エリオット・ローレンス

2005年7月 7日 (木)

<旅レコ 第10回>ソウル編(B面) エリオット・ローレンス/ビッグ・バンド・サウンド(fantasy)

1999年7月  ソウル東大門トケビ市場~ようやく見つけたオリジナル盤!

DSCN0776 ~さて、親切なオジさん達のおかげで・・・中古レコードがありそうな大体のエリアは判った。旺山路(ワンサンノ)を東へ進み、大きな交差点を右折して、南に進む。5分ほどで高架道路まで来た。高架道路の下にも店がある。神戸みたいだな・・・おっ、ビデオやらラジカセの店が何軒かあるぞ。何やら「近い」感じがする(笑) その高架下の店を順にチェックしてみたい気もしたが、ここはオジサンに言われたとおり、もう少し南下しよう。高架を越えてから、「サムウオン・ホテル」の所を左(東)に曲がれ、との指示だった。ちょっと名古屋の100m道路みたいな感じの広い道路を渡る。おっ、ホテルがある。よし、ここを左折だ。すぐ左側に高架道路を見ながら、しばらく進むと・・・なにやら歩道にお店が!屋台というか露天というか、簡単な台にビデオテープとかカセットテープを並べたようなお店が、だんだん増えてくる。いいぞいいぞ・・・。しかし、LP盤は見当たらない。歩道の右側には、普通のお店もあり、CD屋さんらしき店もあった。入ってみると、やはりほとんどCDばかりだったが、タナの下側にLP盤が、わりあい並んでいた。エサ箱のように「面向け」ではなく、下のタナに「背差し」なので、見にくい。期待をこめて、背のタイトルを見ては、ちょっと引き抜いては、でチェックしたが・・・これが、見事に全てフュージョン(笑) 値段はたいてい、7000ウオン~8000ウオンくらいだった。(およそ700円~800円) もう一店、同様なお店があったが、これもフュージョン大会だ・・・。いくらLP盤でも、フュージョンじゃあ100円でも要らない。はああ・・・力が抜ける僕である。それでも、その屋台通りをずーっと進んだり、戻ったりしながら、チェックしたが、LP盤在庫のお店は見当たらない。あとは、路地を見るしかないぞ・・・と、そのカドにちょっと大きな屋台がある。古雑誌やらカセットやらがある。ここで、しばし、古雑誌など眺めながら路地の様子を見る。右側にいろんな店が続いており、けっこう市場が広がっている様子だ。それにしても、この辺りを歩いていると大きなビルがほとんどないし、古い平屋の建物や屋台やらが並んでいるので、なんとなく(写真でしか知らないが)戦後の闇市のような風景に見えてくる。(この辺りだろうなあ・・・と思える記事を見つけたので付けておきます。興味ある方はどうぞ。「ソウル・ナビ」というサイトです)                  思い切って、この路地を入っていく。少し進むと、すぐに左に曲がる三叉路になっていた。とりあえず左折すると・・・・・・すぐ右側に間口の狭い店がある。その間口には、ドアなどもなくパアパアに開いているので、店の中がボンヤリと見える。外がムチャクチャ明るくて中が暗いので、そのギャップで、はっきりとは見えない。それでも、薄暗い中から仄かに・・・何かが見えてくるのだ・・・30センチくらいに仕切ってあるタナが並んでいるようだ・・・そうして、そのタナには、何かがぎっしりと詰まっているように見える。ん?・・・あれは・・・あの景色は・・・おおっ、あれは・・・レコードだっ!
ついに見つけのだ・・・すぐそこに、レコードがあるのだ! そのお店の左側の壁面に取り付けられたレコードのタナ・・・全てLP盤だ。全て「背差し」。  すごい在庫量だ! やったあっ!間違いなく中古レコード屋さんだ。それもかなり在庫の多いレコード屋さんだ! 

急に元気になった僕は、もう、ぐぐっ~と入っていきました。中は薄暗い。全体に、なんというか・・・汚い店だ(笑) 間口は狭いが、奥には広い。外から見えたタナは、そのままず~っと奥へ10mは続いている。床は、土間の部分があったり、古いコンクリートがむき出しだったり、とにかく、古い建物だ。入り口も開けっ放しで、もちろんエアコンなどない。設備投資が少ない分、安いかもしれない(笑)
客は僕だけ。太ったオバちゃんが、土間の中央あたりでイスに座って、ウチワをパタパタ。もう一人、30才くらいの男がいる。
使える数少ないハングル~「ある」はイッソヨ、「ない」はオプソヨ、これだけは知っている(笑)~
男の方に「ジャズ イッソヨ?」 すると男は「ジェズ?イッソヨ・・・」と応えて、店の一番奥の方~だんだん細くなって2m四方くらいの小部屋のような部分~タナが右に曲がる~そのカドの辺りまで案内してくれた。こんなに在庫があるのに、タナには何の分類プレートもなかった。とても自分では、探し出せないようなポイントだ。最初にジャズの場所を聞いて正解だった・・・。
「オルマエヨ(いくら)?」 と聞くとその男、オバちゃんに何事か聞いたりしている。そのオバちゃんの威張った態度で、母と息子だと判る。        オバちゃんは・・・「マン・ウオヌ」とのたまう。マンは「万」だ。1万とかの場合、1(イル)は省略するんだったよな・・・ああそうだ。じゃあ、1万ウオン~約1000円らしい。さっきのフュージョンが7000ウオンだったから、若干は高い。やはり、これだけの在庫量からみても、ここは本格的中古LP盤専門店のようだ。あとは、どんなのがあるか・・・だ。さあ、いくぞっ!

男が「ここから」と示してくれた、他ジャンルとの境界ラインから、順に右側の方へチェックしていく。奥行きの深い店で、照明も暗いので、洞穴にでも探検にきているような気分だ。それにしても・・・暑い。風が全く入らない。5分ほど見てると、もう汗がどっ~と吹き出てくる。水(歩き回るつもりでボトルを持ち歩いていた)を飲み、腰を伸ばしたりしながら、タオルを首に巻く。そんな様子に同情したのかオバちゃん、何やら近くまできてガチャガチャ・・・おっ涼しい! 扇風機を僕の近くまで持ってきてくれたのだ。おお「カムサハムニダ」・・・顔つきはムッとしているが、案外に優しいじゃあないか。

~ジャズのコーナーといっても、やはりフュージョン風も多かったり、ムードミュージックみたいなのや、サントラみたいなのも混ざっている。そう甘くはないよなあ・・・と思い始めたが、まもなく・・・Dave Brubeck を2枚発見。   At Storyville(columbia)とDave Brubeck Trio(fantasy)だ。こりゃあ、まだあるな・・・とチェックにもますます気合が入る。そのまま、1時間ほどはチェックしていただろうか・・・途中、20歳くらいの男の客がきて、店の30男と親しげに話している。「・・・エルトン・ジョン・・・」だけ聞き取れた(笑) 僕が今チェックしているジャズの一角は・・・そうだな、全体のせいぜい10%もないだろう。どうやらここは、ロック中心の「マニアな奴ら」御用達の店のようだ。それで、オバちゃんは、何が何だか判らないまま、まあ息子がやってるし、そこそこ客もきてるし~という感じだな。それにしても、店の真ん中にドカッと座ってたら、息子もやりにくいだろうな(笑)

~さて懸命のチェックの結果・・・期待通りに、ジャズの米オリジナル盤が何枚か見つかった!ただし・・・ジャケの程度は・・・全体にかなりひどい。どこかのお店(飲み屋か?)で使ったレコードなのか、ジャケも煤けたようなものも多い。なかには、幅1cmもの黒いビニールテープで、ご丁寧にも3辺を貼りこんでしまったものまである。ジャケは完全にVG-だな。でもまあ・・・とにもかくにも、米オリジナル盤だ。1万ウオンならいいではないか。そう思って10数枚を選びとった。あまりにもジャケがヒドイもの(一部が欠け落ちたようなものなど)何枚かはあきらめた。それでも、もう少し絞る必要がある。

~レコードをちょっとまとめて買う時の、僕の絞り込み方は・・・最初、とりあえず、ちょっとでも「引っかかる盤」は、抜いておく。で、そうすると知らぬ間に30枚くらいになっちゃうので、途中で一度、「弱いもの」から落としていく。それで、全チェックが終わった段階で、自分の予算より多すぎる場合は(ほとんど、そのケースですが:笑)、ここから涙の選考会が始まる(笑)何を落とすか?これが・・・なかなか辛いものがある。すでに一度は「選ばれしもの」なのだ。全部、当選させてやりたい!しかし・・・それでは予算が(笑)。トランクにも入らなくなる。そんな時、僕は「消去法」でいく。つまり、「何を落とすか」ではなく、「絶対に落とせない、というのはどれだ?」と考えるのだ。
まあ、どっちでも一緒のようなもんだが、微妙に違う(笑) 絶対に落とせない、という方が、よりはっきりとその時の自分の意思を確認できる・・・ような気がする。こんな具合に、無理やりにでも序列をつけていかないと、落とすものを決められない、というのが正直なところだ(笑)

さて・・・見つけた時、大げさじゃなく後光がさして見えた盤がある。・・・そして「消去法」でも、真っ先に「残す」に決定したのが・・・これだ!

DSCN0776≪Elliott Lawrence/Big Band Sound (fantasy

3290)≫ 

ファンタジーによくある「カラー盤」で、この盤は「赤」だった。
ファンタジーの赤盤、というのにもココロ惹かれるものがあるが、海をバックにしたローレンスのポーズがおしゃれなジャケットのデザインと くすんだような色調が、なかなかに素晴らしい。幸い、この盤にはジャケにテープ貼りなどもなく、見た目の盤質も悪くない。イナースリーブも「広告付き」のオリジナルで、おまけに、fantasyのカタログ小冊子まで入っていたのだ。この1枚は・・・うれしかった。DSCN0777エリオット・ローレンスは、マリガンの絡みで何枚かは聴いていた。けっこういいソロイストが入っていることも多いので、侮れないのだ。この盤には、Al Cohn、Gene Quil などがクレジットされている。A面4曲目~Lover Take Allでのアル・コーン、B面2曲目~Alto Lament でのジーン・クイル、短いソロが光っている。時々出てくる、トロンボーンのソロは・・・Eddie Bertのようだ。

~その他には・・・Brubeckの2枚はもちろん当確。他にはマリガンの Concert Jazz Band ’63(verve)。それから、オムニバスのThe Composition Of Horace Silver(riverside RLP-3509))など。マリガンのverve盤は、62年録音で、ライブではない。  リバーサイドのモノ・青ラベルは初めてだったので、うれしい発見だった。そうして、9枚が残ったのだ。  これら9枚を、お店の30男に差し出しながら、「オルマエヨ(いくら?)」・・・と、またもオバちゃんと何やらボソボソ・・・。値段をどうするか協議しているようだ。オバちゃんの方が「パル・マン!」とぶっきらぼうに答える。ウー・ユク・チル・パルが5、6、7、8だ・・・80000ウォンか。8万というとビックリしてしまうが、1万ウォンが約1000円だから、8000円ほどだ。ジャケ・盤質の程度(VG-からせいぜいVG)を差し引いても、充分に安いだろう。

さあ、これにて探索終了! この洞窟から抜け出そう(笑) 屈めた姿勢でマヒしたようになった腰を伸ばしつつ、店を出る。路地を曲がる時、もう一度、店の姿を見る。こんなに遠くの見知らぬ市場までやってきて、よく、こんな中古レコードの店を見つけたなあ・・・と大げさに感慨にふける僕・・・。 遠くっていったって、東大門駅から15分くらいなんだが、あちこち歩き回った果てにたどり着いたものだから、ものすごい辺境にいるような気分になっていたのだ(笑) あっ、もう3時過ぎだ。考えてみたら、昼めしもまだだった。もう他を見て回る時間も気力もない。とにかく何か食わねば・・・。
近くの屋台でお好み焼きみたいなのを食べて、水もたくさん飲んで、そうしてようやく一息つく。それから、東大門駅の方に、とぼとぼと歩き始める。体は疲れていたが、心地よい気分で。・・・また来るぞ、ここに・・・。
僕のソウル/レコード探索は、こんな具合に終了していくのだった。

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