが、ウエア聴きたさに・・・いや、もちろんジャケットの魅力もあり(笑)すぐに入手した。ドリューとのデュオ演奏ということで、ウエアのベースが張り切ってピアノに絡んでくるような展開を大いに期待したのだが・・・ベースの録音自体も「遠い音」だし、演奏としてもウエアは全くピアノに「絡まない」ことが判り、ちょっとがっかりした(笑) もっともそんなことは、judsonというレーベルがムードミュージック系のコンセプトらしいことを考えれば~それはジャケットのムード路線を見れば判ることだ~大いに想像がつくことだったのかもしれない。それでも・・・裏ジャケには Kenny Drew at the piano の下に小さい字で accompanied by Wilbur Ware とクレジットされている。_003_5 _004_10

   

《この写真の2枚は、judsonのオリジナル盤。どうしても欲しくて2年ほど前に入手した。ずしりとくる盤の重さが・・・うれしい。
しかしながら、内容に期待してはいけない:笑》

僕にとっては「やったあレコ」と呼べそうな珍盤がある。
それが40番にリストした Jazz Rhythm Records:Music Minus One/Alto Sax である。
特殊なものなのであえて40番目とした。何が特殊かというと・・・このレコードは、通称、MMO(ミュージック・マイナス・ワン)と呼ばれる(たぶん)ジャズ演奏の練習用のレコードなのだ。この盤は「アルト編」で、いくつかのスタンダード曲を、アルトで吹きやすいキーでやっている。
ただ・・・あくまで「練習用」なので、最初のテーマ部分でも~当然ここでメロディが出てくるはずの箇所でも~ピアノ、ベース、ドラムは、バッキングだけやっていて、テーマ部分は誰も吹いていないのである。その空白のメロディを「あなたが吹きなさい」という趣向のレコードなのだ(笑)
だから、もしMMOということを知らずに、このレコードを聴いていると・・・かなりお間抜けな感じを受けるだろう(笑)
ちなみに Don Abney(p)、Mundell Lowe(g)、Bobby Donaldson(ds)、それからWilbur Ware(b)という
カルテットではある。推定だが録音は1961年頃か? M1_1

おもしろいのは・・・いくつかの曲ではベースにソロスペースが与えられており、ウエアは、普通にべースソロをとっているのだ。
このレコードは、なかなかの珍盤だろう。裏ジャケットを見ると、他にも「テナー編」や「トロンボーン編」、それに「トランペット」、「ギター」に「ピアノ」、それから「ドラム」や「ヴィブラフォン」の写真まである。僕はアルト編しか持ってないが、おそらく他の盤のいくつかには、共通のリズムセクションが使われていたはずだ。ウエアが参加しているのなら、ぜひ聴いてみたいものだ(笑)

このリストでのriverside盤、僕の手持ち盤はほとんどOJCなのだが、数少ないオリジナル盤が、4番のアーニー・ヘンリー/Presentingである。この盤には、ちょっとした歴史がある(笑)
・・・というのは、この盤は、僕がちょっと、いや・・・かなりの無理を言って、大阪のYoさんから譲っていただいたものなのだ。
2005年9月~最初にYoさん宅におじゃました時、Yoさんとレコード店(冗談伯爵)で待ち合わせた。2人で20分ばかりレコードを探していたのだが、斜め向かいでエサ箱をチェックしていたYoさんがこの盤を取り上げた。それを見た僕は~それまでのYoさんとのメールのやりとりで、ウイルバー・ウエアの話しが出ていたこともあり~「ああ・・・それはいい盤ですよ。アーニー・ヘンリーにちょっとクセがありますけど」などと言ったはずだ。riverside青ラベル:モノラル盤としては、良心的な価格だったように思う。Yoさんは、「よしっ!」と一声。即、購入決定だ。
Yoさんは、モンク作品では「ブリリアント・コーナーズ」が好きだとのことだったので、もちろんアーニー・ヘンリーというアルト吹きの「人となり」は知っているはずだ。あのアルトに拒否反応ということはないだろう・・・でも僕も薦めた手前、ちょっと心配ではあった。「あんまりよくなかったら、申し訳ないなあ(笑)」と僕。

2006年6月~Yoさん宅再訪の折、僕は2枚の「日本盤」を持っていった。ビル・エヴァンスの「コンセクレイションズ」(2LP:アルファ)と「コンセクレイションズ2」(1LP:アルファ)である。
やはり、そのちょっと前のメールやりとりで・・・僕の方は晩年のエヴァンスにそれほど強くは惹かれていないのだが、Yoさんは逆にあの「鬼気迫るような」エヴァンスの音楽にすごく魅力を感じている~ということが判っていた。そしてYoさんは、オランダ盤のエヴァンスのライブ盤(日本盤と同じ内容のキーストンコーナーでのライブ)を入手したので、僕の持っている日本盤2LP~発売時点ではこれがオリジナルということにはなる~と聴きくらべてみたい、ということであった。こんなやりとりの間からも、Yoさんがこの2LPにも強い興味を持っていることが伝わってきたのだ。このエヴァンスの日本盤2LPはヤフーなどでも案外に人気がある、とのことだった。

僕も「エヴァンス好き」ということでは相当なものだと思っているが、最晩年のエヴァンスは・・・「息せき切って、ただただ自分の音楽を発露している」という感じがして、聴いていて何かこう・・・辛い(つらい)のだ。ベースのマーク・ジョンソンも好演しているので、何度か聴いたのだが「辛くなるような感覚」をどうしても拭(ぬぐ)えないのだ。そんな僕の事情と、この日本盤に対するYoさんの思い入れが、ちょうどうまい具合に重なって、何かの盤と交換することになったのだ。その時、僕のアタマに浮かんだのが・・・・あのアーニー・ヘンリーだったのである。エヴァンス日本盤に多少の人気があろうとも、この申し出は自分でも、ずうずうしいにも程がある!思ったのだがなんとしたことか・・・Yoさんは即座にOKしてくれたのである!「この盤はbassclefさんが持っていた方が幸せでしょう」と。_005_6

《Presenting(RLP 12-222:モノラル青ラベル)~純正オリジナルは「白ラベル」で「青ラベルは2ndで」とのことだが、この「青ラベル」も充分に音はいいのだ》

内容は・・・これはもうアーニー・ヘンリーの、あの「重い音色とためたノリ」での独特のねちっこいフレーズ~そうとうに暑苦しい(笑)~
が満喫できる素晴らしいものだ。ヘンリーの一音一音に「気合」を感じるのだ。その気合に応え、これも怖ろしいほど「重い音」をぶちまけてくるウイルバー・ウエア。それから、キレのいいトランペットも聞こえてくる。「あれ、このトランペット、誰?」と思うと・・・これがなんとケニー・ドーハムなのだ。ドーハムではあるのだが・・・こちらが勝手にイメージしていたような弱々しい音色のドーハムではないのだ。キレがあって味がある・・・そんなトランペットだ。ピアノのケニー・ドリュー、アート・テイラーも、みんなが張り切っていいソロを繰り出してくる。特に、B面3曲目のcleo's chant はマイナー調の曲で、この盤の全体に流れる重々しいムードによく合っており、好きな演奏だ。そしてこの曲でのウエアのベースソロ!音がとにかくでかい。そして重い。それから・・・あの独特なノリ!<4ビート2小節(8拍)に「1、2、3、4、1、2、3、4」と素直に乗らずに・・・「1、2、3、1、2、3、1、2」という感じに乗ってくる> 1956年のこの時点で、もう完全に「ウエア節」である。全く one & only なベース世界だ。僕はウエアのソロが始まると・・・嬉しくてなっていつもゲハゲハと笑ってしまう。

・・・そんなわけで、冗談伯爵でYoさんが見つけたあのriverside盤~コーティングが厚くて、深い緑色の背景にヘンリーの白いシャツがよく映える~Presentig は今、僕の手元にある。
ウイルバー・ウエアの入ったこの盤は・・・Yoさんと僕の、いわば友情の証しのような盤かもしれない。
そういえば・・・「コンセクレイションズ」を購入した折、中のハガキを送ると「もれなく」未発表音源のシングルCDをプレゼント!ということで
そのシングルCDも持っているのだった。この3曲は、どれもフェイドアウトしてしまうし、それに何年か後に「コンセクレイションズ2」で世に出た音源なので、大した価値もないが・・・エヴァンスの「コンセクレイションズ:記念のセット」として、ぜひともYoさんに持っていてもらわなくてはいけない(笑) 

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2006年9月10日 (日)

<思いレコ 第11回> ソニーロリンズ/ヴィレッジヴァンガードの夜

ウイルバー・ウエアのこと(その1)

_004_9だいぶ前の<夢見るレコード>(ヘンリー・グライムス編)で、「こだわりのベーシスト」という内容でシリーズにしていくつもりだ・・・と書いた。<夢見るレコード>は、ジャズそのものの内容についてはもちろんだが、やはりそのミュージシャンなり曲に関わるようなオリジナル盤も交えながら、いろんなジャズ話しをしたい~そんな造りでやってきた。好きなミュージシャンや好きな曲は、それこそいっぱいあるのだが、いつも都合よく関わりのオリジナル盤が手元にあるわけではない(笑) 想うばかりでなかなか記事にできなかったりもする(笑) だから・・・これからは「オリジナル盤」に拘りすぎるのは、やめようと思う。拘りすぎはしないが、記事の内容につながりがあって、ちょっと思いついた盤があれば気楽にとりあげたいし、そしてそれがオリジナル盤であれば、なお都合がいいと思う(笑)
そんな訳で・・・いろいろとこだわりの多い僕としては、このベーシストについて、そろそろ書かねばなるまい。
ウイルバー・ウエアである。

僕が最初にウイルバー・ウエアを聴いたのは「モンクス・ミュージック」だ。1972年の「ネムジャズイン」の帰り名古屋で買ったABC riversideの茶色ラベルの盤だ。すぐに好きになった。思わず「ニヤッ」としてしまうようなユーモラスなソロ。普通でないバッキングでのランニング(4ビートの時の音選び)。そして、その太っい鳴りのサウンドにも痺れた。聴いていて・・・とにかくおもしろかったのである。

ウエアはリヴァーサイドの専属みたいだったらしく、ケニー・ドリュー、アーニーヘンリーらと相当な枚数を録音している。そしてそのほとんどは、OJCのLPでも発売されたと思う。僕もウエアのリヴァーサイドのものは、ほとんどはOJCで聴くことができた。OJC以前では、1972年にビクターがriversideの復刻シリーズが重宝した。第1回発売の何枚かにアーニー・ヘンリーのPresenting が含まれていたし、ウエアのリーダーアルバムの「シカゴ・サウンド」が発売された時は、嬉しくてすぐに入手した。

_005_4《写真の盤は、ビクター盤。緑色のマイルストーンレーベルが哀しい:笑》

リヴァーサイドでのウエア参加作はかなり多いので、次回に「リヴァーサイド編」としてまとめたい。
今回「その1」では、他レーベルでのウエア参加作からとりあげてみたい。

ウイルバー・ウエア。まず連想するのは、やはりあの盤だろう。ソニーロリンズがサングラスをしているジャケットのA Night At The Village Vanguard だ。僕はこの有名な盤をジャズ喫茶で何度も聴いてはいたが、買ったのはかなり遅く、1980年くらいだった。うんと安いオール青の音符ラベルだ。その前にマイケル・カスクーナ監修の未発表2枚組は入手して聴いていたが、この2枚組には、ジャズ喫茶で何度も聴いて気に入っていた sonny moon for two や I can’t get started が入ってなかったのだ。_003_3

前回の<夢レコ>  (1975年の日比谷屋音)では、渋谷のヤマハ楽器でパーカーの The Happy Bird を買ったことも書いたが、あの時・・・迷ったのが、このロリンズのVillage Vanguard である。紫色のジャケットがカッコよかった。時期的におそらくブルーノートの「直輸入盤」だったはずで、たしか2200円もした。あの頃、普通の輸入盤なら1500円前後で買えたので、ブルーノートはかなり高かった。だから渋谷ヤマハではパーカーのライブ盤にしたのだろう。

そのVillage Vanguard でのウエア。これはもう全くユニイクなプレイで、誰が聴いても「おもしろいベースだなあ」と思うだろう。その「おもしろい」を好意的に捉えるかそうでないかが、分かれ目である(笑)

softly as in a morning sunrise という曲がある。この曲・・・最初に聴いたのは、多分、コルトレーンのLive At The Village Vanguard だった。コルトレーンヴァージョンでは、マッコイの正統派モード風の長いソロが印象的なsoftlyであったが、このロリンズヴァージョンでは、ユーモラスでたくましい感じのSoftlyに仕上がっている。

Wilbur Ware on bass, we'd like to feature Wilbur, right now というロリンズの紹介の後、ウエアが短いイントロを弾き始める。このイントロ~ベースでイントロというと、4ビート(1小節に4分音符4回)でランニングするか、あるいは2ビート(1小節に2分音符2回)でテンポをキープすることが多いのだが~ウエアは、いきなり8分音符多用してのベースソロみたいな感じで始め、ビートの裏を強調した「ッタ・ッタ・ッタ・ッタ」というフレーズを交えながら、強力なリズム感でテンポはがっちりキープしてくる。ビート感も最高だ。おもしろい!もうここからウエア節炸裂である(笑)
そのイントロの後、テーマをロリンズが吹き始めるのだが、その吹き方もおもしろい。この曲のアタマのメロディは「ドー・ソー」(キーがCmの場合)で、普通は最初のドの音を2分音符で伸ばすのだが、ロリンズは、4分音符(8分音符+8分休符)を2回吹くのだ。「ドッ・ドッ・ソー」・・・これで、このSoftlyの運命は決まったのだ。ユーモラスでたくましいsoftlyになるように。
思うにロリンズも・・・イントロでこんなにもユニイクな個性のベースを聴いて、ジャズ魂が湧き上がってしまったのかもしれない。ロリンズのテーマの吹き方にも、何かワクワクするようなうれしそうな気配を感じる(笑) そのうれしそうなロリンズのソロが終わり・・・ウエアのベースソロが始まる。ウエアも、ロリンズのアイディアを弾き継ぎ、やはり最初のメロディを「ドッ・ドッ・ソー」と弾く。それもやたらブッチギリのアクセントをつけて(笑)普通は(コルトレーンヴァージョンも)ドの前に休符を入れたり、あるいは次のソをシンコペにしたりするのだが、この曲でのこの部分のウエアの弾き方は・・・もう思い切りのオンビートなのだ。すごく泥臭いのである(笑) 
しかしそれは、「あえて演出した泥臭さ」でもある。ベースがメロディを弾く・・・その特殊な状態を逆手にとって自分の個性を生かすための「オン・ビート」なのだ。ウエアの場合は、もちろんただ「オン・ビート」な訳ではない。ウイルバー・ウエアという人は、弦を引っ張る右手の「引っ張り力」が
相当に強いような感じがする。ウエアはその強い「引っ張り力」で、一音一音を圧倒的に「太っい鳴り」で強烈に弾き込んでおり、そしてあの弦の独特な響き方~輪郭の丸い大きな響きたぶんガット弦を使っている~そんなものが一体となったユニイクな個性があるからこそ・・・この曲でのウエアの「ドッ・ドッ・ソ~」は、説得力があるのだ。ウエアという人の「唄い」がもう直接に「ブウ~ン・ブウ~ン」と響いてくるのだ。こんなにたくましい個性のベーシストはめったにいないぞ。
ちなみにウエアのソロ、エルヴィンのソロが終わった後、最後のテーマをロリンズが吹くのだが、ここではロリンズは「ドッ・ドッ・ソ~」と吹かない(笑)
たぶん・・・あえて同じようには吹かなかったのだ。ロリンズらしい「捻り」じゃないですか(笑)
になみに「未発表2枚組」にもsoftly が入っている。こちらのテイクでもロリンズは「ドッ・ドッ・ソ~」と吹いてない。裏解説に during the evening performance on Sunday,November 3, 1957 と明記してあるので、つまり「未発表」のsoftly の方が先(夕方)で、「サングラス」の方が後(夜)の演奏ということになる。そうして夕方の softly は、もちろん悪くはないが、あの夜の出足から気合の入りまくった演奏に比べると、かなり生気に乏しい。推測するに・・・昼間の演奏の時にはまだ湧いてなかったインスピレイションが、夜のセットで3人がノッてきて、ロリンズならではの「ひらめき」が一気に湧いてきたのではないだろうか。あるいはあの曲でのウエアの跳ねるような感じのベースソロに、ロリンズがヒントを得ていたのかもしれない。

《写真は、キングの特別復刻盤。音は、案外にいい》

_002_2ちなみに、このレコードには、もうひとつ凄い演奏がある。B面1曲目の sonny moon for tow である。
このブルースは12小節で、アタマ(4小節)・オナカ(4小節)・オシリ(4小節)でできているのだが、それぞれの4小節に、全く同じメロディを3回繰り返すブルースだ。超シンプルだが、ロリンズらしさが横溢したこのブルースを、僕は昔から大好きだった。そういえば、ジャズ研(学生時代のバンド)では、何かというとすぐこの曲をやり、一度始めるとなかなか止まらない・・・それでも「気分」だけはいつもノッていた(笑)

このロリンズ/ウエア/エルヴィンのsonny moon for two 全編素晴らしいのはもちろんだが、僕が特に印象に残っている場面がある。
ロリンズ、ウエアとソロが終わると、エルヴィンとロリンズとで、4bars change(4小節交換)というのをやる。

ブルース(1コーラス=12小節)での4bars change は、アタマ(4小節)、オナカ(4小節)、オシリ(4小節)という感じで
順番にソロを回していく。このsonny moon は1コーラスが12小節なので~まずロリンズ・エルヴィン・ロリンズで1コーラス、次のコーラスは、
エルヴィン・ロリンズ・エルヴィンという順番になるわけだ。
だから2コーラス単位でいかないと、ロリンズがアタマ(最後のテーマを吹くときの)に戻らない。

僕が聴くたびに唸ってしまう場面は・・・最後の2コーラスでの4bars changeの所で飛び出てくる。
前のコーラスのオシリをエルヴィンが長いロールで締めくくった後~普通ならここでテーマに戻りそうな感じだが、ロリンズはあえて(たぶん:笑)戻らない。そのアタマの4小節のロリンズが凄い!
3連の連続から崩していくような「雪崩れフレーズ」を吹き始めると、その自分のアイディアに乗ってきたロリンズが(たぶん:笑)・・・
次の4小節(エルヴィンの番)に入っても・・・止まらないのだ(笑) エルヴィンも自分の順番なのでソロを取り始めようと思ったら・・・
ロリンズがまだ吹いている。そこでエルヴィンは、あまりオカズを入れずにバスドラを4拍アタマで踏み続ける。しかしまだロリンズは止まらない(笑)オナカの部分をすでに2小節くらい割り込んでいる(笑) エルヴィンのバスドラが「ドン・ドン・ドン・ドン」・・・するとロリンズは、そのエルヴィンの4拍アタマ打ちに合わせるかのように、「フゥ~・フゥ~・フゥ・フッ」とサックスを鳴らすのだ。いや、最後の方は息が切れて「鳴ってない」かもしれない。だがしかし・・・そのサックスの「圧力」を、確かにその場から感じるのだ!エルヴィンは「ここぞっ!」とばかりに、バスドラをクレシェンドで強く踏み始める。ウエアもすかさずクレシェンドに合わせて弦を弾く!(はじく) 音楽の圧力が一気に高まる!もうたまら~ん!これがジャズだあ!・・・このsonny moon for two も本当に素晴らしい・・・。

ロリンズ、ウエア、そしてエルヴィン・・・この3人の個性がぶつかりあい、絡み合い、そして溶け合い・・・これこそがジャズだあ!と叫びたくなる(笑)
すごくおおらかでジャズの図太さが溢れる、真の意味での「ジャズっぽい」演奏だと僕は思う。・・・どうやら僕は、このロリンズの A Night At The Village Vanguard をムチャクチャに好きなようだ(笑) そうして、こんな素晴らしい瞬間を生み出したジャズという音楽に・・・僕は感謝したい。

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2006年7月22日 (土)

<ジャズ回想 第6回> またまたオフ回~藤井寺Yoさん宅:再訪記。

青い顔したウーレイ~3人で7時間の聴きまくり。

6月24日(土)ニーノニーノさんの「杜」のお仲間~藤井寺市のYoさん宅におじゃました。今回はリキさんと私bassclefが2人で乗り込んだ。2人はそれぞれ~僕は昨年9月、リキさんは今年の1月に~Yoさん宅の音を聴いており、その「音」を知っている。そして多分・・・その「音」を好きになっている。
Yoさんは、その後もいろいろな調整をしたようで、音がさらによくなっているらしい。そうなると・・・こちら2人は「また聴いてみたい」、
Yoさんは「また聴いてもらいたい」てな具合で・・・この3人の思惑が一致したようであった(笑)

11時前くらいに到着し、すぐ2階のあの「音聴き部屋」へ。部屋に入るなり「ここ、ここ・・・。この雰囲気がいいんだよなあ・・・」とリキさん。
白熱灯の温かみのある、ちょっと落とし気味の照明。これが・・・本当に落ち着く。お酒の好きな方が、ちょっと飲んで「いい音楽」を聴いたら・・・すぐに眠ってしまうだろうな(笑)

まずはこれから・・・とYoさんが、「東京銘曲堂ライブCD」を取り出す。
リキさんもこのCDがお気に入りで、自宅のsonusと「鳴り」の具合がどんな風に違うのか興味があるようだ。
my romance
but beatiful
昨年9月にこの同じ場所で同じCDを聴いた時は・・・元々たっぷりと豊かな音量で録音された(ように聞こえる)このCDのウッドベースの音が~このベースの音像というか音量がかなり大きく聞こえて、だから僕のベースの好みのバランスでいうと~ややふくらみすぎかな?という感じだった。
ところが今回は・・・だいぶん違ったのだ。そのベースの音像がグッと締まり、ベースの弦がビシビシと鳴るような感じがよく出るようになっていたのだ。こんなバランスであれば、「CD」全般に対する僕の不信感も~たいていのCDがベース中心に低音を強調しすぎか?~かなり和らいでくる。
端正にきれいに弾くギターの音色も、よりくっきりと聞こえる。テナーの音ももちろん素晴らしい。3人の音楽、その全体がより一層ツヤヤカになったように感じた。
何をどうしたのか・・・僕にはオーディオ的な細かいことはわからないのだが・・・スーパー・ツイーターの(クロスオーバーの)調整やら、スピーカーの角度やらを、いろいろ綿密にジリジリと微調整を繰り返したようだ。リキさんと僕に見せてくれた「調整メモ」(スピーカーを動かした位置を記録したのか、まるで何かの設計図のような・・・)には驚くやらあきれるやら・・・(笑)
いずれにしても、あの青い顔した幽霊・・・いやウーレイから飛び出てきた音は・・・「きめ細やかな上質な低音(ウッドベース、バスドラ)」「ふくゆかにしかもよく前にでてくる中音(テナーやチェロ、ヴォーカルなど)」という感じか。
だから・・・低音・中音・高音のバランスが、誠にいい具合になっている・・・ように感じた。このCDは3人~テナー、ギター、ベースというドラムレスの変則トリオである。ジャズの強烈にプッシュしてくるドラムのシンバル~例えばエルヴィン~がどんな風に鳴るのか・・・?
興味が湧いてきた僕は「あとはエルヴィンのドラムだね」と言ったような気がする。

そんな風にして始まった今回の藤井寺ミニ杜。お昼とかの間も、軽いものでも聴きながら・・・ということで、Yoさんがソニー・クリスの72年頃の盤からちょっとロック調のものなどを流す。僕はロック調がいまいち苦手なのですぐに厭きてしまう(笑)「もうちょっと前のソニー・クリスを」という僕のリクエストで、67年録音のThe Portrait of Sonny Criss(prestige) からsmileをかけてもらう。このバラード、出だしの部分をクリス一人だけで吹く・・・ソニークリスって、こんなによかったかなあ(笑)と思えるくらに、これはよかった。
録音もいい、と思ったらRVGだった。ラベルは黄緑色だったが、67年頃の盤なので、その黄緑ラベルがオリジナルかもしれない。
「いいねえ・・・」とか言ってるうちに、なんのことはない・・・ちっとも「音」が止むことはない(笑) 結局・・・11時から6時までほぼ7時間ぶっとおし、という怖ろしくも楽しい会となったのだ(笑) 

以下、かけたレコード・曲と、僕の勝手な感想を少し。
*デジカメはやはり持っていかなかったので、Yoさん、リキさんのオリジナル垂涎盤の写真はありません。この日、かかったレコードで僕が持っているものは、ジャケット写真を載せました。国内盤がほとんどです(笑)Yo_008_2

《写真は、fantasy custom盤》

Johnny Griffin/Kelly Dancers(riverside)
オリジナル盤(モノラル) と WAVE盤(ステレオ) から black is the color of my true love's hair
オリジナル・モノラル盤~グリフィンのテナーの中・高音域がややきつすぎというか、堅く感じる。リキさんも「ちょっときついかな・・・」と一言。しかし、テナーやベースがぎゅ~っとつまった、そして入力レベルが高そうなモノラルならではの密度感は凄い。                   「迫力ある音」が好きな方なら、やはりモノラルを選ぶだろう。
続けてかけたWAVEステレオ盤~モノラル盤だと、ロン・カーターのベース音が大きすぎて僕には「迫力がありすぎ」て、なにか違うベーシストのように感じたが、このWAVEステレオ盤でのロン・カーターは、右チャンネルからのちょうどいいくらいの音像で、テナーもぐっとまろやかになった。音場全体がすっきりとして、とても聴きやすかった。僕はもともとリヴァーサイドのステレオ録音が好きなので、余計にそう感じたのかもしれない。
WAVE盤は・・・クセのないマスタリング(だと思う)が、ある種、うまく録音されたcontemporaryでの楽器バランスに近い味わいがあるようにも思う。そうしてこの「バランスのいい誇張のない楽器の音色」を、Yoさんのシステムで実際に鳴らされると・・・Yoさんが以前から、「WAVE盤の素晴らしさ」を力説していたことにも、充分に納得がいくのだった。

Heren Merrill/Merill at Midnight(emarcy)から black is the color of my true love's hair(グリフィン盤と同じ曲です)と lazy afternoon
裏ジャケットに、若くてかわいい感じのメリルが写っている。たまに聴くメリルは実にいい。
続けて、ティナ・ルイス(concert hall)から1曲(曲名失念)
あの色っぽいジャケットから想像されるとおりの色っぽい唄い方・・・そして案外、どの唄もしっかりと唄っている。
モンローの唄~あのコケティッシュなキャラクターを演出している唄い方(嫌いじゃないのですが:笑)の色気の部分を半分くらいにして、あとの部分を
しっかりと唄いこんでいる感じ・・・女優さんとのことだが、唄は巧いのである。ちなみに、ティナ・ルイスは、例えば普通のポピュラー風オーケストラLPのジャケットに、モデルとしてその姿が登場しているだけでもかなりの価値があるらしい。ティナ・ルイスかあ・・・。

お昼前くらいに、少し軽いものを・・・ということでベニー・ゴルソンとフレディ・ハバードの「スター・ダスト」(82年だったかの録音)をかけた時、トランペットのピッチやら音程の話しになった。その流れでベーシストとしてはあまりピッチのよくない(であろう)ジミー・ギャリソンのベース音がが大きく捉えられているあのピアノトリオ盤~
Yo_004 ウオルター・ビショップJr/~トリオ(キングが出した時の国内盤)からsometimes I'm happy を聴く。このレコード、録音自体はあまりよくない。
ベースの音も大きいことは大きいが、「響き」の成分が少ない、右手で弦を引っ張った「近くで録られた」感じの音だ。ピアノの音も同様でもあまりいい音とは言えない。Yoさんに指摘されるまでは、この盤・・・それほど ピッチの事を気にしたことがなかった(笑)   《上の写真~左はキング盤。右は西独の1989年の再発盤》

だいたいがギャリソンを好きなので、多少ピッチが悪かろうが、ただ「ギャリソンが弾いている」という認識でしか聴いてこなかったようだ(笑) それからベースの音程もたしかによくないのだが、この盤では、ピアノ自体の調律がだいぶんおかしいようにも聞こえる。高音域の方がちょっとフラットして、なにか全体に「ホンキートンクっぽい」ピアノサウンドではある。
ピッチのズレうんぬんはともかく、人間が何かを聞く時、「あばたもえくぼ」的なことや「意識してない部分は、鳴っていても聞こえない」的なことと、それから、その「気になる部分」はこれまた各人で様々な局面があるのだなあ・・・というようなことを、再確認したことではある。

Tenor Saxes(norgran)
The Consummate  of  Ben Webster(norgran) から同じ曲:Tenderly
これは前回のミニ杜(マントさん)でも味わったが、全く素晴らしい音質の盤。同じNogranの貴重盤なのだが、なぜかオリジナルのはずの
Consummate よりもTenor Saxes の方が、はっきりといい音なのだ。テナーはもちろんピアノやらべースも明らかに鮮度が高い。不思議な盤である。

この後、Yoさんセレクトによる「ロリンズ特集」
Sonny Rollins/Saxophone Collosus(オランダ盤)から you don't know what love is
Way Out West (in stereo 盤)(緑ラベルステレオ盤)からway out west
Contemporary Leaders から how high the moon と the song is you
The Standard(RCA Victor) から my one & only love
Sonny Meets Hawk(RCA Victor)  から summer time
milestone all stars から in a sentimental mood

そして Harold Land/in the land of jazz(contemporary) から you don't know what love is
これはハロルド・ランドというテナー吹きの快演!あまり知られてないレコードだが(僕も未聴だった) このバラードは、品格がある端正ないいバラードだった。Yoさんいわく・・・「ロリンズのyou don't know よりいい」 この意見に僕も異論はなかった。ハロルドランドというテナー吹きも実にいい。Harold_land_fox

<補足>そういえば・・・Yoさんと最初にジャズの話題で盛り上がったのも、このハロルド・ランド話題であった。同じcontemporaryにはランドのいい盤がいくつもある。Carl's Blues~ランドが「言い出しかねて」をじっくりと吹き上げる~というのもいい盤だ。それから The Fox もいい。これは僕が、ランドの良さに開眼したレコードだ。   《写真上がFox。録音もいい》

Yoさんのシステムではもともと「よく鳴る」contemporary盤が続く。Yo_005_1
《右の盤は残念ながら国内盤・・・キングGXC3159。それでも充分に音がいい・・・と強がりを:笑》

Hampton Hawes/For Real から hip
どの楽器も素晴らしい音を発しているのだが・・・それでもやはり・・・ラファロのベース音!音圧・強さ・しなやかさ、そしてテーマ部分で、「ぐう~ん」とベースの音程を高い方にスライドさせる驚異の技!(右手で弾いた直後に左手で2つの弦を押さえている(ダブルストップという)その力を、ある程度残したままスライドさせているのだと思う) それからホウズのピアノタッチの躍動感、さらにハロルド・ランドの端正で案外にハードボイルドなテナーの音色、そうしてフランク・バトラーの切れの良さ・・・全てが素晴らしい。
最高の演奏と最高の録音を、まさに眼前で実感できたような気持ちのいい瞬間だった。
「演奏」の快感と「音」の快感が同時に味わえる~そんな感じだった。
それにしても・・・この盤はcontemporaryの中でも最高峰の録音だと思う。

JR.monterose/The Massage(jaro) ~この希少レーベルの青白のラベル、初めて現物を見ました。
Violets for your Furs~モンテローズは、やはり素晴らしい。好きなテナー奏者だ。なんというか「唄いっぷり」の
スケールがとてつもなく雄大なのだ。
じゃあ同じ曲を別のテナーで聴こうか・・・てな訳で、

Yo_006_1 Jutta Hipp/緑色のジャケのやつ(bluenote:liberty ラベル)から Violets for your Furs 
~liberty ラベルでも充分にいい音だった。このモノラル録音でのベース音(アブダリマリク)も、とても大きく弾むような豊かな音で入っていた。
《写真上は東芝国内盤》   こちらの「音像のでかさ」は、先ほどのロン・カーターの場合とは違って、僕にはそれほど気にならない。なぜかというと・・・
(もちろん推測だが)ウイルバー・ウエアやマリク、それからミルト・ヒントン、トミー・ポッターというタイプの場合は、もともと彼らがウッドベースから引き出す音が、「輪郭の大きな響きの音」のように思うからだ。使っているウッドベース自体が大きめのサイズだったり、弦の種類が羊弦(現在ではスチール弦が多い)だったり、右手の弾き方(はじきかた)などで、たぶん出てくる音像は違ってくるものだと考えられる。
これらのタイプと対照的なのは、もちろんスコット・ラファロ、リチャード・デイヴィス、ゲイリー・ピーコックやペデルセン(初期の)などである。
ウイルバー・ウエアの「音像の拡がった大きく響く音」と、ラファロやピーコックの「シャープにしまった音」とは・・・どうです?あきらかにタイプが違うでしょう。もちろん、どちらがいいとか悪いとかの問題ではないのだが・・・困ったことに僕は、どちらのタイプのベーシストも・・・大好きなんです(笑)

Zoot Sims with Bucky Pizzarelli(classic jazz)1976から what is this things called love
~ピザレリのように、ギター一丁で、バッキングの和音から、しっかりしたしかもノリのいいリズムまで出してくる名手がいたのです!
ギターソロでもコード(和音)中心のソロで、そのコードのパターンを、微妙に変えながら厭きさせない。そして、それまでのビート感を決して崩さない。
インテンポ死守!である。というより、さらにビートをなめらかな流れにしているようでもある。サックスとギターだけのデュオなので・・・ギターソロといってもギター独りだけになるわけで、その「ギター1台キリ」でのこの名人芸・・・ため息が出てしまう。

ここで、僕が持ってきたヴォーカル盤を2枚。Yo_001

Irene kral /better than anything(ava) から it's a blue world と this is always
この盤は大好きなのだ。アイリーン・クラールは、アン・バートンの次に好きになった「声」なのだ。フレイジングがちょっと個性的だがリズム感がすごく伸びやかで何を聴いても心地よい。好きだ。

tony bennette/cloud 7(columbia) からI fall in love too easily Yo_003

この盤には初期のベネットのジャズ魂が溢れている。チャック・ウエインのコージーなアレンジ、小粋なビート感、そしてベネットの若々しいあの「声」~僕がベネットを好きなのは、ベネットがあの「声」だからかもしれない(笑)この「クラウド7」は、ジャケットもなかなかいい雰囲気ではある。リキさんもジャケットは気に入ったようだ。

次に僕のリクエストでモンクのソロピアノを。thelonious monk/Alone in San Francisco から remember と everything happens to me        続けて brilliant corners。ここで・・・リキさんはやや苦しそう(笑)

そこで、次にリキさんセレクトのクラシックをしばらく続けた。
グルダ/バッハ:Goldberg Variations(columbia)
キャサリーン・バトル 歌曲
ミュウシャ・マイスキー(グラモフォン3LP)からバッハ/無伴奏チェロ1番
ベルリオーズ:幻想交響曲
モーツアルト:39番
モーツアルト:ハイドンのために創ったという弦楽四重奏~こういう四重奏は、(僕は)ステレオ録音が楽しい。右からちょっと内よりにチェロが聞こえるなあ・・・と思ってたら、リキさんがジャケットを見せてくれた。
そのジャケットに4人の奏者の演奏風景が写っており、チェロ奏者が右から2番目だ。その立ち位置・・・いや、座って弾いてるから「座り位置」か)とおりの定位で聞こえる。リキさんとしては、左右への広がり具合がありすぎるらsく、「もうちょっと4人が内側に近づいてほしい」とのこと。そういえばジャケットの4人はかなり近づいて、こちらを向いて座っている。その4人の中央辺りに、やけに長い「マイクの塔」みたいなのが鎮座している。
僕はまだクラシック自体にほとんど馴染みがないので、「弦楽四重奏」というものもそれほど聞いた経験はないのだが、「チェロ」が入っているとすごく聞きやすい。自分でも気がつくと「チェロを主体」に聞いているのだ。ジャズでも「ウッドベース」から聞いていく。ベースという楽器に相当に馴染んでしまっているので、どんな音楽を聴いても・・・底辺の組み立て、みたいな部分にどうしても興味がいってしまうのかもしれない。

Marty Paich/The Broadway Bit (warner brothers:ステレオ金色ラベル) から I've grown accustomed to your face と I've never in love before
ラファロのベース音は~このワーナー盤では録音自体がややエコー強めのためか~For Realと比べると、やや輪郭が甘く聞こえるが、
ビート感、音圧、ソロ、全てが素晴らしい。

Al Cohn/Cohn On The Saxphone(dawn)
dawnのオリジナル盤は、乾いた感じのやや固めのテナーの音。 バラード曲が多く、コーンがじわじわと吹きこむ地味だけどこれはいい盤だ。

Bill Evans/you must believe in spring からthe peacocks。続けて同じ曲、
Yo_007

Jimmy Rawles/The Peacocks(columbia) から the peacocks
最後に聴いたこのジミーロウルズの盤は、1971年の録音で僕はCD(ソニーのマスターコレクション)で聴いていて、中でもこのthe peacocksが、凄く好きになってしまった。ロウルズとスタン・ゲッツのデュオ演奏だ。全編にしみじみした情緒が流れているのだが、最高に「詩的」な場面が最後にやってくる。ゲッツが最後のテーマを終えるところで・・・(もう吹く息は、切れているのに)サックスのキーを「パタパタパタ・・・」としばらく鳴らしているのだ。どう聴いても・・・孔雀が飛び立つイメージにつながる。僕は、この粋なアイディアが事前に準備されていたとは思わない、いや思いたくない。ゲッツが息をきらす、まさにその瞬間に、「パッ!」と閃いたのではないだろうか? ジャズは素晴らしい・・・だからまだ止められない。

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2006年5月 4日 (木)

<思いレコ 第10回> ビル・エヴァンス/ポートレイト・イン・ジャズ

when I fall in love ~エヴァンスのあの水晶のようなA♭・・・。

このレコードをとても好きだ。ビル・エヴァンスという人がスコット・ラファロというベーシストと出合って、その喜びの中で両者が生き生きと飛び跳ねている・・・そしてお互いがお互いのサウンドを聴きながら、嬉々として音楽を創っている・・・そんなジャズの理想郷のようなレコードだと思う。そしてよく言われる「インタープレイ」などという言葉に囚われなくても、ピアニストとしてのエヴァンスの本領~「尖がったピアノ表現」とでも言うべきか~が最もよく出ているレコードだと思う。だから内容には・・・全く文句ない。
そんな文句ない名演であるがゆえに・・・わずかなキズに気付いてしまうのかもしれない(笑)

ビクター国内盤(SMJ-6144:1976年)を何度も聴いてきたのだが、以前から「気になるポイント」が何箇所かあった。

1.ベースやピアノの音が急に揺れるようにクリップする(音揺れ箇所)
  A面1曲目:come rain or come shine:
  最初のテーマの途中~この曲のメロディは前半と後半が同じパターンなのだが、後半のテーマに入って5~6小節目のところで、一瞬だが、ピアノ・ベース共にはっきりと揺れる。
  B面1曲目:what is this things called love:
  エヴァンスのソロが終わり、ベースがソロをとっているバックでピアノが「合わせ」を入れてくる辺り~ここでは明らかにベースの音が「揺れて音圧も減衰」してしまう箇所が何度もある。ピアノよりも特にベース音が揺れているようだ。
  B面2曲目:spring is here:テーマの終わりに近い部分~上昇するメロディにピアノとベースが4分音符で合わせる箇所~ここで、ラファロのベースの音がかなり「揺らぐ」。この「合わせる箇所」は、この曲の最もいいところなので、聴くたびに、この「揺れ」にはがっくりしていたのだ。
  
2.バラードの静かな場面で、わずかだが「キ~ン」というような高周波っぽい音が、継続的に聞こえる。
  B面2曲目 spring is here:この曲にも気になるポイントがあった。まず全体にわずかにだが聞こえる「キ~ン(あるいはシ~ン)」というようなノイズ。バラード(一般的に静かにスロウに演奏される)なので余計に目立つのかもしれないが、このノイズは、最初に日本盤を聴いた時から感じていた。同じバラードのA面 when I fall in love でもわずかに同様の「キ~ン」があるようだ。
*他のレコードでも、例えば静かなバラードの時、プチ・パチというノイズは聞こえたとしても・・・この類のノイズはあまり記憶にない。
  
3.この when I fall in love~僕はこの曲を大好きなのだ。エヴァンスはこの曲で素晴らしいインスピレイションを見せてくれる。(後述)
  しかし・・・以前から「気になる箇所」がある。レコードを聴いてると、わりとよくある現象~演奏中のフレーズが、実際に弾かれたタイミングよりちょっと先に、小さな音でエコーのように聞こえてくる現象~「前ゴースト」(テレビの電波が2重になって映ることをゴーストというらしいので、その呼び名をマネしてみた)が目立つのだ。この曲もテーマが前半・後半と同パターンなのだが、後半テーマに入って3~4小節目の辺りで、エヴァンスが「今、弾いてるタイミング」とは関係なく、高音のトリル風フレーズが「エコー」のように聞こえるのだ。そお後半テーマの最後の辺り(13~14小節)でも同じような「エコー」が聞こえる。高い方の音域で細く小さく、しかしはっきりと聞こえるのだが、それが「どの箇所」で弾いたフレーズなのかはよく判らない。

  僕は、1.の「ベース音が揺れる感じ」は、もうすでに「録音された段階」での不具合だと思っている。多分・・・リヴァサイドのスタジオのテープレコーダーの調子が悪かったのか・・・あるいは録音スタジオの電源供給が不安定だったりしたんじゃないか? それくらい何か根本的な要因があったのでは・・・と思えるほど、いくつもの箇所で「クリップ」する。例えば、キャピトルやマーキュリーでこんな場面は耳にした記憶がない。もちろん「録音段階での不具合」などではなく、保存したマスターテープの管理が悪かったために、「クリップ」したのかもしれない。だとしたら・・・早い段階でのマスターテープを使った初期プレス盤なら、あるいは「揺れない」かもしれないぞ・・・というのが僕の希望的観測だった(笑)

そんなわけで~つまりそんないろんな「疑問点」が日本盤だけの不具合なのかどうかを確かめたくて~<欧州リヴァーサイド盤>(モノラル・青ラベル) を入手したのだ。もちろん米オリジナルの「ステレオ」や「モノラル」が欲しいのだが、それらは・・・とても高い(笑) だからちょっと、いや・・・かなりの妥協をしてのプレス時期が古そうな<欧州リヴァーサイド盤>なのだ。 

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《上の写真:左側が<米オリジナル・モノ盤> 右側が<欧州リヴァーサイド盤>~表ジャケットの写真・デザインは全く同じだが、このINTERDISC盤は、米オリジナルモノラル盤(左側)よりもコントラストをやや弱めにしたようで、全体の色合いが、明るくてやや薄めになっている。だからエヴァンスのメガネの奥の右目が、米オリジナル盤よりよく見えるようだ》

3_001《裏ジャケも米オリジナルとほとんど同じだが、左下に秘密があった(笑) distributed in Europe by INTERDISCと表記してある。もしセンターラベルを見られない場合は、この裏ジャケットの左下に注目すればいいかもしれない(笑)》 (写真左)

3_003_1写真右:《欧州盤のセンターラベル。外周に文字が入ったり、タテ字のMICROGROOVEやLONG PLAYINGの文字がない。ラベル下部にあるはずのBILL GRAUER PRODUCTIONS NEW YORK CITYという表記もない》 

この「欧州リヴァーサイド盤」~期待を込めて聴いたのだが・・・上記の「気になるポイント」の1・2・3、そのいずれもが「同じ箇所」で「同じようなレベル」で聞えてきたのだ。特に1.の「ベース音の揺れ」は、全体のベース音が迫力あるだけに、その「揺れ」は却ってひどく聞えるようでもあった。「古そうなプレスの盤」だったので、あるいは・・・と期待したのだが・・・非常に残念だ(笑)

さて・・・「欧州リヴァーサイド」のラベルのことで「こだわりの杜」(ニーノニーノさんHPのBBS)のお仲間:Yoさんとメールやりとりした際(さきほどの「前ゴースト」という言葉は、Yo氏のネイミング)、そんな僕の「個人的興味」を知ったYoさんが、お手持ちの2枚の「ポートレイト・イン・ジャズ」を、「それじゃあ、いろいろと聞き比べてみてよ」と電光石火の早業で(笑)送ってくださったのだ。
  その2枚とは・・・
  <米オリジナル・モノラル盤(青・小ラベル)> と
  <オルフェイム・ステレオ盤(緑ラベル)>だ。
  この2種と、僕の手持ち・・・
  <欧州リヴァーサイド・モノラル盤(INTERDISC・青ラベル)> と
  <ビクター国内盤(SMJ-6144)1976年>の2種を加えて、
  計4種の「ポートレイト・イン・ジャズ」の「音質」と・・・それから問題の「クリップ箇所」の有無などを聴き比べてみた。

それでは「音質」の印象を少し。
<ビクター国内盤(SMJ-6144)1976年>~
一聴して全体の歪み感が少なく・・・スッキリしている。案外に悪くない。
ピアノの音自体にも安定感があるので、とても聴きやすいように思う。ラファロのベースは、この「ポートレイト」では「右側」から聞こえる。ヴァンガードのライブでは「左側」だったはずだ。ベースの音は・・・ややレベルが低めで、音自体もやや薄いようだ。僕はもう少し強めにベースを聞きたい。「鳴り」「音圧」「気高さ」「艶」など、ヴァンガードでのラファロの音と比べると、少しづつだが劣っているように感じる。ちなみに「音圧」については、この日本盤には絶好の「比べポイント」がある。「枯葉」の「ステレオテイク」と「モノラルテイク」が、A面2曲目と3曲目に続けて入っているのだ。3曲目になると・・・右側から聞こえていたラファロのベースが中央に寄ってくる。そして「分厚いベース音」に豹変するのだ。モノラルに圧縮された分、全ての楽器の密度が濃くなったようだ。ベースの「音圧」に限れば、この「モノラルテイク」の方がはるかにいい。これくらいの音圧で、ベースが全体を押し出していく感じが、本来のラファロの持ち味だと思う。但し・・・今度は「艶」が薄くなった。「艶」というより「響きの具合」という感じのことだが、ラファロのあの「後鳴りするような響き」が、うまく録られていないのだ。僕はステレオ録音が嫌いではない。ギュッとしまったモノラルもいいが、ベースの響きの余韻をうまく取り込んだ「ステレオ録音」には「鳴りかた」に「色気」があるように思う。
その好例が あの Waltz For Debby と Sunday At The Village Vanguard の2枚なのだ。(このライブ盤については・・・いずれまた)

<オルフェイム・ステレオ盤(緑ラベル)>写真右側~_001_7
                 

             

               

プレスや盤質自体の問題だと思うが、ちょっとヴォリュームを大きめにした時の「シュ~」というノイズが、やや大きいようだ。
一聴して、ピアノの音の芯が弱く、ドラムシンバルなど全体的に、(ビクター国内盤と比べても)やや鮮度感がやや薄いように感じた。
但し、右チャンネルから聞こえるラファロのベースに関しては・・・ビクター盤よりも入力レベルが高く、より前に出てくるような感じ。
ラファロのベース音のあの生気ある感じは、オルフェイム盤の方がよく出ている。

  <欧州リヴァーサイド・モノラル盤(INTERDISC・青ラベル)>~
モノラルの「詰まった」感じの音に一瞬たじろぐが・・・ちょっと聴き進めばすぐに慣れる。モノラルになった分、ベースやピアノは明らかに厚い音になった。ラファロのベース音も「厚くなって大きめな音」に聞えるので、より迫力が出てきた。荒々しくなったとも言えそうだ。

<米オリジナル・モノラル盤(青・小ラベル)>上写真の左側~
B面からかけてみる。1曲目 what is this things called love の出だしの「ダッダ~ン・ダ~アダッ!」から力強さが段違いだった。
ピアノの音に強さと粘りがあるし、ベースの音色にも1本芯が通ったような力強さがある。それにベースの音像の輪郭が、欧州リヴァーサイド盤よりもぐっとクッキリしてきたようだ。全ての楽器に音圧がしっかり感じられるのだ。強く弾いたピアノの音が、よく伸びその力感が落ちない。音に「馬力」があると言ってもいい。この米オリジナル盤をこうして聴くまでは、実は、欧州盤もなかなかのものかもなあ・・・と密かに期待していたのだが、やはり米オリジナル盤はモノが違うようだ。

A面:when I fall in love~音圧、ピアノのタッチの力感が充分に感じられる。エヴァンスのタッチは弱い、と思われているようだがそんなことはない。エヴァンスは、このバラード曲の出だしのメロディ3音目(A♭の音)を、ぐっとためて「ッポ~ン」と投げ出すようなタッチで、このA♭のシングルトーンをたっぷりと伸ばすように弾いている。この辺りに、エヴァンスの「美学」がよく表れているように感じる。そしてこのA♭は・・・相当に強いタッチだと思う。和音でゴンゴン押してくるようなタイプの強さではないが、パッと見では線は細いが実は「鋼のような硬質さ」という質のタッチの強さを、ビル・エヴァンスは持っているのだ。
米オリジナルモノラル盤をこうして聴いていると・・・そのピアノの音が生き生きしているので、エヴァンスのピアノ表現に~特徴的な長いフレーズ、その中のタッチの強弱、張り詰めた感じ~とても素直に入りこめる。トータルとしての「鮮度感」が一番高いことは間違いないようだ。
どう聴いても・・・やはり4種の中ではダントツに素晴らしい!さすがは米オリジナルモノラル盤だ。今、再び「米・オリジナル・モノラル盤」を聴いている。そして・・・この「A♭音」だ・・・。「ッポ~ン」と思い切り伸ばしたそのピアノの音が・・・水晶のような音に感じられる。「タッチの芯」がしっかりと感じられる。素晴らしい!
それからさきほど「エヴァンスはこの曲で素晴らしいインスピレイションを見せてくれる」と書いたが、その素晴らしい「インスピレイション」(と僕が感じる箇所)は・・・2コーラス目の前半(いわゆるアドリブでのソロはこの16小節のみ。この曲は2コーラスのみで終わるのだ))前半・後半のテーマが終わって、次の前半部分の8小節目辺りから突如、現れる。長いフレーズを~そのフレーズは細かい「譜割り」のもので、どう考えても、この場でいきなり浮かんできたようにしか思えない~実に不思議なタイミングで弾くエヴァンスなのだ。あるフレーズを弾き始めたかと思うと「グッと」停めてしまう。そうしてすぐ後には、長いフレーズを「溢れる」ように弾き込んだかと思うと、また停め。そしてまた次のフレーズへ・・・という感じなのだ。この辺りの展開はまるで・・・通常の1・2・3・4という「タイム感」を超越してしまったかのようだ。エヴァンスが「ぐぐ~うっ」と堪えてフレーズを停めている2~3秒の凄まじい緊張感。このわずかな「間(ま)」が永遠にも感じられる。そうしてその「スピード感」は凄まじい。スロウなテンポで展開しているだけに、「間」と「流れ」での落差を、よけいに感じるのだ。そんなようなことを、エヴァンスは、この4小節の中で展開してしまったのだ!「エヴァンスの音楽」が、文字通り、溢れ出てきたようなすさまじい展開に・・・おそらくラファロとモチアンも目を見張ったはずだ。そうして・・・あの「間」を、2人もまた強靭な集中力で「耐えた」のだろう。この when I fall in love・・・ビル・エヴァンス・トリオのこのバラードを、僕は本当に素晴らしいと思う。

さて、こんな風に素晴らしい音質の<米オリジナル・モノラル盤(青・小ラベル)>なのだが、このオリジナル盤での「気になるポイント」1.については・・・
A面1曲目~come rain or come shine ~
日本盤ではあれほどハッキリと揺れた、あの5~6小節目での「音揺れ」が、この米・オリジナルモノ盤ではほとんどないようだ。よく聴いてみても・・・ほんのわずかにピアノが揺れるようにも聞えるかな?という程度だった。日本盤でも同様だったが、ベースに関してはA面はだいたい安定していい音のように思う。
ところが残念ながら、前述したB面1曲目の what is this things called love でのベースの「揺れ感」は・・・やはり感じられたのだ。
特に後半のテーマに入る前あたり、ラファロがビートをぐいぐいと押し出してくるのだが、その「音圧」のもの凄さに、ひょっとしてマイク入力段階で「歪んだ」のだろうか?
A面では、どの曲でもあれほど安定して力強いベースサウンドだったのだが・・・。B面の他の曲では、これほどベースの音色に「揺れ」はないようだ。
この曲に限り・・・なぜかピアノよりもベースに集中してクリップするようだ。
それから、B面2曲目の spring is here の「上昇メロディ」の箇所での「音揺れ」も、やはり全く同じ箇所で、同じぐらいのレベルで「揺れて」聞えた。

「気になるポイント」の2.~あの「キ~ン」についてはどうだったのか?
こちらも残念ながら・・・日本盤、オルフェイム盤、欧州盤、米オリジナル・モノラル盤・・・どの盤でも聞こえるように思う。そのレベルもほとんど同じだった。ただ、この「キ~ン」はごくごく小レベルで鳴っているだけなので、演奏がピアニシモになった場面以外では、それほど気にならない。

「気になるポイント」3.のA面のwhen I fall in loveでの「前ゴースト現象」についてはどうだったのか・・・?
結論から言うと・・・この米オリジナル盤にもゴースト音は認められた。4種ともに多少のレベル差はあるのだが、全ての盤の同じ箇所に「ゴースト音」はあったのだ。ただ、この4種の中では、「米オリジナルモノ盤」と意外にも「日本ビクター盤」が、このエコーのレベルは、わずかに低いように聞こえた。

こうやって、4種の「ポートレイト・イン・ジャズ」を聞き比べてみた。その結果、僕の気になる「ベース音の揺れ」や「ゴースト現象」は~「米オリジナル・モノ」「米オルフェイム・ステレオ」「欧州・モノ」「日本ビクター・ステレオ」~全ての盤で、聞えたのである。ということは・・・「ラファロの音圧で歪んだ」は冗談にしても・・・やはり「録音段階」での何らかの歪みなのだろうか? それとも最初期の「マスター・テープ自体の不良」あるいは「ラッカー盤」製作段階での何らかの不具合があったのかもしれない。判らない・・・とにかく演奏が本当に素晴らしいだけに、やや残念なことではある。先に書いたように、これらの「音揺れ」が録音段階、「ゴースト」が最初のマスター段階からあったとすれば、全てのプレス盤でも同じ結果になるはずだ。
だが・・・ひょっとしてこれらの盤へのマスターテープの保存状態が悪かったために~テープ転写や劣化で、「音揺れ」「クリップ」「ゴースト」が発生した可能性もなくはない。だから残るは・・・まだ見ぬ「米オリジナル・ステレオ盤」だ。ひょっとして「黒・ステレオ」のみは、ごくごく初期のマスターを使っていて~つまりベース音の揺れやゴースト音の一切ない状態~というようなことはないだろうか。そうしてその盤から飛び出てくるのが・・・まったくベース音の揺れない spring is here だったら・・・そんなことを無想する僕である。

<補足 1>~先日、たまたま昔の音楽仲間4人<konken氏(b)emori氏(b)Yシゲ氏(as)Sマサ氏(ds)>と僕:bassclefが、konken氏宅へ集まる機会があった。その場で、この「ポートレイト・イン・ジャズ」の「音揺れ」についてチラッと話したところ・・・即座にemori氏が「ああ、あれねっ!そうそう、揺れる揺れる」と反応してきた。他の3氏は特に思い当たるフシはないようだったので、(できるだけ先入観を与えないように)「ラファロのベースの音でまずいところがある」とだけ伝えてから、上記3曲を、まずCD-R(konken氏が spring leaves(milestone:1976年くらいの米・2枚組)から焼いたもの)で聴いてみた。
やはりA面1曲目~come rain or come shine ~日本ビクター盤と同じ箇所で「ピアノとベースの音の揺れ」~オープンリールのテープがほんの一瞬だが、回転ムラを起こしたような感じの揺れ~を5人が確認した。下記の「気になるポイント2の「キ~ン音」も、emori氏は「気になる」とのコメント。
次に「ポートレイトインジャズ欧州盤」のA面1曲目、B面1、2曲目をかけたところ・・・特に[B面2曲目の spring is here の「上昇メロディ」の箇所]では・・・4人が揃って「ああ、揺れてる」という声を上げた。
そんなわけで・・・「ポートレイト・イン・ジャズ」には、やはり「ある種の歪み音」があることを確認した。もっとも、emori氏も相当なラファロ愛好家で、僕と同じようにラファロのベースラインを集中して聴き込んだ経験があるわけで、そんな風に「ベースの音色」に注目して、それを連続して聴いていくと・・・こういうちょっとした「音の揺れ・音像の乱れ」は、いやでも目(いや、耳に:笑)につくだけのことかもしれない。

<補足 2>上記集まりの10日後、emori氏から「ポートレイト~」再検証の情報(ビクターのCD3種)をいただいた。使用したマスターの情報もあり、なによりも僕が比較したのはLPのみだったので、以下にemori氏のメール(部分)を転載したい。[以下、斜め文字の部分]

~私も注意深く聴いてみました。そしたら、なんと、まだあるんですねぇ~。まぁ、(bassclef) さんも確認している部分かもしれませんが。私は、CDからですが…。書いておきます。音はヘッドフォンで聴いています。
■検証に使った音源
1:1985年に発売された(と思われる)ビクター音楽産業(株)発売元の「Portrait In Jazz」のCD。“VGJ-1506”

※このCDに使用した音源:
下記の事がCDに記されています。
『本CDマスターには、ファンタジー本社(米、バークレー)の保有するオリジナル・アナログ・マスター・テープをロスアンジェルスにある、JVCカッティング・センターに空輸し、ジョー・ガストワートによりJVC/DAS-900デジタル・オーディオ・マスタリング・システムでデジタル・トランスファーされたものを使用しております。』と。

2:2005年に発売された(と思われる)ビクター(日本)発売元の「The Complete Riverside Recordings」のCD。“VICJ-61292”と“VICJ-61292”の二枚。このCDは、「20bit K2/Super Coding」だそうです。

※このCDに使用した音源:
下記の事がCDに記されています。
From A Master Recordings owned by Fantasy INC. USA

=== 私が見つけた“あら”===

A : 「When I Fall In Love」
この曲の出だしのテーマ(サビ部)にノイズが入ります。左チャンネルに。
で、何気なく、1)のCDのライナーノーツをめくったら、下記の事が書いてありました。
『●お断り
本CDは、1950年代のオリジナル・アナログ音源からタイレクトにデジタル・トランスファーされたマスターを使用しております。その為、テープ・ヒス・ノイズ、歪み、アナログ・ドロップアウト(音の欠落)といったオリジナル・アナログ・マスター・テープの瑕を含んでおります。これらは、録音レベルの低い部分、及び音が消えかかる部分に顕著ですが、本シリーズは現在入手しうる最も質の高いオリジナル・マスター・テープからのCD化であり、又その歴史的音楽性の高さを鑑みてリリースされたものであることを御了承下さい。尚、本CD「When I Fall In Love」の左チャンネル(ヒス音とさわめき)中にガサ・ノイズがあります。』
と日本語で書いてあり、英文もありましたので書いておきます。

NOISE INFORMATION
This recording is taken from the original analog 1950"s source material, and therefore contains inherent tape flaws, such as hiss, distortion, and analog dropouts.  These tape flaws become more evident on low level passages and on most fades.  There are clicks in left channel (hiss and buzz) on 「When I Fall In Love」

B : 「What Is This Thing Called Love?」
1 : この曲の出だし:音が詰まっての出だし。特に、左チャンネル。
2 : 2分35秒から36秒の間の一瞬、ベース音が揺れる。(これは、私にはそう聴こえます)
この曲のベース音は、最初から最後まで、微妙に揺れているように聴こえます。特に後半部分。

C : 「Come Rain Or Come Shine」
出だしのテーマ後、ピアノソロに突入時に、ノイズ。これも左チャンネルのはず。

D : 「Peri's Scope」
1分37秒から38秒の間の一瞬、ベース音が揺れる。

E : 「ピー」という継続ノイズ音
これは、いろいろな曲の至る所で聴こえます。特に静かな曲「Spring Is Here」そして、静かになる部分。とくにベースソロ部、例えば「Witchcraft」

特に、2)のコンプリ盤は、「20bit K2/Super Coding」仕様のせいか、1)のCDより、上記の“あら”は一層はっきりと聴く事ができます。「Spring Is Here」のピー音は、でかいこと!そして、合わせの揺れも、1)が小波なら、2)は大波って感じです。~
[以上、斜め文字の部分がemori氏の情報]

・・・最後に強調しておきたいことがひとつ。
「いい演奏ならば、どんな盤(モノラル、ステレオ、オリジナル、日本盤・・・)で聴いても~演奏された音楽に集中さえすれば~絶対に楽しめる」ということだ。この盤が大好きだったので、だからその中のいくつかの気になる点について、こんな「比較検証」みたいな話しになりはした。だけど・・・もちろんのことだが、あるレコードを聴くのに「~盤でなくてはダメだ」とは思わない。今回は、この「ポートレイト」の同一曲を、いろんな盤で何度も聞き比べてみた。その際、どの盤で聞いていても(冷静に検証的に)・・・知らず知らずの内に、 その「演奏」に聴き入ってしまい、例えば2曲目だけを検証しようと聞いていたつもりでも・・・つい最後まで聴いてしまうのだった(笑)
そんなだから、「盤」による違いを検証しつつも・・・その一方では「演奏」を聴いていけば(その音楽の中に入り込んでしまえば)どんな盤でも構わないじゃないか!
・・・そんな気持ちにもなった。そのことを再確認できたことも、だから・・・うれしかったのだ。
その音楽を好きで、聴いていれば、その音楽からは絶対に「何か」は伝わってくるはずなのだ。
ただし、もっと突っ込んだ拘りを持ってその音楽に接したい時に、その拘りの強さに応じた「いい音の盤」というものは・・・やはりあると思う。
例えばあなたが・・・エヴァンスの「水晶のタッチ」をどうしても味わいたい・・・というような場合には(笑)

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2006年3月 5日 (日)

<思いレコ 第8回> Bill Perkins/Quietly There

気になる作曲家、その名は・・・ジョニー・マンデル!

「いそしぎ」という曲がある。この曲の原タイトルは もちろん the shadow of your smile という。映画に使われた曲なので、その映画のタイトルthe sand piper を邦訳してこのタイトルになったのだろう。海にいるシギという鳥のことを意味してると思うが、僕らは単に「イソシギ」というサウンドで・・・ああ、あのいい曲ね、と理解している(笑) 僕はとにかく、この「イソシギ」が好きだった。自然に展開していくメロディ。淡々としながらも品よく盛り上げる後半のメロディ。あまりに有名なので、ちょっとポピュラー的なイメージで捉えられているかもしれないが、文句のない名曲だと思う。

ハンプトン・ホウズの I’m Old Fashioned(contemporary) _004

B面1曲目が、その<the shadow of your smile>だ。1966年4月のライブ録音なので、この曲の録音としてはわりと初期のものだろう。ベースはレッド・ミッチェル。なかなかいいピアノトリオ盤だと思う。

A Time For Love という曲も実にいい。この曲を・・・僕はアイリーン・クラールの唄で何度も聴いた。この曲の入ったクラールのLPを 寝る前に、ポータブルのプレーヤーで聴いた時期がある。LPの途中で眠ってしまうこともあり、だから正確には「眠りにつきながら聴いていた」というわけだ。そんな風に繰り返し聴いているうちに・・・この曲のメロディが、体の中に染みわたってしまったようだ。A Time For Love は、しみじみとした感情で人生を振り返りながら・・・しかしこれからも生きていくのだ・・・みたいな厳しさをも感じさせるような素晴らしいメロディをもつ曲だ。ちなみにこのクラールのピアノとデュオのアルバムは、本当に素晴らしい。いつかまたアイリーン・クラールのことも書いてみたい。そういえば僕の好きなトニー・ベネットも、この曲をいい感じで唄っているはずだ。

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Emily~これもいい!3拍子の曲なんだが、もう一言・・・チャーミングなメロディなのだ! 好きだなあ・・・この曲。最初にこの曲を聴いたのは・・・ビル・エヴァンスのソロピアノのアルバムだ。左の写真がそれ。

further conversation with myself(verve)

レコードを集めるようになってわりと初期の頃だったので、VerveにMGM-があるとかも何も知らなかった(笑) ちょっとこもったような音質のMGM-Verve盤ではあったが、エヴァンスは、この曲、Emilyを一人で多重録音して・・・夢見るようなスイートさを生み出していた。それでこの曲を好きになった。チェット・ベイカーも、よくマンデルの曲を取り上げた。初期のパシフィック盤にはたしか何曲か~Keester Parade やTommy Hawk~入っていたと思う。

これらのどれもが、ちょっとしゃれたメロディの曲であり、いつも「はっ」としてクレジットを見ると・・・ジョニー・マンデル・・・ということが何度かあった。
そんな風に気になる作曲家であるジョニー・マンデルだった。
そうしてそんなジョニー・マンデルの曲を集めた素晴らしいレコードがあったのだ。先日、そのレコードを入手した。

Bill Perkins/Quietly There(riverside)である。録音が1966年なので、この写真の盤、「abc Riverside茶色の環ラベル」がオリジナルなのかもしれない。_002





         






ジャケットがまた地味というか・・・小さめな写真に  Bill Perkins Quintet featuring Victor Feldman と Quietly There というタイトルが載ってるだけだ。表ジャケのどこにも Johnny Mandel の名前などない。 裏ジャケの曲名を見て・・・初めて全9曲ともに 作曲が Johnny Mandel だと判るのである。せめてジャケ表に一言、 Mandelの名前を謳ってくれれば、もう少し早くにこのレコードを買っていたかもしれないのに(笑) もっとも・・・Jhonny Mandel という作曲者だけでなく、ミュージシャンからジャケットまで、このレコードは・・・もう徹底的に地味なのである(笑)

このレコードに前述の Emily と A Time For Love が入っている。そうして、これらが・・・絶品なのである。

Emily~パーキンスが、バス・クラリネットで静かに吹き始める。かなり遅めの3拍子に乗って、ゆったりとあの素晴らしいメロディを吹き進めていく・・・パーキンスの音色を聴いているうちに・・・一枚の風景画を眺めているような気分になってしまう。そして・・・気がつくと音楽が終わっている・・・そんな感じなのだ。たとえようもなく「優しい」世界だと思う。

最初に左チャンネルから、この Emily のメロディが流れてきた時、「えっ、この音色は何なんだ?」と思った。低くて軽くこもったような・・・でもバリトンのように大きく鳴った感じではない。なんだろう? とクレジットを見ると・・・bass  clarinet と書いてある。ああ、あのバスクラかあ・・・と、すぐにエリック・ドルフィの バスクラのソロ God Bless The Child を想い出した。ドルフィのバスクラ、あれは・・・自己というものを、もう徹底的に表出したような凄い世界だった・・・。このパーキンス盤でのバスクラは、全くそういう自己表現の世界ではない。しかしこの楽器をセレクトし、アドリブパートでも、フレーズがどうとかではなく、このバス・クラリネットの「ひっそりしたような音色」のソノリティを楽しむような・・・そんな唄わせ方をしているようだ。「ひとつの素晴らしい曲がある。その曲のスピリットを自分の感性で描き切りたい」というような切実さというか静かな気迫のようなもの~僕はパーキンスという人にそんな凄みさえ覚える。

そんなパーキンスでも、一人でこんなに緻密な工芸品のような世界を創り上げることは難しかっただろう。そこで、それなりの職人たちが必要だった。その職人たちとは~
まず、ヴィクター・フェルドマンの「しっとりした」ピアノが、優しい雰囲気をかもし出す。このパーキンス盤では、随所で vibraphone も叩いているが、全くやかましくならず、とてもいい感じに響いている。ヴィクター・フェルドマンという人の「しっとり感」は素晴らしい。マイルスの Seven Steps to Heaven のLAセッションの方を聴いて以来、大好きになった人だ。
ガットギターも聞こえてくる。ガットならではの本当に優しい音色。このギター弾きはJohn Pisano という人である。ガットでとるソロもも実にいい。
それから、ベースがレッド・ミッチェル。この人は、ベースの1音1音がしっかりと鳴っている。リズム感、ウオーキングライン、音程、アドリブ。どれをとっても本当に巧いのだ。ドラムはラリー・バンカーだ。
全員が揃いも揃って・・・本当に「趣味のいい」ミュージシャンだと思う。

もうひとつの名曲~A Time For Love。
パーキンスは今度はフルートを用いた。普段、僕はフルートのジャズはほとんど聴かない。savoy盤などを聴いていて、フランク・ウエスが(テナーは嫌いではないが)フルートを吹き出すと・・・どちらかというとノー・サンキューである(笑) しかし、このマンデルの名曲~A Time For Love でのパーキンスのフルートは・・・これも絶品である。録音もいいせいか、フルートの「鳴り」が豊かなので、サブトーンばっかり強調したようなヒュー、ヒューというような(笑)という感じではない。この曲でも「自分の感性で描き切りたい」という意思を強く感じる。外見的なアレンジ、というより、曲を解釈するその気持ちをもアレンジしているかのようだ。そしてその意思が全員に伝わったのだろう。各人が、実にキッチリと丁寧なバッキングをしており、味のあるいいソロをしている。

僕はもともと、一人で多くの楽器を奏するマルチ・ミュージシャン的なタイプはあまり好みではなかった。アレンジもできるスタジオミュージシャン的なタイプだと、仕事柄、仕方ないとはいえ・・・さあアルトだ、さあ今度はテナーだ、いや、バリトンだ、てな感じで、なかなかその人の本当の個性みたいなものが伝わってこないような気がする。いろいろなレコードを聴いてるうちに、それでもアル・コーンにはテナー、バド・シャンクにはアルト、とやはり「本領」を発揮できる楽器があるのだ、という風にわかってきた。その「本領」楽器で何枚かいい盤は必ずあった。ところが、パーキンンスの場合は違った。西海岸ものを聴くようになって、ビル・パーキンスという名も覚え、リーダーアルバムのパシフィックの2~3枚を聴いたのだけど、共演のペッパーの方に耳を奪われるばかりで、このミュージシャン自体には、特別な印象は持っていなかったのだ。だから・・・この盤を何度か見かけたはずだが(ジャケットだけは、だいぶ以前から知っていた)、録音が1966年とわりと新らしめということもあり、入手するには至らなかったのだろう。
そのパーキンスは、このレコード~Quietly There でも、やはりマルチであった(笑)しかし・・・今の僕は、そのマルチぶりが全くイヤではないのだ。逆に、こんな風に曲によって、 使う楽器を替えることで、それぞれの曲の味わいみたいなものを表出させた・・・いや、それ以上に、ジョニー・マンデルの曲だけで一枚のアルバムを創ろう、としたビル・パーキンスに甚く(いたく)感心している。推測だが、スタジオの仕事が多かったパーキンスが、ついに「自分の趣味」でアルバムを創ることになり、だから、選曲をしていくうちにマンデルだけの作品に絞ることにして、それからパーソネルを練り上げて、リハーサルをして、どの曲をどんな具合にクックするか・・・そんなことに相当に時間をかけてきただろうなあ・・・と思わせてくれる、本当に丁寧で質の高い、そして素晴らしいアルバムだと思う。

ビル・パーキンス/Quietly There(riverside)このアルバムは、とても地味だが・・・この先も間違いなく僕の愛聴盤であり続けるだろう。出会えてよかった・・・こんなレコードに。僕はうれしいのだ。
こんな未知の盤にも、まだこんな風に素直に「いいなあ・・・」と感じられるものがあった、ということが。
ジャズにはいいアルバムがいっぱいだあ!・・・ますますやめられない(笑)

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2005年11月13日 (日)

<ジャズ雑感 第11回> ジャズの廉価盤シリーズとその発売小史:A面

1972年秋、ジャズの廉価盤~宣伝用の小冊子・チラシの楽しみ。

1971年、中3の時からジャズを聴き始めた。LPレコードの当時の2000円というのは、今なら5000~6000円くらいの感覚だろう。だから、そうそうLPレコードなんて買えやしない。だから、最初の頃は、とにかくFMラジオのジャズ番組がたよりだ。カセットテープにどんどん録音して、何度も聴き返した。それでも72年春頃から、テープで聴いてすごく気に入ったモンクやマイルスのLPを、少しづつ買い始めたのだ。そんな72年の秋に、「ジャズ廉価盤」が発売された。僕はこの「廉価」を「レンカ」と読めずに、長い間、間違って「ケンカ」と呼んでいた(笑) そうして・・・1972年は・・ジャズの「ケンカ盤」ブームの年だった。このビクターがキッカケとなって、各社から続々とジャズの名盤が発売され始めたのだ。たいていは、1回の発売で10~20タイトルで、それを何回か続けていったように記憶している。2~3年の間に、1200円、1300円、1500円と、じわじわと値上げしつつ、それでも各社から相当なタイトルが発売されたように記憶している。
9月からの年内に発売されたシリーズは以下。たぶん、全てが限定盤だったはずだ。(  )内がシリーズ名で~以下が宣伝文句だ。

1.日本ビクター 1100円盤シリーズ(prestige jazz golden 50)
~50年代ハードバップの”幻の名盤”20枚~
72年9月5日発売。コルトレーン/コルトレーンなど20タイトル。コルトレーンやロリンズ、モンクの主要盤以外にも、ジジ・グライス/セイング・サムシング や ベニー・ゴルソン/グルーヴィング・ウイズ・ゴルソン など渋いタイトルも出ている。

僕は、自転車で「街」(豊橋の駅周辺のことを「街」と呼んでいた:笑)まで出かけ、レコード店から、こういう「廉価盤シリーズ」の小冊子やパンフをもらってきて、解説を読んでは、「次は何を買おうかな」とかの作戦を巡らしていた。ビクターのプレスティッジ/1100円廉価シリーズは、「オリジナル通りの復刻」というのが「売り」だったので、裏解説もオリジナルの写しで英語のままだった。それまでの国内盤はジャケ裏が「日本語の解説」という仕様が多かったのだが、そうじゃない場合には、中に「解説書」がつくのが普通だったのだが、この「ビクター1100円シリーズ」では、中の解説書も一切付いていなかった。「オリジナル通り」というより、コストを抑えるためだったかもしれない。その替わりに、発売タイトルを特集したような「小冊子」をサービス品として、レコード店に配布していたようなのだ。1枚買えば、この「小冊子」を付けてくれた。同じ小冊子がスイング・ジャーナルにも付録として付いていたはずだ。その小冊子がこれだ。

jazz_catalogue_001(左の写真の右下:コルトレーンの表紙のもの)

この小冊子には、20枚の発売タイトルの紹介だけでなく、プレスティッジレーベルに関する、ちょっとしたこぼれ話しや、幻の名盤的な情報などおもしろい記事も多くて、それから7000番台、8000番台のリストも付いていた。 jazz_catalogue_003

この prestige jazz golden 50シリーズは、50と銘打ってあるので2~3回に分けて発売する予定だったのだろうが、初回20タイトルが思ったより売れなかったためか、あるいは、途中で版権が東芝に移ってしまったためか、いずれにしても、この20タイトルで終わってしまった。しかしビクターはなかなか良心的だった。というのは・・・76年か77年頃に、版権が再びビクターに戻った際に、普通の価格ではあったが、相当数のタイトルの復刻を再開したのだ。その際の「小冊子」がこれだ。jazz_catalogue_002

(写真右:右下の横長のもの)65ページも
ある、なかなかの豪華版カタログである。
スティーブ・レイシーの「エヴィデンス」やら
ウオルト・ディッカーソンの「トゥー・マイ・クイーン」など、気になるタイトルが復刻された
ようだ。

2.日本コロムビア 1100円盤シリーズ(jazz historical recordings)~輝かしいジャズの歴史の1頁がここにある。クリスチャンが! ロリンズが!~ 
72年11月発売。ロリンズ/ソニー・ロリンズ・プレイズ など。これは、periodやeverest という当時は全く珍しいレーベル原盤の復刻シリーズだった。コロムビアも小冊子を作った。廉価シリーズだけでなく、ルーレットやルースト、MPSなどの所有レーベルの発売タイトルを紹介した総合カタログ(72ページ)のようなものだった。(一番上の写真:左のもの)
僕はロリンズやモンク入り?のチャーリー・クリスチャン、ジャンゴ・ラインハルトなどを入手したが、サド・ジョーンズ/マッド・サド ジョン・ラポータ/モスト・マイナーなど渋い盤も発売されている。この2枚は、一時期、国内盤の廃盤人気が高かった頃に、かなりの値段まで上がったように記憶している。
「ロリンズ・プレイズ」は、ヴィレッジヴァンガードのライブの翌日の録音ということで、A面3曲のみだが、どれも素晴らしい。<sonny moon for two>では、アイディアに満ちたアドリブで、余裕のロリンズが聴ける。 ちなみに、サド・ジョーンズ/マッド・サド~この中にエルヴィン参加セッション、3曲が入っている。

3.日本フォノグラム 72年12月5日発売。
1100円盤シリーズ(フォノグラム1100コレクション)~ジャズレコードのイメージを変えた全く良心的企画!~
 キャノンボール・アダレイ/イン・シカゴ や ジェリー・マリガン/ナイト・ライツ など10タイトル。

”全く良心的”という表現がおかしいが、要するに、中の解説書も付いてますよ、ということだったらしい(笑)

73年になると、CBSソニー/1100円盤、テイチク/メトロノーム1200円シリーズなども出たと思う。キングのコンテンポラリー復刻は、もう少し後だったように記憶している。

少し経った75年にビクターが「リバーサイド・オリジナル・シリーズ」を開始した。これは廉価の限定発売ではなく、2200円の通常シリーズだった。この2~3年前からモンクやエヴァンスを好きになっていた僕は、その頃、出回っていた abc Riversideの茶色の環っかラベル盤や日本ポリドールからの数少ないリヴァーサイド盤を何枚か入手していたので、リヴァーサイドというレーベルには、もう興味深々だったのだ。
ビクターは、このリヴァーサイド発売時にも、お得意の小冊子を配布した。これも入手している。(右上の写真:右上のもの)
この「リヴァーサイド小冊子」が、「Riverside best selection 100」 と題した32ページもある素晴らしいものだった。
jazz_catalogue_004モンクやエヴァンスの主要盤だけでなく、他にも地味だが内容のいい(あとになって、それがわかってきた)それまで日本盤未発売タイトルの写真と、詳しい解説が載っており、リヴァーサイドの資料としての実用性もあり、とてもありがたかった。オリン・キープニューズという名前を知ったのもこの小冊子からだ。

CBSソニーも、発売タイトルのカタログを兼ねたような小冊子を1年ごとに作っていたようだ。(一番上の写真:真ん中)

これらの小冊子は、コストがかかるので、どのシリーズでも作られた訳ではない。フォノグラムとかテイチクとかは「チラシ」だった(笑) スイングジャーナルとかをチェックすると、たいてい翌月に発売される「~シリーズ」とかの宣伝が載ってる。それそ覚えておいて、発売ちょっと前にレコード店に行くと、たいていは、こういうチラシがタナの上とかカウンターの下とかに置いてあるのだ。ジャズファンなんて、日本中集めても、ほんとに少ないのだろう。どのチラシも、なかなか減らないようで、発売後にもダラダラと残っていた(笑) 

こんなチラシの類も集めた。もちろんレーベルの資料としても欲しかったのだが、どちらかというと・・・とても全部のタイトルは買えないので、せめて「チラシ」のジャケット写真でも眺めていたかったのだ。(笑)

これら「チラシ」にも、眺めているだけで、なかなかおもしろいものが多い。チラシについては・・・ビクターやコロムビア、それから、CBSソニー/1100円盤、テイチク/メトロノーム1200円シリーズ、フォノグラム/マーキュリージャズ1300円シリーズなどを、この「ジャズ廉価盤シリーズとその発売小史:B面」として、いずれ紹介するつもりだ。
ジャズレコード・・・まだまだ未知の盤がいっぱいだ! 

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2005年10月 3日 (月)

<思いレコ 第6回> ビル・エヴァンス/Peace Pieace & Other Pieaces(milestone)

マイルストーンの2枚組~ビル・エヴァンスのこと。

マイルストーンの twofer シリーズというものがあった。1972年頃から、主にRiverside、Prestigeの音源を2枚組として、再発したものだ。2枚組の廉価盤・センターレーベルも「濃い朱色のマイルストーン」・安っぽいジャケ写真・盤もペラペラ、という体裁なので、コレクト的価値は・・・ほとんどないだろう。今でも中古店で時々は見かけるが、かわいそうなくらい安かったりする。しかし、このtwoferが初出自だったセッションもけっこうあり、OJC以前には、とても重宝したのだ。当時は、ジャズ雑誌などにも輸入盤の情報などほとんどなかった。だから名古屋まで出かけて、輸入盤を扱うレコード店で「初めて」目にするのだ。そうして、その場で中身(の価値)を判断するしかない。最初の頃のtwoferは、ビッグネイムのミュージシャンのベスト集みたいな編集だったが、すぐに、2種のオリジナルLPをそのまま2枚組とすることが多くなったようだ。そして・・・その再、「未発表テイク」がいくつか付け加えられていることがたびたびあったのだ。マイルストーンは、オリン・キープニューズが監修していたので、特に「リバーサイド音源」のLPにその追加テイクが多かったのだ。僕の記憶では、「新品」の twoferはシュリンクされていたので、見開きジャケは開けられなかった。しかし、ジャケ裏の表記で、たいていの情報は判った。その2枚が、どのLPとどのLPのカップリングなのか?そのカップリングがそのままなのか、あるいは何らかの追加テイク、未発表テイクが入っているのか? 大体の場合、ジャケットにpreviously unrelased とかnewly discovered とか書いてある。今で言えば、「ボーナス・テイク」や「新発見のセッション」がCDで発売されるのと同じ感覚だ。DSCN0913

そんな twofer もので、ひときわ印象深いものがある。Bill Evans/peace piece &  other pieces (milestone)~Everybody Digs Bill Evans と「未発表セッション」のカップリングだ。これを見つけた時は、うれしかった。
「Everybody」も持っていなかったし、それにその「未発表」が、全く未知のトリオセッションだったからだ。ジャケ表紙に including 6 previously unissued selections と書かれており、ベースがチェンバース、ドラムスがフィリー・ジョーだった。この6曲は、「オン・グリーン・ドルフィンストリート」としてビクターから発売されたはずだ。この2LPには、さらにもう1曲・・・Loose Blues という曲も入っていた。ズート・シムスやジム・ホールとの共演で、不思議な雰囲気のブルースである。こちらの「ズート入りセッション」も、80年代に「アンノウン・セッションズ」というタイトルで、ビクターから発売された。さて、キープニューズは、この2枚組を「peace pieace and other pieces」と呼んだわけだが、このタイトルは、実はとてもおもしろい。というのは・・・Everybodyに入っているピアノソロに<peace pieace>なる曲があること。さらに・・・この曲は、バーンステイン作の<Some Other Time>と深い関係にあるのだ。もちろんこのことは、エヴァンス自身がキープニューズにも語ったようで、この2LPの解説の中で、キープニューズは、こんな風に書いている~『この日の成果は、エヴァンスが<Peace Pieace>と名づけた、注目すべきソロ・インプロヴィゼイションだ。この演奏は、全く偶然に生まれたのだ!エヴァンスは<Some Other Time>(40年代のミュージカル/On The Town)を演ろうとしていて、なにやら独自のイントロを工夫しているうちに・・・バーンステインの元メロディよりも、エヴァンス自身が気にいるような世界に入り込んでいったのだ』~こんなストーリーもあったらしい。その<Some Other Time>のタイトルともかけて other piecesと名づけたのだろう。なかなかシャレが効いてるじゃないか。

さて・・・この「Everybody Digs」。ビル・エヴァンスのあまたあるLPの中でも、エヴァンスのピアノプレイに限定した場合、私的エヴァンスNO.1である。まず<Minority><Oleo>などのちょっと早めの4ビート曲が素晴らしい。右手のシングルトーンで独特の長いラインを弾くのだが、とにかくタッチが強く(エヴァンスとしては)いつもに増して硬質な音を聞かせてくれるのだ。コリコリしたタッチで紡がれる個性的なアドリブが、すごく魅力的だ。それから、うんとスロウなバラードとして<Young and Foolish><Lucky To Be Me:ピアノソロ><What Is There To Say>それから<Peace Piece:ピアノソロ>。これらのバラードが・・・凄い。モンクとはまた別の感覚として・・・本当に「孤高」のサウンドというような世界を現出させている。エヴァンスは、これらの曲の録音時、相当に何か「深いfeeling」に浸っていたはずだ。<Young~>は、エヴァンスのピアノだけで、ルバート風に始まる。もうすぐに曲の芯にある「ググッと沈み込んだ感じ」に入り込んだような音世界になってしまう。しばらくソロピアノが続き、ようやく、ベースとドラムスが入り、イン・タイムになるが、あくまでもかなりスロウなバラードのままである。

このtwofer2LPの「Everybody~」は、モノラルだ。75年remasteredby David Turner となっている。音質は・・・特に悪いわけではないが、まあOJCと似たりよったりというくらいだろう。先日、たまたまこのEverybody~の「黒ラベルのステレオ盤」を、初めて聴く機会があった。58年12月録音だから「ステレオ」がオリジナル録音なのだろう。その音質は・・・この頃のエヴァンス独自の硬質なタッチ、これがクッキリと右チャンネルから聞こえてきた。バラードでの、ピアノの「鳴り」にも、素晴らしいものがあった。フィリージョーのやけに鳴りのでかい「響き」もよく出ている。サム・ジョーンズのベース音も相当にでかそうだ。ウイルバー・ウエアほどの「大きさ」ではないが、やはり同じスタジオでの録音なのか、同質の「響き方」をしているようにも聞こえる。このサム・ジョーンズとフィリージョー。一見、エヴァンスのピアノとは合わないような感じを受けるが、そんなこともない。ギリギリと繊細に研ぎ澄まされたようなエヴァンスのピアノに、豪放になるフィリージョー。これが意外に合うのだ。ここで「繊細」なドラムスが寄り添うように撫でる~モチアンのように~のも悪くないが、この58年ハードバップ&沈潜バラードのエヴァンスには、僕はフィリージョーで最高だと思う。(そういえば78年に来日したエヴァンストリオ~名古屋で見ました。ドラムスが・・・フィリー・ジョーだったなあ・・・)ピアノトリオの力感がいいバランスで入っている「いいステレオ録音」だと思う。あの「ステレオ黒ラベル」のEverybody Digs・・・いつか入手したいものだ。

「バラード」といえば・・・マイルスが言ったとか、マイルスの自伝本に出ていたとかだったか・・・よく言われることがある。「バラードを演奏する時には~その唄の歌詞を思い浮かべながら演奏するのだ。そうすると、その唄のフィーリングがより表現できるのだ」という話しだ。僕は、この話しを信じない。歌詞?そんなもん、ただの言葉じゃないか。(ヴォーカルをやっている方、すみません(笑) インストに限った話しです) 「love」と言いたいときに「love」という言葉を思い浮かべるのなら・・・詩でも小説でもやればいいことだ。音楽(インスト)ってのは、もっと単純に「音」の世界のはずだ。言葉じゃない「純粋に抽象的な世界」、それだけのはずだ。発する「音」が全てなのだ。後はもう・・・その「音」から、これまた全く抽象的な feeling を感じればいいのだ。その feeling も「怒り」とか「優しさ」なんていう具体的なものじゃなく・・・「何らかの雰囲気~atmosphere」みたいなもの、そういうものでいいのだと思う。マイルスが、トランペットを吹くときに、本当に彼の脳内で「歌詞」を思い浮かべている、とは思えない。あるいは、「ちょっとした話し」として、そう語ったのかもしれない。それより、この「歌詞思い浮かべ説」について、僕がひとつうれしかったのは・・・かなり後期のエヴァンスのインタヴュー記事(80年9月に亡くなったので、その1~2年前だったか)の中で、こんなことが書かれていたことだ。

《僕はバラードを弾く時・・・歌詞なんて思いださないなあ。それよりその曲の持っているfeelingみたいなものを、出そうとするだけだよ》

みたいな内容だったはずだ。これを読んだ時・・・ああ、やっぱりそういうものだよなあ、と強力に納得したのだ。その記事を読んで後は、それまで以上に・・・エヴァンスを好きになったような気がした(笑)

どのスタンダードにもタイトルがある。そうしてそのタイトルから、その唄がだいたいどんなことを唄った(唄おうとした)のか、わかるのだ。そうして、どのスタンダードにも、その「メロディ・ハーモニー・リズム」から浮き上がってくる独自の「雰囲気~atmosphere」というものがあるのだ。<Young and Foolish>・・・若くて愚かだった・・・このタイトルだけあれば充分じゃないか。 さっき、「ビル・エヴァンスはこれらの曲の録音時、相当に何か「深いfeeling」に浸っていたはずだ」と書いた。何度聴いても・・・本当に深みのある内省的なエヴァンスのバラード演奏である。僕の勝手な推測では・・・エヴァンスは、このタイトルだけを「イメージ」したのだと思う。イメージだけ。あとは、「曲」と「音」しかない。もちろん、エヴァンスは、もうこの曲を大好きで好きで、だからこそ、吹き込んだのだと思う。だがしかし・・・演奏時に「歌詞」を思い浮かべる、などというレベルで、こんなにも深く沈潜したような feeling が生まれるだろうか?僕の耳には・・・この演奏は・・・エヴァンスのインタヴュー記事の真意を100%裏付けている、ように思う。
ちなみにエヴァンスは、この曲をやはり本当に好きなんだろう・・・うんと後のトニー・ベネットとのデュオアルバム(fantasy:1975年)でも、吹き込んでいる(A面1曲目) おまけに・・・あの<Some Other Time>も取り上げているのだ(笑) このレコードは、それまでほとんどインストものしか聴かなかった(聴けなかった)僕を、「ヴォーカルというのもいいものだ」と思わせてくれた恩盤なのである。エヴァンス興味だけで買ったのだが、ベネットのちょっとしゃがれた声や、バラードでの深み・表現力みたいなものに、惹かれるようになった。伴奏がエヴァンスのピアノだけ、ということもあってか「唄」がやたらと格調高いのだ。 トニー・ベネットについては・・・また別の機会に。

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