香港 

2005年12月11日 (日)

<ジャズ回想 第3回>ああ、中古レコード店:   ラビットフットレコードと初期のビル・エヴァンス。

1980年春~ジャズ喫茶/グロッタとラビットフットレコードのこと。

地元のジャズ喫茶「グロッタ」には、学生時代の75年から78年頃、本当によく通った。重い防音ドアがひとつあるきりで、あとは一面コンクリートカベの店だった。店内も灯りが極端に暗めで・・・ソファにたどりつくまでに、つまづきそうなほどで、正に「洞穴」(グロッタというのは、どこかの言葉で「洞穴」というらしい)のような店だったのだ。だんだんと目が慣れてくると、この「暗さ」が心地よくなってくる。よくあんな暗がりの中で、みんなマンガや雑誌を読んでいたなあ。このグロッタは・・・とにかく大きな音でジャズを聴かせてくれたし、何よりいいレコードがいっぱいあった。ラファロが聴きたくて、ビル・エヴァンスのSunday At The Village Vanguard をいつもリクエストしてかけてもらった。JRモントローズやアンドリューヒルも何度もかかった。そのグロッタが改装のため、一時的に閉店していた80年の春・・・グロッタのすぐ斜め向かいに「ラビットフットレコード」がオープンした。これはうれしかった。それまでは、名古屋か浜松に行かなければ手に入らない「輸入盤」が、地元の街で手に入るようになったのだ。ラビットは、やはりロック系・トラッド系が中心ではあったが、うれしいことにジャズの輸入盤・中古盤もけっこうあった。ジャズが少ないのは・・・これはもうジャズファンなら馴れっこの仕方ないことだ。とにかくジャズのコーナーがあれば、それで充分だった。このラビット・・・開店直後には、liberty音符ラベルのブルーノート盤がたくさん出ていたので、それまでほとんど持っていなかったブルーノートの有名盤を、けっこう入手した。ロリンズの「A Night At The Village Vanguard」やら、ブレイキー&クリフォードブラウンの「A Night At The Birdland vol.1&vol.2」も、カットアウト盤だったが、格安(1400円前後だったか)で入手できたのだ。この頃は・・・リバティ音符ラベルがオリジナル盤と比べてどうか?なんてことは全く関係なかった。とにかくキングや東芝(80年だとまだキングの最終の頃か?)の国内盤定価より「安い」ところに価値があったのだ(笑)「ブルーノート」というレーベルは・・・東芝が「直輸入盤」として発売していた頃から「高い」イメージが強く、キング盤になってからも、どうも手が出しにくい感じだった。とにかく、ブルーノート盤には持ってない/聴いたことない、というタイトルが多かったのだ。
しばらくはラビットに通いつめた。そんなある晩・・・ラビットの斜め向かいの辺りが明るいし、何やらざわざわしているような感じだ。おおっ!改装なったグロッタがオープンしたのだ!ずず~っと近寄ると、とにかく「明るい」。あの洞穴のような暗いグロッタが・・・木のドアの両側の天井までの窓からは、店内からの灯りがもれて歩道までピッカピカじゃないか!中も丸見えだ。再オープンの夜ということで、店内はもうお客で一杯になっている。さっそく、木のドアを開けて入っていく。久しぶりに見る顔なじみばかりだ。なにやら照れくさいような感じだ。とにかく明るい。ガラス窓なので外からもスースーに見えちゃうし、座っていてもどうにも落ち着かないのだ(笑) この明るくなって一見、普通の喫茶店に変わったグロッタではあるが、「ジャズ喫茶」を感じさせるものがあった。大量のLPレコードたちだ。やはり彼らがお店の主役なのだ。下の床から天井まで5段はある造り付けの収納タナにぎっしりと収まっている。この風景は全く壮観だ!軽く5000枚はあっただろうか。レコード好きなら、このタナの前で紅茶など飲んでるだけで幸せだろう。僕はずうずうしく時々、気になるレコードを取り出して見せてもらったりしていた。改装オープンしばらくは、もちろんこのレコードをかけていたが・・・新しいグロッタは、「ジャズ喫茶」を前面に打ち出してはいなかったので、残念ながらこれらのレコードを大音量でドンドン聞かせる、というスタイルではなくなったようだ。カセットでかけるジャズのヴォリュームが少し下がった分、常連のお仲間が集まり、気楽にしゃべれる店になったのだ。そんなグロッタにもすぐに慣れてきた。それからしばらくは、ラビットを覗いたあとグロッタに寄る、というパターンが続いた。そうして、この頃からレコードを買うペースが急激に上がっていった。ラビットでいいレコードも見つかったし、社会人になっていたので「聴きたいレコードは自分で買う」というスタイルになっていったようだ。

evans_victor_001さて、この<ラビット>で入手したもので印象深いものを~中古盤がメインのお店なので、やはり国内盤が主になるが~何枚か、関連する盤も併せて紹介したい。

トニー・スコット/ザ・タッチ・オブ・トニー・スコット(ビクターRGP-1056)~ビル・エヴァンス目当てでマークしていた盤なので、これを発見した時は、とてもうれしかった。1972年にビクターがプレスティッジ1100円盤を発売した後の1973年のRCA系1100円盤の中の1枚らしい。ペラペラの折り返しジャケットが、当時はとても安っぽく感じたが・・・今では何故か魅力的である。「Aeolian Drinking Song」では、初期のエヴァンスの硬質なソロがふんだんに聴かれる。何かのTVジャズ番組でほんのちらっとだが、この頃かと思われるエヴァンスの映像を見た記憶がある。なんの曲だったかなあ・・・。この頃のエヴァンスのピアノは・・・わざと表情を隠したような冷徹なタッチと長いフレージングで・・・硬質というより・・・非情な感じさえ受けるハードボイルドなエヴァンスである。「オレは普通のピアノは弾かんぞ」と主張しているかのようなとても尖がった個性的なピアノだ。人によっては、この「冷徹な感じ」をレニー・トリスターノの影響が・・・と思われるかもしれない。僕はこの初期のエヴァンス、大好きである。58年のリヴァーサイド「Everybody Digs~」まではこの路線だったように思う。
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同じくトニー・スコットとの共演盤~「Tony Scott/The  Complete Tony Scott(LPM-1452)を、米ビクターのオリジナル盤を、ちょっと前にネットで入手した。フレッシュサウンドのLPやCDで聴いていたが、イマイチ音質が悪くて、この「犬ラベル」に期待したが~56年か57年のモノラル録音~ビッグバンドのサウンドがやかましくてこもったような音で・・・期待したほどではなかった。米ビクターのLPS(ステレオ)には、音のいいものが多いのだが。エヴァンスのソロは・・・「I Surrender Dear」や「Just One Of Those Things」でほんの少しと、B面最後の「Time To Go」で、ようやくエヴァンスのタッチの強弱を生かした、とてもいいソロが聴かれる。

ついでにジョージ・ラッセル絡みでのエヴァンス参加盤をひとつ。これもラビットで入手した。
ジョージ・ラッセル/ジャズ・ワークショップ(ビクター:RGP-1167)だ。ウラジャケ隅の表記によると1976年の発売らしく、同じビクターのRCAシリーズだが、価格も1300円盤になっており、もうペラペラ・ジャケではなくなっている。「コンチェルト・フォー・ビリー・ザ・キッド」という曲では、エヴァンスが大活躍だ。ちょっとラテンっぽいリズムでのテーマの後、4ビートになり、そこで・・・さきほど書いたような「ハードボイルド」なエヴァンスのソロがたっぷり聴かれる。今、久々に聴いていると・・・すごくいいソロです。それからちょっと新発見だ。エヴァンスのソロの始めころに「む~・・・・う~・・・」と、かすかな「唸り声」が聞こえるのだ。意外な感じだ。エヴァンスも唸るんだろうか・・・?

evans_victor_003 [右側がRGP-1167、左側がSHP]

左側のジャケ違い盤は・・・だいぶ後になって入手したのだが、これも日本ビクター盤が、ちょっと古い時代のSHP-5071(¥1800)だ。ジャケの色あいやトリミングの具合など、このSHP盤にも捨てがたい味がある。この盤は、テスト盤なのかセンターラベルは一切の文字なしであった。

さて・・・音の方は?  古い時代の盤の方がマスターテープの鮮度などの理由で音がいいのでは、と期待して聞いてみたのだが・・・この同一タイトルの日本ビクター盤を聞き比べた限りでは、残念ながら「古いSHP盤」の方が明らかに音質が悪かったのである。先ほどの「コンチェルト~」でのエヴァンスのハッとするような鋭いタッチが、1976年のRGP盤に比べると「こもったような感じでメリハリのない」感じに聞こえる。マスターテープの具合が悪かったのか、プレス具合が悪かったのか・・・。同じタイトルの時代(製作時期)よる音質の優劣・・・これは、オリジナル盤の1st、2ndの場合と同じく、そう単純には決められないようである。

ハンク・モブレイ/マイ・コンセプション(キング)~キングがブルーノートの版権期限切れの直前に「世界初登場シリーズ」として発売した頃は、まだ「未・ソニー・クラーク」だった(笑) だから・・・とっくに廃盤になった頃にこの盤の存在を知り、どうしても聴きたくて聴きたくて・・・そんなある日、この盤がラビットにあったのだ。この盤は・・・内容が本当にいい。ソニー・クラーク作のバラード「マイ・コンセプション」がモブレイのしっとりとした音色と相性が最高みたいで、入手以来、ず~っと愛聴盤となっている。
余談ではあるが・・・レコードの中古盤屋さんには、なんというか・・・「ある盤が出回る時期の法則」があるように思う。豊橋は地方都市なので東京のように、発売直後の新譜が(気にいらなくてなのか?)すぐに中古屋さんに出回る、というようなことはあまりなかったと思う。新譜で売れる量が少ないからだ。そういう地方都市ならではの「法則」とは・・・まあ法則なんて大げさなものではないが・・・例えば、あるタイトルの<CDが発売されて1~2ヶ月後>だ。中古盤の世界では、80年台後半に明らかに「レコードからCDへの移行」時期があり、この頃、たくさんの音楽ファンが、LPからCDにのりかえたようだった。だから・・・CDで発売されたタイトルのアナログ盤が、よく出回ったりしたのだ。だから僕は、狙っていたアナログものがCD化されると、それまでより短いスパンでラビットを覗くようにしていた。それから・・・CD化でなくても、例えば東芝がブルーノートのあるシリーズを出すと~新しいものに買い替えた人が手放すのだろうか~同じタイトルのキング盤が出てくる、というようなこともあったようだ。そんな具合だったから、僕は、「どうしても聴きたい復刻盤(あるいは完全未発表の盤~その旧譜はありえないわけだから)」は、新譜レコード店で買っていたが、それほどマークしてない盤の場合は・・・中古で出たら買おう、と待っていたりしたものだ。これはっ、と思うものは入手してきたが・・・今思えば・・・キングの初登場盤は、けっこう多くのタイトルが中古で出ていた。まだそんなに人気が上がる前で割安だったのに・・・

これは、どちらかというと珍盤の部類に入ると思うが・・・ evans_victor_004
ジュリアス・ワトキンス楽団/French Horns For MY Lady(フィリップスSFL-7048:日本ビクター発売)~サム・テイラーなどに代表してイメージされる60年代後半のムードミュージックの一種として発売されたようだ。「夜の誘惑ムード」というサブタイトルが可笑しくも哀しい。
ジュリアス・ワトキンスという人は・・・一聴、ヘタなトロンボーンに聞こえるあの楽器~
レンチ・ホルン~を吹くジャズメンだ。モンクのプレevans_victor_005スティッジ盤(ロリンズ入りの「13日の金曜日」セッション)でこの人の名前を覚えていた。この盤はたしか・・・3枚1000円のコーナーに混じっていた。確かに、ただの「古いムードミュージックのLP」なんで(笑) 僕はうれしく確保したのだった。内容はクインシー・ジョーンズのアレンジに、エディ・コスタのピアノやらジョージ・デュヴィヴィエのベースも入り、悪くないアレンジジャズだ。

ラビットフットレコードは、2003年8月31日に閉店した。ラビットのオーナーだった小川真一氏は、現在、レコードコレクターズなどに評論を書かれている。ラビットの閉店セールの模様はこのアドレスでどうぞ。

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2005年6月25日 (土)

<旅レコ 第8回>香港でレコードを探す(F面)完

1992年7月 九龍公園を通リ抜けて~

(佐敦)ジョルダンの「ジャンフィールド」で、CDを3タイトル買った。ざっと計算すると、香港で買ったレコードとCD合計が1200香港ドル(約18000円)ほどになっている。LP盤が本線の僕としては、新品のCDを買ってもあんまりうれしくない。それに、1CDの相場が100香港ドル(当時、約1500円)なので、日本で買える「中古CD」とそれほど差がないのも「うまみ」がない。香港でわりと見かけるEMI系blunoeteのCDは、いつでも中古で買えるだろう。今回は、前から音源そのものを、どうしても聴きたかった「マーティー・ペイチ/moanin’」と「チェット・ベイカー/Chet in Paris vol.1」が、見つかった。この2枚で、もう充分だろう。朝からセントラル(中環:チュンワン)~コーズウエイベイ(銅羅湾:トンロンワン)~ジョルダン(佐敦)と徘徊してきたので、さすがに・・・疲れた。もうどの店にも、LPは置いてないようだし、それに香港は、暑くて蒸し蒸しだ(笑) わりと暑さには強い僕だが、もうふらふらだ。このジョルダンから一駅、あるけば、チムシャアチョイだ。ホテルに戻ろう。そうと決めたら、もうすぐにネイザンロードを南に向って歩き始めた。通りの右側の高台に「九龍公園」がある。とにかく南北に長く続く公園だ。ついでなので、その公園の中の歩道を抜けていくことにした。とにかく長い。クラクラするような暑さの中、歩いていくと、なにやら「歓声」が聞こえてきた。ああ、「夏の響きだなあ・・・」ともう少し進むと・・・公営プールみたいなのがあって、子供でいっぱいだ。ちょうど、そのプールの上を歩道が陸橋みたいになって超えられるようになっていたので、しばらく陸橋の上からプールをぼんやりと眺めたりした。ああ、水につかったら気分いいだろうなあ・・・入場料はいくらかな・・・とボンヤリ考えたりもしたが・・・再び公園の歩道を歩き始める。もうフラフラだ。九龍公園の端っこにベンチが置いてあるような広場があり、そこを抜けて下に降りれば、
すぐホテルだ。ちょうど木陰が気持ちよさそうなベンチが空いていたので、ちょっと腰を下ろして小休止にした。そしたらすぐに、ターバンをした多分インド人風の男が、す~っと近寄ってきて、声をかけてくる。日本語で「お時間ありますか?」とかなんとか・・・。手には、何やらパンフレットを持っている。間違いなく何かの勧誘だ。日本でも同様だが、宗教の勧誘というのは・・・全く、ノーサンキューだ。ここで「愛想笑い」をしてはならない(笑) 僕は「NO!」(thanks はつけなかった:笑)というなり、せっかくのベンチを放棄して歩き始めた。公園のタラップを降りて、ホテルの出入り口のある裏通りに回る。このホテル/ハイアット・リージェンシーは、ネイザンロード沿いにあるのだが、なぜか、ネイザンロード側からは出入りできないのだ(笑) ひとつ西側の路地の方に出入り口がある。出入り口のまん前にセブンイレブンがあるので、ここで飲み物やお菓子を買って部屋へ戻る。昨日もそうしたな(笑) 香港のホテルは、とにかく冷房が強烈だ。長袖のトレーナーをパジャマ代わりにしてちょうどいいのだ(笑)~夜まで、ゆっくり昼寝してから、前の晩も出かけた「ネッドケリーズ・ラストスタンド」へ出かける。出かける、といっても、ホテルからすぐそこ、ほんとに1~2分の場所なのだ。だから一昨日も昨日も来ている。3日連続だ。ハウスバンドが~年配のおじさんサックス、落ち着いたベース(電気)、ちょっとへたなキーボード、若いが上手いドラムス~ライブをやっていて、ジャズだったので、うれしくなる。この店、ちょっとガラの悪そうな白人(どうも海軍の兵隊みたい)とかも多いが、料金が安く3日とも満員だった。この晩は、他にも日本人グループ客が多かったので、いつもはジャズのスタンダード中心だったバンドが「日本人の方に一曲~」と一言・・・始まった曲は「雪が降る」だった(笑) 非常に力が抜ける香港3日目の夜だ。ああ、明日はもう帰るのか・・・ホンコン、楽しかったなあ・・・こんな風に、初めての香港の旅は終わっていくのであった。

それにしても・・・<旅先でのレコ買い>って、ほんと、楽しいものですね(笑) まことにもって・・・ジャズはやめられん!

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2005年6月22日 (水)

<旅レコ 第7回>チェット・ベイカー/チェット・イン・パリ(仏emarcy)香港でレコードを探す(E面)

<1992年7月> さあ、次は佐敦(ジョルダン)へ行くぞ!~

さて united recordsで、ようやくLP盤(ショーティー・ロジャーズ2LP)を手に入れ、ちょっと落ち着いた。この大きさ、この重さがいいんだよなあ・・・。近くの食堂で昼めしを済ませた後、地下鉄で九龍側の「佐敦」(ジョルダン)へ向う。ガイド本によれば、このジョルダンに、「レコード店」があるはずだ。
僕は特に方向音痴というわけではないのだが、地下鉄の駅から地上へ出た時、方角がわからなくなることがある。電車を降りると、進行方向から右・左と意識しながら、階段を上がるのだが、地表に出た時、自分が、例えば、この方角が「南」とか思っても90度ずれている!ということがけっこうあるのだ。間違った方向に歩き出して、また戻ったり・・・をどの街でも経験している。ここは香港だ・・・。慎重に周りを見渡すと、交差点の向こう側カドに「国家裕華」がある。前夜、あそこから「夜市」に曲がっていった。よし、もう判った。ここから南に向えば(というか地図では下の向き)、ホテルのあるチムシャアチョイ地区だ。方角が判ったので、もう安心だ。それで、交差点のこちら側を見ると・・・あったあった。すぐそこのビルのB1がレコード店/ジャンフィールドだ。狭い階段を地下に降りる。スタッフも若い。客も若い。どうやら香港でのオシャレCDショップ、という感じだな、これは。この店で驚いたのは、CDの陳列の仕方である。タテに細長く仕切られた棚に、CDが30枚ほどタテに積んであるのだ(笑) フツウはもちろんヨコに並んでいくのにタテなんです。まあ、確かに背表紙の英文字は読みやすいのだが・・・。ちょっと手にとってみたいCDを抜き出すのが、なかなか大変だ。上に積んであるCDを右手で支えながら~これがけっこう重いので、「うっ!」という気合と共に~素早く狙いのCDを抜き取る必要がある(笑) 失敗すると、CD雪崩れがおきる(笑) こんな「タテ積み方式」は、その後も見かけたことはない(笑)    そんな「オシャレなタテ積み」の店ではあるが、やはり夜店の通りのCDショップよりも品揃えはいいようだ。けっこう渋いのもある。ゲッツ(欧州ライブのコンピレーション)、ビル・エヴァンス入りのジョージ・ラッセル(これは日本のCBSソニー盤だ)などを選んだ。
それから、もう一枚~
DSCN0738Chet Baker/Chet In Paris vol.1(仏 emarcy)

1955年10月録音 仏 Barkley原盤

ベイカーをもちろん大好きだが、このCDでは、ピアノの Dick Twardzik が目当てだった。ツアージックは、録音の少ないピアノ弾きで、このパリ公演中に亡くなってしまったのだ。だから、チェットとのこのBakleyレーベルへの録音が、ツアージック最後の録音となったしまったのだ。このvol.1に、その9曲が収められていた。この9曲は凄い・・・。乾いた音色が「孤独」を感じさせるチェットのペットに、ツアージックの「孤独なつぶやき」のようなピアノが呼応する。聴き始めると、なんとも形容しがたいモノクロームなムードに包まれて、時間の経つのを忘れてしまう。なんという世界だろうか・・・。ほとんどの曲が、Bob Zieff という人の作曲なのだが、僕は、<Sad Walk>という曲のテーマ部分が特に好きだ。 淡々としたメロディーのあちこちから・・・ペイソス、と呼んでもいいような「感情」がこぼれおちてくるようだ。

これ以前に僕は、ツアージックを1曲だけ聴いていた。だいぶ前に、 キングから発売された「ピアニスト・ガロー」(パシフィック)というオムニバスLPに、ツアージックの<Bess,You is My Woman>が入っていたのだ。
DSCN0734 これを聴いた時、僕は、彼のあまりにも個性的なピアノにまいってしまった。というより、どうにも気になってしかたないピアノ弾きになってしまったのだ。なにかこう・・・暗い洞窟の奥に引き込まれていくような・・・暗い不安感みたいなものに包み込まれていくような感じ。「暗い」といってもマル・ウオルドロンのように、暗い曲を暗いムードで弾く、という感じではなく、もっと本質的に、深い孤独を感じさせるようなピアノの響きがするのだ。キングから出た「ピアニスト・ガロー」は、このLPでしか聴けないらしいハンプトン・ホーズや、カール・パーキンス、ジミー・ロウルズらのテイクも入っており、しかもそれらがどれもいい演奏で、とても好きなLPになっていた。そんな愛聴盤なので、キング盤だけでは飽き足らず、1年ほど前に、オリジナル盤~≪Jazz Pianists Galore≫(pacific)を手にいれた。DSCN0733モノラル/青ラベルだが、「音質」は・・・まままあよかった。    

特にB面1曲目、ロウルズの<Sonny Speaks>は、乾いた響きの端正なピアノの音が、不思議に素晴らしい・・・。ジャズの世界には、素晴らしいピアニストがいっぱいだ。・・・これだからジャズは止められない。

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2005年6月19日 (日)

<旅レコ 第6回>ショーティー・ロジャーズ/ショート・ストップス(RCA)香港でレコードを探す(D面)

<1992年7月> 香港3日目~トンロンワンからジョルダンへ~

「京都capitol」では、ペイチの他に、ゲッツとベイカーを買う。もう12時近い。もう一度、「united records」を見てこよう。もう開いているかもしれない・・・期待を込めて緩い坂道を上り、上の横道へ・・・「おお!オープンしてる!」 建物外の階段を上る時のうれしさよ。年配のオバちゃんが、威張った感じでレジに座っていた。どうやらここが本店らしい。さて、品揃えは・・・残念ながら、ランドマーク店と同じく、CDがほとんどのようだ。LP盤コーナーは、通路中央のレジまん前に、LPのエサ箱が少しある。ジャズは、あまりない。残念である・・・考えてみれば、本店といっても、ランドマーク店と仕入れが同じなら、在庫傾向も同じに決まってる。香港では、イギリス~フランスあたりからのインポートものが多いようで、総じて、アメリカ盤が少ないようだ。
EMI系~capitol~bluenoteのCDは、けっこう見かけたが、fantasy系は、OJCでさえ、LP/CD共に全く見かけなかった。多分、香港全体の輸入の流れみたいなものが関係しているのだろう。(*あくまでも1992年の話しです。現在のジャズCD/中古LPなどの市場はどんな感じなんでしょうか? ご存知の方、ぜひ教えてください~)

~そんな具合だったが、せっかくここまで来たのだし、やっぱりLP盤が欲しいよなあ・・・ということで、なんとかひとつを選び出した。
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≪Shorty Rogers/Short Stops with his orchestra and the giants(RCA bluebird:5917)2LP≫
裏に reissued by Ed Michel とクレジットされている。 1987年の再発らしい。音は、やけにスッキリしたきれいな感じだ。digitally remastered というのは、よくも悪くも「スッキリ」しすぎるようだ。この頃、米RCAが bluebird digitally remastered シリーズとして、未発表テイクなんかも入れて再発していたのだろう。同じ bluebirdシリーズで、ドラムのジョー・モレロ/It’s About The Time も持っている。この2LPを選んだのは、もちろんロジャーズではなく、ペッパーが目当てだった。ペッパー入りのRCA録音は、ちょっと判りにくい。もともとの10インチ盤が12インチ化される時に、いくつかのセッションが何枚かに分けられたようだ。一部しか聴いたことがなかったので、この2LPには、1953~1954年のペッパーやズート入りのセッションが、未発表(シングル発売のみ)なども交えて、32曲も収録されていた。2in1CDもそうですが、2x10インチ盤 in1LPというのも、なんか、お得な感じがしますね(笑)

1953年の8曲、これは10インチ盤が素のはずだ。演奏は・・・・これはもう素晴らしい。1曲が2~3分と短いが、時々出てくるペッパーのソロの見事なこと!この頃のペッパーは、鋭くも仄かに暖かみのあるサウンドと迷わないフレーズで、本当に切れ味の鋭いソロをとる。スパッと切れる日本刀のようだ。これで切られると・・・気持ちがいい(笑) ・・・ペッパーが好きだ。DSCN0703

≪Shorty Rogers & his Ginats≫(RCA Victor LP-3137)  

最近、ついに、この10インチ盤を手にいれた。RCA Victor にしては、センターラベルが「カラーの犬マーク」じゃなくて黒いラベルだし、盤そのものも薄くて軽い。1953年のオリジナル10インチかどうかは判らない。その後に、10インチ盤仕様で再発でもしたのだろうか?
それでも、この10インチ盤の音は・・・さすがによかった!<オリジナル盤は音がいい>と言ったって、どこがどういいの?と問われれば、僕などは、答えに窮する。ただ、オリジナル盤というのは多少、サーファスノイズ(プチ・パチ音など)があっても、とにかく・・・楽器の音色が生き生きしている! 肌合いが生々しいのだ。ちょっとの差じゃないか、と言われればそうかもしれないが、ジャズをある程度、聴き込んでから発見する、この「差」は・・・大きい。そうして・・・ずるずると・・・オリジナル盤の世界にはまっていくのだ(笑) 
とは言いつつも・・・オリジナルでも再発でも、結局はもともとの録音の良し悪しが一番大事だし、実際、「いい音」のオリジナル盤ばかりじゃあないからなあ・・・いや、それでもオリジナル盤というのは「音」だけじゃないんだ。ジャケット、紙の質感、古い匂いなど、それら全てから繰り出される、「どうにも魅力あるプロダクツ」だからなあ・・・やっぱりやめられんよなあ・・・などと、ぼやきが止まらない僕です。(笑)

CD、再発日本盤、再発外盤、オリジナル盤~同じ音源での音質や音色の違いを、表現するのはとても難しい。でも「映像」に例えると、違いの「雰囲気」」は、わかってもらえるような気がする。誰もが、知っている(気づいている)映像での違い~videoの映像が、全体にキレイにはっきり写っているのに対し、filmの映像は、いわゆる解像力では、劣っているのかもしれないが、「質感」が明らかに違う。しっとりと生々しく陰影などに味わいがある。「どちらが現実に近いか?」ということとは、また別の話しだと思う。
「音」に対する好みも、多分・・・この<映像における、video(デジタル感)と film(アナログ感)の違い>に、そのまま置き換えることができるような気がする。アナログが絶対に好き!というのは「質感」「肌合い」「味わい感」みたいな部分で、これはもう生理的なものだと思う。そうして「肌合い」「味わい」というものは、数値では測れない何かであろう。僕はそう信じたい。
それを、「時代遅れ」「偏屈」「意固地」と呼んでもらっても、一向に構わない。(笑)

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2005年6月16日 (木)

<旅レコ 第5回> マーティー・ペイチ/モーニン(discovery) 香港でレコードを探す(C面)

<1992年7月>トンロンワンにて、レコード店探索開始!

さて・・・トンロンワンにあるはずの「レコード店/united records」を目指ししばらく Lee Garden辺りを歩いたのだが、どうにも見つからない。南側に向って緩やかな上りになっている。すぐ先に「Garden Hotel」が見える。あれ? こんな遠くじゃないぞ・・・。地図によれば、レコード店は、そのホテルよりかなり下の方だ。ホテルのある小高い丘をとりまくように、ゆるく弧を描いたような横道がいっぱいある。だからシンプルすぎる地図に示されたレコード店が、どの路地なのか判りにくいのだ。しかたないので、上側の横道からジグザグに3つ4つ、順番にチェックすることにした。2つめだかの横道の中ほどで・・・・・ようやく「united records」を発見!小さい建物の2Fだ。回りは普通の住宅も多く、店の看板も小さい。こりゃあ判りにくい。 もう11時過ぎだ。昼までにじっくりチェックだ!と思った瞬間・・・・・ガックリだ。店がまだオープンしてないのだ! う~ん・・・小さい看板には、確かに open am11:00~と書いてあるのに。ちょっとだけその場で待ってはみたが、開きそうな様子がない。  しかたない・・・メイン通りまで戻って「そごう」とかで、時間つぶそうかなあ・・・と思いつつも、続く横道をジグザグと降りることにした。そうしたら偶然にも、2つばかり下の横道で、CDショップを発見したのだ! 店の名が怪しい・・・「京都CAPITOL」というのだ。「京都」の部分が、ちゃんと「漢字」で書いてある(笑) CDは本命じゃあないが、仕方ない。ここで時間つぶしだ。ここも開店直後の雰囲気で、お客は誰もいない。ほとんど期待せずにチェックを開始する。香港でのCDの相場は、昨日の「唱片」(レコード店)巡りで、判っている。新譜CDが100香港ドルくらい、バーゲン価格なら50~70香港ドルてな感じだ。よしっ。さあ、かかってこい!
この店、小さいが、ジャズの在庫は、昨晩の「精美唱片」より充実している。トンロンワンの街全体が、かなりの都会だしオシャレな店も多い。ジャズ音楽への需要もそれなりにある、ということだろう。この店の在庫も、capitol系のCDが多いようだ。バーゲン価格のものは少ない。ほとんど見たことあるようなタイトルばかりだったが・・・ひとつ、「あれっ」というのを発見した。それが、これだ。

Marty Paich/Mornin’ (Discovery DSCD-962) warner音源の「踊り子」と「シャワー」の2in1です。(すみません、CDなんです)

DSCN0698 このCD、今では、特に珍しくもないのだが、1992年当時は、まだ「国内盤CD」が出てなかった。 warner音源のジャズは、なぜか国内盤の発売タイトルが少ないようで、僕は「踊り子」にも「シャワー」にも、国内盤LPに出会ったことがなかった。フレッシュサウンドからは、ジャケ復刻したLPが出てたようだが、これも地方都市の中古店には、なかなか出回らない。そんなわけで、この2枚は、何年も前から、「ぜひ聴いてみたいレコード」だったのだ。
ペッパー絡みでも、またベースのスコット・ラファロ絡みでも、とにかく「聴きたかった」のだ。こんなCDがdiscoveryから出ていることも全然、知らなかったので、この突然の発見は、すごくうれしかった。~うん、これこそ真の Discovery だ!(笑) 欲しかったレコードが2枚分、同時にゲットできるのだ。価格は、110香港ドル~2in1で1650円なら悪くない。DSCN0699こうなりゃCDでもいいじゃないか。2~3年後には、Discoveryと契約したどっかのレコード会社から発売された。その国内盤が発売される頃、ジャズ雑誌に発売広告が載った。「踊り子」の広告写真はジャスト、CDサイズだ・・・ようし・・・。
この右の写真~「踊り子」と「シャワー」のCDサイズ写真は、その広告ページから切り抜いたもの。元のジャケ写真の替わりにケースにはめこんだりしてます(笑) 気分は、国内盤オリジナルCDだ!  とっても意地らしくもあり、せこいのですが・・・おそらく、日本で20人くらいは、同じことをやってる、と僕は確信しております(笑)  ~たまたまこのブログ、見てましたら、ぜひ「僕も、わたしも」の声をお挙げください(笑)~

演奏は・・・「踊り子」、さすがの内容です。59年録音ですが、クレジットによると12人編成の小ビッグバンドの拡がり具合が「すっきりしたステレオ録音」で入ってるように思います。ちょっとだけ、全体にエコーがかかりすぎているようにも感じる。もう少しエコーが少なければなあ・・・と個人的には思う。

~この盤については、最近、オリジナル盤を聴く機会があった。端正な音質はさすがで、A面1曲目~It's All Right With Me が「プア~」と聴こえてきた瞬間、心地いいステレオ録音の拡がりとラファロの「鳴り」が、僕をシアワセな気分にさせてくれた~

ラファロのベースは、中央、やや左辺りから「ブンブン」うなり、「グォングォン」と鳴る。とにかくラファロのビート感(演奏がグイグイと彼のビートに引っ張られていくのだ!) は、どうしようもないくらいに、すごい!
2曲目の<I’ve grown accustomed to her face>このバラードがいい。ラファロよりもう少し左側から、ペッパーが~あのペッパーにしか唄えない節回しとサウンドで~ラファロに絡んでくるあたりが最高。DSCN0700素晴らしい!このCDは・・・CDではあるけれど・・・92年購入時からずーっと僕の愛聴盤だ。いつか、オリジナル盤がほしい。でも・・・高いよ、あれは(笑)

さて、そろそろ「united records」も開く頃じゃあ? 話しはまだ続く・・・。

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<旅レコ 第4回> 香港でレコードを探す(B面) 

トラム(2階立て路面電車)に乗って、銅羅湾/トンロンワンへ向う~

香港3日目。さあ、今日はたっぷり時間があるぞ~! 僕ひとりで丸一日、自由行動だ。同僚たちは、もうマカオに出かけてしまった。
さっそく、スターフェリーでセントラルへ渡る。朝の10時前だったが、やけに人が多い。そういえば、九龍側と違って、セントラル地区は、高いビルやら銀行がいっぱいあるビジネスの街だったのだ。ここから東へ2~3キロはありそうな隣の街へ向うのだ。前の日にアン・バートンを買ったレコード店/united recordsでくれた名刺によると、支店(いや、本店か?)が、隣の街、トンロンワンにあるというのだ。「銅羅湾」と書く。いや、本当は「羅」の字には「糸遍」がつくのだ。英語名だと、コーズウエイベイとか呼ばれているようだ。地下鉄か路面電車で行ける。
香港に来て、スターフェリー、地下鉄と体験したので、今度はあの2階建ての赤い電車~トラムというやつに乗ってみたかった。ビジネス街なので、けっこうクルマがビュンビュン通るが、その道の真ん中に何人かが立って電車を待つ「停留所」がある。こんな風な「路面電車」には慣れている。市電の街~豊橋で生まれ育ったこのオレをなめるなよ(笑)
てなもんで道路を横切って停留所へ・・・もう何人か待っている。まもなく次の電車が来るのだろう。 
<ガオォォォーッ、ゴオォォォーッ>てなサウンドを響かせて、あの「赤い電車~トラム」がやって来た。車幅は案外に狭い。それで2階立てなんで、見た目に安定感がない。そのトラムは混みこみだった。10人くらいが乗り込みたいのだが、なかなか入っていけない。なんとか車内に乗り込むが、1Fフロアにはとても立っていられないので、小さい階段で2Fフロアに上がっていく。
2Fフロアもいっぱいだ。その時、隣の男性~スーツをピシッと着たインテリそうな黒人のビジネスマン風~と目が合った。すかさず、彼が笑顔を見せてくれたので、「も~朝から大変」という気分を共有したように感じた僕は・・・思わず「everyday,so crowded?」(毎日、こんなに混むのか~?と言ったつもり・・・)と訊いたら「yes・・・time(以下不明です:笑)」と答えてくれた。
まあ多分・・・「うん・・・午前中の特にこの時間帯は混むんだよ」とか言ったんだろう(笑) まあ、とにかくあの「トラム」に乗れたわけだ。
各駅(道の真ん中でどこが駅だか判らない)で、少しづつ乗り込む人がいて、徐々にだが、前の方に押しやられていく。しかし、まだまだ混みこみだ。何人かの降りる人を見ていると・・・どうやら降りるときは、前かららしい。 そういえば乗るときは、後ろからだった。
ワンチャイというところを過ぎて、観光案内の小さな地図を見ると・・・もうそろそろ「トンロンワン」のはずだ。そろそろだが・・・とにかく「停留所」に看板がない。アナウンスもない(ように記憶している) 考えてみれば地元の人たちは「歩くより少しは速い」から乗ってるだけで、「通りの風景」を見れば、どこら辺かもすぐ判るわけだし・・・要は、電車が止まったところが「停留所」なんだろう。そうこうしてる内に、大きな繁華街風の街に入ってきた。通りの右側には、いろんな店がいっぱいで、やけに活気がある。ここが「トンロンワン」に違いない。おっ、いよいよ電車も止まりそうだ・・・。外を指差して「トンロンワン? トンロンワン?」と前に座ってるオジサンに訊くと、「うんうん」とうなずいている。あっ!そうだ。前へいかなきゃ! 降りなきゃならぬ、このオレは! でも人がいっぱいだ。前へ前へ! さっきの黒人ビジネスマンも「front,front」とか言ってるぞ。 もう sorry,sorry の連発で、人の群れを押し分け掻き分け、なんとかフロントの降り口までたどり着いた。代金は降りる時、払うのだが、ちょっきりの小銭を用意しておいたので、素早く降りられた。(僕の記録メモを見たら・・・トラム~1.0香港ドルだった。ちなみに、スターフェリーは、1.2香港ドル。)
こんなわけで、この2階建て電車~トラムでの15分は・・・環境的には快適とは言えなかったが、降りたあとに「これも旅の楽しさだなあ」と思わず微笑んでしまうくらい、印象に残る場面になったようだ。トラムは楽しい!

降りてすぐ・・・目の前に「八百屋さん」があったな(笑) トラムの走っているメイン道路はわりと広いが、路地に入ると、もうごちゃごちゃだ。
とにかく、果物やら野菜やら魚やら、食品のお店がいっぱいだ。
さあ、ここが、トンロンワン/コーズウエイベイだ。 カードにある地図を見て「ユナイティッド・レコード店」を探すのだ!この辺りは、メイン道路の右手~緩やかに上っていくような Lee Garden地区だな。地図によると・・・Lee Garden Hotelというホテルの、やや下の方の通りらしい。さあ、全く知らない路地に踏み込んでいくのだ。僕は一人に慣れている・・・Let’s Go!
この時の時刻~推定 am10:30頃。 
~まだまだ元気な僕でした(笑)
(すみません・・・レコード紹介は次回、香港編(C面)に持ち越しです(笑)) 

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2005年6月12日 (日)

<旅レコ 第3回>アン・バートン/アムアイブルー  香港でレコードを探す(A面)

<1992年7月> 初めての海外旅行が、香港だった。<旅レコ第1回>の神戸と同様に、これも社員旅行だ。根が出不精なので、仕事がらみでもないと、旅行にもなかなか行けない。そうして、どうせ行かせていただくのなら・・・空いた時間をうまく使って、レコード漁りです(笑)
香港の旅行ガイド本はいっぱい出ていたので、香港島、九龍にあるレコードショップの大体の場所をいくつか調べておいた。
普通のガイド本には、中古盤屋さんなんか載ってないので、残念ながら新譜ショップのようだ。

3泊4日の2日目、仲間とスターフェリーという船で香港島側に渡る。
最初にセントラル地区の大きなショッピングセンター「ランドマーク」に行く。化粧品やらブランド服のショップが多いが、このビルにレコード店があるはずなのだ。調べておいた 「united records」は、地下フロアの隅にあった。小さな店でCDが中心だったが、奥の方に少しだけLPのエサ箱もあった。さっそくチェック開始・・・。
香港のジャズレコード事情はよく判らないが、どうやらイギリスの影響が強いのか、サッチモやエリントン、ビリーホリデイなどが目立ち、在庫もヨーロッパのレーベルのものが多い。残念ながら、僕の好みのハードバップ系は、ほとんど見当たらない。価格は・・・ほとんどが100香港ドル以上だが、バーゲン品なら60香港ドル(当時、1香港ドル=15円ほど)あたりのものもある。20分ばかりチェック・・・ようやく、ちょっといいな、というものを見つけた。
 
jacketAnn Burton / Am I Blue (keytone) オランダ盤らしい・・・録音も新しめで、ジャケもイマイチだった。この時は、keytoneなんてレーベルも知らなくて、「なんだ・・・オランダ盤か」てな感じだった。だけど、55香港ドルだったし、アン・バートンは嫌いじゃないので、買うことにしたのだ。その後、何年かしてアン・バートンのこのオランダ盤は、日本で、けっこう人気があることが判った。多分・・・国内盤が出てない、というのが人気高の理由なんだろう。

inner_jacket 内容は、悪くない。選曲がやや地味だが、アン・バートンは、いつものようにシットリと唄っている。録音も優秀で、特にベースの音は量感もあり、自然な音質だと思う。
ただ、この盤は・・・残念ながら、今は僕の手元にない。
95年くらいに、ボーカル好きの友人~konken氏の手持ち盤とトレードしてしまったのだ。konken氏に聴かせたところ、とても気に入ってくれたし、僕の方は、やはりインスト盤が本線だったし、大体において、新しい録音(1968年以降くらいかな)の盤に、あまり愛着が湧かない性質(タチ)なので、トレードが成立したのだ。
その時のトレード盤は・・・ゲッツの「ザ・サウンド」(日本コロムビア)だ。その頃は、ベンクト・ハルベルグ(p)入りのストックホルム録音の6曲は、この盤でしか聴けなかったのだ。
・・・そんな訳なので、このアン・バートンのジャケ写真は、最近、konken氏から送ってもらったのです(笑) 
正直に言うと、ちょっと惜しいような気もしているが・・・いいんです!(笑)どのみち、僕は、新しい録音ものはあんまり聴かないんだから・・・などと自分に言いきかせて(笑) 今、久しぶりに聴いています。(konken氏がCD-Rにしてくれたので)・・・やっぱり、いいですね(笑)

さて・・・ランドマークを出て、今度は地下鉄に乗り、九龍側の油麻地(ヤウマアテイ)まで戻る。あたりを仲間と散策し「桃季園」という食堂で昼飯を済ませた後、「それじゃあ僕はちょっと・・・」と仲間とは別れ、一人でレコードショップ探索を開始した。この辺りのどこかで、毎夜、屋台が出てにぎわうとのことだったが、まだ昼間なので、どの店も閉まっているし、屋台は見当たらない。たまに見かける屋台には、幌がしっかりかぶせられており、通り全体に人影が少ない。仕方がないので、やけに広い九龍公園を縦断しながら、尖沙咀(チムシャチョイ)のホテルへ戻る。冷房は効きすぎだったが、夕方までゆっくり休息した。

夜になったので、ネイザンロードを、尖沙咀(チムシャチョイ)から左敦(ジョルダン)方面に歩き始めた。通りの左手にはイスラム風の寺院が見える。このネイザンロードは、大通りで、オシャレそうなファッションやら、バッグ、時計などのブランドショップが、多い。アイスクリームのジェラートなんかもある。5分ほど歩くと、よく香港の写真で見る「国家裕華」という、でっかいネオンが見えてくる。そのデパートの大きな交差点を左に曲がって、すぐの小さい通りを右に曲がると・・・そこからが夜店(多分、ここが男人街だ)の始まりだった。昼間はガランとしていた通りは・・・もうすごい人だかりだ。「ああ・・・これがホンコンの夜店か・・・」 

その通りは、もちろん歩行者オンリーになっており、道路の中央にはぎっしりと屋台が並んでいる。通りの両側のお店からも照明があふれ出し、どの店もなんというか・・・「扉」を開け放っており、道路の屋台と両脇のお店がつながっているようにも見えてしまう。ここでは、「路上」もお店なのだ!その間の空間をたくさんの人々が押し合いへし合い、歩いている、という感じなのだ。とにかく、すごい熱気だ。(この時は、まだ沢木耕太郎の「深夜特急」は読んでなかった。何年か後に文庫化されてから読んだのだが、ホンコンのネイサン通りを、熱に浮かされたように歩き回る様子や、夜店のにぎやかな様子などが、リアルな臨場感をもって想像することができた。素晴らしい本だ。)

「さあ、レコードだ!」てなもんで、その通りを進んでいくと、通りの右側にCDショップを発見!「精美唱片」という名前で、けっこう大きめの店だ。その「精美唱片」でも、やはり100~120香港ドルあたりが標準価格らしく、そう安いとは思えなかった。ただ、人気の落ちタイトルは、どんどん値を下げる売り方らしく、バーゲン品みたいな感じで50~60香港ドル前後のタイトルもチラホラ見つかる。当時、ジャズのCD新譜は2000円~2300円くらい、中古CDなら1400円前後だったので、安い外盤CDが見つかれば、買ってもいいかな・・・というくらいの気持ちで探してみた。
コルトレーン/Like Sonny(roulette/capitol EMI)、ベイシー&ベネット(roulette/capitol EMI)などを選んだ。2枚で110香港ドル。
もう1枚、ディーン・マーティンのクリスマスCDは、アウトシーズンものなんで、なんと30香港ドル(450円)だ。
次に、通りの左側斜め向かいに「時代唱片」を発見。どこもかしこも「唱片」だ。どうやら「唱片」はレコード、という意味らしい。
ここでは、1枚だけ。 Donald Byrd/Free Form(bluenote/capitol EMI) 68香港ドル。安くなってるのは、たいていEMI系だ。

こんな風にして、香港レコード探索初日は終了した。ちなみに、このあたりの「唱片」屋さんには、LPは皆無だった。
午前中に行ったランドマークの 「united records」 のLP盤、在庫状況からみても、どうやらホンコンには、いわゆる
「中古盤屋さん」みたいなのは少ないのだろうな・・・と推測するのだった。
それにしても・・・やっぱりビニールジャンキーとしては、CDよりLP盤が欲しい! 当然ですね!(笑) 明日は、会社の仲間は、ほとんどが「マカオ1日ツアー」に出かける。僕は申し込んでない。1日、完全にフリーなのだ。
よしっ! もう一度、香港島側を探索だ・・・1日あれば、どこにでも行けるぞ!アン・バートンを買った「united records」で「トンロンワン支店」というのがある、との情報を得ている。簡単な地図がついているカードももらってきた。その「トンロンワン」に行ってみようじゃないか! 

~まだまだ元気のある僕でした。(香港編B面に続く:近日中予定)

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