<やったあレコ>

2010年11月23日 (火)

<思いレコ 第18回>チェット・ベイカーのPacifc盤

チェット・ベイカー・・・抑制の美学

Dscn2508_10 チェット・ベイカー・・・この人のトランペットには独特な何かがある。その「何か」をどんな風に表現したらいいのか・・・音や音色のことを言葉で表わすのは、なかなか難しい。
例えば・・・あなたがある歌手なりミュージシャンを好きに(嫌いに)なったとする。音程がどうとかフレーズがどうとか言ったりもするが、聴き手にとっての好みというのは・・・突き詰めていけば「歌手の声質」であり「楽器の音色」に対する感覚的なものかと思う。では・・・演奏者にとっての好みというのはどんな風に現れるものだろうか・・・。

ジャズという音楽を色々と聴いてくると、トランペットという楽器からも実に色んな「音色」が発せられきたことが判ってくる。マイルス・デイヴィスの音色とクリフォード・ブラウンの音色は、やはり相当にその質感が違う。
ミュージシャンの発する「音色」というものは・・・やはりその人の感性や美学から生まれてくるものだと思う。
アドリブのフレーズとかタンギングとかの技術上・奏法上のことはある程度、分析的・後天的に造られていくものかもしれないが、その人が発する「音色」というものは、歌手の声と同じように先天的なもので、それは「その人であること」を決定づける根本だと思う。もちろんどの楽器の奏者の場合でも、その楽器を持った端(はな)からその「先天的音色」が出るはずもないが、その修練過程において、無意識にでも「あんな音、こんな音がいいなあ」と感じながら、その「音色」が創られていくものではないだろうか。そうして、チェットという人は・・・心底、己(おのれ)の感性、いや、もっと本能的・肉体的な意味での生理感覚だけで、トランペットという楽器をまったく自分の好きなように鳴らしている・・・そんな風に思えてならない。

チェットはトランペットを溌剌(はつらつ)とした感じでは吹かない。
チェットのトランペットは、いわゆる金管楽器に特有の輝かしいものではなく、くぐもった様に暗く低く、しかし妙に乾いた感触のある・・・そんな不思議な音色で鳴る。
チェットは音色だけでなくその語り口も独特だ。
フレーズはたいてい、のそ~っと始まり、戸惑ったように口を噤(つぐ)んだり、そうしてまた訥々(とつとつ)と語り始める・・・そんな風情だ。
スローものでは、いや、速めの曲でさえも、いつもどこか一歩引いた視点で吹いているように見える。
そうなのだ・・・この人は明らかにいつも「抑えて」吹いているのだ。
人が何かを訴えたい時に、声高(こわだか)に叫ぶよりも、逆に抑えた方がうんと説得力が増す・・・ということもあるように、チェット・ベイカーという人は、そんな「抑えた語り口の凄み」というものを、本能的に身に付けている稀なミュージシャンなのかもしれない。
そんな独特な音色と語り口でもって、チェットという人は己(おのれ)を語るわけだが、その音(サウンド全体)から醸し出される情感の漂い方が、これまた尋常ではない。あの「寂しさ」や「けだるさ」・・・あんな風に直截に鋭く深く「ある情感」を感じさせる「音」というものもめったにないだろう。
そしてその「音」は、フィーリングの合う聴き手には、どうしようもないほど素晴らしい。

僕はチェットのスローバラードをどれも好きなのだが、特にこれは・・・と思うものをいくつか挙げてみたい。後期のものはあまり聴いてないので、どうしても初期の作品からのセレクトになってしまう。Dscn2507_2
《チェットの最初のリーダーアルバムとなった10インチ盤/Pacific PJLP-3。チェットのトランペットの斜め下向き、なぜか切り取ってしまった背中の真っ直ぐライン、それらが水色と黒の中に見事にデザインされていて・・・実に素晴らしい。この写真では判別しづらいがセンターラベルは<艶あり>で、裏ジャケ下の住所はSANTA MONICAとなっている。この10インチ盤では imagination というスローバラードが秀逸だ》

キング発売の「チェット・ベイカー・カルテット」第1集・第2集(キング18P~の1800円定価のもの)を、発売当時に入手し損ねた僕は、その後もあの水色のジャケットが欲しくて仕方なかった。Dscn2519_2
たまに中古盤屋で見つけても、そのキング盤は5000円以上の値段で我慢せざるを得なかった(笑)
だいぶ後になってから東芝が発売した「コレクターズLPシリーズ from オリジナル10インチ」なるシリーズで、ようやくその音を聴くことができた。このシリーズは元々の10インチ盤のジャケットをそのまま12インチに引き伸ばしたものだが、それでも、オリジナル10インチ盤の素晴らしいデザインと「同じもの」が見られるだけで、僕は充分にうれしかった。
そうしてようやく、その「本物の水色ジャケット」の10インチ盤を手に入れることができた。東芝12インチ盤と並べてみると・・・やっぱりこのジャケットは10インチの方が収まりがいいようだ(笑)

その「カルテット第2集:featuring ラス・フリーマン」にmoon loveという曲が収められている。ラベルのクレジットには kern-grossmith-wodehouse とクレジットされており、東芝盤解説では『ジェローム・カーンが作曲したもので~』という岩波洋三氏の解説もあるが、これ、元々はクラシックの曲で、それはどうやらチャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章からの引用らしい。
というのも・・・先日、サックス吹きの友人sige君とグロッタ(ジャズ喫茶)にてジャズ話しなどしていると、ちょうどこのチェットのmoon loveが掛かったのだが・・・「このチェット、いいだろう」と僕が言うと「あれ?・・・何でチャイコフスキーが・・・」とsige君。そういえば彼はクラシックにも詳しいのだ。
そうか・・・この曲の元メロディは、チャイコフスキーだったのか。それにしても、本当にいいメロディじゃないか・・・。
このメロディがチェットのあの音色でもって流れてくると・・・なんとも内省的な思いに沈み込んでいくような風情がある。それは・・・寂しさだけでなく、仄(ほの)かに希望を感じさせるような・・・そう、哀しいのだけど微(かす)かに微笑んでしまう・・・そんな雰囲気だ。それを「ペイソス」と呼んでもいいのかもしれない。う~ん・・・やっぱり、チェットはいいなあ・・・(笑)

moon loveという曲は、うんと初期のpacific録音。
《ついに手にいれたオリジナル10インチ盤 Pacific PJLP-6》Dscn2505_2

この10インチ盤にもジャケット違いが存在する。カラーとモノクロだ。Dscn2517 そして・・・そのカラー盤にも2種類あるかも。
この10インチ盤写真の「黄土色っぽいもの」と「セピア色っぽいもの」の2種があるようだ。
(東芝12インチ再発盤は、そのセピア色盤が出自かも)
僕もオリジナル10インチ盤の現物2種を並べて確認したことはなく、ネット上での写真による比較なので、絶対とは言えない。  

《PJLP-6の裏ジャケット》

Dscn2506_2 この10インチ盤の収録8曲は、もちろん全てインストなのに、なぜかsings~の時の写真が使われている。それともこのセッションの合間に歌の練習でもしていたのだろうか(笑)


 

 

そういえばリチャード・ツアージックというピアノ弾きが気になっている。だいぶ前にこのブログでチラッと触れたPianists Galore!(world pacifc) に入っていた1曲(Bess,you is my woman)~あの普通ではない暗さがどうにも気になったのである。
そしてその頃、ちょっと珍しい日本盤2枚組みを入手した。
《チェット・ベイカー・イン・パリ》         

Dscn2513_4 この2枚組は日本ポリドール発売。ラベルが白いテスト盤のようだが、この2枚組の何曲かがチェットとツワージックの共演セッション。僕はこのLPで 初めて sad walk という曲を聴いたのだが、これがまたそのタイトルそのままに、なんとも寂しい・・・どうにも寂しい雰囲気なのだ。たぶん・・・ツアージックがチェットのために書いた曲なんだろう。というより・・・いつも耳にしているチェットのトランペットのサウンドがツアージックの耳に、身体に沁み込んでしまって、そうして,じわじわとこの寂しいメロディが湧きだしてきた・・・そんな気になってしまうほど、この曲はチェットに合っている。
この2枚組LPを聴いて、しばらくの後、香港でCD(仏polydor)を見つけた。そのCDには、チェット~ツアージックのセッション全9曲が収録されていた。ホントは・・・CDなんかじゃなく、仏Barcleyのオリジナル盤が欲しい・・・(笑)

チェットのPacifc10インチ盤は、PJLP-3、PJLP-6の他にもいくつか出てます。その辺りはまたの機会に。

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2007年1月 1日 (月)

<やったあレコ 第8回>Bill Potts/The Jazz Soul Of Porgy and Bess(united artists)

いつかは、このアルバムを<夢レコ>に載せたいと思っていた。リーダーはビル・ポッツというあまり聞き慣れない名前ではあるが、もちろんビル・エヴァンス絡みの1枚としてである。

古い「ジャズ誌」を2冊だけ持っている。1975年10月号と1976年1月号なのだが、特集は「ジャズ・べースの深遠にディグする」と「ビル・エヴァンス物語」であった。1975年・・・ちょうどこの年に、僕はウッドベースを始めたのだった。それまで少しはギターには触っていたとはいえ、フレットに目印もないような楽器に、そんなに簡単に入り込めるはずもない。あのバカでかい楽器にしがみつきながら「ジャズ~っ!」と叫んでいるような毎日だった。聴く方でも日本ビクターから出始めていた多くのリヴァーサイド盤を通して、ビル・エヴァンスを、もう充分に好きになっていた。そしてもちろん・・・ラファロのことも。つまり・・・僕はジャズという世界に身も心も捧げていたのだ(笑)
そこへ、この「ジャズ・ベース特集号」・・・これは買わないわけにはいかない(笑)Dscn1571
どの記事もよかったが、特に白石誠という人の<スコット・ラファロ物語>は読み応えがあった。白石氏は相当なラファロ信者のようで、「ラファロの2拍3連」がいかに素晴らしいのか~を説明する場面では「チェンバースの貧弱な2拍3連」という過激な表現もあったりするが、僕はラファロのベースプレイに心酔していたので、そんな白石氏のラファロへの思い入れ溢れる文章には、素直に感動してしまったのだ。Dscn1572 Dscn1573_1

そして白石氏作成のラファロのディスコグラフィーも大いに役立つものだった。3ヶ月後に出た1月号もいい内容だったのですぐに入手した。この号にも白石氏作成の「ビル・エヴァンス・ディスコグラフィ」が載っていた。特にエヴァンスの初期の参加レコードのデータが貴重だった。もっともそういう初期のものは、ほとんどが入手困難だったので、音源を聴けたのは、何年も後のことだったが。どうやら僕はこの頃からdiscography というものに弱かったようだ(笑)

《Victor音源はなんとか国内盤で入手できたが、carlton,seecoなどトニー・スコット絡みの音源は、もっと後になって freshsound からの復刻で、ようやく聴けたのだった。ちなみにこのトニー・スコットのセッション~ベースはヘンリー・グライムズだ。これらの復刻LPの音源をまとめた2CD(freshsound)がとても便利だ。

Dscn1574_1 そのビル・エヴァンスのディスコグラフィで、このレコード~The Jazz Soul Of Porgy & Bessの存在を知ってはいた。それは「スカート女性の足ジャケット」(左写真の36番)だった。だいぶ後になってジャズ批評の「最後の珍盤を求めて」でも、このPorgy~が紹介されたのだが、その盤はジャズ誌に載っていた「スカート」とは違うジャケットだったのだ。対談の中身から、それが1stのオリジナル盤であること、しかもナンバー入りのlimited edition(限定盤)を知って・・・ますます欲しくなってしまったのだ。レコード好きは、limitedにも弱いようである(笑) ちなみに「珍盤コーナー」というと、捉えようによっては「コレクション自慢」にも見えるが・・・コレクションというのは、結果ではなくて「コレクトしていく」過程に価値がある~もちろんその人にとって~のだと思う。そうして、そんな風にコレクトされたレコード達とは・・・よくも悪くもその人の歴史なのだと。
だから・・・そのコレクションを知ることは「その人」を知ることでもあるのだ。人は誰かと知り合う時に・・・多少は見栄を張るものだ。だとしたら、自分の経歴の一部を見せる時に・・・少しくらい自慢気になってもいいじゃないか(笑)
そんな訳で・・・<やったあレコ>である。このレコードは7~8年前に入手した。その頃、バナナレコードという中古レコード店が「アメリカ仕入れ直売~コンバットツアー」とかいう名前で地方都市を3~4日間づつ巡業していくセールをよくやっていたのだ。僕は浜松でのセールで入手したのだ。この時のセールは、仕入れスタッフがよほどいいディーラーに当たったと見えて、他にもアンドレ・プレヴィンのcolumbia盤など状態のいいものがいっぱいあった。Dscn1528_1
最初、この薄めの黄色のジャケットを引き抜いた時・・・大げさではなく身体に電流が走った(笑)
写真では何度も見ていた、あのジャケットが目の前にあるのだ!ついに出会ったのだ!

まずはチェックだ。ゲートフォールドの分厚いジャケット。僕は丁寧に外袋をはずし、丁寧に中を開いた。おおっ・・・開いたページ左側にやはり「限定NO.~」が印字されている。実に誇らしいではないか! そして何より素晴らしいのは、その4pほどのブックレットだった。
録音中と思しき場面のミュージシャンの写真が、それもいい場面の写真が満載されていたのだ。
そして盤の方は・・・これもほぼミント状態である。この貴重盤がこのコンディション、もちろん値段の方もなかなかのものだった。しばし考える僕。「スカート」の国内盤は持っているのだ(当時の僕はダブり盤は買わない主義だった)だがしかし、本当はもう僕の心は決まっていたのだ。だってそうだろう・・・この先、どう考えても、このレコードにそうそう出会えるわけはない。だから・・・買うしかないのだ(笑)だから、この「考える」は、自分の中で「もったいぶる」ポーズだったかもしれない(笑)

Dscn1578 このPorgy & Bess・・・実は音源だけは聴いていたのだ。ジャズ誌のビル・エヴァンス特集のディスコに載っていた方の「スカート」ジャケットの方を、キング国内盤を見つけていた。しかしその盤、とんでもない音だったのだ。というのは・・・音質もまあまあ悪くない普通のステレオ盤だったのだが、B面1曲目it ain't necessary so では、なんとテナーサックス(アル・コーン)の音が左右に動き回るのだ(笑)どういうことだあ、これはっ! 曲が変われば(セッションごとに)楽器の位置が変わることはたまにはある。しかし、同一曲のしかも今、まさにソロをとっている主役が左右にぶれまくる・・・こんなミキシングってあるだろうか? このレコードは大編成で、テナーにもズート、アル・コーンの2名がクレジットされてはいる。そうなると・・・その2人が左右で代わる代わる吹いているのかも・・・という可能性もあるが・・・いや、どう聴いてもそれはない。間違いなく独りのテナーが連続して吹いている語り口、トーンなのだ。それなのに途中でフラフラ~と右に左に這い回ってしまうのである。聴いていてとにかくもう気持ちが悪い。酔いそうだ(笑)だから・・・この国内盤「ポギーとベス」を聴くときは、いつもアンプをモノラルモードにして聴いていた。それでかなり救われたのだが、こういう大編成のジャズを聴くときのステレオ音場の楽しさもなくなってしまうので、それが残念であった。それにしても・・・あの「サックス左右の舞」、あれがマスターテープ不良による国内盤全部での現象だったのか、あるいは、僕の手持ち盤のみの固体的不良だったのか・・・今もって判らない。《補筆》この記事をアップ後、リンクをしていただいているmono-monoさんからコメントをいただいきました。いやあ・・・驚きました。mono-monoさんも、すでにご自身のブログMONOmonologueの中で、アメリカ盤「Porgy & Bess」のことを載せていたのです。このキング国内盤と同じジャケットの盤にも、やはり「サックス左右の舞」があるとのこと。とても興味深い情報です。special thanks to Mr.mono-monoさん!

そしてもう1件、67camperさんからもこの限定盤をお持ちとの情報が入った。さらにもう1枚の「Porgy & Bess]情報も。ともにモノラル盤とのこと。こちらもぜひご覧下さい。special thanks to Mr.67camperさん!

Dscn1580_1その後に入手した米capitolのCD(CDP-7-95132-2)では、もちろんその「舞」はなかった。そんなちょっとしたことにも一喜一憂するのが、レコード好きなのである(笑) ちなみに、オリジナル盤とCDには全13曲が収録されているのだが、このキングの国内盤には全10曲しか収録されていない。つまり3曲がカットされているのだが、その中の1曲:it takes a long pull to get thereには、短いがビル・エヴァンスのソロスペースもある。だから・・・エヴァンスのマニアの方は、なんとしても米united artists の1stか2nd を手に入れたくなるはずだ。
《補筆》この米CDは商品化する際、音源確保に苦労したらしく、裏パッケージにこんな言い訳がしてある~note:the master tapes to this exquisite session have been lost. to produce this CD, Bill have been lost. to produce this CD, Bill Potts and Jack Towers gathered as many mint copies of this collector's item as they could find and poinstakingly transferred the best pressing of each selection to tape~つまるところ・・・マスターテープがもうなくなってしまったので、いい状態のレコードを探してそれぞれ状態のいい曲から音源をtransferした・・・ということだろう。だからいずれにしても・・・この米CDの「音質」は、それほどいいとは言えない状態です。

まあそんなちょっとした因縁を経ての、このオリジナル盤との遭遇だったわけだ。この盤の限定ナンバーは、326番である。当時のlimitedというのは、何枚くらいプレスしたのだろうか? たぶん・・・2000枚くらいだろうか。Dscn1531 そう思って改めてジャケットを見ると・・・この絵もなかなか味わいがある。暗い雰囲気の漂う「家族の肖像」という感じの絵である。裏ジャケットの一番下に、cover painting~robert andrew parker とちゃんとクレジットされている。
造りのいいゲートフォールドのジャケット、格調高いカヴァー・アートと併せて、この限定盤の価値は、なんといってもブックレットの写真にあると思う。
そのブックレットの雰囲気を味わってもらえるように、いくつかのページを撮ってみた。 それから、参加しているミュージシャンが実に豪華なので、そのクレジットも記しておこう。Dscn1532
trumpet   ~art farmer, harry edison, ernie glow, markie markowitz, charlie shavers
trombones  ~bob brookmeyer, frank rehak, jimmy cleveland, earl swope, rod levitt
tenor sax  ~zoot sims, al cohn
alto sax   ~phil woods, gene quil
bariton sax~sol schlinger
guitar     ~herbie powellDscn1533_2
drums      ~charley persip
piano      ~bill evans
bass      ~george duvivier

Dscn1530conductor ~bill potts 録音:1959年1月







さて・・・このPORGY & BESS、ビル・エヴァンス絡みでついに手にいれた1枚ではあるが、それほどエヴァンスが活躍するわけではない。どちらかというと管楽器奏者たちのソロを楽しむレコードだろう。それでも1曲、エヴァンスのピアノが印象に残る曲があった。I love you, Porgy である。この曲は・・・そう、エヴァンスが1961年6月の village vanguard でのライブでも演った曲だ。たしかこの曲は、オリジナルの2枚(waltz for Debbyとsunday at the viallge vanguard)には収録されずに、うんと後になって発売されたmilestoneの2LPで、未発表曲として世に出てきたはずである。

エヴァンスは、うんとスロウなテンポで、シンプルなメロディをいつくしむように弾いている。しみじみとした情感みたいなものがよく出ていて、とても好きな演奏だった。
あの・・・I love you, Porgy である。しかしこの59年のテイクでは・・・ある意味、全くエヴァンスらしくない弾き方なのだ。ビル・ポッツがきっちりとアレンジした大編成のオーケストレイションものなので、このエヴァンスをフューチャーしたこの曲においても「足かせ」があったようだ。それというのも・・・この曲、エヴァンスが右手でしか弾かないのである。それでもってメロディをポツン・・・ポツン・・・と弾く。左手の和音はおろか、右手も全くのシングルトーンのみ!これではまるでジョンルイスではないか(笑) しかも、導入部と中間部は管部隊の出番なので、エヴァンスは、ただでさえシンプルなメロディのこの曲の出足のメロディと最後の方のメロディだけを弾くのだ。エヴァンスは右手で弾くそのメロディにも全くフェイクを入れずに「ベタ~っ」と弾く。なんというか唄用の楽譜のままの音符で・・・という感じなのだ。伸ばす箇所ではそのままシングルトーンを伸ばしている。ポツン~・・・ポツン~・・・間が空いてしょうがない(笑) 
ハーモニーをあれやこれや研究することでなんとも絶妙な左手と右手のコンビネイションを創りあげる、そしてそれが持ち味のエヴァンスから「左手」を奪い去る・・・なんて過酷な指示(アレンジ)だろう。いや、これはエヴァンスへのイジメだったのかもしれない(笑)

しかしながら・・・その指示がなんとも不思議な効果を生むのだ。エヴァンスの伸ばした単音が、所在なげに響く。録音にエコーがかけられているようでもあるし、エヴァンスがペダルを踏んで伸ばしたようにも聞こえる、その不思議な単音・・・まだ管楽器は入ってこない・・・スカスカの音空間・・・そんな間の空き具合が、Porgyのメロディと伴に、どうにも印象に残ってしまうのだ。ある種「寂しさ」みたいな感じを演出しようとしたポッツのアレンジだったのかもしれない。Dscn1529_1

いずれにしても・・・この時のエヴァンスには相当な音楽的ストレスがあったように思う。だから・・・今度は自分が納得のいく左手のハーモニーを付けて、そうして1961年にもう一度、この I love you, Porgyを演奏したのではないだろうか。そうして、その渾身の I love you,Porgy もなぜか・・・あの2枚のライブ盤には収録されなかったのだ。エヴァンスの気持ちはどんなだったろう。・・・この I love you, Porgy というガーシュインの名曲は、エヴァンスにとっては因縁の1曲だったのかもしれない。

僕はいつもこんな風にいろいろ想像してしまう(笑) ほとんど妄想かもしれないが、ほんの少しでもそんな感じがあったとしたなら・・・エヴァンスがいつもあんな風にニヒルな顔つきをしているのも無理のないことかもしれない(笑)

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2006年11月29日 (水)

<やったあレコ 第7回>アート・ファーマー/The Last Night When We Were Young

<ABC paramountのプロデューサーは、クリード・テイラーだったのだ>

少し前にABC paramountというレーベルのことを書いた。
トロンボーンの「アービー・グリーンの緑色の盤」を<やったあレコ>として取り上げたのだが、その折、ABCレーベルに特有の「ギザエッジ」や「テストトーン」のことも書いたので、そちらが強調されてしまったようで、なんだかABCレーベルというのはゲテモノじゃあないか・・・と思われてしまったかもしれない(笑)
でも、それは違う。
ABC paramountは、趣味のいいレーベルなのである。そしてそのプロデュースは、ほとんどCreed Taylorである。
この名前は・・・CTIレーベル絡みで、いやというほど聞いたことがある。
今でこそ、ウエスのものやらポール・デスモンドなどCTIものも、それなりに楽しんで聴けるのだが、当時はどちらかというと「よくない方の代表」くらいに思っていた人物である(笑)
しかしながら、このクリード・テイラー氏。
ABC時代(1956年~1960年くらいか)には、実になかなか渋くていいレコードをあまた残しているようなのである。
僕はビリー・テイラーの諸作、アル・コーンの入ったキャンディド諸作以外には、それほどABCを持っていないのだが、いろいろ思い浮かべてみると・・・
前回のアービー・グリーンやトニー・スコットにしても・・・
そう、ABC paramountは、趣味がいいのだ。
その証拠に・・・こんなレコードもある。Dscn1521_3















<Art Farmer/Last Night When We Were Young>(ABC-200)
まずジャケットが実にいい。唐突なシーンではあるが・・・レンガが敷き詰められた庭園で正装したカップルが踊っているのである。写真はRoy De Caravaという人だが、cover design by Fran Scott とも記されている。ちなみにこのFran Scottという人は、トニー・スコットの奥さんだそうである~前回「テスト・トーン話題」のサンプルとして挙げたスコットの「South Pacific」という盤の裏解説にそんなことが書いてあった。
くすんだような色調なので、薄暮のようでもあり、あるいは夜が明けようとしている頃のようにも見える。
周りには人気がない。おそらく・・・長いパーティーがようやく終わって、それでもまだ帰りたくない2人が、誰もいなくなったその邸宅の庭で、思わず踊りだしてしまった・・・楽団もいないのに。そんな情景のように見えるのだ。

そして、そんな場面に聞こえてきてほしい音楽~ジャズが、正にこのアート・ファーマーのトランペットなのだ。乾いたような、いや、聴きようによっては濡れたようにも聞こえる・・・いずれにしても、実にしっとりとした、なんとも魅力的なトランペットの音色である。
ファーマーという人は、もうこの「音色」だけでいい(笑)そんな感じだ。そんな「音色」が、つつましやかなバックの弦付きオーケストラの手前に、ぽっかりと浮かび上がってくる。
テーマを吹くのは、ファーマーただ独り。どの曲でもファーマーがテーマをじっくりと吹き、短いソロ~といってもちょっと崩すくらいだ~を終えると、再びテーマを吹いて終わる。曲によってはハンク・ジョーンズのピアノが少しだけ出てくるが、どの曲もそんな判で押したような展開である。しかしながら・・・これが不思議に厭きない。なぜなのか?
たぶん・・・このレコードが、アドリブの巧さやアレンジの妙を聴く音楽ではなく、「ファーマーの音色」を聴く音楽だからである。
ファーマーがあの金管から生み出した、柔らかくてしっとりした「音」。そしてそれが、ABCのどちらかというと乾いた感じの録音と入り混じって、なかなか微妙な味わいのあるトランペットの音になっている。
僕などは、その音を浴びるだけで「ああ・・・生きててよかった」と思ってしまうくらいに気持ちのよくなってしまう音色なのだ。
そうしてその「音」は決してスラスラとではなく・・・考えあぐんだ後に、ためらいがちにポツリポツリと発せられる。Dscn1522

大げさな感じが全くないクインシー・ジョーンズのアレンジが効いているようだ。おそらく・・・クインシーは、ファーマーの「しっとりとした音色」~それだけでどうにも魅力的な~この「音色」をどうやってうまく生かそうか? そのことだけに焦点を絞って、アレンジを施したように推測する。
いずれにしても、簡潔でそして実に品のいい音楽である。

特にいいのが、やはりタイトルにもなっている B面1曲目~last night when we were young だ。この曲、シナトラは2回吹き込んでいる。1954年の capitol(Wee Small Hours)と1965年のreprise(September Of My Years)だ。僕はcapitolのシナトラが好きなのだが、こと、この曲の味わい深さにおいては~「唄」自体の巧さやら声の強さは54年(38才)の方なのだが~
65年の49才のシナトラも悪くない。ちょっとだけ声がよれそうになったりするところに、逆に哀しい味わいを感じたりするのだ。これは・・・自分も年をとっているということなんだろうな。そういえば僕も今、49才だった(笑)

もう1枚、ちょっといい盤がある。
Tom Stewart/~Sextette,Quintette(ABC-117:1956年)というレコードである。Dscn1523_2















ジャケットを見ると・・・何やら見かけない楽器を抱えるようにして座っている男がトム・スチュアートなる人物なのだろう。オールバックのやや頑固そうな風情である(笑) そして、クレジットにはTENOR HORNと書かれている。
テナー・ホーンて何だい?
一聴すると・・・トロンボーンである。この楽器・・・僕は、このレコードを聴くまでは、ほとんどその名前さえ知らなかった。そんなこちらの疑問に応えるかのように、裏ジャケにはちゃんと "THE TENOR HORN" というタイトルもあり、トム・スチュアート自身の言葉による説明がしてあった(笑)
ちょっと抜粋すると~(以下《   》の箇所)
《テナー・ホーンについてちょっとだけ。これはバリトンやユーフォニウムの小型版だよ。キーはBbで大型のホーン楽器と同じ音域があるし、それに音色が柔らかくてキツクないんだ。僕はヴァルブ・トロンボーンより好きだね。だって「サウンドとイントネイション」のことでヴァルブ・トロンボーンでは発生するいろんな問題(僕にはだよ)が、このテナー・ホーンでは起きないからだよ。ジャズを演奏する時にも、こっちの方がバリトンサックスより小さくていいな。まあでもテナーホーンというのは、時代遅れの楽器だし、学校や軍楽隊にあるかどうかだろうね》

~そんな楽器だそうである。だけど・・・聴いていて特に独自な音色に感銘を受けるということはない(笑) ほんのたまに聴く、ジュリアス・ワトキンスやジョン・グラース(ペッパー絡み)のホルンのような感じに近いかもしれない。

そんなことより(笑)このレコードの聴きどころは・・・スティーブ・レイシーなのである!
ちょっと前に、ブログのお仲間:notさんのブログにレイシー話題が出た。その折にこのABC盤に「レイシー参加」という情報をnotさんから得ていた。その後、入手したものなのだが、これが実によかった!(special thanks to Mr.notさん!)Dscn1524
僕はいわゆるフリージャズは聴かないが、レイシーのあのソプラノのサウンド~これもサウンド自体に惹かれるのだが~が好きで、特に初期のギル・エヴァンス(ビッグスタッフ、あるいはギルエヴァンス&10)の中にちらちらと聞かれるレイシーのソプラノには、いつもぞくっとしたものだ。Columbiaのモンクの未発表音源を集めたWho Knows(2LP)でも、ソロはないがバックにちらと聞こえるレイシーらしきソプラノが聞かれる。
そんなスティーブ・レイシーのうんと初期の頃のソプラノが、このレコードでは、もうたっぷりと聴けるのである。やってる曲がスタンダードばかりなのもうれしい。

A面~5曲
Tom Stewart(tenor horn)
Steve Lacy(soprano sax)
Dave McKenna(piano)
Whitey Mitchell(bass)
Al Levitt(drums)
B面~5曲
Tom Stewart(tenor horn)
Steve Lacy(soprano sax)
Herbie Mann(alto flute,tenor sax)
Joe Puma(guitar)
Whitey Mitchell(bass)
Bill Bradley(drums)

レイシーのソプラノのあの「不思議な音色」が、スタンダードなメロディ・コード進行の下で鳴ると・・・より一層、その独自さが浮き彫りにされるようで、瞬時にレイシー独自の世界が現れてくる・・・そんな感じだ。特に好きなのが、A面2曲目の Gee,Baby,Aint't I Good To You だ。
このちょっと気だるいような雰囲気のメロディをレイシーが吹き始める。レイシーの音は、吹奏的に決して弱いわけではないが、伸ばしたソプラノの音が、なぜだかゆらゆらと揺らぐような不思議な感覚がある。そんなレイシーの持ち味に、このGee Babyは、もうぴったりの曲だと思う。
蛇足だがこの曲、最初に「いいなあ」と思ったのは、ソニー・クラークのトリオもの(bluenote)からである。あのヴァージョンも、やはりスロウなテンポで、もの哀しいような雰囲気のソニークラークであった。
それから・・・たしかズート・シムズが唄っているヴァージョンがあったはずだぞ・・・あれは何のレコードだったかなあ?

それにしても、このレコードの持つ「浮遊感」みたいな新しい感覚は、1956年という時代を考えると、なんとも不思議なレコードではある。
先ほどのトムの裏ジャケの述懐によれば、レイシーとは1955年頃からちょくちょくセッションしていたのだが、半年ほど前にABCのプロデューサーのCreed Taylorが、テナーホーンとソプラノを入れたサウンドなら《「とても独自なスタイル」のグループができるよ》みたいなアドヴァイスがあって、このレコードを吹き込むことになったらしい。数週間のリハーサルの後、このレコードを吹き込んだとのことだが、こうしてできあがったものを聴くと、バンドの個性というよりも・・・「スティーブ・レイシーという人の独自な個性」を、見事につかみ取ることができるレコードになっているように思う。
たぶん・・・クリード・テイラーとしては、とにもかくにも「スティーブ・レイシーを世に出したかった」というのが、本音のところだったのではないだろうか。

ABC paramountには、まだまだ「ううむ・・・」と唸るような渋いレコードがまだまだありそうだ。
また次の機会にでも(笑)

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2006年6月29日 (木)

<やったあレコ 第6回> Urbie Green /All About Urbie Green and his big band(ABC-137)

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ABC Paramount 盤が好きだ~

みなさんは、30cmLPというものを、どんな風に手に持つだろうか?たぶん・・・レコードの外周の部分を両の掌(てのひら)で軽く圧迫して、
あのけっこうな大きさの円盤を支えているのだと思う。あまり一般的とは言えないかもしれないが、その30cm円盤の外周の部分が細かい
ギザギザ仕様になっている盤がある。こういう盤を持つと・・・そのギザギザが両の掌に小気味よくグリップして、なかなかいい感じなのだ。Bc12
ビリーテイラーを集めていた時に、いくつかのABC Paramount 盤を入手した。そしてその内の何枚かが「ギザギザ」していたのだ。
2年ほど前だったか、モアさんの掲示板にてABC盤が話題になった時、「ABC盤のギザギザの外周部分が好きだ」~その時は、notched edge という名前を勝手につけたのだが~
というようなことを書いたら、何人かの方が反応してくれて・・・あの「ギザギザ」がどんな工程で造られたのか? なぜもっと一般化しなかったのか?
というようなおもしろいやりとりになった。その時、当時の常連だったSKさんが(だったか?)あのギザギザ仕様のことを「ギザ・エッジ」と呼んだのだった。
それ以来、僕もあの「外周ギザギザ盤」のことを「ギザ・エッジ」と呼ぶことにしている。もっとも・・・自分がたまにコメントなどで使う以外には、
なかなか目にすることもないのだが(笑)

Bc_007 ABC盤の内袋~運がいいと、たまにはオリジナルのinner sleeve に盤が収まっていることがある。僕などは大体にして、古い盤のジャケットデザインやら
センターラベルそのものが嫌いではないので、「オリジナル内袋」がついてくると・・・すごく嬉しいのだ。そしてその内袋がカラーだったりすると・・・かなり喜ぶ(笑)
なにしろ当時のカラー内袋はキレイなのだ。Fantasy, Capitol, そして・・・ABC Paramount などでに「カラー内袋」が多いようだ。
こういうのを見てると、どの盤も欲しくなってしまう。そんな具合に内袋のジャケットに惹かれて入手した盤がいくつかある。Bc_003
Creed Taylor の Lonely Town は、そのタイトルとおりにいかにも寂しそうな雰囲気のジャケットがなかなかいい味わいである。
クリード・テイラーの演奏は・・・あまり印象に残ってない(笑)

コンガのキャンディードの盤もいくつか出ているようだ。僕は2枚入手した。キャンディドのファンというわけではないのだが・・・どちらの盤にも、アル・コーンがフューチャーされているのでけっこう気に入っている。ただし、ジャケットデザインはABCにしては・・・あまり品のいい感じとは言えないかもしれない(笑) <写真は一番下です>

ちょっと話しが脱線したが・・・本来は、ABC盤には~かなり地味ではあるけれど聴くほどに味わいが出てくる・・・そんな感じの、内容のいい盤が多い。
モノラルのちょっとこもったような感じだが落ち着いた感じの乾いた音質・・・それでいて仄かに温かみを感じられるような音質も悪くない。
アート・ファーマーやアービー・グリーンなどいいのがいっぱいあるが・・・とりあえずこの1枚を選 。

Urbie Green /All About Urbie Green(ABC 137)だ。
この人のボントロの音色の・・・柔らかさ・木目細やかさには・・・まったく独特な味わいがある。その音色に浸るだけで、それは快感でもある。
マイルスのMiles Ahead でも演奏されていた Springsville がすごく好きだ。作曲者は、John Carisi という人だ。マイルスのトラックでもそうだったが、
このCarisiという人の曲には、なんとも言えない「寂しさ」のような感覚がある。ちょっとメランコリックな雰囲気でもあり・・・何度か聴いていると・・・ますますあのメロディが心に残ってくるようなのだ。
グリーンの録音は1956年の8月23日となっている。マイルスのMilese Ahead 収録の Springsville は、1957年の5月である。
ひょっとしたら・・・マイルスは(おそらく発売されたばかりの)この Urbie GreenのABC盤を聴いたのではないだろうか?そうして・・・この曲を気に入り、ギル・エヴァンスに相談して、じっくりと・・・練りに練って・・・あの 素晴らしい Springsville を創り上げたのではないのだろうか? そんな風な
推測もしてしまうほど・・・このUrbie Green の Springsville も素晴らしい。Bc_002
なおJohn Carisi は、このLPのチーフ・アレンジャーとしてクレジットされていて、あと2曲、Carisiの自作曲も入っている。裏ジャケには
Carisiの写真も載っているくらいだから・・・この当時、注目されていた作曲家には違いないだろう。
このレコード、モノラルだが、トロンボーンが太めの大きな音量で~それでいてソフトな味わい~入っていてすごくいい録音だと思う。
演奏曲も、stella by starlight, cherokee, round midnight などいいスタンダードも演っている。曲によって、「はっ!とするような」見事なアルトが聞こえてくると・・・それは、ハル・マクージックなのである。演奏もいい、録音もいい、そしてこの「緑のグリーン!」もいいジャケットに見えてくる・・・全く素晴らしいレコードなのだ。

もう少し、ABC Paramount 盤についてのおもしろ話しを・・・。
ABC盤のABCSナンバー(ステレオ盤)の一部のタイトルに 「test tone入り」という盤があることが判ってきた。
67camperさんのブログに、ビリー・テイラーのABC盤が載った時に、
この「ピ~ッ音」のことがコメントされた。その同じ「ピ~ッ音」を僕は聞いたことがあった。ああ・・・あの盤だ!
この test toneとは一体何?・・・と思った方は、それを聞いたことがないことを・・・「ささやかな幸運」と知るべきである。
それほどに・・・酷いのだ(笑)
B面最後の曲が終わると・・・突如「ピ~~~~ッ!」という甲高い音が、かなりの音量で鳴る。
それまで「いいジャズ」を聴いてきていい気分になってるところに・・・この「ピ~ッ!」なのだ。
しかもこれがけっこう長く5秒くらいは鳴っているのだ。もう・・・シラけることおびただしい(笑)
その「音」が入っている僕の手持ち盤は・・・
Bc_006  Scott ”South Pacific Jazz"(ABCS-235) である。
このステレオ盤のジャケット裏の曲名表記すぐ下に、こんな解説があった。
<The final band on side two of this recording contains a test tone.This has been included as a convenience
for balancing your speakers. When the tone appears to be comeing from the center area,
rather than from either speaker, then your set is in proper balance.>
わざわざ「スピーカーのバランスを取るのに便利なように、(これまでも)付けてきた」とある。
has been・・・ということは、過去、何枚かに渡って続けてきた・・・というニュアンスだろう。
余計なお世話というかなんというか・・・。ステレオ盤初期の時代、ということなんだろう。

こんな「test tone」が、どの番号まで付いたのか?本当にステレオ盤のみに付いたのか?などの疑問が、当然のことながら湧いてくる。
67camperさんと僕は、それぞれの手持ちのABC盤をチェックにかかった(笑)

僕の方~ビリー・テイラー、オスカー・ペティフォード、クインシー・ジョーンズ、アービー・グリーン、ジョー・プーマ、ズート・シムスなど手持ちのABC盤は、
ほとんどがモノラルばかりなのだった。録音の古いものをメインに聴いているので、自ずとモノラル盤が増えてくるようだが・・・それにしても、
ABC盤にはステレオ・プレスが少ないのかもしれない。
67camperさんの手持ちの方も、やはり前期の番号のものにはステレオ盤はあまりないようだった。
そして、後期番号(イーディー・ゴーメなど)ならステレオ盤はけっこうあるが、それら後期の盤にはどれも「ピ~音はなし」
とのことであった。

ABCの場合、ステレオ盤のプレス枚数が極端に少ない、とかの事情で、共通ジャケットに「ステレオ・シール」だけ貼っていたのかもしれない。
そういえば、67camperさんのステレオ盤(ビリー・テイラー)も僕のステレオ盤(トニー・スコット)も共に「ジャケにステレオシール仕様」だ。
Tony Scott の方は・・・ジャケット右上の辺りに「ステレオ盤のシール」が貼ってある(写真参照)
この扇のような半円型というシールの形状も、67camperさんのステレオ盤のもの(楕円型)とは違うデザインだった。

そんな風なコメントをやりとりするうちに・・・
やはり<ステレオ盤の、ある番号までは「ピ~音付き」、ある番号からは「ピ~音なし」>というごく常識的な結論に至った・・・はずであったが、
 camperさんの New Billy Taylor Trio 226番と、僕のTony Scott 235番の 間の番号のステレオ盤:Don Elliot(ABCS228)
「ピ~音なし」という症例も見つかってしまったのだ。仮説が正しければ「ぴ~音付き」のはずだ・・・。こうなると・・・もう判らない。
意気込んで始めたtest tone...その後も続かなかったところを考えると・・・やはり相当に評判が悪かったのだろう。
そんなだから、途中の段階で、付けたり付けなかったり・・・と迷走していたのかもしれない(笑)
(詳しくは・・・67camperさんのブログとそのコメントをぜひお読み下さい)

「ピ~音」のことも「ステレオ・シール形状」のことも・・・いろんなサンプルを探っていけば・・・「~番あたりから「ピ~音あり/なし」、~番あたりからは「半円形型・ステレオシール」など、やはり、「レコード番号順」での
ある種の整合性みたいな事実が浮き上がってくることだろう。

ABC Paramount 盤の情報を~どんなものでもanything OKですよ(笑)~ぜひ「コメント欄」にてお寄せ下さい。
もっともこんな瑣末なことに興味を持つ人間がどれくらいいるのか?・・・はなはだ疑問ではある(笑)

Bc_004Bc_005

《このcandido、ABCにはもう1枚あるようだ。volcanoというタイトルで、そのジャケットは・・・見ない方がいいかもしれない。溶岩が流れ出るおどろおどろしい光景を背景にして、やはりコンガを叩いている~というジャケットだったはずだ。まるで火山噴火アクション映画の宣伝写真のようなノリなのだ。でも・・・もし入手できたら、またお見せします(笑)》

それにしても・・・ジャズレコードの世界は・・・まったく・・・底なしだあ!

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2006年5月24日 (水)

<やったあレコ 第5回> オスカー・ピータースンのClef盤『背中』

オスカー・ピータースンの<軽やか8ビート感覚>

Norman Grantz の得意技に、一人の作曲家の曲ばかりで1枚のアルバムを創る Plays ~というシリーズがある。エラには直線が個性的なビュッフェの絵画をジャケットにしたシリーズ、ピータースンにも「印象派風絵画」ジャケの9枚の作曲家シリーズがあった。

リンクしてある67camperさんという方のブログで、この9枚が紹介されている。どのジャケットもキレイなので全部が欲しくなる:笑) この9枚は大体1957年頃の録音で、Verve2000番台シリーズなのだが、9枚とも6000番台のステレオ盤でも出ているらしい。
そして、この「印象派風絵画」シリーズの「元ネタ」みたいなピータースンのレコードがあったのだ。こちらの録音はだいぶ古くて、1951~1952年らしい。ピータースンとレイ・ブラウン、そしてバーニー・ケッセル(あるいはハーブ・エリス)というドラムなしのトリオ編成のようだ。(1957年録音の方は、ドラム入りのピアノトリオ) Clef の600番台がオリジナルだ。それが・・・あのデヴィッド・ストーン・マーチンの「背中シリーズ」だ。どれも同じデザインなのだが「色合い」を変えている。Peterson_on_clef_etc_002_1

この「色合いの違い」がなかなか曲者のようで、どれでもいいのだが1枚入手すると・・・どうしても他のも欲しくなる(笑) それがNorman Grantz の作戦に違いないと判っていても・・・抗(アラガ)えない(笑)
僕は、この「背中」をEP盤で何枚か集めてきた。EP盤は”extended play” の略で、アメリカのEP盤というのは片面6~7分くらいで、たいていは4曲入っている。だから日本でいう「コンパクト盤」的なのだが、アメリカのEP盤は、基本的に45回転なのである。
このピータースンのEP盤「背中」・・・何人かは揃ったのだが、そうこうしているうちにEP盤(7インチ)と同じ図柄でLP盤(12インチ)も出ていたらしい、ということが判ってきた。当然、12インチがオリジナルだろう。それに・・・好きな作曲家の分は、やはり4曲だけでは物足りない。他の曲も聴いてみたい。12インチも欲しいよなあ・・・と、ごくごく自然な流れで12インチも少しづつだが入手した。それがこの3枚だ。 

Peterson_on_clef_etc_001_2    

《 plays Cole Porter/MGC-603(左)~ジャケ左上には”CLEF RECORDS”のシール。これをはがせば・・・たぶんmercuryという文字が現れるだろう(笑)
plays Irving Berlin/MGC-604(右)
plays Harold Arlen/MGC-649(真ん中)~この649番には”Hi-Fi”のロゴがジャケ左上にある。そしてジャケ裏には、"Oscar Peterson plays composers"なるシリーズ9タイトルが曲名入りで載っている。あと6枚もあるのかあ・・・(笑)》 

《追補》この後、refugeeさん、NOTさんのご指摘(コメント欄参照)により、このPeterson plays composersシリーズは、全10タイトルであることが判った。参考までに以下にリストアップしておく。

MGC-603 Oscar Peterson Plays Cole Porter
MGC-604 Oscar Peterson Plays Irving Berlin
MGC-605 Oscar Peterson Plays George Gershwin
MGC-606 Oscar Peterson Plays Duke Ellington
MGC-623 Oscar Peterson Plays Jerome Kern
MGC-624 Oscar Peterson Plays Richard Rodgers
MGC-625 Oscar Peterson Plays Vincent Youmans
MGC-648 Oscar Peterson Plays Harry Warren
MGC-649 Oscar Peterson Plays Harold Arlen
MGC-650 Oscar Peterson Plays Jimmy McHugh


ピータースンの4ビートの「ノリ」は・・・確かに凄い。あれよあれよ、とアイデアに満ちたフレーズが飛び出し、しかもそれが尽きない。そしてたいていは高音部で3連やら16分音符を軽く交えながら、華麗にアドリブを繰り広げていく。こうなれば、もうエンジン全開である。そうして、ピアノという楽器が参ってしまうのではないか、と思うほどそれはもう・・・果てしなくノリ続ける(笑) ただ・・・「ノリ」の質は、やはり・・・やや単調である。
いくら速いフレーズを弾いても、「ノリ方」がややスイング的なのだ。説明しづらいのだが~4ビートは1小節に4つの4分音符で進行していくのだが~その4つの4分音符、全てに「ノってしまう」というか・・・雰囲気で説明すると・・・「ウン・ウン・ウン・ウン」と、4つ全てに均等に体重がかかっている」という感じなのだ。
「ノリ」の話しは・・・難しい。「ノリ」の質というものは・・・もちろんミュージシャンの個性により違ってくるが、やはり演奏スタイル(結果としての)~例えば1930年代と1950年代では、明らかに違うと思う。
「スイング」と「ハードバップ」の違い~楽器編成や取り上げる曲の感じも違うが・・・一番の違いは、実は「ノリの質」かもしれない。
バップやハードバップ(と呼ばれるスタイル)になりつつある頃には、この「ノリ」が「ウー・ウン・ウー・ウン」という風に、1拍目と3拍目を意図的に弱くして、2拍目と4拍目を強調させたのだ。つまりアクセントに「でこぼこ」を付けたのだ。スイングというスタイルにおいては、そういう明確な意識はなかったと思う。
判りやすい例で言うと・・・ドラムスの「バスドラ」、あれを聴けばよく判る。スイング時代までは、1小節を、正に4分音符4回「ドン・ドン・ドン・ドン」とバスドラを鳴らしているのだ。もちろん「ドン」の「ン」を休符にして「ドッ・ドッ・ドッ・ドッ」と鳴らしたり、あるいは「ドッ・(休み)ドっ・(休み)」と1小節に2回鳴らす場合もある。ただしこの2回の場合も・・・やはり、1拍目と3拍目にアクセントを置く場合が多かったはずだ。いずれにしても、スイング時代の「ノリの質」というのは・・・1小節の4分音符4回を「均等に」ノッている、そんな意識だったと思う。
ピータースンの「ノリ」には・・・そんな「ウンウンの感じ」が残っているように思える。もちろん・・・それが悪いというわけじゃあない。スイングのノリは気持ちいいのである。
1947年のライオネル・ハンプトンの「スター・ダスト」~あれだってやはりノリで言えばスイングだろう。だけどとにかくあのアドリブとあのノリは、実際・・・気持ちいいのである。
しかし・・・ピータースンの、そのノリまくる「ノリ」をあまり聴くと・・・やや疲れてくる。ステーキの後は野菜を食べた方が健康にもいい(笑) 

そこで・・・ピータースンの「バラード」なのである。象徴的な意味で「バラード」と書いたが、「ボッサ」あるいは「ラテン」でも一向に構わない。
Clefの古い音源からMPSやパブロなどの新しい録音まで、どのレコードを取っても、たいてい「バラード」や8ビート系「ボッサ風」、あるいは16ビート系(サンバ風)の曲が何曲か入っている。ピータースンはやはり判っているのだ~4ビートばかりでは、聴き手が飽きてしまうということを。

前回の<夢レコ ピータースンとVerveレーベルのこと>で取り上げた「The Trio:Live From Chicago」でも2曲のバラードを演奏している。 
the night we call it a day (マット・デニス作曲です)と 
in the wee small hours of the morning である。
ただでさえ「ノリノリ」になっていたライブでの演奏・・・そんな曲にはさまれて、この2曲が実にいい味わいなのだ。「あれっ?ピータースンってこんな静かにも弾くのか」と。少々驚いたほどだ(僕はピータースン初心者なので、あまり多くのアルバムを聴いてなかった) 
そして、ライブの場でこういうチャーミングなメロディのバラードをあえて演った・・・そのことにピータースンのセンスの良さも見直した。

そういえば・・・wheat land というピータースンの自作曲もあった。この曲、「カナダ組曲」(limelight)が初出自だと思うが、ちょっと後のMPS盤「グレイト・コネクション」でも再演していた。「グレイト・コネクション」は、あまり話題にはならないが、たしかベースのペデルセンが最初に共演した盤だったと思う。こちらの盤に入っている wheat land がなかなかいい。軽いボッサ風の曲だ。ペデルセンが弾くウッドベースのそのたっぷりとした音量に支えられて、ピータースンがソフトなタッチで気持ち良さそうに、シンプルで気持ちのいいメロディを弾く。ラストのテーマで徐々にゆっくりになる辺りもチャーミングだ。

ピータースンは「ラテン風」も嫌いではなかったようだ。さきほど挙げた「背中シリーズ」の Plays Cole Porter ~この3枚の中ではこれが一番好きだ~のような古い録音の盤では、ラテンっぽいノリで何曲か演奏している。以下の曲がそれだ。Peterson_on_clef_etc_003
I've got you under my skin

I love you

so near and yet so far

in the still of the night

night and day

この辺の曲はギターのイントロところから~「ウチャーチャッ・ウチャッ・ウチャッ」という具合に聞こえる~やけに軽やかなのである。
ギターが生み出す「ラテンのノリ」というものには一種独特な「軽やかさ」があって、僕はそれを嫌いではない。このギターはバーニー・ケッセルなのだが、やはり名人芸である。そのスムースな気持ちのいいラテン風のリズムに乗って、ピータースンが、これまた全く力まない軽やかなタッチで、メロディを弾きだす・・・う~ん、気持ちいいっ!

4ビートにおいても、あまり粘らないピータースンの8分音符のノリは、ボサやラテンの8ビート系の曲には、自然と「合う」のかもしれない。
たいていは、「テーマだけラテン風」あるいは「ラテン風と4ビートが交互に出てくる」というパターンなのだが、全体に流れる「軽やかさ」が~ドラムレスというのも、その「軽やかさ」の秘密かもしれない~どうにも気持ちがいいのだ(笑) ピータースンの味わいどころは、「グイグイのノリ」だけではなかったのだ!

作曲家別ということで言えば、このコール・ポーターの曲想にはラテン風味が合う、ということかもしれない。
(2つ上の写真右側の)レモンイエローのジャケットの Irving Berlin 集では・・・あれっ、ラテン風がひとつもないぞ。ほとんどが4ビート、あとはバラードなのだ。その少しのバラード・・・これもなかなかいい味わいだ。

isn't this a lovely day~シンプルに繰り返すだけのようなメロディだけど・・・捨てがたい味がある。終始ソフトなサウンドで4拍づつ刻むケッセルのギターの伴奏が効いている。レイ・ブラウンが時々、得意なカウンター的フレーズを繰り出したりする。
say it isn't so ~これなどは相当に地味な曲だが・・・瑞々しいタッチと芯のある音色で端正にメロディを弾くピータースンは、(僕には)すごく新鮮だ。
how deep is the ocean~こういうマイナーな曲調は・・・ピータースンにはあまり似合わないようだ(笑)「暗いパッション」という雰囲気にはならないのだ。しかし、その「サラッ」とした感じもまたピータースンなのだろう。

Peterson_on_clef_etc_004_1 《plays Cole Porterの裏ジャケット。 アロハシャツを着た若々しいケッセルが写っている。嬉しそうにベースを弾くレイ・ブラウンも若い。ピータースンのネクタイもオシャレだ》

ところで、このclef盤の音質なのだが・・・残念ながら素晴らしいとは言えないのだ。ピアノの音が、高音がややキツメで線が細い(ように聞こえる)
その分、ピータースンのタッチの小気味よさはよく出ているのだが。それより残念なのは、レイ・ブラウンのベースの音である。たぶん、録音のマイクの性能のためだろうと推測するのだが、1952年くらいの録音だと、どうしても「ウッドベースの音」が弱い。弱いというか、遠いというか、はっきりしないというか・・・ウッドべースの「鳴り」や「音圧」が、あまりうまく録られていないことが多いように思う。同じレイ・ブラウンの演奏であっても、後の「ロンドン・ハウス」でのライブ録音のベース音の質感とはだいぶ違うので、せっかくのレイ・ブラウンの「音圧ベース」が、いまひとつ力強く聞こえてこない。まあ・・・こういう古い録音盤を聴くときには・・・そのミュージシャンの「録音のいい盤での音」をイメージしながら、「あんな感じ、あんな音圧でに弾いているんだろうなあ・・・」と想像しながら聴くしかない。
そういう聴き方~「イマジネイション補正聴き」~僕は案外・・・得意なのだ(笑)

それから古い時代のミュージシャンで「録音のいいレコード」がない場合でも、「補正聴き」は必要だと思う。イマジネイションでもって「実際に出ていたであろう楽器の音~鳴り方・響きの具合」を、想像しながら聴くのも楽しいものである。
たとえば、パーカーのライブ音源などの場合~たいてい(マイクの入力レベルの関係で)ドラムはバシャバシャと歪み気味でやかましいし、ベースは逆に遠くのほうで微かにボンボンと鳴ってるだけ~そんな音質もザラである。でも勘違いしてはいけない。その場の演奏においては、ドラマーが叩くドラムのサウンドが「歪んでいた」わけではないのだ!ベーシストも、いい加減な音を出してただ突っ立っていたわけではないのだ!ついでに言えば・・・「シュ~」というレコード盤のノイズも、ライブの場では絶対に存在していなかったのだ!そして、そんな「よくない音」が録音の状態によるものであることを考えに入れてから、じっくりとパーカーのアルトの「響き」を聴けば・・・それが相当に大きな音で鳴っており、豊かにそしてシャープに響いていたであろうことは充分に想像できる。聞こえにくいベースも丹念にそのベースラインを聴いていけば・・・(ボム・ボムという鳴りを感じていけば)カーリー・ラッセルやトミー・ポッターが、きっちりとひとつづつの音を進めているのが判るはずだ。

そういえば・・・むかしジャズ喫茶に通っていた頃~僕はモンクやエヴァンス、ロリンズなど強い個性・自我を主張するタイプに没頭していたので~「ピータースンなんか・・・」という僕に、そのジャズ喫茶のマスターは「ピータースン・・・バラードなんかは案外いいんだよなあ・・・」と独り言のようにつぶやいたものだ・・・。だけどあの頃の僕には、そんなことは全く判らなかった。あれから30年も経って・・・ようやくオスカー・ピータースンを聴き始めている(笑)

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2005年12月 4日 (日)

<やったあレコ 第4回> スターダスト(Decca)

「1947年のスターダスト」~奇跡のような15分を聴き比べてみた。

hampton_4ep_010ニーノニーノさんのオフ会(4月白馬にて))では、ラファロ入りのワーナー盤やClefの10インチ盤、リバーサイド盤やマーキュリー盤など本当に素晴らしい盤を聴くことができた。そして・・・45回転の凄さを垣間見ることができたのもこの時だった。ゲストの方が持ち寄ったライオネル・ハンプトンの「スターダスト」~EP4枚組(Decca)に度肝を抜かれたのだ。EP4枚組というフォーマット自体もすごくチャーミングだったが、やはりその「音」に、どうしようもなく魅かれてしまったのだ。
1971年頃・・・ジャズの聴き始めの頃に知ったこの「スターダスト」は、以前から好きな演奏だった~他の時代の演奏と区別するためにか、1947年のこの演奏を「オリジナル・スターダスト」と表記していることが多い~この15分ほどの演奏が全く長く感じない。次々と現れるソロがどれもいいし、とにかくハンプトンのソロが・・・もうどうしようもなく素晴らしいのだ。いわゆるモダンジャズが好きな僕だが、この47年の「スターダスト」には~スイング時代(の終わり)の演奏だからつまらない~などというようなことは、これっぽちも思わない。中3の時、AMラジオ(日立ミュージックインファイフォニックという番組)で聴いてなんとなく「いいなあ・・・」と感じて、その後、FMラジオからカセットに録音してまた何度も聴いて・・・とにかく大好きな演奏なのである。そんな風に好きな演奏だったので、10インチの盤というものを初めて買ったのも、このDeccaのJust Jazz All Stars/Star Dustだった。ただその10インチ盤を入手した頃は、聞き比べなどという意識もなかったし、機器が悪かったのか耳が悪かったのか、とにかく・・・10インチの盤質の悪さ(チリパチノイズ)ばかり気になってしまい、10インチ盤もたいしたことないなあ、で終わっていたのだ。
ところが・・・白馬で聴いたあの音は、全くの別物だった。ジャズ好きが集まり、若干のお酒も入ってみんなの気分がなごやかになっており、そしてこの1947年の演奏があまりに素晴らしくて・・・だから、あんな素晴らしい「まろやかな音」に聞こえたのかもしれない。
ウイリー・スミスが吹くテーマ:あのベンドさせる(せせりあがる)箇所、チャーリーシェイバースが観客を湧かす箇所(唇を緩めて出す「ぶお~っ」というような音)、スラム・スチュアートの弓弾きとハミングでのユニゾン、それからハンプトンの出足でのあの強烈な叩き具合と切れのいい倍テンポのソロ。全てが素晴らしかった・・・。hampton_4ep_009

そのEP4枚組のボックスセットを、ちょっと前に運良く入手できたのだ。ジャケットは10インチ盤と全く同じ。オートチェンジャー用のためか、4枚の各片面にStar Dust が、もう片面に The Man I Love が収録されている。15分の全曲を聴くには、4回もEP 盤をはめ換えなくてはならないので、ちょっと面倒ではある。でも・・・うれしい(笑)
それと、10インチ盤のウラジャケット右上に、also available in 45RPM ALBUM 9-154 とも表記されている。この9-154番は、正に、今回入手した4EPの型番である。ということは・・・10インチも4EP盤も発売時期は不明だが、この2タイトルが同時期のものであることは、間違いないだろう。

少し前にUK盤EP(これは1枚のウラオモテに「スターダスト」のみ収録)も入手していたので、以前にいい印象のなかった10インチ盤の再評価も含めて、これら4種類の盤で、しっかりと聞き比べをしてみることにした。

hampton_001Lionel Hampton/The Original Star Dust(ビクター)VIM-5505(M) 1978年 国内盤

Lionel Hampton/Just Jazz:Star Dust (Decca) DL 7013  10インチ盤

Lionel Hampton/Just Jazz:Star Dust( Decca) Album 9-154  EP4枚組

Lionel Hampton/Star Dust(part 1 & part 2)(Brunswick) OE 9007  UKのEP盤

このビクター国内盤は、一聴すると~10インチやEPよりもカッティングレベルが高いので~いい音に聞こえる。実際、ヴォリューム位置が同じだと、音量の大きい分だけ「迫力」を感じたりする。しかし、次々に登場してくるソロイストたちの楽器の音色に~この音色を味わうというのがジャズ聴きの大きな楽しみなのだ~どうも魅力が感じられない。「こもったような感じ」だ。この「スターダスト」は、相当に古い録音なので(1947年)そのためかな?とも思い、次に10インチとEPで聞いてみると・・・これが全然違うのだ。「鮮度」が違う。(その「鮮度感」は、10インチと4EP間に差はないようだ)

どんな風に違うのか(僕が感じたのか)・・・出足のハンプトンのイントロでは、ハンプトンも「弱め・小さめ」に叩いているようで、それほど差を感じないのだが、アルトのウイリー・スミスが、あの「せせりあがる」吹き方で登場してくる時の音色、それから観客の唸るような歓声・・・これらの「質」が全然違う。ものすごく、はっきり・クッキリしている。テナーのコーキー・コーコランの音色も、国内盤では、「ふやけ気味」で、柔らかい音色というより、やはりこもった感じの音に聞こえる。同じ箇所を聞き比べると・・・10インチとEPでは、テナーの音色がもう少し「高い音域までくっきり鳴り、堅い」感じだ。そうして、ソロの最後の方でアタックをかけて吹く場面など、この「堅い」音色の方が、明らかに「リアル」だ。「歓声」の質でもそうだったが、10インチやEPでは、何かこう「ピントがギュッとあって締まった感じの質感」を感じられるのだ。たぶん・・・この国内盤では、ヒスノイズを目立たないようにするためか、イコライズして中高域をかなり絞ったのだろう。10インチやEPでは、確かに盤質の程度不良ということもあり、けっこうチリパチが鳴ったりするが、それでも「中高域まですっきり抜けた感じ」がする。「鮮度感」が違う。一言で言うと・・・とにかく「楽器の音色の生々しい」のだ。「中高域」と簡単に書いたが、これは単に周波数の高い音域というだけでなく、おそらく、様々な倍音まで含む「響きの成分」が、この「中高域」にたっぷり含まれているのだと思う。一般的に高域の「シュ~シュ~・ノイズ」を嫌う国内盤では、過度のイコライジングにより、この大切な「響きの成分」まで減衰させてしまっているようにも思う。
オリジナル盤には「(奏者の)存在感」がある、と表現されるが、ひょっとしたらこの「響き」の中に・・・その時代の「空気の質感みたいなもの」が入り込んでいるのかもしれない。
それから強い音で吹いた時(弾いた時)の「音圧」に、より一層のダイナミズムを感じる。この国内盤だと~リミッター的な何かのためか~全体に大きな音量で入ってはいるが、その代わりに、ダイナミックスが失われているような気がしてならない。ピアニシモからフォルテ(ここぞっ!という場面で演奏者も気合を込めて強く吹いてような時)で鳴った時の、「音量・音圧の強さ」は・・・これはもう、EP盤・10インチ盤の圧勝だ。この「圧勝」は・・・ハンプトンのソロの最初の4つの音。これを聞くと判る。ソロの出番を待ちに待ったハンプトンが、思い切りアタックを効かせて叩き始めるのだが・・・この4音の「強さ」~気合の入った「さあ、いくぞ!」という音だ。素晴らしい!このフォルテの質感が、最も無理なく、しかも強力に出てきたのは・・・やはり45回転EPだった。何かの機械で測定すれば・・・このEPから飛び出てくるあの4音の「音量・音圧」の数値は、実際、国内盤や10インチより高いだろう、と思う。

hampton_002さて、残る1枚~UKのEP盤は英Bruncwickからの発売だが、発売時期はよく判らない。ウラジャケの右下に小さく~
W.B.M. 2/55 と表記してある。ひょっとしたら1955年2月発売ということなのかな?(英国EP盤に詳しい方・・・ぜひお教え下さい)
音質は・・・Decca4EPと同じ頃のマスターを使っているのか、Decca盤と大きな音質の差は感じなかった。UKシングルもスムースないい音だ。1枚のウラオモテなので、実際、このUK盤をターンテーブルに載せることが一番多いのだ。

今回、はっきり判ったのは、この「国内盤」と「EP/10インチ」には、はっきりとした質感の差があったということだ。そして10インチとEPについては・・・明らかな差というものは感じなかった。これは・・・10インチ盤(確かにチリパチは多かったのだが)も、かなりのものだということでもある。楽器の音色の質感などは、10インチもEPも、ほとんど同じだったように思う。ただ、音量・音圧のダイナミクスについては・・・どうやら45回転の方に分がありそうな気がする。強い音がスムースに前に出てくるような感じと言ったらいいのか。

そんなわけで・・・このところ徐々に徐々に7インチEP盤(=45回転)を集めだしている。7インチEP盤にはもうひとつの魅力がある。
picture sleeve(ジャケット)である。このジャケットに素晴らしいものが多い。あの小さい7インチだと・・・どうにもキュートなのである。
日本のように33回転のコンパクト盤という仕様は、アメリカにはないようで、EP盤=7インチ=ほぼ45回転のようだ。
(EP盤については、また別の機会に少しづつ・・・)

さて、今回の聞き比べは・・・1947年という古い音源についての~あくまでこの4種のサンプル(盤質などの個体差も相当あるだろうし)に関しての~全く個人的な感想というレベルの話しです。だからもちろん、全ての国内盤の音質が悪い、ということではないのです。
ひとことで国内盤と言っても、元の録音の良し悪し/製作時期/使用したマスターテープ/レコード会社などによっても、いろいろな質の違いもあるだろうし。個人的には、1973年からCBSソニーが出したColumbiaの再発は、案外に悪くないと感じている。ひとつ言えるのは、どこの国の再発であっても「擬似ステレオ」だけは絶対によくない、ということだ。ステレオ機器が普及したため、単純にモノラルよりステレオの方が価値があるということで、古いモノラル音源を強引に「ステレオ」として再発した時期があるのだ。高音と低音を、左右のチャンネルに電気的に振り分けたような類(たぐい)の擬似ステが多かった。1965年くらいから1975年くらいの再発ものの外盤ジャケットには、たいてい electronically rechanneled for stereo とか表記してあるのでそれと判った。しかし、日本盤には無表記(というより「ステレオ」だけ表記)のものが多く、聴いてみてがっかりということもあった。現在の再発ものには、あんな質の悪い擬似ステレオなんて皆無だろう。しかし再発されるたびに、マスターテープの鮮度落ちをカバーするためであったとしても、巧妙にデジタル処理(昔のイコライジングなどというレベルより、はるかに聞きやすくなっていることは認めるが)など、「いじられる」可能性は高いだろう。そうした比較的高価な「巧妙再現音盤」に、僕はそれほど魅力を感じない。
古いジャズを好きになった者としては・・・とにかく「生々しい音」が閉じ込められていて(全てがいい音質とは限らないが:笑)、しかも、その時代の空気を感じ取ることができるジャケットの魅力も含めて「オリジナル盤」というものに魅かれることの方が、うんと自然なことだよ、と自己弁護のように考える僕である。

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2005年8月 9日 (火)

<やったあレコ 第3回> After Hours Jazz(Epic) ああ、エルヴィン!

ハードバップ・エルヴィン~素晴らしいあのビート感!

何年か前に「ハードバップ・エルヴィン!」と題して、エルヴィンのレコード・リストを作っていたことがある。ハードバップ・エルヴィン!などと勝手にタイトルしたが、要は、コルトレーンとの共演以外ののエルヴィン参加アルバムのリストなのだ。コルトレーンとのエルヴィンは、もちろん凄いのだが、普通の4ビートでのエルヴィンも、これまた凄い(笑) 4ビートの場合、右手に持ったスティックで右側にセットしたトップシンバルを叩く~基本は「チーン・チーキ・チーン・チーキ」だが、それはあくまで基本であって、バリエーションは自由~のだが、この「シンバル・レガート」の鳴り方、いや、鳴らせ方が、エルヴィンだと、もう全然違うのだ。何が違うって・・・なかなかうまくは言えないが・・・手首を柔らかく使ってなめらかに、しかも豪快に鳴らしている。そうして、どんなテンポでも「速度」を感じさせる。といっても、テンポが軽はずみに走ったりするわけではない。「速度」というのは、「速度感」のことであり、テンポが速いとか、遅いとかいう問題ではない。この「速度感」というのは、おそらく・・・一定のテンポに対し、微妙に「突っ込み気味」だったりするシンバルワークや、ちょっと「もたれ気味」だったりするバスドラ、これに、時々繰り出す「爆風のようなロールと、そのロールの響きを巻き込むように、強烈なシンコペでドカーンとくるバスドラとシンバルの強打」・・・そんなもの全体から浮き出てくるfeelingなのかもしれない。一定のテンポを、とにかく律儀にキープするだけのドラマー~例えば、コニー・ケイ。(もちろんMJQの音楽には、あのスタイルが合っているのだろう)彼と比べてみれば、いかに全体のドラミングの表情が違うものか、お判りいただけるかと思う。
とにかく・・・エルヴィンの、あのシンバルレガートからは、凄いビート感が生まれてくるのだ。そうして、「ジャズ」という音楽の中で、どこに一番「ジャズらしさ」を感じるか、というと・・・それが、このこの「ビート感」なのだ。
同じように、凄いビートを感じさせるトニーのシンバルレガート。しかし・・・トニーとエルヴィンでは、ビートの質感が違う。トニーのレガートは、「爽快」だが、エルヴィンのレガートには、もう少し「重さ」がある。トニーのスピード感というのは、例えば・・・50kmの速度を、125ccのバイクでキビキビと走る感じか。
そうして、エルヴィンは・・・速度は同じだとしても、トルクに余裕を感じさせる400ccでゆったりと、しかもキレを保ったまま走る、というような感じか。もっともエルヴィンの場合、バイクというよりも、「野生の馬」で、自由自在に草原を駆け巡るようなイメージの方が似合ってる。何かに「乗る」というのを「ライド:ride」というが、「リズムに乗る」という状態も「ride」表現しているようだ。エルヴィンのシンバルレガートからは、文字通り、この「ライド感」がたっぷりと感じられる。そうだ、それにトップシンバルのことを「ライド・シンバル」ともいうじゃないか。エルヴィンのレガートは・・・聴いていてとにかく、気持ちがいいのだ!ひょっとしたら、ジャズを聴く上での「快感No.1」じゃないだろうか。
そして、そんなエルヴィンの「快感」を味わうには、コルトレーンとの諸作よりも、素直な「ハードバップ・エルヴィン」の方が最適なのだ。思いつくレコードを何枚か挙げてみる。

050801_001After Hours Jazz (Epic ) LNー3339
この盤は、いろんなセッションからのオムニバスだ。例の「Jazz Data Bank」(拙ブログ~月~日の記事)の「トミー・フラナガン」の項に、このレコードのジャケ写真が載っていた。その記憶を頼りに、トミ・フラ目当てで入手したのだ。だから、この盤を聴いた時、エルヴィンが入っていることを失念していた。そしてB面1曲目~サヒブ・シハブ(bs)のリーダーセッションだろうか~<Hum-Bug>を聴いて、僕は驚いてしまった。おおっ!このシンバル・レガートは!このキレ、このノリは・・・エルヴィンしかあり得ない! とすぐさまジャケ裏をチェックすると・・・やはり、エルヴィンだった。うれしい~(笑)
シハブとのセッションは、2曲のみで、もう1曲は<Southern Exposure>で、トミフラやケニーバレル、エディ・バート(tb)も参加している。 

ベニー・グリーン/ソウル・スターリン(bluenote)東芝盤
 ブルーノートにエルヴィンは珍しい。エルヴィンのライド・シンバルにのって吹きまくる太っい(ぶっとい)音色のトロンボーン。無骨いテナーのジーン・アモンズも負けてはいない。2人ともディープなソウルに溢れている。
そんな重量感のある管奏者たちにキリリと絡むソニー・クラークのピアノがチャーミングに映える。バラードの「That’s All」は、思い切ったスロウなテンポだ。情感あふれるソニー・クラークのソロも絶品。これは、本当に好きな1枚だ。

クリフォード・ジョーダン/ストーリー・テイル(jazzland)Wave盤
ジョーダン(ts)とソニー・レッド(as)の2管にロニー・マシューズ(p)かトミー・フラナガン(p)が入る。61年録音なので、(私的には)
僕の思っているハードバップより少し新しい感じかもしれない。新しい・・・というのは、要するに「モードっぽい曲」が多い、ということだ。
割と急速調の曲が多いが、2管でモード、ということで、なにか後のエルヴィンのコンボのサウンドの原型のような感じも受ける。
ソニーレッドも好きなアルトだ。マクリーンほどではないが、音色が、充分に「濃くてドロドロ」している(笑) うれしくなってしまう。050801_003 

ところで・・・エルヴィンのドラム音というのは、レコードでは、どうも「抑え目」に録音されていることが多いように思えてならない。
JJ ジョンソンと演ってるColumbiaの録音では、特にそう感じる。おそらく、録音ディレクターが、エルヴィンの「音のあまりの大きさ」に驚いて、思わず(録音技術上)入力レベルを下げてしまったのでは? と邪推したくなるほど、ドラム音が「遠い」。遠くて小さい。残念である。このジャズランド盤でも、若干、その傾向を感じる。その点、インパルスは偉い!エルヴィンのヴォリュームを基準として、他のレベルを合わせてる感じで、ドラムスが主役といってもよさそうだ。

最後に、オマケとして・・・僕がリストアップした「ハードバップ・エルヴィン!」の古い方から、1958年くらいまでの分を、ちょっと書き出してみる。もちろん完全じゃあない。録音年月もいい加減なものだ。追加情報も、ぜひコメントにて、お知らせ下さい。

1948年(と解説にあるが、そんな古いはずはないだろう)
?   variousu aritists/Swing,Not Spring (savoy) 4曲

1955年 
 7月  Miles Davis/Blue Moods (debut)  4曲

1956年
 5月  variousu aritists/After Hours (epic)    2曲
 7月  J.J.Johnson/Jis For Jazz (columbia) 4曲
11月  Bobby Jasper/~ Quartet (仏columbia)  8曲
12月  Art Farmer/Farmer’s Market (new jazz) 4曲

1957年
 1月  Sonny Rollins/~ Plays (period)      1曲のみ
 1月  Thad Jones/Mad Thad (period)       3曲
 1月  J.J.Johnson/Dial For J.J.(columbia)10曲
      Jay & Kai/ Jay & Kai (columbia)  1曲のみ(I should care)
 2月  Kenny Burrell/Blue Moods (prestige)   6曲
 2月  Thad Jones/The Magnificent vol.3 (bluenote) 4曲
 2月  Thad Jones/Olio (prestige)   6曲
 5月  Paul Chambers/~ Quintet (bluenote)  6曲
 5月  Bobby Jasper/with George Wallington(riverside)6曲
 8月  Tommy Flanagan/Overseas (   )  9曲+3曲
10月  various artists/Roots (prestige)  2曲
11月  Sonny Rollins/A Night At The Village Vanguard            vol.1~vol.3(bluenote)
11月  Sonny Red,Pepper Adams,Wynton Kelly etc./Two Altos(savoy) 2曲
11月  同じ/Jazz Is Busting Out All Over (savoy)                  1曲
11月  Red Rodney/Fiery (savoy)  3曲
11月  Pepper Adams/The Cool Sound Of ~(regent) 4曲

1958年
 1月  Mal Waldron/Mal 3 (new jazz) 5曲
 3月  Pepper Adams,Jimmy Knepper (metro) 7曲
 4月  Bennie Green/Soul Stiring (bluenote) 6曲
 4月  Jones Brothers/Keeping Up With The Jones          (metro) 7曲
 ?   Hank Jones/Porgy & Bess (capitol) 10曲 
 4月  Pepper Adams/10 to 4 At The Five Spot       (riverside) 5曲
10月  Lambert,Hendriks&Ross/The Swingers (pacific)      1曲のみ(jackie)
10月  Steve Lacy/Reflections (new jazz) 7曲

1959年

 6月  Herb Geller/Gypsy (atco) 8曲
10月  Thad Jones/Motor City Scene (united artists) 
(追加)1959年~
 2月  Gil Evans/Great Jazz Standards (world pacific)
  3月  Tommy Flanagan/Lonely Town (日キング)
 3月  Crutis Fuller/Sliding Easy (united artists)                       
 5月  Randy Weston/Destry Rides Again(united artists)
 5月  Art Farmer/Brass Shout (united artists)

・・・・ああ、キリがない。この辺りでやめとこう(笑)

いつまでも現役でドラムを叩いてくれるのでは、と思ってたエルヴィンが昨年(2004年)亡くなった。エルヴィンの本当の凄さはテクニックなんかじゃない。今、演ってるその演奏を「もっとビートを出すぞ。もっともっと熱くしようぜ!」という気合いを、どの時代にも持ち続けたことなんだと思う。昨年、エルヴィンが亡くなる直前、たまたま、米オークションでエルヴィンのブルーノート盤(Liberty)に友人の代理でビッドしていた。運良く落札できたのだが、その少し後、エルヴィンの永眠を知った。僕はそのfeedback欄(オークションの取引後に短いコメントをアップするコーナー)に、こう書いた・・・<We Love Elvin Jones!We Love Jazz!>

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2005年8月 1日 (月)

<やったあレコ 第2回>                   ジョー・バートン/Subtle Sound(Joday)

ついつい聴いてしまうピアノトリオの盤~ジョー・バートン

050502_004Joe Burton というピアニスト。あまり話題にならないピアニストだが、ジャズ批評42号<ジャズ・ピアノ vol.1>に、紹介記事がのったことがある。
ビル・エヴァンスも真っ青な耽美派~みたいな内容だった。自分の大好きなエヴァンスを引き合いに出され、しかもエヴァンスよりいい、というようなニュアンスの紹介に、僕は少々「むっ」としたが、それ以来、ジョー・バートンというピアニストが、気になる存在になっていた。
その何年か後、91年発売の「キングレコード最後の名盤シリーズ」の何回目かに、このジョー・バートンの名前があった。Jazz Pretty(Regent原盤)というタイトルだ。さらに、93年発売のMCA系音源の「幻のLP選集」には、2タイトル~Session と Here I Am In Love Againだ。共に Coral 原盤だ。Here I Am~のジャケは・・・ちょっとセクシーで悪くない。このシリーズは、ジャケがコーティングなしだったので、ちょっとがっかりしたが、センターラベルは、ちゃんと復刻されていた。このてのレコードに、あのMCA系の虹デザインじゃあねえ(笑) 

レコード好きにとっては・・・「音源」だけが目的じゃないのだ。ジャケの図柄やコーティング、盤の手にした時の重み、センターラベルのデザイン、これらから全体から醸し出される「古み」を味わいたいのだ。その時代の「空気」を感じたいのだ。一度だけ、1950年代後半であろうファクトリー・シールドのオリジナル盤を入手したことがある。そいつの封を開ける時・・・本当に50年代の「空気」が封じ込められているかも、などと夢想し、ちょっと匂いをかいだりしたものだ(笑) 僕の記憶が間違ってなければ・・・1972年秋から日本コロムビアや日本フォノグラム、CBSソニーなどが、ジャズレーベルを復刻し始めたのだが、その頃のシリーズでは、「センターラベル復刻」までは、なされていなかった。ビクターのリバーサイド復刻でさえも、初めの頃は「マイルストーンのM字緑色ラベル」だったのだ。あれでは、やはり気分が乗らない(笑) もっとも、センターラベルの知識がほとんどなかった当時は、何も感じなかった。後年、中古盤やらで、それらの盤を目の当たりにすると・・・かなり哀しいものがある(笑) そんな風だから、どの国の再発盤であっても、裏ジャケや、センターラベルまで忠実に復刻されていると、案外うれしいものなのだ。こういう感覚というのは、どのジャズレコード好きには共通したものだろう。
あなたは・・・雰囲気のあるジャケットから丸いレコード盤を取り出す。センターラベルの渋いデザインが目に入る。そうして・・・その vinylの円盤からは、なんと・・・「音」も出るのだ!(笑) レコードというのは、なんと素晴らしいものではありませんか!こんな具合に、レコード盤の魅力にとりつかれると・・・どうしても、オリジナル盤志向になってしまうのだ。            さて、ジョー・バートン。94年10月に「MCA幻のLP選集」の「Session」を入手。その盤を聴いてはいたが、強く印象に残った、というわけではなかった。ちょっとおとなしい趣味のいいピアニストだな、というくらいだった。その解説(滝口秀之氏)に、日本で復刻された3枚以外にも、63年頃の録音の4枚目が存在する、という件(くだり)があった。その4枚目も「思いがけず海外で復刻された」としてある。その少し後だったか・・・その「Subtle Sound」(Joday)のオリジナル盤のを見つけたのだ!こんな盤が、なぜか・・・僕の地元、豊橋のすぐお隣、浜松の中古レコードショップに「在った」のだ。ひょっとして「海外再発盤」かも?という疑惑もあるが・・・ジャケや背表紙の「古み具合」、それにセンターラベルの「溝あり」からみて、やはりオリジナル盤だと思う。それに・・・ジャケも底割れしているし(笑)
僕の「レコード購入リスト」によると・・・95年1月4日に入手している。050502_003
この「Subtel Sound」が、素晴らしかった。Subtleというのは、どうもはっきりしない単語で(それこそ、subtleじゃないか!)
辞書によれば、[微妙]とか[繊細]とか、あるいは[巧妙]とか[狡猾な]、という意味もあるらしい。ホメ言葉の場合なら、やはり「繊細」とかいう感じなんだろう。63年頃ということだと、先の3枚からは数年後の録音になる。この数年に内に、自分の「個性」を推し進めたのかもしれない。
このピアニストは・・・右手のシングルトーンにクセがある。高音を多用するのだが、そのタッチそのものは軽いが、リズムへのノリは、どちらかというと「重い」。タメた感じで、強弱のアクセントをつけながら、ちょっと長いフレーズを弾く。時には、最高音の辺りでも、タッチの強弱をしっかり意識してトツトツとフレーズを弾く。決して弾きまくる感じではない。
バラードでの思いきったスロウテンポにも特徴がある。<I’m Glad There’s You>は、スロウで始めるが、弾いたあとのコードの「響き」を充分に伸ばして、その残響を意識しながら、次の音へ入っていくような感じだ。コードの響きがちょっとエヴァンスに似ていなくもない。ジャズ批評「ピアノトリオ特集」では、こんな部分を「耽美派」としたのかもしれない。いずれにしても・・・相当に個性的なピアニストだ。ジャケットの写真を見ると・・・度のつよいメガネをかけた、ちょっと神経質そうに見える風貌だ。素晴らしいピアニストだ。

《補筆》 後日、この記事へのコメントで、「ワガママおやじ」さんと「recooyaji」さんから、僕の知らないジョー・バートンのレコード情報をいただいたので、追加しておきます。

Joday1000
Joday1001でSt Louis bluesてLP出してるみたい(ワガママおやじさん)

ROTHというレーベルに「The tasty touch of Joe Burton」というリーダー作があります。ただしトリオではなく、ギター入りのクァルテット編成です(recooyajiさん)

この店~ディスク36は・・・何年かマークしていた。2ヶ月に1回くらいは顔を出し、それ以外でも仕事で浜松に行く時にも、なるべく寄るようにしていた。LP盤中心にかなりの在庫があり、ロック系がメインの店だったが、ジャズもけっこうあった。レコードを面で見せるいわゆるエサ箱の上の方の空間に、「吊り棚」が横1面に伸びている。不人気?のジャズはそこにあった。
吊り棚の位置が高いので、そこらへんに置いてある小さい丸イスを踏み台にして、1枚1枚、左から右へチェックするのだ。(僕は決まって左から右だ) 狭い台の上での根気のいる作業はけっこう疲れる。そうして50cmほど進むと・・・踏み台にしているイスを移動しなくてはならない(笑) このレコードショップでは、他にもいろいろな、「ちょっといい盤」を入手した。97年くらいから、徐々にジャズの在庫が減り、たまに寄ってもほとんどジャズ在庫の入れ替えがない状態になったきたので、そのうちに行かなくなってしまった。まだ健在なのだろうか?

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2005年6月29日 (水)

<やったあレコ 第1回> ドン・エリオット/メロウ・サウンド(Decca)

あるビル・エヴァンス・マニアの告白~「デッカの犬ジャケ」レポート。

~このブログ<夢見るレコード>を始めて、ちょうと一ヶ月だ。<旅レコ>で書いたように、初めていったホンコンでは、あの暑さにうだりながら、レコード探しをしてきました。それ自体は、おもしろかったのですが、いかんせん、何が出てくるかワクワクしながら探すような「中古盤屋」は見つからなかった。ましてや「オリジナル盤」なども皆無。(もちろん、ホンコンほどの都会なら、どこかにそういうお店もあったのだろうが、それらを探し出すのは、3泊4日のツアーでは、とても無理だった) そんなホンコン編ゆえ、やむなくCDの紹介が続いてしまった。不本意である。(笑) 僕は、もうどうしても、ジャズのLP盤が好きなのだ。できればオリジナル盤が欲しいのだ。(あたりまえですね:笑) そんな訳で、vinyl ジャンキーの一歩手前の僕としては、やはり、「LP盤」も紹介していきたい。 ようやく<やったあレコ>の出番だ。

さて・・・前回の<ジャズ雑感 第2回>で書いたように、例えば、ビル・エヴァンスの参加盤で、長い間、国内発売されなかった盤~Guys and Dolls Like Vibes(coral)やら Jazz In the Space Age(decca)も、近年、ビクターから「MCA幻のLP選集」として復刻されたりした。まさに「マテバ・カイロノ・ヒヨリアリ」だ。長年のエヴァンスのファンなら、もう買うしかなかっただろう。推定、全国で2000人くらいは、即、購入したのではないだろうか? ファンとしては、やはり、とにかく、「聴いてみたい」のだ。

そんな中でも、どうしても出なかった盤がある。そんな一枚がこれだ。 
Deccaの≪Don Elliott/The Mellosound≫ 1958年2月録音。

  CIMG0008















<Jazz Hero’s Data Bank>とういう本。前回は、「曲名」の威力をコメントしましたが、「写真」の威力も、 相当に大きい。写真の記憶というのは、理屈じゃない。絵柄とか全体の感じ・・・そんなようなイメージが、何かの拍子に「ぱっ!」と思い出されるものだ。たぶん、意識してなくても、記憶の底に残っているのだろう。                                   めったにあることではないが、廃盤店のエサ箱でも、床置きのバーゲン箱でも、あるいはネットでも、「おっ、これは・・・」と自然に手が止まったりする。(笑) とにかく、ある特定のジャケットを発見すると・・・もちろんそのジャケットを見ただけで、全てのデータが浮かんでくるわけではない(笑)が・・・脳髄のどこかに残っている「レコ買いフィルター」に引っかかるようです。(笑)
それも、この本でいろんな探求盤の、そのジャケット写真を何度も見ているからこそだろう。

この盤は、ネットで見つけたのだが、この犬の顔を見た時、ドキッとした。  ただの気持ち悪い犬の顔なのに(笑)・・・しかし、これが「レコ買いフィルター」に引っかかったのだ。Don Elliott なる名前からピンとくるのは・・・もう Bill Evans くらいのものだ。さっそく、<Jazz Hero’s Data Bank>でチェックする・・・うん、やっぱり evnas 参加アルバムだ、間違いない!

・・・そうして、ようやく、この盤~Deccaのオリジナル盤を手にいれた。初めて聴ける、この一枚!データによれば、録音は1958年2月。58年なら、 悪いはずがない。・・・さあ聴くぞ!気合入りまくりの僕・・・。        

残念ながら・・・エヴァンスのソロは、それほど多くはない。ほんの数箇所、それも短いソロスペースしか与えられてない。
・・・いやしかし、僕は誇り高き、エヴァンスの enthusiastsである(笑) いいのだ。 その何十秒があれば、いいのだ!わずか8小節でも16小節でも、エヴァンスのソロさえあれば・・・あの、揺るぎのないタッチから生み出される硬質なフレーズさえ聴ければ・・・。やや苦しい僕ではある(笑)
そんなわけですが・・・せっかくなので、熱狂的なビル・エヴァンスのファンの方に、少しこの「メロウ・サウンド」の中身をお知らせしたい。DSCN0763
とりあえず、A面の6曲を・・・。

A面1曲目:A Million Dreams Ago
~いきなりハープの音がシロロン~シロロンと・・・女性コーラスも朗々と・・・(笑)  よく見れば表ジャケッとのDon Elliottの 下に小さく ~and Choir(聖歌隊とか合唱団の意味だろうなあ)と書いてあるじゃないか・・・。
しかし、たる~い女性コーラスが、ふわ~っと流れた後、「ドンッ」とブレイク。ここからいきなり、エヴァンスの鋭く切れ込む 1小節のフレーズが! おおっ。これぞまさしくエヴァンスだ!  素晴らしい!このままミディアム・スロウのテンポでエヴァンスのソロが9小節続く。

2曲目:It’s Only A Paper Moon
~16小節のソロ。この間、バックはベースのみ。ただこのベース奏者は、もちろん、フツウに淡々と4ビートを刻むのみ。それでもエヴァンスのソロは、 ノッているようだ。最後の4小節では、エヴァンスお得意のブロックコード風ユニゾンフレーズが出てきて、思わずうれしくなる。

3曲目:Dinah ~ソロなし。

4曲目:Blue Waltz
~ 3拍子の曲で、ほとんど女性コーラスだが、中間部で、再びエヴァンス登場!16小節を、これまた全てブロックコードで。おそらく、Deccaレコードのプロデューサーからは「ムード・ミュージック路線で」という指示があったに違いない。しかし、我らがエヴァンスは、一見、コードだけで「甘~く」弾いているが、その内実は・・・相当に、新しいサウンド(ハーモニー)を鳴らしてます。

5曲目:Poinciana ~ソロなし。

6曲目:Play Fiddle Play
この曲は、わりと有名だ。マイナーの曲調が、ちょっとモードっぽくもあり、そのため、~8小節のイントロがエヴァンスのリードで聴かれる。かっこいい! 中間部・・・ここで、エヴァンスのソロだ。出だしからちょっと強めのタッチで、気合の入った16小節のソロ。う~ん、ノッてきたなあ・・・と思ってると、次のギターソロに移ってしまう・・・。ちょっとがっくりする僕・・・しかし、最後のテーマの間のつなぎ部分で、4小節だけ、エヴァンスのソロが出る。これも、さっきのソロの続きのような感じだぞ・・・多分、さっき、もう少し弾きたかったはずのフレーズをここにぶち込んだに違いない(笑) と熱狂的エヴァンス・ファンの僕は、そう思い込むのであった(笑)

そんなわけで、こんな「変な犬のジャケット」盤を入手できたのも・・・前回に紹介したJazz Hero’s Date Bankのおかげなのです。まだまだお世話になりそうな僕の強い味方のようです。

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