Impulse

2010年7月 4日 (日)

<ジャズ回想 第23回>雨降りの1日は、レコード三昧だった。

~United Artistsというレーベルを巡って~

久しぶりに藤井寺のYoさん宅でのレコード聴きをすることになった。今回は4月白馬の集まりに参加できなかったリキさんと僕(bassclef)のために、Yoさんが声を掛けてくれたのだ。集まったのは、愛知からリキさん・konkenさん・僕。関西からdenpouさん、PaPaさん、Bowieさん。Yoさんを入れて7人となった。

午前中から夕方まで約8時間・・・皆であれこれと聴きまくったわけだが、今回はクラッシクから始まった。
Vx25_j_2 まずはYoさんから、シュタルケルのチェロ独奏。コダーイの曲を鋭く弾き込むシュタルケルのチェロ。その中低音が豊かに捉えれた、しかもエッジの効いた好録音。ジャケットを見るとこれがなんと1970年頃の日本でのレコーディング。つまりこの日本ビクター盤がオリジナルなのだ。Vx25_lシュタルケルのチェロをYoさんはディグ(探求)しているようで、そういえば2~3年前の白馬でも、シュタルケルの日本での実況録音盤~バッハだったか?~をセレクトしていた。この人のチェロは、強くて毅然としており、曖昧なところがない・・・そんな感じだ。 《シュタルケルの写真2点~Yoさん提供》
それから、ムターなる女流 ヴァイオリニスト~言わずもがなの「美人」~の2種(共にグラモフォン音源)に話題が。ムターについては、おそらく事前にリキさんとBowieさんが音源セレクトを相談したのかな。
カラヤン指揮(1988年)
~クラシック不慣れな僕らのためにお2人が気をつかってくれたのだろう(笑)・・・曲は「チャイコフスキーのヴィイオリン協奏曲」冒頭から少し経過すると飛び出てくる印象的なメロディ・・・ああ、この曲なら僕でも知っている(笑) 1988年のデジタル録音ということもあってか、ムターのヴァイオリンだけでなくバックのオーケストラまでクリアに聞こえる。
次に同じ曲の70年代もの(グラモフォン音源)Bowieさんのセレクト。こちらはアナログ録音だがバックのオケの音圧感がより豊かで肉厚な感じがする。これも良い録音だ。こちらのヴァイオリンはミルシュタインだったか。指揮はアヴァド。アヴァドという人・・・曲の終盤になると劇的に盛り上げる感じがいつもあって(たぶん)僕はなぜだか嫌いではない。そんなシンプルな躍動感みたいなものがカラヤン盤よりも濃厚に感じられて、この協奏曲は僕にも充分に楽しめました。
ムター繋がりでリキさんからもう1枚~
「これは・・・珍盤の一種かも」というリキさんが取り出したのは、立派の箱入りのLP2枚組。タイトルは「Carmen-Fantasie」(今、調べたら録音は1992年。正規品はもちろんCDであろう)ジャケット写真は・・・ヴィオリンを弾いているムターの立ち姿。正規CDと同じデザインだと思うが・・・このムター、ちょっと色っぽい。
掛けたのは「チゴイネルワイゼン」
曲の出だしからちょっと大げさな感じのするあのメロディ(好きな方、sorryです) これはグラモフォン音源のはずだが、センターラベルは白っぽくてデザインも違う。ラベルには小さい文字でmade in Japanと入ってはいるが、解説書の類(たぐい)は一切ない。聴いてみると・・・音からするとちゃんとした音源のようだとYoさんが言う。臨時に版権をとった記念のLPセットのようなものだろう・・・という意見も出たが、いずれにしても、所有者のリキさんでさえ、その出自を知らない「謎のムターLP2枚組」である。
ムター好きを隠さないYoさんが「欲しい・・・」とつぶやくと、ダジャレ好きなPaPaさんは「そんなごムターな・・・」などと言ってる(笑)

こういう音聴き会では、各人のお勧め盤を順番に聴いていくわけだが~そうすると、当然、各人の趣味嗜好が様々なので、厭きない流れになるというわけだ。実際の順番どおりではないが、ここで皆さんのお勧め盤をいくつか紹介したい。

Yoさん~今回は実は<UAレーベル>というのが隠れ主題になっていて(と勝手に解釈していた僕) それもあってか、そろそろ・・・という感じでYoさんが1枚のUA盤を取り出した。
Uas_5034_j_2 《リトルの写真4点~Yoさん提供》 Booker Little/~+4(united artists)ステレオ盤青ラベル 
この渋いUA盤からYoさんが選んだのは moonlight becomes you。スタンダード曲である。リトルはうんとスローなバラードで吹いている。
ラファロと共演のTime盤にもひとつスローものがあったと思うが、このUA盤(Booker Little +4)にもこんなに素敵なスローバラードmoonlight becomes you が入っていたのか。Uas_5034_lところが・・・僕はこの「ブッカーリトル・プラス4」~国内盤さえ持ってない。リトルがリーダーなのだから、ローチのことは気にせず聴くべきレコードだったのだな・・・などとモゴモゴ弁解する僕(笑)そういえば、Yoさんもマックスローチ苦手絡みということもあり、このUA盤の入手は他のUA盤に比べれば遅かったらしい。リトルという人・・・スパッと抜けのいい音色にも特徴があるが、丁寧にじっくりとメロディを吹くその誠実感・・・みたいなBcp_6061_j 味わいが実にいいのだ。 
Booker Little/~& Friends(bethlehem) if I should loes you
こういう音聴き会ではいつもちょっとした偶然がある。この日、konkenさん・リキさんとクルマで藤井寺へ来たわけだが、車中ではたいていiPODをシャッフルで掛けている。音源は konkenさんCDなのだが、ジャズ、ロック、ヴォーカルがごちゃ混ぜで入っているので、この3~4時間がけっこう厭きない。四日市の辺りで、トランペットが深々と吹く聴いたことのあるメロディが流れてきた。このメロディは・・・知っている。そうだ、if I should lose youだ。BGM的に流してはいても、気になる音(音楽)が掛かるとと、iPODの真ん中辺りを押してデータを表示したくなる。「ああ・・・ブッカーリトルかあ」と納得。
そんな場面があったことをYoさんに告げると、ちょっと嬉しそうなYoさんは続けてリトルのbethlehem盤を取り出して、if I should lose you をセレクトした。うん・・・いい。「やっぱりiPODで聴くよりいいな」と僕が言うとkonkenさん、ひと言「当たり前じゃん」Bcp_6061_l
どちらの演奏も、本当にスローなバラードである。一拍をカウントしてみると明らかに1秒より遅い。♪=60以下の超スローなテンポだ。
リトルはバック陣にきっちり淡々と伴奏させながら、悠々とじっくりとメロディを吹く。ほとんど崩さない。しかし不思議に味がある。リトルの音色・・・とても抜けのいい感じで、どちらかというジャズっぽくない音色とも言えそうだが・・・どこかしら、わずかな翳りがある・・・ようにも感じる。それは説明しづらい何かであって・・・妙な言い方になるが、黒人全般に一般的には似合うはずのブルース感覚とはちょっと違う感性のトランペッターであるような気がする。そしてその「翳り」とバラードはよく似合う。ブッカー・リトルという人、どうにもバラードがいいじゃないか。

Dscn2490bassclef~
Jimmy Woods/Conflict(contemporary)ステレオ盤。 conflict
右側からタッカーのザックリした切れ込み鋭い戦闘ベースが、たっぷりと鳴る。いつになくハードボイルドな感じの増したハロルド・ランドもいい。やや左側から鳴るカーメル・ジョーンズも覇気のある音色だ。そしてピアノは ・・・なんとアンドリュー・ヒル。ヒルが弾くストレーと なブルースも面白い。Dscn2492リーダーのウッズのアルトは、ちょっとクセのある粗野な感じだが、もちろん嫌いではない。ウネりながら巻き込むような吹き方は・・・ちょっとドルフィ的でもある。そしてもちろんエルヴィンもいい(笑)ドッカ~ンと響くドラムサウンドがこのレーベルの端正な感じの音で鳴るのも実に悪くない。

Miles Davis/Round Midnight(columbia CLモノラル6つ目) round midnight 
ここでいつもの聴き比べ病が出る(笑)Columbiaはスタンパー違いで音が違いが大きいと言われているが、そういえば実際に試したことはない。このRound Midnight・・・同じモノラル6つ目をYoさんもお持ちで、じゃあマトリクスを見てみよう・・・僕のはジャケはぼろぼろだが(笑)盤は1C。Yoさんのは1J。CとJなら違うと思うよ・・・と、Yoさん。
Dscn2493聴き比べの時は、僕はウッドベースの音(聞こえ方、バランス、音圧感)やシンバルの打音に注目するのだが、columbia録音のシンバルはいつもうんと控えめバランスなのでこの場合、フィリー・ジョーのシンバルであってもあまり参考にならない。そこでウッドベースだ。同じ音を出しているはずのチェンバースのベースでも、Columbia録音の場合、presitigeに比べると低音を厚めしたような感じがあり、僕の場合は、ややギスギスした感じのprestigeでのベース音よりも、ややソフトな感じのcolumbiaの方が好みではある。Dscn2489
さて、この2枚を続けて掛けてみると・・・・・・その雄大に鳴るチェンバースのベース音・・・その輪郭においてやはり1Cの方がよりくっきりした音圧感で鳴ったようだ。ベース以外には特に大きな違いは感じなかったが、全体をパッと聴いた印象として、1Cスタンパーの方が色艶が濃いというか鮮度感が高いように聞こえた。やはり・・・Columbiaレーベルではスタンパー違いによる音質の違い(鮮度感)というものがあるのかもしれない。むろんタイトルによってその差異は様々だろう。

Kenny Clarke/(Telefunken Bluesと同内容の12inch盤)から solor
アルトがFrank Morgan・・・ここでPaPaさんが鋭く反応。
PaPaさん~
僕がモーガンの名を出すと、PaPaさん、すかさず1枚のレコードを取り出す。おおっ、GNPのフランク・モーガンだ!盤を出すと鮮やかな赤。
Cimg5658_2Frank Morgan(GNP)赤盤 the nearness of you

《GNP盤写真2点~PaPaさん提供》
モーガンのアルトは・・・う~ん、これは好みが分かれるだろうな・・・ちょっと軽い音色でフレーズの語尾をミョ~!ミォ~!としゃくるような感じ。どこかの解説で「名古屋弁のアルト吹き」という表現があった。素晴らしい!(笑) ちょっと、ソニー・クリスにも似ているな・・・と思ったら、PaPaさん、次にソニー・クリスを出してきた(笑) Cimg5663さすが・・・パーカー以後のアルト吹き全般に精通しているPaPaさんだ。セレクトにテーマがある。
Sonny Criss/Up Up and Away(prestige) 紺イカリラベル から sunny

この「サニー」はもちろんあの有名ポピュラー曲。録音が1967年なので、当時のジャズロック調まっしぐら。何の衒(てら)いもなく、当時のヒット曲を料理しているようで、それは案外、クリスの持ち味であるちょっと軽いポップな感じと合っているのかもしれない。
そういえば、PaPaさんと僕が思わず微笑んでしまった場面もあった。フランク・モーガンだけでなく、もう一人、ディック・ジョンソンというアルト吹きをセレクトしてきたのだが、2人ともemarcyではなく、riversideのMost Likelyを持ってきたのだ(笑) この時、音はかけなかったが、なにか1曲となったら・・・たぶんPaPaさんも 静かにバラードで吹かれる the end of a love affair を選んだであろう。

denpouさん~
ちょっとマイナーなピアノトリオを本線とするdenpouさんではあるが、この日はピアノ主役ではない10インチ盤をいくつか持ってこられた。

Dscn0301 《写真~denpouさん提供》
Georgie Auld / (discovery:10inch) here's that rainy day
darn that dream
ジョージ・オールド・・・いや、古い日本盤ではこの人の名をりをちゃんと「ジョージイ・オウルド」と表記してあったぞ。GeorgeではなくGeorgieという綴(つづ)りに注目したのだろう。
スイング時代のビッグバンドっぽいサウンドをバックにゆったりと吹くこのテナー吹き。コーニイ(古くさい)な感じがまったく・・・悪くない(笑)
古いテナー吹きをけっこう好きな僕も、もちろんジョージイ・オールドを嫌いではない。Cimg5664_2そういえば何か10インチ盤を持ってたけど・・・などと言っていると、PaPaさんが自分のレコードバッグからすうっ~と見せてくれたのは・・・roostの10インチ盤。「おおっ、これだ!」
それにしても・・・PaPaさん、なんでも持っている(笑) Cimg5665_3 このroyal roost盤・・・面白いのは、裏ジャケットが無地・・・一文字も入ってない、無地の青一色であることだ。 さっぱりしていいじゃないか。そういえば、スタン・ゲッツの10インチも同じように裏ジャケットは無地だったかな。 当時のroyal roostさん・・・デザインとしての無地だったのか、単なる手抜きなのか(笑)
《royal roostのオウルド写真2点~PaPaさん提供》

さて・・・オウルドの10インチ盤から、here's that rainy dayという好きな曲がかかったので、僕はあのレコードを想い出した。あれ・・・エルヴィンとリチャード・デイヴィスのimpulse盤 Heavy Soundsだ。 As9160_jあれは・・・フランク・フォスターの堂々としたバラード吹奏がたまらなく魅力的なのだ。このレコード・・・拙ブログ夢レコでも小話題になったことがある。それは・・・録音のバランスとしてのリズムセクションの捉えられ方についてのコメントで、そのバランスがこのHeavy Soundsでは明らかにベース、ドラムスが大きすぎるというのがYoさん意見だった。今回、here's that rainy dayつながりだったが、Yoさんお持ちのそのimpulse盤(これは赤黒ラベルが初版)を聴いてみた。As9160_l右チャンネルからリチャード・デイヴィスの芯のある強いピチカット音が・・・かなり大きな音で鳴りまくる。 う~ん・・・これは・・・確かに大きい。フランク・フォスターのテナーが主役なのだが、音量バランス、それに弾き方そのものが管に負けないくらい「主張する音」となっている。僕はデイヴィスの音は強くて大きい~と認識しているので、僕としては「大きくても」問題ない(笑)ただ・・・一般的にみて、ジャズ録音における管とリズムセクションのバランスにおいては・・・少々、出すぎかな(笑)まあでもこのレコードはエルヴィンとリチャード・デイヴィスのリーダー作ということでもあるのだから・・・ヴァン・ゲルダーがあえてそういうバランスにしたとも考えられる。《Heavy Sounds写真2点~Yoさん提供》

Dscn0243_2《写真~ denpouさん提供》
Max Bennett~おおっ!あのシマウマだ!この10インチ盤・・・ただ、シマウマが2匹いるだけなのに、どうにもいいジャケットだ。denpouさんのこの手持ち盤はコンディションもいい。ジャケット表のコーティングもキレイでシマウマのオシリも艶々している(笑)
ベツレヘムというと名前が浮かんでくる女性ヴォーカルに、ヘレン・カーという人がいる。ヘレン・カーのリーダーアルバムとしては、10インチでは<ビルの一部屋に明かり>、12インチでは<浜辺に寝そべる2人>がよく知られているが、この「シマウマ」にも2曲だけヘレンの唄が入っている。konkenさんのリクエストもあり、この10インチ盤から ヘレンカーの歌入り(they say )を聴く。カーさん・・・声質にはやや低めで落ち着いた感じで、ビリーホリデイみたいに、しゃくったような歌い方もするが、わりと甘えたような唄う口でもある。そのカーの歌も悪くないのだが、ここはやはり間奏に出てくる、「おお、このアルトは?」くらいにハッとする鮮烈なアルトの音色に痺れる。そう、チャーリー・マリアーノである。マリアーノは唄伴でも遠慮しない。ここぞ・・・という感じで自分の唄を出しまくる。特に50年代の彼は激情マリアーノだ(笑)Dscn2504
ちなみにこの「シマウマ」(Max Bennett)は、それはそれは高価なのである(笑)でも同じ音源(8曲)をどうしても・・・という場合は、12インチではMax Bennett Plays(BCP-50)でも聴かれます。この辺りのbethlehem盤はどれもいいです。僕はマリアーノ目当てで集めました。

konkenさん~
Peggie Lee/Black Coffee(UK brunswick:10inch)
何年か前に杜のお仲間でも小話題になり何度か登場した10インチ盤。今回、ジャケット・盤ともコンディションのいいものをkonkenさんが入手。う~ん、やっぱりいい音だ。米Decca10インチと続けて聴いてみると・・・ペギーの声の鮮烈さ、バック伴奏陣のクリアさなど・・・やはりUK10インチに軍配が上がるようだ。ついでに米Deccaの12インチ盤も聴くとこちらの方がすっきりとしたいい感じなので、どうやら米Decca10インチ盤にはカッティングレベル(低い)も含めてプレス品質の問題があるかもしれない。

リキさん~
ロスアンゼルス交響楽団/Candide(Decca) バーンステインOverture ミュージカル音楽を豪快に爽快に楽しく聴かせてくれる。それにしてもこういう壮大になるオーケストラはYoさん宅の大きなスピーカーで聴くと理屈ぬきに楽しめる。

こんな具合にあれこれと連想ゲームのように飛び出てくる皆さんのお勧め盤を楽しんでいると、いくら時間があっても足らないなあ・・・という気分になるわけである。そんな中、でもやはり「レーベル興味」の音比べも楽しみたい・・・というのが、Yoさんと僕の病気である(笑)
こういう音聴き会の前にYoさんとメールやりとりしていると、そんな「レーベル話題」に関して何かしらテーマらしきものが浮かび上がってくる。
今回は・・・United Artistsである。以前から僕らの集まりで「UAのステレオ盤とモノラル盤」の話題になることがけっこうあった。具体的には・・・UAのいくつかのタイトルにおいては~<どうやらステレオ盤の方がモノラル盤より音がいい>ということで、まあもっともそれは、Yoさんと僕がチラチラと主張していただけで(笑)検証タイトルがなかなか揃わないこともあって、実際の聴き比べまでは話しが進まなかった。(Yoさんはだいぶ前から同タイトルで両種揃えていたようだ:笑)
僕が最初に、そのUAのステレオ/モノラルの音質違いに気づいたのは、アイリーン・クラールのBand & Iの2種を聴き比べた時だ。アイリーン・クラールは僕にとっては数少ないヴォーカルもの集めたい人で、このUA盤は5年ほど前だったか、先にモノラル(赤ラベル)その半年ほど後にステレオ盤(青ラベル)と入手した。そうして後から手に入れたステレオ盤を聴いて・・・僕は驚いた。「音の抜けが全然違う!」
このBand & I はバックがビッグバンド風なので、まあ簡単に言うとたくさんの音がバックで鳴っている。その大きな響きの様が、赤ラベル(モノラル)では、詰まったような感じで、なにやら暑苦しい感じが濃厚だったのである。アイリーン・クラールの声そのものにそれほど差はないようだったが、パッと聴いた時に、クラール独特のあの爽やかさ、軽やかさみたいな感じがモノラル盤では味わえなかったとも言える。
ステレオ盤では、バックのバンドの音群がそれはもうパア~ッと抜けて・・・「抜け」というのは、僕の中ではけっこうキーワードなのだが・・・説明しづらいのだが、周波数的に高音が出ているとかいう意味合いだけでなく、その鳴り方の「空気間」というか、その場で(録音現場)鳴り響いた音響の「感じ」が、よりリアルに捉えられている・・・というような意味合いで「抜けがいい」と表わしているつもりではある。
Dscn2494 Yoさんは、3年ほど前だったか・・・konkenさんお勧めのMotor City Sceneのキング国内盤ステレオを聴いて、その演奏を気に入り即座にそのオリジナル盤(モノラル)を入手した。ところが・・・どうも「違うなあ」ということで、国内盤であってもあのステレオ盤の方が遥かにいい音だった・・・という冷静な判断を下したらしい。そうしていつの間にか・・・Motor City SceneのUAステレオ盤(青ラベル)を入手していたのである(笑)
僕もクラール盤で感じていたことなので、UAの赤/青についてはまったく同感だった。そんな経緯もあって、Yoさんとは何度か「UA~United Aritistsは青ラベルだよね」みたいな会話をしていたわけである。Dscn2495
僕もまたkonkenさんのキング盤「モーター・シティ・シーン」を何度か聴いて、実に欲しい1枚だったのだが、わりと最近、ステレオ盤を入手して、その良さに満足しているところだ。4曲どれも良いのだが、特にA面2曲目 minor on top で出てくるぶっとい音のベースソロが気に入っている。ベースはポール・チェンバース。彼のいかにも大きそうな音が・・・そうだな、プレスティッジほど硬くなく、コロムビアほど柔らかくなく、適度な芯と適度に豊かな拡がりを保ちながらしっかりと芯のある素晴らしい音色で捉えられている。UAの録音エンジニアはあまり話題にならないが、なかなか素晴らしい録音だと思う。そのA面2曲目~ minor on topを掛けてもらった。
う~ん・・・素晴らしい!艶のある音色で細かいことをやらずに余裕たっぷりに吹くサド・ジョーンズ、それからいつものことながら、小気味いいシングルートーンを適度なアクセントを付けながらサラッと弾くトミー・フラナガン、そしていつもよりちょっと抑えた感じの、つまり・・・全編ブラッシュでリズムを刻むエルヴィン・ジョーンズ、そしてさきほど言ったポール・チェンバースのでかい音像のベースがやや左チャンネル辺りから響き渡る。いやあ・・・素晴らしい!Yoさんのウーレイから鳴る「抜けのいいベース音」も快感である。
この1曲があまりに素晴らしくて・・・赤ラベル(モノラル盤)と聴き比べることなど忘れてしまった(笑)
Uajs_15003_j_2《UJASステレオ盤の写真2点~Yoさん提供》
その替わりにというわけでもないのだが、今回、意図して持ってきたレコードが、Undercurrent(UA)である。同じUAでも・・・この作品は「サックス吹きラベル」である。Uajs_15003_l
   これについては・・・Yoさんがステレオ盤(UJAS~、僕がモノラル盤(UJA~)を持っており、僕はわりと最近、このモノラル盤を聴いて・・・その音の感じにやや違和感を覚えていた。ひと言で言うと「強すぎる」という感じがあったのだ。Yoさんとはメールではある程度、音の様相までのやりとりをしたが、やはり・・・音は聴かねばダメだ(笑)
7人が集まった会ではあるが、同音源の聴き比べにはあまり興味のない方も多いと思われるので、僕はちょっと遠慮気味にではあるが「ちょっとこれを・・・」と言って、灰色一色の暗いジャケット~モノラル盤:Undercurrentを取り出した。「ああ、それ、やりまひょか:笑」微妙に関西弁のYoさんが応えた。このUndercurrent・・・1978年だったか国内盤を入手した以来、僕はもう大好きでそのキング盤(ステレオ)を聴きまくってきた。あまり良好とは思えない録音(ちょっと弱い感じ)の音ではあったが、しかし、それは繊細に絡み合う2人の音世界に合っている・・・とも思えた。

<UnderCurrent モノラル盤/ステレオ盤から my funny valentine を聴き比べした後、Yoさんとのメールやりとり>Dscn2497
basslcef~
UAモノの方は「優雅で繊細」とだけ思っていた二人のデュオに、相当な力強さを感じました。エヴァンスのピアノがかなり近い音で入っていて(音量レベルそのものも大きいような感じ)かなり強いタッチに聞こえます。ガッツあるデュオ・・・という感じにも聴けました。
(ステレオ盤を聴いてみての印象)
やっぱり、青のステレオ盤、ある種、柔らかさが気持ちよく、そしてギター、ピアノのタッチの強弱感もよく出ていてよかったですね。エヴァンス、ホールのデュオ音楽としては、モノ盤のピアノは強すぎで繊細さに欠けた感じがありますね。楽器が二つだけのためか、他のUA作品でのステレオ、モノラルほどの音の落差はなかったようですが。同じサックス吹きセンターラベルでも、違い(ステレオはグレイ、モノラルはやや黄色がかった感じ)があることが判りました

Yoさん~
エバンス&ホールの件、UA盤はステレオとUK盤のモノがあります。UKモノはbassclefさんのモノオリジと同じようにカッティングレベルも高く、力感がありますが、ちょっと厚ぼったい感じがします。ステレオはちょっとレベル低めですが、透明感と力感が上手くバランスして好きです。
(USモノ盤を聴いてみての印象)
Undercurrentモノ盤は音自体は悪く無いのですが、仰るとおり「強い」という感じがあのDuoには似合わないように感じました。私は元々「DuoなんだからStereoが良いに決まっている:笑」と言う事で買ったのです。同じところから2人出てくるのは嫌いなので・・・(笑)

《この「黄色がかったモノラルラベル」については・・・Yoさんからも「モノラルでも普通はステレオと同じグレイ(灰色)だと思います」との情報をいただいた。僕の手持ちモノラル盤のラベルは・・・どう見ても黄色っぽい。これはいったい・・・? ひょっとしたら非US盤かも?と心配になった僕は、ジャケット、ラベルを仔細にチェックしてみたが・・・カナダ盤、オーストラリア盤、アルゼンチン盤などという表記はどこにもなかった。よかった(笑)》

Dscn2499《追記》
「アンダーカレント」という作品~
ステレオとモノラルの音の質感のことばかり書いてしまったので、その音楽の中身についても少し触れたい。デュオという形態は・・・難しい。その2人の個性を好きなら、ある意味、その人の手癖・足癖までたっぷりと見られるわけで面白いとも言えるが、ジャズはやはりリズム(ビート感)だ!という気持ちで聴くと・・・確かにデュオというのはあまり面白くない場合もけっこうありそうだ。
さて、エヴァンスとホールのデュオ・・・これは・・・僕は本当に凄いと思う。もちろんその前に、本当に好きだ(笑) その「凄い」は突き詰めていくと・・・やはりこのレコードのA面1曲目~my funny valentine の凄さなのだ。ごく一般的に言うと・・・ピアノとギターというのは、本来(器楽的な面として)ジャズでは相性が悪い。ハーモニーを出し、メロディも出し・・・という機能面で似ているので、出した時のサウンドとして「カブル」(被る~音が重なってしまってハーモニーが引き立たないというか・・・そいういうニュアンスで相性が悪いと・・・いう面は確かにあると思う。
この「アンダーカレント」は、ある意味・・・そうした器楽上の困難さに、ビル・エヴァンスとジム・ホールという2人の名人(白人技巧派として)が挑戦した・・・そんなレコードだと僕は思う。そうしてそんな2人の何が凄いのか・・・というと、それは「鋭すぎるリズム感の交歓、いや、せめぎ合い」ということになるかと思う。 my funny valentineは、普通の場合・・・スローバラードで演奏される。しかし、このテイクは違う。1分=180~200ほどと思われる急速調である。いきなりエヴァンスの引くメロディからスタカートをバリバリと掛けてキビキビしたテキパキした硬質my funny valentineなのである。ドラムスとベースがいないので、たしかに・・・なにやら疲れる。というより、普通のジャズだったら、あるはずの「聞こえるビート」「聞こえるタイム」がないのだ!これは・・・困る(笑) 落ち着かない(笑)フワフワしちゃう(笑)
しかし・・・これは2人の音楽的チャレンジでもあるのだ。ビートとタイムは今、聴いている自分が発現すればいいのである。アタマの中でも、あるいは手を膝に叩いたスラッピングでも何でもいいので、カウントを取って聞こえてくるビートに合わせてみる・・・そうすると2人の演っている「音」というのが、いかに凄いか・・・判ってくる。
このmy funny valentine・・・聴いていてグッ、グッと突んのめっていくような感じを受けないだろうか。この音楽が好みでない方にしてみれば、セカセカした感じと言ってもいいかもしれない。それはおそらく・・・テンポが速いからだけでなく、2人のノリ方が当たり前に「乗る」4ビートではないからのだ。小節のアタマ(4拍の1拍目)を、あえて外したようなフレージング。2拍・4拍のノリをあえて外したようなリズムのコンピング(相手がソロを弾いている時にバックに差し入れる和音) 2人はそのコンピングをどうやら1拍半(1.5拍)
のタイミングで入れているようだが、それを意地になって連続してくる。そしてその「1.5拍」は強烈なシンコペーションにもなってくるのだ。
<2小節8拍を~2・2・2・2(2x4=8)と2拍づつ刻むのではなく、例えば、1.5・1.5・1.5・1.5+2(この最後の2拍を1.5+0.5の場合もある)と
刻む。いや・・・この考えを倍の4小節(16拍)まで引き伸ばして、その間、延々と1.5拍攻撃を続けている場面さえあるようだ>
う~ん・・・こりゃ、聴いててもホント、どこがどこやら判らなくなる(笑) しかし・・・この2人はこの曲のどこで何をどうやっても、コーラスの進行を寸分違(たが)えずに音楽を進めていく。確固たる信念を持って先鋭的なリズムのやりとりを進めていく2人の厳しい佇まいに、僕は思わず身を硬くしてしまう・・・それくらいこの my funny valentineは凄い・・・と思う。そんな2人の緊迫したやりとりが、ひと山越えると、今度は、ジム・ホールがその真骨頂を見せる。エヴァンスのピアノのソロの途中、ホールはギターで4ビートを演ってしまうのだ。いや、ジャズを4ビートで演るのは当たり前だが、そうじゃない。よくあるようにベースの替わりをギターの低音部シングルトーンで弾くのでもない。ギターのコード(和音)を弾きながらそのまま4ビートを表出してしまうのだ!「なんだ、これは!」最初にこのレコードを聴いた時、その「和音の4ビートカッティング」に僕はブッとンだ。これは・・・ちょっとギターを弾いたことのある人ならば・・・同様に感じるであろう、ある意味「ショッキングなサウンド」なのである。そしてもっと凄いと思うのは・・・ジム・ホールという人がその「和音の4ビートカッティング」の音量を、微妙に抑え加減にして、なんというか技巧的に凄いというだけでなく、その技術をちゃんと音楽的なものにしてしまっていることなのだ。このジム・ホールは・・・本当に凄い、いや、素晴らしい。なお、いつもの僕の妄想では(笑)この「4ビートカッティング」が鳴り始めた瞬間、ピアノのビル・エヴァンスは、グッと目を見開いた。そうしてほんの一瞬、間を取ったが、その素晴らしいアイディアとサウンドに嬉しくなり、「よしっ!それならばオレもグイグイいくぜ」と鋭いフレージングに切り込んでいったのだ・・・。
*この「アンダーカレント」については、コメントも頂いたyositakaさんがご自身のブログでも触れてくれた。「2人のデュオ」という観点で素晴らしい表現をされている。
http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun/32543379.html
このアドレスでご覧ください。bassclefもコメントをしました。その補足として、この追記を載せました。

UA盤話題で何度となく言葉になった、その「抜けの良さ」は、アイリーン・クラール、Motor City Scean、Undercurrent以外のタイトルでも実感していた。それは、有名なアート・ファーマーのModern Art。2ヶ月ほど前だったか、いつも2人でレコード聴きをするrecooayajiさんのモノラル盤と僕のステレオ盤で聴き比べた際、モノラル盤では引っ込み気味だったベースとドラムスが、ステレオ盤では、スパ~ッと抜けたように、大きな響きになり、しかもそれはふやけた感じではなく、しっかりした音圧感を伴った鳴りに聞こえたのである。
通常の場合、モノラル盤志向のrecooyajiさんであっても、レーベルによってはステレオ盤の方がいいのかな?・・・という見識もお持ちだ。つまり・・・いい録音のステレオ盤には偏見はない(笑) 実際、同タイトル2種(Art)を聴き比べてみて、これだけ「ベースの出方、ドラムの鳴り方が違ってくると・・・これはやっぱりステレオ盤の方がいいね」という場面もあったりで近頃は、僕らの仲間でも「UAはステレオ」がちょっとしたキーワードともなっている(笑)

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2010年1月 2日 (土)

<ジャズ回想 第22回>コルトレーン~1963年のmy fevorite things

これは誰にとっても同じかと思うのだが・・・レコードを集め始めの頃はそんなに次々には買えないから、持っているレコードをそれはもう一生懸命に聴くのである。
1972年・・・僕のコルトレーン体験としては~
monk's music(abc Riverside茶色ラベル)
kind of blue(CBSソニー:1800円定価)
coltran(ビクター1100円盤:1972年)
two trumpets & two tenors(ビクター:1968年頃の1500円定価盤)
~と、こんな順でレコードを入手していった。そうして、これらの1枚1枚をたっぷりと聴いて、どうやらコルトレーンという人の音色を覚えたようなのだが・・・その頃、まだ my fevorite thingsを聴いてはいなかった。そして、どんなコルトレーン記事でも絶賛されていた<コルトレーンの my fevorite things>・・・それがどんな音(演奏)なのか気になって仕方ない。
そんなある日「それ」を聴くチャンスがやってきた。そう・・・FMラジオだ。当時はFMラジオの番組をカセットに録音するのが音楽ファンの習性だった。さっそく僕も録音した・・・<1963年のニューポートジャズフェスティヴァルのライブ演奏のmy fevorite things>を。そしてそれを何度も聴いた。Selflessness_2

《そのFMエアチェック音源を聴きまくった後~1976年頃に買った東芝盤》
マッコイの叩き出す和音の繰り返しに酔い、ロイ・へインズの「ガシャッ・ガシャッ」と聞こえるドラムス(スネア)に体を揺らし、そして・・・コルトレーンのソプラノサックスが捻り出してくるような叫びに畏(おそ)れ慄(おのの)きながら、吸い込まれていった。
impulse期のコルトレーンの音楽というのは・・・atlantic期までの端正さとは決定的に違う何かなのだ。それは、僕の解釈では「没入すること」で、その良さが判る音楽なのだ。その音楽(この場合、「音」と言ってもいいかな)だけを集中して聴いていくと・・・自ずと忘我の境地になる。つまり、それがこのLPのタイトルにもなっているSelflessnessということなんだろう。そして何よりもコルトレーン自身がその境地に至るまでアドリブを続けていくと、それは止むに止まれぬ「叫び」となり・・・そうなのだ!それこそが「コルトレーンの唄」なのだ!コルトレーンが叫び終えると・・・ようやく演奏は終る。
ついに聴いた1963年の my fevorite things は、やっぱり凄かった。圧倒的に凄かったのだ!

my fevorite thingsという曲は、ミ・シ・シ/ファ♯・ミ・ミ/シ・ミ・ミ/ファ♯・ミ~/というシンプルなメロディーで始まる。その時のコード(伴奏の和音)はEマイナー(ホ短調)なのだが、曲の後半になると、その同じメロディに対し、コードがEメイジャー(ホ長調)に変わっている。そして、そのメイジャーの和音になった時、不思議な浮遊感が生じるようでもある。この曲・・・そんな具合にさりげなく凝った曲である。こういう曲を創ったリチャード・ロジャーズも偉いが、その曲の面白さを発見したコルトレーンも偉い!(笑)
そうしてコルトレーンは、この曲をジャズとして演奏する際、構成をシンプルにしたかったのだろう・・・テーマのメロディ提示が終った後、コーラス(元々のメロディどおりに小節が進行すること)を繰り返すのではなく、バックの伴奏には「Eマイナー/F♯マイナー」部分だけを延々と繰り返させる。そうしてその音パターンをバックに長いアドリブに入る。それを充分に続けると、一度、テーマの合わせをしてから、今度は「Eメイジャー/F♯マイナー」に移る。コルトレーンは、atlantic期の初演からこの構成を変えていない。同じコードを繰り返すモード的解釈の下、充分にアドリブを吹き尽くすことができるだけでなく、そのコードを短調から長調へ変えることで、サウンドに変化が付けられる。そうしてこの構成が見事だと僕は思うのだ。
さて、リチャード・ロジャーズ作の my fevorite things は、もちろんワルツ(3拍子)なのだが、この3拍子曲へのコルトレーンの解釈・・・これがまた独特なのである。
ピアノやベース、ドラムスの伴奏陣がワルツをごく普通に乗る場合、1小節3拍を『ダン・ダン・ダン』(ダン=1拍)と1拍づつ刻むのだが、(1拍目に4分休符を入れたとしても『(ウン)・ダン・ダン』) マッコイは決してそういう風には弾かない。コルトレーンがテーマのメロディを吹く場面のバックでは『(ン)・ダア~ダ(ン)/(ン)・ダア~ダ(ン)』と小気味良く和音を刻む。そして、先ほどのEマイナー部分で、マッコイがその付点4分音符を2回続けると・・・『ダ~ン・ダ~ン』と聞こえる。このパターンを基本として、後は休符を入れたりしてはいるが、もう頑固的に『ダ~ン・ダ~ン/(ウ)・ダア~~ン』(ダーン=1.5拍、(ウ)=半拍の休符、ダア~~ン=2拍半))の繰り返しなのである。
そうなのだ・・・コルトレーン(バンド)流の3拍子解釈は・・・「付点4分音符の連打」が基本なのである。(つまり 1.5X2=3 ということ)
そしてその独特の3拍子ノリが延々と繰り返される中、コルトレーンのアドリブ(ソプラノサックス)に集中していくと・・・なにやら催眠的効果も生じてくるようでもあり、さきほど言ったような「忘我」を味わうことになるのだ。

さあ・・・「Eメイジャー/F♯マイナー」に移る。それまでのマイナー調から一転して輝くような感じのメイジャー調の響きになると・・・コルトレーンは乗りに乗る。ソプラノサックスの音色とこのEメイジャーの響きが・・・不思議によく合うのだ。長いアドリブの最後の方・・・この辺りからがまったく凄い。ここからは「付点4分音符X2」の連続攻撃だ!
高い方から<シ~・ソ♯~/ミ~・ド♯/シ~・ソ♯~/ミ~・ド♯>と2オクターブかけて降りてくる『パア~・パア~/パア~・パア~』というフレーズを繰り返すコルトレーン!
そのフレーズにマッコイとギャリソンがここぞ!とばかり、その「付点4分音符X2リズム」に合わせてくる~『ダア~・ダア~/ダア~・ダア~』
う~ん・・・もうたまら~ん!これこそコルトレーンの唄なのだ!。歓喜の爆発なのだ!
しかしこの決定的場面で、ロイ・へインズは、そのダア~・ダア~(付点4分音符X2)を、なぜか合わせてこない。
エルヴィンならここは絶対にタメにタメた付点4分を乗っけてくるはずだ。僕の勝手な推測では・・・おそらくロイ・へインズは、敢えてそのエルヴィン風にしなかった・・・のだと思う。それは・・・ヘインズの意地かもしれない(笑)
しかし・・・その直後、コルトレーンがソプラノを打ち震わしたような歓喜フレーズの最後の段階に入ると、ここでロイ・へインズが必殺フレーズ(リズム)を繰り出してくるのだ~
『ダダ・ダダ・ダダ/ダダ・ダダ・ダダ』~3拍子3拍(4分音符3回)に対しての8分音符6回(スタカート気味)~これはもう、一瞬、テンポが加速してしまったかのようなノリなのだが、それはコルトレーンの唄いに感応したへインズの閃(ひらめ)き・・・そして、バンド全体の感じた歓喜への素晴らしいレスポンス(反応)なのだ・・・と僕は思う。ロイ・へインズもやはり凄い。

・・・そんな具合に、僕はmy fevorite thingsを何度も聴き、そしてそのたびに感動した。
考えてみれば・・・あの頃は「オリジナル盤」も「鮮度感」も「録音の良し悪し」も関係ない(笑)ただただ・・・その「音楽」を聴いて、そうして感動していたのだ。
まあそれを単純に言えば・・・ワカゲノイタリということだろうけど(笑)
そうして、今、50才を過ぎた自分が冷静に言うのならば・・・「コルトレーン」という人の音楽は、そういう「没入的」な聴き方に適している・・・とも思う。だから「ジャズ」というものを好きになってきたのなら、たとえカセットで聴いても、その「唄い」に集中していけば、オーディオや録音の拙(まず)さをモノともせず、音楽的な感動に導いてくれる・・・そんなタイプの音楽といえるかもしれない。

ジャズ好きになったからには(いや、そうなっていく経過として・・・)ある時期、コルトレーン音楽(impulse期1961年以降の)に、のめり込むことは、たぶん・・・あってもいい(笑)
もちろんなくてもいいのだけど、コルトレーンを聴く場合の、あのなんというか・・・管楽器の音に集中していく時の~聴き手である自分がその吹いている奏者の気持ちに同化していくような(たとえそれが錯覚だとしても、いいじゃないですか:笑)そんな気持ちを味わう・・・というのも、音楽の聴き方のひとつだと思うのだ。
僕の場合、そういう「コルトレーン聴き」を経て、実はその後、同じテナー奏者なら、ソニー・ロリンズの方により惹かれるようになっていったわけだが、その辺のことはこの記事で。

もちろん僕はコルトレーンを好きだし、今でもたまに聴くと、やっぱり気持ちいい(笑)
ただ僕は最晩年の「アセンション」や「クル・セ・ママ」まで聴き込むほどの本当のコルトレーン好きではない。
わりと聴くレコードも、prestige後期とimpulse初期に片寄っていて・・・苦手なimpulse後期だけでなく、なぜか、atlantic 時代もあまり聴いてない。
私見では、コルトレーンのatlantic時代というのは、どれもが意欲に満ちていてグループとして新しいサウンドをしてはいるが・・・なにか雰囲気が堅いというか、ガチガチに練習したような感じで、どれもが「習作」(impulse初期の充実ぶりから見ると)という感じがするのだ。ただ、その新しいグループサウンドを目指す姿勢~それまでの和音とは別の響きのする、いわば実に「コルトレーン的」なモード曲を造り上げていこうとする~というかその過程自体を好む方がいるのも当然だと思う。事実、サックスを吹く僕の古い友人は「atlantic期のコルトレーンが好きだ」と明言している。
《追記~その古い友人sige君からのメールで、彼自身のコルトレーン体験に触れた一節があったので、その一部を紹介したい。(以下斜体)
~(中略)~若き日(中三)にコルトレーン教と言うか、あの呪術と法悦以外、ジャズはありえないと頑なになっていたこと~(中略)~最初聞いたのがアトランティックの「マイフェバリットシングズ」であり、ビレッジバンガードセッションの「ソフトリー」であり、最後のアルバム「エキスプレッション」でしたので、混沌と浄化と感動という、まあだれでもはまる信者の道一直線だったわけです。ですから、大学一年のとき君に出会い、「コートにスミレを」を紹介され、楽曲を消化し創造するミュージッシャンとしてのコルトレーンという視点を得たことは、オーバーな言い方になってしまいますが、その後のコルトレーンに対する、いやジャズそのものに対する見方が少しずつ変わっていったように思っています。( モンクやミンガスや他にもいろいろあった)
あれから何十年と経ち、コルトレーンミュージックも僕の中では相対化され絶対的なものでなくなり、今はちょっと聞こうかぐらいの存在になってしまったけれど、あのころ夢中で、それもしがみつくように何か救いを求めるように聞いた体験は、どっかに自分の中で生きているのだろうと思います


そうして、その(僕の耳には)ちょっとばかり堅苦しいatlantic時代を経た、impulse初期(特に1961年~1963年までのライブ録音ものは)になると・・・これがいい!
なんというか、理論や構成を学ぶ時期を突き抜けて、演奏そのものが音楽的にも流れが自然でとても聴きやすいのだ。
つまり・・・フォーム(形式)だけに拘らない精神というか、その枠を打ち破ろうとする精神というか・・・とにかくそういうパワー、意気込み、情熱みたいなものを感じるのだ。コルトレーンの音楽の(僕が感じる)美点とはそういうものだと思う。いや、それが一番素晴らしいのは、そういうspirits(精神)が、ただ教条的、あるいは観念的なものに陥らずに、音楽的にもダイナミックな抑揚のあるジャズのビートを保った範囲内での葛藤がある、というか・・・やはりジャズのビート感というのは・・・定型リズム、定型テンポの中での、あの伸び・縮みの感じが素晴らしいのであって(エルヴィン・ジョーンズの良さもそこにある!)そういう観点から見ると、やはり何らかの「枠」は必要なのである。その「枠」に対してのチャレンジ(音楽的な)であるからこそ、そこにダイナミズムが生まれて、それが(音楽的な)快感にもなっていくはず・・・と僕は思うのだ。
なにやら回りくどい言い方になってしまったが、つまるところ、僕にとっての素晴らしいコルトレーンというのは・・・どうやら1963年くらいまでに限定されてしまうようだ。
そうして、1963年7月のニューポートジャズ祭での my fevorite things は・・・こんな小理屈など軽くすっ飛ばして・・・ただただ、素晴らしい。

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2008年8月 8日 (金)

<ジャズ回想 第16回>暑い日にYoさん宅に集まった(その2)

やっぱりロリンズはいい!

今回のYoさん集まりではいろんなジャズ、クラシックを聴いた。ペッパー、ゴードン、マリアーノ、フィル・ウッズの50年代ジャズの後、ちょっと「現代ジャズ」(チコ・フリーマンとアーサー・ブライス)。クラシック(プレヴィンとカラヤンの「惑星」、展覧会の絵、デュプレのチェロ、ラフマニノフの3番、チョン・キョンファのバッハ曲など)も聴いた。マイルスやフランクロソリーノ、MODEレーベルのミニ特集、「my one & only love」の聴き比べ、それから、ロック(ツェッペリンの何か)も少し。もちろん女性ヴォーカルもいくつか聴いた。エセル・エニスのChange of Scenery(capitol)、リタ・オビンク(オランダの歌手)、エリス・レジーナ。さらに、サラ・ヴォーンとクリフォード・ブラウンのemarcy盤~ブルーバック、ブラックバック、カナダ盤、日本盤BOXセット(デジタル・リマスター)~の聴き比べ。これはなかなか面白かった。
いつものことだが、こうした音聴き会を終えると、いろんな音楽の様相~そのイメージみたいなもの~がアタマの中を渦巻いて、たいていその日の夜はうまく寝付けない。翌日もなにやらぼお~ッとした感じなのだが、それは「心地よい疲れ」でもあり、なかなか悪くない。そうして、ちょっと落ち着いてから、会で聴いた曲を改めて自分の手持ち盤で聴いてみると、その曲を聴いた時の感触がリアルに甦ってくるのだ。そんな具合で、混沌としていた音たちのイメージが整理されてくると・・・その日の音盤たちを記録しておきたくなるのが僕の病気だ(笑) どのレコードもいいものばかりなので「全て」を書き残しておきたい気持ちもあるのだが、今回の(その2では)ジャズ盤で印象に残っているものをいくつか書いてみたい。

《以下の写真~「橋」以外は全てYoさん提供》
Prst_7677_j Yoさんが「じゃあ、エルヴィンを」と言って針を落とす。張りのあるテナーとバリトンの野太い音。この両者とエルヴィンのドラムスが絡みあうようなテーマの曲だ。たしかに聴いたことのあるサウンドだが、うう・・・これはエルヴィンのbluenote盤かな? いや、ちょっとbluenoteとは感じが違うようだ。それとこのバリトンは・・・bluenoteのエルヴィンにバリトン入りなんてあったかな? そうか、このバリトン・・・ペッパー・アダムスか。となると・・・あっ、そうだ・・・アダムスのプレスティッジ盤、ズート入りのあれだ!「これ、エンカウンター?」と聴くと、Yoさんが「うん」と、ジャケットを見せてくれた。このレコード・・・僕は何かの再発盤で持っているのだが、ズート目当てに聴いたわりには、そのズートがいつもの柔らかい感じとは違っているような印象を持っていた。たしかにこのズート・・・いつもよりバリバリと吹いているみたいで、ちょっと新しい世代のテナーみたいに聞こえなくもない。エルヴィンと演っているためか、1968年の演奏なので、ズートのスタイルもちょっと変わってきているのか。聴いた曲は in and out。ブルースっぽい曲だが、バリトン、テナー、それからピアノ(トミー・フラナガン)が1コーラス(12小節)づつソロを取るのだが、どのコーラスでもエルヴィンがブレイクを取る。その4小節の間、ソロ奏者は「バッキングのリズムなし」でアドリブしなくてはならない。このブレイクがあまりにも頻繁なので、最初は新鮮に感じたその「ストップ感」がちょっとくどい感じもしないではない(笑)Prst_7677
それにしても、エルヴィンのシンバルの・・・いや、スネアやらバスドラ、それら全体から湧き上がってくるような「鳴り」は・・・凄い。ただ、もともと「ドカ~ン!」と鳴るエルヴィンの「響きの全体」に、ちょっと「エコー」が掛かり過ぎていて、量感は凄いがややタイトさに欠けるようにも感じる。1968年12月の録音。そんな「エコー感」からも、engineerは・・・ヴァン・ゲルダーだと思い込んでいたのだが・・・今、手元にある米fantasy再発盤(日本ビクタートレーディング)の裏ジャケットには、Tommy Nolaと表記されていた。

もう1枚、エルヴィン絡みで聴いたのは~As9160_j
Heavy Sounds(impulse) このimpulse盤は1967年発売なので、センターラベルは「赤・黒」がオリジナルとのことだ。これは好きなレコードだ。テナーがフランク・フォスター・・・特にフォスターという人を聴き込んではいないのだが、このレコードを聴くたびに「いいテナ ーだなあ」と思ってしまう。そしてこのimpulse盤、何がいいかって・・・ベースのリチャード・デイビスがいいのである。まずギュッと締まったベースの音色が心地いい。それから、デイビスのグイグイッと引っ張るようなビート感も、そして、ソロを取るときのガッツ溢れる「唄おうとするマインド」も素晴らしい。
そういえば、リチャード・デイビスを一度だけ見た。新宿ピットインで森山威夫のライブが終わった後に、翌日行われる<リチャード・デイビスmeets 森山威夫、板橋文夫>の公開リハーサルなるものを1時間ほど見ることができたのだ。あれは・・・たしか翌日にソニー・ロリンズを渋谷公会堂で見た時なので・・・1981年だったように記憶している。As9160_2
椅子とかは片付けられてしまい、それでも残った熱心なファンが注目する中、そのリハーサルが始まる。ところが、リチャード・デイビスのベースの音は・・・細くてペンペンだった(笑) レコードで聴くあの強靭さがほとんど感じられないその貧弱な音色に、僕はもう本当にがっかりしてしまった。ところが、デイビスが10分、20分と弾き込むにつれ・・・ベースの音が徐々に「深く」なってきたようなのだ。弾き込むことでベース自体が鳴るようになってきたのか、あるいはアンプの調整をうまく合わせてきたのか、とにかく「いい音」になってきた。リハーサルなので、テーマとエンディングの合わせくらいで、ベースもソロなどほとんど取らないのだが・・・なんというか、マグマの地熱のように吹き出てきて、演奏が「徐々に熱くなってくる」ような感じだった。あの独特なグルーブ感は・・・デイビス自身の持つ底の知れないジャズマインド~そのマインドの深さが生み出す凄さだったのかもしれない。リハーサルであの具合なら・・・これは本番では、さぞや・・・と思わせてくれるリチャード・デイビスであった。
ちなみに、私見では、この日、いくつか聴いたチコ・フリーマンとの名コンビのべーシスト~セシル・マクビーとよく似たタイプだと思う。音色の質、ビート感、マインド・・・好きなタイプのべーシストである。
さて、このHeavy SoundsからYoさんが選んだのは~shiny stockings。これは文句なく、いい曲だあ!(笑)この有名曲・・・実はフランク・フォスター自身の作曲である。
Heavy Sounds(impulse)は、先ほどのEncounter(presitge)とほぼ同時代の録音なのだが、「録音」という観点で比べると、僕はこのHeavy Soundsの方が、うんと好きだ。フォスターの(たぶん)しっとりした音色も自然な味わいだし、デイビスのベースのタイト感もよく録れている。そして何よりもエルヴィンのドラムス・・・その全体の鳴りが~もちろん「でっかい鳴り」ではあるが、過剰な強調感がない(ように感じる) こちらもimpulseなので、録音はVan Gelderかと思いきや・・・今、僕の手持ち盤(再発のグリーンラベル)でチェックすると、Bob Simpsonだった。この人、オスカー・ピーターソンの「リクエスト」の名エンジニアである。

Lps_2 ロリンズの「橋」をかけてもらった。このレコード・・・僕は長い間、日本盤で聴いていたのだが、ようやくRCA VictorのLSP盤(ステレオ)を入手した。自分の荒っぽい装置で聴いても「かなりの鮮度感」と思ったので、ぜひYoさん宅のいい装置で聴いてみたかったのだ。
where are you?を聴く。ロリンズのテナーの音が、その音の輪郭がググ~ッと余韻を持って拡がる。「エコー」で拡がるのではなく、ロリンズ自身がおそらくテナーを揺らして音色の音場を拡げている・・・そんなソノリティ(「音の響き具合」というような意味合いか)を感じる。時に、ロリンズが音をベンド(音程を微妙に上げ下げするような感じ)させる辺りの表現力・・・これには参ってしまう。あの上げ下げは・・・おそらく、マウスピースに通す息をわざと詰まるようにしてベンドさせているのだろう。そんな「小技」だけでなく、とにかく全編がロリンズ独特の音色によるロリンズの「唄」になっている。う~ん・・・これは気持ちいい!このwhere are you? は、ロリンズのバラードでは最高かもしれない。(笑)ジム・ホールの控えめな音量だが、キュッと芯のあるギターもいい音で鳴っている。以前からRCAのステレオ録音は好きだったが、この「橋」は、自然な質感の、しかし充分に音圧感を持った本当にいい録音だと思う。
次に、Yoさん手持ちのモノラル盤も聴いてみる。モノラル盤もやはりいい音だ。つまったような感じもなく、テナーの音も伸びやかに拡がるし、ウッドベースの厚み・音圧感は、やはりモノラル盤の方に分がありそうだ。
私見では、RCA Victorは、モノラル盤でもステレオ盤でも、音質の感じに大きな違いはないように思う。音質の傾向としては、過剰な色づけが少なくて、どの楽器の音もしっかり録られている感じがして、実に聴きやすい音だと思う。録音エンジニアは、Ray Hallだ。RCA Victorステレオ盤のいいところは・・・モノラル盤に比べても各楽器の音圧感がほとんど落ちないまま、ピシッと各楽器が定位されることで、僕はロリンズのテナーが右寄りから振りかぶってくるようなステレオ盤が好みである。

もうひとつ、Yoさん手持ちのロリンズのVictor盤を聴いた。Lsp_3355_j
The Standard(LSP:ステレオ盤~こちらもengineerはRay Hall) である。my one & only loveをかける。実はこの前に、ちょっとした「my one & only love」特集があり、チコ・フリーマン(Beyond The Rain)、リッチー・カムーカ(mode盤)のmy one & only loveを聴いていたのだ。そしてロリンズのこの曲~意外な感じがするが、ピアノがハンコックなのである。
僕は「このmy one、いいんだけれど、ハンコックのピアノがなあ・・・」と隣にいたkonkenさんに言うと・・・「合わないだけじゃないですか?」とクールな反応であった。ロリンズとハンコック・・・確かに「合わない」(笑)たぶん、他ではない取り合わせである。久しぶりに聴いたこのmy one & only love~ ゆったりと音をいつくしむように吹くロリンズはやっぱり素晴らしいじゃないか。良くない印象だったハンコックのピアノも、左手のハーモニーがちょっと「新しい感じ」で僕の好みとはちょっと違うが・・・切れのいいタッチがいい音で録られており、案外に悪くなかった(笑)Lsp_3355
このStandard~これも実にいい音だった! これではRCAのロリンズは全てステレオ盤で揃えたくなってしまう。そういえば、ブログ仲間のbsさん<Blue Spirits>で、うんと以前から「RCA期のロリンズは凄い。ぜひステレオ盤で聴いてほしい」という内容の記事を書かれていた。今回、「橋」と「スタンダーズ」のステレオ盤を続けて聴いてみて、bsさんの得たであろう感触を実感できた。
そして、もっと実感したのは・・・僕はやっぱり、ソニー・ロリンズを大好きなんだ!ということかもしれない(笑) 

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2008年6月 4日 (水)

<ジャズ回想 第14回>4回目の白馬は雨降りだった。

2008年5月~杜の会in白馬

毎年、この時期になると、ひとつ楽しみなことがある。長野県白馬で行われるニーノニーノさん主催の「杜の会in白馬」である。2005年の第1回から数えてもう4回目だ。今年は、関西からのYoさん、Musashi no papaさんに、愛知・静岡組の~recooyajiさん、konkenさん、マント・ケヌーマーさん、そして僕:bassclef~6人が合流してのクルマ旅となった。1369astaire
5月24日(土)集合場所の伊勢湾自動車道「刈谷ハイウエー・オアシス」にて、うまく合流できた我々6名は「やあやあ」と挨拶を交わす。papaさんとは3月の藤井寺以来だが、recooyajiさんとマントさんは、papaさんと初対面となる。「杜」で知り合ったお仲間が初対面する時・・・ちょっとおもしろい現象が起きる。「~です」と事前に聞いていたはずの名字を言いあっても、なかなかピンとこないのだ。それで「recooyajiです」と「杜」でのハンドルネイムを発声すると・・・「ああっ、recooyajiさんですかあ!」と、描いていたその人のイメージが、今、目の前にいる生身の人間と劇的にマッチする~という仕組みなのだ(笑) そういえば、2005年に初めて「洗濯船」1Fのあの食堂に入って行った時~すでにほとんどのメンバーが集合しており談笑していた~僕が「bassclefです」と言うなり、皆さん「ああ~っ」と反応してくれたなあ。そして全員(ほとんどの方が初対面)が名字+ハンドルネイムで自己紹介をすると、不思議なほどに打ち解けてしまうのだった。

さて、なごやかになった6名に気合が入る。「いざ、白馬へ!」
最初の運転はpapaさんだ。昨年、僕が失敗した土岐ジャンクションでの<伊勢湾自動車道~中央自動車道>も巧く乗り継ぎ(あたりまえか:笑)中津川の長いトンネルも抜けていく。こういう長いトンネルは6人でワイワイやってると早いけど、1人だと本当に長く感じる。しかもあの「微妙に暗めのオレンジ色」あれがいけない。あんな風にトロ~ンとした色合いでは・・・どうしたって眠くなるじゃないか(笑) Yoさんのワゴン車も3500ccでパワーに余裕があるのだが、papaさんは運転も相当に巧いようで、緩やかに続く登りカーブでもスムースな走りだ。そういえば、さっきYoさんが「papaさんはA級ライセンスを~」と言ってたな。僕は最後列でkonkenさんと隣合わせだ。ちょっと新しめのテナーの音が流れている。「これ、誰だろう?」「判らん」「わりと最近の録音だろうね」てなジャズ雑談。なにしろ、2人とも新しい録音のジャズをほとんど聴いてないのでよく判らないのだ(笑) スピーカーが後列にもあり、けっこう大きめな音量だったので、ちょっとだけヴォリュームを下げてもらった。その時のpapaさんとYoさんの反応で~音を下げろということは、あいつら、マレイを気に入ってないな・・・というような会話に違いない(笑)~このテナーが「デビッド・マレイ」だと判った(笑)そういえば、マレイについては・・・3月のYoさん宅でも、papaさんお勧めの2~3タイトルを聴いたばかりだ(笑)
お昼前までになるべく行けるところまで行っておきましょう~という作戦にしたので、ほとんど休憩を取らない。その内、マレイのCDが一巡したらしく同じ曲が流れるので「そろそろ替えましょう」などと最前列助手席のYoさんにお願いする。後はバルネなど聴きながら・・・あれ、もう松本近くまで来ているじゃないか。朝の集合が早かったこともあるので、梓川SAでちょっと早めのお昼休憩。
次の運転はマントさん。マントさん、仁科三湖辺りのクネクネ道でもけっこう飛ばす。クルマがよく走るので嬉しいのだろう。 マントさんに後から聞くと、あれでも抑え目に走ったと言うところが、ちょっと怖い(笑) だんだんと曇ってきているようで、なんとかガマンしていたような雨が、ついにパラパラと降り始めた。この辺りまで来ると、左側には槍ヶ岳とかの景色が素晴らしく広がるはずなのだが、そんな山々の姿もほとんど見えなくなってしまう。まあいいか・・・どうせ我々は山歩きをしにきたわけではない。
そんなこんなで、2時過ぎには「洗濯船」に到着。幹事役のSPUさんとパラゴンさんが笑顔で出迎えてくれた。会が始まる前に、皆さんのレコードを見せてもらうのも楽しみのひとつだ。僕はpapaさんに声をかけて、papaさんコレクションから見せていただくことにした。papaさん、今回はパーカー10インチを遠慮して(笑)他の貴重盤をたくさん持ってきてくれた。食堂のテーブルにずら~っと並べる。パラゴンさんがヴォーカル好きということで、ヴォーカルの珍しい盤をいくつか~キティ・ホワイトの見たことのない盤(emarcy盤ではない) ピンキーのvantage盤など・・・挙げていけばキリがない。あの辺りだと・・・ヴォーカル好きが見たらマイってしまうだろうな。僕はやはりインスト中心なので、ペッパーのdiscovery 10インチ盤2点にどうしても目がいってしまう(笑) これは・・・聴いてみたい! 食事の後の地下JBLルームでの第3部の時「ぜひ」とお願いした。
そうこうしてると、ワガママおやじさん、Dukeさん、千葉xyzさんも到着した。千葉xyzさんとpapaさんは今回の白馬が初参加だ。「洗濯船」オーナーのMさんも加えて、さあ・・・これで、今回の参加者12名が揃ったじゃないか。御大Dukeさんが一言~「ちょっと早いですが揃ったので始めましょうか」外の雨もだいぶ強くなってきたようだが・・・今から、ひたすらレコード音楽に耳を傾ける我々には関係ないか(笑)

第1部「トーク・タイム」(14:45~17:15)地下JBLルーム
ワガママおやじさんと不肖bassclefのトーク~各1時間づつたっぷりと語らせていただきました(笑) 昨年の「白馬:杜の会」からこの新企画が始まった。事前に指名された方が、60分ほど時間を頂いて、自分の選曲とコメントを皆さんに聴いていただくのである。テーマは全くの自由。昨年の白馬では、洗濯船MさんとYoさん。秋の杜では、パラゴンさん、recooyajiさん、Gamaさんが、この「トークタイム」を通して、自己の音楽原点的心情を吐露したのだった。その秋の杜の宴会の時、パラゴンさんから「2008年白馬トークタイム」のご指名を受けてしまったのだ。
好きなレコード(演奏)を掛ければいいのだよ~と思ってはみても、いざ「お前が好きなようにやれ」と言われると・・・案外、迷うものなのである。それに、あまりマニアックに過ぎるのもなあ・・・などとあれこれ悩んだのだが、結局はジャズジャイアントの隠れた名演~みたいな線でいこうと決めた。白馬直前のワガママおやじさんの「杜」への書き込みでも、同じような迷いがあるらしいことが判った。自分の好みで選曲できる「トーク」は楽しいけど、けっこう大変なのである(笑)

2008_0116s90000013_3 <ワガママおやじさんのトーク>
S&Gの「サウンド・オブ・サイレンス」を巡っての話し~
ポールサイモンが独りで吹き込んだSimon Before Garfunkelというアルバム。確かアメリカでは発売されずに、日本だけで発売許可されたというレコードである。このSimon Before Garfunkelは、僕にとっても思い出の1枚だ。中3の時だったか・・・このCBSソニーのLPを入手して、それはもう聴きまくったものだ。この「サウンド~」ギターのアルペジオで始まるイントロこそ、おなじみのパターンなのだが、唄の出足~hello darkness, my old friend~ポールは、怒ったようなぶっきらぼうな調子で唄い始める。ちょっとボブ・ディラン的というか・・・感情を抑えたようなポールの静かな気迫を感じる唄い出しだ。このレコードでは全曲、伴奏は自分の弾くギターだけ。しかし、そのシンプルさが、かえってポールの音楽(S&Gではなく)の骨格を見事に浮き彫りにしたのかもしれない。唄いながら、ギターを叩き、足を踏んでリズムを取るポール。この「サウンド・オブ・サイレンス」・・・抑えていた彼の内に秘められたいろんな感情がモロに溢れ出てしまったような、素晴らしい唄とギターであった。この「独りS&G」を初めて聴いた方も多いようだったが、誰もが感銘を受けたようだった。このPaul Simon Song Bookについての、ワガママおやじさんの記事はこちら、http://ameblo.jp/d58es/day-20080116.html それと、mono-monoさんの記事http://mono-mono.jugem.jp/?eid=195
67camperさんの記事http://blog.goo.ne.jp/67camper/e/0dfa2c93fde73f44354648646df7d583もおもしろいです。

おやじさんのトーク後半は「後期の2008_0524s90000013_2リー・モーガン」特集だ。1965年のCornbreadから、1968年のCaramba、1971年のBobby Humphrey(女性フルート奏者)への客演、それから映画「真夜中のカウボーイ」のサントラEPなどをかけてくれた。「真夜中~」これ、ハーモニカのトゥーツ・シールマンがメロディを吹いていて、ちょっとムード歌謡っぽいモーガンのトランペットが軽くアドリブする~という珍品。僕はもちろん初めて耳にした。他の4000番台のLPも正直なところ、全て初めて聴いたものばかりだ。僕はどうしても「ハードバップ」的なサウンドが好きなので、1965年の「コーン・ブレッド」での、ちょっと大人しい・・・というより弱々しい、しかし妙に存在感のあるテナーの音色が気に入った。そのテナー奏者は・・・ハンク・モブレイなのであった!
*このワガママおやじさんのトーク内容については、「こだわりの杜」へのご自身の書き込みがありましたので、ここに再掲させていただきます。
(以下斜体字部分)2008_0606s90000004_2
《トーク自体は再現出来ませんが、お聞き頂いた曲を羅列しますね。実はトーク、下原稿ではS&G中心で考えてました。サウンドオブサイレンスの3パターン、ブックエンドから一曲を挟んで明日に架ける橋で、S&Gバージョンとアレサ・フランクリンバージョンを掛けて、JAZZを一曲二曲で組み立てていたのですが、2008_0606s90000005_4 それでは余りにマズかろう云うことで、当日はアンディーウィリアムス一曲とポールサイモン/ソングブックからサウンドオブサイレンスを!
JAZZからは「コーンブレッドとそれ以降のリーモーガン」に焦点を当ててみました。コーンブレットB面。どん底の時期のリーモーガンの演奏からEPミッドナイトカーボーイ。2008_0606s90000002_2キャランバからヘレンズ・リチュア、 そうあのヘレンへ捧げた曲。ボビィーハンフリーのフルートインからサイドワインダーをお聞きいただいて、締めは恩人でもあろうベニーゴルソン・アンド・フィラデラルフィアンズからカルガリー。 この時点で時間オーバーだったので演奏時間の短いカルガリー選んだけど、アフタヌーンインパリの演奏がお勧めです》
《以上5点の写真・盤~ワガママおやじさん提供》

さて、僕:bassclefの方は「ジャズジャイアントの隠れた名演」みたいな流れに決めたのだが、セレクトにあたっては、ちょっとだけ捻って<中編成・ビッグバンドをバックに気持ちよく吹くサックス奏者たち>というのを、一応のテーマとした。トークは1時間という枠があるので、曲順くらいは決めておかないと・・・ということで、ズボラな僕としては珍しく原稿らしきものを用意した。原稿と言っても・・・曲名、時間、ステレオ/モノラルの区別。録音年、録音エンジニアのデータ・・・あとは一言コメントくらいのものなのだが。
まあ・・・実際に話しを始めたら、やはり原稿を棒読みするというのも、とても不自然なものなので(笑)結局はいつものように、思いついたことを話しているうちに、つい長くなってしまったようだ。だから何曲かはカットせざるを得ませんでした(笑)
それでは以下~僕の悪戦苦闘の記録として(笑)ちょっとDJ風にアレンジした<白馬でのbassclefのトーク>を載せておきます。
もちろんこの通りに話したわけではありませんが、話しのニュアンスは、だいたいこんな感じだったはずです。なお時間が不足したので、8番のグリフィンと9番のゲッツは、かけられませんでした。

<bassclefのトーク>
今日は、まあ・・・テナー&アルトの特集です。サックス奏者の名演はあまたあるんですが、今回はちょっと捻りました(笑)
というのは、コンボではなく「ビッグバンドや中編成コンボをバックに気持ちよく吹く名プレーヤーたち」というのを一応のテーマとして、その辺りでまず好きなもの・・・そして、できるだけ録音が優秀かな・・・と感じているレコードからセレクトしてみました。あまりにもマイナーなミュージシャンは避けて、有名どころのちょっと渋いレコード・・・という趣ですかね。サックスばっかりではおもしろくないので、一部、トランペット奏者のフューチャリング曲も混ぜました。それから、ステレオ盤・モノラル盤・レーベルなども、できるだけ混ぜ混ぜにしてみました。Fox

1. I wished on the moon 1961年ステレオ
    エディ・ロック・ジョー・デイヴィス/The Fox & The Hounds(RCA victor)バックのリズム陣までくっきりと録られた録音もなかなかいいです。 (engineerは、mickey croffordという人) 曲は・・・思わずワクワクするようなアレンジにのって、ロック・ジョーが楽しそうに吹く I wished on the moonにしましょう。ロックジョーというテナー吹きは、飄々とした感じが堪りませんね。なお、アレンジャーはBobby Platerという人です(ライオネル・ハンプトン楽団~ベイシー楽団でロックジョーと仲間) ビッグバンドはNYのトップジャズメン17人としかクレジットされてませんが、多分、ベイシー楽団でしょう。だとすれば、ベースはエディ・ジョーンズだと思います。

Les_brown_jazz_song_book 2. let's get away from it all 1959年 ステレオ
     レス・ブラウン楽団/Jazz Song Book(coral)
次は、ズートといきましょう! レス・ブラウンというのは、わりとポピュラーっぽい楽団だと思いますが、このアルバムでは、巧いソロイスト(フランク・ロソリーノ、ドン・ファーガキストら)を、Song_bookうまい具合に配分していて(各3曲づつくらい)、充分にジャズっぽいアルバムだと思います。ズートの誠にスムースなフレージングと、あっさりと乗る軽い感じが気持ちいいですね。
《ここでPapaさんから、「このアルバムはいいですよ」とうれしい一言。Papaさんはモノラル盤をお持ちとのこと。僕の手持ちはピンクラベルのプロモだ》

3.   round about midnight 1959年 モノラル
     アート・ペッパー/プラス・イレブン(contemporary)
このレコード、オリジナルを持ってないので、今回はYoさんに借りました(笑)このレコードは最高! まず演奏がいい。アレンジもいい。そして・・・録音もいい!(roy dunan) ジョー・モンドラゴンのベースも重い音で録られています。僕はキングの国内盤ステレオで聴いているのですが、それを聴いていても「ステレオ盤オリジナル」も相当にいい音だろうな~と推測できます。ステレオ盤だと・・・ペッパーのアルトが中央に定位したまま(その音圧感が全く落ちずに) ベースとドラムスが左右に分かれてオーケストラは後ろから・・・というような定位になると思います。このレコードでは、ペッパーのテナーが3~4曲聴けるのですが、ここはやっぱりアルトということで(笑)
bernie's tune のペッパーのソロも素晴らしいのですが、同じようなテンポの曲が続いてしまうので、ここはスロウもの~ A面4曲めのround about midnightにしました。アレンジャーは、マーティ・ペイチです。

4.   day in day out 1961年 モノラル/ステレオVerve_2
Terry Gibbs Dreamband (contemporary)
モノラルのオリジナル盤はこちら~verve V-2151:The Exciting~ですが・・・このcontemporary盤は、1990年発売の新発見ステレオ・マスターなので、少々こじつければMain_stem、このLPを「ステレオ盤オリジナル」と呼ぶこともできます。このレコード・・・とにかく録音が抜群! エンジニアは、あのwally heiderです!ではA面1曲目の day in day outを。
短いソロは・・・コンテ・カンドリ(tp)とビル・パーキンス(ts)です。ベースはバディ・クラークという人。音がでかそうですね(笑) ぺッパーの・・・いや、マーティー・ペイチのtampa盤に入ってた人です。

  Photo_45.  quintessence(4'14") 1961年 ステレオ

クインシーPhoto_6・ジョーンズ/クイセッテンス(impulse)
フィル・ウッズの輝くようなアルトの鳴りを。(van geldr) 曲の終わりの短いカデンツァも、ウッズの 巧さ爆発です。文句なし! 何度聴いても、このimpulse盤は気持ちがいい。

6.   isn't this a lovely day?(4'14") 1953年 モノラル 《写真・盤~konkenさん提供。この盤、実は両面ともB面のラベルが貼られていた。これが、この個体だけのミスなのか、あるいは・・・》
    
フレッド・アステア/~ストーリー(clef) 1369astaire_2
大編成ばっかりではちょっと疲れますので、ここで中休みとして・・・テーマから離れて「唄」をひとつ。フレッド・アステアのIsn't this a lovely day? を。実は・・・このレコードもkonkenさんからの借り物です(笑)
ほのぼのしたような、しみじみしたような情感が漂う名唱・名演だと思います。 優しげなテナーソロは・・・フリップ・フィリップスです。

7.  from now on 1957年 モノラル
   マーティー・ペイチ/Picasso of jazz(cadence)
もうひとつ、モノラル録音のいいやつを。cadenceというレーベルは、たぶんcolumbiaの子会社です。その cadenceの子会社があのcandidです。だからこの「Picasso」は、candidからも出たこともあると思います。渋いトランペットは、ジャック・シェルダンです。独特の沈んだような音色・・・いいソロですね。実は、アルトのクレジットがないのです。この辺りの白人系のアルトをいろいろ聴いてみました。でも・・・判りませんでした。ジーン・クイルかジョー・メイニか、あるいはチャーリー・マリアーノかな?と推理してます。ペッパーやバド・シャンクではないですね。ハーブ・ゲラー、ロニー・ラングではないような感じがします。Photo
《そういえば、cadenceレーベルの小話題として~このcadence~Dukeさんの好きなピアニスト:ドン・シャーリーの初期の作品がたくさんあるレーベルで、実はこれ、ある有名なシンガーがオーナーなんですよ・・・などと話そうかなと思っていたら、cadenceと言った瞬間に、すぐ「アンディ・ウイリアムスの・・・」と声がかかりました(笑)さすがに皆さん、よくご存知です(笑)
アルト奏者のクレジットがない話しも、それを切り出す前に、recooyajiさんから「アルトは誰ですか?」との声。やっぱりちょっと気になる、いいソロだったようだ(笑) 
《その後、PapaさんがこのレコードPicasso of jazzのパーソネルを調べてくれたようで、「こだわりの杜」へ書き込みにて知らせてくれた。
録音年月日 1957 June 7&8   Los Angels
”The Picasso of Big Band "
Pete Candoli, Buddy Childer, Jack Sheldon (tp) Herbie Haper (tb) Bob Envoldsen (vt-b, cl) Vince Derosa (fhr)
Herb Geller ( as ) Bob Cooper, Billy Perkins (ts) Marty Berman (bar) Marty Paichi (p) Joe Mondragon (b) Mel Lewis (d)
う~ん・・・あのアルト奏者は、ハーブ・ゲラーだったのか! まずいなあ、「違う」候補の3番手にゲラーを挙げていたなあ(笑)》Big_soul_band

8.  jubilation(3'53") 1960年 モノラル
  グリフィン~The Big Soul-Band(riverside) 
ちょっと「くどい」音色のグリフィンです。ベースのヴィクター・スプロウルズの音がでかそうなこと! 録音はレイ・フォウラー。

9.   bim bom(4'32") 1961年  ステレオGetz_bigband_bossa_2
     スタン・ゲッツ/Big Band Bossa Nova(verve)
これ、ジョアン・ジルベルトの曲。ゲッツのテナーもマイルドでいい。スネアのリム・ショットとかシンバルのドラムスの音とブラスのバランスが絶妙。 けっこう好きな録音です。verveですがval valentineではなくて、george kneurr&frank laicoという人です。ガットギター・ソロは・・・ジム・ホール!

10.far out east(4'30") 1958年  モノラル/ステレオ
      ロリンズ/ブラス&トリオ(metro) Photo_2
このメトロ盤がオリジナルです。これ、ようやく入手しました(笑) 長いこと、こちらのverve盤(緑色のやつ)で聴いてました。一応、VerveとしてはオリジナルのはずのT字のVerve Inc.(long playing 溝あり)盤なんですが、このverve盤は・・・音があまりよろしくない(笑) モノラルだステレオだという前に、ロリンズのテナーの音に厚みがない。鮮度感に乏しい。それに全体にやけにエコーが強いし、ドラムスやベースの音が遠い感じです。
一方、Metroのステレオ盤では~ロリンズだけが左側で、ビッグバンドとリズムセクションは右側~という、ちょっとおかしなステレオの定位ですが、何よりもテナーの音の鮮度が段違いです。生き生きしたロリンズの音が気持ちいい!1958年の好調なロリンズ! ベースのヘンリー・グライムズも重い音で録られてると思います。B面のコンボの方で比べると、ドラムスやベースの鮮度感の差がよく判ります。では・・・オリジナルのMGM盤(ステレオ盤)ではどうなのか・・・続けて聴いてみましょう。もっともロリンズらしい~と思える1曲を。Brasstrioverve
      verve盤~A面4曲目のfar out east~30"ほど
   metro盤~A面2曲目 far out east
え~と、このタイトル・・・有名なway out westのもじりだそうです(笑)
実は、このロリンズのメトロ盤・・・テナー1本のソロが入ってるんです。body & soulなんですが、1958年でのテナーソロというのも珍しいでしょう。ところが・・・すでに1948年にテナー1本のソロが存在しております。ロリンズの方(body & soul) も掛けたいところなんですが・・・最後に、この「史上初のテナーサックス1本のソロ演奏」と言われているやつを聴いていただきたいと思います。

11.  piccaso モノラル 1948年
コールマン・ホウキンスの「ピカソ」です!Photo_7
これ~THE JAZZ SCENE~mercuryからSP6枚組がオリジナル~10インチ2枚組~EP5枚組~12インチLP~という順で発売されたのだと思います。音は12インチよりEPの方が圧倒的にいいようです。このEP盤5枚セット・・・盤質も最高だし、私的にはけっこうお宝盤です(笑)
なお、ジャケットの図柄はゲッツの「plays Bacharach」に使われてましたね。では・・・1948年の「ピカソ」を。
《あらゆる希少盤をお持ちだとも思えるPapaさんが、珍しくも「う~ん・・・このEP Boxは・・・欲しい」と言ってくれたので、僕はちょっと嬉しかった(笑)まあ半分は、compliment(お世辞)だろうけど(笑)》

第2部(19:15~22:00)
毎年、食事の後に「この1曲」をやるのですが、今年は皆さんの「燃える自己紹介」の後、おいしい泡盛もだいぶん入りながらの「この1曲」で、その後、オークションへ突入。1F食堂タイムが終了したのは例年より1時間ほど遅めの時刻だった。以下、皆さんの「この1曲」をリストしておきます。

Ethel_ennis パラゴンさん~エセル・エニス(jubilee盤:Lullbies For Losers紫ラベル)金色ラベル から
You'd Better Go Now~この名曲を、エセルは、あっさり加減の唄い口で、しかし、しっとりと唄う。それとこのjubilee盤・・・普通、モノラル盤は青か黒だと思うのだが、なぜか・・・パープル!これは・・・珍しい。さっそくpapaさんの熱い視線が(笑)
《上の写真・盤はパラゴンさん提供》
2008_0606s90000003

ワガママおやじさん~Eddie Lockjaw Davis with Shirley Scottから serenade in blue
《右の写真・盤はワガママおやじさん提供》

マントさん~E・パイネマン女史(V)のドボルジャークバイオリン協奏曲

《下の写真・盤はkonkenさん提供》
1186marlenekonkenさん~Marlene De Plankの唄~Fools Lushi In
マーレーンの唄い口は・・・いつも優しい。聴いていて、理屈抜きに安らぐのだ(笑)konkenさんは、あのsavoy盤:Marleneも持っており、この歌い手のレコードをほとんど揃えているようだ。

Yoさん~Jazzville'56(dawn)からlover man(ジーン・クイル)Jazzville56
《右と下の写真・盤~Yoさん提供》
クイルもまたアルトの名手だ。パーカー、マクリーンも演奏したこのバラードを、クイルは、凄く情熱的に吹いている。フレーズ展開に破綻(はたん)をきたしそうな場面もあるのだが、その危うさがスリリングでもある。Jazzvilleこのドーン盤・・・たしかトランペットのディック・シャーマンのいいバラードも入っていて、いいオムニバス盤だと思う。


洗濯Mさん~高木麻早「ひとりぼっちの部屋」~「い~まあ~ッア」と声を思い切り伸ばした後に、短く「アッ」と声を切るところが素晴らしい(笑) 

Dukeさん~ダイナ・ワシントンの初期の10インチ盤からI want to cry 
~生々しい声が印象的。この10インチ盤は30分後にオークションにて、Musashi no papaさんがゲットした。そのpapaさんのコメントを以下。
《白馬の杜でDUKEさんからオークションで譲って戴いたダイナ ワシントンは素晴らしいレコードでした。8曲のうち特に気に入ったのが杜で流された I want to cry でした。チェックしたみると1948年10月16日ロイヤルルーストNYでの録音でバックのペットはガレスピーのようです。この1曲は素晴らしい。私のお気に入りになりました》

PaPaさん~ドイツのアルト奏者~ミハエル・ナウラ
(フィル・ウッズにも似た感じの名手だった。vibraphoneはWolfgangという名だけ覚えてますが、あれは・・・チェット・ベイカーともsandra盤で共演しているWolfgang Lackerschmidなのかな?)
《以下、訂正》
Papaさんからのデータを以下。リーダーのミハエル氏をアルトだと勘違いしてました。ミハエル氏はピアノ、アルトはペーター・レインケという人でした。
ヴィブラフォン奏者も、ウオルフガング違いでした(笑)
Michael Naura Quintet(German Brunswick 87912)
Michael Naura(p)      
Peter Reinke(as)      
Wolfgang Schluter(vib)   
Wolfgang  Luschert(b)   
Joe Nay(ds) 

千葉ZYXさん~テクノっぽいやつ(曲名失念。ごめん!)

SPUさん~Clifford Brown&Max Roach (emarcy) Img_0011_5
10inch盤から delilah。Img_0016_4






ローチ/ブラウンのemarcy盤では、たしか・・・これだけが10インチ盤とのことだ。《写真・盤~SPUさん提供》

recooyajiさん~スリーキャッツ「黄色いさくらんぼ」(日本コロンビア)25cm盤

bassclef~クリフォード・ブラウン「ブルー・ムーン」(emarcy EP盤)

<第3部~地下JBLルーム 夜10時30分~1時30分頃まで>白馬第3部
ある意味、この第3部が最も楽しい時間である。というのも、ここでは皆さんが、いわば「本音盤」を掛けるので、毎年、印象に残るレコードが飛び出るのだ。今回は・・・タイトル・順番など、どうにも記憶があやふやである。皆さんの飲まれたアルコールがJBLルームに気化して、それと音の洪水で・・・僕の脳髄も麻痺してしまったのかもしれない(笑)それでも印象に残っているレコード達をいくつか。

Yoさん~「聴き比べ2題」
<ハロルド・ランド~The Fox>(contemporary盤とHi-Fi盤)からthe fox one down
<アート・ペッパー~Surf Ride>(savoy12インチ盤とdiscovery10インチ盤)からsurf ride

ワガママおやじさん~「ソニー・クラーク~Leapin' & Lopin'からケベック入りのdeep in a dream

SPUさん~「ウディ・ハーマン」Woodchoppers(dial)10インチ盤からit's the talk of town(ラベルにはon the townと表記)

konkenさん~アーサー・ブライスIn The Traditionからin a sentimental mood

洗濯船Mさん~サラ・ヴォーンのlullby of Birdland(emarcy)

Okpapaさん~ペップ・ボネPep Bonet(スペインのサックス奏者)この人、ちょっとロリンズ風。そんなバリバリと吹くテナーに、ちょっとヘタウマ風なピアノとベースが絡む。Papaさん、こういうヨーロッパ系の「武骨ジャズ」も好みらしい。そういえば、イギリスのディック・モリシー(ts)にも、同じような雰囲気を感じた。《写真・盤はPapaさん提供》

Jazz_vane_2bassclef~ジミー・ロウルズweather in jazz vane(andex)からsome other spring。このレコード・・・CDで愛聴してきたのだが、ちょっと前にようやくオリジナル盤を入手できた。ロウルズという人のしみじみとした持ち味がよく出ていて、好きなレコードだ。それに、Andexというレーベル・・・なかなか音がいい(笑) この頃は、こういう、日向ぼっこをしながら居眠りしているような・・・そんなまったりした感じが好きになってきた。《このandex盤はプロモ盤なのでラベルが白だ》

マントさん~DECCAでホルストの惑星(カラヤン・VPO)からジュピター。何度聴いても・・・やっぱりいい曲だ(笑)
チャイコフスキーのロミオとジュリエット(同)からロミオとジュリエット(2000番台)。DUKAS:LA PERI poeme dance'(ラージラベル)~このデュカスの曲・・・最初の金管楽器が一斉に鳴り響くあたりは、サウンドとして気持ちがよかった(笑)

千葉ZYXさん~「ToTo」のLPから(タイトル失念・・・ごめん!)
この1曲は・・・ZYXさんが茶目っ気を出して「ある大物ジャズメンが参加している」とのクイズ曲となった。昔、ローリング・ストーンズにロリンズが参加したLPのことは知っている。誰かが「楽器は?」と尋ねると・・・「いや、まあ・・・聴いてみましょう」と口ごもりながらも、小さい声で「トランペットです」とヒントをくれる優しいZYXさんだった(笑) ToToという名前は知っているが、ちゃんと聴いたことがない(笑)冒頭からギターがしばらく続いた後・・・なにやら聴いたことのあるぞ~と思える音色のトランペットが鳴りはじめる。この、ちょっとくぐもったような音色と、ためらいがちなフレージングは・・・おおっ、あれだ。「わかったあ! マイルス!」と僕は言う。「当たりです!」とZYXさん。「さすがですね」などと誉めてくれるZYXさん。でもね、ZYXさん・・・マイルスのトランペットなら、ジャズ好きなら誰でもすぐに判っちゃうんですよ(笑) それにしてもこのToToへのマイルスの客演~おそらくオーヴァーダビングなのだろうが、ソフトなロック調にかぶして吹くマイルスのフレーズには、全く違和感がない。それになんと言っても、一人の人間がそこでしゃべっているような・・・そんな説得力があるじゃないか。Img_0006_4

SPUさん~Woody Herman/Woodchoppers(dial:10inch)
毎年、夜が更けてくると異常に元気になってくるSPUさんである(笑)
SPUさん、いつもいいところを入手しているようで、いろいろと見せてくれる。ソニー・クラーク・トリオ(bluenote)にも惹かれたが、ここはやはり昼間にチラと見せていただいたダイアルの10インチ盤である。  Img_0018_3 《写真・盤~SPUさん提供》
それはWoody Hermanの10インチ盤。聞かせてくれたのが、バラードの it's the talk of town(ラベルのクレジットでは"on the town"と表記されている) これ、ウッディ・ハーマンと言っても、フリップ・フィリップスのフューチャー曲で、彼の見事なソロがたっぷりと入っている・・・これはいいっ! 
まったくフィリップスという人は、こういうゆったりしたバラードを吹かせると、もう独壇場である。僕の好きな「フィリップ風」がゆったりと謳いあげる。ううう・・・これは、垂涎盤だあ!(笑) フィリップス好きの僕にとっては、この夜のMIV盤(most impressive vinylという勝手な造語です)は、このダイアル10インチ盤である。

《下の写真・盤~ワガママおやじさん提供》
2008_0323s90000014_5ワガママおやじさん~Sonny Clark/Leapin' & Roapin'(bluenote)NYラベル
お勧めはやはり・・・deep in a dream。さすがワガママおやじさん、ジャズのコアなところをご存知だ。この「リーピング~」チャーリー・ラウズとトミー・タレンティンの2管入りセッションが主なのだが、この1曲:deep in a dreamだけは、アイク・ケベックのテナー1本。そしてこれが実にいい。ソニー・クラークのバラードを弾くときの独特なロマンティックな感じ・・・そのイントロからしばらくはピアノのソロが続く。「あれ、これ、テナーは?」と皆が思ったころ・・・ケベックが「ずず~っ」と忍び込むような気配で吹き始める(笑)、ソニー・クラーク/アイク・ケベック~2人の音が醸し出す雰囲気と、この曲の、ちょっとセンチメンタルな雰囲気が見事にマッチしている。このバラードは、やはり絶品と言わねばなるまい。

Yoさん~<ハロルド・ランド:Foxの聴き比べ>
《以下6点、ランドとペッパーの写真・盤~Yoさん提供》The_foxhifi_6

ランドのThe Foxは、もともとHi-Fiレーベルへの吹き込み(1960年)だが、一般的に知られているのは、contemporaryの緑ラベル(1968~1970頃)として再発されたものだと思う。僕もその緑ラベルを愛聴していた。そういえば・・・第1回白馬の時に、Yoさんとランド話題になり「Foxはいいよね」みたいな話しになったな。そのYoさん、最近、FoxのHi-Fi盤を入手されたとのことで、じゃあ、あのcontemporary盤とどんな具合に違うのか・・・
という流れになっていた。Yoさんによると、contemporary盤は「いつものcontemporaryらしい、自然な質感のいい音」なのだが、Hi-Fi盤(モノラル)は、全く音造りが違うとのこと。簡単に言えば、あまり西海岸っぽくないそうである。Fox_hifi
最初にHi-Fi盤から~まずジャケットがいい。暗めの赤色、灰色、黒色などが太い筆でググッと塗りたくってあるだけの抽象絵画っぽいジャケットなのだが、中身の音の力感みたいなものが感じられるのだ。A面1曲目のThe Fox B面のOne Down を聴く。各楽器の音がメリハリのハッキリした太い輪郭で、全体的に音が強い感じだ。パーソネルを知らずにパッと聴いたら・・・イーストの黒人ハードバップだと思ってしまうだろう。もっとも・・・このThe Fox~ランドもエルモ・ホープもリズムセクションもみんな黒人だし、実際、こういうハードバップ的な4ビートジャズをやっているバンドのサウンドに、東海岸と西海岸で、それほどの違うがあるはずもないのだが。ただ「録音の感じ」の違いは・・・明らかにあると思う。その「音の感じ」で言うと・・・Hi-Fi盤では「ジャズが強く聴こえる」ように感じたのだ。ピアノのエルモ・ホープの叩きつけるようなタッチも、相当に迫力あるガッツあるタッチとして鳴った。いずれにしても、Hi-Fi盤の音は、モノラル盤と言うことも含めて・・・魅力的なジャズのサウンドではあった。なおHi-Fi盤の録音は1959年。録音エンジニアは・・・Art Becker & David Wiechmanとなっている(contemporary盤の裏ジャケに表記あり)

Foxcontemporay 次にcontemporary盤~この緑ラベル・・・何度も聴いているので僕には親しみがある。裏ジャケの解説はLeonard Featherで、1969年10月としてあるので、発売は1969年か1970年だろう。
さて「緑ラベルのステレオ盤」だ。一聴・・・ランドのテナーが少し細くなり(と言ってもそれは悪い意味ではない)音色もややソフトな感じになった。ドラムスの「鳴り」が全体的に「すっきり」してきた。音楽全体の鳴り」として・・・たしかにやや軽くなったような感じはする。しかし・・・本来、ランドやフランク・バトラーが楽器から出している「サウンド」としては・・・僕はこのcontemporary盤の方が「自然」だと思う。いい意味での「軽やかさ」~僕はこの感じを「軽み」(かろみ)という言葉で表したい(笑)~が感じられるサウンドだと思うのだ。Foxcontemporay_2 う~ん・・・Hi-Fi盤もいいが、やはりこちらのcontemporary盤もいい・・・聴いている方々もそれぞれの音にに感じるところがあったようで、判断に迷っているような気配ではある。これは、Hi-Fi盤とcontemporary盤との「音造り」の違いでもあり、また「モノラル盤」と「ステレオ盤」のそれぞれの特徴(良さ)が現れた好サンプルかもしれない。ジャズ好きの「音」や「音楽スタイル」に対する好みの傾向は様々だし、そういう好みの違い方というようなことへの興味を、Yoさんも僕も持っている。そんなこともあって、どちらの音が好みか・・・というアンケートをすることになった。この場にはちょうど9名いた。僕の予想は「半々」だった。
まず「Hi-Fi盤」~4名が手を上げる。そして「contemporary盤」~これも4名。1名が手を上げてない(笑) Yoさんは決着を付けたいようだ(笑)「konkenさんは?どっちが好き?」と追求する。konkenさん「うう・・・」唸りながら「やっぱり・・・contemporaryかな・・・」 これで5対4だ。やはりほぼ半々か・・・。まあいずれにしても、実に興味深い「音の好み」の違いじゃないか(笑)

Pepper_surfride_savoy_2  Yoさん~<ペッパーのサーフライド>
さて、savoy12インチ盤(MG-12089)とdiscovery10インチ盤2点(Art Pepper Quartet 3019)と(Art Pepper Quintet 3023)
発売は、10インチ盤の3019が1952年、3023が1954年。12インチ盤が1956年と、当然のことだが、10インチ盤の方が早い発売である。Surfride
最初に掛けたのは、savoy盤12インチ~曲は急速調のsurf ride。
サックスの音にメリハリがあり、全体的に明るい感じ。とても1952年の録音とは思えないほどパリッとしたジャズの音だ。さすがにVan Gelderのマスタリングした12インチ盤だ。張りのあるジャズっぽさも充分に感じられる。
Yoさんは「うん、このsavoy盤も悪くないなあ」とちょっと嬉しそう(笑)

次に、discovery10インチ盤~これは僕の私見だが、10インチ盤というのは、時代も古い分だけ(たぶん)12インチ盤に比べると、盤質の材料やカッティングの精度において、若干のデメリットがあると思う。ただし「モノ」としての魅力~あの10インチという大きさからくる圧倒的な存在感、古み感など・・・それがそこにあるだけで、素晴らしい(笑)そう思わせてくれるほど、ある種の10インチ盤には、エモイワレヌ魅力を感じる。ペッパーのこの2枚のdiscovery盤もそんなレコードである。
《下の10インチ盤2枚~写真・盤はPapaさん提供》Discovery10inch_2_2

さて、その音は・・・? Mさんが慎重に針を下ろす。
材質・盤質からくるノイズはほとんどない。いいコンディションのようだ。
一聴・・・全体の音がおとなしい感じか。ちょっと楽器全般がくすんだような色合いになったかもしれない。ぱっと聴いて受ける印象は・・・古い写真がセピア色に染まりつつあるような・・・そんな感じに近いかもしれない。そして僕には、その「セピア色」が心地よい。ちょっと高音の方が詰まったような音なのだが、こうして2枚続けて聴いてみると、この「ちょっとおとなしい鳴り方」の方が、より自然なものに聞こえないこともない。
ドラムスのシンバルのクリアさや、それからペッパーのアルトの輝き具合においては、確かに12インチ盤の方に分があった。それでも10インチ盤の「自然な鳴り」に僕は惹かれるものを感じた。
目をつぶって「音」だけを聴けば、12インチ盤の方を選ぶ方が多いかもしれない。しかし~パーカーのダイアル盤の時にもちらっと書いたのだけど~こちらのアタマに「貴重な10インチ盤。時代的にはオリジナルの10インチ盤」という思いも入り込んでの聴き比べなので(そうならざるを得ない)そういう意味で「10インチ盤有利」になってしまうことがないとは言えない(笑)
いずれにしても、こういうのは「好み」の問題だと思う。例えば、僕自身は・・・一般的には強い音が好きなのだが、Van Gelder特有のかけるエコーが(強すぎる場合)あまり好きではない。Cimg0268
ひとつだけ確かなのは「ペッパーは凄い」ということだ(笑) レコード化の段階で、後から何をどういじったとしても、1952年にペッパー達が演奏した素晴らしい演奏(音楽)は・・・・厳然として、そこにあったわけなのだから。
《上の写真~savoy12インチ盤には収録されなかった4曲(These Foolish Things, Everything Happens to Me, Deep Purple, What's new)と、レッドの2曲を収めたArt Pepper/Sonny Redd~通称Two Altos(regent)。なるほど・・・ラベルは緑でしたか!写真・盤~Musashi no papaさん提供》

好きになったミュージシャンの音を集中して聴くのならば・・・どんな版のレコードを聴いたとしても、感じるところは絶対にあるはずだ・・・と思いたい。まあもちろん、音がいいレコードで聴くに越したことはないのだが(笑)

《写真・盤はkonkenさん提供》Photo
最後の方に聴いたのは、konkenさんの「アーサー・ブライス」in the traditionからJitterbug Waltz と in a sentimental mood。
どちらかというと古い年代のジャズが中心の会なので、こういう1970年代後半の、ガッツあるハードっぽいジャズがかかると、新鮮な感じもあり、楽しく聴けた。斜め前に座って、なにやらブライスのアルトに集中している様子のPapaさんに「こういうの好きでしょう・・・」と言うと「これは気に入りました!」と一言。Papaさんは、もちろんパーカー命のような方だが、デビッド・マレイなどちょっと新しい世代のサックス奏者も愛聴しているようだ。

そして大ラス~洗濯船Mさんが「では最後に1曲」と静かに言う。
「バ~バ・バ~ラ・バッバッ・バッバ・パ~」ああ・・・これは皆がよく知っているレコード・・・サラ・ヴォーンのemarcy盤だ!Mさんが、bluebackのジャケットがイーゼルに掲げられる。ねっとりした唄い回しのサラの声が、力感豊かに流れてくる。あのサラのアドリブ・フレーズを諳(そら)んじているらしいkonkenさんが、サラと一緒にスキャットしている(笑)酔っているので音程は覚束(おぼつか)ないが、気持ちは充分に判る(笑)
見事なまでにコントロールされたサラの声が厳(おごそ)かに流れつつ・・・2008年の白馬:杜の会は、ようやく終わろうとしているのだった。

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2007年5月 7日 (月)

<ジャズ回想 第11回>(その2)ああ・・・この音だ。Yoさん宅、再・再訪期。

Yoさん宅~3人の音聴き会は、まだまだ続く・・・。

ちょっと前に、ニーノニーノの新納さんからTELがあり、ピーターソンのWe Get Requestsの「モノラル溝あり」の音は凄いですよ・・・と教えてくれた。「ええっ!T字MGM-VERVEに溝があるんですか?」「はっきりしないんですが、初期のT字にはあるらしんですよ」
僕など、いわゆるT字ラベルの場合「long playing(Verve Inc.)には溝がある」が「MGM-VERVEになってからは溝がない」と思い込んでいたのだが、そうではなかったのだ。T字MGMになってどの辺りのタイトルまで「溝あり」が存在するかはよく判らないが、ともかくT字VERVEラベルの初期のいくつかには「溝あり」があるらしい。Dscn1687_1
そうして自分の手持ち盤をいくつか調べてみると・・・Night Train(V6-8538:T字MGM)には、はっきりと幅の広い溝があったのだ。そして、Requests(V6-8606:stereo)の方はというと・・・とても溝とは言えないわずかな段差のある「筋」(T字の横棒の左右の1cmほどを通っている直径7cmほどの円周)」があるだけだったのだ。
《上の写真では「筋」だか「溝」だか判りにくいが、下のラベル写真と比べると明らかに「溝」とは違う。残念である(笑)》
ちなみに、この「筋」は、普通の大きさの円周だが、Trio Plays(V6-8591)のセンターラベルの「筋」は、3cm弱の円周とうんと小さい。だから「溝」なしにも「大筋」「子筋」とあることになる(笑)

このRequestsがいわゆる 「優秀な録音のレコード」ということは知ってはいた。しかし、オーディオ的な興味の薄かった僕は、かえってそんな評判への反発もあり(笑)あまりちゃんとその音を聴いてなかったのかもしれない。アンプを真空管に、そしてスピーカーをJensenに換えた頃から、だんだんとピーターソン自体を聴くようになり、そうして改めてこのRequestsを聴きなおしてみると・・・これがチャーミングないい音だったのだ(と、気づいただけなのだが:笑) もちろん「音」の前に、演奏が素晴らしいことは言うまでもない。どの曲でも、レイ・ブラウンやエド・シグペンという名人たちが、その至芸をさらっと見せてくれるのだが、特に、1曲目のボサノヴァ風の quiet night がいい。この曲のエンディング・・・同じ和音パターンの繰り返す辺りで、ピーターソンが高音部で「遊ぶ」のだが、その意図的に軽くしたようなタッチが、実に、小気味いい。このレコードでは、1曲が短いこともあり、いつものピーターソンよりだいぶんあっさりした感じでもあり、それがまた僕には気持ちいい。軽めのタッチではあるが、しかし、しっかりとキーを叩いている」~そんな感じのタッチの質感を凄くよく捉えている録音だと思う。もちろん、レイ・ブラウンのウッドベースの音圧感・存在感も充分に出ている。そして、このレコードの録音engineerは、いつものVal Valentineではなく、Bob Simpsonとなっているのだ。Simpsonは、ハリー・ベラフォンテなどRCAでの仕事が多いようだが、Bill Evans/Trio 64(verve)や、ミンガス/ミンガス、ミンガス、ミンガス(impulse)なども彼の録音らしい。僕は、このRequestsの音が好きだ。

そんな「いいステレオ録音」のRequestsに、「モノラル・溝あり」があったとは・・・。同じ頃、Yoさんとのメールやりとりでも、そのRequestsの話題になり、Yoさんは「ステレオ・溝あり」をすでにお持ちで、なんと「モノラル・溝あり」も、つい最近、入手されたとのこと。Request_st_1
「じゃあ」ってんで、その3種・・・
ステレオ溝なし~bassclef
ステレオ溝あり~Yoさん
モノラル溝あり~Yoさん
を聴き比べしてみよう!ということになっていたのだ。

僕はすぐに3枚のセンターラベルをぐぐっと見つめた。Yoさんの2枚には確かに「幅の太い溝」がくっきりと彫りこまれている。これこそ「MGM-Verveの溝付き」だ!《センターラベルの写真2点は、Yoさん提供》
さっそくこの3枚を聴き比べてみた。Request_mono

先にステレオ盤の2枚をかけた。この2枚・・・右からのレイ・ブラウン、左からのエド・シグペン、そして中央(やや左か)からのピーターソン・・・音場の感じは全く同じだ。音質の方も、大きな差というのはなかったかもしれない。しかし、「全体としての鳴り」が・・・やはり「溝あり」の方がよかったのだ。ピアノがどう、ベースがどう、ということではないのだが・・・それぞれの楽器の音色に、より太さが、より艶が、そしてより瑞々しさが感じられたのだ。

そしてモノラル盤。ベースが中央により、やはり、かなり「太く」なった。ピアノの音自体も幾分、大きくなったようだ。一聴して、迫力はやはり増している。このモノラル盤が鳴ったらすぐに、僕の右隣に座ったkonkenさんが「オレ、この方が好きだな・・・」と一言。
そして・・・このモノラルの太さ、たくましさは充分に判るが・・・やはり「オレはステレオの方が好きだな」とbassclefが対抗する(笑)
Yoさんも、「このピーターソンのレコードに関しては・・・ステレオの方が好みかな・・・」と洩らす。
僕個人の気持ちとしては、先ほど書いたような、このレコードの「軽めのタッチ」「あっさり感」という感覚が、モノラルの方だと「たくましく」なりすぎてしまうような気がして、ステレオ録音のベースが右、ピアノが左、というちょっと薄め(とも言える)の音場の中で、軽々とノッているような感覚・・・説明しづらいのだが、そういう「軽み味」には、ステレオ盤の方が「合っている」というような、ごく感覚的な理由で、ステレオ盤の方がいい、ということなのだ。
それにしても、自分の手持ちRequestsは「溝なし」であることがはっきりしてしまったわけで、少々、落胆した。あのわずかな筋~段差を、無理やりに「溝」かもしれんぞ・・・と思い込もうとしていたのかもしれない(笑)

ピーターソンをもう1枚~Night Trainから1曲聴く。konkenさんのステレオ盤では、なぜかレイ・ブラウンのベース音がやや小さく聴こえるそうで、その点をYoさん宅で確認したかったとのこと。聴いてみると・・・左チャンネルのレイ・ブラウンのベースが、やや押さえ気味のバランスで、他のVerve盤で聴かれるいつものレイ・ブラウンと比べても音圧感が物足りない。
konkenさん手持ちステレオ盤は、ラベルの色が灰色っぽいもの(小筋)で、やや後期の再発盤かもしれない。
音全体がちょっとこもったような録音のように感じる。いずれにしても、先ほどのRequestsに比べると、だいぶん平凡な音だと思う。そして、レイ・ブラウンに関してはどちらかというと「よくない録音」かもしれない。
ちなみに僕も戻ってから、さっそくこのNight Train(ステレオ溝あり)も聴いてみたが・・・やはり同じようなバランス・音質で、ちょっと残念であった。ただ、このレコード・・・レイ・ブラウンが遠い代わりに、右側からのエド・シグペンのドラムスは、けっこう迫力のある録音だ。ハイハットがしっかり(ちょっとやかましいくらい)入っており、バスドラもちょっとこもり気味だが、音量豊かに鳴る。ドラムス好きには楽しめるレコードかもしれない。録音は1962年、エンジニアは、Val Valentineだ。

そういえば、もう1枚、強く印象に残っているピアノ・トリオの盤がある。
バリー・ハリス/Breakin' It Up(argo) all the things you are である。
この渋いピアノトリオのレコード、僕はCDとビクターの国内盤(ステレオ)を持っていた。
bassclef~「録音があまりよくない印象」に対して、Yoさん~「いや、そんなことはない「録音そのものはいいが、ピアノ自体がちょっとよくないのかもしれない」というようなやりとりがあった。そして、Yoさん宅で聴かせてもらったArgo のオリジナル盤(モノラル)では・・・う~ん、確かにピアノの響き、その余韻に若干の「古ぼけた」ものを感じたのだ。スタジオに置いてあったピアノの調弦が微妙にずれていたのかもしれない(ピアノというのは1つのキーに対して複数のスチールの弦(太い針金みたいなもの)を使っているのだが・・・その複数の弦のたった1本のピッチが微妙にずれている~そんな風に聞こえないこともなかった。よくホンキー・トンク・ピアノという表現で、場末のバーのピアノから聴かれるあの独特の「くたびれサウンド」あれが・・・調弦のずれたピアノの音、といえば雰囲気はお判りいただけると思う。もちろん、このバリー・ハリスの使ったピアノは、そんなにホンキー・トンクはしていないが、部分部分で、時にちょっとそんな響きを感じたのだ。あまり状態のよくないピアノだったのかもしれない。
そんなところまで~つまり「録音の拙さでのイマイチのピアノの音」ではなく「ピアノ自体の状態の拙さ」での、あのちょっとくすんだようなピアノ音~というところまで判ってしまった(少なくとも、そういう風に感じ取れてしまった)のだ。それにしても、このYoさんのシステムは・・・そのレコードのサウンドを聴けば、その時の演奏、そして録音の「真実」までもが、その場に暴き出されてしまうような・・・そんな「怖ろしい」装置だと言えるのかもしれない。

さて、この会・・・「その1」で書いたように、冒頭のラウズ3連発から、ほとんどテナー特集と化していった。

ラウズ(epic)の2枚とtakin'care(jazzland)の3連発
ズート・シムス/ズート!(riverside)白ラベル fools rush in
ベニー・ゴルソン/the other side of~(riverside)  jubilation
ジミー・ヒース/really bag から ?
ジョニー・グリフィン/Big Soul Band(riverside)から
deep river, jubilation 
ロリンズ/at the village vanguard(bluenote) softly as in a morning surrise
<ゲッツの Plays~聴き比べ>
JRモンテローズ/The Message(jaro)
straight ahead と violets for your furs
コルトレーン/coltrane(prestige)NY  violets for your furs
テディ・エドワーズ/It's About Time(pacific) fools rush in
エディ・ロックジョー/Tranckin'(prestige:青・イカリ RVG)
there'll never be another you
フリップ・フィリプス/I'll never be the same(ClefのEP盤)

どれもこれもいい演奏のものばかりで、これらのいくつかを続けてかけたり、もちろん間にヴォーカルなどを入れたりしたのだが、さすがにテナーばっかりではねえ・・・てなわけで「ミニ・アルト特集」となった。
フィル・ウッズである。

Dscn1695_1 Quincy Jones/Quintessence(impulse) A面1曲目のQuintessence~

この曲~ちょっと北欧の雰囲気が漂うような優雅なメロディだ~僕はもう大 好きである。
そして、この曲でフィルウッズのアルトが、もう巧さ爆発!何度聴いてもこの曲は厭きない。
輝くようなバックのブラス群の乗ってフィル・ウッズが唄い上げる。
このimpulseのVan Gelder録音は、特に好きだ。強すぎず、甘すぎず、適度な輝きと張り具合~バンドのメンバーが巧い人ばかりなのでそこのクインシーのアレンジが合わさって、ゴージャスなビッグバンドジャズが楽しめるいい1枚だと思う。

ウッズのもう1枚~Alive & Well 60年代後半の「激情ウッズ」の有名盤だ。この欧州オリジナル盤はジャケットも封筒型(上下が裏側に折り返している。全体に紙質が薄くて、その薄さに品がある)で、人気も高いらしい。
1曲が長いのだが、ウッズは最初から激情している。そして、途中のベースソロが・・・これはまたすさまじい音だった。アルトが鳴っている間は、ドラムのダニエル・ユメールも叩きまくるので、さすがにベースがちょっと隠れがちだが、ベースソロのなったとたん・・・録音技師がグンッとフェーダーを上げたに違いないのだが(ドラムの音も止み、入力オーバーにならないので)突然、ベースが巨大化する。
そして、サポートするリズムがない状態で、ベース特有の幽玄な世界に入っていく。このベース奏者、とにかく「熱いハート」があるなあ・・・ジミー・ギャリソンが時々見せるような「フラメンコ奏法」に近いような弾き方を混ぜて、堂々としたソロを展開する。この場面での音は・・・生のベースかもしれない。3人で聴いたが、この1968年頃は・・・ウッドベースに付けるアタッチメント(駒に貼り付けるタイプの小さいマイク)を付けた音なのかどうか微妙に判りにくい。生音をうんと近づけて録音したような音でもあるし、アタッチメントからの(電気的)音の配分を少なめにしてアンプから鳴らしているような音でもあるし・・・はっきりしない。だがひとつ言えるのは、ヨーロッパのべーシストはとにかく「巧い」ということだ。アタッチメント付きだったとしても、その前にまず、「ベースがよく鳴っている」 「しっかりと弾いている音」 「きちんとした音程」~そんな技術的な基礎がしっかりしているベースの音なのだ。一音一音のタッチに力感・質感がしっかりとあり、だから聴いていて全然、不快ではない。
1975年くらいのペデルセンも「巧い」ベースの代表だ。一時期のライブでは、どうしてもアタッチメント全開の電気的サウンドになったようだが、レコードではやはり「いい音」を出している。
そしてYoさんのウーレイは、こういう巧い奏者の音をひときわ甘く、そして音楽性豊かに鳴らしてくれるようだ。Jwalking ともう1枚のsteeple chase盤(ドラムスがビリー・ハートで、ギターが若いジョン・スコのやつ)を聴いたのだが、この装置で聴くペデルセンは、とにかく気持ちがいい。そういえば、1年半ほど前に初めてYoさん宅を訪れた折にも、たしかこのペデルセンのJwalking(LPとCD)を聴かせてもらったな・・・この日、聴いたのもやはり、カルロス・ジョビン作のFelicidade・・・甘い中にサウダージ(哀愁)を感じさせる見事なメロディ・・・好きな曲だ。そしてこの曲を選んで、ベースでメロディを弾くペデルセンのセンスにも素晴らしいと思う。
ちなみに、もう30年前のことだけど、このJWalkinにはちょっと思い出がある。ジャズ研の先輩ギターのケニー・マー坊氏の好きなレコードで、このLPの中の”J Walkin"にトライしていたので、何度も聴いたはずなのに・・・その頃にはペデルセン=巧いだけでおもしろくないべーシストという、全くレベルの低い思い込みで、深く聴こうというスタンスさえなかった。あの時、すでにボサノヴァ好きだった僕が、このFelicidadeを聴いていたならば・・・僕のジャズの好みというのは、どうなっただろう? そんな意味のないことを考えてしまう僕である。
ペデルセンということで、僕が持ってきていた1枚もかけてもらう。Dscn1696_1
ピーターソン/Great Connection(MPS/テイチク)just squeeze me 1971年録音。
この頃の録音盤をあまり聴かない僕なのだが、このレコードは例外的に好きな1枚だ。ペデルセンのたっぷりとしたベース音が軽くグウ~ンと伸びる様が、実に気持ちいいのだ。ベースという楽器の胴体や、弦の芯が鳴ってからの、アタッチメント増幅音なので(だと思う)軽々しくは聞こえない。
やはり、ペデルセンは本当に巧い!
ルイス・ヘイズの切れのいいシンバル音、そして軽めに弾くピーターソンの艶やかな音色とタッチ感(音圧にまだまだ余裕がたっぷりあるような感じ)も素晴らしい。そんな「好録音」のピアノトリオ盤なのだ。
それにしても、テイチク盤でこの音なら、MPSオリジナルならさぞや・・・(笑)

僕の手持ち盤から、もう1曲、お願いする。
Dscn1694 Blues For Tomorrow(riverside)~a sad thing
この1曲は、ハービー・マンのリーダーアルバム(great idea of Western Manne)からだ。このsad thing でのバスクラの音を聴いた時、「ぞぞ~ッ」とした(笑)もちろんハービーマンが吹いているのだが・・・怖ろしいほど透徹したような音色なのだ。a sad thingというタイトルからも覗(うかが)えるように、マンがそういう風に吹いているのだとも思うが、録音されたこの「音」も凄い!バスクラ自体をそれほど聴き比べる機会もないが・・・この音に、僕は驚いてしまったのだ。そしたら・・・この1曲(1枚)は、riversideにしては珍しい西海岸の録音で、マンの西海岸ツアー時にロスで録音されたとのことだ。どうりでいつものriversideの音とはちょっと肌合いが違ったわけだ。それにしても、ハービー・マンという人、たまに吹くテナーも巧いし、バスクラもこんな音で鳴らす・・・すごい才人だったのだろうな。

さて、この会。インストばかり聴いていたわけではない。ヴォーカルものを大好きなkonkenさんが、いい盤を持ってきたので、随所にそれらを混ぜながら進めていった。(以下4点は1144ross_2konkenさん提供)

Annie Ross/Gypsy(world pacific)から 
Overture 
Everything's C oming Up Ross

Darlene/The Nearness Of You(epic)1314_darlene_2

《このepic盤は、以前にrecooyajiさんに教えていただいたもので、それを気に入ったkonkenさんが速攻で入手した》

Greetje Kauffeld/Clifford : Sings To A Tribute To Clifford Browon(オランダomega)から1336kauffeld

I remember Clifford 《konkenさんのお気に入り盤。しっとりした風情のあるいい歌い手だ。70年代後半のオランダ録音だが、音は瑞々しい感じもあり、とてもいい》

Marlene/Marlene(savoy)から
Some Oter Time
If I Love Again

1322marlene_1 どれもよかったのだが、やはり、savoyのマーレーンは素晴らしかった。優しくて柔らかいマーレーンの声も、丁寧な唄い方も、そしてハンク・ジョーンズのバッキングなど全てが素晴らしい。以前、リキさん宅でこのマーレーン(僕の手持ちは、残念ながらAudiophileのreissue盤)をかけた時も、Yoさん、リキさん「いいねえ」とうなずいたなあ・・・そういえばあの時、リキさんが一言。「このトランペット、なんでこんなにエコーが・・・・」そう思って聴くと・・・たしかに、このレコードでのジョー・ワイルダー、いい感じで唄の合間にフレーズを入れるのだが、いかんせん・・・エコーがかかりすぎだ。やっぱりRVG録音だなあ(笑)
この「エコー」だけはちょっと気にはなるが、savoyのヴァン・ゲルダーは、適度に柔らかく、そしてベースやドラムスの音がtoo muchではなくて、ちょうどいいバランスなのだ。僕は、savoyでのヴァン・ゲルダーの音・・・嫌いではない。

こんな風に3人でいろいろ聴いていると、知らぬ間に・・・もう陽が落ちかけている。なぜそれが判るのかというと・・・二つの巨大なウーレイの1mほど後方の壁の高い位置に小窓があって、そこにはいつもカーテンがかけられているのだが、どうやらその方角が西側らしく、陽が落ちてくると・・・いつもそのカーテンが濃いオレンジ色に染まってくるのだ。そのオレンジ色を見ると「ああ・・・もう夕暮れかあ」という気持ちになってしまう。6時にはおいとまする予定だったので、もうあまり時間がない。こりゃあ、いくら時間があっても足りないや(笑)そんな僕らの気持ちを見てとったか・・・「僕はもうちょっと遅くなってもいいですよ」と、Yoさんが助け船を出してくれた。「いやあ・・・それは・・・」と恐縮するkonkenさんと僕。しかし・・・その恐縮にはあまり迫力がない(笑)ほとんど「そうしてもらっていいですか?」という雰囲気が顔に出ていたのだろうと思う。「ちょっと休憩がてら外で軽く何か食べて、それからまた少し聴きましょう」というYoさんのありがたい申し出に乗っかった格好で、それでは・・・pm9:30をリミットに第2部をやりましょう!ということになった。いやあ・・・これはうれしかった(笑)実際、その方が夕方の渋滞からも逃れられるし・・・いや、それよりなにより、もうちょっとこの音を聴いていたいのだ・・・よかったあ! Yoさん、ありがとう!

そうして第2部(pm8~9:30)でかけたのは・・・
エラ~
Songs In A Mellow Mood(decca)~
米decca:ジャケが灰色でなく青っぽい色のやつ。若いエラがちょっと前田ビバリに似ている(笑)
英brunswick(エラの声、輪郭がやや細くなるが気品を感じる。若くてきれいになったような感じ)

アン・バートン~
ballads & burtonとblue burton を Artoneのオリジナル、Artoneの2nd?(2枚組の1976年の)とオランダCBSの盤で聴き比べをしてみた。
Artoneのオリジナル~ballads & burtonは、瑞々しさがいっぱいでやはりいい! ところがblue burtonの方、これはどうやら・・・プレス段階の不具合らしいのだが、ヴォーカルやピアノやらの音圧が上がった箇所で「歪む」のだ。ちなみに、同じArtoneを2枚買ったパラゴンさんによると、やはり2枚とも、同じ箇所で「歪む」そうだ。2ndでは「歪まない」。
Artoneの2nd?(2枚組の1976年の)~悪くない。ただ、やはりベースのキレが、ややなくなったような感じはある。
オランダCBSの盤(blue burtonのみ)~歪まない。けどちょっと鮮度が落ちたかな・・・。

サラ・ヴォーン~
swingin' easy(emarcy) p :ジミー・ジョーンズ、b :リチャード・デイビス、ds:ロイ・へインズ、 
After Hours(roulettte) 伴奏はドラムレスで、b:デュビュビエ、g:マンデル・ロウなどであった。

Swingin_sarahここでは、swingin' easy(emarcy) のことを少しお伝えしよう。
このemarcy盤・・・サラが椅子に座っているジャケットで、あまり知られているレコードではないように思うが、むちゃくちゃいい音だった。サラの声だけでなくドラムのブラシのざわざわ感や、ベースの音圧、ピアノの艶・・・鮮度感もたっぷりの文句なしにいい音だった。サラもこの頃は、まだ可愛げがあるかな(笑)
《上と下の写真2点~Yoさん提供》

Yoさんが、polka dots & moon beamsをセレクトする。
実はこのバラードには、とんでもない場面があった。知っている方は知っているアレだ(笑)
ピアノのイントロから、サラが情感込めて静かに歌いだしてすぐ・・・全く唐突に「ドタっ!」という音が鳴ったのだ!それもかなり大きな音だ。その「ドタッ!」の、あまりの違和感に、3人とも思わずスピーカーの方を振り向いた。「何? 今の音・・・」 もう一回聞いてみる・・・「ドサッ!」はっきりと聞こえる。・・・どうやら何かが落ちたような音か・・・いや・・・バスドラの音だぞ・・・と、僕は言う。だとしたら・・・この「ドサッ!」は、ロイ・へインズの「演奏」なのか? いや、どう聴いても・・・この音は、意図した音には聞こえない。鳴るタイミングもあまりにも中途ハンパの場所だ。
「音楽」になってない。だから・・・演奏での音ではないだろう、と僕らは推測をした。
では、なぜあんな音が鳴ったのか?
konkenさん~ロイへインズの単純ミス説<たまたま右足を降ろしたら・・そこにバスドラ・ペダルがあった>
(笑)
bassclef~ロイ・へインズのミスはミスだが「バスドラ・ペダルのチェック説」
つまり・・・<ペダルの踏み具合を何気なくチェックしようとして(鳴らすつもりではなく、軽く踏むだけのつもりだったのだが、足が勝手に踏み込んでしまった>(笑)Swingin_sarah_l
《補足》このロイ・へインズの「ドサッ!」については、その後、konkenさんから、素晴らしいコメントをいただいた。「あれはミスではなかったかも・・・polka dots~という曲の中の歌詞(bump:ドスンという音/人がぶつかること、というような意味)に合わせて、ロイ・へインズが意図的に出した音だろう」という「新発見」である。コメント欄もぜひお読みください》

それにしてもサラ・ヴォーンは偉い。バラードの出足にあんな音響が鳴ったというのに、動じることもなく、そのまま唄い続けてしまう・・・プロですね。
いや・・・それでもあの「音」の後に、すっと振り返り、ロイ・へインズを睨みつけたかもしれない(笑) そうしてロイ・へインズの右足が凍りついていたのかもしれない。
実際・・・この曲では、もう2度とバスドラの音は鳴らなかったのだから(笑)古いレコードの中に潜んでいた、こんなエピソードと共に、この会もようやく終わろうとしているのだった。

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2006年3月26日 (日)

<思いレコ 第9回> マッコイ・タイナー/today & tomorrow(impulse)

初めてのオリジナル盤はインパルスだった。

分厚いコーティングのジャケット。それから、なんだか変な匂い。これが「輸入盤」というものに対する、僕の最初の印象だ。当時はあくまで「輸入盤」と呼んでおり、「オリジナル盤」というような認識は全くなかった。
いずれにしても、このやけに重いインパルス盤が、僕にとっての最初の「オリジナル盤」だったわけだ。だいぶ後から判ってきたことだが、当時(1972年頃までか?) は、日本のレコード会社が代理店となっていくつかの海外レーベルを「直輸入盤」として販売していたようだ。guramophone
riverside(時期的にABC Riverside)~日本グラモフォン(ところで、日本グラモフォン=日本ポリドールなんでしょうか?ご存知の方、ご教示を。)
atlantic~日本グラモフォン?(アトランティックのオリジナル盤を入手したところ、裏ジャケに「逆文字の刻印スタンプ」~imported by Nippon Gramophone と読める~のある盤を持っている。右の写真がそのスタンプだ。)
それに、bluenote~東芝。あとは impulse~キング くらいだろうか。King_impulse

このキング扱いのimpulse盤は、扱いタイトルの小冊子を持っている。輸入盤なのに、全て「カタカナ」で表記してあるところがおもしろい。
AS1番(great Kai&JJ)からAS100番までとAS 9101番からAS9213番までの200以上のタイトルが載っている。その内、いくつかのものは SR~という型番で日本盤が出ていたようだ。  _002

AS-63番のマッコイ・タイナーのToday & Tomorrow はそんな「直輸入盤」の1枚だった。4つ上の兄貴が大学の生協のレコード売り場で買ってきたものだ。兄貴が言うには・・・その時、有名なコルトレーンの「至上の愛」を買おうとしたら、ジャズ好きの友人が「まだおまえにはコルトレーンは早い。この辺にしておけ」とマッコイを勧めてくれたそうだ。兄貴はちょっと「ジャズ」に興味を覚えた程度だったので、素直に友人の助言に従って、それで今、このマッコイ・タイナーの盤が、僕の手元にあるわけです(笑) それにしても、当時は大学の生協にこんな渋いジャズのレコードまで品揃えしてあったということにも驚かされる。時代的に、大学生が盛んにジャズを聴いていたのだろうか? 
《写真下~1972年に手にしたToday&Tomorrow (impulse AS-63) ステレオ盤 オレンジ黒~盤が異様に厚い》

 

Mccoy_tyner_today

 

   最初、このToday & Tomorrow を触った時・・・とにかく変なニオイがした。ジャケットはインパルス特有のゲイトフォールド、そして分厚いコーティング。ジャケットに使うダンボール自体も厚めなんだろう・・・ジャケットだけでも相当に重い。そして・・・vinyl(盤)がこれまた重い!特に、センターラベルが「オレンジ・黒」の比較的初期の盤は、vinyl 自体もこれまた厚いようで、横から見ても2mmくらいはありそうだ。そうしてその厚さが、けっこう不均等なのである(笑)

「変なニオイ」を嗅ぎながら、それでも何度もこのレコードを聴きました。
A面1曲目は・・・contemporary focus というモードの曲だ。たぶん1963年頃は、なんでもかんでもモードという時代だったのだろう。
モードというと・・・僕がちょっと苦手ないわゆる「新主流派」(bluenoteのハンコックやショーターの流れからのモード手法)のサウンドを想起する方が多いと思う。しかし・・・このマッコイのモードは、新主流派のサウンドとは、なんとなく肌合いが違うのだ。やっぱりエルヴィン、マッコイ、という「コルトレーン的熱いソウル一派」のモード曲は・・・まず「熱い!」それに「くどい!」(笑) 曲のテーマの展開もなんとなく強引というか混沌というか・・・あまりスマートではないのだが、そこら辺りが僕には心地よいのだ(笑)

この曲は、ジョン・ギルモア(ts)~そういえば、ジョン・ギルモアというテナー吹きの「ギザギザしたような・・・乾いた風が吹き始めたかのような」独特のサウンドにも魅かれるものがあった~やフランク・ストロジャー(as)、それにサド・ジョーンズ(tp)が加わった6人編成のセッションの中の1曲だ。そしてその6人セッションのドラムスがエルヴィン・ジョーンズなのだ!

中央やや右の方からエルヴィンの「でっかい鳴り」が響き渡る。シンコペを効かせた4音のイントロ~「ダッ・ダッ・ダッ・ダア~ン」という合わせのところなんかもう・・・エルヴィンの強烈なこと!シンバルの中央付近を叩く「カコ~ン」というような音も混ぜて、そして「グワ~ン」とシンバルを押し(文字通り、押しているのではないだろうか)バンド全体を煽るようにドラムセット全部を鳴らしてくる。この辺りの「合わせ」・・・エルヴィンはたぶん、譜面なんか見てない。出来あがった曲をマッコイがピアノで弾いて、それを即座に身体で吸収してしまったのだと思う。そうして理屈でなく野生の勘で、合間にロールを入れながら、その合わせるポイントよりもほんのわずかに遅らしたような感じで「ドッカ~ン」とくる。これが気持ちいいのだ(笑) きれいにピタっと合わせるだけの後年のフュージョンの「合わせ」なんかとは、もう全く次元が違う。重みが違う。キレが違う。そうしてライド感が違う。エルヴィンが叩けば、そこには必ず・・・ジャズ魂が炸裂しているのだ。_002
ちなみにラストのテーマに戻る前に、短いベース・ソロがある。ブッチー・ウオーレンだ。この人もいい。ベースの音が本当に重いのだ。ハードボイルドな感じで凄みのあるソロをとる。そしてそのウオーレンがダブルストップ(左手を2箇所押さえて、ベースでも和音を出すこと)でもって「ダッ・ダッ・ダッ・ダア~ン」のフレーズを出してくる。すると・・・即座にエルヴィンが応えるのだ。パッと手が動いてしまったかのような、短いロールから「ドッカ~ン」とシンバルを鳴らし・・・爆発するようなこれも短いソロをとる。そうしてイントロと同じあのリズムパターンを繰り返すと・・・もう管奏者たちはテーマに入るしかない(笑)

高1の時に聴いた時は「ああ・・・これがジャズかあ」という感じに、この曲~contemporary focusからは、それこそ現代的(comtemporary)な感触を得ただけだった。しかし今聴けば・・・エルヴィンの凄さを味わうと共に、いいテーマを持つそしてしっかりと構成されたマッコイの傑作オリジナル曲だと思う。

Today & Tomorrow~A面~B面何度か聴きなおしてみたが~3管6人編成での他の曲もどれもよかった。それにトリオセッションでは、ベースがジミー・ギャリスンなので、「チュニジアの夜」「枯葉」もハードボイルドで悪くない。それとバラードでは「when sunny gets blue」というチャーミングな曲も演っており、一気に聴き通してしまった。マッコイのピアノのプレイだけをとっても、僕はこの頃のマッコイが一番好きだ。マッコイのピアノは、特に高音部でのフレーズに独自の輝きがある。右手のタッチが小気味よいほど鮮やかで、しかも一音一音をしっかりと弾き込んでいるようだ。だから・・・高音での「鳴り」が鐘のように響く。インパルスの録音もそれをよく捉えているように思う。マッコイには同時期に、ピアノトリオ(inception、ballads & blues、 plays Elligton、reaching fourth など)も何枚かあるが、やはり管も入ったこの盤がトリオものとのバランスもよく、一番聴き応えがあるようだ。
ジャズ聴きの最初期に何度も何度も聴いたこの盤なので、思い入れがあるのかもしれないが、その分を差し引いても~マッコイの大傑作だと思う。
ちなみに、このオリジナル盤・・・ジャケットのコーティングは隅の方から剥れ始めているが・・・あの「変な二オイ」はまだ微かにジャケットに残っている。

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