チェット・ベイカー

2012年9月17日 (月)

<ジャズ雑感 第33回> 初期チェットベイカーの未発表音源のこと

たまにはCDのことも(笑)~見逃せない未発表音源もあるじゃないか。


相変わらずLPレコードばっかり聴いているのだが、久しぶりにCDを入手した。
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Chet Baker/The Complete 1955 Holland Concerts(lonehill)

この数年、僕はCDをほとんど買ってない。試みに購入記録リストをチェックしてみると・・・
2012年は2枚(今回分)、2011年に1枚、2010年に3枚、2009年は2枚、2008年に2枚、2007年は4枚、2006年3枚、2005年12枚、2004年13枚、2003年28枚、2002年24枚・・・とこんな感じになる。これより以前の2000年前後くらいまではCDも年に30~40点は入手していたと思うが、月に10~15枚くらいは入手しているLPレコードに対して、CDは「ほんのたまに」状態である。
それでは僕はどんな場合にCDを買っているのか・・・自分の購入リストをチェックしていて、ほぼ以下のパターンしかないことが判った。

1.新発見の未発表音源もので興味ミュージシャンのもの (どうしても聴いてみたい!)
2.持ってないもので、うんと安いもの (もちろんLPレコードで欲しいけどオリジナル盤はどうせバカ高い。日本盤も案外、見つからない。そんな時、たまたま入ったお店で他に買うものがなかったりすると、この安いCDでガマンしておこうかな・・・となる。僕の場合、圧倒的に bluenoteレーベルものに多い(笑) bluenoteは一頃、日本盤LPでさえうんと高価だったので)
この理由だけが引っ掛かるわけで、1のような音源がそうそう見つかるものでもないし、2のように持ってないものでうんと安いものがそうそうあるわけでもない。だから・・・僕の場合、CDを入手する機会はうんと少ないのだ(笑)

さて・・・チェット・ベイカー。僕はチェットをかなり好きなのだが、どうやら彼の真のマニアというわけではないようだ。というのは・・・僕は彼の後期の作品をほとんど持っていないし、聴いてないからだ。僕がレコードを集め、そして聴いているのは、やはり彼の初期ものである。
チェットについては、この<夢レコ>で触れたこともあるが、僕はとにかく彼の「音色」に惹かれている。その音色から放たれる・・・妖気、香気みたいな感じにどうしようもなく惹かれるのだ。
思うに・・・音や音色のことというのは理屈じゃないのだ。音や音色というものは、何らかの理屈を持って分析した後に「判った」とか「凄い」と判断するようなものではなく、それがスピーカーから流れてきてそれを聴いた瞬間に、肌で「感じる」ものだと思う。
そう、正に「肌合い」の問題なのだ。それが自分の感性にピタッとくるのかこないのか・・・そういう種類のものだと思う。
そして僕の場合は、初期チェットの音色・フレーズに「肌が合う」・・・ということなのかと認識している。
そんな初期チェットのPacificの10インチ盤には、これはもうどうしようもなく魅力を感じている。それはもう変わらない。(笑)
ああ、またチェットの話しになってしまった。チェットの「音」については≪夢レコ~≪チェット・ベイカーのPacific盤≫をご覧ください。

7インチでも10インチでも12インチでも何でもいい(笑) とにかくレコード盤というものを大好きな僕だが、それだから「CDは聴かない」とまでは偏屈ではない(笑) そう・・・今回はCDの話しなのだ(笑) 
ちょっと前に、チェット絡みの検索で、たまたまこれを見つけた。この「たまたま」というところがちょいと哀しい(笑) つまり・・・僕は普段から「未発表音源のCD」をくまなくチェックしているわけでもなく、興味の中心は常に過去の遺産(オリジナル盤)に向かっているわけで・・・でもそれも過ぎると「いい音源」を知らないまま」になってしまう。たまには「未発表音源の新発売CD」の情報もチェックしないとダメだぞ・・・という自戒を込めて、今回はこのCDを紹介してみたい。

Chet Baker with Dick Twardzik/The Complete 1955 Holland Concerts(lonehill) 2008年発売らしい?

えっ!1955年のチェット!しかもピアノにディック・ツアージックが入っている。これは聴いてみたいな・・・というわけである。このCDの音源は「1955年のオランダでのコンサート」ということで、クレジットによれば、1955年9月17日(5曲:アムステルダム)、9月18日(5曲:シュヴェニンゲン)、9月21日(2曲:ドイツ)でのライブ音源となっている。「チェット・イン・パリ」という仏Barcley発売のものが1955年10月のパリでの正式録音なので、その前にオランダにツアーしたのだろう。

≪下写真~このパンナム飛行機のタラップ場面・・・あのPacific盤に使われた写真と同じ場面での別ショットのようだ。この後、あの女性モデルが登場したのだろう(笑)≫
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基本的に「未発表ライブ音源」というものには、音質面での過剰な期待をしてはならない(笑) でもこのオランダ音源は正式コンサートを、ちゃんとマイク立てて録ったようで、、ピアノやベースもしっかり聞えるし、時折、チェットのトランペットが若干オフ気味になるが、全体的にそれほど悪くはない。2曲だけ入っているドイツ音源の方は・・・オマケという感じで明らかに音質が良くない。
Chet_1955_1954_018内容は・・・う~ん、やっぱり・・・最高とは言えないが(笑) ブックレットの写真が素晴らしいし、1955年のチェット・ベイカーのコンサートがどんな様子だったのか・・・それがとても興味深くて、僕はこのCD:73分を一気に聴き通すことができた。コンサートはチェットのMCから始まるのだが、これがちょいと面白い。というのは、チェットが「メンバーの訂正」をアナウンスするからである。
≪演奏を始める前にちょっと訂正したいことがあるのですが・・・プログラムでは、ピアノ~ラス・フリーマンとなってるけど、今日のピアノはディック・ツアージックです。それとベースも、ボブ・カーターではなくて、ジミー・ボンドです≫ みたいなことを言うのである。どちらのコンサートでも、同じように訂正アナウンスしているので、直前にメンバーが変わったことについて、ちょっとした拘りもあったのかもしれない。

演奏の方は~
tommyhawk を元気に始めて 次に indian summer をゆったりと・・・という進行だ。そして「歌入り」も、but not for me、my funny valentine(途中切れ)や someone to watch over meを混ぜており、チェットにも案外にサービス精神があるのだな・・・と但し・・・この日のチェットはどうやら、「歌」にはあまり気乗りしていなかったようだ。というのは、someone~では、メロディを変に崩し過ぎて進行がずれかけたり、また、but not for meでは、ベースソロの後にチェットが歌で入るのだが、それが明らかに遅れたタイミングで入ってしまうので、ベースやピアノが困っている様子が判る(笑) 

Chet_1955_1954_019 それから、チェットは歌以外にもスローバラードとしてindian summer の他にも、I'm glad there is you や imagination を演っていて、チェットはやっぱり自分の「いい部分」を充分に判っていて、こうしたコンサートでも、好きなバラード曲を選んでいたのだ。
このCDには収録されてないが、ブックレット解説には、当時の英メロディーメイカー誌のコンサート評が引用されていて、それによると、my old  flame もバラード曲としてレパートリーになっていたようだ。
しかし、チェットの深く沈みこんでいくようなバラードは・・・あの音色の微妙なニュアンスの味わいに醍醐味があるので、残念ながら広いコンサート会場では、チェット独自のトランペットの音色の存在感がもうひとつ生きてこないように思う。

そんなこんなで通して聴いてみると・・・このCDは、どうやらピアノのディック・ツアージックにも焦点を当てているのだな・・・とも思えてくる。そういえば、CDのタイトルもちゃんと「~with Dick Twardzik」となっているじゃないか。
このツアージックのピアノというのがとても変わっていて、普通にジャズっぽく巧い~といタイプではないのだが、なんとも形容しがたい「寂しさ」がピアノの響きの中から溢れてくる・・・そんな感じの個性のピアノ弾きかと思う。
スローテンポでの someone to watch over me~チェットの歌の後の間奏はツアージックが弾くのだが・・・これが何とも凄い。
いわゆる、ジャズの語法ではなくて・・・スローなテンポを、またあえてそのスローな気だるさを噛み締めていくような・・・しかし、このスタンダードソングのセンチメンタルで儚(はかな)げな感覚を、ツアージック流に表している・・・というそんな感じなのだ。なんだかクラシックのピアノコンチェルトの独奏部分を聴いているようでもあるのだが、そんなことはどうでもいい。音楽家が言葉では表せない「何か」を音で表現しようとする・・・というマインドにおいては、ジャズもクラシックもないはずなのだ。今、この音楽を聴いているその時、ディック・ツアージックというピアノ弾きの得がたい個性を味わえば、それでいいのだと思う。
でも、このピアノ・・・嫌いな人は嫌いだろうなあ(笑)
*ツアージックについては<夢レコ>2005年6月22日記事~<チェット・ベイカー・イン・パリ>でも触れております。ご覧ください。
ちなみに、ディック・ツアージックの唯一のリーダーアルバムとしては、Pacificの12インチ盤~A面:ツアージック、B面:ラス・フリーマン の「Trio」という作品がある。そちらのタイトルでは、Richard Twardzik と表記されている(Richardの愛称がDick)


さて、ここにもう1枚、チェット・ベイカーのライブ音源CDがある。それは~
Chet Baker/Boston 1954(uptown) というもので、ボストンのジャズクラブstoryvilleでの1954年ライブのFMラジオ放送音源である。
Chet_1955_1954_002 1955年オランダでのコンサート録音も貴重だったが、こちらは何と言っても1954年のチェット・ベイカーである。なにしろ1952~1954年くらいのチェットときたら、マリガンとのコンビ・自己のカルテットで、Pacificレーベルに次々と傑作を吹き込んでいた時期で、どの作品でも、この頃のチェットの音色は・・・絶品なのである。
加えてこの音源・・・「ジャズクラブでのライブ」なのだ。ジャズはやっぱり・・・狭いところが絶対にいい(笑) 
そしてstoryvillieというクラブはライブ演奏を定例的にラジオ放送していたとのことで、だから音質も本当に素晴らしい。
言うことなしではないか(笑)

このCDには、1954年3月16日、1954年3月23日、1954年10月19日の3セットで57分収録されている。10月のセットだけは2曲10分しか入っていないが、3月のセットはどちらもも「MC~3曲~(MC)~2曲+closingテーマ1曲」という構成になっていて、どちらも約22~24分に収まっている。どうやらこのクラブでの演奏1セットは、おそらくラジオの放送時間に合わせての20分強だったようだ。
Chet_1955_1954_005 こちらのピアノはラス・フリーマン。チェットはもちろんのこと、この頃のフリーマンも素晴らしい。抑えの効いたタッチで弾き込む中音域中心の明るくなりすぎないフレーズが心地よい。そういえば、フリーマン自作曲で the wind という秀逸なバラード曲があるのだが(columbia盤with stringsに収録) 嬉しいことに、この「Boston 1954」CDでは2曲目にその the wind がされているのだ。
チェットはこの曲の紹介MCで、わざわざ≪この曲は最近、Columbiaレーベルで新作の12インチレコードのために録音したばかりなんだ。そのレコードは来週の発売だよ≫なんて宣伝している(笑) きっとチェットも大好きな曲だったんだろう。

もし初期チェットのライブ音源から何か1枚をお勧めするとしたら・・・僕は迷うことなく、このCD~Boston 1954(uptown)を選ぶ(1992年発売)

ちなみに、1のパターンで僕が入手したCDをいくつか挙げてみると~

モンク&コルトレーン/ファイブスポットのライブ(東芝)
*音質は最悪だが、1957年の燃えるようなコルトレーンを感じられる。

モンク&コルトレーン/カーネギーホールのライブ (mosaic)
*2005年発売。こちらは音質良好。モンクもコルトレーンも凄い。

ソニー・クラーク/Oakland 1955(uptown) 
*音質がチェットのuptownに比べると悪い。初期のS.クラークもいい。

ハロルド・ランド/At The Cellar 1958」(lonehill) 
*スコット・ラファロのベース音が(録音上)小さくて遠いのが残念。

ヴィクター・フェルドマン/ Latinsville(contemporary/fantasy) 
*別テイク多数。S.ラファロのベース、やっぱり最高!

すぐに思いつくのはこんなところだ。これらはもちろん、僕:bassclefの興味・関心に引っ掛かったCDであり、だからもちろん「これを聴け」と言ってるわけではない・・・当たり前か(笑) 
ジャズ好きのみなさんそれぞれ気になるミュージシャンが居るわけで、なんにしても・・・CDにも聴いておきたいものがいくつもある・・・ということだけは間違いない・・・・だからまだまだジャズは止められないぞ(笑)

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2010年11月23日 (火)

<思いレコ 第18回>チェット・ベイカーのPacifc盤

チェット・ベイカー・・・抑制の美学

Dscn2508_10 チェット・ベイカー・・・この人のトランペットには独特な何かがある。その「何か」をどんな風に表現したらいいのか・・・音や音色のことを言葉で表わすのは、なかなか難しい。
例えば・・・あなたがある歌手なりミュージシャンを好きに(嫌いに)なったとする。音程がどうとかフレーズがどうとか言ったりもするが、聴き手にとっての好みというのは・・・突き詰めていけば「歌手の声質」であり「楽器の音色」に対する感覚的なものかと思う。では・・・演奏者にとっての好みというのはどんな風に現れるものだろうか・・・。

ジャズという音楽を色々と聴いてくると、トランペットという楽器からも実に色んな「音色」が発せられきたことが判ってくる。マイルス・デイヴィスの音色とクリフォード・ブラウンの音色は、やはり相当にその質感が違う。
ミュージシャンの発する「音色」というものは・・・やはりその人の感性や美学から生まれてくるものだと思う。
アドリブのフレーズとかタンギングとかの技術上・奏法上のことはある程度、分析的・後天的に造られていくものかもしれないが、その人が発する「音色」というものは、歌手の声と同じように先天的なもので、それは「その人であること」を決定づける根本だと思う。もちろんどの楽器の奏者の場合でも、その楽器を持った端(はな)からその「先天的音色」が出るはずもないが、その修練過程において、無意識にでも「あんな音、こんな音がいいなあ」と感じながら、その「音色」が創られていくものではないだろうか。そうして、チェットという人は・・・心底、己(おのれ)の感性、いや、もっと本能的・肉体的な意味での生理感覚だけで、トランペットという楽器をまったく自分の好きなように鳴らしている・・・そんな風に思えてならない。

チェットはトランペットを溌剌(はつらつ)とした感じでは吹かない。
チェットのトランペットは、いわゆる金管楽器に特有の輝かしいものではなく、くぐもった様に暗く低く・・・しかし妙に乾いた感触のある不思議な音色で鳴る。
チェットは音色だけでなくその語り口も独特だ。
フレーズはたいてい、のそ~っと始まり、戸惑ったように口を噤(つぐ)んだり、そうしてまた訥々(とつとつ)と語り始める・・・そんな風情だ。
スローものでは、いや、速めの曲でさえも、いつもどこか一歩引いた視点で吹いているように見える。
そうなのだ・・・この人は明らかにいつも「抑えて」吹いているのだ。
人が何かを訴えたい時に、声高(こわだか)に叫ぶよりも、逆に抑えた方がうんと説得力が増す・・・ということもあるように、チェット・ベイカーという人は、そんな「抑えた語り口の凄み」というものを、本能的に身に付けている稀なミュージシャンなのかもしれない。
そんな独特な音色と語り口でもって、チェットという人は己(おのれ)を語るわけだが、その音(サウンド全体)から醸し出される情感の漂い方が、これまた尋常ではない。あの「寂しさ」や「けだるさ」・・・あんな風に直截に鋭く深く「ある情感」を感じさせる「音」というものもめったにないだろう。
そしてその「音」は、フィーリングの合う聴き手には、どうしようもないほど素晴らしい。

僕はチェットのスローバラードをどれも好きなのだが、特にこれは・・・と思うものをいくつか挙げてみたい。後期のものはあまり聴いてないので、どうしても初期の作品からのセレクトになってしまう。Dscn2507_2
《チェットの最初のリーダーアルバムとなった10インチ盤/Pacific PJLP-3。チェットのトランペットの斜め下向き、なぜか切り取ってしまった背中の真っ直ぐライン、それらが水色と黒の中に見事にデザインされていて・・・実に素晴らしい。この写真では判別しづらいがセンターラベルは<艶あり>で、裏ジャケ下の住所はSANTA MONICAとなっている。この10インチ盤では imagination というスローバラードが秀逸だ》

キング発売の「チェット・ベイカー・カルテット」第1集・第2集(キング18P~の1800円定価のもの)を、発売当時に入手し損ねた僕は、その後もあの水色のジャケットが欲しくて仕方なかったDscn2519_2
たまに中古盤屋で見つけても、そのキング盤は5000円以上の値段で我慢せざるを得なかった(笑)
だいぶ後になってから東芝が発売した「コレクターズLPシリーズ from オリジナル10インチ」なるシリーズで、ようやくその音を聴くことができた。このシリーズは元々の10インチ盤のジャケットをそのまま12インチに引き伸ばしたものだが、それでも、オリジナル10インチ盤の素晴らしいデザインと「同じもの」が見られるだけで、僕は充分にうれしかった。
そうしてようやく、その「本物の水色ジャケット」の10インチ盤を手に入れることができた。東芝12インチ盤と並べてみると・・・やっぱりこのジャケットは10インチの方が収まりがいいようだ(笑)

その「カルテット第2集:featuring ラス・フリーマン」にmoon loveという曲が収められている。ラベルのクレジットには kern-grossmith-wodehouse とクレジットされており、東芝盤解説では『ジェローム・カーンが作曲したもので~』という岩波洋三氏の解説もあるが、これ、元々はクラシックの曲で、それはどうやらチャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章からの引用らしい。
というのも・・・先日、サックス吹きの友人sige君とグロッタ(ジャズ喫茶)にてジャズ話しなどしていると、ちょうどこのチェットのmoon loveが掛かったのだが・・・「このチェット、いいだろう」と僕が言うと「あれ?・・・何でチャイコフスキーが・・・」とsige君。そういえば彼はクラシックにも詳しいのだ。
そうか・・・この曲の元メロディは、チャイコフスキーだったのか。それにしても、本当にいいメロディじゃないか・・・。
このメロディがチェットのあの音色でもって流れてくると・・・なんとも内省的な思いに沈み込んでいくような風情がある。それは・・・寂しさだけでなく、仄(ほの)かに希望を感じさせるような・・・そう、哀しいのだけど微(かす)かに微笑んでしまう・・・そんな雰囲気だ。それを「ペイソス」と呼んでもいいのかもしれない。う~ん・・・やっぱり、チェットはいいなあ・・・(笑)

moon loveという曲は、うんと初期のpacific録音。
《ついに手にいれたオリジナル10インチ盤 Pacific PJLP-6》Dscn2505_2

この10インチ盤にもジャケット違いが存在する。カラーとモノクロだ。Dscn2517 そして・・・そのカラー盤にも2種類あるかも。
この10インチ盤写真の「黄土色っぽいもの」と「セピア色っぽいもの」の2種があるようだ。
(東芝12インチ再発盤は、そのセピア色盤が出自かも)
僕もオリジナル10インチ盤の現物2種を並べて確認したことはなく、ネット上での写真による比較なので、絶対とは言えない。  

《PJLP-6の裏ジャケット》

Dscn2506_2 この10インチ盤の収録8曲は、もちろん全てインストなのに、なぜかsings~の時の写真が使われている。それともこのセッションの合間に歌の練習でもしていたのだろうか(笑)


そういえばリチャード・ツアージックというピアノ弾きが気になっている。だいぶ前にこのブログでチラッと触れたPianists Galore!(world pacifc) に入っていた1曲(Bess,you is my woman)~あの普通ではない暗さがどうにも気になったのである。
そしてその頃、ちょっと珍しい日本盤2枚組みを入手した。
《チェット・ベイカー・イン・パリ》         

Dscn2513_4 この2枚組は日本ポリドール発売。ラベルが白いテスト盤のようだが、この2枚組の何曲かがチェットとツワージックの共演セッション。僕はこのLPで 初めて sad walk という曲を聴いたのだが、これがまたそのタイトルそのままに、なんとも寂しい・・・どうにも寂しい雰囲気なのだ。たぶん・・・ツアージックがチェットのために書いた曲なんだろう。というより・・・いつも耳にしているチェットのトランペットのサウンドがツアージックの耳に、身体に沁み込んでしまって、そうして,じわじわとこの寂しいメロディが湧きだしてきた・・・そんな気になってしまうほど、この曲はチェットに合っている。
この2枚組LPを聴いて、しばらくの後、香港でCD(仏polydor)を見つけた。そのCDには、チェット~ツアージックのセッション全9曲が収録されていた。ホントは・・・CDなんかじゃなく、仏Barcleyのオリジナル盤が欲しい・・・(笑)

チェットのPacifc10インチ盤は、PJLP-3、PJLP-6の他にもいくつか出てます。その辺りはまたの機会に。

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2005年9月 4日 (日)

<思いレコ 第4回> セロニアス・モンク/ザ・モンク・ランズ・ディープ(vogue/東宝)

ニーノニーノの「こだわりの杜」~趣味でつながる楽しみ。

ニーノニーノというオリジナル盤通販のお店がある。そのニーノの新納さんは、HPも運営しているのだが~オーディオやレコードのセンターラベルの話しが満載の中身の濃いHPである~そこにはBBS「こだわりの杜」もあって、「拘りのオヤジたち」が、連日、親密なやり取りをしているのだ。最初に書き込む時には、ちょっと思い切りが要るかもしれないが、一度入ってしまえば、思いのほか気さくな方たちばかりである。僕も1年ほど前から、ちらちらと書き込みをするようになった。4月には、長野の白馬で「杜の会」なるオフ会が開かれたので、普段、出不精の僕もそのオフ会に参加したのだ。そこで、Dukeさんを始め、普段、ハンドルネイムでやりとりしている皆さんと~この「白馬」では、栃木・群馬・静岡・愛知・長野・大阪などから集まった「杜の住人」の方々~実際にお会いしたわけだが・・・いやあ、これが驚くほど自然な打ち解け具合だったのだ。我ながら偏屈な人間だよなあ、と思ってる僕なんかでも、初顔合わせの方々とすぐに打ち解けて、好きなジャズや音楽についてのいろんな話しができてしまうのだ。皆さんの持ち寄ったレコードもいろいろ聴けて、本当に楽しかった。「趣味」だけでつながる集まりというのは、実にいいものです。そんなこともあり、その後の「杜」というBBSでのやり取も、いっそうリアリティが増した、というか「立体感」が出てきたような手ごたえもある。
白馬でのオフ会から一週間後、Dukeさんから電話があった。HPの次の「コラム」を書いてくれ、「テーマは自由。なんでも好きに書いてください」とのこと。 この「コラム」というのは、「杜」の常連さんが、ほぼ月替わりの交代で、「ジャズやオーディオへの思いのたけをぶちまける」みたいなコーナーだ。あのコーナーに、自分の「文章」が載るのか! もちろんたいへんに光栄なことで、うれしくもあったのだが・・・さて何を書こうか。僕の場合、とにかくもうジャズが好きで好きでという状態なんで・・・そういう「ジャズへの拘り」具合なら、なんとかなりそうに思った。だから、中3の頃から自分が「どんな風にジャズという音楽へ没入していったか」みたいなことを書き始めたのだが・・・それからの2週間ほどは大変だった(笑) なかなか書けないのである。いや、書くには書くのだが・・・言い回しが判りにくいし、文章もガチガチ(笑) 普段の「杜」への書き込みは、誰かの話しへの反応やら、ちょっと自分から話しを振ったりで、ずいぶんと気楽に書けたんですが・・・いざ、「コラム」という場所を与えられて、そのスペースが、自分だけにまかされてしまうと・・・これが、妙に構えてしまうのです。そんなに大げさに考えるな、いつもの書き込みと同じだ、気楽にいけよ。もっと長く書いてもいいんだぞ、と自分に言い聞かせるのですが・・・そうは、なかなかできないもんなんです(笑)
例えば・・・ただ「モンクが好きだ」と書けばいいのに「僕はどうしてモンクが好きになったのだろうか?」とか変な言い回しになったり(笑) まあそれでも、結局は・・・自分の好きなジャズ、そのジャズ遍歴を回想風に書くしかない、という気持ち的な開き直りも経て、どうにかそのコラムを書いたのだ。けっこう何度も書き直したりしてましたが(笑)
そのコラムは、6月いっぱい、「ニーノニーノのコラム」欄に on air (笑:言葉の使い方が違ってますが)されていた。杜のみなさんから暖かい反応をいただくたびに、つい読み返してみたりしましたが、ガチガチな文章は、もはや変わるはずもないのでした(笑)
そのコラムの中で挙げたミュージシャンたちは・・・もちろん僕の個人的な好みの歴史なので、どの方にも共通する感覚というわけもないのですが、読まれた方には、bassclef という人間の「ジャズの趣味」がどんな具合なのかということは、判ってもらえたように思います。
「白馬・杜の会」があり、その白馬でのことを「杜」へ詳しく(いや、しつこく:笑)書き込みしたりしているうちに、さらに「コラム」も書くことになり~そうこうしてるうちに、どうやら「ジャズへの自分の想い」を、もっともっと綴りたくなってきてしまったようです。もともと、レコードへの思い込みは強い方だったので、自分のレコード購入記録みたいなものを<レコード日記>として書いていたんですが、4月初めにパソコンが壊れてしまい、(バックアップも取らないタイプなので)それらも全部、消えてしまったのです。そのことへの若干の「拘り」もあったのかもしれません。そんなわけで・・・5月末からこのブログ<夢見るレコード>を始めたのです。いずれにしても、僕がブログを始めたきっかけは、間違いなくあの「コラム」だったのです。ジャズへの想いを「コラム」という型でまとめる機会を与えてくれた、新納さん・・・いやDukeさんには、とても感謝しています。
そのコラムをここに再録します。この転載を快諾していただいたDukeさん、改めて・・・ありがとうございます!ジャズへの想いを正直に書いたつもりです。このガチガチ具合を笑って許してください(笑) 
Blame It On My Youth...

<全てはモンクから始まった>

~自分でもあきれるほどジャズが好きだ。休みの日には、たいていLP10枚くらいは聴く。なんでこんなにジャズが好きなんだろう?・・・よく判らない。でも<ジャズが好き>ということは、僕という人間の正真正銘の真実だ。この先、ジャズを聴かなくなるなんてことは・・・絶対にない。
これほど僕を惹きつけるジャズ。このどうしようもなく魅力的な音楽に、僕はどんな具合に、はまり込んできたのか。ちょっと思い出してみる。

・・・中3の時、マイルスデイビスをカセットに録音したのがきっかけだ。たしか週1回のNHK-FMのジャズ番組で、この日の放送はマイルス特集、DJは児山紀芳。今、思えばなぜ録音したのかわからない。その頃は、サイモンとガーファンクル、エルトン・ジョンなどを好んで聴いていたのだ。LPレコードはとても高くて、2ヶ月に1枚買えるかどうかだった。だからFMからいろんな曲を録音しては、気に入らなければそれを消去してまた使う、という感じだった。あの頃は、カセットテープも(まだTDKという名に変わる前の東京芝浦電気と漢字で書いてある真っ赤な箱のやつ)けっこう高かったし、決してムダ使いはできなかったのだ。 だから・・・名前だけ知っている「マイルス・デイビス」なる人を一度は聴いてみよう、くらいに思ったのかもしれない。いまだ鮮明に覚えているのは・・・その放送の中で、児山紀芳がマイルスの人物評として「タマゴの殻の上を歩くような」というフレーズを紹介していたことだ。そうしてその紹介のあとに流れた曲が・・・<ラウンドミッドナイト>(columbia/1956年)だ。「タマゴの殻?」そんな人物評にも興味を持ち、思わずカセットの録音ボタンを押したのだった。そんな風に気まぐれに録音した<ラウンドミッドナイト>。最初は、演奏なんかよくわからない。ただ・・・あの曲のもつムードに「何か」を感じた。そうして何度か聴くうちに、あのなんともいえない神秘的なテーマとそれを奏でるマイルスのミュートの音色が、もうグングンと僕の心に染み入ってきたのだ。さらに繰り返し聴いているうちに、マイルスのテーマが魅力的なのはもちろんだが、コルトレーンが出てくる場面にもゾクゾクしてくるようになった。そうしてラストのテーマでは、再びマイルスのミュートに戻る。このテーマに戻る場面でも、いつも気分がよくなるのだった。
「静寂」から「躍動」、再び「静寂」に戻る、という自然な流れ。何度でもまた繰り返して聴きたくなる。・・・それまでには味わったことのない感覚だった。

その少し後・・・今度は「あの曲」の作曲者、セロニアス・モンク自身のソロピアノでの「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」(vogue/1954年)を再びFMから録音した。マイルスのミュートが演出したあの曲の持つ「独特なムード」に慣れていたせいか、このモンクのソロピアノにも違和感など全く感じることもなく、いやそれどころか・・・モンクのピアノは、不思議なくらいに、本当に真っ直ぐに僕の心に入り込んできてしまったのだ。マイルスのラウンドミッドナイトは、もちろん素晴らしい。でもモンクのこの演奏には・・・もうムードなんてものを通り越して、モンクという一人の人間が、自分のあらゆる感情を吐露しているような厳しさがあった。モンクの、いや、あらゆる人が、人生を生きていく上で味わう感情・・・<挫折><孤独><哀愁>そして<優しさ><希望>・・・みたいなものが、この演奏の中に封じこめられているかのようだった。(そういう風に聴こえた)

このモンクのソロピアノのレコードは、なかなか見つからなかった。高1の夏に、東芝ブルーノートの国内プレス(ジニアス・モンク vol.1)を間違えて、買ったりしました。「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」という曲が入っている、という理由だけで買ったのだが、このLPに入っているバージョンは、モンクによる初演(1947年の3管入りのもの)だった。「なんか違うなあ・・・」とがっかりしたのだ。(笑)その年の秋だったか・・・ようやく vogue録音のソロピアノのLPが東宝から発売されたのだ。タイトルは・・・セロニアス・モンク/モンク・ランズ・ディープ(東宝) ようやく、あの「ラウンドアバウトミッドナイト」に出会えたのだ。すぐに手に入れて・・・・・このレコードは、本当に何度も何度も聴きました・・・・。runs_deep    

このLPには、ラウンド・アバウト・ミッドナイト以外にも、リフレクションズ(ポートレイト・オブ・アーマイト)、オフマイナー、ウエル・ユー・ニードントなどモンクの傑作曲が入っており、全てが気迫のこもった素晴らしい演奏ばかりです。。その中で、唯一のスタンダードの「煙が目にしみる」・・・これがまた素晴らしい!よく「モンクは変。判りにくい」とか言われるが・・・この「煙が目にしみる」みたいなスタンダードを弾くときのモンクは、一味違います。誰もがよく知っているあのメロディ、あの魅力的なメロディーをそれほど大きく崩したりはせず、謳い上げています。強いタッチなので、演奏全体にゴツゴツした「堅い岩」みたいな雰囲気を感じるかもしれませんが、それがモンクの「唄い口」です。そうしてこのモンク独特の無骨な唄い口が、却ってこの曲の持つ<哀感>みたいなものを、よく表わしているように思います。
ちょっと気持ちが弱った時なんかに聴くと・・・「おい君・・・人生ってそんなに悪いもんじゃないよ」とモンクに優しく諭されているような気分になります。

モンクの魂に触れてしまった(ように思えた)・・・ジャズにここまで深く入り込んでしまった・・・これでもう、僕のジャズ人生も決まったようなものです。この後、モンク~コルトレーン~マイルス~ミンガス~ドルフィー、ロリンズという具合に次々にジャズの巨人たちの<個性>を味わっていきました。それから、いかにモンク好きの僕としても、ずーっとモンクだけ! というわけにもいかず(笑)、ピアノでは、自然と、バド・パウエル、少ししてからビル・エヴァンス、ソニークラーク、ランディ・ウエストンなど好みになりました。特にウッドベースでは、モンク絡み(モンクス・ミュージック)とロリンズ絡み(ナイト・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード)で、ウイルバー・ウエアがもう大好きになったりしました。ちょうどその頃、大学でモダン・ジャズ研究会なるサークルに入りました。聴くだけではガマンできなくなったようです。ピアノかベースか迷いましたが、たまたまベースがいない、ということもあり、ウッドベースを始めたのです。先輩に「好きなベーシストは?」と尋ねられ「ウイルバー・ウエア」と答えたら、その先輩、「うう・・・まあそういのもいいけど・・・まずはチェンバーだよね。チェンバースを聴きなさい」とかなり動揺しておりました(笑)。

楽器を始めると、それまで遠いものに感じていたテナー~アルト~トランペット~トロンボーンなどが、うんと身近なものになり、管楽器への興味が深まっていきました。(それまではどちらかというとピアノ中心に聴いていた) そう思っていろんなレコードを聴いていくと・・・いろんなミュージシャンの音色・フレーズなどの違いにも興味が湧いてきました。ジャズはロリンズ、コルトレーン、マクリーン、ブラウンだけじゃあなかったんです!
「おっ。この人、好きだな。もっと聴きたい!」~「おお、この人もおもしろい。他のも聴いてみたい!」~「ああ、こんな人もいたのか」~ 
・・・キリがありません。そりゃあそうです。ミュージシャンの数だけ、異なる個性が在るわけですから。「個性」に黒人も白人もありません。
だから・・・どちらかというと黒人ハードバップ重量級ばかりを10年くらい聴いてきた後に、ふと手に入れたペッパーの「モダンアート」、この盤で聴いたペッパーは・・・ものすごく新鮮でした。特にバラードでの唄い口には、しびれました。チェット・ベイカーの<あまり強く吹かない乾いたような音色>にも強烈に惹かれました。シナトラの「唱」に急に感じるようになったのもこの頃です。

こうして自分がどんな具合でジャズを聴いてきたかを振り返ってみると・・・だから・・・僕のジャズの聴き方は、こんな具合に、全くの「人聴き」でした。
だから、決してジャズをスタイルで分けて聴いてきたつもりはないのですが、興味を覚えたミュージシャンを聴いてきた34年の間には、自然と、ハードバップ~バップ~ウエストコースト~ボーカルと聴く範囲が拡がってきたようです。この先は・・・バップからもう少し遡って<中間派/エリントン派>あたりに、少しづつ踏み込んでいきそうな気配も感じております。(気配って・・・自分の意思なのに、なんと無責任な(笑)) ただ、僕の場合は、ジャズへの興味が、どうしても過去へ過去へと向ってしまう傾向にあるようです。正直に言うと・・・これまでのところ、結果的には「新しいジャズ」はほとんど聴いておりません。もちろん、あるカテゴリーを偏見をもって意識的に避けたりはしてませんが、あまり好みではないミュージシャンを羅列すると・・・たまたま<新主流派>だった、とかいうことはあります(笑) 「人聴き」するタイプの僕には、「おもしろい」と感じるミュージシャンがあまり見つからないようです。

こんな風に長い間、ジャズを聴いてきても、まだ飽きない。いや、それどころか、ますます好きになってきている。聴きたいジャズはまだいっぱいある。欲しいレコードもまだいっぱいある。わおー!!!

・・・ジャズとはなんと魅力的な、しかも懐の深い音楽なんでしょうか。全てはモンクから始まったのだ・・・・・。

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2005年6月22日 (水)

<旅レコ 第7回>チェット・ベイカー/チェット・イン・パリ(仏emarcy)香港でレコードを探す(E面)

<1992年7月> さあ、次は佐敦(ジョルダン)へ行くぞ!~

さて united recordsで、ようやくLP盤(ショーティー・ロジャーズ2LP)を手に入れ、ちょっと落ち着いた。この大きさ、この重さがいいんだよなあ・・・。近くの食堂で昼めしを済ませた後、地下鉄で九龍側の「佐敦」(ジョルダン)へ向う。ガイド本によれば、このジョルダンに、「レコード店」があるはずだ。
僕は特に方向音痴というわけではないのだが、地下鉄の駅から地上へ出た時、方角がわからなくなることがある。電車を降りると、進行方向から右・左と意識しながら、階段を上がるのだが、地表に出た時、自分が、例えば、この方角が「南」とか思っても90度ずれている!ということがけっこうあるのだ。間違った方向に歩き出して、また戻ったり・・・をどの街でも経験している。ここは香港だ・・・。慎重に周りを見渡すと、交差点の向こう側カドに「国家裕華」がある。前夜、あそこから「夜市」に曲がっていった。よし、もう判った。ここから南に向えば(というか地図では下の向き)、ホテルのあるチムシャアチョイ地区だ。方角が判ったので、もう安心だ。それで、交差点のこちら側を見ると・・・あったあった。すぐそこのビルのB1がレコード店/ジャンフィールドだ。狭い階段を地下に降りる。スタッフも若い。客も若い。どうやら香港でのオシャレCDショップ、という感じだな、これは。この店で驚いたのは、CDの陳列の仕方である。タテに細長く仕切られた棚に、CDが30枚ほどタテに積んであるのだ(笑) フツウはもちろんヨコに並んでいくのにタテなんです。まあ、確かに背表紙の英文字は読みやすいのだが・・・。ちょっと手にとってみたいCDを抜き出すのが、なかなか大変だ。上に積んであるCDを右手で支えながら~これがけっこう重いので、「うっ!」という気合と共に~素早く狙いのCDを抜き取る必要がある(笑) 失敗すると、CD雪崩れがおきる(笑) こんな「タテ積み方式」は、その後も見かけたことはない(笑)    そんな「オシャレなタテ積み」の店ではあるが、やはり夜店の通りのCDショップよりも品揃えはいいようだ。けっこう渋いのもある。ゲッツ(欧州ライブのコンピレーション)、ビル・エヴァンス入りのジョージ・ラッセル(これは日本のCBSソニー盤だ)などを選んだ。
それから、もう一枚~
DSCN0738Chet Baker/Chet In Paris vol.1(仏 emarcy)

1955年10月録音 仏 Barkley原盤

ベイカーをもちろん大好きだが、このCDでは、ピアノの Dick Twardzik が目当てだった。ツアージックは、録音の少ないピアノ弾きで、このパリ公演中に亡くなってしまったのだ。だから、チェットとのこのBakleyレーベルへの録音が、ツアージック最後の録音となったしまったのだ。このvol.1に、その9曲が収められていた。この9曲は凄い・・・。乾いた音色が「孤独」を感じさせるチェットのペットに、ツアージックの「孤独なつぶやき」のようなピアノが呼応する。聴き始めると、なんとも形容しがたいモノクロームなムードに包まれて、時間の経つのを忘れてしまう。なんという世界だろうか・・・。ほとんどの曲が、Bob Zieff という人の作曲なのだが、僕は、<Sad Walk>という曲のテーマ部分が特に好きだ。 淡々としたメロディーのあちこちから・・・ペイソス、と呼んでもいいような「感情」がこぼれおちてくるようだ。

これ以前に僕は、ツアージックを1曲だけ聴いていた。だいぶ前に、 キングから発売された「ピアニスト・ガロー」(パシフィック)というオムニバスLPに、ツアージックの<Bess,You is My Woman>が入っていたのだ。
DSCN0734 これを聴いた時、僕は、彼のあまりにも個性的なピアノにまいってしまった。というより、どうにも気になってしかたないピアノ弾きになってしまったのだ。なにかこう・・・暗い洞窟の奥に引き込まれていくような・・・暗い不安感みたいなものに包み込まれていくような感じ。「暗い」といってもマル・ウオルドロンのように、暗い曲を暗いムードで弾く、という感じではなく、もっと本質的に、深い孤独を感じさせるようなピアノの響きがするのだ。キングから出た「ピアニスト・ガロー」は、このLPでしか聴けないらしいハンプトン・ホーズや、カール・パーキンス、ジミー・ロウルズらのテイクも入っており、しかもそれらがどれもいい演奏で、とても好きなLPになっていた。そんな愛聴盤なので、キング盤だけでは飽き足らず、1年ほど前に、オリジナル盤~≪Jazz Pianists Galore≫(pacific)を手にいれた。DSCN0733モノラル/青ラベルだが、「音質」は・・・まままあよかった。    

特にB面1曲目、ロウルズの<Sonny Speaks>は、乾いた響きの端正なピアノの音が、不思議に素晴らしい・・・。ジャズの世界には、素晴らしいピアニストがいっぱいだ。・・・これだからジャズは止められない。

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