Contemporary

2011年12月31日 (土)

<ジャズ回想 第25回>ベン・ウエブスターの絶妙ライブ盤

  ヴィンテージではないけどオリジナル盤とも言えるじゃないか(笑)

この<夢見るレコード>・・・このところちっとも夢を見てない(笑) もちろんジャズへの愛着が薄れたわけでもなく、相も変らずレコードを買い、レコードを聴いている。休みの午前中はそのレコード音楽に浸れる貴重な時間で、たいていは入手仕立てのものから聴き始め、その内容が「ワオ~ッ」だと両面を聴き、また「がっくり」の時は片面だけにして、今度は愛着盤に手を延ばしたり・・・そんな風に次に何を聴こうかと考えたりするのもなかなか楽しい。そうこうしてると・・・もう昼だ。
お昼を食べてからも2~3枚は聴く。だけどお昼過ぎのこの時間は・・・眠くなるのである(笑)これがもう実に眠い。3枚目を聴く辺りになると、もう充分に眠気を意識している。だからこれは寝てしまうな・・・と自覚すると、タイマーを20分後くらいにセットして、例えばジョージ・シアリングを掛ける。そうして、目論見どおりに僕は眠ってしまう(笑)
休みの日に好きなレコードを聴いてのんびりと眠りに落ちる・・・これもなかなか幸せなことじゃないか。そうして目が覚めるともう夕方だ。それでも晩飯までには充分な時間がある。そこで、またレコード聴きである。僕の場合はこの時間帯・・・けっこう乗る。眠気の増したお昼過ぎのあの気だるい感じがさっぱりと抜けて「さあ、また聴くぞ」という気分になるのだ。そこで、大編成のものをわりと大きめな音量で聴いたりする。そうだな・・・マリガンのconcert jazz band(Verve)なんかは実にいい。
そんな具合に、僕はとにかくレコードを聴きたい。だから・・・なかなかブログにまで手が廻らないのだ(笑)
しかしながら、2011年もあっという間に終わろうとしているこの大晦日。毎年、大晦日にはrecooyajiさんとレコード聴きをしてきたのだが、今年は昨日・今日とは朝からレコード棚の再編成をしていてこれは予想どおり難航した(笑)苦闘の末、床置きになっていたレコード達をある程度までは収めるところまではメドがついたので、recooyajiさんとの例会ができなかった代わりに、久々にこの<夢レコ>をアップしようと思い立った。ちゃんとした構想もないので、短めのものになりそうです。

さて・・・僕はもちろん古いオリジナル盤が好きなわけだが、その一方で「オリジナル盤、何するものぞ」という反発気分も無いわけではない(笑) それはつまり・・・録音時にリアルタイムでは発売されなくて、しかし後年に発見・発掘されて発売された音源(別セッション・別テイクなど)というものがあり、それらについては、いわゆる「当時のオリジナル盤」は存在しないわけで、強いて言えば後年になって発売された初出自のものを「新発見オリジナル」とでも呼ぶしかない。そしてそういう「新発見もの」にも、侮れないものがたくさんあるぞ、という気分なのである。

だいぶ前の拙ブログ(ワリー・ハイダー録音)で、ビル・エヴァンスのTime Remembered(milestone)を紹介したことがある。それは、エヴァンスのライブ盤~At Shellyman's の未発表音源の世界初発売というもので、僕としては、要はその「演奏はもちろん、録音の音質が素晴らしい」ということを言いたかったのだ。年季の入ったジャズ好きほど、別テイクや別セッションなど未発表音源というだけで、その価値を認めないという頑固さもあるかと思う。つまり発表しなかったのにはそれなりの理由があるだろうし 実際、同じ曲の別テイクをいくつも並べられても、よほどの興味ミュージシャンのものでない限り、それほど素晴らしいものとは言えないことも多いのだ。でもそんな頑固さのために、後年発売の未発表音源盤を聴き逃すようなことがあるとすれば・・・それは悲しいことだよ、とも思うようになってきたのだ。そうした例外的に素晴らしいと思えるレコードをちょっと紹介したい。

≪写真下~1989年発売のOJC盤:6曲収録)

Dscn2829_2 Ben Webster ~At The Renaissance(contemporary)というものだ。
11月の中旬頃だったか・・・久々に旧友のsige君、yosi君とレコード3人聴きの会をすることになった。
こういう集まりでは、わりと不思議な偶然・・・それも嬉しい偶然が起こったりするのだが、今回はちょいと驚いた。集まりの2~3日前になると、僕は幾つかのレコードを思い描いておくのだが、その中に古い盤ではなく、わりと近年発売(1989年)のベン・ウエブスターのレコードもあった。これは1960年のライブ録音音源だが当時に発売された形跡は無い。だからあまり紹介されたこともないし、いわゆる「定評のある名盤」とは違うまったく地味なレコードである。僕はこのレコードを1年ほど前だったか、うんと安価で入手したのだが、聴いてみてすぐ気に入ってしまったのだ。
さて、朝からの大雨の土曜日、3人が揃って・・・yosi君がバッグから5~6枚のレコードを取り出してみると・・・ちゃんとこのレコード~Ben Webster/At The Renaissance(contemporary) がそこにあるじゃないか!

「あれ、なんで?」とつぶやく僕。そこでこちらが用意していたその同じレコードを見せる・・・「おおっ」とyosi君が応える。
こんな地味盤が2枚、打ち揃って並ぶとは(笑) これは嬉しいじゃないか! yosi君はベースのレッド・ミッチェル目当てにこの盤が目に留まったとのことだが、この安っぽいカバーデザインに負けずに入手したことは素晴らしい選球眼だ。
≪写真下~1989年発売のフランス盤らしい。左下のロゴに注目≫

4benwebsterattherenaissanc404776このレコード・・・ジャケットが冴えない。これではベン・ウエブスターがまるでミイラ男じゃないか(笑)
しかし、演奏は味わいのあるもので、そして録音もいいのである。ライブ録音だが、各楽器の芯のある音色と響き具合が自然で、素晴らしい臨場感を味わえる録音なのである。録音エンジニアは、howard holzerなる人物。
一般的に言って「西海岸の録音はいい音」ということはあるかと思う。まあその「いい音」を言葉で定義はしづらいものだが、この場合の「いい音」は・・・私見では「すっきりした誇張の少ない自然な楽器の音色」という感じだと思っている。それは録音マイクの違いもあるような気がする。雰囲気としては、東海岸のダイナミックマイクと西海岸のコンデンサーマイクという違い方があるような気がする。

そして並んだこの2枚・・・contemporaryレーベルからの近年発売という点ではもちろん同じだったが、僕の手持ちは1989年発売のOJCステレオ盤(phil de lancieのリマスター)
yosi君のは19861985年モノラル盤だったのである(リマスターは別人=Gary Hobishなる人物と判明)
だから、このレコードの初回発売は19861985年モノラル盤ということになるわけだが、19861985年版のステレオ盤も存在するのだろうか?Dscn2832
実は、そんな違いも後から判ったことであって、最初、yosi君手持ちの盤を掛けた時・・・僕は「あれ?レッドミッチェルのベース音がいつもと違うぞ」という感じがして、それは、レッド・ミッチェルのベース音がやけに太く大きく聴こえたからである。「大きく~」というのは、このレコードを何度も聴いて僕が感じていたレッドミッチェルのベース音の鳴り方が他楽器とのバランスにおいて「いつもより大きく聴こえた」という意味である。
もちろんミッチェルはベースの真の名手で常にズズ~ンといい鳴りを出しているはずで、大きく太く鳴ることはいいことなのだが、僕はステレオ盤でのバランスに慣れてしまっていて、そこに若干の違和感を覚えた。ジミー・ロウルズのピアノ音色も、モノラル盤だと明らかに強め・厚めのタッチに聴こえて、それは何となく、僕が感じているジミー・ロウルズとは微妙に違うような感じを受けた。
その辺りで「あれ?これ、ステレオ盤じゃないね。僕のは確かステレオ盤だったと思うけど・・・」ということになり、お互いのジャケット裏を精査したところ、ようやくその違いに気づいた・・・というわけなのである。
まあこの辺のことは、いつも言うように「好みの問題」で、僕の場合、ステレオ録音の軽やかさを嫌いではないので、演奏の場でリアルなステレオ録音をされた音源であれば、なるべくステレオ盤で聴きたいと思うわけである。
そして、ベース音や各楽器の音をとにかく大きく太い音で聴きたいという方は、やはりモノラル盤を好むことになるのであろう。

ウエブスターはスローバラードが好きなようで、スローなテンポでいいメロディを実にゆったりと延ばしながらその音色に濃淡を付けていくような吹き方をする。基本的にはアルトのジョニーホッジスをそのままテナーに移したような感じなのだが、その「ねちっこさ」がこの1960年頃になると以前より薄めになってきたようで、そしてその辺りの「でもねちっこい感じ」が僕にはちょうどいい按配なのだ。
そのバラード~georgia on my mind と stardustが実にいい。ウエブスターの「ゆったり」に、バックの伴奏陣が適度に変化を付けて演奏全体がダレることなく進んでいく。ピアノのジミー・ロウルズ、ギターのジム・ホール、ドラムにフランク・バトラー、そしてベースにレッド・ミッチェル! 灰汁の強い個性派を主役に据え、真の名手たちで脇を固めたという感じで、ベースとドラムが造る流れの中でポツポツと入るロウルズのピアノも実に味わい深い。
そして、stardustでは、レッドミッチェルの「アルコ弾きソロ」をたっぷりと聴ける。ミッチェルはもちろんピチカット(指で弾く)も巧いが、アルコ(弓で弾く)もこんなに巧かったのか! 左手のガシッとした押さえが効いているから音程がぶれない。チェンバースのけっこう乱暴なアルコ奏法とは、だいぶ違うぞ(笑) そんな名手がアルコで弾く、弦と胴鳴りの気持ちいい音が素直な録音で捉えられており、何度聴いても飽きない。このstardustは、実に味わい深い演奏だと思う。

001_2そうだ・・・もうひとつ、印象深い stardust があったぞ。フランク・ロソリーノの Free for All(specialty)だ。 ロソリーノがトロンボーン一丁で小気味よく歌い上げる名演だ。そういえば・・・こちらも未発表音源の後年発売盤である(録音は1958年12月)
米specialtyが1986年に発売したモノラル盤裏解説にこうある(当時のプロデューサー:Dave Axelrod 談として)~
≪フランクと私は何週間も掛けてメンバーや曲目を考えて素晴らしい出来上がりになったのに、どういう訳だか発売されなかったので、2人とも、そりゃがっくりきたよ≫
そのメンバーは ロソリーノ(tb)、ハロルド・ランド(ts)、ヴィクター・フェルドマン(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、スタン・レヴィ(ds)・・・これは本当にいい人選じゃないか。002
実はこのレコードは以前の<夢レコ:トロンボーンのいいバラード>で紹介したことがあるが、「後年発売の未発表音源盤」の逸品としても推薦したい。機会あればぜひ聴いてみてください。
ちなみにこのレコード~僕の手持ちでは、米specialtyがモノラル盤、日本センチュリーはなぜかステレオ盤(1991年発売)である。この日本盤は、自然に聴けるのでリアルなステレオ録音だと思う。コーティングされた日本盤ジャケットの出来映えはなかなか素晴らしいものだ。

侮れない内容の未発表盤・・・まだまだ見つかりそうな気配である。
ちなみに、Ben Webster/At The Renaissance(contemporary) のことについては、yosi君がこの3人聴き会の後、すぐにブログ記事にしてくれました。http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun/35643651.html
そちらもぜひご覧下さい。

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2008年9月15日 (月)

<ジャズ雑感 第25回>熱いべース奏者たち(C面)レッド・ミッチェル

レッド・ミッチェル~しなやかなビート感。

Presenting_4 先日、sigeさんとyositakaさんという音楽好きの友人と音聴き会(この3人では30年振り)をやったのだが、その折、yositakaさんが、再三「レッド・ミッチェル」という名を口にするのである。そういえば、10年ほど前だったか・・・彼からの年賀状に「~最近はレッド・ミッチェルを~」という一節があったことを僕は思い出した。ジャズ好きが集まっても、なかなかレッド・ミッチェルというベース弾きの話しにはならない。彼はハンプトン・ホーズとのレコードでミッチェルを好きになったというのである
そのことからも、yositakaさんが(クラシック中心かと思っていた)僕の想像以上にジャズに深く入り込んでいることが判った。そんなyosiさんからも大いに刺激を受け、またちょうど前回の《夢レコ》で、Mode盤~Warne Marsh Quartetで、少々、レッド・ミッチェルに触れたこともあり・・・そんな流れから、今回は、レッド・ミッチェルを<夢レコ>~熱いべース奏者たち(C面)として取り上げてみたい。

僕は、レッド・ミッチェルこそ本当の意味でベースの名手であると思う。1950年代後半からのアンドレ・プレヴィンやハンプトン・ホーズとの諸作に始まり、その後の50年以上も現役で活躍したので、彼の参加したレコードの数はとても多いはずだ。つまり彼には常に仕事のオファーがあったわけで、それはなぜかといえば・・・やはり「巧い」からだろう。そしてそれは単に「巧い」のではなく、その「巧さ」にイヤミがないというか・・・どんなタイプのジャズにも巧くフィットできるベースを弾くことができたからだと思う。
そういえば、レッド・ミッチェルを「嫌い」だという人に出会ったことがない。
ミッチェルという人は、ミンガスやラファロのように強く自分を主張するタイプではなく、しかし与えられた持ち場では、きっちりといい仕事をする・・・そんな名脇役的なタイプとも言えそうだ。そうだな・・・映画「7人の侍」での宮口 精二というか(笑)
僕がレッド・ミッチェルというベース弾きを意識するようになったのは、ジャズ聴きのだいぶ後になってからである。ジャズのベースでは、最初にミンガス、次にラファロ、そしてウイルバー・ウエア・・・そんな突出した、ある意味「判りやすい」個性にまず惹かれた。そしてその頃は、まだプレヴィンやホーズのピアノトリオものまでは手を拡げていなかったので、ミッチェルのベースを耳にするチャンスも少なかったはずだ。だから僕の場合は、レッド・ミッチェルというベース弾きの凄さにいきなり開眼したわけではなく、いくつかのレコードを聴いていると「あれ・・・このベース、ちょっといいな」と思う場面があって、クレジットを見ると、それがレッド・ミッチェルで、そんな繰り返しの内に知らぬ間に彼を好きになっていた・・・そんな風に自覚している。そんな「我、レッド・ミッチェルに開眼せり」レコードをいくつか紹介しようと思う。

Buddy Collette/Jazz Loves Paris(specialty) 

001_3 《「僕のレコードリスト」によると、豊橋の隣の街~豊川市のプリオというビルでのレコードフェアで、1993年9月に入手している。この1987年の再発盤、音はかなりいい。もともとミッチェルのベース音は大きいとは認識しているが、それにしてもベース音がだいぶ大きめになっているように聞こえる。そういうマスタリングだったのかもしれない》

ジャズ聴きもある程度長くなると・・・ちょっと渋いレコードにも興味が湧いてくる。このレコードフェアへは、たしか歯医者で親知らずを治療した後に直行したものだから、その麻酔が切れ始めて痛くてしょうがない(笑) フェアにはいくつかの業者が出品していたが、ジャズのコーナーはわずかで、僕は根性でエサ箱を探ったが、ハードバップものに目ぼしいものが見つからなかった。それでも、ひどい歯痛をガマンして来たのだから、という気持ちもあり、ちょっと気になった2枚を買ったのだった。当時、まだ西海岸ものはあまり聴いていなかったので、こんな地味なものを買うということに、自分でも意外な感じもあった。それが、Jazz Roles Royce(fresh sound盤)と、もう1枚がこのJazz Love Parisだ。もちろんオリジナル盤ではなくて、復刻ものである。このレコードを聴いた時・・・僕はレッド・ミッチェルという人の巧さを、初めて意識したような・・・そんな記憶がある。クレジットを見ると、おおっ、その後に好きになったフランク・ロソリーノの名前もあるじゃないか。久しぶりにこのJazz Loves Parisを聴いてみた。

「バラ色の人生」la vie en rose~有名なシャンソンの名曲である。シャンソンというと・・・全くの余談だが、実は僕は「シャンソン」という音楽がちょっと苦手である。シャンソン曲のメロディは好きなのだ。「枯葉」「セシボン」「パリの空の下」・・・どれも素晴らしいメロディで、もちろん嫌いではない。僕が苦手なのは・・・いわゆるシャンソンでのあの唄い口~メロディをそのまま唄うのではなく、途中から「語り」のようになっていく~あの感じが苦手なのである。もちろん全てのシャンソン歌手が決まったように「語り」的な唄い口で唄うわけではないとも思うのだが、シャンソンというと・・・どうにも「ドラマティックに語る」あの演劇的なイメージが振りかぶってきてしまい・・・素直に音楽として楽しめなくなってしまうのだ。
それはそうと、このJazz Loves Parisなるレコード・・・シャンソンの名曲をジャズ風に演奏しているのだが、どうやらこの1曲「バラ色の人生」が、ミッチェルのフューチャー曲らしく、誰もが知っているあのメロディをベースが弾く仕掛けなのだ。ミッチェルは、ゆったりとした間合いであのメロディを、ゆったりと弾く。そして、この「ゆったりさ加減」が・・・実にいい(笑)
なぜ僕がこういう「ゆったりさ加減」に拘るのか・・・ちょっとした説明が必要かもしれない。
ベースという楽器では(弓弾きではなく、指で弾(はじ)くピチカットの場合)同じ音を、管楽器のようには長くは伸ばせない。
いや、正確に言うと・・・その音が伸びていたとしても、弾かれた直後から徐々に減衰していく運命にあるわけだ(笑)
声や管楽器の場合なら、その音を(その音の音圧を)ひと息で(もちろん、息の続く間は)維持しながら、しかもその音量を強くしたり、弱くしたりできる。しかし、ピアノ(打楽器)やベース、ギター(弦楽器のピチカットやピック弾き)では、これができないのである。自転車に乗っていて、ある時点からペダルを漕がなければ、徐々にスピードが落ち最後には止まってしまう。ペダルを漕ぐことなく自転車を少しでも先に進めようとした場合、自転車が止まりそうになったその時、身体を前の方に乗り出して、その勢いで少しでも進もうとするだろう。ジャズのウッドベースでも「伸ばすべき音」が必要な場合、その最後の方では、少しでもそのノート(音程)の音量・音圧を維持しようとして、その音程を押えている左手で、懸命にヴィブラートを掛けたりする。(ジャズの世界では、ヴィブラートの掛け具合、あるいは、掛ける・掛けないは、個々の奏者の好みで、特に法則性はないとは思う。
*以下追補~その観点でミッチェルのベースをよく聴いてみると、ミッチェルは音を伸ばした際に、ヴィブラートはほとんど掛けてないように聞こえた)
そんな事情もあり、ある曲のメロディをベースで弾く場合、なかなか「間」が持てないこともある(特にスローテンポの場合)ある音(音程)を充分に伸ばしてクレシェンド(だんだん強く)したいような気持ちでいたとしても、ひとたび、ベースから出たその音(音程)は、どんどん減衰していくのだ。それは、まるで意図しないデ・クレシェンドじゃないか(笑)
そんな時・・・たいていのベース奏者は気持ちが焦る(笑)だからそこで「倍テン」(テンポを倍にとって)にして、アドリブ風のフレーズを入れてしまうことも多い。それがセカセカしたように聴こえてしまうこともあるかと思う。
ミッチェルというベース弾きの良いところは、まず「音が大きそう」なことだ。強いピチカットから生まれるその豊かなベースの鳴り具合と、しっかりした左手の押さえにより充分に伸びるそのベース音。それでもやはり上記のように、スローテンポのバラードにおいては、メロディのある箇所では、音が消えていく場面もある。しかしミッチェルはその伸ばしたいはずの音が消えかかっても・・・全く焦らないのである。見事に堂々としているのである。 
僕がレッド・ミッチェルを凄い・・・と思うのは、実はここなのである。音が消えかかっても、そんなことは全く気にしてない・・・ように聴こえる。それよりも、その時の「メロディの唄い」だけを意識して「唄の自然な流れ」を持続させようとしている・・・そんな風に聴こえるのだ。だから「間」が充分に感じられるし、時には、倍テン風なフレーズも入れるが、それはごく自然にその前後のフレーズと繋がり、なんというか・・・「唄の呼吸みたいなもの」が乱れない。そういう「唄い口」こそが素晴らしいのだ。これって・・・「楽器で唄う」ということにおいて、簡単そうで実は一番難しいことかもしれない。
ミッチェルのベースがテーマのメロディを弾く場面は、このla vie en rose「バラ色の人生」だけでなく、もうちょっと古い録音~Hampton Hawew vol.1(contemporary)でB面4曲目~these foolish thingsにも出てくる。こちらでも、先ほどの「唄の自然な流れ」というツボを押えたミッチェルの見事なテーマ弾きが聴かれる。
このようにベースがメロディを弾く場合だけでなく、ミッチェルは、もちろん他のスロー・バラードやスタンダードでのベース・ソロも巧い。彼はどんなテンポの曲でも、たっぷりと鳴る音量を生かして強く弾いてゆったりと伸ばすフレーズと、倍テンにして細かく軽やかに唄うフレーズとを、いい具合に織り交ぜてくる。そのバランス感覚が見事なのだ。だからよくあるように「ベースソロだけ別の世界」という感じにはならずに、それまでの演奏のビート感を保ったまま、ソロ場面ではベースもグルーヴする・・・という感じで・・・とにかくその演奏が自然に流れていく。この辺りの「しなやかさ」が、実に独特な味わいで、技巧的な意味でなく「ベースが唄っている」・・・そんな感じがするべーシストだと思う。
そしてyositakaさんがご自身のブログでも強調しているように、バッキングでのミッチェルも、これまた素晴らしい! 要はレッド・ミッチェルという人は、全て素晴らしいということだ(笑) そんな演奏も少しだけ紹介しよう。

Hampton Hawes/All Night 002Sessions vol.1(contemporary:1956年)
《1956年としては充分にいい録音だと思うが、僕の手持ち盤、僕の機械では、他のcontemporary盤に比べて、ベース音はややブーミーに膨らませた感じもある。録音はロイ・デュナンだと思うが、クレジットには、sound by Roy Duannという微妙な表現なので、ひょっとしたら録音は別のエンジニアかもしれない。この盤は1970年頃の米再発。盤はペラペラだが、A面にはLKS刻印がある。B面はなぜか手書きLKS》

このレコード、ライブ録音だが、右チャンネルから太っいミッチェルのベース音が聴ける。005
vol.1のB面1曲目~broadwayは、かなりの急速調だが、ミッチェルはベースを充分な音量と余裕のノリで鳴らし切っており、素晴らしいビート感を生み出している。それからベース・ソロの場面でも、8分音符のフレーズを繰り出しつつ、バッキングと同じ4ビート的フィーリングを残そうとしているのか~つまり、4分音符4つ弾きも混ぜながら~その急速調でのビート感を維持しながら、見事なべースソロを演じている。素晴らしい!

さて、レッド・ミッチェルということで、僕が印象に残っているレコードをいくつか挙げてきたが、例によって初期の何枚かに集中してしまったようだ(笑)あと少しだけ簡単にコメントすれば・・・50年代のリーダー作~Presenting Red Mitchell(contemporary)とHere Ye(atlantic)の2枚は、ベースの名手というだけでない「ハードバップ的な覇気」を感じさせてくれる好盤だと思う。60年代のI'm All Smiles、The Seanceというライブ録音も好きだし、それから、うんと後期のリーダーアルバム(「ワン・ロング・ストリング」や「ベースクラブ」など)もいい。それからcontemporaryのアンドレ・プレヴィンとの諸作も、もちろん悪くはない。いずれにしても「音楽の自然な流れ」を造り出すミッチェルの持ち味は、どの時期のレコードにあっても、変わりはないと思う。

それにしても・・・僕がレッド・ミッチェルの良さに開眼したあの地味なレコード~Jazz Loves Parisを買うキッカケにもなったあの「歯痛」には、充分に感謝せねばなるまい(笑)

*2012年6月2日追記~コメント欄にて話題に上った、ミッチェルの日本のライブハウスでのライブ盤~ 《ケニー・ドリュー・ミーツ・レッド・ミッチェル・アット・歪珠亭(ひずみだまてい)タイトルは「とういん」》を紹介しているブログを見つけました。レッド・ミッチェルの熱烈マニアらしいmooreさんなる方のブログ~HOME SUITEのこのページをご覧ください。http://home-suite.blog.ocn.ne.jp/home_suite/2008/03/post_8da4.html

そのLPの写真も拝借して紹介しておきます。Home_suite542

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2008年6月 4日 (水)

<ジャズ回想 第14回>4回目の白馬は雨降りだった。

2008年5月~杜の会in白馬

毎年、この時期になると、ひとつ楽しみなことがある。長野県白馬で行われるニーノニーノさん主催の「杜の会in白馬」である。2005年の第1回から数えてもう4回目だ。今年は、関西からのYoさん、Musashi no papaさんに、愛知・静岡組の~recooyajiさん、konkenさん、マント・ケヌーマーさん、そして僕:bassclef~6人が合流してのクルマ旅となった。1369astaire
5月24日(土)集合場所の伊勢湾自動車道「刈谷ハイウエー・オアシス」にて、うまく合流できた我々6名は「やあやあ」と挨拶を交わす。papaさんとは3月の藤井寺以来だが、recooyajiさんとマントさんは、papaさんと初対面となる。「杜」で知り合ったお仲間が初対面する時・・・ちょっとおもしろい現象が起きる。「~です」と事前に聞いていたはずの名字を言いあっても、なかなかピンとこないのだ。それで「recooyajiです」と「杜」でのハンドルネイムを発声すると・・・「ああっ、recooyajiさんですかあ!」と、描いていたその人のイメージが、今、目の前にいる生身の人間と劇的にマッチする~という仕組みなのだ(笑) そういえば、2005年に初めて「洗濯船」1Fのあの食堂に入って行った時~すでにほとんどのメンバーが集合しており談笑していた~僕が「bassclefです」と言うなり、皆さん「ああ~っ」と反応してくれたなあ。そして全員(ほとんどの方が初対面)が名字+ハンドルネイムで自己紹介をすると、不思議なほどに打ち解けてしまうのだった。

さて、なごやかになった6名に気合が入る。「いざ、白馬へ!」
最初の運転はpapaさんだ。昨年、僕が失敗した土岐ジャンクションでの<伊勢湾自動車道~中央自動車道>も巧く乗り継ぎ(あたりまえか:笑)中津川の長いトンネルも抜けていく。こういう長いトンネルは6人でワイワイやってると早いけど、1人だと本当に長く感じる。しかもあの「微妙に暗めのオレンジ色」あれがいけない。あんな風にトロ~ンとした色合いでは・・・どうしたって眠くなるじゃないか(笑) Yoさんのワゴン車も3500ccでパワーに余裕があるのだが、papaさんは運転も相当に巧いようで、緩やかに続く登りカーブでもスムースな走りだ。そういえば、さっきYoさんが「papaさんはA級ライセンスを~」と言ってたな。僕は最後列でkonkenさんと隣合わせだ。ちょっと新しめのテナーの音が流れている。「これ、誰だろう?」「判らん」「わりと最近の録音だろうね」てなジャズ雑談。なにしろ、2人とも新しい録音のジャズをほとんど聴いてないのでよく判らないのだ(笑) スピーカーが後列にもあり、けっこう大きめな音量だったので、ちょっとだけヴォリュームを下げてもらった。その時のpapaさんとYoさんの反応で~音を下げろということは、あいつら、マレイを気に入ってないな・・・というような会話に違いない(笑)~このテナーが「デビッド・マレイ」だと判った(笑)そういえば、マレイについては・・・3月のYoさん宅でも、papaさんお勧めの2~3タイトルを聴いたばかりだ(笑)
お昼前までになるべく行けるところまで行っておきましょう~という作戦にしたので、ほとんど休憩を取らない。その内、マレイのCDが一巡したらしく同じ曲が流れるので「そろそろ替えましょう」などと最前列助手席のYoさんにお願いする。後はバルネなど聴きながら・・・あれ、もう松本近くまで来ているじゃないか。朝の集合が早かったこともあるので、梓川SAでちょっと早めのお昼休憩。
次の運転はマントさん。マントさん、仁科三湖辺りのクネクネ道でもけっこう飛ばす。クルマがよく走るので嬉しいのだろう。 マントさんに後から聞くと、あれでも抑え目に走ったと言うところが、ちょっと怖い(笑) だんだんと曇ってきているようで、なんとかガマンしていたような雨が、ついにパラパラと降り始めた。この辺りまで来ると、左側には槍ヶ岳とかの景色が素晴らしく広がるはずなのだが、そんな山々の姿もほとんど見えなくなってしまう。まあいいか・・・どうせ我々は山歩きをしにきたわけではない。
そんなこんなで、2時過ぎには「洗濯船」に到着。幹事役のSPUさんとパラゴンさんが笑顔で出迎えてくれた。会が始まる前に、皆さんのレコードを見せてもらうのも楽しみのひとつだ。僕はpapaさんに声をかけて、papaさんコレクションから見せていただくことにした。papaさん、今回はパーカー10インチを遠慮して(笑)他の貴重盤をたくさん持ってきてくれた。食堂のテーブルにずら~っと並べる。パラゴンさんがヴォーカル好きということで、ヴォーカルの珍しい盤をいくつか~キティ・ホワイトの見たことのない盤(emarcy盤ではない) ピンキーのvantage盤など・・・挙げていけばキリがない。あの辺りだと・・・ヴォーカル好きが見たらマイってしまうだろうな。僕はやはりインスト中心なので、ペッパーのdiscovery 10インチ盤2点にどうしても目がいってしまう(笑) これは・・・聴いてみたい! 食事の後の地下JBLルームでの第3部の時「ぜひ」とお願いした。
そうこうしてると、ワガママおやじさん、Dukeさん、千葉xyzさんも到着した。千葉xyzさんとpapaさんは今回の白馬が初参加だ。「洗濯船」オーナーのMさんも加えて、さあ・・・これで、今回の参加者12名が揃ったじゃないか。御大Dukeさんが一言~「ちょっと早いですが揃ったので始めましょうか」外の雨もだいぶ強くなってきたようだが・・・今から、ひたすらレコード音楽に耳を傾ける我々には関係ないか(笑)

第1部「トーク・タイム」(14:45~17:15)地下JBLルーム
ワガママおやじさんと不肖bassclefのトーク~各1時間づつたっぷりと語らせていただきました(笑) 昨年の「白馬:杜の会」からこの新企画が始まった。事前に指名された方が、60分ほど時間を頂いて、自分の選曲とコメントを皆さんに聴いていただくのである。テーマは全くの自由。昨年の白馬では、洗濯船MさんとYoさん。秋の杜では、パラゴンさん、recooyajiさん、Gamaさんが、この「トークタイム」を通して、自己の音楽原点的心情を吐露したのだった。その秋の杜の宴会の時、パラゴンさんから「2008年白馬トークタイム」のご指名を受けてしまったのだ。
好きなレコード(演奏)を掛ければいいのだよ~と思ってはみても、いざ「お前が好きなようにやれ」と言われると・・・案外、迷うものなのである。それに、あまりマニアックに過ぎるのもなあ・・・などとあれこれ悩んだのだが、結局はジャズジャイアントの隠れた名演~みたいな線でいこうと決めた。白馬直前のワガママおやじさんの「杜」への書き込みでも、同じような迷いがあるらしいことが判った。自分の好みで選曲できる「トーク」は楽しいけど、けっこう大変なのである(笑)

2008_0116s90000013_3 <ワガママおやじさんのトーク>
S&Gの「サウンド・オブ・サイレンス」を巡っての話し~
ポールサイモンが独りで吹き込んだSimon Before Garfunkelというアルバム。確かアメリカでは発売されずに、日本だけで発売許可されたというレコードである。このSimon Before Garfunkelは、僕にとっても思い出の1枚だ。中3の時だったか・・・このCBSソニーのLPを入手して、それはもう聴きまくったものだ。この「サウンド~」ギターのアルペジオで始まるイントロこそ、おなじみのパターンなのだが、唄の出足~hello darkness, my old friend~ポールは、怒ったようなぶっきらぼうな調子で唄い始める。ちょっとボブ・ディラン的というか・・・感情を抑えたようなポールの静かな気迫を感じる唄い出しだ。このレコードでは全曲、伴奏は自分の弾くギターだけ。しかし、そのシンプルさが、かえってポールの音楽(S&Gではなく)の骨格を見事に浮き彫りにしたのかもしれない。唄いながら、ギターを叩き、足を踏んでリズムを取るポール。この「サウンド・オブ・サイレンス」・・・抑えていた彼の内に秘められたいろんな感情がモロに溢れ出てしまったような、素晴らしい唄とギターであった。この「独りS&G」を初めて聴いた方も多いようだったが、誰もが感銘を受けたようだった。このPaul Simon Song Bookについての、ワガママおやじさんの記事はこちら、http://ameblo.jp/d58es/day-20080116.html それと、mono-monoさんの記事http://mono-mono.jugem.jp/?eid=195
67camperさんの記事http://blog.goo.ne.jp/67camper/e/0dfa2c93fde73f44354648646df7d583もおもしろいです。

おやじさんのトーク後半は「後期の2008_0524s90000013_2リー・モーガン」特集だ。1965年のCornbreadから、1968年のCaramba、1971年のBobby Humphrey(女性フルート奏者)への客演、それから映画「真夜中のカウボーイ」のサントラEPなどをかけてくれた。「真夜中~」これ、ハーモニカのトゥーツ・シールマンがメロディを吹いていて、ちょっとムード歌謡っぽいモーガンのトランペットが軽くアドリブする~という珍品。僕はもちろん初めて耳にした。他の4000番台のLPも正直なところ、全て初めて聴いたものばかりだ。僕はどうしても「ハードバップ」的なサウンドが好きなので、1965年の「コーン・ブレッド」での、ちょっと大人しい・・・というより弱々しい、しかし妙に存在感のあるテナーの音色が気に入った。そのテナー奏者は・・・ハンク・モブレイなのであった!
*このワガママおやじさんのトーク内容については、「こだわりの杜」へのご自身の書き込みがありましたので、ここに再掲させていただきます。
(以下斜体字部分)2008_0606s90000004_2
《トーク自体は再現出来ませんが、お聞き頂いた曲を羅列しますね。実はトーク、下原稿ではS&G中心で考えてました。サウンドオブサイレンスの3パターン、ブックエンドから一曲を挟んで明日に架ける橋で、S&Gバージョンとアレサ・フランクリンバージョンを掛けて、JAZZを一曲二曲で組み立てていたのですが、2008_0606s90000005_4 それでは余りにマズかろう云うことで、当日はアンディーウィリアムス一曲とポールサイモン/ソングブックからサウンドオブサイレンスを!
JAZZからは「コーンブレッドとそれ以降のリーモーガン」に焦点を当ててみました。コーンブレットB面。どん底の時期のリーモーガンの演奏からEPミッドナイトカーボーイ。2008_0606s90000002_2キャランバからヘレンズ・リチュア、 そうあのヘレンへ捧げた曲。ボビィーハンフリーのフルートインからサイドワインダーをお聞きいただいて、締めは恩人でもあろうベニーゴルソン・アンド・フィラデラルフィアンズからカルガリー。 この時点で時間オーバーだったので演奏時間の短いカルガリー選んだけど、アフタヌーンインパリの演奏がお勧めです》
《以上5点の写真・盤~ワガママおやじさん提供》

さて、僕:bassclefの方は「ジャズジャイアントの隠れた名演」みたいな流れに決めたのだが、セレクトにあたっては、ちょっとだけ捻って<中編成・ビッグバンドをバックに気持ちよく吹くサックス奏者たち>というのを、一応のテーマとした。トークは1時間という枠があるので、曲順くらいは決めておかないと・・・ということで、ズボラな僕としては珍しく原稿らしきものを用意した。原稿と言っても・・・曲名、時間、ステレオ/モノラルの区別。録音年、録音エンジニアのデータ・・・あとは一言コメントくらいのものなのだが。
まあ・・・実際に話しを始めたら、やはり原稿を棒読みするというのも、とても不自然なものなので(笑)結局はいつものように、思いついたことを話しているうちに、つい長くなってしまったようだ。だから何曲かはカットせざるを得ませんでした(笑)
それでは以下~僕の悪戦苦闘の記録として(笑)ちょっとDJ風にアレンジした<白馬でのbassclefのトーク>を載せておきます。
もちろんこの通りに話したわけではありませんが、話しのニュアンスは、だいたいこんな感じだったはずです。なお時間が不足したので、8番のグリフィンと9番のゲッツは、かけられませんでした。

<bassclefのトーク>
今日は、まあ・・・テナー&アルトの特集です。サックス奏者の名演はあまたあるんですが、今回はちょっと捻りました(笑)
というのは、コンボではなく「ビッグバンドや中編成コンボをバックに気持ちよく吹く名プレーヤーたち」というのを一応のテーマとして、その辺りでまず好きなもの・・・そして、できるだけ録音が優秀かな・・・と感じているレコードからセレクトしてみました。あまりにもマイナーなミュージシャンは避けて、有名どころのちょっと渋いレコード・・・という趣ですかね。サックスばっかりではおもしろくないので、一部、トランペット奏者のフューチャリング曲も混ぜました。それから、ステレオ盤・モノラル盤・レーベルなども、できるだけ混ぜ混ぜにしてみました。Fox

1. I wished on the moon 1961年ステレオ
    エディ・ロック・ジョー・デイヴィス/The Fox & The Hounds(RCA victor)バックのリズム陣までくっきりと録られた録音もなかなかいいです。 (engineerは、mickey croffordという人) 曲は・・・思わずワクワクするようなアレンジにのって、ロック・ジョーが楽しそうに吹く I wished on the moonにしましょう。ロックジョーというテナー吹きは、飄々とした感じが堪りませんね。なお、アレンジャーはBobby Platerという人です(ライオネル・ハンプトン楽団~ベイシー楽団でロックジョーと仲間) ビッグバンドはNYのトップジャズメン17人としかクレジットされてませんが、多分、ベイシー楽団でしょう。だとすれば、ベースはエディ・ジョーンズだと思います。

Les_brown_jazz_song_book 2. let's get away from it all 1959年 ステレオ
     レス・ブラウン楽団/Jazz Song Book(coral)
次は、ズートといきましょう! レス・ブラウンというのは、わりとポピュラーっぽい楽団だと思いますが、このアルバムでは、巧いソロイスト(フランク・ロソリーノ、ドン・ファーガキストら)を、Song_bookうまい具合に配分していて(各3曲づつくらい)、充分にジャズっぽいアルバムだと思います。ズートの誠にスムースなフレージングと、あっさりと乗る軽い感じが気持ちいいですね。
《ここでPapaさんから、「このアルバムはいいですよ」とうれしい一言。Papaさんはモノラル盤をお持ちとのこと。僕の手持ちはピンクラベルのプロモだ》

3.   round about midnight 1959年 モノラル
     アート・ペッパー/プラス・イレブン(contemporary)
このレコード、オリジナルを持ってないので、今回はYoさんに借りました(笑)このレコードは最高! まず演奏がいい。アレンジもいい。そして・・・録音もいい!(roy dunan) ジョー・モンドラゴンのベースも重い音で録られています。僕はキングの国内盤ステレオで聴いているのですが、それを聴いていても「ステレオ盤オリジナル」も相当にいい音だろうな~と推測できます。ステレオ盤だと・・・ペッパーのアルトが中央に定位したまま(その音圧感が全く落ちずに) ベースとドラムスが左右に分かれてオーケストラは後ろから・・・というような定位になると思います。このレコードでは、ペッパーのテナーが3~4曲聴けるのですが、ここはやっぱりアルトということで(笑)
bernie's tune のペッパーのソロも素晴らしいのですが、同じようなテンポの曲が続いてしまうので、ここはスロウもの~ A面4曲めのround about midnightにしました。アレンジャーは、マーティ・ペイチです。

4.   day in day out 1961年 モノラル/ステレオVerve_2
Terry Gibbs Dreamband (contemporary)
モノラルのオリジナル盤はこちら~verve V-2151:The Exciting~ですが・・・このcontemporary盤は、1990年発売の新発見ステレオ・マスターなので、少々こじつければMain_stem、このLPを「ステレオ盤オリジナル」と呼ぶこともできます。このレコード・・・とにかく録音が抜群! エンジニアは、あのwally heiderです!ではA面1曲目の day in day outを。
短いソロは・・・コンテ・カンドリ(tp)とビル・パーキンス(ts)です。ベースはバディ・クラークという人。音がでかそうですね(笑) ぺッパーの・・・いや、マーティー・ペイチのtampa盤に入ってた人です。

  Photo_45.  quintessence(4'14") 1961年 ステレオ

クインシーPhoto_6・ジョーンズ/クイセッテンス(impulse)
フィル・ウッズの輝くようなアルトの鳴りを。(van geldr) 曲の終わりの短いカデンツァも、ウッズの 巧さ爆発です。文句なし! 何度聴いても、このimpulse盤は気持ちがいい。

6.   isn't this a lovely day?(4'14") 1953年 モノラル 《写真・盤~konkenさん提供。この盤、実は両面ともB面のラベルが貼られていた。これが、この個体だけのミスなのか、あるいは・・・》
    
フレッド・アステア/~ストーリー(clef) 1369astaire_2
大編成ばっかりではちょっと疲れますので、ここで中休みとして・・・テーマから離れて「唄」をひとつ。フレッド・アステアのIsn't this a lovely day? を。実は・・・このレコードもkonkenさんからの借り物です(笑)
ほのぼのしたような、しみじみしたような情感が漂う名唱・名演だと思います。 優しげなテナーソロは・・・フリップ・フィリップスです。

7.  from now on 1957年 モノラル
   マーティー・ペイチ/Picasso of jazz(cadence)
もうひとつ、モノラル録音のいいやつを。cadenceというレーベルは、たぶんcolumbiaの子会社です。その cadenceの子会社があのcandidです。だからこの「Picasso」は、candidからも出たこともあると思います。渋いトランペットは、ジャック・シェルダンです。独特の沈んだような音色・・・いいソロですね。実は、アルトのクレジットがないのです。この辺りの白人系のアルトをいろいろ聴いてみました。でも・・・判りませんでした。ジーン・クイルかジョー・メイニか、あるいはチャーリー・マリアーノかな?と推理してます。ペッパーやバド・シャンクではないですね。ハーブ・ゲラー、ロニー・ラングではないような感じがします。Photo
《そういえば、cadenceレーベルの小話題として~このcadence~Dukeさんの好きなピアニスト:ドン・シャーリーの初期の作品がたくさんあるレーベルで、実はこれ、ある有名なシンガーがオーナーなんですよ・・・などと話そうかなと思っていたら、cadenceと言った瞬間に、すぐ「アンディ・ウイリアムスの・・・」と声がかかりました(笑)さすがに皆さん、よくご存知です(笑)
アルト奏者のクレジットがない話しも、それを切り出す前に、recooyajiさんから「アルトは誰ですか?」との声。やっぱりちょっと気になる、いいソロだったようだ(笑) 
《その後、PapaさんがこのレコードPicasso of jazzのパーソネルを調べてくれたようで、「こだわりの杜」へ書き込みにて知らせてくれた。
録音年月日 1957 June 7&8   Los Angels
”The Picasso of Big Band "
Pete Candoli, Buddy Childer, Jack Sheldon (tp) Herbie Haper (tb) Bob Envoldsen (vt-b, cl) Vince Derosa (fhr)
Herb Geller ( as ) Bob Cooper, Billy Perkins (ts) Marty Berman (bar) Marty Paichi (p) Joe Mondragon (b) Mel Lewis (d)
う~ん・・・あのアルト奏者は、ハーブ・ゲラーだったのか! まずいなあ、「違う」候補の3番手にゲラーを挙げていたなあ(笑)》Big_soul_band

8.  jubilation(3'53") 1960年 モノラル
  グリフィン~The Big Soul-Band(riverside) 
ちょっと「くどい」音色のグリフィンです。ベースのヴィクター・スプロウルズの音がでかそうなこと! 録音はレイ・フォウラー。

9.   bim bom(4'32") 1961年  ステレオGetz_bigband_bossa_2
     スタン・ゲッツ/Big Band Bossa Nova(verve)
これ、ジョアン・ジルベルトの曲。ゲッツのテナーもマイルドでいい。スネアのリム・ショットとかシンバルのドラムスの音とブラスのバランスが絶妙。 けっこう好きな録音です。verveですがval valentineではなくて、george kneurr&frank laicoという人です。ガットギター・ソロは・・・ジム・ホール!

10.far out east(4'30") 1958年  モノラル/ステレオ
      ロリンズ/ブラス&トリオ(metro) Photo_2
このメトロ盤がオリジナルです。これ、ようやく入手しました(笑) 長いこと、こちらのverve盤(緑色のやつ)で聴いてました。一応、VerveとしてはオリジナルのはずのT字のVerve Inc.(long playing 溝あり)盤なんですが、このverve盤は・・・音があまりよろしくない(笑) モノラルだステレオだという前に、ロリンズのテナーの音に厚みがない。鮮度感に乏しい。それに全体にやけにエコーが強いし、ドラムスやベースの音が遠い感じです。
一方、Metroのステレオ盤では~ロリンズだけが左側で、ビッグバンドとリズムセクションは右側~という、ちょっとおかしなステレオの定位ですが、何よりもテナーの音の鮮度が段違いです。生き生きしたロリンズの音が気持ちいい!1958年の好調なロリンズ! ベースのヘンリー・グライムズも重い音で録られてると思います。B面のコンボの方で比べると、ドラムスやベースの鮮度感の差がよく判ります。では・・・オリジナルのMGM盤(ステレオ盤)ではどうなのか・・・続けて聴いてみましょう。もっともロリンズらしい~と思える1曲を。Brasstrioverve
      verve盤~A面4曲目のfar out east~30"ほど
   metro盤~A面2曲目 far out east
え~と、このタイトル・・・有名なway out westのもじりだそうです(笑)
実は、このロリンズのメトロ盤・・・テナー1本のソロが入ってるんです。body & soulなんですが、1958年でのテナーソロというのも珍しいでしょう。ところが・・・すでに1948年にテナー1本のソロが存在しております。ロリンズの方(body & soul) も掛けたいところなんですが・・・最後に、この「史上初のテナーサックス1本のソロ演奏」と言われているやつを聴いていただきたいと思います。

11.  piccaso モノラル 1948年
コールマン・ホウキンスの「ピカソ」です!Photo_7
これ~THE JAZZ SCENE~mercuryからSP6枚組がオリジナル~10インチ2枚組~EP5枚組~12インチLP~という順で発売されたのだと思います。音は12インチよりEPの方が圧倒的にいいようです。このEP盤5枚セット・・・盤質も最高だし、私的にはけっこうお宝盤です(笑)
なお、ジャケットの図柄はゲッツの「plays Bacharach」に使われてましたね。では・・・1948年の「ピカソ」を。
《あらゆる希少盤をお持ちだとも思えるPapaさんが、珍しくも「う~ん・・・このEP Boxは・・・欲しい」と言ってくれたので、僕はちょっと嬉しかった(笑)まあ半分は、compliment(お世辞)だろうけど(笑)》

第2部(19:15~22:00)
毎年、食事の後に「この1曲」をやるのですが、今年は皆さんの「燃える自己紹介」の後、おいしい泡盛もだいぶん入りながらの「この1曲」で、その後、オークションへ突入。1F食堂タイムが終了したのは例年より1時間ほど遅めの時刻だった。以下、皆さんの「この1曲」をリストしておきます。

Ethel_ennis パラゴンさん~エセル・エニス(jubilee盤:Lullbies For Losers紫ラベル)金色ラベル から
You'd Better Go Now~この名曲を、エセルは、あっさり加減の唄い口で、しかし、しっとりと唄う。それとこのjubilee盤・・・普通、モノラル盤は青か黒だと思うのだが、なぜか・・・パープル!これは・・・珍しい。さっそくpapaさんの熱い視線が(笑)
《上の写真・盤はパラゴンさん提供》
2008_0606s90000003

ワガママおやじさん~Eddie Lockjaw Davis with Shirley Scottから serenade in blue
《右の写真・盤はワガママおやじさん提供》

マントさん~E・パイネマン女史(V)のドボルジャークバイオリン協奏曲

《下の写真・盤はkonkenさん提供》
1186marlenekonkenさん~Marlene De Plankの唄~Fools Lushi In
マーレーンの唄い口は・・・いつも優しい。聴いていて、理屈抜きに安らぐのだ(笑)konkenさんは、あのsavoy盤:Marleneも持っており、この歌い手のレコードをほとんど揃えているようだ。

Yoさん~Jazzville'56(dawn)からlover man(ジーン・クイル)Jazzville56
《右と下の写真・盤~Yoさん提供》
クイルもまたアルトの名手だ。パーカー、マクリーンも演奏したこのバラードを、クイルは、凄く情熱的に吹いている。フレーズ展開に破綻(はたん)をきたしそうな場面もあるのだが、その危うさがスリリングでもある。Jazzvilleこのドーン盤・・・たしかトランペットのディック・シャーマンのいいバラードも入っていて、いいオムニバス盤だと思う。


洗濯Mさん~高木麻早「ひとりぼっちの部屋」~「い~まあ~ッア」と声を思い切り伸ばした後に、短く「アッ」と声を切るところが素晴らしい(笑) 

Dukeさん~ダイナ・ワシントンの初期の10インチ盤からI want to cry 
~生々しい声が印象的。この10インチ盤は30分後にオークションにて、Musashi no papaさんがゲットした。そのpapaさんのコメントを以下。
《白馬の杜でDUKEさんからオークションで譲って戴いたダイナ ワシントンは素晴らしいレコードでした。8曲のうち特に気に入ったのが杜で流された I want to cry でした。チェックしたみると1948年10月16日ロイヤルルーストNYでの録音でバックのペットはガレスピーのようです。この1曲は素晴らしい。私のお気に入りになりました》

PaPaさん~ドイツのアルト奏者~ミハエル・ナウラ
(フィル・ウッズにも似た感じの名手だった。vibraphoneはWolfgangという名だけ覚えてますが、あれは・・・チェット・ベイカーともsandra盤で共演しているWolfgang Lackerschmidなのかな?)
《以下、訂正》
Papaさんからのデータを以下。リーダーのミハエル氏をアルトだと勘違いしてました。ミハエル氏はピアノ、アルトはペーター・レインケという人でした。
ヴィブラフォン奏者も、ウオルフガング違いでした(笑)
Michael Naura Quintet(German Brunswick 87912)
Michael Naura(p)      
Peter Reinke(as)      
Wolfgang Schluter(vib)   
Wolfgang  Luschert(b)   
Joe Nay(ds) 

千葉ZYXさん~テクノっぽいやつ(曲名失念。ごめん!)

SPUさん~Clifford Brown&Max Roach (emarcy) Img_0011_5
10inch盤から delilah。Img_0016_4






ローチ/ブラウンのemarcy盤では、たしか・・・これだけが10インチ盤とのことだ。《写真・盤~SPUさん提供》

recooyajiさん~スリーキャッツ「黄色いさくらんぼ」(日本コロンビア)25cm盤

bassclef~クリフォード・ブラウン「ブルー・ムーン」(emarcy EP盤)

<第3部~地下JBLルーム 夜10時30分~1時30分頃まで>白馬第3部
ある意味、この第3部が最も楽しい時間である。というのも、ここでは皆さんが、いわば「本音盤」を掛けるので、毎年、印象に残るレコードが飛び出るのだ。今回は・・・タイトル・順番など、どうにも記憶があやふやである。皆さんの飲まれたアルコールがJBLルームに気化して、それと音の洪水で・・・僕の脳髄も麻痺してしまったのかもしれない(笑)それでも印象に残っているレコード達をいくつか。

Yoさん~「聴き比べ2題」
<ハロルド・ランド~The Fox>(contemporary盤とHi-Fi盤)からthe fox one down
<アート・ペッパー~Surf Ride>(savoy12インチ盤とdiscovery10インチ盤)からsurf ride

ワガママおやじさん~「ソニー・クラーク~Leapin' & Lopin'からケベック入りのdeep in a dream

SPUさん~「ウディ・ハーマン」Woodchoppers(dial)10インチ盤からit's the talk of town(ラベルにはon the townと表記)

konkenさん~アーサー・ブライスIn The Traditionからin a sentimental mood

洗濯船Mさん~サラ・ヴォーンのlullby of Birdland(emarcy)

Okpapaさん~ペップ・ボネPep Bonet(スペインのサックス奏者)この人、ちょっとロリンズ風。そんなバリバリと吹くテナーに、ちょっとヘタウマ風なピアノとベースが絡む。Papaさん、こういうヨーロッパ系の「武骨ジャズ」も好みらしい。そういえば、イギリスのディック・モリシー(ts)にも、同じような雰囲気を感じた。《写真・盤はPapaさん提供》

Jazz_vane_2bassclef~ジミー・ロウルズweather in jazz vane(andex)からsome other spring。このレコード・・・CDで愛聴してきたのだが、ちょっと前にようやくオリジナル盤を入手できた。ロウルズという人のしみじみとした持ち味がよく出ていて、好きなレコードだ。それに、Andexというレーベル・・・なかなか音がいい(笑) この頃は、こういう、日向ぼっこをしながら居眠りしているような・・・そんなまったりした感じが好きになってきた。《このandex盤はプロモ盤なのでラベルが白だ》

マントさん~DECCAでホルストの惑星(カラヤン・VPO)からジュピター。何度聴いても・・・やっぱりいい曲だ(笑)
チャイコフスキーのロミオとジュリエット(同)からロミオとジュリエット(2000番台)。DUKAS:LA PERI poeme dance'(ラージラベル)~このデュカスの曲・・・最初の金管楽器が一斉に鳴り響くあたりは、サウンドとして気持ちがよかった(笑)

千葉ZYXさん~「ToTo」のLPから(タイトル失念・・・ごめん!)
この1曲は・・・ZYXさんが茶目っ気を出して「ある大物ジャズメンが参加している」とのクイズ曲となった。昔、ローリング・ストーンズにロリンズが参加したLPのことは知っている。誰かが「楽器は?」と尋ねると・・・「いや、まあ・・・聴いてみましょう」と口ごもりながらも、小さい声で「トランペットです」とヒントをくれる優しいZYXさんだった(笑) ToToという名前は知っているが、ちゃんと聴いたことがない(笑)冒頭からギターがしばらく続いた後・・・なにやら聴いたことのあるぞ~と思える音色のトランペットが鳴りはじめる。この、ちょっとくぐもったような音色と、ためらいがちなフレージングは・・・おおっ、あれだ。「わかったあ! マイルス!」と僕は言う。「当たりです!」とZYXさん。「さすがですね」などと誉めてくれるZYXさん。でもね、ZYXさん・・・マイルスのトランペットなら、ジャズ好きなら誰でもすぐに判っちゃうんですよ(笑) それにしてもこのToToへのマイルスの客演~おそらくオーヴァーダビングなのだろうが、ソフトなロック調にかぶして吹くマイルスのフレーズには、全く違和感がない。それになんと言っても、一人の人間がそこでしゃべっているような・・・そんな説得力があるじゃないか。Img_0006_4

SPUさん~Woody Herman/Woodchoppers(dial:10inch)
毎年、夜が更けてくると異常に元気になってくるSPUさんである(笑)
SPUさん、いつもいいところを入手しているようで、いろいろと見せてくれる。ソニー・クラーク・トリオ(bluenote)にも惹かれたが、ここはやはり昼間にチラと見せていただいたダイアルの10インチ盤である。  Img_0018_3 《写真・盤~SPUさん提供》
それはWoody Hermanの10インチ盤。聞かせてくれたのが、バラードの it's the talk of town(ラベルのクレジットでは"on the town"と表記されている) これ、ウッディ・ハーマンと言っても、フリップ・フィリップスのフューチャー曲で、彼の見事なソロがたっぷりと入っている・・・これはいいっ! 
まったくフィリップスという人は、こういうゆったりしたバラードを吹かせると、もう独壇場である。僕の好きな「フィリップ風」がゆったりと謳いあげる。ううう・・・これは、垂涎盤だあ!(笑) フィリップス好きの僕にとっては、この夜のMIV盤(most impressive vinylという勝手な造語です)は、このダイアル10インチ盤である。

《下の写真・盤~ワガママおやじさん提供》
2008_0323s90000014_5ワガママおやじさん~Sonny Clark/Leapin' & Roapin'(bluenote)NYラベル
お勧めはやはり・・・deep in a dream。さすがワガママおやじさん、ジャズのコアなところをご存知だ。この「リーピング~」チャーリー・ラウズとトミー・タレンティンの2管入りセッションが主なのだが、この1曲:deep in a dreamだけは、アイク・ケベックのテナー1本。そしてこれが実にいい。ソニー・クラークのバラードを弾くときの独特なロマンティックな感じ・・・そのイントロからしばらくはピアノのソロが続く。「あれ、これ、テナーは?」と皆が思ったころ・・・ケベックが「ずず~っ」と忍び込むような気配で吹き始める(笑)、ソニー・クラーク/アイク・ケベック~2人の音が醸し出す雰囲気と、この曲の、ちょっとセンチメンタルな雰囲気が見事にマッチしている。このバラードは、やはり絶品と言わねばなるまい。

Yoさん~<ハロルド・ランド:Foxの聴き比べ>
《以下6点、ランドとペッパーの写真・盤~Yoさん提供》The_foxhifi_6

ランドのThe Foxは、もともとHi-Fiレーベルへの吹き込み(1960年)だが、一般的に知られているのは、contemporaryの緑ラベル(1968~1970頃)として再発されたものだと思う。僕もその緑ラベルを愛聴していた。そういえば・・・第1回白馬の時に、Yoさんとランド話題になり「Foxはいいよね」みたいな話しになったな。そのYoさん、最近、FoxのHi-Fi盤を入手されたとのことで、じゃあ、あのcontemporary盤とどんな具合に違うのか・・・
という流れになっていた。Yoさんによると、contemporary盤は「いつものcontemporaryらしい、自然な質感のいい音」なのだが、Hi-Fi盤(モノラル)は、全く音造りが違うとのこと。簡単に言えば、あまり西海岸っぽくないそうである。Fox_hifi
最初にHi-Fi盤から~まずジャケットがいい。暗めの赤色、灰色、黒色などが太い筆でググッと塗りたくってあるだけの抽象絵画っぽいジャケットなのだが、中身の音の力感みたいなものが感じられるのだ。A面1曲目のThe Fox B面のOne Down を聴く。各楽器の音がメリハリのハッキリした太い輪郭で、全体的に音が強い感じだ。パーソネルを知らずにパッと聴いたら・・・イーストの黒人ハードバップだと思ってしまうだろう。もっとも・・・このThe Fox~ランドもエルモ・ホープもリズムセクションもみんな黒人だし、実際、こういうハードバップ的な4ビートジャズをやっているバンドのサウンドに、東海岸と西海岸で、それほどの違うがあるはずもないのだが。ただ「録音の感じ」の違いは・・・明らかにあると思う。その「音の感じ」で言うと・・・Hi-Fi盤では「ジャズが強く聴こえる」ように感じたのだ。ピアノのエルモ・ホープの叩きつけるようなタッチも、相当に迫力あるガッツあるタッチとして鳴った。いずれにしても、Hi-Fi盤の音は、モノラル盤と言うことも含めて・・・魅力的なジャズのサウンドではあった。なおHi-Fi盤の録音は1959年。録音エンジニアは・・・Art Becker & David Wiechmanとなっている(contemporary盤の裏ジャケに表記あり)

Foxcontemporay 次にcontemporary盤~この緑ラベル・・・何度も聴いているので僕には親しみがある。裏ジャケの解説はLeonard Featherで、1969年10月としてあるので、発売は1969年か1970年だろう。
さて「緑ラベルのステレオ盤」だ。一聴・・・ランドのテナーが少し細くなり(と言ってもそれは悪い意味ではない)音色もややソフトな感じになった。ドラムスの「鳴り」が全体的に「すっきり」してきた。音楽全体の鳴り」として・・・たしかにやや軽くなったような感じはする。しかし・・・本来、ランドやフランク・バトラーが楽器から出している「サウンド」としては・・・僕はこのcontemporary盤の方が「自然」だと思う。いい意味での「軽やかさ」~僕はこの感じを「軽み」(かろみ)という言葉で表したい(笑)~が感じられるサウンドだと思うのだ。Foxcontemporay_2 う~ん・・・Hi-Fi盤もいいが、やはりこちらのcontemporary盤もいい・・・聴いている方々もそれぞれの音にに感じるところがあったようで、判断に迷っているような気配ではある。これは、Hi-Fi盤とcontemporary盤との「音造り」の違いでもあり、また「モノラル盤」と「ステレオ盤」のそれぞれの特徴(良さ)が現れた好サンプルかもしれない。ジャズ好きの「音」や「音楽スタイル」に対する好みの傾向は様々だし、そういう好みの違い方というようなことへの興味を、Yoさんも僕も持っている。そんなこともあって、どちらの音が好みか・・・というアンケートをすることになった。この場にはちょうど9名いた。僕の予想は「半々」だった。
まず「Hi-Fi盤」~4名が手を上げる。そして「contemporary盤」~これも4名。1名が手を上げてない(笑) Yoさんは決着を付けたいようだ(笑)「konkenさんは?どっちが好き?」と追求する。konkenさん「うう・・・」唸りながら「やっぱり・・・contemporaryかな・・・」 これで5対4だ。やはりほぼ半々か・・・。まあいずれにしても、実に興味深い「音の好み」の違いじゃないか(笑)

Pepper_surfride_savoy_2  Yoさん~<ペッパーのサーフライド>
さて、savoy12インチ盤(MG-12089)とdiscovery10インチ盤2点(Art Pepper Quartet 3019)と(Art Pepper Quintet 3023)
発売は、10インチ盤の3019が1952年、3023が1954年。12インチ盤が1956年と、当然のことだが、10インチ盤の方が早い発売である。Surfride
最初に掛けたのは、savoy盤12インチ~曲は急速調のsurf ride。
サックスの音にメリハリがあり、全体的に明るい感じ。とても1952年の録音とは思えないほどパリッとしたジャズの音だ。さすがにVan Gelderのマスタリングした12インチ盤だ。張りのあるジャズっぽさも充分に感じられる。
Yoさんは「うん、このsavoy盤も悪くないなあ」とちょっと嬉しそう(笑)

次に、discovery10インチ盤~これは僕の私見だが、10インチ盤というのは、時代も古い分だけ(たぶん)12インチ盤に比べると、盤質の材料やカッティングの精度において、若干のデメリットがあると思う。ただし「モノ」としての魅力~あの10インチという大きさからくる圧倒的な存在感、古み感など・・・それがそこにあるだけで、素晴らしい(笑)そう思わせてくれるほど、ある種の10インチ盤には、エモイワレヌ魅力を感じる。ペッパーのこの2枚のdiscovery盤もそんなレコードである。
《下の10インチ盤2枚~写真・盤はPapaさん提供》Discovery10inch_2_2

さて、その音は・・・? Mさんが慎重に針を下ろす。
材質・盤質からくるノイズはほとんどない。いいコンディションのようだ。
一聴・・・全体の音がおとなしい感じか。ちょっと楽器全般がくすんだような色合いになったかもしれない。ぱっと聴いて受ける印象は・・・古い写真がセピア色に染まりつつあるような・・・そんな感じに近いかもしれない。そして僕には、その「セピア色」が心地よい。ちょっと高音の方が詰まったような音なのだが、こうして2枚続けて聴いてみると、この「ちょっとおとなしい鳴り方」の方が、より自然なものに聞こえないこともない。
ドラムスのシンバルのクリアさや、それからペッパーのアルトの輝き具合においては、確かに12インチ盤の方に分があった。それでも10インチ盤の「自然な鳴り」に僕は惹かれるものを感じた。
目をつぶって「音」だけを聴けば、12インチ盤の方を選ぶ方が多いかもしれない。しかし~パーカーのダイアル盤の時にもちらっと書いたのだけど~こちらのアタマに「貴重な10インチ盤。時代的にはオリジナルの10インチ盤」という思いも入り込んでの聴き比べなので(そうならざるを得ない)そういう意味で「10インチ盤有利」になってしまうことがないとは言えない(笑)
いずれにしても、こういうのは「好み」の問題だと思う。例えば、僕自身は・・・一般的には強い音が好きなのだが、Van Gelder特有のかけるエコーが(強すぎる場合)あまり好きではない。Cimg0268
ひとつだけ確かなのは「ペッパーは凄い」ということだ(笑) レコード化の段階で、後から何をどういじったとしても、1952年にペッパー達が演奏した素晴らしい演奏(音楽)は・・・・厳然として、そこにあったわけなのだから。
《上の写真~savoy12インチ盤には収録されなかった4曲(These Foolish Things, Everything Happens to Me, Deep Purple, What's new)と、レッドの2曲を収めたArt Pepper/Sonny Redd~通称Two Altos(regent)。なるほど・・・ラベルは緑でしたか!写真・盤~Musashi no papaさん提供》

好きになったミュージシャンの音を集中して聴くのならば・・・どんな版のレコードを聴いたとしても、感じるところは絶対にあるはずだ・・・と思いたい。まあもちろん、音がいいレコードで聴くに越したことはないのだが(笑)

《写真・盤はkonkenさん提供》Photo
最後の方に聴いたのは、konkenさんの「アーサー・ブライス」in the traditionからJitterbug Waltz と in a sentimental mood。
どちらかというと古い年代のジャズが中心の会なので、こういう1970年代後半の、ガッツあるハードっぽいジャズがかかると、新鮮な感じもあり、楽しく聴けた。斜め前に座って、なにやらブライスのアルトに集中している様子のPapaさんに「こういうの好きでしょう・・・」と言うと「これは気に入りました!」と一言。Papaさんは、もちろんパーカー命のような方だが、デビッド・マレイなどちょっと新しい世代のサックス奏者も愛聴しているようだ。

そして大ラス~洗濯船Mさんが「では最後に1曲」と静かに言う。
「バ~バ・バ~ラ・バッバッ・バッバ・パ~」ああ・・・これは皆がよく知っているレコード・・・サラ・ヴォーンのemarcy盤だ!Mさんが、bluebackのジャケットがイーゼルに掲げられる。ねっとりした唄い回しのサラの声が、力感豊かに流れてくる。あのサラのアドリブ・フレーズを諳(そら)んじているらしいkonkenさんが、サラと一緒にスキャットしている(笑)酔っているので音程は覚束(おぼつか)ないが、気持ちは充分に判る(笑)
見事なまでにコントロールされたサラの声が厳(おごそ)かに流れつつ・・・2008年の白馬:杜の会は、ようやく終わろうとしているのだった。

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2007年7月20日 (金)

<ジャズ雑感 第19回>ミッシェル・ルグランのこと。

聴くたびに「ああ・・・いい曲だなあ」と、思わずつぶやいてしまう・・・そんな曲が誰の心にもあるものと思う。僕にも好きな曲がいっぱいある。そうして、そんな風に「好きだ」と感じたいくつかの曲が同じ作者によるものだった・・・と判った時のワクワク感。それはまるでいい鉱脈を発見したような気分で、そこら辺りを探っていけば、まだまだお宝がいっぱい潜んでいるぞ・・・という期待感が渦巻いて、なにやらうれしくなってしまうのだ。
2年ほど前だったか、この<夢レコ>でも取り上げた、マット・デニス(ロリンズのオン・インパルス記事)やジョニー・マンデル(ビル・パーキンス記事)という作曲者の存在に気付いた時は、正にそんな気分だった。

ジャズを長いこと聴いてきて・・・どうやら僕の好きな曲には、2つの流れがあるようだ。僕はモンクやランディ・ウエストン、それからフレディ・レッドの創る曲が好きである。それらは例えば・・・reflections や pretty strange、それからtime to smile であったりするのだが、あのちょっとゴツゴツしたような感じのメロディ・・・しかしメランコリックな雰囲気のある曲調・・・そんな感じの曲が、僕の好みになっているようだ。
そしてもうひとつの流れ・・・「ゴツゴツ曲」とは、だいぶん肌合いが違うのだが、例えばマット・デニスの創る everything happens to me というような曲にも大いに惹かれてしまうのだ。大げさな感じではなく、ふと自然に流れてきたかのような素敵なメロディとモダンなハーモニーを持つ洒落(しゃれ)た曲・・・そんな曲も好みのようだ。
僕はクラシックをほとんど聴かないが、いわゆるクラシックの名曲というものは、どれも素晴らしいと思う。チャイコフスキーの「花のワルツ」やドヴォルザークの「家路」などは大好きである。4~5年ほど前に「惑星」の中のメロディ(木星だったかな)をそのまま使ったポップ曲が流行ったが、あれはやはり・・・本当にいいメロディは、いつ誰が聴いても「いい!」と感じる~ということなのだろう。

そして今回は、そんな「いいメロディ」を創る作曲家・・・ミシェル・ルグランのことを書きたい。Dscn1729
そう・・・「シェルブールの雨傘」のルグランである。それから「風のささやき」のルグランである。こんな風に映画音楽のヒットメイカーというイメージが強いフランスの作曲家ではあるが、ジャズ好きは知っている。
ルグランが「ジャズ者」であるということを(笑)

ルグランが大ヒットメイカーになる前(1958年6月)に、アレンジャーとして「ジャズ」のレコードを吹き込んでいる。マイルスやコルトレーン、それからビル・エヴァンスらが参加しいる、あの有名なレコードだ。Dscn1731
Michel Legrand meets Milese Davis(mercury) このレコードは何度も日本でも再発されたはずで、このMeets Miles Davisは、「ルグラン・ジャズ」というタイトルでも出ていたと思う。この写真の盤は、1973年~1974年頃だったか・・・日本フォノグラムが発売した「直輸入盤」だ。右上に貼ってあるシールのセリフがおもしろい。<世界でも売っていない貴重な名盤です。第4期 米マーキュリー社 特別製作盤> このシリーズは、オリジナルの仕様と関係なく、全て「赤ラベル」だったと思う。たしか、クインシー・ジョーンズ記事の時に、この「赤ラベル盤」を載せたように記憶している。僕はルグランにはそれほどの興味もなかったが、「1958年のコルトレーンやビル・エヴァンスが聴ける」という理由で、この盤を入手した。
3つのセッションに分かれていて、どれもオーソドクスなアレンジの下、豪華なメンツのソロが楽しめる、とてもいい内容だと思う。但し、このレコード・・・ルグランはアレンジャー専任なので、ルグランの曲はひとつも聴けない。

わりと早い時期にジャズメンに取り上げられた、ルグランの曲をひとつ挙げよう。
Dscn1730 <once upon a summer time>~1962年のマイルスのCBS盤~Quiet Nights のA面2曲目に収録されている。あのチャーミングなメロディをギル・エヴァンスとマイルスが哀愁たっぷりに描き上げているが・・・このonce upon a summer time には・・・いまひとつ馴染めない。重く立ち込めたような雰囲気を醸し出すのはギル・エヴァンス得意のやり方だが、曲の中ほどで壮大に鳴るブラス群も唐突な感じだし、全体に重々しくなりすぎてしまい・・・私見では、このルグラン曲の持つ「可憐さ」みたいな雰囲気に欠けるように思う。
余談だが、この曲・・・有名なわりには、案外にインスト・ヴァージョンが少ないようなので、(マイルスが吹き込んだからかもしれない:笑) ヴォーカル・ヴァージョンを3つ、紹介しよう。Dscn1732
トニー・ベネットの I'll Be Around(columbia 1963年) 
ビル・エヴァンスが伴奏したモニカ・ゼッタランドのレコード~Waltz For Debby(phillips 1964年)にも入っていたはずだ。
それからもちろん、ブロッサム・ディアリーの once upon a summer time(verve 1958年) だ。
どれも、しっとりとした可憐な雰囲気がよく出ていて、いい出来だと思う。


ここで、ルグラン自身がピアノを弾くインスト盤をいくつか紹介したい。
Michel Legrand/At Shelly's Manne-Hole(verve) シェリーズ・マン・ホール1968年シェリーズ・マンホールでのライブ録音。

Dscn1725 このレコードは、ルグランのピアノ、レイ・ブラウンのベース、シェリーマンのドラムスというトリオでライブでのピアノトリオが楽しめるのだが・・・実は、ルグランのピアノはあまり印象に残らない(笑)
ルグランのピアノ・・・もちろん充分に巧い。巧いのだが、速いパッセージをわりとパラパラと弾くだけで、ぐぐ~っと突き詰めていくようなsomething に欠けているように思う。「軽い」と言ってもいいかもしれない。でもしかし、僕はこのレコードを好きなのである。
というのは、このレコードではなんといってもレイ・ブラウンが素晴らしいからなのである。レイ・ブラウンの演奏はいつでも凄いと思うが、このレコードでは、特に録音が素晴らしいのだ!engineerは Wally Heiderなる人である。
私見だが、このWally氏・・・ベース録音の名手に違いない。おそらくかなりのオンマイク・セッティングだろうが、弦を引っ張る・弾く時のタッチ感と、響いた後の音色の拡がり~このバランスが実に巧い具合なので、豊かな鳴りでありながらべーシストのタッチ感もよく出ている・・・そんな印象のベース音である。
verveの録音ディレクターは、一般には Val Valentine の場合が多いが ライブ録音では別の人が担当することあるようだ。そういえば「西海岸のライブ録音」で、僕が素晴らしいと思ったレコードをもう1枚、知っている。
Cal Tjader の Saturday Night/Sunday Night At The Blackhawk(verve)というレコードである。
このレコードにも、やはりベースが凄い音で入っている。べーシストは、Freddy Schreiberという他では聞いたことがない名だが、プレイ自体も巧いし、とにかくそのぶっといベース音に痺れたレコードである。
そしてこのAt The Blackhawk のengineerが、これまたWally Heiderとクレジットされているのだ! これは、もう偶然ではないだろう。ベース録音の名手(と、勝手に決め付けた:笑)であるこのWally氏の録音レコード・・・他にもご存知の方、ぜひ教えて下さい。
さて、演奏の方~B面1曲目の my funny valentine に僕はぶっ飛んだ。
ルグランのピアノとスキャットが中央やや左、そしてレイ・ブラウンの・・・本当に芯のある太っとい(ここは「ブットイ」と読んでください:笑)ベース音が、中央やや右寄りから弾き飛んでくる!
この有名な曲・・・ルグランはテーマから全てスキャットである。ルグランのスキャットは・・・う~ん・・・あまり聴かないようにしながら(笑) 右側のレイ・ブラウンのベースに集中する・・・凄い音圧である。一音一音を強くきっちりと弾き込みながら、なおかつルグラウンの繰り出すバロック風アドリブ・スキャットに、余裕の唄いっぷりで対抗してくる。この晩のブラウンはノリノリだったようで、どの曲でも安定感と適度なワイルドさを兼ね備えたバッキングとソロの連発で、どうにも素晴らしいウッドベースを聴かせてくれる。この写真でお判りのように、この「シェリーズマンホール」はバリバリの国内盤である。国内盤で、この音なら、オリジナルならさぞや・・・と想像せざるを得ない僕である(笑)
1968年盤ならラベルはMGM-Verveだろうし、それほどの貴重盤とは思えないのだが、なぜかあまり見かけないような気がする。
ああ・・・ルグランの曲について書いているうちに、レイ・ブラウンの話しになってしまった(笑)

ミシェル・ルグランは、やはりジャズ好きなのだろう。前述の「meets Miles Davis」だけでなく、その後にも、自分の曲をアレンジしてジャズの名手に吹かせたジャズのレコードがいくつかある。

Dscn1721 Bud Shank/Windmills Of Your Mind(world pacific ST20157) arranged by Michel Legrand

録音は・・・ジャケットにスティーブ・マックイーンの顔が入っていることから、たぶん1968~1969年くらいだと思う。ちなみにこのレコードのタイトル:Windmillos Of~は、邦題「風のささやき」で、映画「華麗なる賭け」に使われた曲だったはずだ。

さて・・・このレコードは好きな1枚なのだ。Dscn1722
バド・シャンクの艶やかなアルトの音色が、実にいい録音で入っている。曲によって入るストリングスには少々シラけるが、ブラス陣にもアーニー・ワッツやコンテ・カンドリなど名手を揃えており、そしてベースがレイ・ブラウン、ドラムスはシェリー・マンだ。アレンジは全てルグランだが、どの曲でもブラス群はわりと控えめに鳴っており、それを背景にしたシャンクのアルトにスポットが当たるので、気持ちのいいアルトの音色を堪能できる。 Dscn1723
<The Windmills Of Your Mind>や<Watch What Happens>
<I'll Wait For You>(シェルブールの雨傘)
それから・・・さきほどインスト・ヴァージョンが少ないと言ったばかりだが
<Once Upon A Summrtime>を、この盤でも演っていた。さすがに作曲者自身のアレンジはいい感じだ。バックの音を控えめにして、この曲のチャーミングなメロディを美しく映えるように工夫している。
それにしてもバド・シャンクは・・・音は豊かで太いしピッチも正確だし・・・何を吹いても、むちゃくちゃ巧いぞ。

もう1枚、アルトの名手~フィル・ウッズをフューチャーしたレコードがある。
ルグランはアルトが好きなのかな。Dscn1724
Michel Legrand/Live At Jimmy's(RCAビクター) 1973年録音~
このアルバムもやはりライブ録音である。ベースはロン・カーター、ギターにジョージ・デイヴィス、ドラムスはグラディ・テイト。サックスなしのカルテットでbrian's songやI'll wait for youを演っているが、やはりウッズの入った watch what happens や you must believe in spring の方が楽しめるようだ。you must~でルグランがエレピを弾いているのがちょっと残念だ。

もう1枚、CDを紹介しよう。Dscn1726こちらはだいぶ新しい1993年録音のCDである。
バド・シャンク、バディ・コレット、ビル・ワトラスらをフューチャーした中編成コンボで、ベースはブライアン・ブロンバーグ、ドラムスはピーター・アースキン。自作曲ばかりをコンパクトにアレンジしたすっきりした演奏ばかりで、しかしどの曲もメロディがいいので、楽しめる1枚だと思う。僕はCDを全編通して聴くことはめったにないのだが、このCDはたまにかけると・・・たいてい1枚通して聴いてしまう。

さて、ここでもう一度、ビル・エヴァンスを登場させないわけにはいかない。
思うに・・・エヴァンスは、ルグランの曲を相当に好きだったようだ。モニカ盤でも once upon a summer time をしっとりと実にいい感じで伴奏していたし、自分のリーダーアルバム~Montrex Ⅲ(fantasy 1975年)でも前述の<The Summer Knows>をベースのエディ・ゴメスとのデュオで演奏している。
この<The Summer Knows>は「おもいでの夏」という邦訳にもなっている。
この曲は・・・本当にルグランの傑作だ!
囁くように始まるメロディ・・・どことなく寂しいような雰囲気が漂う。海辺の空が暗い雲で覆われているような感じだ。そしてその同じメロディがしばし続くと・・・空気感が微妙に変化する。曇り空の切れ目から光りが差してきたような・・・まさにそんな感じなのだ。(実はこの時、全く巧妙にハーモニーが「短調から長調」へと、すり変わっているのだが、ルグランの凄いところは、そういう手法が技巧だけに終わっていないことだと思う)
そしてメロディは徐々に盛り上がる・・・とはいっても大げさに盛り上がるわけでもなく、抑制感をもって徐々に高まってくる・・・しかしその静けさの内側には、溢れんばかりの情熱が感じられる・・・そんな気配を感じる素晴らしいメロディの展開なのだ! 

そんなエヴァンスが、大好きだったであろうルグラン曲がある。
<You Must Believe In Spring>である。
これも寂しげな気配の曲で、なにか人生の黄昏(たそがれ)みたいな・・・しかしそこにはしみじみとした情感が溢れている・・・そんな雰囲気を感じてしまうのは僕だけだろうか。
エヴァンスは、リーダーアルバム~You Must Believe In Spring(warner 1977年)を残しているが、実はこの曲・・・1年ほど前にトニー・ベネットとの共演で吹き込んでいるのだ。たぶん・・・エヴァンスはこのルグラン曲を、ベネットとの吹き込みで、気に入ったのだろう。
Dscn1720

Tony Bennette & Bill Evans/Together Again(improv)1976年録音


このTogether Again・・・どの曲も素晴らしいが、特にこのYou Must Believe Springは絶品だと思う。このデュオは・・・心に沁みる。どちらかというと声を張り上げ歌いこむ・・・というイメージのベネットだが、このルグランの名曲では、意外なほど声量を抑えている。ぐぐ~っと力を込めて声を抑え込んだような~ただ力を抜くのではなく、全身全霊を持って声量をコントロールしているようなピアニシモ~そんな囁(ささや)くような歌い方で、この曲の繊細なメロディを浮き彫りにしている。そのベネットの気迫に、エヴァンスも一歩も引かない。短いがこれまた気迫のこもったソロでベネットに応える。だいぶ前の<夢レコ>にもチラッと書いたが、このエヴァンスとベネットのデュオは、本当に素晴らしい。一流の腕を持った2人の武士が、間合いを計りながら静かに対峙しているような・・・そんな風情を感じさせる格調の高いヴォーカル盤である。僕はこのレコードで「ヴォーカル」というものに開眼したとも言える。そのくらい「唄心」というものを感じるレコードだ。

ルグランのメロディには、いつもちょっと寂しげな感じと、しかしそこはかとなく流れる温かみ・・・そんな感じがあり、どの曲も情感に溢れている。ヨーロッパの香りというか・・・クラシック的ロマンティシズムというか・・・とにかく、メロディがキレイなのである。そしてそのメロディを支えるハーモニー(和音)の進行が、これまた見事なのである。
他にもルグラン曲にはいいものがあるので、以下に記事中の曲も含めて、曲名だけ挙げておく。
<what are you doing the rest of your life?>
<how do you keep the music playing?>
<Brian's song>
<once upon a summer time>
<the windmilles of your mind>(風のささやき)
<the summer knows>(おもいでの夏)
<you must believe in spring>
<I'll wait for you>(シェルブールの雨傘)

・・・今回、僕はたまたまミシェル・ルグランを挙げたが、「好きだ」と感じるメロディやハーモニーは、もちろん人それぞれだろうし、全くそれでいいのだと思う。
だから・・・世評だけに囚(とら)われるのではなく、自分自身が聴いてみて「好きだな」と感じとることのできた作曲家やミュージシャンが少しづつ増えていくこと・・・それは、音楽を聴いていく上でとても大きな楽しみなのだと、強く思うのだ。
そういえば・・・「シェリーズ・マンホール」で触れた、Wally Heiderという 録音engineer氏のことも、僕なりの「新発見」かもしれない。だから・・・ちょっとうれしい(笑)

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2007年6月10日 (日)

<やったあレコ 第9回> Virgil Gonsalves(nocturne) と Jazz On The Bounce(bel canto)

カラー盤の磁力には、どうにも逆らえない。

ここに1枚のレコードがある。Dscn1701

Nocturne盤:Virgil Gonsalves Sextet・・・10インチ盤である。
この25cm四方のジャケット。
爽やかな青色のヴィニール。
銀色のセンターラベル。
このレコードを見て「いいなあ・・・」と思わない方がこの世に存在するとは思えない(笑)
もちろんこれは単に僕の思い込みからくる妄想なのだが、まあ「1枚のレコード」が手元に置いてあるだけで、
これくらいうれしくなってしまう人間もいる、ということを言いたいのだ。

レコードは・・・もちろん「音楽」を楽しむためのツールだ。だからそこから音さえ出るのであれば、それがCDだろうとカセットテープだろうと、それからFM放送であっても構わないはずだ・・・とアタマでは思う。「音楽を楽しむ」という観点だけに立てば、その方が正論だろうと思う。だがしかし・・・趣味の世界では、事が正論どおりに動くわけではない(笑)
「レコード好き」にとっては、音源だけが重要なのではなく・・・その盤がそこにあり、それを眺めたり触ったりできることも、これまた重要なのである。
ここで、大きく頷(うなず)くような方にとっては、やはり・・・「レコードは単なるツールではない」ということなのだ。「レコード盤」というものは、ヴィニール~その厚さや重さの按配、センターラベルやジャケット~その図柄や紙の質感、そして二オイ・・・そんなもの全てが合わさって完成するひとつのプロダクツなのである。どちらが欠けてもダメなのだ。レコード好きは、絵(ジャケット)も音(盤)も欲しいのだ。
「レコード好き」は、間違いなくあの「モノの感じ」そのものが好きなのである。そうして、そのモノからは「音も出る!」・・・凄いじゃないですか(笑)

もちろん、レコードにはcopyという表現も使われるくらいで、たくさんの同じものが世に出回るわけで、オリジナルが1枚だけの絵画や彫刻とは、とても比べられない。しかし、そんな数あるcopyであっても・・・年月が経てば、やはり痛んだり壊れたりして・・・その数が減っていく。だから・・・ある種のレコードというものは、大げさでなく文化遺産と呼べるのかもしれない。

この10インチ盤の裏ジャケットを見ると・・・左上の余白に”May 1st,1954”と書き込みがある。たぶん、このレコードを買った人が残した購入日のメモだろう。 Dscn1700_1
1954年の5月1日。
1954年かあ・・・と思うと、いろんな想像が湧いてくる。50年以上も前に・・・ジャズ好き青年が・・・たぶん土曜の午後あたりに・・・西海岸のレコード店で・・・このレコード「ヴァージル・ゴンザルヴェス」を手にとり・・・この青いヴィニール盤にココロ奪われて・・・衝動的に買ってしまった・・・そうしてこのレコードを仲間達と聴きまくったのだろう・・・。
僕は、つい、そんなことを考えてしまう(笑) そうして・・・「その時のレコード盤」が、今、ここに・・・僕の手元にあるということが、うれしいというよりもなにかしら不思議な感じがする。
どうやら僕は、他の10インチ盤には感じない「何か」をこの盤には感じているようだ。それが・・・この青色ヴィニールと銀色ラベルとの絶妙なマッチングからなのか・・・あるいは、ノクターン(Nocturne:夜想曲)という名前から湧き出る魔力のせいなのか・・・よく判らない。

Dscn1702_2 さて、演奏の方はというと・・・このヴァージル・ゴンザルヴェスという人、わりと淡々と吹き進むバリトン奏者のようで、だから・・・片面3曲、全6曲聴いても、「う~む・・・」と強く印象に残るということもなく、淡々と片面が終わってしまう・・・そんなレコードである。名前から想像するに、なにやらサージ・チャロフのような激情的なもの~急に大きな音で吹いたり高音をきしませたり・・・嫌いではないのです(笑)~を期待していたので、意外な淡白さにちょっと肩透かしを食ったような感じもある。そしてこのレコードでは、どの曲もわりと軽快なミディアムファースト(ちょっと速めのテンポ)なので、ちょっと単調な感じも受けるのだが・・・yesterdaysだけは、ややテンポ遅めのバラード調で演奏されているので、ゴンザルヴェスの「唄い」がじっくりと味わえる。
テナーのバディ・ワイズは、どの曲でも悪くない。タイプとしては、ソフトな音色で、無理なくスムースに吹く感じで、そうだな・・・ズート・シムズのようなタイプだと思う。bounce,too marvelous for wordsでのソロはとてもいい。
<このnocturneの10インチ盤~ブログ仲間のNOTさんも紹介している。NOTさん手持ち盤も「青盤」とのこと。そうは出てこないノクターンの10インチ盤、その2枚の個体が共に「青盤」となると・・・ひょっとして、このNLP-8番~Virgil Gonsalvezには青盤しか存在しないのでは?という乱暴な推測も成り立つ。どなたか「黒盤(あるいは他の色の盤)をお持ちの方・・・ぜひコメントにて情報をお寄せください>

10インチの次は7インチでいこうか。
Barney Kessel/Barney Kessel(contemporaryの7inch2枚組)である。
Dscn1708_3 カラー盤というのは、もちろんfantasyには一番多いはずで、contemporaryにはそれほどカラー盤はない、と思っていたので、この7inch赤盤を見つけた時は、ちょっと新鮮だった。
バド・シャンクがフルートやアルトで参加している1953年(11月と12月に4曲づつ録音:全8曲~tenderly,just squeeze me,lullaby of birdland,what is there to say などを演っている)の作品である。
以前からこのブログ<夢見るレコード>では、いくつかの7インチ盤を取り上げてきたが、もちろん全ての7インチ盤の音がいいというわけもなく、たいていはカッティングレベルが低かったり、それよりもまず盤質自体が良くないことが多いのである。だから・・・7インチ収集にも辛いものがあるのだ(笑)
Dscn1710_1  幸いにして、このcontemporaryの赤盤2枚組は、盤質もまずまずで、そして音の方も(もちろん演奏の方も)よかったのだ。ケッセルのいかにも張りのあるやや堅めの強い音がクリアに響く。ベース音やシンバルの鮮度感も充分だ。ギターが主役のセッションなので、ピアノ(アーノルド・ロス)はやや引っ込み気味に録られているようだが、音色もタッチ感も悪くない。そして、シャンクのアルトも骨太に鳴る(I let a song go out of my heart) Dscn1709
・・・と、まあいろいろと言ってますが・・・7インチのカラー盤というのは、パッと見た瞬間に、なにかしらキュートな感じがして・・・要するに・・・それが悪くないわけでして(笑)

追記~この記事をアップ後、下記コメント内のやりとりの中で、SP-EP-10inch-12inchという規格の話しに及んだ。それらがどんな変遷をしたのか、またその価格はどんな具合だったのか・・・早速、この疑問にお答えいただいたshaolinさんが、お持ちの貴重な資料を氏のブログにて公開してくれました。ぜひご覧ください。実に興味深い!

もう1枚だけ、僕が大事にしている「カラー盤」を紹介しよう。
Jazz On The Bounce(bel canto) というレコードだ。これも「青盤」である。

    <Bel Cantoというレーベルについては・・・少し前にブログ仲間:67camperさんが、ヴォーカルのフラン・ウオーレンを紹介した時、一部でちょっと盛り上がった(笑)
bel cantoというレーベル~ジャズというよりポピュラー寄りのレーベルだったらしいが、どうやらカラー盤を特色としていたようで、青色だけでなく緑色やら黄色など、いろんな色ののカラー盤があったらしい。
このSR1004は、僕の持っている唯一のbel canto盤である>

Dscn1705_4このジャケットは・・・少々、濃いかな(笑)
アクの強い美女がとろ~んとした目をしてこちらを見ている。胸元もセクシーである。アメリカのレコード好きは、こういうセクシーな感じのジャケットのことをcheesecakeと呼んでいるようで、人気もけっこうあるらしい。
ソフトな方では、例えばcapitolのジョージ・シアリング辺りの美女カヴァー辺りでも、cheesecakeと呼ばれたりすることもあるようだ。だとしたら・・・僕も、cheesecakeジャケットは、もちろん嫌いではない(笑)
しかしながら、このbel canto盤、ジャケットだけに見とれていてはいけない。
内容の方も相当にいいのである。
A面~Curtis Counce Quintet 3曲
B面~Buddy Collette Quintet 3曲
という構成なのだが、このbel canto盤には、メンバーのクレジットがない。
A面のカーティス・カウンスの方・・・テナーがハロルド・ランドであることは間違いないと思うのだが、
トランペットがよく判らない。ジャック・シェルダンか、あるいはステュ・ウイリアムソンなのか?
レコード・コレクターズ1985年7月号の「エルモ・ホープ」記事(佐藤秀樹氏)によれば、このA面3曲は、どうやらExploring The Future(doote)の別テイクらしい。だとすれば、これらは、1958年4月録音で、テナーはハロルド・ランド、ドラムスはフランク・バトラー、そしてピアノはもちろんエルモ・ホープ。そしてトランペットは・・・ロルフ・エリクソンなのである。Dscn1706_1

このレコードを聴いてみて、ちょっと驚いたのは・・・録音が1958年ではあるが、ステレオ録音だったことだ。
そして、楽器の定位こそ~ピアノとテナーは左側、ベースとドラムスとペットは右側(テーマの時だけはなぜか左側)で、中央には誰もいない感じ(笑)~という初期ステレオにありがちな、ちょっと片寄ったバランスではあるが、全体の音質や各楽器の音色が実にいいものだったことだ。
ドラムスのシンバルやらスネアもクリアに抜けているし、サックスもソフトで艶やか、そしてピアノのタッチにも充分な力感があるので、エルモ・ホープが気合を込めて強く叩いたような高音のタッチも気持ちがいい。
ベースも、右チャンネルから豊かなサウンドでたっぷりと鳴っている。ただ、このベース音はちょっと低音を強調したような感じもあり、やや膨らみすぎかもしれない。いずれにしても、この頃のカーティス・カウンスは・・・というより、ハロルド・ランドは実にいいのだ(笑)この人、イメージはソフトだが、テナーの音色自体は案外にシャープだと思う。そのシャープな音色でもって、どんな曲においても、決してゴツゴツしないスムースなノリで吹き進めてくる。8分音符のフレーズが滑らかで柔らかというか・・・聴いていてアドリブがとても自然なのだ。
やはり・・・凄く巧いテナー吹きなのだと思う。そうして、この人がじっくりと吹くバラードは、本当に素晴らしいのだ。time after time(Land Slide)や I can't get started(Carl's Blues)は、バラードの好演だと思う。
<このCarl's Blues については、ワガママおやじさんのブログ<ヴィニール・ジャンキー>でも話題になったばかりである。渋いけど本当にいいレコードだと思う>

まったく・・・世の中には、素晴らしいジャズレコードが、まだまだいっぱいだあ!(笑)

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2007年4月20日 (金)

<ジャズ回想 第10回> ああ・・・この音だ。Yoさん宅、再・再訪記(その1)

いくつかの聴き比べを交えて「音楽」に浸った9時間。

推測だが・・・ジャズ好きという人種は「偏屈」である。もちろん、僕も例外ではなく、どちらかといえば狭い人間関係の下で生きている(笑) ところが、この3年ほどか・・・九州の新納さんの田園の中のレコード店~Ninonyno(ニーノニーノ)さんのBBS「こだわりの杜」に顔を出すようになって、そこでのやりとりを通じて、ジャズのお仲間が増えてきた。その後、このブログ<夢見るレコード>も始めて、さらに多くのジャズ好きの方と知り合うことができた。このごろでは、「杜」のお仲間と「ミニ杜」と称してオフ会的に集まったりもする。持ち寄ったレコードを聴いたり、しゃべったりしていると、本当に楽しい・・・そうして、判ったことがひとつある。「ジャズ好きはジャズ好きと語りたい」のである(笑) そして「オン/オフ」に係わらず、「語り合えるお仲間」がいるということは、素晴らしいことだ。
そんなお仲間のYoさんとは、たびたびジャズ話しのメールやり取りをしている。たいていは、最近入手して気に入ったレコードとか、逆にそうでもなかったもの、あるいは再発ものなどでも、やけに録音がいいと感じたものとか・・・そんなレコード話題である。レコードやミュージシャンに対する好み、あるいは録音に対する好み・評価などは、合ったり合わなかったりなのだが、そんなやり取りをしていると、「聴き比べてみたくなる盤」が、次々に浮上してくる(笑)
例えばこんな具合である。ある時、ラウズ~モンクのことから話しがグリフィン(リヴァーサイドの「ミステリオーソ」(nutty)に及んだ。
Yoさん~「モンクとやっているグリフィンは、緊張しているせいか大人しい」
bassclef~「いや、そんなこともない。いい感じでノッてるのでは」
お互いに「そうかなあ?」そして再聴してみるのだが、やはり意見は変わらない。それも伝える。またまた「う~ん・・・変だなあ」
その「ミステリオーソ」・・・双方の手持ちの盤は何なのかな?
う~ん・・・それじゃあ、ひょっとしたら録音の感じが違うかもしれんぞ(特にリヴァーサイドだから:笑)じゃあ、ぜひ聴き比べてみよう!・・・てな感じなのである。
Yoさん~Misterioso(riverside)黒・ステレオ《下の写真2点はYoさん提供》MisteriosoMisterioso_l

Dscn1691

《左写真:bassclef~Misterioso(riverside)青・小・モノラル》

この「ミステリオーソ」の聴き比べについては、すでにニーノニーノさんのBBS「こだわりの杜」に書き込みレポートをしたので、その書き込みを以下に再掲させていただきます。

モンク/ミステリオーソ(riverside)~
これは「モンクとのグリフィンはおとなしい感じ」というYoさんの印象~[ミステリオーソでは頼りなげに聴こえるんです。録音の所為かもしれません。モンクのピアノが強く明確に録られているので余計に音の小さなグリフィンがそのように聞こえるのかもしれません。ステレオだと左隅で小さくなって吹いているように聴こえます。(モノとステレオの違いも有るのかも?)]というYoさんと「いつものグリフィンだと思う」というbassclefのメールやりとりから、Yoさん手持ちの<黒・小・ステレオ>とbassclefの<青・小・モノラル>を、ぜひ比べてみよう!という経緯があったわけです。
曲はlet's cool one にした。この曲、途中でモンクらがバッキングを止めてしまい、完全にグリフィンのテナーだけになる辺りがスリリングだ。メロディがチャーミングで、モンク曲の中でも特に好きなのだ。
先に[黒・小・ステレオ]から~
聴き馴染んだあのメロディが始まる・・・ところが、グリフィンが左の方、それもかなり遠い。確かにYoさんの印象どおりで・・・・他の楽器とのバランスからいっても、かなり小さめだ。これは・・・「おとなしいグリフィン」になってしまっている(笑)これを聴いたのなら・・・たしかに「モンクに遠慮でもしているのか?」と感じてしまうだろう(笑)Yoさんに「う~ん・・・(なぜグリフィンが大人しい・緊張?と感じたのか)これで判った」と言う僕。Yoさん、ちょっとホッとしたような表情。
続いて[青・小・モノラル]~いきなりのピアノのイントロから音が元気だ。カッティングレベル自体もモノラルが高めにしてあるようだ。
そして・・・グリフィン。中央から太く、そして大きな音量バランスでテナーが鳴り始める。Yoさん「全然、違う!」さきほどホッとしたYoさん、今度は、モノラル盤の「粋のよさ」に、少々、悔しそう(笑)
どちらかというとステレオ派(特にライブ録音では)の僕でも、こうして続けて聴くと・・・この「ミステリオーソ」に関しては、モノラル盤の方が「音楽」が
楽しめる。う~ん・・・モノラルも悪くないなあ(笑)
それにしても解せないのが、この黒・ステレオ盤は、裏ジャケにray fowlerもクレジットされており、例の「変なステレオ3D図面」もある。
そして僕が聴いてきたステレオ盤(昔のポリドールの2枚組monk's world)でも、こんなに「遠いグリフィン」ではなかった。戻ってから聴いたファイブスポット未発表テイクでのグリフフィンも、中央やや左から、もっと大きなバランスで元気に鳴っていたのに・・・。この「黒・小・ステレオ盤」では、フォウラーが、意図的に、テナーを抑えたバランスでのミキシングをしたのかなあ・・・?当時のriversideは、ちょっと変則で、あるセッションなりライブの際、モノラル用の録音とステレオ用の録音を「同時に」やってしまったらしい。ミキシングで各楽器の位置、音量を「変えて」しまったのかもしれないし、録音の際の「マイクの位置取り」において・・・モノラル用の方にアドヴァンテージがあったのかもしれない(笑)
いずれにしても・・・モンクのファイブスポットは、本当にいいライブです。僕はもう大好きなレコードで、これでベースがアブダリマリクでなく(もちろん悪くないのですが)ウイルバー・ウエアだったらなあ(笑)と隣のkonkenさんに洩らした僕でした。



レコードというのは、普通は~普通でない場合ももちろんあるでしょうね(笑)~なかなか同じタイトルのものを何種類も集めない。しかし、そのレコードに「ラベル違い」があることが判っていて、しかもお互いの手持ちの中でそれらが揃ったとなると・・・これはやはりその「ラベル違い」で、どんな具合に音質が違うのか、あるいは違わないのか?  そんなことを知りたい気持ちになるのも、レコード好きとしては無理からぬことだろう(笑)
さきほどの「グリフィン」と同じ経緯で浮上してきたここ最近の「聴き比べ候補盤」あるいは「お勧めの好録音盤」(ほんの一部)を以下に挙げてみる。

Lorindo Almeida/~Quartet(pacific:PJLP-7) 10インチ盤~[ラベルの艶:有り/無し]
Stan Getz/~Plays(clef:10インチ盤)と ~Plays(norgran:12インチ盤)と 同音源のEP盤(EP-755)
Oscar Peterson/We Get Requests(verve)~このレコードは、MGM-VERVEのT字ラベルなのだが・・・「モノラル溝あり」と「ステレオ溝あり」と「ステレオ溝なし」の3種あることが判ったので、それもぜひ聴き比べてみよう!とあいなった(笑)
(以下は、bassclefの思う好録音盤として)
Frank Rosolino/Free For All~[米specialty盤とセンチュリー国内盤]
Thelonious Monk/Blues Five Spot(milestone/ビクター)
Bill Evans/Time Remembered(milestone/ビクター)この2タイトルは共に
1982年頃発売されたriversideの未発表音源だ。

こんな具合に「聴きたい盤」が増えてくると、どうしても集まりたくなる(笑) そんなわけで半年振りにYoさん宅におじゃますることになり、今回はkonkenさんと2人で藤井寺に向かった。早めに出たのだが、関~伊賀辺りが事故渋滞で、そこを抜けるのに1時間以上もかかってしまった。トンネルの途中で止まってる時など~まだこの先、何時間待たされるかも判らないので~せっかちな僕は「チャンスは今日だけじゃない・・・」と、あきらめかけたりしたのだが、konkenさん「ここまできたら絶対に行く!」と力強い一言。じゃあ、ってんで、覚悟決めて、あれこれとジャズ話しなどして渋滞の苦痛を耐え忍ぶ二人。いいかげんイヤになってきた頃・・・天は我々を見捨てなかった(笑) 伊賀の「加太(かぶと)トンネル」を出ると、とたんに渋滞が消えたのだ。二人とも「やったあ!」 後はもう、飛ばすに飛ばす(笑)
そうして 11:30頃にはYoさん宅に到着できたのである。よしっ、これでまた「あの音」が聴けるぞ!

左側に手すりのついた、ちょっと急なこの階段を上り始めると・・・そういえば昨年の秋、この部屋に14人も集まったのだなあ・・・と懐かしいような気持ちになる。あの時は先に到着していたパラゴンさんが「ヴォーカル特集」を展開しており、階段の途中で漏れ聞こえてきたのは・・・キャロル・スローンだった。スローンのOut Of The Blue(columbia)からの・・・deep purple~イントロ部分での、弦を使ったちょっと不協和音のようなアレンジが特徴的なあの曲~が流れていたように記憶している。もっともこういう記憶は、後から自分の中で勝手に脳髄インプットされたりもするので、アテにはなりません(笑)
*10月の「大阪・神戸・秋の陣」会の模様は、拙ブログ記事に長々と書いてあります。こちらからどうぞ。

さて・・・今回の3人会は、ラウズ3連発から始まった。ラウズから始まり、そのまま「テナー特集」と化し、次に「聴き比べ」をやり、インストばかりではちょっと厭きるので、「ヴォーカル」や「ピアノトリオ」を混ぜ、再び「聴き比べ」。その後、ちょっとだけクラシック。それからアルトで、またヴォーカル・・・そんな感じで、実にいい按配に、次々と「音楽」が流れていった。ひとつの曲が終わると、短くその感想を言い合い、そして次にかけるレコードを取り出す・・・時間がどんどん経っているようでもあったが、3人とも休む素振りを見せない。そして・・・全く疲れない。まるで名手の吹く自然なアドリブのようではないか(笑)

YeahYoさんが最初にかけたのは、チャーリー・ラウズの Yeah!(epic) からyou don't know what love is。普通はバラードで演奏されることの多いyou don't know だが、ラウズは、あえて最初からベースがゆったりテンポの4ビートを刻むリズムを選んだようだ。そして、ペック・モリソンの強くギザギザしたような音色が、目の前のスピーカーから弾んだ瞬間・・・「ううっ。これは凄い!」と僕:bassclefは、 唸ってしまった。右隣に座ったkonkenさんも、やはり「うう・・」とスピーカーの方を見つめたままだ。

《上下の写真2点ともYoさん提供》
Yeah_l前回、レコードによっては響きが膨らみすぎる場合のあった、ウッドベースの音が見事に締まっているのだ。いや、充分に存在感を感じさせながら、わずかに引き締まった感じになっているようなのだ。ペック・モリソンという人の参加レコードはそれほど多くないと思うが、そのいくつかのレコードで、音の大きそうなガッツあるタイプのべーシストだとは感じていたが、正直に言うと、ここまでペックモリソンが「凄い」と感じたことはなかった。
「凄い」というのは・・・なんというか、ペック・モリソンというべーシストの「音が大きい」ことが判るだけでなく、その一音一音に込める気合やら、ベースで紡(つむ)ぐライン全体の迫力・・・そんなものまで「判って」しまったという意味なのだ。
いかにも音が大きそうで太くて重くて、ちょっとギザギザしたような独特なモリソンの音色。心持ち、弾むようなビート感が心地よい。彼の刻む4ビートが見事にゆったりと、しかし決して鈍重にはならずに「音楽」を支えている。それに乗っかって、ラウズのテナーが深く沈みこむような音色でもって、自分の唄を吹き進んでいく。それから、デイブ・ベイリーの重心の低いドラムス。
それらがしっくりと溶け合った実に感じのセッションではないか。たぶん「音色」の相性までもがよかったのだろう。Yeah!という作品は・・・本当に傑作と呼んでもいいだろう。

そういえば、ラウズのテナーも、このEpic盤:Yeah!では、実に魅力的な音で録られているように思う。前々回の<夢レコ>では、ラウズの音色を「深い」と表現したが、Yeah!でもやはり・・・深い。その深さにさらに落ち着きが増して、どっしりした重さも加わっているような感じなのだ。
そのラウズのテナーの音色が、面白いことに、同じ時期の2枚のEpic盤~[Yeah]と[We Paid Our Dues]とでは、微妙に違っていたのだ。レーベルが同じでも「同じ音」と決め付けてはいけないようだ(笑)
以下、その比較の印象を少しだけ。(jazzlandのTakin' Care~も参考として聴いてみた)

Yeahの方~深みと重み、それに渋みがブレンドされたような音色。豊かに響く。ラウズは元々、わりとサブトーンを使うので、音色の輪郭自体も丸みのある方だが、やや膨らみ気味かもしれない。だがしかし、僕はラウズに関しても、Yeahでの音色の方が好みのような気がする。

We Paidの方~(Yeahに比べると)音色自体もちょっと締まり気味で、サブトーンなどの響きの余韻を程よく抑えたような感じ。だから・・・ラウズが少しだけ知性的になったような感じがする(笑)

Takin' Care(jazzland) からpretty strange ~この盤では、再び「膨らみ気配」のテナーになった。サブトーンの余韻もやや強調気味か。もちろん悪い録音ではないのだが・・・2枚のEpic盤の~両者共にどうにも魅力的なテナーの音色だった~直後に聴いたこともあり、「あれ?」という感じがするくらい「普通」のテナーの音に聞こえてしまったことも事実だが、まあそれくらいYeah!の録音が素晴らしいということだろう(笑)

・・・・・ラウズ3連発を聴き終えると・・・このYeah!を初めて耳にしたらしいkonkenさんも「ラウズも、いいねえ」と嬉しそうだ。
ハロルド・ランドやテディ・エドワーズ、それからこのラウズ・・・独りでじっくりと吹かせると実にいい味を出すタイプだと思う。その手のテナーのちょっといいレコードも、この後でかかることになる。

さて・・・今回は、いきなりの「驚愕のベースサウンド」で始まったので、その後かけたいろんなレコードのそれぞれのべーシスト達の「音の印象」を少しまとめてみたい。

《We Paid Our Dues(epic)黄・モノラル。写真2点ともYoさん提供》
We_paid_lWe_paid









ラウズ2枚目のレコード~We Paid Our Dues(epic) からは、バラード:when sunny gets blueを聴いた。 

~ラウズとセルダン・パウエルが3曲づつ分け合っての1枚。交互に1曲づつ配置されているとのこと。ラウズの3曲は以下。
When Sunny Gets Blues
Quarter Moon
I Should Care
2曲のスタンダードなど、とても趣味のいい選曲だと思う。気になるペック・モリソンの名が、なぜかパウエルの方のセッションに載っている(笑)

この曲でのべーシストはレジー・ワークマンであった。(このレコードでの)ワークマンは・・・ベースの音色がもうちょっと下の方に伸びたような感じ。音色の説明はとても難しい(笑)そうだな・・・ビル・エヴァンスのExplorations(riverside)でのラファロのベース音に近い感じかな。ワークマンもラファロと同じく一音一音をグウ~ンと伸ばすビート感を持つ弾き手だ。このレコードでも「巧いべーシスト」の音色だったが・・・その音量はたぶんペックモリソンよりも小さい。そして、ラウズのテナーのもっさり感には・・・ペック・モリソンの方が「相性」がいいように感じた。
いずれにしても、さきほどのペック・モリソンとはおもしろいように「音」が違う。いや・・・「音が違うことが判る」のだ。そしてそれは、それぞれの奏者にそれぞれの「個性」がある~そんな当たり前のことを、もう理屈ではなく目の前の音から確認できるということなのだ。
2人のベース奏者を比べただけでも、こんな風に「個性の違い」が見えてくる・・・これは面白いですよ(笑)
もちろん演奏の良し悪しや録音の具合によって、その「表われ方」に微妙な差はあるかもしれないが、音量・音圧、そして音色、そんなその奏者の「真実」を、そこにあるスピーカー(の間の空間)から感じとることができるのだ。聴く方には面白いが、演奏者には「怖い」ことだろうなあ(笑)
ちなみに、サックスやピアノは違いが判るが、ベースやドラムだと判りにくい・・・とよく言われるかと思う。管楽器やピアノの場合だと、その主役の吹くテーマやアドリブを聴き込めば(そして身体で覚えてしまえば)音色やら(特徴的な)フレーズなどから、各奏者の違いを聴き分けやすいのかもしれない。その点、たしかにベースが主役のソロイストとして、メロディーを弾いたり、アドリブを弾きまくることは少ない。しかし・・・僕は、ベースやドラムスの場合でも全く同じだと思う。ベースならその(好きになった)べーシストの演奏(ライン)を意識して、ある程度まで聴き続ければ、終いには「その奏者」のクセを身体が覚えてしまいます。そうなれば何かのレコードをメンバーを知らずに聴いたとしても「あれ?この弾き方は・・・」てな感じで「その奏者」だと、判るようになったりします。(もちろん判りやすい奏者と、そうでない奏者がいますが)
そうして、そんな「耳」(意識)になってくると・・・オーディオの「素晴らしさ」そして「怖さ」は、よりいっそう増すのかもしれない。

ベースの音がいいねえ・・・という感想をkonkenさんと言い合っていると、Yoさんが次なるレコードを繰り出してきた。
ソニー・ロリンズ/A Night At The Village Vanguard(bluenote)~UAラベルだったかな?~から softly as in a morning sunrise をかける。
*訂正~このbluenote盤は<RVG刻印ありのリバティー・モノ盤>でした(Yoさんコメント参照)

強烈な引っ張り力でウッドベースという楽器を雄大に鳴らしているであろうウイルバー・ウエア。
そのベース音は、ガット弦の特徴でもある、音色のエッジが丸く膨らみながら低い方に伸びるような音色だと思う。そのウエアの大きな音像が、充分な膨らみを持ちつつ、切れ味ある鳴りっぷりだ。
この曲でのエルヴィンはブラシで通すが、時にアタックを効かせたエルヴィンのバスドラが、コンパクトにドシッ!ドシッ! とすっとんでくる。乾いたいいドラムスの音だ。この頃のエルヴィンは、まだまだ端正な感じだ(笑)
僕は、もちろんこの「ヴィレッジ・ヴァンガード」は大好きなレコードで、以前にも記事にしたのだが、実は、このライブ盤の音については、ちょっとひずみっぽい雑な録音だと思っていた。しかし、このリバティ・ラベル盤は、ドラムもべースも、そしてもちろんロリンズのテナーも、いい具合にすっきりした、そして実にいい音だった。
以前からYoさんの装置では、ベースがよく鳴る。充分すぎるほどの音量・音圧がベース好きの僕にはうれしくなるようなサウンドだった。ただそれがゆえにレコード(その録音バランス)によっては、どうしてもベースが出すぎ・膨らみすぎの感じもあって、Yoさんももちろんそれを自覚されており、今回は、その辺りも調整をしてきたらしい。どこをどうしたとかは、例によって尋ねもしなかったが・・・出てくる音~その低い方から中音・高音のバランスは~さらに「いい方」へ(少なくとも僕の耳には)変わっていたのだ。
「ベースの音色」で言うと・・・低い方での響きの輪郭の広がり具合が2割くらい締まってきて、そのことで、ベースのライン(弾いている音程)が、より鮮明になってきた。「ベースの抜け」がぐんとよくなったのだ。特にウイルバー・ウエアとかジョージ・デュビュビエらの「大きく太く鳴らす」タイプのベースラインが、見事に「抜けた」ように感じる。今、思うに・・・どうやらYoさんは、「ベース音像膨らみの絞り気味調整」~その仕上がり具合を、ベースにうるさい僕に聴いて(聴きとって)もらいたかったのかもしれない(笑)

そして、ベースの音色の輪郭がややスリムになったことで、さらによくなった(と僕が感じた)のは・・・ドラムスなのである。実はベースの低い方とドラムスのバスドラ(右足で踏む大きい太鼓。直径が一番大きいので「ドン!」と低く鳴る)は、実際の演奏においても、わりと「かぶり」やすいらしく、バスドラがドン、ドンと大きめな音量で鳴ると、その瞬間(バスドラの響きの余韻が残っている間)自分で弾いているベースの低音が聞き取りにくくなることがあるのだ。そのバスドラが、以前よりすっきりしてきたようだ。バスドラ、ベースの中低音~その辺りの景色が、霞(かすみ)が晴れたように、クリアに浮かび上がってきたのだ。
そしてなぜか、ハイハット(左足で踏む~シンバル横向きに上下2枚に合わさったやつ。「ッシャ!ッシャ!」と鳴る)の音も、前よりくっきりと感知できたのだ。いや、以前ももちろん聞こえてはいたが、今回聞いたハイハット・・・シンバルの厚みというか・・・重みのある「ッシャ!」になっているのだ。特に冒頭でかけた、Yeah!(ドラマー:デイブ・ベイリー)とこの辺りは僕の錯覚かもしれないが・・・低音域のややかぶり的な要素が取り払われたことで、もともと鳴っていた中高音辺りのハイハットも、より実在感のある「鳴り」として浮かび上がってきたのかもしれない。あるいは、この「ハイハット」については「弦の艶が出てきた」ことと~ちょっと前の「杜」に、そんなコメントがあった~関係があるのかもしれない。
いずれにしても・・・ベースが豊かな響きはそのままに、よりタイトに少しスリムに(このことで、僕などはベースの音色により色気みたいなものを感じた)、しかもドラムスの方もぐっと見晴らしがよくなり、バスドラ、ハイハットもくっきりと浮かび上がる! これは・・・リズムセクションの動き・具合までじっくりと聴きたいジャズ好きには・・・もうたまらなく魅力のある音だったのだ。

~「じゃあ次はちょっと新しいエルヴィンだあ!」とkonkenさんが取り出したのは・・・
Elvin Jones/ Polly Currents (bluenote)liberty から Mr. Jones。
《写真2点はkonkenさん提供

Polly_currents_2 これは1968年だったかの録音で、だいぶエルヴィンの音が荒々しくなっている。テナーが凄い。このレコードには2人のテナー奏者がクレジットされていた。ジョー・ファレルとジョージ・コールマンだ。僕はジョー・ファレルはけっこう好きなので、初期のメイナード・ファーガソン時代のルーレット盤なども聴いていているが、なかなかワイルドな凄いテナー吹きだと感じている。長いソロを取るテナーがジョー・ファレルだろう。どうやらこの曲ではファレルだけがソロをとっているようだ。Polly_currents_label

エルヴィンのドラムス・・・この頃の録音になると、先ほどの1957年録音のコンパクトに締まった音とは、だいぶん違う。まず全体にドラムス(正に複数形のドラムスでないと感じが出ない)の響き全体がバカでかい!(笑)
スネアやらバスドラが、いちいち「ドカン!」「ドカン!」と鳴り響いている。いいんだもう・・・何でも。エルヴィンなら・・・許す(笑)
3人で豪快な鳴りのエルヴィンを堪能しました。しかしこの時代のエルヴィン・バンドのべーシスト~ウイルバー・リトル~は大変だったろうな・・・。さすがにエルヴィンが大きく鳴らしている時には、その響きに隠れがちだったが、それでもあのうねり・あの響きの中で、きっちりと芯のある強い音色が強力にビートを刻んでいるウイルバー・リトルもいいべーシストだ。
ああ・・・今日はベースばかりに耳がいく(笑)いや、耳がいかなくても・・・勝手に身体にベースの音が入り込んでくるのだ(笑)もともとベース好きの僕には、このYoさんの装置は、もう実に極楽なのであった(笑)


さて・・・そろそろ「聴き比べ」をやらねばならんね(笑)とYoさんと僕はゲッツの盤を取り出した。
同じ音源で4種の盤が揃った。
Yoさん~ Stan Getz/Plays(clef:MGC-137) 10inch
Yoさん~ Stan Getz/The Artistry(clef:MGC-143) 10inch
bassclef~Stan Getz/Plays(norgran:MGN-1042) 12inch
bassclef~Stan Getz/~Quintet(clef:EP-155) 7inch

ちなみに「子供キス」のジャケットで有名なStan Getz Playsだが、もちろん10インチ盤の方が古い。
Plays(137)とartistry(143)~こちらの方が元々の「子供キス」ジャケなのだ~の2枚の10インチ盤が発売された何年か後になって、12インチ盤のStan Getz Plays(1042)が出たのだろう。10インチ盤には各8曲。12インチ盤には12曲(137の8曲+143のA面4曲) 収録してある。

このスタン・ゲッツの聴き比べは、少し前に、ニーノニーノさんのBBS「こだわりの杜」の書き込みから浮上してきた話題だった。以下にちょっとその模様を転載します。

No.15098
ハンドルネーム:Yo   (2007.3.8,14:58:03)     
皆さん、ご無沙汰です。
ひょいと見たら10インチと12インチの話ですね。大概は10インチが先かなと思うのですが、Dukeさん、ひとつ下記の3枚の順序を教えて欲しいのです。(乱入すみません。)
Stan Getz Plays (Clef MGC137):Dec.12'52
Artistry of Stan Getz (ClefMGC143):Dec.29'52&Apr.16'53
Stan Getz Plays (Norgran MGN1042):Dec12&29 '52
Norgran12インチ盤が10インチのClef盤2枚をカップリングしてある感じですが、52年12月のセッションだけでまとめてあるので、オリジナルがどうなのか知りたいのです。特にあの有名なジャケがNorgran盤とClef143と同じなのでどちらが先か知りたいです。よろしくお願いします。 

No.15099
ハンドルネーム:Duke   (2007.3.8,16:06:44)     
Yoさん、お久しぶりです。Goldmine Jazz Album Price Guideとw. Bruynicckx著Modern Jazzz Discographyの両方で調べた結果、Clef MGC 137とMGC 143は1953年、Norgran MGN 1042は1955年となっています。NorgranのほうにはApr.16'53のセッションは入っていないようです。Yoさんのおっしゃるように「Norgran12インチ盤が10インチのClef盤2枚をカップリングしてある」ということになります。ご参考になれば。

No.15100
ハンドルネーム:Yo   (2007.3.8,16:49:02)     
Dukeさん、ありがとうございます。
あのゲッツがサックスを抱いて子供のキスを受けているジャケがどちらが先か気になったんです。そうですか Norgran1042は2年も後ですか?12月の早い2つのセッションをまとめてあるので、ひょっとしたらClef143が最後かなと思っていました。・・・良かった。Clef盤大事にします。(笑)・・・でもClef盤のゲッツの音が特別すごいとは思わないので、Norgran1042も聴いてみたいですね。

No.15101
ハンドルネーム:bassclef   (2007.3.8,19:24:31)     
Dukeさん、みなさん、こんばんわ。
10インチと12インチ・・・なにやら面白そうな気配が(笑)Yoさんが挙げられたゲッツの3種、やはり10インチ2枚が先ですか。「子供にキス」のジャケットは、10インチだと[plays]ではなくて、artistryの方なんですね。
>Norgran1042も聴いてみたいですね~
Yoさん、偶然にもそのNogran1042(12インチ)なら持ってました(笑)
以前「関西・杜の会」(Yoさん宅)でもちらっとかけてもらったゲッツのclef・EP盤(time on my handsやらbody & soulなど4曲入り)の音もかなりいいぞ、と思ってるのですが、Norgranの12インチ盤の方も、ゲッツのテナーの音は・・・かなりいいように感じました。もっとも僕の好みのゲッツが、52年頃なので、何を聴いても「よく」感じてしまうのかもしれませんが(笑)
またぜひ10インチと12インチとそれと7インチでbody & soulなど聞き比べてみたいですね。

~こんな具合で、この「ゲッツ・聴き比べ」は、僕自身もものすごく楽しみにしていたのである。1952年のゲッツ・・・僕はこの頃のゲッツがどうにも好きなのだ。どの曲においても、ゲッツがあのマイルドなテナーの音色で吹き始めると、フレーズがどうだとかなど考える間もなく・・・その曲は「ゲッツの唄」になってしまう。もう何をどう吹いても・・・ゲッツなのだ(笑)言わば・・・too marvelous for words(笑)  とにかく素晴らしい。

さあ、その1952年のStan Getz Plays・・・かける順番をちょっと相談した。
やはり時代の新しい方からということで、僕の12インチ盤Playsからにした。どの曲も素晴らしいのだが、どうせならEP盤(4曲収録)にも入っている曲にしよう、ということで、time on my hands を選んだ。 

Dscn1688_11  Norgran盤~ミディアムテンポにノッたピアノのイントロが流れてくる・・・すぐにテーマを吹き始めるテナー。盤質がそれほどいいとは言えないので、多少チリパチが入るが、ゲッツのテナーの音色は・・・くっきりとして充分に鮮度感のある悪くない音だ。ただ、中高音をわずかに強めにしたような感じもあり・・・だから、この12インチ盤でのゲッツのテナーは、ちょっとだけ硬質な感じに聞こえなくもない。というのも、僕はこのtime on my handsを、12インチ盤よりも先にEP盤で聴き込んでいたので、そのEP盤に比べての話しである。

Getz_plays10inch Clef盤~これが「Plays」だよ、と言われると、一瞬、たじろぐが(笑)・・・このイラストのジャケットも、さすがにデビッド・ストーン・・・実にいい味わいだ。なかなかお目にかかれない一枚でもある。裏を見て嬉しくなる。というのは・・・この10インチの裏ジャケットの写真(黄色のゲッツ)が、僕のEP盤と同じ写真だったのだ!

Getz_plays_bGetz_plays_l_2









《10インチ盤3点の写真はYoさん提供》

さあ・・・と同じ曲、time on my handsをかけてもらう。イントロでは、それほど大きな差は感じなかったが、 ゲッツのテナーが入ってくると・・・う~ん、やはりだいぶ違うぞ・・・先ほどの12インチの方がすっきり感のあるちょっと新しめの音とすると、10インチの方は落ち着いた感じで、ややこもった感じもあるが・・・その「こもり感」が心地いいのだ。 ゲッツのテナーが、よりソフトにマイルドに聞こえるのだ。  「ソフト」と言っても、音色がふやけたわけではない。テナーの音色の肌触りが「より木目細やか」になったと言えばいいのか。 そうしてその「マイルド」さは、僕が以前から知っているEP盤でのゲッツの音と同質なものだったのだ。音全体のイメージとしては「温かみと品がある」ということかもしれない。

7inch Clef盤~このEP-15 5は以前にも<夢レコ>に登場させたことがある。ここ、Yoさん宅の10月の集まりの時、第1部の最後にかけてもらった。その時、たしかDukeさんがこう言った・・・「いつものゲッツと違う!」僕の推測では、その「違う」は、よりソフトにキメ細やかに聞こえる、という意味だったのだと、今は思う。7インチ盤は一般に盤質が良くないことが多い。扱い方の問題なのか盤の材質の問題なのかは判らないが、僕のいくつかのEP盤にも盤質のいいものはほとんどない(笑)そして・・・ゲッツのこのEP-155は、うれしいことに、盤質が最高なのである。
Dscn1689このEP盤からの time on my hands は・・・音色の質感はやはり10インチ盤と同じ感じである。そして、もう少しだけテナーの音色に潤(うるお)いが増したようで、そのテナーの音色が、軽く「フワ~ッ」と浮かび上がってくるような感じでもある。う~ん・・・Dscn1690やっぱりこの45回転はいいなあ(笑)

《EP盤~EP-149とEP-155。10インチ盤:Playsの8曲が、この2枚のEPに、4曲づつ収録されている。同じセッションからの音源で型番も近いのに・・・なぜか155の方が音がいい。ゲッツのテナーが、滑らかでクリアなのだ。コンディションの差だけではないように思うのだが・・・不思議である》

もう1枚の10インチ盤~artistryの方からも何か聴こう、ということになり、かけた曲は、A面のthese foolish things。さきほどのPlaysの8曲は、52年12月12日の録音で、こちらのartistyのA面4曲は、12月29日である。録音日はとても近い・・・なのに録音の感じはちょっと違うようだ。Yoさんも僕も、この点については同じような印象を持ったようだ。つまり・・・artistryも、もちろん悪くないのだが、ゲッツのテナーの生々しさ~そんな「気配」のレベルでは、どうも12日の8曲の方が「いい録音」のようだね・・・というような話しをした。 Artistry_1《写真3点:Yoさん提供~この10インチ盤のartistryが、「子供キス」の初出自ジャケットである》 Artistry_b

・・・と、まあ、こんな 具合で会は進んでいくのだった。まだほんの少ししかお伝えしていないが、このままではあまりに長くなりすぎるArtistry_l(笑) だから、とりあえずここまでを「その1」として、ひときりつけよう。いったい「その~いくつ」までいくのだろう(笑)
まだまだお伝えしたいレコードのことや、聴き比べの話しもある。 
次回をお待ちください・・・。

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2006年10月28日 (土)

<ジャズ回想 第8回>ニーノニーノさんのオフ会 大阪・神戸秋の陣。

10月7日、西から東から14人が藤井寺Yoさん宅に集まった。

<当日かけたレコードのジャケット写真を、Yoさんが送ってくれましたので、BOSEさん提供分も含めて、いくつか追加しました。ジャケットのみの写真がYoさん提供分です。マクレエのこと、少し追加しました。10/31>

福岡のオリジナル盤通販専門店ニーノニーノの新納さん主催の「杜の会」~会とは言っても特に主義主張があるわけでもなく、もちろん何かの誓約書を書かされるわけでもない(笑) ただ単に「音楽を好きな人間が集まっていい音楽をいい音で聴こうではないか」という集いなのだが~2006年の信州:白馬で、新納さんがこう言った。「次は・・・ぜひ九州と本州の方が一緒に集まりたい。そうとなれば・・・集結の地は大阪しかない。Yoさん、ぜひお願いします!」・・・一同、どよめく「おおっ・・・」
春から夏へ・・・その間、大阪(藤井寺)の会場となるYoさんがいろいろと考えを巡らせ、初日にYoさん宅、翌日はメリケンさん宅、その後、神戸のジャズ喫茶Just In Timeさん~という段取りである。お盆の頃には、日程が10月7日(土)・8日(日)と決まった。その頃の「杜」の書き込みから、この「杜の会」が自然と「大阪・神戸:秋の陣」と呼ばれるようになっていった。秋の陣~西から東から大阪に集結する落ち武者たち・・・いや、諸国の武将たち、といった趣ではないか(笑)

そうして先日、ついに「杜の会」が催された。九州からは、DUKEさん(新納さん)、音の匠さん、CROWさんご夫妻、BOSEさん、PSYさん、M54さんと7人。(PSYさんとM54さんは、7日の夜(宴会)からの根性の参加!)
本州からは、群馬のRoxanさん、静岡のパラゴンさん、マントケヌーマーさんと彼女。愛知からのD35さん、konkenさん、それにbassclefの計7人。
皆さん、それぞれに苦心惨憺のスケジュール調整をされての決死的参加なのである(笑)

愛知組の3人は、私:bassclefが朝6時に豊橋を出発。岡崎(konkenさん)~東海市(D35さん)と合流。よしっ、3人で一路、藤井寺へ!と
気合こめて出発。運転はkonkenさん。亀山辺りまで少し混んだが、その後は快調。走るクルマなので飛ばす、飛ばす。10:30頃にYoさん宅に到着した。
笑顔で迎えてくれた奥様に「また来てしまいましたあ(笑)」などと訳の判らん挨拶しながら、2Fへ上がっていくと・・・なにやら聴いたことのある歌声が・・・おっ、これは? 部屋に入ると、Yoさんとパラゴンさんが嬉しそうな笑顔で迎えてくれる。
「やあやあ」・・・と6月以来の再会だ。パラゴンさんは、根性の夜行バスで早朝の大阪入り。8時前には着いていたそうで、もうすっかりこの部屋に馴染んでいる(笑)
パラゴンさんといえば・・・ヴォーカルだ。テーブルの上にはヴォーカル盤ばかり並んでおり、すでにいろいろと聴いてきたようだ。Out_of_the_blue
そうして一番上にあったのが、キャロル・スローンのOut Of The Blue(columbia:ステレオ盤。これはYoさんの手持ち盤) だ。 そうかっ!このレコードだったのか、と嬉しくなる。このレコード、僕の手持ちはモノラル盤(カナダ盤)だったので、ステレオ盤を一度、聴いてみたかったのだ。カナダ盤でもけっこういい音だと思っていたが・・・やっぱりこのレコードは録音も相当にいいようで、ステレオ盤もふくゆかないい音で鳴っていた。どうにもステレオ盤も欲しくなってしまうなあ(笑)
<右上の写真が、Yoさん提供のステレオ盤。下の写真は、僕のカナダ盤。maroon/siliverラベルの「6つ目」も悪くない:笑>_006_2

Spring Is Here(ロブスター) they can't take that love away from me
偶然にもキャロル・スローンの現代盤~78年録音のspring is here(ロブスター)を持ってきていたので、1曲(they can't take that away from me)かけてもらう。
ムラーツのベースが絶妙な巧さを見せる1曲だ。録音はやはりいい。しかし・・・ヴォーカルにはうるさい御仁が揃っている。「やっぱりスローンも年をとってるねえ」とkonkenさん。皆、うんうんと同意。唄はもちろん抜群に巧いのだが先ほどの1961年ころのスローンには、なんとも言いがたい「可愛い色気」があった。あの魅力には抗しがたい(笑)

パラゴンさんが「ペギー・リーはブラック・コーヒーだけじゃないよ~」と言いつつ取り出した10インチ盤。
Peggy Lee/Songs from Walt Disney's Lady and the Tramp(decca)から la la ru 
~ペギーリーがかわいらしい感じで唄っている。パラゴンさん、「こういうペギー・リーもいいんだよな~」と目を細める(笑)

After_glow_2  さて、何曲か聴きながらテーブルの上のお宝盤を見ると・・・エラのmellow mood(decca)の2種~[黒ラベル]と[文字が金色の黒ラベル]~の横に気になる盤が・・・。マクレエのafter glow(decca)だ。<写真:Yoさん提供>   ピアノのレイ・ブライアントが入っているので有名だ。オリジナルは、ジャケットがエンボス(ザラザラになっているやつ)だったとは知らなかった。エンボスだとテカテカしなくて、なぜか品良く感じる(笑)僕はマクレエはそれほど愛聴しているわけではないが、このレコードにはちょっと思い出があり、内容も好きなのだ。all my lifeを リクエストして聴かせてもらう。乾いたマクレエの声が気持ちいい。ブライアントのピアノも輝くようなタッチだ。こりゃあ録音も相当にいいぞ・・・。

ここらで男性ヴォーカルも、ということで・・・僕はメル・トーメを1枚持ってきたので、it's a blue world(bethlehem)から isn't it romantic?を。
ストリングス入りがややコーニーではあるが、やはりトーメは巧い。ベツレヘムの沈んだような音も、実にいい感じでしっとりと鳴る。
このごろ僕は、こういう沈み込んだような音も好きになってきたようだ。

次に、D35さんがヘンリー・マンシーニのpink panther(RCA Victor:dynagroove)を取り出した。
すると隣に座っているkonkenさんも自分のバッグから「同じレコード」を見せてニンマリ(笑)7_001_2   
D35さんは、いつもこのレコードを音を聴く時の軸にしているようだ。
それにしても、このdynagroove盤・・・いい録音なのは判っているつもりだったが・・・出だしから本当に凄い音だ!
冒頭、左の方からピアノのかなり高い方の音「コーン」という乾いた音に続いて、あの「泥棒が抜き足、差し足」みたいなチャーミングなテーマが始まる。
徐々にブラス群が押し出してくる~マンシーニの工夫を凝らしたサウンド群~それら全てが左右にいい具合に拡がった音場に満ちている。
フォルテの場面では、実に気持ちのいい音圧感が味わえる。7_002
それから、もちろんテナーのプラスジョンソン。間に入るこのテナーソロが抜群にいいのだ。あのユーモラスなテーマを充分に生かした、いやらしいような表現力!(笑) だけど実にコクのある色気のある味わい深いソロ・・・だということがよく判る、いや判ってしまう・・・そういう深みのあるテナーの音だった。こりゃあテナー好きの人にはたまらんだろうなあ。(そりゃ、オレか:笑) だから・・・実はこのピンク・パンサー、僕も持っているのです(笑)
<写真~Victor盤は、やはりステレオ盤が素晴らしい。だから、LPM~ではなく、LSP~が欲しい>

お昼の後に、いよいよ秋の杜:本編が始まった。
まず、Dukeさんの「レーベル別でのVan Gelder録音もの」から。
ヴァンゲルダーの録音というと、まずbluenote、prestigeをイメージしてしまうのだが、savoy、verveにもたくさんあるし、ちょっと意外だったのは、riversideやatlanticでの仕事もあったことだ。
各レーベルからいろいろな盤がかかったが、その違いっぷりには、実に興味深いものがあった。
ここでは・・・録音うんぬんというより、そのジャズの中身に参ってしまったTony Willimas/Spring のことを少し。
~トニーのブラシが凄い!とてつもなく速いテンポをブラシで紡ぎだしている。その快速ビートにピーコックが鋭いピチカットで絡んでくる。
この2人だけでも充分にスリリングなジャズになっているのだが、そこへ第1のテナーが右チャンネルから現れるフレーズを細かく刻み、それを少しづつ変化させていく。素晴らしく切味鋭いテナーのソロだ。ショーターのようでもあり・・・いや、ショーターにしてはトーンのエッジが鋭すぎる・・・こちらがサム・リヴァースか?とも思う。ベースソロの後、左寄りから第2のテナーが現れる。今度は、先ほどと対象的に「ロングトーン」を多用して、その音色を変化させつつ、徐々に徐々にフリーキーな音色で鋭いソロになっていく。この第2のテナー奏者~出だしのロングトーンで、「あ・・・やっぱりこっちがショーターか?」とも思うのだが・・・僕が思っているショーターの音色よりも、もうちょっと荒々しくて堅い音色のように聞こえる。そんな具合に、このレコードの2人のテナーには、どちらがどちらか?と迷うことしきりなのだが・・・音色自体の「端正さ」(リヴァースの方が、堅くて荒いトーン」という認識をしているので)と、それから、フレーズの展開の仕方、そのアイディアのおもしろさ・・・そんなことから「いつになく本気を出して鋭いプレイをしたショーター」のように思えくるのだが・・・サム・リヴァースという人自体をほとんど聴いていないこともあり・・・あまり自信がない(笑) 
いずれにしても・・・このextras の演奏の凝縮度は怖ろしく高い。トニーのブラシだけ聴いてみてもいい。ピーコックの切味鋭い高速4ビートだけ聴いてみても凄い。しかしその2人に絡むテナー奏者のソロとそのテナーに触発されて変化していくリズム隊2人の応用力というか、その変幻自在な流れに「素晴らしい音楽の一瞬」みたいなものを感じた。エンディングもしゃれている。最後、独りになったトニーがブラシとハイハットだけでしばしの間、リズムを刻む・・・そしてその急速テンポを半分に減速するような素振りを見せつつ・・・いきなり「ッポン!」というショットで終わるのだ。ブラシに始まりブラシに終わる・・・実に潔い(笑)これまでちゃんと聴いたことのないレコードだったが、この1曲は凄い!とようやく判ったようである。
_005_9  <写真の盤は、manhattan capitol ~通称DMM bluenoteだ。ちょっと哀しい(笑)>

この後は、皆さんの持ち寄り盤から1曲づつアトランダムにいこう、ということになった。
それぞれの方のかけたレコードの紹介と、その時の印象を思いつくままにに書こうと思う。

Yoさん~(以下、コーンからホウズまでの5点の写真はYoさん提供)

Cohn_on_the_saxophoneAl Cohn/渦巻きのコーン・・・Cohn On The Saxphone(dawn)~地味だけど実にいいレコードだ。いつもは柔らかい音色のアル・コーンだが、アドリブの中で、高音の方にいくと、時に鋭い音を発する。その時の音のかすれ方が・・・ちょっとレスターヤングに似ているのかもしれない。最後にかかったレスターを聴いた時、そんなことを感じた。

Birth_of_a_band_2Quincy Jones/A Birth Of thd Band(mercury) gypsy~このレコードは、Yoさんの愛聴盤である。

Al & Zoot/You an' Me (mercury)  you 'n me
~このレコード、録音はたしかに素晴らしい。ベースの音も輪郭鮮やかで音像も太い。Youn_meドラムのシンバルなど、最近の高品質録音のような雰囲気だ。隣にいたBOSEさんとそんな感想を言い合う。僕は、しかし・・・このズートやコーンが気持ちよくスイングする60年ころのジャズの「感じ」に、この「近代録音」の音質は、イマイチそぐわない・・・そんな印象を受ける。ドラムやベースがあまりに軽くスムースに流れるようなところもあって、ちょっとレコード全体に「渋み」が欠けているような感じがするのだ。だから、音のよさが却ってこのジャズを「軽く」している・・・そんなようなあまり根拠のないことを思ってしまう僕であった。

Jazz_sahib_1Sahib Shihab/Jazz Sahib(savoy) blu-a-round(写真:左)
~このレコードもそういえばヴァン・ゲルダー録音であった。僕はこのレコードは・・・ピアノがビル・エヴァンス(B面のみ)ということもあり
CBSソニー盤を入手してよく聴いたものだ。久しぶりに聴く初期エヴァンスのピアノは実にクールな装いで、やはりいいのである。
フィル・ウッズはこの盤でも大活躍だ。先ほどのクインシー・ジョーンズでのgypsyもそうだったが、ウッズという人は、与えられたスポットでいつも覇気のあるソロを取り、きちんとまとめてくる。本当に巧いアルトである。いい音で聴くいいアルトは快感でもある。それにしても後でよく考えてみると、宴会の後のアフターアワーズでもかかったWarm Woodsも含めて・・・この日は「フィル・ウッズ特集」でもあったようだ(笑)For_real

Hampton Hawes/For Real(contemporary) hip ~このコンテンポラリー盤は、何度聴いても本当に最高だ。ラファロのぐッと引き締まったベースが右チャンネルから「ビートの権化」となって押し寄せてくる。バトラーのドラムの乾いたスネア音やらホウズのピアノの、あの全く粘らない跳ねるように小気味のいい独特なタッチ。それからもちろんハロルド・ランドのテナー。この人のテナー・・・テーマの合わせとかが抜群に巧いので、その演奏自体もソフトだと思われているかもしれないが・・・意外に硬質な鋭い音色である。そんな具合に、全ての楽器の音が~ミュージシャンが気迫を持って発したであろう楽器の音が~等身大の実在感を持って押し出してくる。そんな感じだ。もちろんYoさん自身が意識的に調整してきたのであろうが・・・「コンテンポラリー」というレーベルについては、全く見事に(いい・悪い/好き・嫌いのレベルではなく)「あるべき音・出してほしい音~そういうバランス」で、鳴らしきっているのだ。そう思えてくる。素晴らしい!

Sonny Rollins/Sound of Sonny(riverside)     ~the last time I saw Paris もかかったな。これはピアノがソニー・クラークだ。

Zoot Sims/Tonit's Music Today(storyville)   ~I hear a rhapsody Tonite_music_today_1

この1曲だけは、シムズのワンホーンだ。バラードをじっくりと吹き進むシムズの唄心には参ってしまう。I hear a rhapsody・・・好きな曲だ。BOSEさんご自身も「よくできたCDだと思っていた」という徳間CDとの聴き比べでは・・・CDでは全体的にドラムスやベースが強調されていたような感じを受けた。そして、オリジナル盤で聴いたシムズのテナーは、やはり・・・響きが自然で、より陰影に富んでいたように思う。                    <上の写真:tonite's~はYoさんの手持ち盤。BOSEさん宅でこのレコードを聴いて気に入ったYoさんが、その後に入手されたとのこと>      

BOSEさん~
Go_manSonny Criss/Go Man!(imperial)blue prerlude ~ジャケットを見て「おおっ」と軽いどよめき。ソニー・クリスもいいのだが、このレコード、ピアノがソニー・クラークなのだ。このジャケットを見て、僕は、スクーターのスタンドが立っている絵とスタンドがない絵と2種類のジャケットが存在する、という何かで知った情報を話した。この盤は「スタンド付き」だ。レコードをかけ終えると、BOSEさんが一言。「このレコードのタイトルが、なぜ「ゴーマン」かというと・・・ジャケットを見れば判ります。スクーターの後ろに乗った女が「ほら、次はあっち」と指示を出しているので、男が嫌そうな顔をしてるでしょう」と真顔で言うのだった(笑) <Go Manの写真は、BOSEさん提供です。やっぱりスタンドが立ってる>

Good_gravyTeddy Edwards/Good Gravy(contemporary) から1曲。このレコード・・・contemporaryの中では案外に見かけない盤で、BOSEさんによれば「多分・・・OJCでもWAVEでも出てない」とのこと。Yoさんはこのエドワーズ、すぐに気に入ってしまったようで「これ、欲しい・・・」と一言。

<左の写真は、この会の後、Yoさんが速攻で入手した盤だ。やることが速い(笑)>

そして・・・Serge Charoff/Blue Serge(capitol) Blue_serge  

ジャケットの「サージ服」の青色が品のあるいい色合いだ。センターラベルは、capitolを象徴するあのターコイズ。この盤はベースのルロイ・ヴィネガーのはずむような音が大きく入っている。そしてピアノは・・・こちらもソニー・クラークだ。

<写真:Blue Sergeは、BOSEさん提供。こうして見ると実にいいジャケットですね>

それにしても、BOSEさんの持ち込んだ盤は、どれもこれも・・・(笑) ジャズの本当に渋くていいところの盤ばかりじゃないか・・・参りました(笑)  

パラゴンさん~
Sylvia Syms/Songs By Sylvia Syms から imagination(atlantic)
~ジャケットのイラスト~笑っているようなシムズのイラスト~がいいなあ・・・と思っていたら、すかさず、BOSEさんが「これはバート・ゴールドブラットだ」
すぐジャケットのイラストをよく見ると、やはりBurt Goldblatt とクレジットされていた。BOSEさん、よく知ってるなあ・・・(笑)

D35さん~
金子由香里(ビクター盤) 1970年代の日本盤だが、録音はキレイだった。
シャンソンは・・・わからない(笑) 曲は「詩人の魂」だったか。
エミルー・      Angel Band~カントリーっぽいノリの歌い手だ。
Ann Richards/Many Moods of Ann Richards ?

Roxanさん~
Pink Floyd(英EMI) の初期盤から1曲。
Mary Hopkin/water,paper and clay (EP盤)
~はじめは静かに始まるホプキンスの唄だったが、途中から壮大なオーケストレーションが現れ・・・
とにかくいろんな楽器群が次々に、充分な音圧を持って飛び出てくる・・・そういうダイナミック・レンジが驚異のUK・EP盤だった。

konkenさん~
Chicago(CBSソニー) introduction ~Yoさんのシステムはどのジャンルもいい具合に鳴る。ロックのレコード特有の「厚めの低音(エレクトリックベース)と
巨大音像のバスドラ」しかしこれらが、大きくても柔らかめな肌触りのいい音なのだ。ロックならこれくらい音圧が出た方が気持ちいい~という感じで鳴っていた。
konkenさんは「シカゴが、あのソニー盤であれだけ鳴るとは・・・」と帰りのクルマで何度も繰り返すのでした(笑)

マントさん~
ギターとパーカッションによる現代曲(ジーグフリード・フィンクと読めたかな(by CROWさん)
バリトン歌手によるフォーレの歌曲~この男性歌手・・・このレコードの録音当時、結婚したばかりということで、マントさんいわく・・・「唄に喜びが溢れ出ている」

bassclef~
Swingin' Like Sixty(world pacific)からJohnny Mandel(pacific) georgia on my mind_001_9
~このレコードは、world pacificのオムニバス盤で、A面1曲目に、アート・ペッパー入りの「ジョージア~」が入っているのだ。
ホーギー・カーマイケルのhoagy sings carmichael(pacific) のリハーサルテイクのようだ。おそらく曲の進行を確認するためのバンドだけのリハーサルだから唄はなし。イントロ~間奏~エンディングだけの短いテイクなのだが、この「ステレオ録音」が、なかなかに素晴らしいのだ。
録音直前の様子~「hi,everybody!」「take~!」「OK!」とかの、やりとりからして生々しい。左の方では、ペッパーが軽くアルトを鳴らしたりしている。中編成の管楽器がジョージアのイントロを始めると・・・そこに「すうっ」とペッパーが入り込んでくる。管楽器群がテーマを流しているバックで、オブリガート風にソロを入れているのだ。そのままバックなしの短いアルトソロになり、サビからいきなり倍テンだ。トランペットがソロを吹くのだが、マイクがかなりオフ気味だが、どうやらハリー・エディソンのようだ。
そしてサビ後の部分をエンディングテーマとし、あっさりとこの演奏は終わってしまう。ちなみにこのリハーサルテイクの本番~つまりホーギー・カーマイケルが唄う~レコード、僕の手持ちは、1982年頃の米Pausaの再発でモノラルなのだが、裏解説によると、[this is a Monaural Recording recording] とあり[engineering:Richard Bock and Philip Turetsky] と明記してある。だからhoagy sings carmichael(pacific) のオリジナル発売時は、
モノラル盤だったのかもしれない。カーマイケルの脱力した唄い方も悪くない(笑) そんな唄の合間合間ににチラと入るペッパーがまた味わい深い。

Soul Trane(prestige) NJ bergenfield ラベル~このソウル・トレーンあたりの番号からNJラベルらしい。だから(たぶん)オリジナルなのでちょっとうれしい。このNJラベルも、少し前にrecooyajiさん宅(地元:豊橋のジャズ好きのお仲間)で、ビクター盤と聴き比べたが、やはり、ドラムの鮮度・キレ、ベースの鮮明さ、などに明らかな違いがあった。プレスティッジというレーベルは、おそらくマスターテープの管理があまりよくなかったのだろう。だから・・・67~68年以降くらいからの、fantasyの再発盤(黄緑ラベル)から、極端に音質が落ちているようだ。そうして、その頃のマスターを使った日本盤の音質も・・・良くなるはずもない、ということかもしれない。(私見では、「紺」「黒」のイカリ・ラベルのRVGまでは、かなりいいように思う)

Stan Getz/4曲入りのEP盤(clef)から time on my handsDscn0720_1

この1952年のゲッツが、すごく好きなのだ。45回転で聴くゲッツのテナーは・・・どうにも素晴らしい。「ふわ~あっ」と漂うような軽み」が快感である。このEP-155は、ゲッツの他のEP盤に比べても、音がいいようである。

                                                                                          

Norman Grantz #4(clef) EP3枚組_002_5

このEP盤と、Yoさん手持ちの12インチClef(水色ラベル)の聴き比べをしてみた。EP盤の音は総じてカッティングレベルが低い。低いのだが・・・テナーの音色が、「すうっ」と浮き出てくるようなニュアンスがある。そういうある種の「軽み」に・・・却って、ゲッツの良さを感じる。
続けてかけたclef 12インチは、カッティングレベルも高くて、ピアノ、ドラムも骨太なClefサウンドで、やはり魅力のある音だ。僕はClefの音なら、どれもこれも嫌いではないようだ(笑)_003_8

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宴会の後・・・まだYoさん宅の音を聴いていないM54さんとPSYさんは、とにもかくにもYoさんの音を聴かねば!という決意がみなぎる。そうして、その流れに便乗する者が続出。まっさきに便乗したのは・・・このbassclefだったが(笑)
そんなわけでまたまた全員で、再度Yoさん宅へ。

アフターアワーズとして・・・pm8:45~pm10:15
PSYさん~
Bill Evans/Exprolationsから israel~このレコード・・・ラファロのベース音が他のリヴァーサイド盤とちょっと違う感じの音で、グウ~ッと沈み込んだ低いべース音なので、僕の機械ではなかなかその沈んだ低音がうまく抜けない。PSYさんも同じようなことを言っておられた。そしてその「沈み込むベース音」が、このYoさんのウーレイでは余裕で鳴っているではないか!

M54さん~
Grant Green /Idle Moments(bluenote) これはちょっと歌謡曲っぽい曲調のあれだ(笑) それを熟知しているPSYさんが演歌曲の紹介MCみたいなセリフを軽くはさむので、皆さん少し笑う。後半に出てくるジョー・ヘンダーソンのテナーがやはりいい。ジョーへンにしては、やけにサブ・トーンを多用して、ちょっとベン・ウエブスター風なものを意識したのかもしれない。

Yoさん~Phil Woods/Warm Woods(epic) からeasy living

ここでYoさんが、「ああっ、そうだ・・・「あれ」をみなさんにお聴かせしないと!」と言いつつ、Lou Donaldson/Blues Walk(bluenote;lexington) Blues_walk 《訂正》~このドナルドソン:1593番にLexingtonはあり得ない、とのコメントをrecooyajiさんより頂きました。さっそく、Yoさんに確認していただいたところ・・・この1593番は<47West 63rd NYCで、溝あり、Rマークなし>とのことでした。貴重なブルーノート盤というイメージでLexingtonと思い込んでしまいました。実は・・・僕は、オリジナル盤のラベル変遷にはあまり詳しくないのです(笑)
を取り出す。みなさんから軽いどよめき・・・(笑) これは、メリケンさんからのYoさんへのプレゼント盤だ。ちょっと前に「杜」にメリケンさんが「ジャズレコード下取り価格ピッタリ賞」のプレゼント盤として提供したのだが、これはYoさんが見事な読みで勝ち取ったのだった。盤質も演奏も素晴らしい。甘くて太いドナルドソンのアルトが鳴れば・・・「チャカポコ」のコンガも思いのほか気にならない(笑)

Yoさん・・・ではもう1曲あのマーキュリー盤からということで、
Al & Zoot/You an' Me (mercury)  you'd be so nice to come home to

パラゴンさんから渋いヴォーカル盤が、またひとつ。
ミリー・ヴァーノン/Introducing Milli Vernon (storyville) ジャケットの1箇所だけ色が付いている。とてもしゃれたジャケットである。

もうあまり時間がない。午後に聴いたハロルド・ランドの話しが出たので・・・僕はcontemporary盤から1曲、Yoさんにリクエストをした。Curtis_vol1_mono_1
Curtis Counce/Land Slide(contemporay) time after time ランドのバラードは実にいい。Curtis_vol1_stereo_1

                                                            

<あれれ?見慣れたはずのこの盤・・・何か変だぞ?右側のモノラル盤は左右が逆になっているのだ。2点ともYoさん手持ち盤>

コンテンポラリー盤がしなやかに鳴る。この場で鳴るこのレコードは幸せであろう(笑) そしてそのサウンドを聴く僕らも、また幸せなのだ

もう夜も遅い。まだ明日の神戸があるのだ。そこで、前夜に大阪入りしていたRoxanさんが、この日、仕入れてきたというレスターヤングを聴かせてもらうことにな った。Verve-Clefシリーズ(黒トランペット)の Lester Young/Lester Swings Again(verve) だ。曲は・・・stardust。
これが実によかった・・・。レスターとしては晩年の、何かこう全てを悟ったような・・・というかガツガツしない諦観の漂う、気品のあるスターダストであった。この盤を見て、Yoさんが取り出してきたのは、同じレスターのNorgran盤。ジャケットは違うが・・・曲名を見ると同じ内容の盤である。
こちらもかけてみる。レスターのサックスを少し聴くやいなや「う~ん」・・・と唸るRoxanさん。「黒トランペット」は、盤質も良く充分に生き生きとしたいいテナーの音だった。一方、Norgran盤は、ややカッティングレベルが低く、盤質も「黒トランペット」に比べれば良くはない。
しかしながら・・・このNorgran盤では・・・レスターテナーの音によりいっそうの生々しさ、レスターの気配がより濃厚に漂っているように聞こえた。
いずれにしても・・・本当にいい「スター・ダスト」でした。
僕は、この1952年のレスターヤングを全くの初めて耳にしたのだが、レスターヤングの淡々としながらも、時に「はっ!」とするような鋭いトーンに、
新鮮な驚きを覚えた。レスター・ヤングも、これから聴きたいテナーだな・・・と思うのであった。The_president_1

この「しみじみ盤」を聴いて・・・いよいよこの会を終わろう、そんな雰囲気が漂い・・・午前中から始まったYoさん宅での「ジャズ聴き会」は、こうして、ついに終わったのだった。
それにしても・・・ジャズは厭きない。

<左:レスターの垂涎的norgran盤。う~ん・・(笑)>

special thanks to Yoさん&BOSEさん!

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2006年7月22日 (土)

<ジャズ回想 第6回> またまたオフ回~藤井寺Yoさん宅:再訪記。

青い顔したウーレイ~3人で7時間の聴きまくり。

6月24日(土)ニーノニーノさんの「杜」のお仲間~藤井寺市のYoさん宅におじゃました。今回はリキさんと私bassclefが2人で乗り込んだ。2人はそれぞれ~僕は昨年9月、リキさんは今年の1月に~Yoさん宅の音を聴いており、その「音」を知っている。そして多分・・・その「音」を好きになっている。
Yoさんは、その後もいろいろな調整をしたようで、音がさらによくなっているらしい。そうなると・・・こちら2人は「また聴いてみたい」、
Yoさんは「また聴いてもらいたい」てな具合で・・・この3人の思惑が一致したようであった(笑)

11時前くらいに到着し、すぐ2階のあの「音聴き部屋」へ。部屋に入るなり「ここ、ここ・・・。この雰囲気がいいんだよなあ・・・」とリキさん。
白熱灯の温かみのある、ちょっと落とし気味の照明。これが・・・本当に落ち着く。お酒の好きな方が、ちょっと飲んで「いい音楽」を聴いたら・・・すぐに眠ってしまうだろうな(笑)

まずはこれから・・・とYoさんが、「東京銘曲堂ライブCD」を取り出す。
リキさんもこのCDがお気に入りで、自宅のsonusと「鳴り」の具合がどんな風に違うのか興味があるようだ。
my romance
but beatiful
昨年9月にこの同じ場所で同じCDを聴いた時は・・・元々たっぷりと豊かな音量で録音された(ように聞こえる)このCDのウッドベースの音が~このベースの音像というか音量がかなり大きく聞こえて、だから僕のベースの好みのバランスでいうと~ややふくらみすぎかな?という感じだった。
ところが今回は・・・だいぶん違ったのだ。そのベースの音像がグッと締まり、ベースの弦がビシビシと鳴るような感じがよく出るようになっていたのだ。こんなバランスであれば、「CD」全般に対する僕の不信感も~たいていのCDがベース中心に低音を強調しすぎか?~かなり和らいでくる。
端正にきれいに弾くギターの音色も、よりくっきりと聞こえる。テナーの音ももちろん素晴らしい。3人の音楽、その全体がより一層ツヤヤカになったように感じた。
何をどうしたのか・・・僕にはオーディオ的な細かいことはわからないのだが・・・スーパー・ツイーターの(クロスオーバーの)調整やら、スピーカーの角度やらを、いろいろ綿密にジリジリと微調整を繰り返したようだ。リキさんと僕に見せてくれた「調整メモ」(スピーカーを動かした位置を記録したのか、まるで何かの設計図のような・・・)には驚くやらあきれるやら・・・(笑)
いずれにしても、あの青い顔した幽霊・・・いやウーレイから飛び出てきた音は・・・「きめ細やかな上質な低音(ウッドベース、バスドラ)」「ふくゆかにしかもよく前にでてくる中音(テナーやチェロ、ヴォーカルなど)」という感じか。
だから・・・低音・中音・高音のバランスが、誠にいい具合になっている・・・ように感じた。このCDは3人~テナー、ギター、ベースというドラムレスの変則トリオである。ジャズの強烈にプッシュしてくるドラムのシンバル~例えばエルヴィン~がどんな風に鳴るのか・・・?
興味が湧いてきた僕は「あとはエルヴィンのドラムだね」と言ったような気がする。

そんな風にして始まった今回の藤井寺ミニ杜。お昼とかの間も、軽いものでも聴きながら・・・ということで、Yoさんがソニー・クリスの72年頃の盤からちょっとロック調のものなどを流す。僕はロック調がいまいち苦手なのですぐに厭きてしまう(笑)「もうちょっと前のソニー・クリスを」という僕のリクエストで、67年録音のThe Portrait of Sonny Criss(prestige) からsmileをかけてもらう。このバラード、出だしの部分をクリス一人だけで吹く・・・ソニークリスって、こんなによかったかなあ(笑)と思えるくらに、これはよかった。
録音もいい、と思ったらRVGだった。ラベルは黄緑色だったが、67年頃の盤なので、その黄緑ラベルがオリジナルかもしれない。
「いいねえ・・・」とか言ってるうちに、なんのことはない・・・ちっとも「音」が止むことはない(笑) 結局・・・11時から6時までほぼ7時間ぶっとおし、という怖ろしくも楽しい会となったのだ(笑) 

以下、かけたレコード・曲と、僕の勝手な感想を少し。
*デジカメはやはり持っていかなかったので、Yoさん、リキさんのオリジナル垂涎盤の写真はありません。この日、かかったレコードで僕が持っているものは、ジャケット写真を載せました。国内盤がほとんどです(笑)Yo_008_2

《写真は、fantasy custom盤》

Johnny Griffin/Kelly Dancers(riverside)
オリジナル盤(モノラル) と WAVE盤(ステレオ) から black is the color of my true love's hair
オリジナル・モノラル盤~グリフィンのテナーの中・高音域がややきつすぎというか、堅く感じる。リキさんも「ちょっときついかな・・・」と一言。しかし、テナーやベースがぎゅ~っとつまった、そして入力レベルが高そうなモノラルならではの密度感は凄い。                   「迫力ある音」が好きな方なら、やはりモノラルを選ぶだろう。
続けてかけたWAVEステレオ盤~モノラル盤だと、ロン・カーターのベース音が大きすぎて僕には「迫力がありすぎ」て、なにか違うベーシストのように感じたが、このWAVEステレオ盤でのロン・カーターは、右チャンネルからのちょうどいいくらいの音像で、テナーもぐっとまろやかになった。音場全体がすっきりとして、とても聴きやすかった。僕はもともとリヴァーサイドのステレオ録音が好きなので、余計にそう感じたのかもしれない。
WAVE盤は・・・クセのないマスタリング(だと思う)が、ある種、うまく録音されたcontemporaryでの楽器バランスに近い味わいがあるようにも思う。そうしてこの「バランスのいい誇張のない楽器の音色」を、Yoさんのシステムで実際に鳴らされると・・・Yoさんが以前から、「WAVE盤の素晴らしさ」を力説していたことにも、充分に納得がいくのだった。

Heren Merrill/Merill at Midnight(emarcy)から black is the color of my true love's hair(グリフィン盤と同じ曲です)と lazy afternoon
裏ジャケットに、若くてかわいい感じのメリルが写っている。たまに聴くメリルは実にいい。
続けて、ティナ・ルイス(concert hall)から1曲(曲名失念)
あの色っぽいジャケットから想像されるとおりの色っぽい唄い方・・・そして案外、どの唄もしっかりと唄っている。
モンローの唄~あのコケティッシュなキャラクターを演出している唄い方(嫌いじゃないのですが:笑)の色気の部分を半分くらいにして、あとの部分を
しっかりと唄いこんでいる感じ・・・女優さんとのことだが、唄は巧いのである。ちなみに、ティナ・ルイスは、例えば普通のポピュラー風オーケストラLPのジャケットに、モデルとしてその姿が登場しているだけでもかなりの価値があるらしい。ティナ・ルイスかあ・・・。

お昼前くらいに、少し軽いものを・・・ということでベニー・ゴルソンとフレディ・ハバードの「スター・ダスト」(82年だったかの録音)をかけた時、トランペットのピッチやら音程の話しになった。その流れでベーシストとしてはあまりピッチのよくない(であろう)ジミー・ギャリソンのベース音がが大きく捉えられているあのピアノトリオ盤~
Yo_004 ウオルター・ビショップJr/~トリオ(キングが出した時の国内盤)からsometimes I'm happy を聴く。このレコード、録音自体はあまりよくない。
ベースの音も大きいことは大きいが、「響き」の成分が少ない、右手で弦を引っ張った「近くで録られた」感じの音だ。ピアノの音も同様でもあまりいい音とは言えない。Yoさんに指摘されるまでは、この盤・・・それほど ピッチの事を気にしたことがなかった(笑)   《上の写真~左はキング盤。右は西独の1989年の再発盤》

だいたいがギャリソンを好きなので、多少ピッチが悪かろうが、ただ「ギャリソンが弾いている」という認識でしか聴いてこなかったようだ(笑) それからベースの音程もたしかによくないのだが、この盤では、ピアノ自体の調律がだいぶんおかしいようにも聞こえる。高音域の方がちょっとフラットして、なにか全体に「ホンキートンクっぽい」ピアノサウンドではある。
ピッチのズレうんぬんはともかく、人間が何かを聞く時、「あばたもえくぼ」的なことや「意識してない部分は、鳴っていても聞こえない」的なことと、それから、その「気になる部分」はこれまた各人で様々な局面があるのだなあ・・・というようなことを、再確認したことではある。

Tenor Saxes(norgran)
The Consummate  of  Ben Webster(norgran) から同じ曲:Tenderly
これは前回のミニ杜(マントさん)でも味わったが、全く素晴らしい音質の盤。同じNogranの貴重盤なのだが、なぜかオリジナルのはずの
Consummate よりもTenor Saxes の方が、はっきりといい音なのだ。テナーはもちろんピアノやらべースも明らかに鮮度が高い。不思議な盤である。

この後、Yoさんセレクトによる「ロリンズ特集」
Sonny Rollins/Saxophone Collosus(オランダ盤)から you don't know what love is
Way Out West (in stereo 盤)(緑ラベルステレオ盤)からway out west
Contemporary Leaders から how high the moon と the song is you
The Standard(RCA Victor) から my one & only love
Sonny Meets Hawk(RCA Victor)  から summer time
milestone all stars から in a sentimental mood

そして Harold Land/in the land of jazz(contemporary) から you don't know what love is
これはハロルド・ランドというテナー吹きの快演!あまり知られてないレコードだが(僕も未聴だった) このバラードは、品格がある端正ないいバラードだった。Yoさんいわく・・・「ロリンズのyou don't know よりいい」 この意見に僕も異論はなかった。ハロルドランドというテナー吹きも実にいい。Harold_land_fox

<補足>そういえば・・・Yoさんと最初にジャズの話題で盛り上がったのも、このハロルド・ランド話題であった。同じcontemporaryにはランドのいい盤がいくつもある。Carl's Blues~ランドが「言い出しかねて」をじっくりと吹き上げる~というのもいい盤だ。それから The Fox もいい。これは僕が、ランドの良さに開眼したレコードだ。   《写真上がFox。録音もいい》

Yoさんのシステムではもともと「よく鳴る」contemporary盤が続く。Yo_005_1
《右の盤は残念ながら国内盤・・・キングGXC3159。それでも充分に音がいい・・・と強がりを:笑》

Hampton Hawes/For Real から hip
どの楽器も素晴らしい音を発しているのだが・・・それでもやはり・・・ラファロのベース音!音圧・強さ・しなやかさ、そしてテーマ部分で、「ぐう~ん」とベースの音程を高い方にスライドさせる驚異の技!(右手で弾いた直後に左手で2つの弦を押さえている(ダブルストップという)その力を、ある程度残したままスライドさせているのだと思う) それからホウズのピアノタッチの躍動感、さらにハロルド・ランドの端正で案外にハードボイルドなテナーの音色、そうしてフランク・バトラーの切れの良さ・・・全てが素晴らしい。
最高の演奏と最高の録音を、まさに眼前で実感できたような気持ちのいい瞬間だった。
「演奏」の快感と「音」の快感が同時に味わえる~そんな感じだった。
それにしても・・・この盤はcontemporaryの中でも最高峰の録音だと思う。

JR.monterose/The Massage(jaro) ~この希少レーベルの青白のラベル、初めて現物を見ました。
Violets for your Furs~モンテローズは、やはり素晴らしい。好きなテナー奏者だ。なんというか「唄いっぷり」の
スケールがとてつもなく雄大なのだ。
じゃあ同じ曲を別のテナーで聴こうか・・・てな訳で、

Yo_006_1 Jutta Hipp/緑色のジャケのやつ(bluenote:liberty ラベル)から Violets for your Furs 
~liberty ラベルでも充分にいい音だった。このモノラル録音でのベース音(アブダリマリク)も、とても大きく弾むような豊かな音で入っていた。
《写真上は東芝国内盤》   こちらの「音像のでかさ」は、先ほどのロン・カーターの場合とは違って、僕にはそれほど気にならない。なぜかというと・・・
(もちろん推測だが)ウイルバー・ウエアやマリク、それからミルト・ヒントン、トミー・ポッターというタイプの場合は、もともと彼らがウッドベースから引き出す音が、「輪郭の大きな響きの音」のように思うからだ。使っているウッドベース自体が大きめのサイズだったり、弦の種類が羊弦(現在ではスチール弦が多い)だったり、右手の弾き方(はじきかた)などで、たぶん出てくる音像は違ってくるものだと考えられる。
これらのタイプと対照的なのは、もちろんスコット・ラファロ、リチャード・デイヴィス、ゲイリー・ピーコックやペデルセン(初期の)などである。
ウイルバー・ウエアの「音像の拡がった大きく響く音」と、ラファロやピーコックの「シャープにしまった音」とは・・・どうです?あきらかにタイプが違うでしょう。もちろん、どちらがいいとか悪いとかの問題ではないのだが・・・困ったことに僕は、どちらのタイプのベーシストも・・・大好きなんです(笑)

Zoot Sims with Bucky Pizzarelli(classic jazz)1976から what is this things called love
~ピザレリのように、ギター一丁で、バッキングの和音から、しっかりしたしかもノリのいいリズムまで出してくる名手がいたのです!
ギターソロでもコード(和音)中心のソロで、そのコードのパターンを、微妙に変えながら厭きさせない。そして、それまでのビート感を決して崩さない。
インテンポ死守!である。というより、さらにビートをなめらかな流れにしているようでもある。サックスとギターだけのデュオなので・・・ギターソロといってもギター独りだけになるわけで、その「ギター1台キリ」でのこの名人芸・・・ため息が出てしまう。

ここで、僕が持ってきたヴォーカル盤を2枚。Yo_001

Irene kral /better than anything(ava) から it's a blue world と this is always
この盤は大好きなのだ。アイリーン・クラールは、アン・バートンの次に好きになった「声」なのだ。フレイジングがちょっと個性的だがリズム感がすごく伸びやかで何を聴いても心地よい。好きだ。

tony bennette/cloud 7(columbia) からI fall in love too easily Yo_003

この盤には初期のベネットのジャズ魂が溢れている。チャック・ウエインのコージーなアレンジ、小粋なビート感、そしてベネットの若々しいあの「声」~僕がベネットを好きなのは、ベネットがあの「声」だからかもしれない(笑)この「クラウド7」は、ジャケットもなかなかいい雰囲気ではある。リキさんもジャケットは気に入ったようだ。

次に僕のリクエストでモンクのソロピアノを。thelonious monk/Alone in San Francisco から remember と everything happens to me        続けて brilliant corners。ここで・・・リキさんはやや苦しそう(笑)

そこで、次にリキさんセレクトのクラシックをしばらく続けた。
グルダ/バッハ:Goldberg Variations(columbia)
キャサリーン・バトル 歌曲
ミュウシャ・マイスキー(グラモフォン3LP)からバッハ/無伴奏チェロ1番
ベルリオーズ:幻想交響曲
モーツアルト:39番
モーツアルト:ハイドンのために創ったという弦楽四重奏~こういう四重奏は、(僕は)ステレオ録音が楽しい。右からちょっと内よりにチェロが聞こえるなあ・・・と思ってたら、リキさんがジャケットを見せてくれた。
そのジャケットに4人の奏者の演奏風景が写っており、チェロ奏者が右から2番目だ。その立ち位置・・・いや、座って弾いてるから「座り位置」か)とおりの定位で聞こえる。リキさんとしては、左右への広がり具合がありすぎるらsく、「もうちょっと4人が内側に近づいてほしい」とのこと。そういえばジャケットの4人はかなり近づいて、こちらを向いて座っている。その4人の中央辺りに、やけに長い「マイクの塔」みたいなのが鎮座している。
僕はまだクラシック自体にほとんど馴染みがないので、「弦楽四重奏」というものもそれほど聞いた経験はないのだが、「チェロ」が入っているとすごく聞きやすい。自分でも気がつくと「チェロを主体」に聞いているのだ。ジャズでも「ウッドベース」から聞いていく。ベースという楽器に相当に馴染んでしまっているので、どんな音楽を聴いても・・・底辺の組み立て、みたいな部分にどうしても興味がいってしまうのかもしれない。

Marty Paich/The Broadway Bit (warner brothers:ステレオ金色ラベル) から I've grown accustomed to your face と I've never in love before
ラファロのベース音は~このワーナー盤では録音自体がややエコー強めのためか~For Realと比べると、やや輪郭が甘く聞こえるが、
ビート感、音圧、ソロ、全てが素晴らしい。

Al Cohn/Cohn On The Saxphone(dawn)
dawnのオリジナル盤は、乾いた感じのやや固めのテナーの音。 バラード曲が多く、コーンがじわじわと吹きこむ地味だけどこれはいい盤だ。

Bill Evans/you must believe in spring からthe peacocks。続けて同じ曲、
Yo_007

Jimmy Rawles/The Peacocks(columbia) から the peacocks
最後に聴いたこのジミーロウルズの盤は、1971年の録音で僕はCD(ソニーのマスターコレクション)で聴いていて、中でもこのthe peacocksが、凄く好きになってしまった。ロウルズとスタン・ゲッツのデュオ演奏だ。全編にしみじみした情緒が流れているのだが、最高に「詩的」な場面が最後にやってくる。ゲッツが最後のテーマを終えるところで・・・(もう吹く息は、切れているのに)サックスのキーを「パタパタパタ・・・」としばらく鳴らしているのだ。どう聴いても・・・孔雀が飛び立つイメージにつながる。僕は、この粋なアイディアが事前に準備されていたとは思わない、いや思いたくない。ゲッツが息をきらす、まさにその瞬間に、「パッ!」と閃いたのではないだろうか? ジャズは素晴らしい・・・だからまだ止められない。

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2006年6月15日 (木)

<ジャズ回想 第5回> オフ会はいつも雨降り。

「ミニ杜の会 in 浜松&豊橋」持ち寄りレコード備忘録~

朝から雨降りの日曜日(6月11日)・・・ニーノニーノさんの「こだわりの杜」(BBS)でのお仲間である、マントさん宅と拙宅での「ミニ杜の会 in 浜松・豊橋」を敢行した。
そういえば・・・D35さん宅「ミニ杜」の時も、一日中、すごい大雨だったな。(5月7日/D35さん・リキさん・マントさん・bassclef の計4名。この時の様子はミニレポートとして「こだわりの杜」に書き込みをしたので、その一部をこの記事の最後に転載しておきます)

さて今回は、パラゴンさん・Yoさん・D35さん・それに私bassclef が、午前中からマントさん宅に集結した。三島方面から駆けつけたパラゴンさんは、気合も充分で、すでに9時半ころには着いていたそうだ。
全5名が揃い、やあやあとか言いながら・・・11:00頃にスタートした。みんなの持ち寄り盤から、1~2曲づつかけていこう、といういつもの作戦だ。以下、みなさんのセレクトを覚えている限り、まとめて紹介しようと思う。
僕の興味電波は、常にオーディオよりもレコードの方に向いているので、いつものごとく、どなたがどんな盤からどの曲を選んだのか・・・というレコード備忘録的な内容になってます。白馬の時もそうだったが・・・とにかく、凄い盤が続々と出てくるので、どの盤を見ても「欲しい・・・」という煩悩ばかりが渦巻いてしまって(笑)・・・とても精神の平静を保っていられなかったようです。そんな訳で、かけた曲目とその順番もはっきりとは覚えてません。曲目など訂正・補足などあれば、コメントなどでお知らせ下さい。なおデジカメも持っていかなかったので、皆さんの貴重盤は写真は撮れませんでした。この記事の写真は、bassclefの手持ち盤のみです。

まずは・・・<マントさん>のセレクトから~
*以下の「シェリーマンの一撃」の記事~その後、refugeeさんからのコメント欄にもあるように、MP3音源2種を入念にチェックしました。自分のレコード2種も先入観を捨てて再聴したところ・・・「歪み」という表現に自信がなくなりました(笑)要は「歪み」と「自分にとってのやかましさ」を混同していたのかもしれない・・・それなのに「断定的表現」は良くないなあ・・・と反省いたしましたので、一部を訂正・補筆します。<   >内が補筆分です。なお原文も見えるように訂正しておきます。

Andre Previn から始めることになった。
My Fair Lady(contemporary:モノラル黄色ラベル:大きい文字のジャケ)から get  me to the church on time~
そういえば、このA面1曲目の冒頭すぐの辺りで、いつも気にかかることがあった。プレヴィンのピアノが短くメロディを弾いた後、ドラムのシェリーマンがロールの後、「ガギ~ン!」とシンバルを叩くのだが・・・あの最初の強打音のシンバル音だけが「かなり歪んでいる」のだ。 <が、僕にはかなり「やかましく」聞こえるのだ。歪んる?の一歩手前くらいのうるさいシンバル音に聞こえてしまうのだ。>

<その感じは>これまで聴いた以下のどの盤でも~

King_my_fair_1 国内盤キング(ステレオ2種:薄ペラジャケのキング日本盤/キング1500円盤)。
米オリジナル・モノラル(My Fair Ladyの大きい文字なし)。
米オリジナル・モノラル(大きい文字でMy Fair Lady:今回の盤)。
~同じ箇所で同じように歪んで聞こえた。<僕には「やかましく」聞こえた。>(残念ながら「ステレオ・レーベル」は未聴)

《写真の上:「My Fair Ladyの大きい文字なし盤」。下:「薄ペラジャケのキング日本盤・1969年》

オーディオではなく、録音段階の問題だとは思うけど・・・と、その「歪み」<録音レベル過剰>のことを話すと・・・マントさんもやっぱり「やっぱり歪んでる?」と反応してきた。いずれにしても、このシンバル音を聞いて「あれ?」という感じを持っていた方は、案外いらっしゃるのではないだろうか。
まさかシェリーマンが叩いたシンバル自体が、あんな風に歪んでしまう<やかましい>ことはないだろう。あとの方ではそんな場面もなかったし、その歪みも<やかましさ>は、やはり録音時に入力オーバーした<のレベルが高すぎた>ような感じに聞こえる。プレヴィンがルヴァート気味に静かに弾くピアノの後・・・突如現れるあの1打目のシンバル強打・・・その入力過多に録音機械が耐えられなかったのかもしれない。<音楽の「静」から「動」へという場面にしても、あのシンバル音は、やや大きすぎるように聞こえてならない。>
パラゴンさんは「そういうことって、けっこうあるよ」~だからそう気にしないよ~という余裕の反応だったのだが、僕などまだまだ未熟者なので・・・あの名手シェリー・マンがそんなに「強く叩きすぎるはずはない」との思いもあり、その「録音レベル設定の失敗」を50年も経ってしまった今、「名手、ロイ・デュナンともあろう人が・・・」と、悔やんだりしているのだ(笑) 

GiGi から aunt alicia's march (だったかな?)のステレオレーベル盤(黒ラベル) 僕の持ってるGigiは普通の米contemporary盤(OJCより前に出てたやつ)なのだが、マントさん所有のこの盤には、「STEREO白抜き楕円」が誇らしげに輝いている。う~ん・・・ちょっとうらやましい。
こちらの盤は、録音が本当に素晴らしい。プレヴィンのピアノが左側、レッド・ミッチェルのベースの大きな鳴りが、中央やや右側の少し後ろの方から聞こえてくる。それからドラムの気配が生々しい。スネアを「コン!」と打ったような音などの響きの余韻がキレイに中空に残るような感じの音だ。
それから・・・2枚の 垂涎的10インチ盤。
Lester Young と Johnny Hodges の Collates(mercury) だ。この2枚は、以前(5月7日)にD35さん宅での「ミニ杜」の時に、見せていただいた。ジャケットはもちろんストーン・マーチンで、10インチの白地に「薄めの青っぽい色」を効かせた見事な出来映えのイラストだ。
まずは、レスターヤングから(Tenderly だったか?)
これはベースもサックスもしっかりと大きく聞こえる。10インチの盤というと、時代そのものが古くて「遠いような録音」という場合が多いが、このmercury 盤は、だいぶ録音がよさそうだ。特にテナーの音はよく響くしっかりとした音で入っているようだ。
ホッジスの10インチからはTenderly・・・これも何度聴いてもやはり・・・素晴らしい。ジャケットの「ウサギ」も本当にチャーミングなのだ。

<パラゴンさん>
Pat Moran/~Trio(audio fedility)から Making Whoopee
美人の女性が~いやあ・・・脚しか写ってないのだが(笑)~赤いヒールをピアノの鍵盤に乗っけているあのジャケット・・・これが見事なコーティング仕様で、しかもgatefoldジャケなのだ! センターラベルは銀色だった。AF(Audio Fedility)は、音がいいことを売りものにしていたレーベルなので、見開きジャケの内側には、何やらレコード溝やら周波数特性のような図が満Mant_2載されていた。こんなメカ的な図説よりも、ラファロの写真でも載せてくれよ!と言いたくなる(笑)
スコット・ラファロのベースはいつ何を聴いても・・・やはり凄い。ラファロの鋭いタッチ~弦に指を引っかけてから、その弦を引っ張る時のスピードの速さ~みたいなものが、充分に感じとれる音だった。それにしても・・・いいジャケットだ(笑)
《写真は、bassclef手持ちのCDです。プラスティック・ケースが哀しい》

Rita Rice のJazz Pictures(オランダ・フィリップス盤)から cherokee~
何、かけよう?パラゴンさんが「チェロキーを」。・・・するとすかさず「チェロキー?唄うの?」と、Yoさんが尋ねる。僕は一瞬、何のことやらわからず。チェロキーはチェロキーである・・・と思ったのだが、そういえば、ヴォーカルヴァージョンでの「チェロキー」は聴いた記憶があまりない・・・いやほとんどないぞ、そういえば。だから・・・ヴォーカルものもたくさん聴いているYoさんにしてみれば、あの曲に歌詞なんてあったのか? という疑問をすかさず持ったわけだ。どんな歌詞だろうね?と皆で言ってる内に・・・一箇所だけだが「チェロ~キ~!」という場面があった(笑)

<D35さん>
Ann Richards/Many Moods of Ann Richards(capitol)から by myself
このCapitolのステレオ盤(虹ラベル)は、キラキラするようなステレオ録音だ。D35さんの「ゴージャスという感じの音だね」という
表現に激しく同意した。ゴージャスといっても、派手でドンシャリするような録音じゃあない。各ブラスや管の楽器がよく分離して
端正にきれいに鳴ってくる、そうしてアン・リチャーズの、正統的な唄いっぷりにピタリと合う・・・そんな感じのいい録音なのだ。
僕はcapitolの音が嫌いじゃないなあ・・・といつもそう思う。なんというか音に「余裕がある」のだ。3000ccのクルマですかね。

Henry Mancini/Pink Panther(RCA Victor)~このVictorのDynagroove盤は、本当にいい音だ。
60年代中期の「アメリカ的代ステレオ録音の見本」という感じかもしれない。ビッグバンドがきれいに左右に広がる。
そして・・・あの「テナー」があの「テーマ」を吹く。このテナー奏者は・・・プラス・ジョンソンである。
あのちょっと「笑いを抑えたような風情」は、プラス・ジョンソンにしか出せない。以前、何かのコメントでも書いたが、
<もし、このピンクパンサーのテーマがコルトレーンだったら>どうです?あの生真面目なトーンでこのユーモラスなテーマを吹かれたら・・・
すごい違和感があるでしょう(笑) でも・・・そんなサウンドもちょっと聴いてみたい(笑) 
僕はマンシーニが大好きなので、RCA Victor盤はけっこう持っているのだが・・・このPink Panther はまだ未入手の垂涎盤だ。ジャケットの豹のイラストもとてもかわいい。

<Yoさん>
Nogranの The TENOR(オムニバス)から
Ben Webster のTenderly
Flip Phillipsの I didn't know what  time it was
このNorgran盤は、テナー奏者の音源を集めたオムニバスのはず・・・しかし、やけに音がいい。テナーだけでなく他の楽器も全てクリアで粒立ちのいい音色なのだ。その辺はマニアの方はよくご存知のようで、普通は比較的割安なオムニバスものだが、この「TENOR」は、音も価格も別格だそうである。ジャケットは、もちろんストーン・マーチンである。素晴らしい!
それから・・・出ました!Benny Green の bluenote 1599。
あの青い笑顔のSoul Stirin'だ。これは僕も大好きな盤なのだ。
テナーにジーン・アモンズも参加、ピアノのソニークラークも端正なタッチを聞かせてくれる誠にソウルフルな傑作である。
かけた曲は・・・That's All ~思い切ったスロウテンポのバラードだ。

<bassclef>~EP盤(clef)から2曲ほどかけてもらった。Dscn1336
Flip Phillips  but beatiful ~このところ、この人のテナーにまいっている。レスターヤングよりもう少し新らしめの感覚のフレーズで、特にバラードをゆったりと吹き進めるフィリプスには独自の美学を感じてしまう。ゆったりとそよ風にたなびくかのような優しい音色・・・。好きなテナーだ。
EP盤からもう1曲は~Stan Getz   time on my hands~真の名演である。
あと1枚は、ホッジスの10インチ盤に続けてかけてもらったのだが、
Johnny Hodges/plays the prettiest Gershwin(verve:stereophonicラベル) から someone to watch over me~たぶんmercuryの録音からは10年ほど後の録音のはず。ホッジスもだいぶアッサリ加減になっているようで、ストリングスをバックに軽く吹いているようで、これはこれで聴きやすい。

ここでちょっとこんなのを・・・ということで、パラゴンさんの手持ちから~弘田三枝子の 78cm45回転のオーディオマニア向け盤、タイトル失念(笑)オビには「マニアを追い越せ・・・78/45の音!」とかなんとかのコピー。演奏曲目は、ポピュラーチューンとジャズっぽい曲ばかりで、ちゃんとしたジャズオーケストラのちゃんとしたアレンジだ。一流スタジオミュージシャンがきっちりと決められた音」を弾いたような演奏にのって、しかし弘田三枝子も職人的巧さで唄っていた。かけた曲は・・・失念(笑)何か有名なポピュラー曲だったような・・・。「You're the sunshine of my life」だったかな?

マントさん:「お昼の前に、これじゃあ・・・(笑)」(弘田三枝子の唄はさすがに巧かったのですが、あまりに「狙った」内容の盤だったので)ということで
「重いジャズ」をいきましょう・・・と、私:bassclef 手持ちのCD(残念!)からFreddie Redd の Shades of Redd(bluenote)~米キャピトルが出したbluenote connoisseur sereisというボーナストラックが付いていたシリーズ)
この盤・・・少し前に refugeeさんのブログで、フレディ・レッド(p)の記事が出て(jazzカテゴリーの5月16日付)そのコメントでのshaolinさんのお勧め曲がこの1曲目~Thespian だったのだ。僕は、Time to Smile (the connectionのB面1曲目)という曲を挙げたのだが、このShades of ~もCDで持ってはいた。Dscn1338
そして、この曲:Thespianを何度か聴いてみて・・・改めてこの曲の魅力にはまってしまったのだ。
スロウなテンポでバラード風のテーマなのだが、ちょっと変わった曲なのだ。とにかく・・・8分音符が何小節も連続して続く。しかもその8分音符一個一個をたっぷりとテヌートを効かせて吹いているので・・・なかなか「途切れる」箇所がないのだ。・・・つまり息をするところがない(笑)
だから4小節ほど吹いたところで、2人の管奏者~マクリーンとティナ・ブルックス~が、ここぞ、とばかりに「っすはあ~っ!」という息継ぎをするのだ。
まるで水泳選手が水から浮き上がって慌てて息を吸うような感じで・・・。その「っすはあ~っ!」という音が、微笑ましくもあり気高くもある(笑) 
そんな思索的・哲学的・宗教的ですらあるこのバラードは、その恐怖的8分音符連続テーマが終わると、同じテーマのまま倍の速いテンポ~
いわゆるハードバップっぽいノリになる~そうして、今度はマクリーンも。ようやく何かから開放されたかのようにのびのびと、うれしそうにアルトを吹き始めるのだ。それにしても、こんな凄い曲~管奏者にとってはまさしく死に物狂いにさせられる曲だろう~を思いつくフレディ・レッドという人とは・・・。
ところでこのThespianという曲~テナーとアルトで奏でる重くて陰鬱な空気、それから途中で倍テンになったりする~そんな構成自体や全体に流れる雰囲気が、モンクの「ブリリアント・コーナーズ」にちょっと似ているようにも思う。ひょっとしたら・・・レッドはモンクのあの曲から、ヒントを得たのかもしれない。Shades of Redd・・・ぜひ聴いてみてほしいアルバムではある。

お昼の後は、クラシック本線のマントさんのリクエストもあり、まずクラシックから。

<Yoさん>
ジャクリーヌ・デュ・プリ(アルバム名失念)(EMI赤ラベル)Elgarの曲~
これは・・・鮮烈なチェロ!鮮烈な音楽!という感じだ。鋭い感性の人間の途方もなく一途な感じが・・・音の合間に漂う。後半の方で、デュプリが倍テン(いや、ジャズじゃないぞ:笑~3連だか16分音符の連続)で弾くような場面あたりから、音楽は異常に盛り上がってくる・・・。
グレン・グールド(columbia:マスター・ワークス)~録音はいい。digitally recordedと書いてあったので、比較的新しい録音だろう。クラシックはほとんど聴いてないのだが、この曲(曲名失念)でのルバート的な長い導入部を聴いていて・・・この人の何かこう・・・自分の内部に入っていくような思いつめたような感じのピアノには・・・「孤独」みたいなものを感じた。そしてそういう内省的なピアノには、すごく惹かれるものがあった。ちなみにグールドもよく唸るそうだ。モンク、パウエル・・・自己い内向していくピアノ弾きは・・・どうしても唸ってしまうのだろうか。そういえばビル・エヴァンスのレコードでも
よく聞くと・・・曲にあわせて「ム~・ウ~」と小さくハミングしてるような声が聞こえる演奏がいくつかあったように思う。(consecrationsで顕著)

<パラゴンさん>
Abbey Lincoln/That's Him (riverside ステレオ黒ラベル)からstrong man~
イントロからロリンズの個性的なトーンが・・・。ロリンズ好きな僕などは、あのロリンズの音色とフレーズ~唄伴であってもほとんど関係なくロリンズ節なのである~が出てきただけで、もうすぐに嬉しくなってしまう。
Peggy Lee/black coffee (10インチ盤:英Brunswick)
これがまた異様に生々しいペギーリーの声。やけにマイクに近く唄ったのか、まったく
すぐそこで唄っているような感じなのだ。これは凄い。ペギーリーを特に好んではいないが・・・
ペギー信者がこの「声」を聴いたら・・・この英10インチ盤を強奪したくなるかもしれない(笑)
このあまりに有名なBlack Coffee・・・ハズカシナガラ、僕は持っていないのでちゃんと聴いたことがなかった。
ピアノがJimmy Rowlesだと、本日初めて知った次第です(笑) 

Dscn1334そうしてそのJimmy Rowles・・・たまたま、彼のリーダーアルバムを持ってきていたのだ。bassclef手持ちから~
Jimmy Rowles/Weather In A Jazz Vane(andex/VSOP復刻)から some other time

andexのオリジナル盤など持っているはずもなく(笑) これはvsop復刻盤なのだが、けっこう音がいいのだ。ビル・ホルマンや、ハーブ・ゲラーらがリラックスした雰囲気のロウルズ色を演出している。地味だがとてもいい内容の盤だと思う。復刻盤でこれくらいなら、いい盤質のオリジナルで聴いたら音の方もさぞや・・・と思える1枚である。Burtoncoming

Gary Burton /something coming (RCA) からon green dolphin street
これはVictorのきれいなステレオ録音で、チャック・イスラエルのベースが鮮烈に入っている。ちょっとおとなしめのベーシストのはずだが、
かなり強めの音に聞こえて迫力があるのだ。ギターのジム・ホールも「柔らくも芯のある」あの独特なトーンで迫ってくる。このVictor盤の音質は・・・マントさんのシステムの、どちらかといえば細身で硬質な音に、とても合って いたように思う。

第1部(マントさん宅)では、14:45をタイムリミットと決めていた。もうそろそろ時間切れである。ここでパラゴンさんは、また一人、三島方面へ帰っていく・・・。お疲れさまでした。Yoさん・D35さん、bassclefの3人は、豊橋の拙宅まで向かう。


第2部(bassclef宅)~pm4~pm5:30
ここではだいたい以下のような曲をかけた。

<Yoさん>
ernie henry/presenting(riverside)  から  gone with the wind
sonny rollins/way out west”in STEREO" から  solitude
Johnny griffin/way out(riverside)  から cherokee
bill evans/I will say goodbye(warner) から the peacocks
(続けてbassclef手持ちのCDから)
Jimmy Rowles/the peacocks(columbia)  から the peacocks~これはスタン・ゲッツとのデュオ演奏だ。心に染み入ってくる素晴らしい演奏だ。

<D35さん>同じ曲で比べてみたい、とのことで~
henry mancini  pink panther 
Ann Richards  by myself

<bassclef>
Henry Mancini/Hatari! (RCA Victor) から the sounds of Hatari ~
打楽器とブラスの織りなすサウンド・スペクタクルだあ!(月並みな表現で
すが:笑) 僕の機械では、この録音に入っている「本当のダイナミズム」みたいなものは、おそらく出てないだろうなあ・・・と思わせられる凄い録音(だと思う) 
Mancini '67 からsatin doll
~エンディング部分で、明らかにレイ・ブラウンだ!と判るフレーズが飛び出てくる。というのは・・・以前、<夢レコ>に載せたビクター国内盤には、ミュージシャンのクレジットがなかったのだ。だから、聴くたびに、これはレイ・ブラウンだろうなあ・・・と思っていたのだ。ちょうど遊びにきていたkonkenさんも「ああ・・・レイ・ブラウンだねえ」とニンマリ。
Bill Perkins/Quietly There (abc Riverside)から Quitetly There ~3月の<夢レコ>にて紹介した盤です。

Anita O'day  Don’t Be That Way ~あまりヴォーカルを聴かない・・・はずだった僕もこの頃はなぜかヴォーカルも聴くようになった。なかでもアニタ・オディのこの盤はけっこう気に入っており、聴く度にアニタの鮮やかな唄い口にノックアウトされてしまうのだ(笑) センターラベルは、T字のVERVE INC.でモノラルのしっとりと分厚い音が悪くない。 自分の予感としては・・・この先、徐々に、徐々に、ヴォーカルの方へも踏み込んでいきそうではある。Dscn1339_1 いやあ・・・困ったものだなあ・・・(笑)

《5月7日のD35さん宅でのミニ杜の様子:bassclefのコメントから》

みなさんのかけた盤・・・D35さんの分が、さきほどのレポートでは断片的になってましたので、まとめて紹介しますね。

エラ/like someone in love(verve) ~エラのバラード集とも言える。よくやるスキャットなど全くなく、しっとりとしたいい曲ばかりのレコードだ。
途中、いいサックスだなああ・・・と思うと、スタン・ゲッツかあ!という仕掛けなのです(笑)
裏ジャケットをよく見たら、テナー(のソロ)はゲッツ、アルトのソロはテッド・ナッシュということを新発見した。

アン・リチャーズ/the many moods of Ann Richards(capitol) 1960
~ステレオ/モノラル盤から by myself~キャピトルの場合・・・僕は、ステレオ盤の方が好みだった。キャピトルの録音は、落ち着いて地力のある録音という感じがする。それでいて、細かい打楽器系やトライアングルみたいなかわいい音もキレイに聞こえるような気がする。

ポリー・バーゲン(columbia)~columbiaのキレイなステレオ録音をバックにポリーの外見に似合わない意外にも太い声(というか濃い響き)が、豊かに鳴ってました。
D35さん・・・ドラマティクに唄うポリーバーゲンを本当に好きなんですね。

リー・ワイリー/west of the moon (RCA Victor) 1956 から east of the sun(だったかなあ?
D35さん、違ってたらすみませんです:笑)
~その前にかけた10インチ night in Manhattan(1951)でのワイリーの歌声に比べると・・・やはり声が「年食ったなあ・・・」とリキさん。リー・ワイリーは、バーバラ・リーにも似ているねえ、という
話しも出たりした。ほとんど声を張り上げない、古きよき時代のノスタルジックな唄い方なのかもしれない。

ジェイムス・テイラー/mad slide slim(warner) ~テイラーの声だけでなく、アコースティックギターの優しい響きもよかったです・・・。

ヘンリー・マンシーニ/ピンクパンサー(RCA Victor)dynagroove
~これ、いい音でしたね。どの楽器もクリアに軽快に聞こえてくる、思わず楽しくなってしまう・・・ステレオ的ミュージックというか・・・そんな感じだった。マンシーニ、やっぱりいいですね(笑)みなさんの持ち寄り盤だけ少々・・・。
リキさん~エラのcrap hands:3種<Verve Stereophonicラベルの2種(ラベルの違いはちょっと説明しづらいです:笑)とクラシック復刻盤。音の傾向は、3種で見事に違いましたね。2番目にかけたstereophonicラベル盤が、1番目より、もうちょっとベースやドラムが前に出てきて、好みではありました。
>リキさん、2番目は、どちらのsterephonicでしたかね?(笑)
ジュリーロンドンのliberty盤:12インチ(ターコイズラベルの1st)と同じジャケの7インチ
クリス・コナーの12インチと7インチ。
同じジャケットが大・小で並ぶと・・・チャーミングなものですね(笑)揃えたくなる気持ちは充分に判ります(笑)
リー・ワイリーの10インチ盤(columbia)これに
有名なnight in Manhattanが入ってました。
クラシックの方でGAMBAという人の指揮/ロンドンsymphony?の英デッカ盤。この盤・・・もうやたらとダイナミックレンジが凄い録音で、フォルティシモでオーケストラが鳴る場面では~日曜日の昼間でも心配するくらいの~それは凄いヴォリュームが出ました。あの小~大の音量差というのは、なかなかジャズにはないかもしれない。

マントさん~見せていただきましたっ!10インチ盤2枚・・・あれはもう・・・正しく芸術品ですね。
デヴィッド・ストーン・マーチンのジャケット見てるだけで・・・幸せでした(笑)
ジョニーホッジスの collates#2 と
レスターヤングの collates#2
共にmercuryの10インチ~しかもジャケットもいわゆるミント(と呼べるだろう)ジャケットのイラストの青い色が・・・ちょっと淡い色調で、品があってキレイでした・・・(ため息)
クラシックでは、白馬で登場の「すごい録音盤」のカラス。エラートの仏10インチ盤~フォーレの曲:ピアノと男性バリトン? これも録音がナチュラルできれい。もう1枚のクラシックは・・・独グラモフォンの・・・?(>マントさん、すみません・・・つづりとか出てきません(笑)よろしくどうぞ)

bassclef~D35さんのヴォーカル、トラッドフォーク路線の好みから、合いそうかなあ・・・と思って持っていったのは・・・
バカラック(A&M)のmake it easy...とreaching out。RCA Victor盤のデスモンド/マリガン。
アニタオディのAnita(Verve)、あとジャケットがキレイなFunny Face(Verve:青ラベル)~ジャケットがオードリーの目・鼻・口だけのアップのやつ。唄は・・・かわいく唄ってました。リキさんは・・・オードリーも案外嫌いじゃないみたいでした(笑)
ペッパーは、僕が個人的にもリキさんに聴いてほしかった・・・最晩年のgoing home(galaxy)~ピアノのジョージ・ケイブルスとのデュオでペッパーがクラリネットを、独特の押さえたような音圧で吹く~ごく個人的にはこの曲(82年録音)でのピアノの音は・・・
凄く良かった!録音の新らしめのものが装置にあったのか・・・この直前に前述のクラシック大音量が鳴った後で、スピーカーがこなれてきた?ためなのか、とにかく、このケイブルスのピアノ、ペッパーのクラリネットの、淡々とした中にも温かさが感じられるいい音でした(盤は普通の国内盤だったのですが)
1957年ペッパーの「モダン・アート」(東芝盤LNJ)からbewitchedも聴いてもらいました。

装置のことは~38cmの同軸(アルティック)と300Bの真空管2本、マッキンのプリとのこと(すみません。マランツの#7復刻でした)~置いといても、D35さんが、日頃からとにかく「ヴォーカル」を気持ちのいいナチュラルな音で聴きたい、と言われているその通りに、ヴォーカルは・・・エラ、リー・ワイリー、アニタ・オディ、アン・リチャーズ、それからリンダ・ロンシュタットまで、どれも気持ちよく自然な肌合いの「声」で聴けました。もちろんアリアのカラスや男性バリトン(テノール?)もムリのない余裕のきれいな唄で、クラシック苦手な僕にも、抵抗なく聞こえてきました。
やはり、その人の装置のキャラクターというものは、「その人に合う」ようになっていくものなんでしょうね。前半でかけた、あれ、あの盤・・・。
ジェイムス・テイラーのMad Slide SlimからのYou've Got A Friend...あのテイラーの、頼りなげなような、でもしっかりと温かい唄の声・・・よかったですね。控えめに叩くパーカッションもきれいに鳴ってました。あのテイラーの「優しい雰囲気」は最高に出てましたね!

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2005年10月24日 (月)

<ジャズ雑感 第10回>熱いベース奏者たち(B面) スコット・ラファロのあの音。

ラファロとペデルセン~ジャズ・ベースの最もスリリングな瞬間。

その1:オーネット・コールマン/the art of improvisers(atlantic)

ornette_imp
<The Alchemy of Scott Lafaro>1961年3月録音。~ラファロの錬金術、錬金術士ラファロという感じの意味だろうか。

これは、コールマンのいろんなセッションからの未発表テイクが集められたのオムニバスLPだ。コールマンも嫌いではないが、とにもかくにもスコット・ラファロ参加の~当時、オーネット・コールマンと何回かセッションした~1曲が収録されていたので、78年に入手したのだ。マーティン・ウイリアムスの裏解説によれば、この1曲は「RPDD」というLPの時のセッションらしい。
この<The Alchemy>・・・何度聴いても・・・掛け値なしに凄い。何がどのように凄いのか・・・あたりまえのことだが、まずその演奏そのものが凄い。ムチャクチャに速めのテンポ~1分:180以上220以上のテンポだと思う~をものともせず、一音一音を強烈なピチカットで、弦を引っ張っていく。ややつっこみ気味のノリだが、全くもたれない。8分強の長さだが、最初のテーマと最後のコールマンとチェリーのデュオ状態からテーマの部分を除いて、このムチャクチャに速いテンポを最後までキープしている。ベースが全体を引っ張っていくような凄いビート感だ。速いだけじゃない・・・ベースの「鳴り」がまた凄いのだ。このテンポで、こんな風に一音一音を、きっちりと弦をひっぱり切って鳴らすのは、容易なことではない。コントラバスの右手のピチカットというのは、クラシックの奏者が「上につまみあげる」のに対して、ジャズの場合は「弦を横方向にひっぱり倒す」のだ。コントラバスでは、人差し指、中指、あるいは2本の指を同時に、弦に引っ掛けて、体の内側に引っ張り込むような感じで引き込む。そうすると、その指が手前側の弦に当たって止まるのだ。(例えば・・・D線を引っ張った指は、A線に当たって止まる) ガットギターを弾く方には、「アポヤンド」と言えば判りやすいかもしれない。この時の「指の引き込み具合」で、強い音になったり弱い音になったりする。この<The Alchemy>でのスコット・ラファロののベース音は・・・指を引き込む時のスピード、強さもタップリ加わった「強烈ピチカット」だ。そんな「素晴らしいベース音」が、左チャンネルからギシギシと飛び出してくるのだ。(後述のペデルセンの録音と比べると・・・録音時のベースの音圧がちょっと低いようだ。それがちょっと残念ではある)   それにしても・・・こんな凄みのある演奏、そしてギシギシとしたベースの音色は、そうめったやたらには聞かれないぞ。
このコールマンのオムニバス盤は~ジャケットの抽象絵画は、オーネット自身の絵だ~他にもいいテイクが収録されており、なかなか捨てがたいアルバムである。コールマン・アレルギーのない方なら、ぜひ聞いてみてほしい。
ちなみに、ラファロの高速4ビートが聴かれるテイクはまだまだある。

その2:
Victor Feldman/The Arrival of Victor Feldman(contemporary) 
<BeBop>1958年録音。
今度は右チャンネルから、ラファロ特有の「重くて・・・しなりながら・・・うねる」ようなベース音が噴き出してくる。コンテンポラリーの素晴らしい録音で、「音圧」も充分だ。
3分弱の演奏なのだが・・・これもテンポはバカっ速い。ただ、この「速さ」は、61年のコールマンとの<Alchemy>に比べると・・・若干だが、突っ込みすぎというか、やや余裕のなさが窺える。でも・・・ラファロ好きの僕など、その強引さ・不安定さも含めて、こういう類の「ベースの躍動感」を目の当たりにするだけで、もううれしくなってしまうのだ。その「爽快感」に思わず笑ってしまうほどだ。
そうして、ラファロのベースの音色は、もうこの初期の頃から、全く個性的な「音色」なのである。あの「しなり・うねり~ビート感」の秘密は・・・ピチカット(弦をはじく時)の「人指し指と中指の振り方のスピード」にあると思う。ラファロの「振り」は相当に速いような気がする。4ビートでのベースの演奏は、普通の場合、1小節に4分音符を4つ弾く。つまり4回、弦を弾(はじ)くのだが、「振りスピード」が速いということは・・・前の4分音符を充分に伸ばしきってから次の4分音符を弾ける、ということになる。音符の一つ一つを、普通よりも「長く伸ばせる~テヌートがたっぷり効く」から、ああいう独特のビート感が生まれてくるのだろう・・・と睨んでいる。野球でも、いいバッターほど、球を手元まで引きつけられるのだ。それは「スイング」が速いからだ。そうして、スイングが速いほど・・・「キレ」が出る。そんな風に「弾き方」が速いだけでなく、ラファロの場合、多分・・・ピチカットする際に、指を弦に深く指を当てているように思う。深く当てた方が、その弦を引っ張る時のパワーも余分に必要なはずなのだが、それらをものともせず、腕の力・腹筋の力・さらには体の芯から湧き上がる「気」みたいなものを、指先に伝え、弦を巻き込むように引っ張る。そんな一連の動作の全てが作用して、あの、「しなるような、うねるような音色とビート感」を作り上げているのだと思う。
スコット・ラファロ・・・聴けば聴くほど、本当に怖ろしいほど凄いベーシストだ。

さて・・・ペデルセン。ペデルセンのことは・・・完成された「巧すぎる」ベーシストだと思っていた。75年頃からのペデルセンは、とにかく完璧なピッチ(音程)、完璧なフィンガリング、そして甘い音色、何を聴いても、もうただただ「巧い」と感じるだけで・・・ジャズのガッツみたいな味わいには乏しいタイプ、という意味で、それほど好んでは聴いてこなかった。しかし・・・このペデルセンの最初期の録音を聴いてみて・・・もう本当に「凄い」ベーシストだということを実感したのだ。
その3:
サヒブ・シハブ/サヒブズ・ジャズパーティー(black lion:徳間) 
<Forty Seventy Blues>1963年10月、カフェ・モンマルトルでのライブ録音。DSCN0750

少し前から、この盤は「ベース音がすごい」ということで、いろんなHPで何度か話題になっていたように記憶している。よく「~が凄い」と言われるものを、期待して聞いてみると・・・案外に、たいしたことないなあ、ということもある。しかし・・・この盤のペデルセンのベースは・・・本当に凄い。ペデルセンが17才の時の録音ということで、後年のペデルセンのややソフトな音色とは別物の、荒くて強いピチカットの「豪音」といってもいいくらいの凄まじいベースの音色だと思う。前述のスコット・ラファロを好きな方なら・・・このペデルセンの「引き締まった、しかしグウンと伸びる音」にも、ラファロと同質の「凄さ」を感じるはずだ。ペデルセンの右手ピチカットの「引き込み具合」も、ラファロと同じく、充分にスピードと強さを載せたピチカットだと感じる。テンポに余裕がある分だけ、ラファロの<The Alchemy>より、さらに音色に「重さ」があるとも言える。この音圧たっぷりのベース音が、これまた左チャンネルから飛び出してくる。文字通り「飛び出してくる」ようなこの「ベース音」~強くて硬質な重い音が出るような、そういう弾き方をしたベーシストが、正に楽器から出したであろう「音色」と、それが生々しく録音された「音」の両方を含めての「ベース音」です~この音に、のけぞらない方は・・・ジャズにおけるウッドベースの「おいしさ」に気付いてない不幸な方かもしれない。僕の手持ち音源は、残念ながらCD(徳間)だが、解説によると原盤は、デンマーク・デビューとのことだ。再発のCDで、これほどの音なら・・・オリジナルのデビュー盤なら、いったいどれくらいのベース音が聴かれるのだろうか・・・身震いがしてくる。

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