クインシー・ジョーンズ

2007年5月 7日 (月)

<ジャズ回想 第11回>(その2)ああ・・・この音だ。Yoさん宅、再・再訪期。

Yoさん宅~3人の音聴き会は、まだまだ続く・・・。

ちょっと前に、ニーノニーノの新納さんからTELがあり、ピーターソンのWe Get Requestsの「モノラル溝あり」の音は凄いですよ・・・と教えてくれた。「ええっ!T字MGM-VERVEに溝があるんですか?」「はっきりしないんですが、初期のT字にはあるらしんですよ」
僕など、いわゆるT字ラベルの場合「long playing(Verve Inc.)には溝がある」が「MGM-VERVEになってからは溝がない」と思い込んでいたのだが、そうではなかったのだ。T字MGMになってどの辺りのタイトルまで「溝あり」が存在するかはよく判らないが、ともかくT字VERVEラベルの初期のいくつかには「溝あり」があるらしい。Dscn1687_1
そうして自分の手持ち盤をいくつか調べてみると・・・Night Train(V6-8538:T字MGM)には、はっきりと幅の広い溝があったのだ。そして、Requests(V6-8606:stereo)の方はというと・・・とても溝とは言えないわずかな段差のある「筋」(T字の横棒の左右の1cmほどを通っている直径7cmほどの円周)」があるだけだったのだ。
《上の写真では「筋」だか「溝」だか判りにくいが、下のラベル写真と比べると明らかに「溝」とは違う。残念である(笑)》
ちなみに、この「筋」は、普通の大きさの円周だが、Trio Plays(V6-8591)のセンターラベルの「筋」は、3cm弱の円周とうんと小さい。だから「溝」なしにも「大筋」「子筋」とあることになる(笑)

このRequestsがいわゆる 「優秀な録音のレコード」ということは知ってはいた。しかし、オーディオ的な興味の薄かった僕は、かえってそんな評判への反発もあり(笑)あまりちゃんとその音を聴いてなかったのかもしれない。アンプを真空管に、そしてスピーカーをJensenに換えた頃から、だんだんとピーターソン自体を聴くようになり、そうして改めてこのRequestsを聴きなおしてみると・・・これがチャーミングないい音だったのだ(と、気づいただけなのだが:笑) もちろん「音」の前に、演奏が素晴らしいことは言うまでもない。どの曲でも、レイ・ブラウンやエド・シグペンという名人たちが、その至芸をさらっと見せてくれるのだが、特に、1曲目のボサノヴァ風の quiet night がいい。この曲のエンディング・・・同じ和音パターンの繰り返す辺りで、ピーターソンが高音部で「遊ぶ」のだが、その意図的に軽くしたようなタッチが、実に、小気味いい。このレコードでは、1曲が短いこともあり、いつものピーターソンよりだいぶんあっさりした感じでもあり、それがまた僕には気持ちいい。軽めのタッチではあるが、しかし、しっかりとキーを叩いている」~そんな感じのタッチの質感を凄くよく捉えている録音だと思う。もちろん、レイ・ブラウンのウッドベースの音圧感・存在感も充分に出ている。そして、このレコードの録音engineerは、いつものVal Valentineではなく、Bob Simpsonとなっているのだ。Simpsonは、ハリー・ベラフォンテなどRCAでの仕事が多いようだが、Bill Evans/Trio 64(verve)や、ミンガス/ミンガス、ミンガス、ミンガス(impulse)なども彼の録音らしい。僕は、このRequestsの音が好きだ。

そんな「いいステレオ録音」のRequestsに、「モノラル・溝あり」があったとは・・・。同じ頃、Yoさんとのメールやりとりでも、そのRequestsの話題になり、Yoさんは「ステレオ・溝あり」をすでにお持ちで、なんと「モノラル・溝あり」も、つい最近、入手されたとのこと。Request_st_1
「じゃあ」ってんで、その3種・・・
ステレオ溝なし~bassclef
ステレオ溝あり~Yoさん
モノラル溝あり~Yoさん
を聴き比べしてみよう!ということになっていたのだ。

僕はすぐに3枚のセンターラベルをぐぐっと見つめた。Yoさんの2枚には確かに「幅の太い溝」がくっきりと彫りこまれている。これこそ「MGM-Verveの溝付き」だ!《センターラベルの写真2点は、Yoさん提供》
さっそくこの3枚を聴き比べてみた。Request_mono

先にステレオ盤の2枚をかけた。この2枚・・・右からのレイ・ブラウン、左からのエド・シグペン、そして中央(やや左か)からのピーターソン・・・音場の感じは全く同じだ。音質の方も、大きな差というのはなかったかもしれない。しかし、「全体としての鳴り」が・・・やはり「溝あり」の方がよかったのだ。ピアノがどう、ベースがどう、ということではないのだが・・・それぞれの楽器の音色に、より太さが、より艶が、そしてより瑞々しさが感じられたのだ。

そしてモノラル盤。ベースが中央により、やはり、かなり「太く」なった。ピアノの音自体も幾分、大きくなったようだ。一聴して、迫力はやはり増している。このモノラル盤が鳴ったらすぐに、僕の右隣に座ったkonkenさんが「オレ、この方が好きだな・・・」と一言。
そして・・・このモノラルの太さ、たくましさは充分に判るが・・・やはり「オレはステレオの方が好きだな」とbassclefが対抗する(笑)
Yoさんも、「このピーターソンのレコードに関しては・・・ステレオの方が好みかな・・・」と洩らす。
僕個人の気持ちとしては、先ほど書いたような、このレコードの「軽めのタッチ」「あっさり感」という感覚が、モノラルの方だと「たくましく」なりすぎてしまうような気がして、ステレオ録音のベースが右、ピアノが左、というちょっと薄め(とも言える)の音場の中で、軽々とノッているような感覚・・・説明しづらいのだが、そういう「軽み味」には、ステレオ盤の方が「合っている」というような、ごく感覚的な理由で、ステレオ盤の方がいい、ということなのだ。
それにしても、自分の手持ちRequestsは「溝なし」であることがはっきりしてしまったわけで、少々、落胆した。あのわずかな筋~段差を、無理やりに「溝」かもしれんぞ・・・と思い込もうとしていたのかもしれない(笑)

ピーターソンをもう1枚~Night Trainから1曲聴く。konkenさんのステレオ盤では、なぜかレイ・ブラウンのベース音がやや小さく聴こえるそうで、その点をYoさん宅で確認したかったとのこと。聴いてみると・・・左チャンネルのレイ・ブラウンのベースが、やや押さえ気味のバランスで、他のVerve盤で聴かれるいつものレイ・ブラウンと比べても音圧感が物足りない。
konkenさん手持ちステレオ盤は、ラベルの色が灰色っぽいもの(小筋)で、やや後期の再発盤かもしれない。
音全体がちょっとこもったような録音のように感じる。いずれにしても、先ほどのRequestsに比べると、だいぶん平凡な音だと思う。そして、レイ・ブラウンに関してはどちらかというと「よくない録音」かもしれない。
ちなみに僕も戻ってから、さっそくこのNight Train(ステレオ溝あり)も聴いてみたが・・・やはり同じようなバランス・音質で、ちょっと残念であった。ただ、このレコード・・・レイ・ブラウンが遠い代わりに、右側からのエド・シグペンのドラムスは、けっこう迫力のある録音だ。ハイハットがしっかり(ちょっとやかましいくらい)入っており、バスドラもちょっとこもり気味だが、音量豊かに鳴る。ドラムス好きには楽しめるレコードかもしれない。録音は1962年、エンジニアは、Val Valentineだ。

そういえば、もう1枚、強く印象に残っているピアノ・トリオの盤がある。
バリー・ハリス/Breakin' It Up(argo) all the things you are である。
この渋いピアノトリオのレコード、僕はCDとビクターの国内盤(ステレオ)を持っていた。
bassclef~「録音があまりよくない印象」に対して、Yoさん~「いや、そんなことはない「録音そのものはいいが、ピアノ自体がちょっとよくないのかもしれない」というようなやりとりがあった。そして、Yoさん宅で聴かせてもらったArgo のオリジナル盤(モノラル)では・・・う~ん、確かにピアノの響き、その余韻に若干の「古ぼけた」ものを感じたのだ。スタジオに置いてあったピアノの調弦が微妙にずれていたのかもしれない(ピアノというのは1つのキーに対して複数のスチールの弦(太い針金みたいなもの)を使っているのだが・・・その複数の弦のたった1本のピッチが微妙にずれている~そんな風に聞こえないこともなかった。よくホンキー・トンク・ピアノという表現で、場末のバーのピアノから聴かれるあの独特の「くたびれサウンド」あれが・・・調弦のずれたピアノの音、といえば雰囲気はお判りいただけると思う。もちろん、このバリー・ハリスの使ったピアノは、そんなにホンキー・トンクはしていないが、部分部分で、時にちょっとそんな響きを感じたのだ。あまり状態のよくないピアノだったのかもしれない。
そんなところまで~つまり「録音の拙さでのイマイチのピアノの音」ではなく「ピアノ自体の状態の拙さ」での、あのちょっとくすんだようなピアノ音~というところまで判ってしまった(少なくとも、そういう風に感じ取れてしまった)のだ。それにしても、このYoさんのシステムは・・・そのレコードのサウンドを聴けば、その時の演奏、そして録音の「真実」までもが、その場に暴き出されてしまうような・・・そんな「怖ろしい」装置だと言えるのかもしれない。

さて、この会・・・「その1」で書いたように、冒頭のラウズ3連発から、ほとんどテナー特集と化していった。

ラウズ(epic)の2枚とtakin'care(jazzland)の3連発
ズート・シムス/ズート!(riverside)白ラベル fools rush in
ベニー・ゴルソン/the other side of~(riverside)  jubilation
ジミー・ヒース/really bag から ?
ジョニー・グリフィン/Big Soul Band(riverside)から
deep river, jubilation 
ロリンズ/at the village vanguard(bluenote) softly as in a morning surrise
<ゲッツの Plays~聴き比べ>
JRモンテローズ/The Message(jaro)
straight ahead と violets for your furs
コルトレーン/coltrane(prestige)NY  violets for your furs
テディ・エドワーズ/It's About Time(pacific) fools rush in
エディ・ロックジョー/Tranckin'(prestige:青・イカリ RVG)
there'll never be another you
フリップ・フィリプス/I'll never be the same(ClefのEP盤)

どれもこれもいい演奏のものばかりで、これらのいくつかを続けてかけたり、もちろん間にヴォーカルなどを入れたりしたのだが、さすがにテナーばっかりではねえ・・・てなわけで「ミニ・アルト特集」となった。
フィル・ウッズである。

Dscn1695_1 Quincy Jones/Quintessence(impulse) A面1曲目のQuintessence~

この曲~ちょっと北欧の雰囲気が漂うような優雅なメロディだ~僕はもう大 好きである。
そして、この曲でフィルウッズのアルトが、もう巧さ爆発!何度聴いてもこの曲は厭きない。
輝くようなバックのブラス群の乗ってフィル・ウッズが唄い上げる。
このimpulseのVan Gelder録音は、特に好きだ。強すぎず、甘すぎず、適度な輝きと張り具合~バンドのメンバーが巧い人ばかりなのでそこのクインシーのアレンジが合わさって、ゴージャスなビッグバンドジャズが楽しめるいい1枚だと思う。

ウッズのもう1枚~Alive & Well 60年代後半の「激情ウッズ」の有名盤だ。この欧州オリジナル盤はジャケットも封筒型(上下が裏側に折り返している。全体に紙質が薄くて、その薄さに品がある)で、人気も高いらしい。
1曲が長いのだが、ウッズは最初から激情している。そして、途中のベースソロが・・・これはまたすさまじい音だった。アルトが鳴っている間は、ドラムのダニエル・ユメールも叩きまくるので、さすがにベースがちょっと隠れがちだが、ベースソロのなったとたん・・・録音技師がグンッとフェーダーを上げたに違いないのだが(ドラムの音も止み、入力オーバーにならないので)突然、ベースが巨大化する。
そして、サポートするリズムがない状態で、ベース特有の幽玄な世界に入っていく。このベース奏者、とにかく「熱いハート」があるなあ・・・ジミー・ギャリソンが時々見せるような「フラメンコ奏法」に近いような弾き方を混ぜて、堂々としたソロを展開する。この場面での音は・・・生のベースかもしれない。3人で聴いたが、この1968年頃は・・・ウッドベースに付けるアタッチメント(駒に貼り付けるタイプの小さいマイク)を付けた音なのかどうか微妙に判りにくい。生音をうんと近づけて録音したような音でもあるし、アタッチメントからの(電気的)音の配分を少なめにしてアンプから鳴らしているような音でもあるし・・・はっきりしない。だがひとつ言えるのは、ヨーロッパのべーシストはとにかく「巧い」ということだ。アタッチメント付きだったとしても、その前にまず、「ベースがよく鳴っている」 「しっかりと弾いている音」 「きちんとした音程」~そんな技術的な基礎がしっかりしているベースの音なのだ。一音一音のタッチに力感・質感がしっかりとあり、だから聴いていて全然、不快ではない。
1975年くらいのペデルセンも「巧い」ベースの代表だ。一時期のライブでは、どうしてもアタッチメント全開の電気的サウンドになったようだが、レコードではやはり「いい音」を出している。
そしてYoさんのウーレイは、こういう巧い奏者の音をひときわ甘く、そして音楽性豊かに鳴らしてくれるようだ。Jwalking ともう1枚のsteeple chase盤(ドラムスがビリー・ハートで、ギターが若いジョン・スコのやつ)を聴いたのだが、この装置で聴くペデルセンは、とにかく気持ちがいい。そういえば、1年半ほど前に初めてYoさん宅を訪れた折にも、たしかこのペデルセンのJwalking(LPとCD)を聴かせてもらったな・・・この日、聴いたのもやはり、カルロス・ジョビン作のFelicidade・・・甘い中にサウダージ(哀愁)を感じさせる見事なメロディ・・・好きな曲だ。そしてこの曲を選んで、ベースでメロディを弾くペデルセンのセンスにも素晴らしいと思う。
ちなみに、もう30年前のことだけど、このJWalkinにはちょっと思い出がある。ジャズ研の先輩ギターのケニー・マー坊氏の好きなレコードで、このLPの中の”J Walkin"にトライしていたので、何度も聴いたはずなのに・・・その頃にはペデルセン=巧いだけでおもしろくないべーシストという、全くレベルの低い思い込みで、深く聴こうというスタンスさえなかった。あの時、すでにボサノヴァ好きだった僕が、このFelicidadeを聴いていたならば・・・僕のジャズの好みというのは、どうなっただろう? そんな意味のないことを考えてしまう僕である。
ペデルセンということで、僕が持ってきていた1枚もかけてもらう。Dscn1696_1
ピーターソン/Great Connection(MPS/テイチク)just squeeze me 1971年録音。
この頃の録音盤をあまり聴かない僕なのだが、このレコードは例外的に好きな1枚だ。ペデルセンのたっぷりとしたベース音が軽くグウ~ンと伸びる様が、実に気持ちいいのだ。ベースという楽器の胴体や、弦の芯が鳴ってからの、アタッチメント増幅音なので(だと思う)軽々しくは聞こえない。
やはり、ペデルセンは本当に巧い!
ルイス・ヘイズの切れのいいシンバル音、そして軽めに弾くピーターソンの艶やかな音色とタッチ感(音圧にまだまだ余裕がたっぷりあるような感じ)も素晴らしい。そんな「好録音」のピアノトリオ盤なのだ。
それにしても、テイチク盤でこの音なら、MPSオリジナルならさぞや・・・(笑)

僕の手持ち盤から、もう1曲、お願いする。
Dscn1694 Blues For Tomorrow(riverside)~a sad thing
この1曲は、ハービー・マンのリーダーアルバム(great idea of Western Manne)からだ。このsad thing でのバスクラの音を聴いた時、「ぞぞ~ッ」とした(笑)もちろんハービーマンが吹いているのだが・・・怖ろしいほど透徹したような音色なのだ。a sad thingというタイトルからも覗(うかが)えるように、マンがそういう風に吹いているのだとも思うが、録音されたこの「音」も凄い!バスクラ自体をそれほど聴き比べる機会もないが・・・この音に、僕は驚いてしまったのだ。そしたら・・・この1曲(1枚)は、riversideにしては珍しい西海岸の録音で、マンの西海岸ツアー時にロスで録音されたとのことだ。どうりでいつものriversideの音とはちょっと肌合いが違ったわけだ。それにしても、ハービー・マンという人、たまに吹くテナーも巧いし、バスクラもこんな音で鳴らす・・・すごい才人だったのだろうな。

さて、この会。インストばかり聴いていたわけではない。ヴォーカルものを大好きなkonkenさんが、いい盤を持ってきたので、随所にそれらを混ぜながら進めていった。(以下4点は1144ross_2konkenさん提供)

Annie Ross/Gypsy(world pacific)から 
Overture 
Everything's C oming Up Ross

Darlene/The Nearness Of You(epic)1314_darlene_2

《このepic盤は、以前にrecooyajiさんに教えていただいたもので、それを気に入ったkonkenさんが速攻で入手した》

Greetje Kauffeld/Clifford : Sings To A Tribute To Clifford Browon(オランダomega)から1336kauffeld

I remember Clifford 《konkenさんのお気に入り盤。しっとりした風情のあるいい歌い手だ。70年代後半のオランダ録音だが、音は瑞々しい感じもあり、とてもいい》

Marlene/Marlene(savoy)から
Some Oter Time
If I Love Again

1322marlene_1 どれもよかったのだが、やはり、savoyのマーレーンは素晴らしかった。優しくて柔らかいマーレーンの声も、丁寧な唄い方も、そしてハンク・ジョーンズのバッキングなど全てが素晴らしい。以前、リキさん宅でこのマーレーン(僕の手持ちは、残念ながらAudiophileのreissue盤)をかけた時も、Yoさん、リキさん「いいねえ」とうなずいたなあ・・・そういえばあの時、リキさんが一言。「このトランペット、なんでこんなにエコーが・・・・」そう思って聴くと・・・たしかに、このレコードでのジョー・ワイルダー、いい感じで唄の合間にフレーズを入れるのだが、いかんせん・・・エコーがかかりすぎだ。やっぱりRVG録音だなあ(笑)
この「エコー」だけはちょっと気にはなるが、savoyのヴァン・ゲルダーは、適度に柔らかく、そしてベースやドラムスの音がtoo muchではなくて、ちょうどいいバランスなのだ。僕は、savoyでのヴァン・ゲルダーの音・・・嫌いではない。

こんな風に3人でいろいろ聴いていると、知らぬ間に・・・もう陽が落ちかけている。なぜそれが判るのかというと・・・二つの巨大なウーレイの1mほど後方の壁の高い位置に小窓があって、そこにはいつもカーテンがかけられているのだが、どうやらその方角が西側らしく、陽が落ちてくると・・・いつもそのカーテンが濃いオレンジ色に染まってくるのだ。そのオレンジ色を見ると「ああ・・・もう夕暮れかあ」という気持ちになってしまう。6時にはおいとまする予定だったので、もうあまり時間がない。こりゃあ、いくら時間があっても足りないや(笑)そんな僕らの気持ちを見てとったか・・・「僕はもうちょっと遅くなってもいいですよ」と、Yoさんが助け船を出してくれた。「いやあ・・・それは・・・」と恐縮するkonkenさんと僕。しかし・・・その恐縮にはあまり迫力がない(笑)ほとんど「そうしてもらっていいですか?」という雰囲気が顔に出ていたのだろうと思う。「ちょっと休憩がてら外で軽く何か食べて、それからまた少し聴きましょう」というYoさんのありがたい申し出に乗っかった格好で、それでは・・・pm9:30をリミットに第2部をやりましょう!ということになった。いやあ・・・これはうれしかった(笑)実際、その方が夕方の渋滞からも逃れられるし・・・いや、それよりなにより、もうちょっとこの音を聴いていたいのだ・・・よかったあ! Yoさん、ありがとう!

そうして第2部(pm8~9:30)でかけたのは・・・
エラ~
Songs In A Mellow Mood(decca)~
米decca:ジャケが灰色でなく青っぽい色のやつ。若いエラがちょっと前田ビバリに似ている(笑)
英brunswick(エラの声、輪郭がやや細くなるが気品を感じる。若くてきれいになったような感じ)

アン・バートン~
ballads & burtonとblue burton を Artoneのオリジナル、Artoneの2nd?(2枚組の1976年の)とオランダCBSの盤で聴き比べをしてみた。
Artoneのオリジナル~ballads & burtonは、瑞々しさがいっぱいでやはりいい! ところがblue burtonの方、これはどうやら・・・プレス段階の不具合らしいのだが、ヴォーカルやピアノやらの音圧が上がった箇所で「歪む」のだ。ちなみに、同じArtoneを2枚買ったパラゴンさんによると、やはり2枚とも、同じ箇所で「歪む」そうだ。2ndでは「歪まない」。
Artoneの2nd?(2枚組の1976年の)~悪くない。ただ、やはりベースのキレが、ややなくなったような感じはある。
オランダCBSの盤(blue burtonのみ)~歪まない。けどちょっと鮮度が落ちたかな・・・。

サラ・ヴォーン~
swingin' easy(emarcy) p :ジミー・ジョーンズ、b :リチャード・デイビス、ds:ロイ・へインズ、 
After Hours(roulettte) 伴奏はドラムレスで、b:デュビュビエ、g:マンデル・ロウなどであった。

Swingin_sarahここでは、swingin' easy(emarcy) のことを少しお伝えしよう。
このemarcy盤・・・サラが椅子に座っているジャケットで、あまり知られているレコードではないように思うが、むちゃくちゃいい音だった。サラの声だけでなくドラムのブラシのざわざわ感や、ベースの音圧、ピアノの艶・・・鮮度感もたっぷりの文句なしにいい音だった。サラもこの頃は、まだ可愛げがあるかな(笑)
《上と下の写真2点~Yoさん提供》

Yoさんが、polka dots & moon beamsをセレクトする。
実はこのバラードには、とんでもない場面があった。知っている方は知っているアレだ(笑)
ピアノのイントロから、サラが情感込めて静かに歌いだしてすぐ・・・全く唐突に「ドタっ!」という音が鳴ったのだ!それもかなり大きな音だ。その「ドタッ!」の、あまりの違和感に、3人とも思わずスピーカーの方を振り向いた。「何? 今の音・・・」 もう一回聞いてみる・・・「ドサッ!」はっきりと聞こえる。・・・どうやら何かが落ちたような音か・・・いや・・・バスドラの音だぞ・・・と、僕は言う。だとしたら・・・この「ドサッ!」は、ロイ・へインズの「演奏」なのか? いや、どう聴いても・・・この音は、意図した音には聞こえない。鳴るタイミングもあまりにも中途ハンパの場所だ。
「音楽」になってない。だから・・・演奏での音ではないだろう、と僕らは推測をした。
では、なぜあんな音が鳴ったのか?
konkenさん~ロイへインズの単純ミス説<たまたま右足を降ろしたら・・そこにバスドラ・ペダルがあった>
(笑)
bassclef~ロイ・へインズのミスはミスだが「バスドラ・ペダルのチェック説」
つまり・・・<ペダルの踏み具合を何気なくチェックしようとして(鳴らすつもりではなく、軽く踏むだけのつもりだったのだが、足が勝手に踏み込んでしまった>(笑)Swingin_sarah_l
《補足》このロイ・へインズの「ドサッ!」については、その後、konkenさんから、素晴らしいコメントをいただいた。「あれはミスではなかったかも・・・polka dots~という曲の中の歌詞(bump:ドスンという音/人がぶつかること、というような意味)に合わせて、ロイ・へインズが意図的に出した音だろう」という「新発見」である。コメント欄もぜひお読みください》

それにしてもサラ・ヴォーンは偉い。バラードの出足にあんな音響が鳴ったというのに、動じることもなく、そのまま唄い続けてしまう・・・プロですね。
いや・・・それでもあの「音」の後に、すっと振り返り、ロイ・へインズを睨みつけたかもしれない(笑) そうしてロイ・へインズの右足が凍りついていたのかもしれない。
実際・・・この曲では、もう2度とバスドラの音は鳴らなかったのだから(笑)古いレコードの中に潜んでいた、こんなエピソードと共に、この会もようやく終わろうとしているのだった。

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2006年11月29日 (水)

<やったあレコ 第7回>アート・ファーマー/The Last Night When We Were Young

<ABC paramountのプロデューサーは、クリード・テイラーだったのだ>

少し前にABC paramountというレーベルのことを書いた。
トロンボーンの「アービー・グリーンの緑色の盤」を<やったあレコ>として取り上げたのだが、その折、ABCレーベルに特有の「ギザエッジ」や「テストトーン」のことも書いたので、そちらが強調されてしまったようで、なんだかABCレーベルというのはゲテモノじゃあないか・・・と思われてしまったかもしれない(笑)
でも、それは違う。
ABC paramountは、趣味のいいレーベルなのである。そしてそのプロデュースは、ほとんどCreed Taylorである。
この名前は・・・CTIレーベル絡みで、いやというほど聞いたことがある。
今でこそ、ウエスのものやらポール・デスモンドなどCTIものも、それなりに楽しんで聴けるのだが、当時はどちらかというと「よくない方の代表」くらいに思っていた人物である(笑)
しかしながら、このクリード・テイラー氏。
ABC時代(1956年~1960年くらいか)には、実になかなか渋くていいレコードをあまた残しているようなのである。
僕はビリー・テイラーの諸作、アル・コーンの入ったキャンディド諸作以外には、それほどABCを持っていないのだが、いろいろ思い浮かべてみると・・・
前回のアービー・グリーンやトニー・スコットにしても・・・
そう、ABC paramountは、趣味がいいのだ。
その証拠に・・・こんなレコードもある。Dscn1521_3















<Art Farmer/Last Night When We Were Young>(ABC-200)
まずジャケットが実にいい。唐突なシーンではあるが・・・レンガが敷き詰められた庭園で正装したカップルが踊っているのである。写真はRoy De Caravaという人だが、cover design by Fran Scott とも記されている。ちなみにこのFran Scottという人は、トニー・スコットの奥さんだそうである~前回「テスト・トーン話題」のサンプルとして挙げたスコットの「South Pacific」という盤の裏解説にそんなことが書いてあった。
くすんだような色調なので、薄暮のようでもあり、あるいは夜が明けようとしている頃のようにも見える。
周りには人気がない。おそらく・・・長いパーティーがようやく終わって、それでもまだ帰りたくない2人が、誰もいなくなったその邸宅の庭で、思わず踊りだしてしまった・・・楽団もいないのに。そんな情景のように見えるのだ。

そして、そんな場面に聞こえてきてほしい音楽~ジャズが、正にこのアート・ファーマーのトランペットなのだ。乾いたような、いや、聴きようによっては濡れたようにも聞こえる・・・いずれにしても、実にしっとりとした、なんとも魅力的なトランペットの音色である。
ファーマーという人は、もうこの「音色」だけでいい(笑)そんな感じだ。そんな「音色」が、つつましやかなバックの弦付きオーケストラの手前に、ぽっかりと浮かび上がってくる。
テーマを吹くのは、ファーマーただ独り。どの曲でもファーマーがテーマをじっくりと吹き、短いソロ~といってもちょっと崩すくらいだ~を終えると、再びテーマを吹いて終わる。曲によってはハンク・ジョーンズのピアノが少しだけ出てくるが、どの曲もそんな判で押したような展開である。しかしながら・・・これが不思議に厭きない。なぜなのか?
たぶん・・・このレコードが、アドリブの巧さやアレンジの妙を聴く音楽ではなく、「ファーマーの音色」を聴く音楽だからである。
ファーマーがあの金管から生み出した、柔らかくてしっとりした「音」。そしてそれが、ABCのどちらかというと乾いた感じの録音と入り混じって、なかなか微妙な味わいのあるトランペットの音になっている。
僕などは、その音を浴びるだけで「ああ・・・生きててよかった」と思ってしまうくらいに気持ちのよくなってしまう音色なのだ。
そうしてその「音」は決してスラスラとではなく・・・考えあぐんだ後に、ためらいがちにポツリポツリと発せられる。Dscn1522

大げさな感じが全くないクインシー・ジョーンズのアレンジが効いているようだ。おそらく・・・クインシーは、ファーマーの「しっとりとした音色」~それだけでどうにも魅力的な~この「音色」をどうやってうまく生かそうか? そのことだけに焦点を絞って、アレンジを施したように推測する。
いずれにしても、簡潔でそして実に品のいい音楽である。

特にいいのが、やはりタイトルにもなっている B面1曲目~last night when we were young だ。この曲、シナトラは2回吹き込んでいる。1954年の capitol(Wee Small Hours)と1965年のreprise(September Of My Years)だ。僕はcapitolのシナトラが好きなのだが、こと、この曲の味わい深さにおいては~「唄」自体の巧さやら声の強さは54年(38才)の方なのだが~
65年の49才のシナトラも悪くない。ちょっとだけ声がよれそうになったりするところに、逆に哀しい味わいを感じたりするのだ。これは・・・自分も年をとっているということなんだろうな。そういえば僕も今、49才だった(笑)

もう1枚、ちょっといい盤がある。
Tom Stewart/~Sextette,Quintette(ABC-117:1956年)というレコードである。Dscn1523_2















ジャケットを見ると・・・何やら見かけない楽器を抱えるようにして座っている男がトム・スチュアートなる人物なのだろう。オールバックのやや頑固そうな風情である(笑) そして、クレジットにはTENOR HORNと書かれている。
テナー・ホーンて何だい?
一聴すると・・・トロンボーンである。この楽器・・・僕は、このレコードを聴くまでは、ほとんどその名前さえ知らなかった。そんなこちらの疑問に応えるかのように、裏ジャケにはちゃんと "THE TENOR HORN" というタイトルもあり、トム・スチュアート自身の言葉による説明がしてあった(笑)
ちょっと抜粋すると~(以下《   》の箇所)
《テナー・ホーンについてちょっとだけ。これはバリトンやユーフォニウムの小型版だよ。キーはBbで大型のホーン楽器と同じ音域があるし、それに音色が柔らかくてキツクないんだ。僕はヴァルブ・トロンボーンより好きだね。だって「サウンドとイントネイション」のことでヴァルブ・トロンボーンでは発生するいろんな問題(僕にはだよ)が、このテナー・ホーンでは起きないからだよ。ジャズを演奏する時にも、こっちの方がバリトンサックスより小さくていいな。まあでもテナーホーンというのは、時代遅れの楽器だし、学校や軍楽隊にあるかどうかだろうね》

~そんな楽器だそうである。だけど・・・聴いていて特に独自な音色に感銘を受けるということはない(笑) ほんのたまに聴く、ジュリアス・ワトキンスやジョン・グラース(ペッパー絡み)のホルンのような感じに近いかもしれない。

そんなことより(笑)このレコードの聴きどころは・・・スティーブ・レイシーなのである!
ちょっと前に、ブログのお仲間:notさんのブログにレイシー話題が出た。その折にこのABC盤に「レイシー参加」という情報をnotさんから得ていた。その後、入手したものなのだが、これが実によかった!(special thanks to Mr.notさん!)Dscn1524
僕はいわゆるフリージャズは聴かないが、レイシーのあのソプラノのサウンド~これもサウンド自体に惹かれるのだが~が好きで、特に初期のギル・エヴァンス(ビッグスタッフ、あるいはギルエヴァンス&10)の中にちらちらと聞かれるレイシーのソプラノには、いつもぞくっとしたものだ。Columbiaのモンクの未発表音源を集めたWho Knows(2LP)でも、ソロはないがバックにちらと聞こえるレイシーらしきソプラノが聞かれる。
そんなスティーブ・レイシーのうんと初期の頃のソプラノが、このレコードでは、もうたっぷりと聴けるのである。やってる曲がスタンダードばかりなのもうれしい。

A面~5曲
Tom Stewart(tenor horn)
Steve Lacy(soprano sax)
Dave McKenna(piano)
Whitey Mitchell(bass)
Al Levitt(drums)
B面~5曲
Tom Stewart(tenor horn)
Steve Lacy(soprano sax)
Herbie Mann(alto flute,tenor sax)
Joe Puma(guitar)
Whitey Mitchell(bass)
Bill Bradley(drums)

レイシーのソプラノのあの「不思議な音色」が、スタンダードなメロディ・コード進行の下で鳴ると・・・より一層、その独自さが浮き彫りにされるようで、瞬時にレイシー独自の世界が現れてくる・・・そんな感じだ。特に好きなのが、A面2曲目の Gee,Baby,Aint't I Good To You だ。
このちょっと気だるいような雰囲気のメロディをレイシーが吹き始める。レイシーの音は、吹奏的に決して弱いわけではないが、伸ばしたソプラノの音が、なぜだかゆらゆらと揺らぐような不思議な感覚がある。そんなレイシーの持ち味に、このGee Babyは、もうぴったりの曲だと思う。
蛇足だがこの曲、最初に「いいなあ」と思ったのは、ソニー・クラークのトリオもの(bluenote)からである。あのヴァージョンも、やはりスロウなテンポで、もの哀しいような雰囲気のソニークラークであった。
それから・・・たしかズート・シムズが唄っているヴァージョンがあったはずだぞ・・・あれは何のレコードだったかなあ?

それにしても、このレコードの持つ「浮遊感」みたいな新しい感覚は、1956年という時代を考えると、なんとも不思議なレコードではある。
先ほどのトムの裏ジャケの述懐によれば、レイシーとは1955年頃からちょくちょくセッションしていたのだが、半年ほど前にABCのプロデューサーのCreed Taylorが、テナーホーンとソプラノを入れたサウンドなら《「とても独自なスタイル」のグループができるよ》みたいなアドヴァイスがあって、このレコードを吹き込むことになったらしい。数週間のリハーサルの後、このレコードを吹き込んだとのことだが、こうしてできあがったものを聴くと、バンドの個性というよりも・・・「スティーブ・レイシーという人の独自な個性」を、見事につかみ取ることができるレコードになっているように思う。
たぶん・・・クリード・テイラーとしては、とにもかくにも「スティーブ・レイシーを世に出したかった」というのが、本音のところだったのではないだろうか。

ABC paramountには、まだまだ「ううむ・・・」と唸るような渋いレコードがまだまだありそうだ。
また次の機会にでも(笑)

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2006年10月28日 (土)

<ジャズ回想 第8回>ニーノニーノさんのオフ会 大阪・神戸秋の陣。

10月7日、西から東から14人が藤井寺Yoさん宅に集まった。

<当日かけたレコードのジャケット写真を、Yoさんが送ってくれましたので、BOSEさん提供分も含めて、いくつか追加しました。ジャケットのみの写真がYoさん提供分です。マクレエのこと、少し追加しました。10/31>

福岡のオリジナル盤通販専門店ニーノニーノの新納さん主催の「杜の会」~会とは言っても特に主義主張があるわけでもなく、もちろん何かの誓約書を書かされるわけでもない(笑) ただ単に「音楽を好きな人間が集まっていい音楽をいい音で聴こうではないか」という集いなのだが~2006年の信州:白馬で、新納さんがこう言った。「次は・・・ぜひ九州と本州の方が一緒に集まりたい。そうとなれば・・・集結の地は大阪しかない。Yoさん、ぜひお願いします!」・・・一同、どよめく「おおっ・・・」
春から夏へ・・・その間、大阪(藤井寺)の会場となるYoさんがいろいろと考えを巡らせ、初日にYoさん宅、翌日はメリケンさん宅、その後、神戸のジャズ喫茶Just In Timeさん~という段取りである。お盆の頃には、日程が10月7日(土)・8日(日)と決まった。その頃の「杜」の書き込みから、この「杜の会」が自然と「大阪・神戸:秋の陣」と呼ばれるようになっていった。秋の陣~西から東から大阪に集結する落ち武者たち・・・いや、諸国の武将たち、といった趣ではないか(笑)

そうして先日、ついに「杜の会」が催された。九州からは、DUKEさん(新納さん)、音の匠さん、CROWさんご夫妻、BOSEさん、PSYさん、M54さんと7人。(PSYさんとM54さんは、7日の夜(宴会)からの根性の参加!)
本州からは、群馬のRoxanさん、静岡のパラゴンさん、マントケヌーマーさんと彼女。愛知からのD35さん、konkenさん、それにbassclefの計7人。
皆さん、それぞれに苦心惨憺のスケジュール調整をされての決死的参加なのである(笑)

愛知組の3人は、私:bassclefが朝6時に豊橋を出発。岡崎(konkenさん)~東海市(D35さん)と合流。よしっ、3人で一路、藤井寺へ!と
気合こめて出発。運転はkonkenさん。亀山辺りまで少し混んだが、その後は快調。走るクルマなので飛ばす、飛ばす。10:30頃にYoさん宅に到着した。
笑顔で迎えてくれた奥様に「また来てしまいましたあ(笑)」などと訳の判らん挨拶しながら、2Fへ上がっていくと・・・なにやら聴いたことのある歌声が・・・おっ、これは? 部屋に入ると、Yoさんとパラゴンさんが嬉しそうな笑顔で迎えてくれる。
「やあやあ」・・・と6月以来の再会だ。パラゴンさんは、根性の夜行バスで早朝の大阪入り。8時前には着いていたそうで、もうすっかりこの部屋に馴染んでいる(笑)
パラゴンさんといえば・・・ヴォーカルだ。テーブルの上にはヴォーカル盤ばかり並んでおり、すでにいろいろと聴いてきたようだ。Out_of_the_blue
そうして一番上にあったのが、キャロル・スローンのOut Of The Blue(columbia:ステレオ盤。これはYoさんの手持ち盤) だ。 そうかっ!このレコードだったのか、と嬉しくなる。このレコード、僕の手持ちはモノラル盤(カナダ盤)だったので、ステレオ盤を一度、聴いてみたかったのだ。カナダ盤でもけっこういい音だと思っていたが・・・やっぱりこのレコードは録音も相当にいいようで、ステレオ盤もふくゆかないい音で鳴っていた。どうにもステレオ盤も欲しくなってしまうなあ(笑)
<右上の写真が、Yoさん提供のステレオ盤。下の写真は、僕のカナダ盤。maroon/siliverラベルの「6つ目」も悪くない:笑>_006_2

Spring Is Here(ロブスター) they can't take that love away from me
偶然にもキャロル・スローンの現代盤~78年録音のspring is here(ロブスター)を持ってきていたので、1曲(they can't take that away from me)かけてもらう。
ムラーツのベースが絶妙な巧さを見せる1曲だ。録音はやはりいい。しかし・・・ヴォーカルにはうるさい御仁が揃っている。「やっぱりスローンも年をとってるねえ」とkonkenさん。皆、うんうんと同意。唄はもちろん抜群に巧いのだが先ほどの1961年ころのスローンには、なんとも言いがたい「可愛い色気」があった。あの魅力には抗しがたい(笑)

パラゴンさんが「ペギー・リーはブラック・コーヒーだけじゃないよ~」と言いつつ取り出した10インチ盤。
Peggy Lee/Songs from Walt Disney's Lady and the Tramp(decca)から la la ru 
~ペギーリーがかわいらしい感じで唄っている。パラゴンさん、「こういうペギー・リーもいいんだよな~」と目を細める(笑)

After_glow_2  さて、何曲か聴きながらテーブルの上のお宝盤を見ると・・・エラのmellow mood(decca)の2種~[黒ラベル]と[文字が金色の黒ラベル]~の横に気になる盤が・・・。マクレエのafter glow(decca)だ。<写真:Yoさん提供>   ピアノのレイ・ブライアントが入っているので有名だ。オリジナルは、ジャケットがエンボス(ザラザラになっているやつ)だったとは知らなかった。エンボスだとテカテカしなくて、なぜか品良く感じる(笑)僕はマクレエはそれほど愛聴しているわけではないが、このレコードにはちょっと思い出があり、内容も好きなのだ。all my lifeを リクエストして聴かせてもらう。乾いたマクレエの声が気持ちいい。ブライアントのピアノも輝くようなタッチだ。こりゃあ録音も相当にいいぞ・・・。

ここらで男性ヴォーカルも、ということで・・・僕はメル・トーメを1枚持ってきたので、it's a blue world(bethlehem)から isn't it romantic?を。
ストリングス入りがややコーニーではあるが、やはりトーメは巧い。ベツレヘムの沈んだような音も、実にいい感じでしっとりと鳴る。
このごろ僕は、こういう沈み込んだような音も好きになってきたようだ。

次に、D35さんがヘンリー・マンシーニのpink panther(RCA Victor:dynagroove)を取り出した。
すると隣に座っているkonkenさんも自分のバッグから「同じレコード」を見せてニンマリ(笑)7_001_2   
D35さんは、いつもこのレコードを音を聴く時の軸にしているようだ。
それにしても、このdynagroove盤・・・いい録音なのは判っているつもりだったが・・・出だしから本当に凄い音だ!
冒頭、左の方からピアノのかなり高い方の音「コーン」という乾いた音に続いて、あの「泥棒が抜き足、差し足」みたいなチャーミングなテーマが始まる。
徐々にブラス群が押し出してくる~マンシーニの工夫を凝らしたサウンド群~それら全てが左右にいい具合に拡がった音場に満ちている。
フォルテの場面では、実に気持ちのいい音圧感が味わえる。7_002
それから、もちろんテナーのプラスジョンソン。間に入るこのテナーソロが抜群にいいのだ。あのユーモラスなテーマを充分に生かした、いやらしいような表現力!(笑) だけど実にコクのある色気のある味わい深いソロ・・・だということがよく判る、いや判ってしまう・・・そういう深みのあるテナーの音だった。こりゃあテナー好きの人にはたまらんだろうなあ。(そりゃ、オレか:笑) だから・・・実はこのピンク・パンサー、僕も持っているのです(笑)
<写真~Victor盤は、やはりステレオ盤が素晴らしい。だから、LPM~ではなく、LSP~が欲しい>

お昼の後に、いよいよ秋の杜:本編が始まった。
まず、Dukeさんの「レーベル別でのVan Gelder録音もの」から。
ヴァンゲルダーの録音というと、まずbluenote、prestigeをイメージしてしまうのだが、savoy、verveにもたくさんあるし、ちょっと意外だったのは、riversideやatlanticでの仕事もあったことだ。
各レーベルからいろいろな盤がかかったが、その違いっぷりには、実に興味深いものがあった。
ここでは・・・録音うんぬんというより、そのジャズの中身に参ってしまったTony Willimas/Spring のことを少し。
~トニーのブラシが凄い!とてつもなく速いテンポをブラシで紡ぎだしている。その快速ビートにピーコックが鋭いピチカットで絡んでくる。
この2人だけでも充分にスリリングなジャズになっているのだが、そこへ第1のテナーが右チャンネルから現れるフレーズを細かく刻み、それを少しづつ変化させていく。素晴らしく切味鋭いテナーのソロだ。ショーターのようでもあり・・・いや、ショーターにしてはトーンのエッジが鋭すぎる・・・こちらがサム・リヴァースか?とも思う。ベースソロの後、左寄りから第2のテナーが現れる。今度は、先ほどと対象的に「ロングトーン」を多用して、その音色を変化させつつ、徐々に徐々にフリーキーな音色で鋭いソロになっていく。この第2のテナー奏者~出だしのロングトーンで、「あ・・・やっぱりこっちがショーターか?」とも思うのだが・・・僕が思っているショーターの音色よりも、もうちょっと荒々しくて堅い音色のように聞こえる。そんな具合に、このレコードの2人のテナーには、どちらがどちらか?と迷うことしきりなのだが・・・音色自体の「端正さ」(リヴァースの方が、堅くて荒いトーン」という認識をしているので)と、それから、フレーズの展開の仕方、そのアイディアのおもしろさ・・・そんなことから「いつになく本気を出して鋭いプレイをしたショーター」のように思えくるのだが・・・サム・リヴァースという人自体をほとんど聴いていないこともあり・・・あまり自信がない(笑) 
いずれにしても・・・このextras の演奏の凝縮度は怖ろしく高い。トニーのブラシだけ聴いてみてもいい。ピーコックの切味鋭い高速4ビートだけ聴いてみても凄い。しかしその2人に絡むテナー奏者のソロとそのテナーに触発されて変化していくリズム隊2人の応用力というか、その変幻自在な流れに「素晴らしい音楽の一瞬」みたいなものを感じた。エンディングもしゃれている。最後、独りになったトニーがブラシとハイハットだけでしばしの間、リズムを刻む・・・そしてその急速テンポを半分に減速するような素振りを見せつつ・・・いきなり「ッポン!」というショットで終わるのだ。ブラシに始まりブラシに終わる・・・実に潔い(笑)これまでちゃんと聴いたことのないレコードだったが、この1曲は凄い!とようやく判ったようである。
_005_9  <写真の盤は、manhattan capitol ~通称DMM bluenoteだ。ちょっと哀しい(笑)>

この後は、皆さんの持ち寄り盤から1曲づつアトランダムにいこう、ということになった。
それぞれの方のかけたレコードの紹介と、その時の印象を思いつくままにに書こうと思う。

Yoさん~(以下、コーンからホウズまでの5点の写真はYoさん提供)

Cohn_on_the_saxophoneAl Cohn/渦巻きのコーン・・・Cohn On The Saxphone(dawn)~地味だけど実にいいレコードだ。いつもは柔らかい音色のアル・コーンだが、アドリブの中で、高音の方にいくと、時に鋭い音を発する。その時の音のかすれ方が・・・ちょっとレスターヤングに似ているのかもしれない。最後にかかったレスターを聴いた時、そんなことを感じた。

Birth_of_a_band_2Quincy Jones/A Birth Of thd Band(mercury) gypsy~このレコードは、Yoさんの愛聴盤である。

Al & Zoot/You an' Me (mercury)  you 'n me
~このレコード、録音はたしかに素晴らしい。ベースの音も輪郭鮮やかで音像も太い。Youn_meドラムのシンバルなど、最近の高品質録音のような雰囲気だ。隣にいたBOSEさんとそんな感想を言い合う。僕は、しかし・・・このズートやコーンが気持ちよくスイングする60年ころのジャズの「感じ」に、この「近代録音」の音質は、イマイチそぐわない・・・そんな印象を受ける。ドラムやベースがあまりに軽くスムースに流れるようなところもあって、ちょっとレコード全体に「渋み」が欠けているような感じがするのだ。だから、音のよさが却ってこのジャズを「軽く」している・・・そんなようなあまり根拠のないことを思ってしまう僕であった。

Jazz_sahib_1Sahib Shihab/Jazz Sahib(savoy) blu-a-round(写真:左)
~このレコードもそういえばヴァン・ゲルダー録音であった。僕はこのレコードは・・・ピアノがビル・エヴァンス(B面のみ)ということもあり
CBSソニー盤を入手してよく聴いたものだ。久しぶりに聴く初期エヴァンスのピアノは実にクールな装いで、やはりいいのである。
フィル・ウッズはこの盤でも大活躍だ。先ほどのクインシー・ジョーンズでのgypsyもそうだったが、ウッズという人は、与えられたスポットでいつも覇気のあるソロを取り、きちんとまとめてくる。本当に巧いアルトである。いい音で聴くいいアルトは快感でもある。それにしても後でよく考えてみると、宴会の後のアフターアワーズでもかかったWarm Woodsも含めて・・・この日は「フィル・ウッズ特集」でもあったようだ(笑)For_real

Hampton Hawes/For Real(contemporary) hip ~このコンテンポラリー盤は、何度聴いても本当に最高だ。ラファロのぐッと引き締まったベースが右チャンネルから「ビートの権化」となって押し寄せてくる。バトラーのドラムの乾いたスネア音やらホウズのピアノの、あの全く粘らない跳ねるように小気味のいい独特なタッチ。それからもちろんハロルド・ランドのテナー。この人のテナー・・・テーマの合わせとかが抜群に巧いので、その演奏自体もソフトだと思われているかもしれないが・・・意外に硬質な鋭い音色である。そんな具合に、全ての楽器の音が~ミュージシャンが気迫を持って発したであろう楽器の音が~等身大の実在感を持って押し出してくる。そんな感じだ。もちろんYoさん自身が意識的に調整してきたのであろうが・・・「コンテンポラリー」というレーベルについては、全く見事に(いい・悪い/好き・嫌いのレベルではなく)「あるべき音・出してほしい音~そういうバランス」で、鳴らしきっているのだ。そう思えてくる。素晴らしい!

Sonny Rollins/Sound of Sonny(riverside)     ~the last time I saw Paris もかかったな。これはピアノがソニー・クラークだ。

Zoot Sims/Tonit's Music Today(storyville)   ~I hear a rhapsody Tonite_music_today_1

この1曲だけは、シムズのワンホーンだ。バラードをじっくりと吹き進むシムズの唄心には参ってしまう。I hear a rhapsody・・・好きな曲だ。BOSEさんご自身も「よくできたCDだと思っていた」という徳間CDとの聴き比べでは・・・CDでは全体的にドラムスやベースが強調されていたような感じを受けた。そして、オリジナル盤で聴いたシムズのテナーは、やはり・・・響きが自然で、より陰影に富んでいたように思う。                    <上の写真:tonite's~はYoさんの手持ち盤。BOSEさん宅でこのレコードを聴いて気に入ったYoさんが、その後に入手されたとのこと>      

BOSEさん~
Go_manSonny Criss/Go Man!(imperial)blue prerlude ~ジャケットを見て「おおっ」と軽いどよめき。ソニー・クリスもいいのだが、このレコード、ピアノがソニー・クラークなのだ。このジャケットを見て、僕は、スクーターのスタンドが立っている絵とスタンドがない絵と2種類のジャケットが存在する、という何かで知った情報を話した。この盤は「スタンド付き」だ。レコードをかけ終えると、BOSEさんが一言。「このレコードのタイトルが、なぜ「ゴーマン」かというと・・・ジャケットを見れば判ります。スクーターの後ろに乗った女が「ほら、次はあっち」と指示を出しているので、男が嫌そうな顔をしてるでしょう」と真顔で言うのだった(笑) <Go Manの写真は、BOSEさん提供です。やっぱりスタンドが立ってる>

Good_gravyTeddy Edwards/Good Gravy(contemporary) から1曲。このレコード・・・contemporaryの中では案外に見かけない盤で、BOSEさんによれば「多分・・・OJCでもWAVEでも出てない」とのこと。Yoさんはこのエドワーズ、すぐに気に入ってしまったようで「これ、欲しい・・・」と一言。

<左の写真は、この会の後、Yoさんが速攻で入手した盤だ。やることが速い(笑)>

そして・・・Serge Charoff/Blue Serge(capitol) Blue_serge  

ジャケットの「サージ服」の青色が品のあるいい色合いだ。センターラベルは、capitolを象徴するあのターコイズ。この盤はベースのルロイ・ヴィネガーのはずむような音が大きく入っている。そしてピアノは・・・こちらもソニー・クラークだ。

<写真:Blue Sergeは、BOSEさん提供。こうして見ると実にいいジャケットですね>

それにしても、BOSEさんの持ち込んだ盤は、どれもこれも・・・(笑) ジャズの本当に渋くていいところの盤ばかりじゃないか・・・参りました(笑)  

パラゴンさん~
Sylvia Syms/Songs By Sylvia Syms から imagination(atlantic)
~ジャケットのイラスト~笑っているようなシムズのイラスト~がいいなあ・・・と思っていたら、すかさず、BOSEさんが「これはバート・ゴールドブラットだ」
すぐジャケットのイラストをよく見ると、やはりBurt Goldblatt とクレジットされていた。BOSEさん、よく知ってるなあ・・・(笑)

D35さん~
金子由香里(ビクター盤) 1970年代の日本盤だが、録音はキレイだった。
シャンソンは・・・わからない(笑) 曲は「詩人の魂」だったか。
エミルー・      Angel Band~カントリーっぽいノリの歌い手だ。
Ann Richards/Many Moods of Ann Richards ?

Roxanさん~
Pink Floyd(英EMI) の初期盤から1曲。
Mary Hopkin/water,paper and clay (EP盤)
~はじめは静かに始まるホプキンスの唄だったが、途中から壮大なオーケストレーションが現れ・・・
とにかくいろんな楽器群が次々に、充分な音圧を持って飛び出てくる・・・そういうダイナミック・レンジが驚異のUK・EP盤だった。

konkenさん~
Chicago(CBSソニー) introduction ~Yoさんのシステムはどのジャンルもいい具合に鳴る。ロックのレコード特有の「厚めの低音(エレクトリックベース)と
巨大音像のバスドラ」しかしこれらが、大きくても柔らかめな肌触りのいい音なのだ。ロックならこれくらい音圧が出た方が気持ちいい~という感じで鳴っていた。
konkenさんは「シカゴが、あのソニー盤であれだけ鳴るとは・・・」と帰りのクルマで何度も繰り返すのでした(笑)

マントさん~
ギターとパーカッションによる現代曲(ジーグフリード・フィンクと読めたかな(by CROWさん)
バリトン歌手によるフォーレの歌曲~この男性歌手・・・このレコードの録音当時、結婚したばかりということで、マントさんいわく・・・「唄に喜びが溢れ出ている」

bassclef~
Swingin' Like Sixty(world pacific)からJohnny Mandel(pacific) georgia on my mind_001_9
~このレコードは、world pacificのオムニバス盤で、A面1曲目に、アート・ペッパー入りの「ジョージア~」が入っているのだ。
ホーギー・カーマイケルのhoagy sings carmichael(pacific) のリハーサルテイクのようだ。おそらく曲の進行を確認するためのバンドだけのリハーサルだから唄はなし。イントロ~間奏~エンディングだけの短いテイクなのだが、この「ステレオ録音」が、なかなかに素晴らしいのだ。
録音直前の様子~「hi,everybody!」「take~!」「OK!」とかの、やりとりからして生々しい。左の方では、ペッパーが軽くアルトを鳴らしたりしている。中編成の管楽器がジョージアのイントロを始めると・・・そこに「すうっ」とペッパーが入り込んでくる。管楽器群がテーマを流しているバックで、オブリガート風にソロを入れているのだ。そのままバックなしの短いアルトソロになり、サビからいきなり倍テンだ。トランペットがソロを吹くのだが、マイクがかなりオフ気味だが、どうやらハリー・エディソンのようだ。
そしてサビ後の部分をエンディングテーマとし、あっさりとこの演奏は終わってしまう。ちなみにこのリハーサルテイクの本番~つまりホーギー・カーマイケルが唄う~レコード、僕の手持ちは、1982年頃の米Pausaの再発でモノラルなのだが、裏解説によると、[this is a Monaural Recording recording] とあり[engineering:Richard Bock and Philip Turetsky] と明記してある。だからhoagy sings carmichael(pacific) のオリジナル発売時は、
モノラル盤だったのかもしれない。カーマイケルの脱力した唄い方も悪くない(笑) そんな唄の合間合間ににチラと入るペッパーがまた味わい深い。

Soul Trane(prestige) NJ bergenfield ラベル~このソウル・トレーンあたりの番号からNJラベルらしい。だから(たぶん)オリジナルなのでちょっとうれしい。このNJラベルも、少し前にrecooyajiさん宅(地元:豊橋のジャズ好きのお仲間)で、ビクター盤と聴き比べたが、やはり、ドラムの鮮度・キレ、ベースの鮮明さ、などに明らかな違いがあった。プレスティッジというレーベルは、おそらくマスターテープの管理があまりよくなかったのだろう。だから・・・67~68年以降くらいからの、fantasyの再発盤(黄緑ラベル)から、極端に音質が落ちているようだ。そうして、その頃のマスターを使った日本盤の音質も・・・良くなるはずもない、ということかもしれない。(私見では、「紺」「黒」のイカリ・ラベルのRVGまでは、かなりいいように思う)

Stan Getz/4曲入りのEP盤(clef)から time on my handsDscn0720_1

この1952年のゲッツが、すごく好きなのだ。45回転で聴くゲッツのテナーは・・・どうにも素晴らしい。「ふわ~あっ」と漂うような軽み」が快感である。このEP-155は、ゲッツの他のEP盤に比べても、音がいいようである。

                                                                                          

Norman Grantz #4(clef) EP3枚組_002_5

このEP盤と、Yoさん手持ちの12インチClef(水色ラベル)の聴き比べをしてみた。EP盤の音は総じてカッティングレベルが低い。低いのだが・・・テナーの音色が、「すうっ」と浮き出てくるようなニュアンスがある。そういうある種の「軽み」に・・・却って、ゲッツの良さを感じる。
続けてかけたclef 12インチは、カッティングレベルも高くて、ピアノ、ドラムも骨太なClefサウンドで、やはり魅力のある音だ。僕はClefの音なら、どれもこれも嫌いではないようだ(笑)_003_8

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宴会の後・・・まだYoさん宅の音を聴いていないM54さんとPSYさんは、とにもかくにもYoさんの音を聴かねば!という決意がみなぎる。そうして、その流れに便乗する者が続出。まっさきに便乗したのは・・・このbassclefだったが(笑)
そんなわけでまたまた全員で、再度Yoさん宅へ。

アフターアワーズとして・・・pm8:45~pm10:15
PSYさん~
Bill Evans/Exprolationsから israel~このレコード・・・ラファロのベース音が他のリヴァーサイド盤とちょっと違う感じの音で、グウ~ッと沈み込んだ低いべース音なので、僕の機械ではなかなかその沈んだ低音がうまく抜けない。PSYさんも同じようなことを言っておられた。そしてその「沈み込むベース音」が、このYoさんのウーレイでは余裕で鳴っているではないか!

M54さん~
Grant Green /Idle Moments(bluenote) これはちょっと歌謡曲っぽい曲調のあれだ(笑) それを熟知しているPSYさんが演歌曲の紹介MCみたいなセリフを軽くはさむので、皆さん少し笑う。後半に出てくるジョー・ヘンダーソンのテナーがやはりいい。ジョーへンにしては、やけにサブ・トーンを多用して、ちょっとベン・ウエブスター風なものを意識したのかもしれない。

Yoさん~Phil Woods/Warm Woods(epic) からeasy living

ここでYoさんが、「ああっ、そうだ・・・「あれ」をみなさんにお聴かせしないと!」と言いつつ、Lou Donaldson/Blues Walk(bluenote;lexington) Blues_walk 《訂正》~このドナルドソン:1593番にLexingtonはあり得ない、とのコメントをrecooyajiさんより頂きました。さっそく、Yoさんに確認していただいたところ・・・この1593番は<47West 63rd NYCで、溝あり、Rマークなし>とのことでした。貴重なブルーノート盤というイメージでLexingtonと思い込んでしまいました。実は・・・僕は、オリジナル盤のラベル変遷にはあまり詳しくないのです(笑)
を取り出す。みなさんから軽いどよめき・・・(笑) これは、メリケンさんからのYoさんへのプレゼント盤だ。ちょっと前に「杜」にメリケンさんが「ジャズレコード下取り価格ピッタリ賞」のプレゼント盤として提供したのだが、これはYoさんが見事な読みで勝ち取ったのだった。盤質も演奏も素晴らしい。甘くて太いドナルドソンのアルトが鳴れば・・・「チャカポコ」のコンガも思いのほか気にならない(笑)

Yoさん・・・ではもう1曲あのマーキュリー盤からということで、
Al & Zoot/You an' Me (mercury)  you'd be so nice to come home to

パラゴンさんから渋いヴォーカル盤が、またひとつ。
ミリー・ヴァーノン/Introducing Milli Vernon (storyville) ジャケットの1箇所だけ色が付いている。とてもしゃれたジャケットである。

もうあまり時間がない。午後に聴いたハロルド・ランドの話しが出たので・・・僕はcontemporary盤から1曲、Yoさんにリクエストをした。Curtis_vol1_mono_1
Curtis Counce/Land Slide(contemporay) time after time ランドのバラードは実にいい。Curtis_vol1_stereo_1

                                                            

<あれれ?見慣れたはずのこの盤・・・何か変だぞ?右側のモノラル盤は左右が逆になっているのだ。2点ともYoさん手持ち盤>

コンテンポラリー盤がしなやかに鳴る。この場で鳴るこのレコードは幸せであろう(笑) そしてそのサウンドを聴く僕らも、また幸せなのだ

もう夜も遅い。まだ明日の神戸があるのだ。そこで、前夜に大阪入りしていたRoxanさんが、この日、仕入れてきたというレスターヤングを聴かせてもらうことにな った。Verve-Clefシリーズ(黒トランペット)の Lester Young/Lester Swings Again(verve) だ。曲は・・・stardust。
これが実によかった・・・。レスターとしては晩年の、何かこう全てを悟ったような・・・というかガツガツしない諦観の漂う、気品のあるスターダストであった。この盤を見て、Yoさんが取り出してきたのは、同じレスターのNorgran盤。ジャケットは違うが・・・曲名を見ると同じ内容の盤である。
こちらもかけてみる。レスターのサックスを少し聴くやいなや「う~ん」・・・と唸るRoxanさん。「黒トランペット」は、盤質も良く充分に生き生きとしたいいテナーの音だった。一方、Norgran盤は、ややカッティングレベルが低く、盤質も「黒トランペット」に比べれば良くはない。
しかしながら・・・このNorgran盤では・・・レスターテナーの音によりいっそうの生々しさ、レスターの気配がより濃厚に漂っているように聞こえた。
いずれにしても・・・本当にいい「スター・ダスト」でした。
僕は、この1952年のレスターヤングを全くの初めて耳にしたのだが、レスターヤングの淡々としながらも、時に「はっ!」とするような鋭いトーンに、
新鮮な驚きを覚えた。レスター・ヤングも、これから聴きたいテナーだな・・・と思うのであった。The_president_1

この「しみじみ盤」を聴いて・・・いよいよこの会を終わろう、そんな雰囲気が漂い・・・午前中から始まったYoさん宅での「ジャズ聴き会」は、こうして、ついに終わったのだった。
それにしても・・・ジャズは厭きない。

<左:レスターの垂涎的norgran盤。う~ん・・(笑)>

special thanks to Yoさん&BOSEさん!

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2006年2月26日 (日)

<ジャズ雑感 第15回> トロンボーンのバラード、ちょっといいやつ(B面)

ジミー・クリーヴランドのこと。2_001

トロンボーンを好んで聴き始めたのが、この10年くらいなのだから、クリーヴランドなんてところまでは、なかなかたどり着かなかった。
きっかけは、「クリーヴランド・スタイル」という日本盤を入手したことだ。僕の入手盤は、日本フォノグラムが1979年に発売した1500円盤シリーズ(15PJ~)だ。

この盤には、アート・ファーマー、ベニー・ゴルスン、それからウイントン・ケリーも参加しており、クリーヴランドといえば、たいていはこの盤が挙げられることが多いように思う。僕はそれほど期待せずに聴いてみたのだが、1曲目の out of this worldを聴いて~ラテン風というかアフロ風のアレンジで、それがこの曲の持つスケールの大きな雰囲気にピタリと合っている~この盤を気にいってしまった。それと、やはりメンツがいいのか、どの演奏にも気合がこもっており、ファーマーやクリーヴランドののソロもいいのだ。アレンジはアーニー・ウイルキンスだ。B面1曲目の long ago and far away も好きな曲だ。こちらにはケリーの短いが気の効いたソロが入っている。録音も全体にスッキリしており、1957年のステレオ録音としては案外いいように感じる。
「クリーヴランド・スタイル」・・・なかなかいいアルバムだと思う。

ジミークリーヴランドのリーダーアルバムはそれほど多くないようだが、emarcyには、他にいくつか残している。

Introducing Jimmy Cleveland(emarcy)1955年録音2_003

この Introducing~は3つのセッションで組まれていて、どのセッションでもクインシー・ジョーンズがアレンジャー&音楽監督(music director)になっているようだ。アーニー・ロイヤル、ラッキートムソン、セシル・ペインらの管部隊も悪くないし、オシー・ジョンソンやローチ、ペティフォードやチェンバース(早くもこの1955年夏の録音に参加しているのもちょっと驚きだ)らにも張り切った感じがあり、どのテイクもいい出来になっていると思う。
2作目の「クリーヴランド・スタイル」も好きだが、この第1作の方が~やはりアレンジがクインシーだけに~もう少しだけ味わい深いような気がする。

そういえば・・・「トロンボーンのバラード」のことを書きたいのだった(笑)

この盤を取り上げたのは・・・もう一重に my one & only love  という曲が入っているからである。ハンク・ジョーンズの格調あるイントロ。クインシーの絶妙なアレンジ~アンサンブルは~あのmy one&only love の出足のメロディの1小節(休符を入れて7音だけ)、サビ前とサビ終わりだけ~ほんとに限られた箇所に、しかも控えめな音量で入るだけなのだ。クリーヴランドはアンサンブルの出だし7音の3音だけ待ってからメロディを吹き始める。このアンサンブルに乗っかっていく感じ~音が被さって(かぶさって)厚くなっていく感じ~が実にいい感じなのだ。おそらくこれはクインシーのアイデアだろう。クリーブランドのリーダーアルバムには、たぶんワンホーンものはない。いつもトランペットにサックス、それからチューバ(Don Buterfield)まで加えて、ある意味、アレンジ過度の曲が多いようなのだ。

僕は、どんな楽器でも「そのミュージシャン」ならではの個性を味わいたい。だから、この my one&only love は、ほとんどクリーヴランド一人でメロディを吹いているということだけでも、僕には特別なバラードでもあるのだ。そうして、このクリーヴランドが・・・やはり素晴らしい。メロディをそれほど崩さずにキッチリと1コーラス吹き、それからピアノがサビのパートを弾き、最後のメロディをクリーヴランドが吹く、という1コーラス半のアドリブもない短い演奏だが、随所にちらっと入れるフェイク(軽い崩しみたいな意味)なんかにすごくセンスの良さを感じる。クリーヴランドの演奏には、全体になんというか・・・「品格」みたいなものを感じる。その品格が、趣味のいいアレンジと素晴らしいメロディと相まって、素晴らしいバラードに仕上がったのだ。それにしても my one & only love は本当にいい曲だなあ・・・。

A Map of Jimmy Cleveland(meucury)1958年録音2

これもまたアーニー・ウイルキンスのアレンジとなっている。久しぶりに取り出してきたら、この盤には Stardust が入っていたので、大いに期待して聴いてみたのだが、ちょっと・・・違った(笑) アーニーウイルキンスのアレンジが・・・僕の好みとは違っていたのだ。クリーヴランドが吹いたかと思うと今度はチューバがメロディを吹き始める。Stardust のあの素晴らしいメロディを・・・いろんな楽器に分担させすぎてしまったのだ。ワンホーン的なものを期待する立場からすると、曲本来の良さを台無しにしてしまっているように思う。だから「バラードのちょっといいやつ」としては、あまりお勧めできない。クリーヴランドならトロンボーン一丁だけで、どんなスロウな曲でも充分にメロディを唄いあげることができたのだろうに・・・残念である。アーニー・ウイルキンスはバラードのアレンジは得意ではないのかもしれない。

さて、クリーヴランド・・・こうしてemarcy時代の何枚かを聴いてみると・・・彼の音色は、「こもったようなぼわ~」としたのんびりした雰囲気の音色だと思う。楽器から飛び出た音の輪郭がまろやかで大きく拡がり、その分「切味するどい」というタイプの音色ではないようだ。切味の鋭さではやはり・・・JJジョンソンかフランク・ロソリーノだろうか?
そうは言っても、クリーヴランドは決して「古きよき時代のボントロ」というわけではない。アドリブのフレーズは細かく8分音符で刻み、そして速いテンポの曲でも随所に倍テン(ベースが1小節に4分音符を4つ弾くいわゆる4ビート曲の場合、ソロイストは普通の場合、8分音符を中心としたフレーズでソロをとる。「倍テン」というのは、その8分を16分音符中心にしてソロをとることなのだ。クリーヴランドの場合、その倍テンのソロで16分音符を同じ音程で続けたりする。凄い技だと思う。)を入れたりと、かなりモダンな感じがする。この時代(1957年)では、新しいコンセプトのトロンボーン吹きだったように思う。emarcyには、たしかあと1枚、リーダーアルバムがあるはずなのだが、残念ながら未入手である。

ちょっと探したら、他にもクリーヴランド参加のいいレコードがあった。2_002

リズムプラスワン(epic)1956年録音
この写真の盤は、残念ながら・・・CBSソニーの1300円盤です(笑)

リーダーアルバムはアレンジ要素が多くてワンホーンがない、と書いたが、この Rhthm +1 (epic) には3曲、ジミー・クリーヴランドが入っているのです。この盤での「リズム」とは、ハンク・ジョーンズ(p) ミルト・ヒントン(b) オシー・ジョンソン(ds) バリー・ガルブレイス(g) の4人のことだ。このカルテットに4人のソロイスト~コンテ・カンドリ(tp),セルダン・パウエル(ts),ジーン・クイル(as),そしてジミー・クリーヴランド(tb)に各3曲づつ、計12曲収録という、なかなかいいアルバムなのである。 
sahara   
wolf talk
blues
の3曲で、クリーヴランドのボントロがワンホーンでたっぷりと聴けるのだ。どれも悪くないが、特にbluesがいい。スロウなテンポでじっくりとクリーヴランドの唄(ブルースにも唄心というものはあるはずだ)が味わえる。バラードではないが、クリーヴランドの「ちょっといいやつ」としてお勧めしたい演奏だ。そして、この時のセッションからもう1曲~Jimmy's Tune~は、After Hours(epic) に収録されている。After Hours はオムニバスだ。この盤については、エルヴィンをテーマにしたの記事でも取り上げた。http://bassclef.air-nifty.com/monk/2005/08/3_c246.html エピックというレーベルも、なかなか侮れないぞ。
ああ、それにしても・・・やっぱりレコード探しはやめられない!(笑)

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2006年1月15日 (日)

<ジャズ雑感 第12回 ジャズの廉価盤シリーズとその発売小史B面>

ジャズ廉価盤のチラシを見ながら・・・クインシー・ジョーンズのことなど。

今では・・・これらのシリーズに、音源的/コレクト的価値は全くありません。個人的な興味から集めたチラシをまとめたかっただけです(笑)
ただ、こうして1972年9月から始まった1100円の廉価盤シリーズのチラシを並べて見てみると・・・日本の各レコード会社が、それぞれの所有レーベルから多くのタイトルを「廉価盤」という型で再発をすることにいかに積極的だったか・・・それがよく判る。catalogue_of_lp_002catalogue_of_lp_003

9月

ビクター

[PRESTIGE JAZZ GOLDEN 50]

(20タイトル)

catalogue_of_lp_007

catalogue_of_lp_006

11月  

コロムビア

[ジャズ・ヒストリカル・レコーディングス] 

(20タイトル)

そして12月  

フォノグラムジャズ[1100コレクション](mercury系全10タイトル)
BT-2001~BT2010jazz_catalogue_tirashi_006

このフォノグラムジャズ[1100コレクション]シリーズは、ビクター、コロムビアの  1100円 盤に続いて、1972年の12月に発売されたものだ。(チラシの右下に12月5日と明記されている) 

こういう企画モノの場合、やはり一番売れそうなタイトルを、型番の最初にもってくることが多い。

このシリーズでは、コルトレーンとキャノンボールが共演した「~イン・シカゴ」が目玉だったようだが、今見てみると・・・ジョー・ゴードン入りのブレイキーやクラーク・テリーやビリー・ミッチェルの渋いタイトルの方に目がいってしまう。
それに、おなじみマリガンの「ナイト・ライツ」もこの時に出ている。ということは・・・FM放送の番組「アスペクト・イン・ジャズ」がもう始まっていたのだろうか?この番組のテーマに使われていたのが、この「ナイト・ライツ」に入っている<prelude in E minor>だ。 この曲名を知ったのはだいぶ後だったが、とにかく毎週「ああ、いい曲だなあ・・・」と感じながらあの番組を聴いていた。だから今でも、この<プレリュード・イン・Eマイナー>を聴くと・・・どうにもあのナレーションが、聞こえてきそうな気分になってしまうのだ(笑) 
「こんばんわ・・・油井正一です・・・」
あの番組~アスペクトインジャズを愛聴していた全国津々浦々のジャズ好きの方には、間違いなくこの「音源的パブロフ反応」という共通した症状があるはずだ、と僕は確信している(笑) 

このフォノグラムジャズ[1100コレクション]シリーズ・・・僕はリアルタイムでは1枚も買っていない。この頃、高1だった僕は、ビクター1100円盤を何枚か買っていたので、こちらのシリーズまで買う余裕は、とてもなかったのである。この10タイトル、今ではCDも含めれば全て持ってはいるが、後になってこのシリーズのこの盤で入手しているのは・・・
ミルト・ジャクソン/ボーンフリー
クラーク・テリー/クラーク・テリー
クインシー・ジョーンズ/ライブ・アット・ニューポート1961
の3タイトルだけだ。ちなみに・・・このフォノグラム1100円盤シリーズにも解説書は付いていなかったようだ。上オビの裏に簡単な解説がついている。

まずクインシー・ジョーンズ。catalogue_of_lp_quincy_001
ニューポートのライブ盤では、バラードの
<evening in Paris>では素晴らしいフィル・ウッズが聞ける。どれくらい素晴らしいか!それを示すエピソードがジャケ裏の解説(Gene Lees)で紹介されている。

[この曲を録音している時(演奏している時)・・・ステージ右の録音ブースにいたA&Rマンのジャック・トレイシーは、誰かが「こんなアルトを吹いてるのは、いったい誰なんだ!」と大声で叫ぶ(exclaim)のを聞いた。トレイシーが声の方を振り返ると・・・そこにいるのはジョニーホッジスだった] とのエピソードだそうだ。

ちなみに・・・だいぶ後の1984年頃、やはりフォノグラムから「クインシー・ジョーンズ/オリジナル・マーキュリー・コレクション」(1950円)として数タイトルが発売されている。(このシリーズのチラシは持ってないのです) 
オビの文句をちょっとみてみると・・・[ビッグバンド史上に燦然と輝くクインシー・ジョーンズ・オーケストラ。25年を経てオリジナル・マスター・テープよりデジタル・マスタリングで甦る!] このセリフ通りに音質も悪くない。児山紀芳氏の発掘・監修なので、しっかりしたシリーズのようだ。
それにしても、こんな地味なシリーズがよく発売できたものだ。たぶん・・・クインシー・ジョーンズという名前がマイケル・ジャクソンがらみですごくポピュラーなものになってきた時期の企画だったのだろう。

このシリーズには、それまで全くの未発表音源だったものが何枚かあった。
ひとつは・・・
1961年3月スイスでのライブ音源が[The Great Wide World of Quincy Jones LIVE!]というタイトル。catalogue_of_lp_quincy_003

オビのコピーは・・・
[陶酔と興奮の坩堝と化したチューリッヒでの熱狂的なステージを捉えた白熱のライブ] ちょっと大げさではあるがこの言葉にウソはない(笑)
この盤でもいつものようにフィル・ウッズが大活躍するが、ちょっと珍しいのは、なぜかフレディ・ハバードが参加していることだ。クインシーバンドにハバードという配置はあまりないはずだ。 stolen moments ではりきったロング・ソロを吹いている。 
もうひとつは・・・
「バンドの誕生vol.2」~これは、もともとの盤は「赤のジャケット」だが、それとジャケットのデザインは同じで色だけを「黄色」に換えて発売されたのだ。以前の記事で書いたYoさん宅で、「赤/モノラル」と「赤/CD」とこの「黄色」を聴かせていただいたことがある。
この「バンドの誕生vol.2」は、単なるテイク2の寄せ集めではなく、曲によっては「赤」とはソロイストを換えたりしており(例えば・・・<ミッドナイトサン~>ではアルトからギターへ)なかなか興味深い内容だった。音質もいい。
そういえば、Yoさんは最近、この「赤/ステレオ」を入手されて、やはりいい音質だったとのこと。
クインシージョーンズオーケストラ。いいアレンジにいいソロイスト。しっかり練り上げられたものは・・・やはりいい。ちょっと地味だけど、聴いててすごくおもしろいオーケストラだと思う。

clark_terry_1100 次にクラーク・テリー。2~3年前にようやく入手したこの「クラークテリー」~思いがけずいい内容なのだ。ガレスピーに影響されたのだろうか・・・ちょっと「ラテンっぽい」ノリの曲も入っている。セシル・ペインのバリトンサックスが効いてるし、ところどころにオスカー・ペティフォードのセロのソロが入る。アレンジした部分とソロイストの張り切る部分のバランスがいい具合で、力強くてガシッとしたジャズだ。古い録音だが、音質も案外いい。今、ジャケットの解説をチェックしたら・・・swahili、double play、tumaの3曲ほどはクインシー・ジョーンズの作曲でアレンジにも関わっているらしい。道理でよくあるバップ的セッションとは一味違うわけだ。

それにしても1972年の発売から30年も経ってからその時代の盤を手に入れる。そうして今頃「いい内容だ」となどと感心しているのも間の抜けな話しではある(笑) まあしかし・・・ジャズには「聴きたい盤」が・・・いっぱいありすぎる。
その時その時で興味を持ったものを聴いていくしかないのだ。それが僕の開き直りだ(笑)

フォノグラム発売のmercury系音源は、この後も何度も発売されいる。jazz_catalogue_tirashi_007
[mercury Jazz 1300円 Collection](全20タイトル(BT-1301~BT1320)というシリーズが翌年の1973年6月~7月にも1期~2期に分けて発売されている。
1期の目玉は「アート・ブレイキー/パリのジャムセッション」だった。ショーターとバルネ・ヴィランの2テナーにバド・パウエルもゲストで2曲入っているというちょっと面白セッションだ。
2期ではヘレン・メリルの「メリル・アット・ミッドナイト」が、その後の再発もないようでちょっと珍しいかもしれない。チラシで見ると、ジャケットもなかなか魅力的だ。(残念ながら未入手:笑)
73年の12月には[ジャズ・アテンション・シリーズ(全8タイトル:phillips系)1200円]というのもあった。マイルスやコルトレーンが参加したミシェル・ルグランの「ルグラン・ジャズ」が目玉だったか。

たしか・・・この次の年には、やはりフォノグラムがアメリカの工場で作らせた盤を「直輸入盤」(1300円?)として大量に発売した。catalogue_of_lp_quincy_002
ほとんどは、mercury系のタイトルだったように記憶している。直輸入盤ということなので、確かに「日本語」の表記は一切なかったが、ジャケの造りも安っぽく音質はあまりよくなかったようだ。中古盤屋さんで、盤が軽くて、安っぽい(笑)赤いセンターラベルの mercury盤を発見したら・・・それはおそらくこの「直輸入盤」だ(笑) 

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