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2014年1月26日 (日)

<ジャズ雑感 第36回> クリス・コナーの声

ジャズを長いこと聴いてきたが、実は・・・僕はヴォーカルものをあまり聴いてない。限られた何人かの女性歌手~アン・バートン、キャロル・スローン、アイリーン・クラール、アニタ・オディ、ジューン・クリスティ、それから、クリス・コナー、この辺りをたまに聴く・・・そんなヴォーカル初心者である。もちろん、美人歌手のゴージャスなジャケットを目にすると・・・そのオリジナル盤を欲しくなるが、人気の盤はどうしても「いい値段」になるので、僕の場合はその現実を見ると、すぐに諦める(笑) インストものに対しては、もう少しだけだが粘る(笑) そんな僕が、オリジナル盤に若干の拘りを持って、知らぬ間に初期の何枚かを集めさせられていた(笑)・・・それが、クリス・コナーなのである。

クリス・コナーと言えば・・・誰もが、バート・ゴールドブラットの傑作ジャケット~「うな垂れるコナー」と「マイク挟みコナー」・・・あれを思い出してしまうだろう。コナーのベツレヘム10インチ盤は、内容の良さと共にあのジャケットの素晴らしさもあって、やはり人気が高い。そして値段も高い(笑) ベツレヘムのコナー音源を僕は安物CDで聴いていて、「悪くないなあ・・・」」と感じていた。そしてその頃、あの10インチ盤1001番のジャケットと同じ写真のEP盤(7インチ)を見つけたのだ。

101ab_2 ≪BEP 101Aと101B~10インチ盤1001番と同内容。全8曲どれも素晴らしいが、僕は・・・what is there to say が特に好きだ≫

102ab ≪BEP 102Aと102B~10インチ盤1002番と同内容。cottage for sale がいい。アコーディオンの音色が印象的≫

首尾よく入手した、そのEP盤から流れてきた「クリス・コナーの声」・・・・これが僕には、なんとも凄かったのである。
ハスキーがかった太くて低めの声・・・張り上げている感じではないのに、凄い音圧感があって、とにかくよく「鳴って」いる(笑) 人の声を「鳴っている」というのも変な表現だが、実際、コナーのそれは・・・ググッと聴き手の心に迫ってくる・・・そんな存在感のある「声」だったのだ。

101のジャケット写真~コナーがマイクのスタンドを両手で挟み込むようにしながら、体をグッと後方に反らして(つまり、マイクから離れるようにして)、「大きな声」を出している。そういえば、クラシックの歌い手さんがマイクを使って大きな声で唄い込む時に、意図してマイクから後方に離れるような動作をしているじゃないか。あれは、もちろん「巧く見せるため」などではなく(笑)、やはり、歌い手さんがフォルテで発声した場面で、マイクを入力過多にさせないための(音を歪ませないための) 動作なのだろう。
それにしても、本当に口を大きく縦に開いている。そういえば、クリス・コナーの写真はたいてい「大きく口を開けている」場面が多い。後述する12インチ盤 6004番 の「大口」はもちろん、BCP20 も BCP56 も、かなりの「大口」である。やっぱり、大きな音声を発したい場合には、大きく口を開ける方が、より自然だろう。

1002_2  10インチ盤の2枚・・・1001番(マイク挟み)と1002番(うな垂れ)。僕は先にEP盤4枚を揃えたので、まあ音源(全16曲)は聴ける・・・ということで、10インチ盤は後回しとなっていた。それで今回「写真でも」と思ったのだが、両方持っている、と思い込んでいた10インチ盤は・・・実は、1002番しか持っていなかった(笑)
≪右写真~10インチの1002盤。「うな垂れ」もダークな色調に独特な雰囲気がある≫   

Bethlehem でのクリス・コナー作品~まず2枚の10インチ盤が1954年に発売され、その後、3枚の12インチ盤~BCP20、6004が1955年、BCP56が1957年の発売らしい。(オムニバスの6006番 も加えれば4枚だが、コナーの4曲は既発音源)
10インチ盤の1001番は、伴奏がピアノのエリス・ラーキンスのトリオで8曲、1002番の伴奏は、ヴィニー・バークのクインテットで8曲、この全16曲が、12インチ盤化の際に分散されてしまったので、12インチ盤にアルバムとしての統一感があるとは言い難い。

6004番「lullabys」には~1001番から5曲、1002番から6曲、そして別セッション(サイ・オリヴァー楽団)から3曲の全14曲収録。

ChrisBCP56番「Chris」には~1001番から残りの3曲、1002番から残りの2曲、そしてサイ・オリヴァー楽団から3曲、そして後の4曲がラルフ・シャロンのグループ(K&JJを含む)の全12曲収録。



BCP20番~全てラルフ・シャロンのグループで、全10曲収録。
A面1曲目の blame it on my youth が素晴らしい!This_is_2

さて、クリス・コナーを話題としたからには、ここでもう一度、整理しておきたいことがある。もちろん、6004盤~sings lullabys of birdland のジャケットのこと・・・「大口」と「半口」である(笑)前々回の「スタン・リーヴィー」記事のリストやコメントにおいて、すでに「大口」ジャケットが先の発売で、「半口」が後の発売らしい・・・というところまでは述べた。
その根拠は、「大口」ジャケットと「半口」ジャケットにおける表記の違い方にある。以下~下写真6点はdenpouさん提供。

Bcp6004_4 Bcp6004_5

≪左写真~「大口」の裏、右写真~「半口」の裏≫

1.裏ジャケット「レコード宣伝」番号の表記~
  「大口」では、BCP 6001番~6007番まで
          BCP ~64番まで。
   「半口」では BCP 6001番~6032番まで
          BCP ~79番まで

2.裏ジャケット アドレス表記の違い~
「大口」は*2種存在。
<左NY、右CALIF><左NY、右NY>
「小口」は <左NY、右NY>

上記の状況を常識的に考えれば、あるレコードに宣伝として載せるレコードのタイトルは、すでに発売されているタイトルのはずだから(もちろん、近日中に発売される予定のレコードが載る場合もあるようだが)、裏ジャケットに掲載された宣伝レコードの番号が「若い」方が、やはり発売が「先」と言えるだろう。
この6004番2種の場合は~denpouさんが指摘してくれたように、6032番まで載せている「小口」に対し、6007番までしか載ってない「大口」の方が「先」であることは、まず間違いないであろう。Bcp6004_6 Bcp6004_7
≪「大口」~<左NY、右NY>のジャケットと、「長方形ロゴ」のセンターラベル≫
Bcp6004_8 Bcp6004_9
≪「半口」~<左NY、右NY>のジャケットと、「長方形ロゴ」のセンターラベル。denpouさんが発見した「長方形ロゴ」左端の「十字マーク」。この「十字マーク」が「大口」センターラベルには無い。そして「ロゴ」自体のデザインも両者で微妙に異なる。
「半口」ラベルの方は、BETHLEHEM の下の「HIGH FIDELITY」文字が銀色ラインに囲まれているが、「大口」ラベルの方は「HIGH FIDELITY」の下に銀色ラインがない。
そして、中心穴(チュウシンケツ・・・という呼び名はないかと思うが:笑)の左右の「BCP-6004」と「Side A」文字が、両者で左右逆になっている。

そしてもうひとつ・・・先ほど、*印を付けて「大口」ジャケットにも2種が存在と書いた。実は最近、denpouさんがYoさん宅におじゃました際、Yoさん手持ちの6004番:クリス・コナーが、「大口」であること、そして・・・<左NY、右CALIF><センターラベルがリーフ>であることを「発見」してくれたのだ。それまでは、denpouさん手持ち「大口」「小口」が、ともに<左NY、右NY>だったので、アドレス表記違いによる発売時期の先・後の判断にもうひとつ、疑問が残っていたのである。
P1110448 P1110449 P1110450 Yoさんの「大口」は、アドレス<左NY、右CALIF>に加え、盤のセンターラベルも<リーフ>であった・・・これでもう間違いない!というわけで・・・クリス・コナー『sings lullabys of birdland』には、ジャケットだけでも、「大口」に2種、「小口」に1種~計3種の存在が確認できたわけである。

≪追記≫(2/3) Yoさんコメント(1/27付)で、<左NY、右CALIF>ジャケットで中身の盤が「十字マーク・長方形ロゴ」のものがあったとのこと。denpouさん「大口」のセンターラベル(長方形ロゴ)には無かった「十字マーク」が付いている。チャランさん「大口」の「十字マーク・長方ゴ」とも異なる。

Cad5vqop_2 Caaicfis_2 Cau6rs6g_2

上写真6点はYoさん提供~special thanks to Mr.Yoさん!

≪追記≫(1/27) チャランさんからの情報によると~
チャランさん手持ちの「大口」センターラベル(下写真2点)は、「十字マーク・長方形ロゴ」「フラットかなあ?」とのこと(denpouさんの「大口」は「長方型ロゴ」) チャランさんの仔細なチェックにより、もう1点の差異が見つかった~それはこのLPの目玉曲(lullaby of birdland)の表記下カッコ内の作曲者名クレジットだ。チャランさん手持ちのセンターラベルのものだけ、(Forster - Shearing)となっているのだ。他3点は全て(Shearing)である。これは・・・?

 Img_0852 Cha
ついでに自分の手持ち「半口」を見たら、なんと、僕:bassclefの「半口」センターラベルは十字マークなしの「長方形ロゴ」だったのだ。(denpouさんの「半口」は、「十字マーク・長方形ロゴ」)
う~ん・・・これはどうしたことか?(笑) これでは、ジャケットは、「大口」2種と「半口」1種~の3種。そして「盤」(センターラベルの仕様)は、「大口」2種、「半口」2種の計4種が存在することになる。いや・・・下記のYoさん<センターラベルがリーフ>も入れれば、5種となる。これは・・・まだまだ追跡調査が必要だぞ(笑)

≪追記≫2/2
このクリス・コナーの6004番『sings lullabys of Birdland』~何種類もの版が見つかったのだが、それでは発売された型としては、いったい幾つの種類があるのか? ちょっと整理してみたい。
≪夢レコ≫前々回の「スタン・リーヴィー」からのジャケット裏の≪アドレス表記の違い≫考察により、発売の順番の大筋としては~
<センターNY>⇒<左NY,右CALIF>⇒<左NY、右NY>で間違いないかと思う。
その「ジャケットありき」を基本に考えてみると、発売順は以下のようになる。

1.「大口」<左NY,右CALIF>リーフ
2.「大口」<左NY,右CALIF>長方形ロゴ・十字マーク
3.「大口」<左NY,右NY>長方形ロゴ・十字マーク/Forster表記
4.「大口」<左NY,右NY>長方形ロゴ
5.「半口」<左NY,右NY>長方形ロゴ・十字マーク
6.「半口」<左NY,右NY>長方形ロゴ

*「長方形ロゴ」の十字マーク有りと無し・・・これについての新旧は、判りません。(また「長方形ロゴ」ラベルだけでの「十字マークの有無」の分布状況を調べる必要がある:笑) ただ・・・アドレス<左NY,右CALIF>ジャケットの盤に「十字マーク」が在ったことから見ると・・・「十字マーク有り」が先なのかな?と考えられます。

チャランさんのコメントに≪YoさんのはCALIFで制作、私とdenpouさんのはNYで制作されたのだと思います≫~とありました。
僕も『スタン・リーヴィー(BCP37)の同一タイトル2種発見の時点では、そのように「アドレス表記」と「製作(プレス)」を直結して考えていたのですが、どうやらそう簡単にはいかないのかな・・・と見方が変化してきました。
その「ジャケットのアドレス」と「センターラベル仕様」について、以下・・・僕の妄想です(笑)

まず、<センターNY>アドレスの時代には、まだ西海岸事務所がなかった~ということから、全て東海岸製作(プレス)ということかなと思います。問題は、西海岸事務所設立以降の「ジャケット製作の状況」と「プレス工場の状況」の関連です。つまり・・・ジャケットは、<センターNY>の次に、<左NY,右CALIF>ジャケットを、次に<左NY、右NY>を、それぞれ、1種類だけを製作していった(仮にそのジャケットが東海岸の製作だろうと西海岸製作だろうと、種類は1種類)ではないかなと・・・考えるのが自然かと思います。つまり・・・ジャケット表記とプレスは連動していない場合もある~という考えです。

「スタン・リーヴィー」記事で示したように、BCP37(Stan Levey)という一つのタイトルにおいて、<センターNY>と<左NY、右CALIF>の異なる2種が存在していたことから、それぞれのレコード(ジャケットと盤)が、東海岸と西海岸の2箇所で「製作されたのでは」と推測したわけですが、このBCP37以外には、その種のサンプルがあまり見つからない。そしてここに絶好のサンプルとして、クリス・コナーの6004番(sings lullbys of Birdland)が出現したわけです(笑) それについては上記のように、「発売された型」として、今のところ6種の版があったわけですが、それでは、どうして、あのクリス・コナー6004番は、6種(6回)も発売されたのか?・・・以下、また妄想です(笑)会社の運営という観点からみても、よほど「いっぱい売れた/まだまだ売れそう」というタイトルしか、追加プレス(発売)はされないはずである。あの頃、一般的なジャズのレコードというものが、全米中でどれくらい売れたものなのか・・・・判りませんが、仮に3000枚(初回)プレスとしたら、追加プレスは、せいぜい500~1000枚くらいではないでしょうか?  そうした「追加プレス」を決定した場合でも、市場での販売状況を見ながら、こまめに少しづつ、少しづつ(笑)という感じだったのでは・・・。逆に言えば・・・ほとんどのタイトルは、「初回プレス」だけだと考えられるわけです。
そうして初回プレスだけの場合で、わざわざ「東海岸プレス」と「西海岸プレス」と分けて製作するのかな・・・?(却ってコストが高く付く) というのが僕の疑問点なのです。
だから・・・西海岸事務所設立直後の一時期、BCP37やBCP6004など、一部のタイトルについては、両海岸で製作(プレス)したが、それ以降は、ほとんどのタイトルは「一箇所のプレス」だったのではないか。(それが東か西かは判らない) だから・・・(一箇所で一括製作してきたであろう)ジャケットのアドレスが<左NY、右CALIF>であっても、それはベツレヘム社としての規模をアピールする意味合いとしてのCALIF表記であって、だからそれがそのまま「西海岸製作(プレス)」とは限らない~と思う。
そして、その西海岸事務所を閉鎖した後の時期になると・・・誠実なるベツレヘム社は(笑)、ジャケット裏右下隅の[Hollywood, CALIF]表記を消して、そうすると・・・空いてしまったスペースがデザイン上、かっこ悪いというので(笑)・・・そこに[New York, NY] なる表記を入れた。それが・・・<左NY,右NY>になった・・・というストーリーです


*ベツレヘム・レーベルの変遷を判りにくくしている大きな要素として、2つのシリーズが複合・並行して発売されたことがあるかと思う。 そこで、自分の手持ちリストの番号並びとアドレス表記、に加えて「センターラベルがリーフ」情報も加えてみた。改めて、その番号並びとリーフの分布を俯瞰してみると、改めて確認できたことがある。

10インチ番時代が全て<センターNY>(1650 BROADWAY, NEW YORK 19表記を含む)そして<リーフラベル>だったことから、アドレスの変遷としては~
<センターNY>⇒<左NY、右CALIF>⇒<左NY、右NY>⇒<左NY、右OHIO>⇒<OHIO>の順。
そして盤センターラベルの変遷は~
<リーフ>⇒<長方形ロゴ>(長方形ロゴにも2種類あり~クリス・コナーの「大口」「小口」のラベル写真を参照のこと)の順で、間違いないと思う。
そして大筋として、以下のことが言えるかと思う。

ジャケット<センターNY>のものは、盤も<リーフラベル>である。
そして、BCP26番辺りから、ジャケットは<左NY、右CALIF>も現われるが、センターラベルは<リーフラベル>のものも多い。同様に6000番代の初期:6010番辺りまでのものにも、ジャケ<左NY、右CALIF>の<リーフラベル>が散見される。
おそらく・・・ジャケットは新規に制作された<左NY、右CALIF>を使っていったのだが、センターラベルは<リーフ>デザインの在庫が残っていてしばらくはそれを使っていた~そんな感じではないだろうか。
難しいのは、カタログの番号順と、<アドレス表記>や<センターラベル>の分布状況に「ズレ」があることだ DeluxeシリーズBCP1番~92番代と6000番代が並行して発売されていった状況で、まずは<センターNY>から<左NY、右CALF>へのアドレス表記移行(あるいは2種ジャケットの並行発売)が、いつ頃だったのか?・・・これがポイントだと思う。
以下、私見だが~
10インチ盤に続いて発売されてきた、Deluxeシリーズ:BCP1~92番の初期タイトルが、ほぼ<センターNY>であること。
BCP37番辺りから<左NY、右CALF>が現われていること。
その<左NY、右CALF>が6001番からは連続していること。
以上の点から、移行期は「BCP37番辺り」と推測している。
(実際に・・・BCP37番の『スタン・リーヴィー』には、<センターNY>と<左NY、CALIF>の2種が存在しているわけだから)

<スタン・リーヴィー>にも載せた「ベツレヘム12インチ盤手持ちリスト」をここに再掲するが、サンプル例を追加するとともに、より「版」の新・旧を探るために、<アドレス情報>の他にも以下の情報も追加した。

≪センターラベルについて~「リーフ」である場合は「リーフ」と表記した。この「リーフ」・・・同じ赤色のセンターラベルをlaurel(月桂樹)と呼ぶ場合もある。なお、表記ない場合のセンターラベルは、全て「長方形ロゴ」となる。
(長方形ロゴには「十字マーク」の有り/無しの2種類が存在するが、このリストではその有・無は表記しない)≫

≪盤が「フラット」である場合は、「フラット」と表記した。表記ない場合は、全てGG(グルーヴ・ガード)となる≫

◎印はYoさん、*印はdenpouさん、チャ印はチャランさん、無印がbassclefの手持ちから確認したもの。(このリストは、情報あれば、随時、追加記入していきます)

Bethlehem Deluxe series (12 inch LP)
 3  <左NY、右CALIF>リーフ フラット
 6  <左NY、右CALIF>
*7 <左NY、右NY>
  8  <左NY、右CALIF>
 9  <左NY、右CALIF>
  13 <左NY、右CALIF> (Ralph Sharon)
*13<センターNY>  リーフ フラット(K+JJ)
 14<センターNY 19> リーフ フラット
 15<センターNY 19> リーフ フラット
 17<センターNY>   リーフ フラット
 18<センターNY>   リーフ フラット
*19<センターNY>   リーフ フラット
20<センターNY>     リーフ フラット
*21<センターNY>  リーフ
  22<センターNY>   リーフ フラット
 24<センターNY>   リーフ フラット
◎25<センターNY>     リーフ  フラット 
 26<左NY、右CALIF>リーフ フラット
 27<センターNY>   リーフ フラット
 29<センターNY>   リーフ フラット
 30<センターNY>     リーフ フラット
 31<左NY、右CALIF>リーフ
 33<左NY、右CALIF>リーフ フラット
 34<センターNY>
*35<左NY、右CALIF> フラット
37<センターNY>リーフ フラット と 
   <左NY、右CALIF>リーフ の2種あり(Stan Levey)
  38<左NY、右CALIF>
 39<左NY、右CALIF>
 40<左NY、右CALIF> リーフ
 41<センターNY>   リーフ フラット
*42<左NY、右CALIF>リーフ フラット
*43<左NY、右CALIF>リーフ フラット
44<左NY、右CALIF>  リーフ フラット
 46<左NY、右CALIF>リーフ フラット
*47<左NY、右CALIF>リーフ フラット
  48<左NY、右CALIF>リーフ フラット
 50<左NY、右CALIF>リーフ
*52<左NY、右CALIF>リーフ
*53<左NY、右CALIF>リーフ フラット
*54<左NY、右CALIF>リーフ フラット
  55<左NY、右CALIF>リーフ フラット
 56<左NY、右CALIF>リーフ フラット
 58<左NY、右CALIF>リーフ フラット
*60<左NY、右CALIF>リーフ フラット
 61<左NY、右CALIF>リーフ フラット
*64<左NY、右CALIF>リーフ フラット
66<左NY、右CALIF>
*68<左NY、右CALIF>
◎69<左NY、右CALIF>
 71<左NY、右CALIF>
◎77<左NY、右NY>
 80<左NY、右NY>
*82<左NY、右NY>
*83<左NY、右NY>リーフ
*84<左NY、右NY>リーフ
*85<左NY、右NY>
*87<左NY、右NY>

Bethlehem 5000 series (12 inch LP)
5002 <左NY、右NY>
5006 <左NY、右NY>(Russ Garcia/Sounds in the night)

Bethlehem 6000 series (12 inch LP)
 6001<左NY、右CALIF>
◎6004<左NY、右CALIF> 「大口」リーフ(Yoさん) *写真
◎6004<左NY、右CALIF> 「大口」 十字ロゴ   
チャ6004<左NY、右NY> 「大口」(チャランさん) *写真 十字ロゴ 
[lullaby of birdland]作曲者が[Forster-Shearing]表記
*6004<左NY、右NY> 「大口」(denpouさん) *写真
*6004<左NY、右NY>  「半口」(denpouさん) 十字ロゴ*写真
  6004<左NY、右NY>   「半口」
◎6005<左NY、右CALIF>リーフ
 6006<左NY、右CALIF>
 6007<左NY、右CALIF>リーフ フラット 
 6008<左NY、右CALIF>リーフ
◎6010<左NY 、右CALIF>リーフ 
 6011<左NY、右CALIF>
*6014<左NY、右CALIF>
 6015<左NY、右CALIF>
 6016<左NY、右CALIF>
*6017<左NY、右CALIF>
*6018<左NY、右CALIF>
 6020<左NY、右NY>
◎6021<左NY、右NY>
 6025<左NY、右NY>
 6029<左NY、右NY>
 6030<左NY、右NY>
*6038<左NY、右NY>
◎6045<左NY、右NY>
 6049<左NY、右CALIF>
*6051<左NY、右CALIF>
*6055<左NY、右Ohio>
◎6061<左NY、右Ohio>
◎6064<OHIO>
*6063<OHIO>
 6069<OHIO>

EXLP-1(3LP 箱入り:アドレス表記なし)
EXLP-2<左NY、右CALIF>

そして・・・まだ大きな「謎」が残っている。それは、なぜ6000番代より発売の古いはずの、BCP1~92番Deluxeシリーズの中の若い番号~僕の手持ち盤では、3・6・8・9・13番が、なぜ<左NY、右CALIF>なのか? アドレス表記の変遷は、<センターNY>⇒<左NY、右CALIF>⇒<左NY、右NY>⇒<左NY、右OHIO>⇒<OHIO>のはずである。
ここがよく判らない。いや、もちろんこれらが、再発としての<左NY、右CALIF>であれば問題ない。つまり・・・これらの番号タイトルの<センターNY>1stの存在が確認できれば、<左NY、右CALIF>は後年発売された2ndである~と、誠にすっきりとした説明が付くのだから。
ところが、これが見つからない。ネットでいろいろチェックしてみても、今のところは見つかっていないのだ。どなたかお持ちであれば、ぜひ情報提供を(笑)
この謎については・・・例えば、こういうのはどうだろうか?
Deluxeシリーズが発売され始めた時、何らかの理由で、1~9番辺りが「欠番」として使われなかった。そして、Deluxeシリーズの30番辺りから、6000番代が並行して発売され始めた頃に~つまり<左NY、右CALIF>ジャケットに移行し始めた頃~発売されたいくつかのタイトルが、その「空き番号」であるBCP1~9番に充てがわれていった~というのが、今の僕の妄想なのだが(笑) 

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2011年12月31日 (土)

<ジャズ回想 第25回>ベン・ウエブスターの絶妙ライブ盤

  ヴィンテージではないけどオリジナル盤とも言えるじゃないか(笑)

この<夢見るレコード>・・・このところちっとも夢を見てない(笑) もちろんジャズへの愛着が薄れたわけでもなく、相も変らずレコードを買い、レコードを聴いている。休みの午前中はそのレコード音楽に浸れる貴重な時間で、たいていは入手仕立てのものから聴き始め、その内容が「ワオ~ッ」だと両面を聴き、また「がっくり」の時は片面だけにして、今度は愛着盤に手を延ばしたり・・・そんな風に次に何を聴こうかと考えたりするのもなかなか楽しい。そうこうしてると・・・もう昼だ。
お昼を食べてからも2~3枚は聴く。だけどお昼過ぎのこの時間は・・・眠くなるのである(笑)これがもう実に眠い。3枚目を聴く辺りになると、もう充分に眠気を意識している。だからこれは寝てしまうな・・・と自覚すると、タイマーを20分後くらいにセットして、例えばジョージ・シアリングを掛ける。そうして、目論見どおりに僕は眠ってしまう(笑)
休みの日に好きなレコードを聴いてのんびりと眠りに落ちる・・・これもなかなか幸せなことじゃないか。そうして目が覚めるともう夕方だ。それでも晩飯までには充分な時間がある。そこで、またレコード聴きである。僕の場合はこの時間帯・・・けっこう乗る。眠気の増したお昼過ぎのあの気だるい感じがさっぱりと抜けて「さあ、また聴くぞ」という気分になるのだ。そこで、大編成のものをわりと大きめな音量で聴いたりする。そうだな・・・マリガンのconcert jazz band(Verve)なんかは実にいい。
そんな具合に、僕はとにかくレコードを聴きたい。だから・・・なかなかブログにまで手が廻らないのだ(笑)
しかしながら、2011年もあっという間に終わろうとしているこの大晦日。毎年、大晦日にはrecooyajiさんとレコード聴きをしてきたのだが、今年は昨日・今日とは朝からレコード棚の再編成をしていてこれは予想どおり難航した(笑)苦闘の末、床置きになっていたレコード達をある程度までは収めるところまではメドがついたので、recooyajiさんとの例会ができなかった代わりに、久々にこの<夢レコ>をアップしようと思い立った。ちゃんとした構想もないので、短めのものになりそうです。

さて・・・僕はもちろん古いオリジナル盤が好きなわけだが、その一方で「オリジナル盤、何するものぞ」という反発気分も無いわけではない(笑) それはつまり・・・録音時にリアルタイムでは発売されなくて、しかし後年に発見・発掘されて発売された音源(別セッション・別テイクなど)というものがあり、それらについては、いわゆる「当時のオリジナル盤」は存在しないわけで、強いて言えば後年になって発売された初出自のものを「新発見オリジナル」とでも呼ぶしかない。そしてそういう「新発見もの」にも、侮れないものがたくさんあるぞ、という気分なのである。

だいぶ前の拙ブログ(ワリー・ハイダー録音)で、ビル・エヴァンスのTime Remembered(milestone)を紹介したことがある。それは、エヴァンスのライブ盤~At Shellyman's の未発表音源の世界初発売というもので、僕としては、要はその「演奏はもちろん、録音の音質が素晴らしい」ということを言いたかったのだ。年季の入ったジャズ好きほど、別テイクや別セッションなど未発表音源というだけで、その価値を認めないという頑固さもあるかと思う。つまり発表しなかったのにはそれなりの理由があるだろうし 実際、同じ曲の別テイクをいくつも並べられても、よほどの興味ミュージシャンのものでない限り、それほど素晴らしいものとは言えないことも多いのだ。でもそんな頑固さのために、後年発売の未発表音源盤を聴き逃すようなことがあるとすれば・・・それは悲しいことだよ、とも思うようになってきたのだ。そうした例外的に素晴らしいと思えるレコードをちょっと紹介したい。

≪写真下~1989年発売のOJC盤:6曲収録)

Dscn2829_2 Ben Webster ~At The Renaissance(contemporary)というものだ。
11月の中旬頃だったか・・・久々に旧友のsige君、yosi君とレコード3人聴きの会をすることになった。
こういう集まりでは、わりと不思議な偶然・・・それも嬉しい偶然が起こったりするのだが、今回はちょいと驚いた。集まりの2~3日前になると、僕は幾つかのレコードを思い描いておくのだが、その中に古い盤ではなく、わりと近年発売(1989年)のベン・ウエブスターのレコードもあった。これは1960年のライブ録音音源だが当時に発売された形跡は無い。だからあまり紹介されたこともないし、いわゆる「定評のある名盤」とは違うまったく地味なレコードである。僕はこのレコードを1年ほど前だったか、うんと安価で入手したのだが、聴いてみてすぐ気に入ってしまったのだ。
さて、朝からの大雨の土曜日、3人が揃って・・・yosi君がバッグから5~6枚のレコードを取り出してみると・・・ちゃんとこのレコード~Ben Webster/At The Renaissance(contemporary) がそこにあるじゃないか!

「あれ、なんで?」とつぶやく僕。そこでこちらが用意していたその同じレコードを見せる・・・「おおっ」とyosi君が応える。
こんな地味盤が2枚、打ち揃って並ぶとは(笑) これは嬉しいじゃないか! yosi君はベースのレッド・ミッチェル目当てにこの盤が目に留まったとのことだが、この安っぽいカバーデザインに負けずに入手したことは素晴らしい選球眼だ。
≪写真下~1989年発売のフランス盤らしい。左下のロゴに注目≫

4benwebsterattherenaissanc404776このレコード・・・ジャケットが冴えない。これではベン・ウエブスターがまるでミイラ男じゃないか(笑)
しかし、演奏は味わいのあるもので、そして録音もいいのである。ライブ録音だが、各楽器の芯のある音色と響き具合が自然で、素晴らしい臨場感を味わえる録音なのである。録音エンジニアは、howard holzerなる人物。
一般的に言って「西海岸の録音はいい音」ということはあるかと思う。まあその「いい音」を言葉で定義はしづらいものだが、この場合の「いい音」は・・・私見では「すっきりした誇張の少ない自然な楽器の音色」という感じだと思っている。それは録音マイクの違いもあるような気がする。雰囲気としては、東海岸のダイナミックマイクと西海岸のコンデンサーマイクという違い方があるような気がする。

そして並んだこの2枚・・・contemporaryレーベルからの近年発売という点ではもちろん同じだったが、僕の手持ちは1989年発売のOJCステレオ盤(phil de lancieのリマスター)
yosi君のは19861985年モノラル盤だったのである(リマスターは別人=Gary Hobishなる人物と判明)
だから、このレコードの初回発売は19861985年モノラル盤ということになるわけだが、19861985年版のステレオ盤も存在するのだろうか?Dscn2832
実は、そんな違いも後から判ったことであって、最初、yosi君手持ちの盤を掛けた時・・・僕は「あれ?レッドミッチェルのベース音がいつもと違うぞ」という感じがして、それは、レッド・ミッチェルのベース音がやけに太く大きく聴こえたからである。「大きく~」というのは、このレコードを何度も聴いて僕が感じていたレッドミッチェルのベース音の鳴り方が他楽器とのバランスにおいて「いつもより大きく聴こえた」という意味である。
もちろんミッチェルはベースの真の名手で常にズズ~ンといい鳴りを出しているはずで、大きく太く鳴ることはいいことなのだが、僕はステレオ盤でのバランスに慣れてしまっていて、そこに若干の違和感を覚えた。ジミー・ロウルズのピアノ音色も、モノラル盤だと明らかに強め・厚めのタッチに聴こえて、それは何となく、僕が感じているジミー・ロウルズとは微妙に違うような感じを受けた。
その辺りで「あれ?これ、ステレオ盤じゃないね。僕のは確かステレオ盤だったと思うけど・・・」ということになり、お互いのジャケット裏を精査したところ、ようやくその違いに気づいた・・・というわけなのである。
まあこの辺のことは、いつも言うように「好みの問題」で、僕の場合、ステレオ録音の軽やかさを嫌いではないので、演奏の場でリアルなステレオ録音をされた音源であれば、なるべくステレオ盤で聴きたいと思うわけである。
そして、ベース音や各楽器の音をとにかく大きく太い音で聴きたいという方は、やはりモノラル盤を好むことになるのであろう。

ウエブスターはスローバラードが好きなようで、スローなテンポでいいメロディを実にゆったりと延ばしながらその音色に濃淡を付けていくような吹き方をする。基本的にはアルトのジョニーホッジスをそのままテナーに移したような感じなのだが、その「ねちっこさ」がこの1960年頃になると以前より薄めになってきたようで、そしてその辺りの「でもねちっこい感じ」が僕にはちょうどいい按配なのだ。
そのバラード~georgia on my mind と stardustが実にいい。ウエブスターの「ゆったり」に、バックの伴奏陣が適度に変化を付けて演奏全体がダレることなく進んでいく。ピアノのジミー・ロウルズ、ギターのジム・ホール、ドラムにフランク・バトラー、そしてベースにレッド・ミッチェル! 灰汁の強い個性派を主役に据え、真の名手たちで脇を固めたという感じで、ベースとドラムが造る流れの中でポツポツと入るロウルズのピアノも実に味わい深い。
そして、stardustでは、レッドミッチェルの「アルコ弾きソロ」をたっぷりと聴ける。ミッチェルはもちろんピチカット(指で弾く)も巧いが、アルコ(弓で弾く)もこんなに巧かったのか! 左手のガシッとした押さえが効いているから音程がぶれない。チェンバースのけっこう乱暴なアルコ奏法とは、だいぶ違うぞ(笑) そんな名手がアルコで弾く、弦と胴鳴りの気持ちいい音が素直な録音で捉えられており、何度聴いても飽きない。このstardustは、実に味わい深い演奏だと思う。

001_2そうだ・・・もうひとつ、印象深い stardust があったぞ。フランク・ロソリーノの Free for All(specialty)だ。 ロソリーノがトロンボーン一丁で小気味よく歌い上げる名演だ。そういえば・・・こちらも未発表音源の後年発売盤である(録音は1958年12月)
米specialtyが1986年に発売したモノラル盤裏解説にこうある(当時のプロデューサー:Dave Axelrod 談として)~
≪フランクと私は何週間も掛けてメンバーや曲目を考えて素晴らしい出来上がりになったのに、どういう訳だか発売されなかったので、2人とも、そりゃがっくりきたよ≫
そのメンバーは ロソリーノ(tb)、ハロルド・ランド(ts)、ヴィクター・フェルドマン(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、スタン・レヴィ(ds)・・・これは本当にいい人選じゃないか。002
実はこのレコードは以前の<夢レコ:トロンボーンのいいバラード>で紹介したことがあるが、「後年発売の未発表音源盤」の逸品としても推薦したい。機会あればぜひ聴いてみてください。
ちなみにこのレコード~僕の手持ちでは、米specialtyがモノラル盤、日本センチュリーはなぜかステレオ盤(1991年発売)である。この日本盤は、自然に聴けるのでリアルなステレオ録音だと思う。コーティングされた日本盤ジャケットの出来映えはなかなか素晴らしいものだ。

侮れない内容の未発表盤・・・まだまだ見つかりそうな気配である。
ちなみに、Ben Webster/At The Renaissance(contemporary) のことについては、yosi君がこの3人聴き会の後、すぐにブログ記事にしてくれました。http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun/35643651.html
そちらもぜひご覧下さい。

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2011年6月 4日 (土)

<ジャズ回想 第24回>また、いいレコードをたくさん聴いた。

久々にYoさん宅・・・あっという間の7時間。

毎年、初夏の頃になるとYoさん宅に集まるのだが、今回はホストのYoさん、PaPaさん、denpouさん、recooyajiさん、konkenさん、bassclefの6人が、青い顔したウーレイ(スピーカー)の前に陣取った。皆、声こそ出さないが「ぐへへへ」という顔をしている(笑) さあ・・・お楽しみの始まりだ。

この日、若干の逡巡(しゅんじゅん)の後、Yoさんが選んだのは、ドルフィーのLive In Europe vol.1だった。ドルフィーから・・・というのはこうした音聴き回ではちょっと異例かもしれない。演奏会でもレコード聴きでも、たいてい最初の曲は、ちょい軽めというかリラックスした感じの曲・演奏から始めることが多いように思う。だから・・・初っ端(しょっぱな)からドルフィというのは、なんというか・・・若干、ハードかもしれない(笑) だけどこれには訳がある。
実は少し前に「この頃はドルフィーを聴いている」というYoさんからのメールがあって、じゃあ次回の音聴きで会は、「ぜひドルフィのバスクラ(バスクラリネット)のソロ~God Bless the Childを」とお願いしていたのだ。Pr7304_j_2
E.Dolphy/Live in Europe vol.1(prestige) 2nd紺ラベル
god bless the child 
この演奏・・・ドルフィのまったくの独り吹きである。このバスクラ独奏でのGod Bless the Child・・・僕は高校の時、FM放送から録音したカセットを聴きまくって、そうして大好きになったのだ。
僕はジャズという音楽を中学3年の頃から好きになり、そのうち聴くだけでは飽き足らなくなり、大学のジャズ研でウッドベースを触るようになった。ベースという楽器を選んだのはたぶん偶然だが、僕は「音」に対する感性の根っこがわりと単純らしく、音楽を聴く際、概(おおむ)ね、高い方の音より低い方の音を好むようだ。そんな単純脳の僕が苦手なのは・・・まず、ハードロックのエレキギターの音。あれがダメである。そしてロックのヴォーカルはたいてい甲高い声で叫ぶわけだから・・・これもけっこう辛(つら)い。
ジャズヴォーカルでも高めの声を張り上げるタイプ(例えば~ジュディガーランド)よりも、低めで落ち着いた声質(例えば~アン・バートン)を好む。
ジャズ聴きにおいての「管楽器の音色」についての好みで言えば・・・まずサックスが好きだ。そしてアルトよりテナーだ。
低い方がいいのなら、バリトンサックスが最も好きなはずなのだが、そうでもない(笑) バリサクの音も嫌いではないが、たまに聴くといいなあというくらいで、ハードでゴリゴリなタイプ(例えばペッパー・アダムス)よりも、ライトな音色タイプ(例えばジェリー・マリガン)の方が好みである。
金管のトランペットも、もちろん嫌いではないが、トランペットにおいても、強いアタックで高音域のフレーズを吹きまくるタイプより、ゆったりした音色で中音域のフレーズを吹く方が好みだ。
そうだ・・・トロンボーンも実にいい音色だ。時にはトランペット的なアタックも効くし、何よりもスタンダード曲をゆったりと歌う感じにはピッタリの音色じゃないか。ジャズ聴きも長いがこの15年ほどか・・・ボントロをますます好きになってきている。
クラリネットも・・・いい。実はクラリネットなんて・・・と長いこと思っていたのだが、アート・ペッパーの「家路」を聴いて、あの独特な表現力を醸し出すこの楽器の魅力に目覚めたのだ。あまり音源がないようだが、レスターヤングのクラリネットにも同じような魅力を覚える。ただクラリネットは、奏者によってかなり音色のクセが違い~これはクラリネットに限らないが~わりと甲高い感じの音でパラパラと吹くベニー・グッドマンはほとんど聴かない。好んで聴くのは、ゆったり音色のバディ・デフランコくらいか。ソニー・クラーク入りのバディ・デフランコの音色は、しっとりと暖かく、実にいい。うん、クラリネットまできたな。
そこで・・・・・バス・クラリネットなのである。
これが・・・いい! バスクラというのは、立ち姿が長くてその形だけでも絵になる楽器なのだが、もちろん「音」の方もチャーミングなのだ。くごもったように暗くて、しかし仄(ほの)かに暖かくもあるような、あの不思議な音色。そしてサックスに負けないくらいの音量と音圧感。実は最近、このバスクラという楽器に触る機会があって、ちょっと吹かせてもらったのだが・・・低い方を鳴らした時、体に伝わってくる楽器の胴鳴り振動に僕は痺れた。
そしてバスクラと言えば・・・これはもう、ドルフィーなのだ!Pr7304_l

ドルフィーは、この曲の原曲メロディを、おそらくは、わざと出してこない。始めのうち・・・ドルフィーは、なにやら音をまさぐるように、バスクラの低音域を使ったアルペジオっぽい音階をしつこく続けてくる。そうしてある時~たぶん曲のサビの部分か・・・ここでいよいよ、高い音を吹く。これが・・・とても印象的で、それまでの低い音域でのファットな音圧感豊かな音色とは違う質感の、ちょっと歪んだような、ノドをキュ~ッと絞ったような、そんな悲痛な音色なのだ。でも・・・それが効く。バスクラ独奏においての静と動。抽象と具象という感じがしないでもない。まあそんな解釈はどうでもいい。とにかく・・・このバスクラ独奏は、純粋に「ドルフィーという人間の音の世界」なのだ。僕らはその「音」に、ただ浸(ひた)ればいい。

Yoさんのシステムはバランスがいい。だから7時間、聴いていても音に疲れはしない。音の説明はまったく難しいことだが、あえてシンプルに言えば~
まず低音のエネルギー感が凄い。そのエネルギー感とは・・・量感だけでなくその演奏においての奏者が意図して発したであろう強弱の表現が~ピアニシモ(弱く)とフォルティシモ(強く)の楽器の鳴り具合。とりわけ「ここぞっ!」と強く吹いた・弾いた時に、ぐぐ~っとそこに現れるエネルギー・音圧感・存在感の体現~凄いのだ。これを「音楽的なリアリティ」と表現してもいいかもしれない。
以前から、このウーレイで聴かせてもらうロックのバスドラの音の強弱のニュアンスとそのリアリティ(存在感)に驚いてはいた。ウッドベースも同様である。そして・・・バスクラのような、なんというか低音域に溜めたような音圧感が発生する楽器にも、このウーレイは素晴らしい鳴り方・・・いや、表現をしてくれた。ドルフィー好きが聴いたら・・・これはもう「う~ん・・・」と唸るしかないだろう(笑)
「低音」の話しになったので、ここで、低音全般に拘るYoさんの低音観みたいなものを紹介してみたい。メールやりとりの中で、オーディオに疎い僕のために、Yoさんが判りやすく説明してくれたものだ。
*Yoさんの了承を得てここに転載します。
≪私は「音楽のファンダメンタルは中音だけど、音のファンダメンタルは低音だ」と考えています。私の言う中音とは音楽帯域の意味で楽譜で表される音の範囲のつもりです。SPのようなレンジの狭い(中音だけの音)でも音楽の感動を味わえますから音楽にとって大事なのは中音だという事は当然です。
しかしオーディオで再生音の音作りをするとき最も大事なのは低音と考えています。特に私のように等身大のエネルギー感を出そうとする場合に低音という音のの土台がしっかりしていないと楽器の実在感や本当の臨場感は得られません。
低音が大事な理由のもう一つは最も調整が難しいのが低音で、それが中音以上に影響する事です。
部屋の影響を最も受けやすいのも低音ですし、低音が原因する共振、共鳴の倍音成分が中音以上にかぶったり音全体に悪影響が出てしまったりもします。中、高音のうるさいところなどが結局低音が原因していたという経験は何度かあります≫

さて・・・会の最初のうちは、皆さん、柄にもなく(笑)けっこう遠慮しているので、手持ちのレコードをなかなか出さない。だから、ホストのYoさんがいくつかレコードを選んでいく。

Zoot Sims/Zoot Sims In Paris(UA サックス吹きラベル)
Uaj_14013_j
UAレーベルへの興味からモノラルとステレオの聴き比べもしてみた~Uajs_15013

ステレオではやや左からズート。わずかにエコーがかかったようなふっくらしたテナーの音色か。でもこのエコーは、明らかにこのライブ会場のの自然な響きエコーだから気にならない。 むしろ、いかにも「ライブ」という感じがよく出ていて、そんな音色がリラックスしたズートの芸風ともピタリと合致して、これはもう実にいい雰囲気なのだ。Yoさんも「ズートで一番好きかもしれない」とのこと。Uaj_14013_l_2この「サックス吹きラベル」は、ステレオとモノラルで質感に大きな違いがなく、どちらもいい音だった。「UAはステレオがいい」と思ってはいるがもちろん全てのタイトルにそれが当てはまるわけではないようだ。

Frank Strozier, B.Little, Geroge Coleman~/Down Home Reuion(UA)
Uas_5029_j ステレオ盤(青ラベル)
Uas_5029_l_4   うん、これはいいっ!最初の音が出た瞬間に僕はうれしくなってしまう。ソロの先陣を切るのはストロジャーのアルト。これが実に太っい音色なのだ。ストロジャーというと、vee jayレーベルのfantasticでよく知られているアルト吹きだと思う。
僕はこの人を、ジャズ聴きの初期からマッコイ・タイナーのtoday & tommorrow(impulse というレコードで耳にしていて、その後は、MJT+3というグループや jazzlandの作品を聴いてきたが・・・このUA盤を耳にすると・・・ストロジャーのアルトって、こんなに艶やかでしかも逞(たくま)しい音色だったのか!と驚くほど太い音色と、そしてもちろん気合の入ったいいソロじゃないか。素晴らしい!
それにしても、中央からアルトが押し出してくる、このリアルな音圧感はどうだ。こういう、いい録音の、もちろんいい演奏のレコードを掛けると・・・Yoさんのウーレイ(スピーカー)も、実に気持ちよさそうに鳴っている。
続くソロは、ブッカー・リトル。中央からやや左から鳴る。独特なちょっとクールな響きで、しかし、これも独特な内に秘めたような情熱・情感を感じさせるトランペットだ。リトルはさっきもドルフィのFive Spot vol.2で聴いたが、私見では、フレーズがどうのこうの言う前にあの「深く鳴る音色」を味わうべきタイプのペット吹きだと思う。音色そのものに説得力があるという感じだ。
  Dscn2827_2そして、ベースがジョージ・ジョイナー・・・これもミンガス張りの強いアタックで弦を引っ張り倒したような、ザクザクしたようなベースの音色が魅力的だ。やっぱり・・・United Artistsの青ラベル(ステレオ盤)はいいのだ(笑)
ちなみに僕の手持ち盤は、日本キングから発売された1500円盤(ステレオ盤)だけど、各楽器の音圧感・鮮度感も案外、悪くないので・・・この日本盤でガマンしようではないか(笑)

Prlp_7116_j_2 Four Altos(prestige) NYCラベル
Prjp_7116_l_2 「盤質は悪けど・・・」と前置きして、Yoさんが、PrestigeのNYCラベル盤を出してきた。音はさすがの鮮度感だが、それよりも、Yoさん、こんな風にみんなで聴くときに「楽しめる」レコードも好きなのだ。
このアルト4人・・・誰か、判る?ということで、さあ、皆、聴き始める(笑)
「これ、誰?」「う~ん・・・判らん」「聴いたことないアルトだね」
誰も~だと断言できない(笑) 誰もが、フィル・ウッズだけは判るが、残りの3人がなあ・・・だから・・・ソロが2人目、3人目と進むと、「あっ、これは、フィル・ウッズ?ウッズだね」という具合なのだ。だけどウッズとクイルもよく似ているぞ(笑)
僕の認識では・・・ウッズと似ているけど、もうちょっとだけ荒っぽいかな・・?というのが、たぶんジーン・クイルなのだ。
となると・・・残りの2人が、サヒブ・シハブとハル・スタインということになる。サヒブ・シハブというと、たいていはバリトンサックス吹きとしての認識だろうか。そのシハブのアルト? それにほとんど録音のないハル・スタインのアルトを「おっ、ハルだ!」とすぐに判るようなジャズ好きなんているのだろうか・・・いや、日本に5人くらいは居るんだろうな。スタインに興味ある方は、はとりあえず、あのprogressive盤(もちろん日本盤でも)を聴くしかないだろう。それにしても、この「4アルト」・・・ソロの繋ぎ部分で4人が間髪を入れずに次ぎの奏者が吹き始めるので、うっかりすると「あれ?今、替わった?いや、まだか?」てな具合で、下手したら、ソロ奏者が替わっても気が付かないこともあるかもしれない。こういう時、モノラル録音はちょっと辛い(笑) 
てなわけで・・・アイラ・ギトラー氏の裏解説に頼りましょう!というのが皆の結論だった(笑) ボブ・ワインストック氏も・・・まったく罪作りなレコードをこさえてくれたものだ。

さて、ここで、denpouさんが取り出してきたのは・・・
Original_lp3_002 Rita Rice/Cool Voice of ~ vol.1(オランダphillips) 

Original_lp3_001このレコード・・・CDを持ってはいたが、やはりLPが欲しくなったその頃、ヴォーカル好きのkonkenさんが同じタイトルの米columbia盤を2枚持っていたので、その内の1枚を交換してもらったのである。
そのジャケ違いの米columbia盤もなかなか人気があったようだが、リタ・ライスがオランダ出身でA面6曲がオランダ録音だから、やはりこの蘭Phillipsがオリジナルだろう。
konkenさんからのリクエストで、 I cried for you を聴く。このオランダ盤・・・音が良かった。
欧州盤独特のちょっとツンと澄ましたような感じの音質で、アメリカの黒人ハードバップのバンドがもう少し洗練された巧い白人バンドのようにも聞こえてくる。もちろん歌伴(ヴォーカルの伴奏)だから・・・ブレイキーもいつもより静かめに叩いたんだろうが、ブレイキーのシンバルがいつもより抑え目に聞こえる(笑) 
Dscn2826 同じシステムで聴き比べたわけではないので、あまり意味はないかもしれないが、米columbia盤(僕の手持ちは白プロモラベル)とはだいぶ音の質感が違うようでもある。このレコードA面6曲はブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのB面6曲については、Recorded in the Unitied Statesと表記されているので、B面については、米Columbia盤もオリジナル・・・と言えなくもない。この米Columbia盤のThe Cool Voice を聴いてみると・・・Phillips盤に比べ、ベースの音が太めに大きく、そしてドラムスの音がザラついたような感じに聞こえて・・・やっぱりアメリカの黒人ジャズの音がするのである。いや、そういう気がする(笑)
その辺りの音の印象のことをヴォーカル好きのkonkenさんに尋ねてみると、彼はこんなコメントをくれた。
≪先入観があるのかもしれませんが、基本的にはアメリカ人は米盤、ヨーロッパ人は本国盤がいいと思います。リタ・ライスも全部聴いていませんが、バックがメッセンジャーズなんで米盤の方が好みかな?というカンジですが、歌はオランダ盤の方がいいかな? だから反対の地元バックのA面はオランダ盤の方がいいかもしれません。
聴き慣れてるせいかもしれませんがジャズには米盤の方が親近感があります。1980年代前後にECMが一時ブームになったことありましたが、ちょっと醒めたような質感はジャズ自体が醒めたような感じがして自分のジャズを聴こうという気持ちまで醒めさせたような印象をいまだにに引きずってるようです。ジャズは音程がズレていようと録音にクセがあろうと熱いモノが伝わった方に軍配を挙げたいです≫
もともとこのレコードのプロデュース意図は・・・たぶん、ヨーロッパの女性歌手がバリバリのハードバップバンドに挑戦する~みたいなことだったようにも推測できる。そういう気持ちもあって聴くと、ライスは意図的にねっとりとした歌いまわしをしているような感じもする。これまであまり意識して聴いたことのないリタ・ライスが、やはりとても巧い歌い手だということがよく判る1枚であった。もう1曲・・・と聴いたバラードの my one & only love は、ホレス・シルヴァー名義のstyling of Silver収録のmy one & only loveと同じアレンジだった。

denpouさんはEP盤もお好きなようだ。
Dscn0204Dscn0202metronomeのEP盤~S.Getzのストックホルム録音の内、4曲入り(school boy 、I have only eyes for youなど)録音自体がかなり古いけど、さすがに録音したその国のEP盤・・・独特の生々しさのある音だが、素晴らしい録音とは言えない。これらゲッツの音源はroostの10インチ盤、12インチ盤も聴いたが、どれも音質はイマイチなようだ。


PaPaさん、満を持してこの1枚を~
Charlie Parker/~(clef)MGC-157 10inch盤 「鍵穴のパーカー」だ!Cimg7398
垂涎(すいえん)盤が出た。クレフの10インチ盤・・・このcover artはもちろんストーン・マーチンだ。マーチンのイラストは・・・細部を見ても面白いがそれよりパッと見た全体の構図・色合い~その印象度が圧倒的に凄い。ビビッとくる。わりと多めに赤色系を使うマーチンだが、この10インチ盤のcoverは、全体に黒っぽい色合いの中に、くくっと効く明るい色を持ってくる・・・そんな色使いが絶妙だ。、それにしても、なぜ主役のアルト吹きを狭い鍵穴から覗かなくてはならないのか(笑)Cimg7400_2
comfirmation~1953年録音だから、パーカーとしては後期の録音ではあるが、ドラムにマックス・ローチ、ピアノにアル・ヘイグという当時の新鋭をバックにしたワンホーンで、I remeber you、now's the time など、どの曲も、ぐぐっ と気合の入ったセッションだ。
この10インチ盤・・・アルトの音色がものすごく艶やかで、生々しい音圧感もあり、そしてやっぱり・・・パーカーのアルトは「重さ」を感じられる素晴らしい音質だった。録音そのものがしっかりしているようで、古い録音を聴き込んで出来上がってしまっているかもしれない「パーカーの音」のイメージが覆されるような、パーカーの音だった。これが50年も前のレコード盤の音とは・・・まったくレコードというものは凄いものである(笑)
そういえばいつものPaPaさんは、ちょいマイナーなサックス吹きやヨーロッパの管奏者をセレクトしてくるのだが、今回はあえて「ジャズ大物盤」を選んできてくれたようだ。パーカーの後は~
Cimg7404_2 A.Pepper/Meets the Rhythm Section(contemporary)モノ
M.Davis/kind Of Blue モノラル と Yoさん~Kind Of Blue ステレオ(プロモ白ラベル)
という流れになった。
どれも真に名盤で、音も演奏も素晴らしくて、「いやあ・・・やっぱりジャズはいいなあ」という幸せな気持ちになってしまった(笑)

Cimg7402 kind Of Blueは、同じCS六つ目ラベルでもステレオ盤の人気が異常に高いようだが、このモノラル盤も相当によかった。CBSレーベルは品質が安定していて、モノラルでもステレオでも音の質感がそれほど大きく変ってしまう・・・というようなことも案外少ないと思う。
そしてこのKind Of Blueのモノラル盤は~
Cimg7414 特に3人の管楽器の音量・音圧感が大きく聞こえて迫力がある。だからコルトレーン、キャノンボール、マイルスを強烈にたっぷり味わいたい方はモノラル盤の方が好みになるのかな、という気がする。この後、Yoさん手持ちのステレオ盤(プロモ:白ラベル)も掛けてみると・・・定位としては、コルトレーンとエヴァンスが左側に、キャノンボールがちょ右に、と変ったり、全体的に管楽器がちょっとおとなし目に聞こえたり、ベースが少し薄みになったりもしたが・・・僕はやはり(笑)Kind Of Blue については、ステレオ盤のややライトな(軽い)感じのサウンドの方が好みのようだ。

konkenさんは渋い1枚を出してきた~
Al Grey/The Last Of The Big Plungers(argo) ステレオ盤
Grey_1特にargoレーベルの音がいい、という認識はなかったのだが、このステレオ盤、 やけに音がいい。録音エンジニアはMalcolm Chisholmと記されている。 konkenさんはだいぶ前からトロンボーン好きのようで、こういうボントロの渋い盤までディグしているのだ。Argo_gold_4アル・グレイはベイシー楽団のボントロ吹きで「プランジャー」というのは、ゴムでできたお椀みたいなもので(ちょうどトイレが詰まった時の掃除道具みたいな)それをトロンボーンの音の出る開口部に当てたり外したりして、ボントロの音色を「ぅわわわ~・ムワワワ~」と変化させるのである。1920年代~1940年代のビッグバンド時代には、この「プランジャー奏法」がはやったらしく、だからこのLPのタイトルは、そういうプランジャー使いの最後の名手・・・というような意味合いだと思う。  
bluish greyという曲・・・出だしからCherles Fowlkesのバリサクが効いている。そして太っいベース音の主はエディ・ジョーンズだ。このベース弾きはとにかく音がでかそう。Grey_2ビッグバンドのスイング感を下からどっしりと支える感じのベース弾きだ。こういう地味だが太い音色と大音量でバンド全体を支えるタイプのベース弾きもやっぱりいいもんだなあ・・・という気持ちになる。というのも、Yoさんのシステムでこういう録音のいいレコードを聴くと、ウッドベースの存在感が本当に凄いので、いろんなベース弾きのベースラインはもちろん、音量・音圧感、そして音色の微妙な違い様までしっかりと感じられるので、そういうジャズにおける「低音サウンド」を浴びることは、ベース好きとしては、これはもう極楽なのである。

それにしても・・・いい演奏の詰まったいい録音のレコードをいい音で聴く・・・というのは、なんと気持ちのいいことだろうか。
ジャズはいよいよ・・・止められない(笑)

*ジャケット写真提供~
E.Dolphy/Live in Europe vol.1(prestige) 紺ラベル
Zoot Sims/Zoot Sims In Paris(UA) サックス吹きラベル
Frank Strozier, B.Little, G.Coleman~/Down Home Reuion(UA)青ラベル
P.Woods、G.Quil、S.Shihab~/Foru Altos(prestige)NYCラベル
はYoさん提供。

Rita Rice/Cool Voice of ~ vol.1(オランダphillips)
Stan Getz/metronomeのEP盤
はdenpouさん提供。

Charlie Parker/~(clef)MGC-157 10inch盤
A.Pepper/Meets the Rhythm Section(contemporary)
M.Davis/kind Of Blue モノラル盤
はPaPaさん提供。

Al Grey/The Last Of The Big Plungers(argo) ステレオ盤
はkonkenさん提供。

皆さん、ありがとうございました。bassclef


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2011年1月 2日 (日)

<ジャズ雑感 第32回>ミルト・ジャクソンのUA盤:Bags' Opus

  UAレーベルのモノラル盤/ステレオ盤のこと、もう少し。

すっかり毎年の恒例になってしまった12月31日のレコード聴き・・・今年もrecooyajiさんと僕:bassclefで敢行しました。recooyajiさんとはもう4年の付き合いになるが、古いジャズをアナログで楽しむ同好の志が近くに居るということは実に重宝なもので、なにしろちょいと集まろうか・・・となれば10分で行き来ができるのである(笑)
さて、今年の「暮れ2人会」~特にテーマというほどのこともなかったのだが、昨年夏にこのブログ<夢レコ>で話題にした、ビル・エヴァンス/ジム・ホールの『アンダーカレント』を、もう一度、聴き比べてみましょう・・・ということだけは決めておいた。というのも・・・この『アンダーカレント』~どういう訳だか、ステレオ盤を好む僕がモノラル盤を、そしてモノラル盤を好むrecoさんがステレオ盤を入手していて・・・だから場合によってはトレードということも互いに考えてのことだったのだ(笑)
ステレオ盤とモノラル盤の音の質感の違いは・・・前回~
《UAモノの方は「優雅で繊細」とだけ思っていた二人のデュオに、相当な力強さを感じました。エヴァンスのピアノがかなり近い音で入っていて(音量レベルそのものも大きいような感じ)かなり強いタッチに聞こえます。ガッツあるデュオ・・・という感じにも聴けました。
(ステレオ盤を聴いてみての印象)
やっぱり、青のステレオ盤、ある種、柔らかさが気持ちよく、そしてギター、ピアノのタッチの強弱感もよく出ていて》
~と表わしたとおりで、しかしステレオの方も決して「線が細い」わけではなく、タッチの繊細さを表出しながらも適度な量感も出ていて・・・この2人のデュオとしては、やっぱりステレオ盤の方が(僕には)好ましい質感だった。
多少なりとも「交換」を考えていたであろうrecooyajiさんも、自分の装置での聴き比べの結果、《ステレオ盤もいいなあ》と感じたようである。チラッと《僕の方はいつでも交換しますよ》と言ってみたら・・・recoさん「いやあ・・・えっへっへッ」とだけ返してきた(笑)というわけで、僕はまたUAJSの方を探さねばなるまい(笑)
さて・・・この2枚の Under Current~「音」の方が済んだので、2人の興味は「モノ(物)」に移った(笑) この2枚を並べて・・・表ジャケ、見開きの両面、裏ジャケ・・・とあれやこれやチェックすると・・・見開きジャケのデザインに若干の違いがあった。
Dscn2810_3 
上写真~モノラル盤 UAJ  14003  見開き左側の下に表記
右側のエヴァンスとホールの写真の位置~上より(下に余白)Dscn2822
上写真~ステレオ盤 UAJS 15003 見開き左側の上に表記
右側のエヴァンスとホールの写真の位置も下よりになる。

もうひとつ、ちょっとした発見もあった。2枚を横に重ねて背表紙を見比べていたrecooyajiさんが「あれ?これは・・・面白いな」とつぶやく。
モノラル盤、ステレオ盤ともに、背表紙には同じように「両方」の番号が表記されているのだ!
《下写真は~モノラル盤。BILL EVANS  JIM HALL・UNDERCURRENT・UNITED ARTISTS JAZZ・UAJ 14003  STEREO UAJS 15003と表記》 
Dscn2811
《う~ん・・・モノラル番号とステレオ盤号が並んで書いてあるじゃないか(笑)さらに番号だけならまだしも、UAJS(ステレオ盤の番号)の方にはSTEREOという文字も入っている(僕の手持ちはモノラル盤なのに)これならUAJ14003の方にもmonauralと入れるべきじゃないか》Dscn2818_2
内ジャケ、センターラベルはちゃんと、モノラル、ステレオに応じた番号になっているのに。これは・・・「背表紙」だけは同じ版下を使ったということになる。UA社もここだけは手抜きしたか(笑)
しかしこれでは、このUnedrcurrntのように表ジャケにも裏ジャケにも「ひと文字」も入ってないデザインのレコードの場合、外見だけでは、モノラルかステレオか判別できないわけだ(笑)Dscn2819_2
そういえば・・・僕がこのUndercurrent(モノラル盤)をネットで入手した際、説明では「ステレオ盤」となっていたのに到着したら実際は「モノラル盤」だったということもあったのだが・・・ひょっとしたらその売り手は、このレコードの背表紙だけ見て、ステレオ盤だと思ったのかもしれない。
まあ・・・どうでもいいような話しではある(笑)
Dscn2823_2 
<サックス吹きラベル>は同じデザインだった。但し、このステレオ盤は溝ありで、モノラル盤に溝はなし。それから僕の手持ちモノラル盤のラベルは・・・なぜかややクリーム色がかった灰色で、この「クリーム色」については・・・まだ未解決である。面白いのは写真でお判りのように背表紙の番号表記は全く同じだが、その印字の色がセンターラベルと同じく、僕のモノラル盤はクリーム色となっていることだ。(モノラル盤をお持ちの方~そのセンターラベル情報などお願いします) *拙ブログ7月4日記事も参照

追記 1.~UAの「サックス吹きラベル」は、UAJ 14000番台(ステレオ盤はUAJS 15000番台)で、普通のUA盤とは別シリーズとなっているのだが、その「サックス吹きのセンターラベル」・・・これがどうにも謎である。上記の「クリーム色」も謎ではあるが、また新たな「謎」が浮上してきた。それは・・・
Uajs_15003_lステレオ盤のラベルに「溝なし」と「溝あり」の2種類が存在する・・・ということである。前回、7月の記事に載せた、Yoさん所蔵のUndercurrent(ステレオ盤)のセンターラベル(左の写真)を見ると・・・これが通常の「溝なしサックス吹き」だと思うのですが、上の写真(モノラル盤とステレオ盤を並べたもの)の右側のrecooyajiさん所蔵のステレオ盤ラベルは、ハッキリと「溝あり」でした。加えて3時方向にSTEREOという文字が表記されています。『「サックス吹きラベル」には溝はない』というのが、一般的な認識だったと思います。う~ん・・・ますます判らなくなりました(笑)
(2011年1月15日(土)追記)

追記 2.~「サックス吹きラベル 14000番シリーズ」のまとまった情報が案外なかったと思います。いつもコメントをくれる三式さんがリストにしてくれましたので、ここに掲載させていただきます。「**穴埋め」の箇所も判ったものは追加していきます。ミュージシャン名/タイトル名という型にしました。special thanks to Mr.三式さん!

《サックス吹きラベル~UAJ 14000シリーズ》のリスト

14001: john coltrane/coltrane time
14002: art blakey/three blind mice
14003: bill evans, jim hall/undercurrent
14004: ** danny small/woman, she was born for sorrow
14005: **charles mingus/wonderland
14006: gerome richardson/going to the movies
14007: kenny dorham/matador
14008: **
14009: **herbie mann/brazil,bossa nova & blues
14010: b
illy strayhorn/the peaceful side of billy
14011: **
14012: **king pleasure/mr.jazz

14013: zoot sims/zoot sims in paris
14014: **billie holiday/lady love
14015: ken mcintyre/year of the iron sheep
14016: vi redd/bird call
14017: duke ellington/money jungle
14018: ** llod mayers with oliver nelson/a taste of honey
14019: ** oliver nelson/impressions of phaedra
14020: **
14021: **
14022: ** herbie
mann/st.thomas
14023: ** alice maccarity & the faith temple choir/our most beloved    spirituals
14024: charles mingus/mingus townhall
14025: ** rose murphy featuring slam stewart/jazz, joy and happiness
14026: **
14027: **
14028: howard mcghee/nobody knows you when you're down and out
14029: moe koffman/tales of koffman
14030: **
14031: king pleasure/mr.jazz
14032: **
14033: bud freeman/something tender


注1~king pleasure(男性ヴォーカル)のMr.Jazzが、12と31とダブっているが、14012は間違いなくキングプレジャーのMr.Jazzだ。私の手持ち盤 14012は2ndラベル(マルチカラー~ラベル上部に赤・黄・青の水玉)でした。NOTさんのブログhttp://blogs.yahoo.co.jp/not254/archive/2007/06/10にも、同じMr.Jazz(2nd)が載っています。なお、14012の1stがサックス吹きラベルであることは写真で確認していますが、14031のMr.Jazzについては未確認。ゴールドマイン本には14031Mr.Jazzと記されており、たぶん同タイトルの再発だろう。
注2~新たに判明した14018と14019は、どうやらオリバー・ネルソン絡みらしい。14023はゴスペルのようだ。
注3~ちょっと注目すべきは・・・14004のDanny Smallの作品。Danny_smallD_small_centerほとんど情報もないのだが、"a great unknown vocalist. reeds by Zane Paul"なる説明からヴォーカルものだと判った。  この管楽器奏者の名前も聞いたことがない。ジャケットは「目から涙」のイラストもので印象に残る。  写真はネットから拝借~

追記3.~「サックス吹き」だけでなく、UAレーベルのUAL4000番台/UALS5000番台についても、なかなかまとまった情報がなかったようです。今回、たまたま検索中に発見した<UAレーベルのタイトル番号順リスト>のHPのアドレスを付けておきます。Yoさんとのコメントやりとりでも細かい再発まで判る・・・ということで一見の価値ありかと思います。興味ある方はぜひ見てみてください。そのHPは、rateyourmusic.comという名前のようで、とにかく膨大なレーベル情報で一杯です。アドレスは以下~http://rym.fm/list/lochness/united_artists_lps__usa__f1

さて・・・United Artists(UA)というレーベルについては、夢レコ7月の記事で、「アンダーカレント」だけでなく、
Booker Little +4(ステレオ盤)
Motor City Scene(ステレオ盤)
にも触れたのだが、いかんせんまだまだサンプルが少ない。

そこでもうひつと・・・UAレーベルのステレオ/モノラルということで、たまたま揃ったのがミルト・ジャクソンだ。
Milt Jackson/Bags' Opus(UAL 4022) モノラル赤ラベル
Milt Jackson/Bags' Opus (UAS 5022) ステレオ青ラベル
Dscn2812_2
モノラルがUALの4000番代、ステレオがUASの5000番代という例のパターンだ。こちらはセンターラベル以外は表ジャケ右上のレコード番号だけだ。
こちらはモノラル盤を先に入手した。そのUAレーベルはステレオ盤がいいよ、と言ってたわりに、このモノラル盤・・・これが実に良かったのだ(笑)あまり芳しくない方の例に挙げたMotor City Sceneやthe Band & I、それからModern Art で、僕が感じた「(ステレオ盤と比べて)楽器の音がちょっと引っ込んで詰まったような感じもまったくなく、テナーやトランペットの抜けもよく各楽器の音圧感も充分、主役のミルト・ジャクソンのヴィブラフォンも厚めに鳴って音色に艶もある。これを聴いた僕はまたスケベ心を出した。モノラル盤でこんなに良いのならステレオ盤ならもっといいんだろうな・・・(笑)そうしてわりと最近、首尾よくもう1枚のBags' Opusを入手できたのだ。待望のその青ラベルを、さっそく聴いたみた。Dscn2813_2
A面1曲目~ill wind
このトラックは管なしのピアノ入りカルテット。ミルトのヴィブラフォンがちょい左によって、そしてモノラル盤での鳴りに比べれば太さが減りちょっとスマートな感じになった。その分、バックで鳴るフラナガンのピアノはモノラル盤よりクリアに聞こえる。ドラムスのブラッシュの「ザワザワ音」・・・これが音量的にはモノラル盤でも大きく強く聞こえるのだが、僕にはそれがちょっと暑苦しい。ステレオ盤だと、その「ザワザワ」が被(かぶ)らずに聞こえて、さらにちょいと左側にいるドラムのその全体の鳴りとしての気配がよく判るような気がする(ごく一般論で言っても、同じ録音音源なら、ドラムのシンバルとその鳴りの余韻とかはステレオ盤の方がよりクリアに聞こえる・・・と認識している) チェンバースのベースはどちらの盤でも同じようによく聞こえる。

A面2曲目(blues for Diahann)~管入りだとどうなるのか?
こちらは判りやすい。モノラルではわりと締まって聞こえたベニー・ゴルソンのテナーが、やや右によって、いや、そんな位置のことよりも・・・テナーの音色が、音色の輪郭が拡がって柔らかくなった。テナーの音量も若干、大きくなったように聞こえる。具体的には・・・たぶんゴルソンの特徴であるサブトーン(少し息の抜ける音がススゥ~(ズズゥ~)と聞こえるような音)の感じが、より強調して聞こえるのと、スタジオの空間に響いた自然なエコーの(残響音)感じを、ステレオの方がたくさん拾っているという感じで、僕としてはこちらの方が(ステレオ盤)実際の聞こえ方としては、ベニー・ゴルソンのテナーの音色に、より近いのじゃないかな・・・とも思うわけである。アート・ファーマーのトランペットについても、ほぼ同様な感想で、ファーマーの出した後の音をフワ~ッと余韻を残すような鳴らし方・・・あの音色表現には、ステレオ盤の方がより似合っている・・・と感じている。
但し、モノラル盤の方が、定位も真ん中だし、テナー、トランペットの音も「より締まって(ステレオ盤に比べて)」聞こえるので、やはりその方が好みだという方も多いだろうと思う。
トータルとして、スタジオでの演奏のリアリティというか楽器としての自然な鳴りを欲する方はソフトな感じのステレオ盤。
とにかく主役のミルトを大きな音・音圧感で聴きたい方、管楽器の締まり感を重んじる方は・・・やはりちょいとビターなモノラル盤の方が好みに合うように思う。Dscn2807_5
というわけで、このBags' Opus(UA)については、どちらの盤でも優秀な音が聴けるというのが僕の感じ方です。
いずれにしても、元が良い録音であって、いいミキシング(特にステレオ録音で撮ってモノラルミックスにした場合)であれば、ステレオ盤でもモノラル盤でもどちらでもいい・・・ということですね(笑)

こんなわけで、僕のUAレーベルへの興味はまだ続いている(笑)

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<ジャズ雑感 第32回>ミルト・ジャクソンのUA盤:Bags' Opus

  UAレーベルのモノラル盤/ステレオ盤のこと、もう少し。

すっかり毎年の恒例になってしまった12月31日のレコード聴き・・・今年もrecooyajiさんと僕:bassclefで敢行しました。recooyajiさんとはもう4年の付き合いになるが、古いジャズをアナログで楽しむ同好の志が近くに居るということは実に重宝なもので、なにしろちょいと集まろうか・・・となれば10分で行き来ができるのである(笑)
さて、今年の「暮れ2人会」~特にテーマというほどのこともなかったのだが、昨年夏にこのブログ<夢レコ>で話題にした、ビル・エヴァンス/ジム・ホールの『アンダーカレント』を、もう一度、聴き比べてみましょう・・・ということだけは決めておいた。というのも・・・この『アンダーカレント』~どういう訳だか、ステレオ盤を好む僕がモノラル盤を、そしてモノラル盤を好むrecoさんがステレオ盤を入手していて・・・だから場合によってはトレードということも互いに考えてのことだったのだ(笑)
ステレオ盤とモノラル盤の音の質感の違いは・・・前回~
《UAモノの方は「優雅で繊細」とだけ思っていた二人のデュオに、相当な力強さを感じました。エヴァンスのピアノがかなり近い音で入っていて(音量レベルそのものも大きいような感じ)かなり強いタッチに聞こえます。ガッツあるデュオ・・・という感じにも聴けました。
(ステレオ盤を聴いてみての印象)
やっぱり、青のステレオ盤、ある種、柔らかさが気持ちよく、そしてギター、ピアノのタッチの強弱感もよく出ていて》
~と表わしたとおりで、しかしステレオの方も決して「線が細い」わけではなく、タッチの繊細さを表出しながらも適度な量感も出ていて・・・この2人のデュオとしては、やっぱりステレオ盤の方が(僕には)好ましい質感だった。
多少なりとも「交換」を考えていたであろうrecooyajiさんも、自分の装置での聴き比べの結果、《ステレオ盤もいいなあ》と感じたようである。チラッと《僕の方はいつでも交換しますよ》と言ってみたら・・・recoさん「いやあ・・・えっへっへッ」とだけ返してきた(笑)というわけで、僕はまたUAJSの方を探さねばなるまい(笑)
さて・・・この2枚の Under Current~「音」の方が済んだので、2人の興味は「モノ(物)」に移った(笑) この2枚を並べて・・・表ジャケ、見開きの両面、裏ジャケ・・・とあれやこれやチェックすると・・・見開きジャケのデザインに若干の違いがあった。
Dscn2810_3 
上写真~モノラル盤 UAJ  14003  見開き左側の下に表記
右側のエヴァンスとホールの写真の位置~上より(下に余白)Dscn2822
上写真~ステレオ盤 UAJS 15003 見開き左側の上に表記
右側のエヴァンスとホールの写真の位置も下よりになる。

もうひとつ、ちょっとした発見もあった。2枚を横に重ねて背表紙を見比べていたrecooyajiさんが「あれ?これは・・・面白いな」とつぶやく。
モノラル盤、ステレオ盤ともに、背表紙には同じように「両方」の番号が表記されているのだ!
《下写真は~モノラル盤。BILL EVANS  JIM HALL・UNDERCURRENT・UNITED ARTISTS JAZZ・UAJ 14003  STEREO UAJS 15003と表記》 
Dscn2811
《う~ん・・・モノラル番号とステレオ盤号が並んで書いてあるじゃないか(笑)さらに番号だけならまだしも、UAJS(ステレオ盤の番号)の方にはSTEREOという文字も入っている(僕の手持ちはモノラル盤なのに)これならUAJ14003の方にもmonauralと入れるべきじゃないか》Dscn2818_2
内ジャケ、センターラベルはちゃんと、モノラル、ステレオに応じた番号になっているのに。これは・・・「背表紙」だけは同じ版下を使ったということになる。UA社もここだけは手抜きしたか(笑)
しかしこれでは、このUnedrcurrntのように表ジャケにも裏ジャケにも「ひと文字」も入ってないデザインのレコードの場合、外見だけでは、モノラルかステレオか判別できないわけだ(笑)Dscn2819_2
そういえば・・・僕がこのUndercurrent(モノラル盤)をネットで入手した際、説明では「ステレオ盤」となっていたのに到着したら実際は「モノラル盤」だったということもあったのだが・・・ひょっとしたらその売り手は、このレコードの背表紙だけ見て、ステレオ盤だと思ったのかもしれない。
まあ・・・どうでもいいような話しではある(笑)
Dscn2823_2 
<サックス吹きラベル>は同じデザインだった。但し、このステレオ盤は溝ありで、モノラル盤に溝はなし。それから僕の手持ちモノラル盤のラベルは・・・なぜかややクリーム色がかった灰色で、この「クリーム色」については・・・まだ未解決である。面白いのは写真でお判りのように背表紙の番号表記は全く同じだが、その印字の色がセンターラベルと同じく、僕のモノラル盤はクリーム色となっていることだ。(モノラル盤をお持ちの方~そのセンターラベル情報などお願いします) *拙ブログ7月4日記事も参照

追記 1.~UAの「サックス吹きラベル」は、UAJ 14000番台(ステレオ盤はUAJS 15000番台)で、普通のUA盤とは別シリーズとなっているのだが、その「サックス吹きのセンターラベル」・・・これがどうにも謎である。上記の「クリーム色」も謎ではあるが、また新たな「謎」が浮上してきた。それは・・・
Uajs_15003_lステレオ盤のラベルに「溝なし」と「溝あり」の2種類が存在する・・・ということである。前回、7月の記事に載せた、Yoさん所蔵のUndercurrent(ステレオ盤)のセンターラベル(左の写真)を見ると・・・これが通常の「溝なしサックス吹き」だと思うのですが、上の写真(モノラル盤とステレオ盤を並べたもの)の右側のrecooyajiさん所蔵のステレオ盤ラベルは、ハッキリと「溝あり」でした。加えて3時方向にSTEREOという文字が表記されています。『「サックス吹きラベル」には溝はない』というのが、一般的な認識だったと思います。う~ん・・・ますます判らなくなりました(笑)
(2011年1月15日(土)追記)

追記 2.~「サックス吹きラベル 14000番シリーズ」のまとまった情報が案外なかったと思います。いつもコメントをくれる三式さんがリストにしてくれましたので、ここに掲載させていただきます。「**穴埋め」の箇所も判ったものは追加していきます。ミュージシャン名/タイトル名という型にしました。special thanks to Mr.三式さん!

《サックス吹きラベル~UAJ 14000シリーズ》のリスト

14001: john coltrane/coltrane time
14002: art blakey/three blind mice
14003: bill evans, jim hall/undercurrent
14004: ** danny small/woman, she was born for sorrow
14005: **charles mingus/wonderland
14006: gerome richardson/going to the movies
14007: kenny dorham/matador
14008: **
14009: **herbie mann/brazil,bossa nova & blues
14010: b
illy strayhorn/the peaceful side of billy
14011: **
14012: **king pleasure/mr.jazz

14013: zoot sims/zoot sims in paris
14014: **billie holiday/lady love
14015: ken mcintyre/year of the iron sheep
14016: vi redd/bird call
14017: duke ellington/money jungle
14018: ** llod mayers with oliver nelson/a taste of honey
14019: ** oliver nelson/impressions of phaedra
14020: **
14021: **
14022: ** herbie
mann/st.thomas
14023: ** alice maccarity & the faith temple choir/our most beloved    spirituals
14024: charles mingus/mingus townhall
14025: ** rose murphy featuring slam stewart/jazz, joy and happiness
14026: **
14027: **
14028: howard mcghee/nobody knows you when you're down and out
14029: moe koffman/tales of koffman
14030: **
14031: king pleasure/mr.jazz
14032: **
14033: bud freeman/something tender


注1~king pleasure(男性ヴォーカル)のMr.Jazzが、12と31とダブっているが、14012は間違いなくキングプレジャーのMr.Jazzだ。私の手持ち盤 14012は2ndラベル(マルチカラー~ラベル上部に赤・黄・青の水玉)でした。NOTさんのブログhttp://blogs.yahoo.co.jp/not254/archive/2007/06/10にも、同じMr.Jazz(2nd)が載っています。なお、14012の1stがサックス吹きラベルであることは写真で確認していますが、14031のMr.Jazzについては未確認。ゴールドマイン本には14031Mr.Jazzと記されており、たぶん同タイトルの再発だろう。
注2~新たに判明した14018と14019は、どうやらオリバー・ネルソン絡みらしい。14023はゴスペルのようだ。
注3~ちょっと注目すべきは・・・14004のDanny Smallの作品。Danny_smallD_small_centerほとんど情報もないのだが、"a great unknown vocalist. reeds by Zane Paul"なる説明からヴォーカルものだと判った。  この管楽器奏者の名前も聞いたことがない。ジャケットは「目から涙」のイラストもので印象に残る。  写真はネットから拝借~

追記3.~「サックス吹き」だけでなく、UAレーベルのUAL4000番台/UALS5000番台についても、なかなかまとまった情報がなかったようです。今回、たまたま検索中に発見した<UAレーベルのタイトル番号順リスト>のHPのアドレスを付けておきます。Yoさんとのコメントやりとりでも細かい再発まで判る・・・ということで一見の価値ありかと思います。興味ある方はぜひ見てみてください。そのHPは、rateyourmusic.comという名前のようで、とにかく膨大なレーベル情報で一杯です。アドレスは以下~http://rym.fm/list/lochness/united_artists_lps__usa__f1

さて・・・United Artists(UA)というレーベルについては、夢レコ7月の記事で、「アンダーカレント」だけでなく、
Booker Little +4(ステレオ盤)
Motor City Scene(ステレオ盤)
にも触れたのだが、いかんせんまだまだサンプルが少ない。

そこでもうひつと・・・UAレーベルのステレオ/モノラルということで、たまたま揃ったのがミルト・ジャクソンだ。
Milt Jackson/Bags' Opus(UAL 4022) モノラル赤ラベル
Milt Jackson/Bags' Opus (UAS 5022) ステレオ青ラベル
Dscn2812_2
モノラルがUALの4000番代、ステレオがUASの5000番代という例のパターンだ。こちらはセンターラベル以外は表ジャケ右上のレコード番号だけだ。
こちらはモノラル盤を先に入手した。そのUAレーベルはステレオ盤がいいよ、と言ってたわりに、このモノラル盤・・・これが実に良かったのだ(笑)あまり芳しくない方の例に挙げたMotor City Sceneやthe Band & I、それからModern Art で、僕が感じた「(ステレオ盤と比べて)楽器の音がちょっと引っ込んで詰まったような感じもまったくなく、テナーやトランペットの抜けもよく各楽器の音圧感も充分、主役のミルト・ジャクソンのヴィブラフォンも厚めに鳴って音色に艶もある。これを聴いた僕はまたスケベ心を出した。モノラル盤でこんなに良いのならステレオ盤ならもっといいんだろうな・・・(笑)そうしてわりと最近、首尾よくもう1枚のBags' Opusを入手できたのだ。待望のその青ラベルを、さっそく聴いたみた。Dscn2813_2
A面1曲目~ill wind
このトラックは管なしのピアノ入りカルテット。ミルトのヴィブラフォンがちょい左によって、そしてモノラル盤での鳴りに比べれば太さが減りちょっとスマートな感じになった。その分、バックで鳴るフラナガンのピアノはモノラル盤よりクリアに聞こえる。ドラムスのブラッシュの「ザワザワ音」・・・これが音量的にはモノラル盤でも大きく強く聞こえるのだが、僕にはそれがちょっと暑苦しい。ステレオ盤だと、その「ザワザワ」が被(かぶ)らずに聞こえて、さらにちょいと左側にいるドラムのその全体の鳴りとしての気配がよく判るような気がする(ごく一般論で言っても、同じ録音音源なら、ドラムのシンバルとその鳴りの余韻とかはステレオ盤の方がよりクリアに聞こえる・・・と認識している) チェンバースのベースはどちらの盤でも同じようによく聞こえる。

A面2曲目(blues for Diahann)~管入りだとどうなるのか?
こちらは判りやすい。モノラルではわりと締まって聞こえたベニー・ゴルソンのテナーが、やや右によって、いや、そんな位置のことよりも・・・テナーの音色が、音色の輪郭が拡がって柔らかくなった。テナーの音量も若干、大きくなったように聞こえる。具体的には・・・たぶんゴルソンの特徴であるサブトーン(少し息の抜ける音がススゥ~(ズズゥ~)と聞こえるような音)の感じが、より強調して聞こえるのと、スタジオの空間に響いた自然なエコーの(残響音)感じを、ステレオの方がたくさん拾っているという感じで、僕としてはこちらの方が(ステレオ盤)実際の聞こえ方としては、ベニー・ゴルソンのテナーの音色に、より近いのじゃないかな・・・とも思うわけである。アート・ファーマーのトランペットについても、ほぼ同様な感想で、ファーマーの出した後の音をフワ~ッと余韻を残すような鳴らし方・・・あの音色表現には、ステレオ盤の方がより似合っている・・・と感じている。
但し、モノラル盤の方が、定位も真ん中だし、テナー、トランペットの音も「より締まって(ステレオ盤に比べて)」聞こえるので、やはりその方が好みだという方も多いだろうと思う。
トータルとして、スタジオでの演奏のリアリティというか楽器としての自然な鳴りを欲する方はソフトな感じのステレオ盤。
とにかく主役のミルトを大きな音・音圧感で聴きたい方、管楽器の締まり感を重んじる方は・・・やはりちょいとビターなモノラル盤の方が好みに合うように思う。Dscn2807_5
というわけで、このBags' Opus(UA)については、どちらの盤でも優秀な音が聴けるというのが僕の感じ方です。
いずれにしても、元が良い録音であって、いいミキシング(特にステレオ録音で撮ってモノラルミックスにした場合)であれば、ステレオ盤でもモノラル盤でもどちらでもいい・・・ということですね(笑)

こんなわけで、僕のUAレーベルへの興味はまだ続いている(笑)

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2010年11月23日 (火)

<思いレコ 第18回>チェット・ベイカーのPacifc盤

チェット・ベイカー・・・抑制の美学

Dscn2508_10 チェット・ベイカー・・・この人のトランペットには独特な何かがある。その「何か」をどんな風に表現したらいいのか・・・音や音色のことを言葉で表わすのは、なかなか難しい。
例えば・・・あなたがある歌手なりミュージシャンを好きに(嫌いに)なったとする。音程がどうとかフレーズがどうとか言ったりもするが、聴き手にとっての好みというのは・・・突き詰めていけば「歌手の声質」であり「楽器の音色」に対する感覚的なものかと思う。では・・・演奏者にとっての好みというのはどんな風に現れるものだろうか・・・。

ジャズという音楽を色々と聴いてくると、トランペットという楽器からも実に色んな「音色」が発せられきたことが判ってくる。マイルス・デイヴィスの音色とクリフォード・ブラウンの音色は、やはり相当にその質感が違う。
ミュージシャンの発する「音色」というものは・・・やはりその人の感性や美学から生まれてくるものだと思う。
アドリブのフレーズとかタンギングとかの技術上・奏法上のことはある程度、分析的・後天的に造られていくものかもしれないが、その人が発する「音色」というものは、歌手の声と同じように先天的なもので、それは「その人であること」を決定づける根本だと思う。もちろんどの楽器の奏者の場合でも、その楽器を持った端(はな)からその「先天的音色」が出るはずもないが、その修練過程において、無意識にでも「あんな音、こんな音がいいなあ」と感じながら、その「音色」が創られていくものではないだろうか。そうして、チェットという人は・・・心底、己(おのれ)の感性、いや、もっと本能的・肉体的な意味での生理感覚だけで、トランペットという楽器をまったく自分の好きなように鳴らしている・・・そんな風に思えてならない。

チェットはトランペットを溌剌(はつらつ)とした感じでは吹かない。
チェットのトランペットは、いわゆる金管楽器に特有の輝かしいものではなく、くぐもった様に暗く低く・・・しかし妙に乾いた感触のある不思議な音色で鳴る。
チェットは音色だけでなくその語り口も独特だ。
フレーズはたいてい、のそ~っと始まり、戸惑ったように口を噤(つぐ)んだり、そうしてまた訥々(とつとつ)と語り始める・・・そんな風情だ。
スローものでは、いや、速めの曲でさえも、いつもどこか一歩引いた視点で吹いているように見える。
そうなのだ・・・この人は明らかにいつも「抑えて」吹いているのだ。
人が何かを訴えたい時に、声高(こわだか)に叫ぶよりも、逆に抑えた方がうんと説得力が増す・・・ということもあるように、チェット・ベイカーという人は、そんな「抑えた語り口の凄み」というものを、本能的に身に付けている稀なミュージシャンなのかもしれない。
そんな独特な音色と語り口でもって、チェットという人は己(おのれ)を語るわけだが、その音(サウンド全体)から醸し出される情感の漂い方が、これまた尋常ではない。あの「寂しさ」や「けだるさ」・・・あんな風に直截に鋭く深く「ある情感」を感じさせる「音」というものもめったにないだろう。
そしてその「音」は、フィーリングの合う聴き手には、どうしようもないほど素晴らしい。

僕はチェットのスローバラードをどれも好きなのだが、特にこれは・・・と思うものをいくつか挙げてみたい。後期のものはあまり聴いてないので、どうしても初期の作品からのセレクトになってしまう。Dscn2507_2
《チェットの最初のリーダーアルバムとなった10インチ盤/Pacific PJLP-3。チェットのトランペットの斜め下向き、なぜか切り取ってしまった背中の真っ直ぐライン、それらが水色と黒の中に見事にデザインされていて・・・実に素晴らしい。この写真では判別しづらいがセンターラベルは<艶あり>で、裏ジャケ下の住所はSANTA MONICAとなっている。この10インチ盤では imagination というスローバラードが秀逸だ》

キング発売の「チェット・ベイカー・カルテット」第1集・第2集(キング18P~の1800円定価のもの)を、発売当時に入手し損ねた僕は、その後もあの水色のジャケットが欲しくて仕方なかったDscn2519_2
たまに中古盤屋で見つけても、そのキング盤は5000円以上の値段で我慢せざるを得なかった(笑)
だいぶ後になってから東芝が発売した「コレクターズLPシリーズ from オリジナル10インチ」なるシリーズで、ようやくその音を聴くことができた。このシリーズは元々の10インチ盤のジャケットをそのまま12インチに引き伸ばしたものだが、それでも、オリジナル10インチ盤の素晴らしいデザインと「同じもの」が見られるだけで、僕は充分にうれしかった。
そうしてようやく、その「本物の水色ジャケット」の10インチ盤を手に入れることができた。東芝12インチ盤と並べてみると・・・やっぱりこのジャケットは10インチの方が収まりがいいようだ(笑)

その「カルテット第2集:featuring ラス・フリーマン」にmoon loveという曲が収められている。ラベルのクレジットには kern-grossmith-wodehouse とクレジットされており、東芝盤解説では『ジェローム・カーンが作曲したもので~』という岩波洋三氏の解説もあるが、これ、元々はクラシックの曲で、それはどうやらチャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章からの引用らしい。
というのも・・・先日、サックス吹きの友人sige君とグロッタ(ジャズ喫茶)にてジャズ話しなどしていると、ちょうどこのチェットのmoon loveが掛かったのだが・・・「このチェット、いいだろう」と僕が言うと「あれ?・・・何でチャイコフスキーが・・・」とsige君。そういえば彼はクラシックにも詳しいのだ。
そうか・・・この曲の元メロディは、チャイコフスキーだったのか。それにしても、本当にいいメロディじゃないか・・・。
このメロディがチェットのあの音色でもって流れてくると・・・なんとも内省的な思いに沈み込んでいくような風情がある。それは・・・寂しさだけでなく、仄(ほの)かに希望を感じさせるような・・・そう、哀しいのだけど微(かす)かに微笑んでしまう・・・そんな雰囲気だ。それを「ペイソス」と呼んでもいいのかもしれない。う~ん・・・やっぱり、チェットはいいなあ・・・(笑)

moon loveという曲は、うんと初期のpacific録音。
《ついに手にいれたオリジナル10インチ盤 Pacific PJLP-6》Dscn2505_2

この10インチ盤にもジャケット違いが存在する。カラーとモノクロだ。Dscn2517 そして・・・そのカラー盤にも2種類あるかも。
この10インチ盤写真の「黄土色っぽいもの」と「セピア色っぽいもの」の2種があるようだ。
(東芝12インチ再発盤は、そのセピア色盤が出自かも)
僕もオリジナル10インチ盤の現物2種を並べて確認したことはなく、ネット上での写真による比較なので、絶対とは言えない。  

《PJLP-6の裏ジャケット》

Dscn2506_2 この10インチ盤の収録8曲は、もちろん全てインストなのに、なぜかsings~の時の写真が使われている。それともこのセッションの合間に歌の練習でもしていたのだろうか(笑)


そういえばリチャード・ツアージックというピアノ弾きが気になっている。だいぶ前にこのブログでチラッと触れたPianists Galore!(world pacifc) に入っていた1曲(Bess,you is my woman)~あの普通ではない暗さがどうにも気になったのである。
そしてその頃、ちょっと珍しい日本盤2枚組みを入手した。
《チェット・ベイカー・イン・パリ》         

Dscn2513_4 この2枚組は日本ポリドール発売。ラベルが白いテスト盤のようだが、この2枚組の何曲かがチェットとツワージックの共演セッション。僕はこのLPで 初めて sad walk という曲を聴いたのだが、これがまたそのタイトルそのままに、なんとも寂しい・・・どうにも寂しい雰囲気なのだ。たぶん・・・ツアージックがチェットのために書いた曲なんだろう。というより・・・いつも耳にしているチェットのトランペットのサウンドがツアージックの耳に、身体に沁み込んでしまって、そうして,じわじわとこの寂しいメロディが湧きだしてきた・・・そんな気になってしまうほど、この曲はチェットに合っている。
この2枚組LPを聴いて、しばらくの後、香港でCD(仏polydor)を見つけた。そのCDには、チェット~ツアージックのセッション全9曲が収録されていた。ホントは・・・CDなんかじゃなく、仏Barcleyのオリジナル盤が欲しい・・・(笑)

チェットのPacifc10インチ盤は、PJLP-3、PJLP-6の他にもいくつか出てます。その辺りはまたの機会に。

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2009年12月19日 (土)

<ジャズ回想 第21回>コルトレーンのことも少し・・・take the Coltrane!

さて・・・コルトレーンである。「さて」というのは・・・前回の<サウンド・オブ・ミュージック>記事の最後のところに、つい、コルトレーンの名を出してしまったからで、あれは、my fevorite things 繋(つな)がりからのコルトレーン記事を確信的に意図していたわけではないのだが、その方向を全く意識していなかったのかというと、やはりそうでもなく(笑)・・・まあ、そんなわけで「コルトレーン」のことを書いておこうと思うのだ。
このブログ<夢見るレコード>を始めたのが2005年6月だったから、もう4年半ほどになるが、そういえば、コルトレーンのことをあまり取り上げていない。だいぶ前に、prestigeの『コルトレーン』、riversideの『モンクス・ミュージック』、それからロリンズとの対比でちょっと触れたことくらいだと思う。
http://bassclef.air-nifty.com/monk/2005/06/post_8ec3.html
http://bassclef.air-nifty.com/monk/2005/06/post_51a7.html

コルトレーンという人の音を最初に耳にしたのは・・・マイルスの<ラウンド・アバウト・ミッドナイト>だったはずだ。FMラジオのジャズ番組でその演奏を聴いて(録音もして)何度も聴いた。中3の時だったと思う。だけど、それはマイルス・デイヴィス、あるいはセロニアス・モンクという人を意識しての<ラウンド・アバウト・ミッドナイト>聴きだったので、正確に言えば「コルトレーンの音を耳にしていた」というだけで、その時点では、僕はまだコルトレーンという人を強くは意識していなかった。
その名演からジャズという音楽に惹かれ始めた僕は、そのうちジャズ雑誌やジャズ本を読むようになった。今、思えばあの頃のジャズ活字の世界は「コルトレーンは素晴らしい!」というものばかりだったわけだが(例えば、コルトレーンに比べれば凡庸なハンク・モブレイとか・・・)ジャズに入れ込み始めた高校生としては、そんな「コルトレーン賛美」に影響されないわけにはいかなかった(笑)1
当時、圧倒的に影響されたのは、立花実という人の「ジャズへの愛着」(ジャズ批評社)という本である。この本・・・街の図書館にあって高1の時(1972年)に読んだのだが、それはもう感動的なまでに著者の心情溢れるもので、<コルトレーンのバンドには真の音楽的交流があって、それこそが「共同体」と呼べるものだ>・・・みたいな内容だったと思う。まあ正直に言えばその辺のことはよく判らなかったが、ジャズに入れ込み始めた高校生には「共同体」というフレーズは・・・よく効いた(笑)
その立花実氏の本には、モンクス・ミュージックのことも書いてあって、「モンクの不思議な和音と格闘するコルトレーン」というような記述だったはずだ。そうして、立花氏はその音楽的格闘を激賞していた。2
その本を読んでから・・・素直な僕は「これは、コルトレーンを聴かねばならない!」と決意し(笑)コルトレーンという名前を意識するようになった。そんな頃、ネムジャズインを見に行った翌日(徹夜明け:笑)、名古屋で見つけたのが『モンクス・ミュージック』(ABC riverside盤)である。立花氏が描写した「モンクの和音に、一瞬、飲み込まれそうになったコルトレーン・・・しかしそこから決然とモンクに戦いを挑むコルトレーン」という、正にその場面を実感できるwell,you needn'tを何度も聴きまくった(笑)そうして、コルトレーンを好きになった。次に買ったのが、マイルスの傑作~Kind Of Blue(CBSソニー盤)である。

この高1の夏にこの2枚を聴き込んだことで、たぶん・・・僕はコルトレーンのテナーの「音色」を覚えたはずだ。「覚えた」というのは・・・他の知らないレコードを聴いても「ああ、このテナー(の音色)はコルトレーンだ)!」と「判る」という意味合いで、まあコルトレーンという人の音色はとても特徴的なので、そういう意味ではとても「判りやすい」ミュージシャンなのかもしれない。
「判る」といってもそのレコードを特に分析的に聴いたということではなく・・・好きなレコード(音楽)を集中して聴き込む時、その音楽というものは、たぶん、耳で聴いて感知しているだけではない。その音楽の振動が体のあちこちの細胞に沁み込んでしまうものだ。比喩的ではなく、体が覚えているというか・・・(笑)
ちなみに、コルトレーンの音色というのは~音というものはいつでも言葉では表現しにくいものだが~肌合いで言えば、その音色はとても硬質な感じで、そうだな・・・コールマン・ホーキンスやソニー・ロリンズの音色を<木の質感>とすれば、コルトレーンのそれは遥かに金属的で、しかしそれほど冷たい質感ではなく<質のいいきめ細かい肌触りのメタリック>という感じか。
私見では、同時代のどのテナー奏者にも似ていない、ちょっと「新しい音」だと思う。余談だが、1960年頃のジミー・ヒースが、ちょっとコルトレーンに似た音色をしているように思う。同時期のベニー・ゴルソンは、音色は似てないがフレーズがちょっと似ているような気がする。
そして、ちょうどその秋にビクターが1100円盤シリーズを発売することになったのだ。街のレコード屋に出入りしていた僕は、そのチラシを入手して発売前からどれを買おううかと・・・あれやこれや思案していた。そうしてようやく決めたのが、『コルトレーン』『モンクとロリンズ』の2枚である。

005《1972年秋にビクターから発売された1100円盤シリーズ~まさかこのシリーズのコレクターはいないと思うが(笑)ちょっとした特徴としては・・・解説書は一切なし。外見的には、ジャケ裏右下の<1100円という定価とPJ~12>というシリーズ番号が入っていること。そして、センターラベル外周部分に何のアドレス(住所)表記もないことくらいか。余談だが、当時、このシリーズを入手した方が、この<1100円~>箇所をナイフで削った・・・という涙ぐましいエピソードを読んだことがある(笑) その頃、僕は「オリジナル盤」というものの価値を知らなかったので、そのエピソードを不思議に感じたものだ》

今、思えば、立花実氏の絶賛した精神共同体のコルトレーンとは・・・もちろんimpulse期(それも後期)だったのだが、当時はそんなレーベル変遷の知識もなく、単純に「コルトレーンはコルトレーン」だと思っていた。そして、この1100円盤シリーズはprestige原盤~1950年代のバリバリのハードバップ~だったのだ。
『コルトレーン』は、初めて聴く<1957年のコルトレーンのリーダー作>だったわけだが・・・先にKind Of Blueの新しいサウンドを聴いていた僕としては、いきなりバリトンサックス(サヒブ・シハブ)の急速調のリフの繰り返しから始まる何やら忙(せわ)しない感じのA面1曲目(bakai)に、「あれ?ちょっと・・・暑苦しいなという印象を受けた。kind of blueのあの静謐(せいひつ)なサウンドと比べればそれも無理からぬことだったと思う。しかし、それも何回も聴いている内にすぐ慣れた。そうして、2曲目が・・・「コートにすみれを」なのである。
これが・・・本当にすう~っと清冽な気持ちになってしまう素晴らしい演奏だった。この曲のことは、だいぶ前の夢レコ(マット・デニス作の曲)の中で少し書いたことがある。とにかくいいメロディといいハーモニーの素晴らしい曲なので、実際、あの1957年時点で、この曲を、バラードとして自分のリーダー作にセレクトした・・・というそのことにこそ、コルトレーンの素晴らしいセンスがあったのだ・・・と僕には思えてくる。
そういえば、マイルスの述懐として「なぜあんな下手な新人を使うんだ?」とか仲間から言われた~とかいう記事を何かで読んだことがある。「マイルスバンドの新人」という位置づけなので、たぶん1956年以前のことかと思われるが、それはコルトレーン賛辞ばかりの中で、当時は唯一の、マイナスイメージの話しだったように思う。

004もちろんジャズを聴き始めの高校生には、そんな技術的なことは判らない。
「そうかあ・・・あれでも(あんなに巧くても)下手というのかな?」いうくらいの感想だった。たぶん、その「下手~」というのは、コルトレーンのうんと初期の頃のことだったのだと思う。そういう意識でもって初期のコルトレーンをいろいろ聴いてみると・・・もちろん下手なはずはないのだが、ただ、わりと頻繁に「キィ~ッ」というリードミスの音が出たり、それからソロの途中でフレージング(アドリブのメロディ造り)が、ちょっとモタモタした感じになったり・・・という部分もあり、その辺が、ホウキンスやベン・ウエブスター流れのソフトでスムースな流れのアドリブから比べれば「ゴツゴツとして不器用」な感じは確かにある。しかし、その硬質な音色やフレーズの根本的な新しさ・・・これはもう圧倒的にそれまでと違うテナーである。マイルスにしてみたら、「みんな判っちゃいないぜ・・・あいつの凄さが・・・」てなもんだったんだろう。そんな風なマイルスの述懐もあったかと思う。
しかしそのマイルスも、prestige作品のいくつかのバラードではコルトレーンを登場させていない。この辺・・・マイルスはそのバラード全体の構成と、この時期(1955年~1956年)のコルトレーンの実力までもちゃんと考え併せて・・・スローバラードでは、曲のバランスを崩してしまいそうなコルトレーンを、あえて外したのだろう。
(実際~it never entered my mindでは、コルトレーンのテナーは、演奏の最後の最後にプア~ッと鳴るだけだ:笑)
僕の勝手な推測では・・・この時、コルトレーンは「なぜだ!なぜオレを使わないのだ!」と怒りに打ち震えた(笑)コルトレーンは早い時期からもう絶対にバラード好きのはずなのだ。「バラードも吹きたい・・・」とコルトレーンは悶えていたはずなのだ(笑)
そうしてコルトレーンは、その直後の自分のprestige期リーダーアルバムで、敢然とスローなバラードに挑戦しているのだ。1957年の最初のリーダー作『Coltrane』には2曲のバラードが収録されている。今ではとても有名になった<コートにすみれを>と、もうひとつ、とても地味な<while my lady sleeps>である。(私見では、実はこちらの<while~>もなかなか素晴らしい。バックに同じパターンを弾かせながらテナーだけがメロディを変化させていく~その感じがちょっとモード的でもあり、コルトレーン的な「唄い」にフィットした、何やら新しい感じがある演奏だと思う。
さて、<コート~>を聴くと、コルトレーンはたぶんシナトラを聴き込んでいたのだろうな・・・と思えてくる。シナトラはすでに1940年代にこのマット・デニス作の名曲を吹き込んでいる。ジャズのインスト版としては、1956年7月録音:ユタ・ヒップ(p)とズート・シムス(ts)のbluenote作品(Yuta Hipp with Zoot Sims)が最初だろうか。当時、録音から発売までは案外に早かったらしいので、ひょっとしたらコルトレーンは、発売仕立てのその『Yuta Hipp with Zoot』を聴いて、この曲を気に入ってしまったのかもしれない。そうして1957年3月録音の『コルトレーン』に、この<コートにすみれを>を吹き込んだ・・・。シナトラかシムスか、
あるいはその両方か・・・。いずれにしても、この曲はコルトレーンに合う。それまでのスローバラードというのは、テンポはスローでも、たいていベースは4拍を刻んで、ゆったりと弾むような(バウンス)全体に「ゆったりと」という雰囲気だったように思う。コルトレーンは(もちろん、そのやり方をマイルスの方が先にやっていたわけだが)テーマ部分ではベースには2拍を打たせ、つまり、リズムにうんと間を持たせて・・・その分、テナーがメロディをあまりフェイク(変えること)せずに、ゆったりと音を伸ばしたのだ。時には、伸ばした音の後に、弱めの音量でパラパラっと短めに入れるグリッサンド風なフレーズ・・・これも実に粋なのだ。音のことはなかなか表現しづらいが、ひと言で言えば「瑞々しい」という感じか。とにかく・・・コルトレーンのバラードはいい。何がいいのか・・・というのは、もう感覚の問題ではあるが、強いて言えば・・・それは、その音色の新しさが生んだ<ちょっとビターな情緒感>みたいな感じだと思う。柔らかい音色でラプソディックに吹かれるバラードも(例えばコールマン・ホーキンス)もちろんいいものだが、コルトレーン流のバラードから匂い立ってくる<凛(りん)とした佇(たたず)まい>・・・これにも強烈に「新しいジャズ」を感じる。
そうなのだ・・・コルトレーンは、ついに自分の硬質な音色に合う新しいバラード奏法を見つけたのだ。コルトレーンの<コートにすみれを>は、本当に素晴らしい!
この傑作バラード演奏で、僕が特に好きな場面がある。それは・・・ガーランドのピアノソロが終って、コルトレーンが入ってくる瞬間だ。
それはサビの(曲の途中でメロディの展開がちょっと変わる箇所のこと)出だし・・・1拍だけ待って・・・それはググッと堪えていた情緒をここで一気に吐き出すかのような、一点の迷いもなくキリッとした決意を持って吹き込まれる、低い方から高い方へ一気に上がる切れのある16分音符の(4つ目の音はタイで繋げて伸ばす)フレーズだ。
こんな瞬間があるから・・・僕はジャズを止められない(笑)

ああ・・・すっかり『コートにすみれを』の話しになってしまった。まあいいじゃないか・・・ジャズにアドリブは付きものだ(笑)コルトレーンのmy fevorite thingsについてはまた別の機会に。

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2009年2月15日 (日)

<ジャズ回想 第19回>溢れ出るレコード達をどうしようか・・・。

僕のレコード収納~苦闘の記録

前回・前々回とPacificやStoryvilleの10インチ盤話題が続いたからというわけでもないのですが、今回はレコード盤の話しではありません(笑) かなり以前の《夢レコ~<ジャズ雑感 第3回> セロニアス・モンク/モンク・オーケストラ・アット・タウンホール で、「レコードの並べ方」について少し書いたのだが、今回はその続編です。と言っても、並べ方以前の・・・みなさん、困ってるはずの、収納スペース(タナ)のこと~bassclefの場合はこんな感じ・・・という記録です。

022《2006年8月頃》~これが、恐怖の床立て置き3段積み。レコード専用に使っている本棚から溢れ出たレコード達が、床に積まれている。同じ状態がスピーカー側にも・・・これはもう限界である(笑)最下段のレコードはまず取り出せない。この時、最下段の奥にあったのは・・・アンドレ・プレヴィンのcolumbia:ポピュラー路線だったか。この状況を見て、友人のkonkenさんも決意したらしい:笑》

《2006年9月。下右写真~「作業前」のピアノ上部の様子。CDと音楽雑誌のタナが真ん中に踏ん張っている。下左写真~本棚とウッドベースの置き場》017_2 018_2

この「つり下げタナ」は、実は突然に始まった。ちょくちょく遊びにくるkonkenさんが、僕の部屋の床に溢れ出したレコードの絶望的な状況~床に立て置きしたレコード群が前に前に伸びてきて、しかもそれらを台にして上にも列が出来ている~を見るに見かねて・・・というより、そんな様子に我慢ならず(笑)「タナを作るなら・・・この壁面しかないね」ということで、ピアノの置いてある壁面の横幅とか、ピアノからの天井までの高さとかをサッサと図り始めてしまったのだ。「箱(吊り下げタナ)ができたらまた来る」と言って彼は帰っていった。
そんな具合に否応なしに始まってしまった「bassclefのレコード棚つくり」・・・こうなりゃもうやるしかない!
吊り下げタナを設置するためには、当然のことながら、今そこにあるモノを撤去しなくてはならない。まず「高さ」がジャマになる、CDや音楽関連の本・雑誌が詰まった本棚。僕の大切なウッドベースも別の収容場所を見つけないといけない。シングル盤を詰め込んだ収納ケースもあるが、これは高さからみてそのままでも大丈夫だ。それからピアノの上になんとなくつくなってきたモノも片付けないと。
問題は本棚だ。そのまま移すスペースは絶対にない。それを移すためには・・・入り口ドア横に置いてあった古い本棚(これはスチール製の本当に古いやつだ:笑)を撤去するしかないだろう。つまり、そのスチール棚にぎっしりと詰まっていた本・雑誌の類をどうにかしないといけないのだ。この前作業が一番大変なのだ。けっきょくのところ、そんな準備作業が相当に大変そうなことが予想できたので、僕はなかなか「タナ作り」に踏み切れなかったのだろう。
それでも今回ばかりは、やるしかない。konkenさんは「箱」が出来しだい、設置に来てしまうのだ。とにかく収納できなくなる本をダンボールに詰め込み、雑誌などは思い切って処分するしかないだろう。空になったスチール棚はあちこち錆びているのでもう捨ててしまおう。
《2006年9月》天井からの吊り下げタナ作り。製作by konkenさん
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konkenさんが「箱」を持ってきたのは次の日曜だった。まだCDと音楽雑誌の「本棚」がそのままだ。中身が入ったまま移動できないかな・・・と考えていたのだが、それは甘かった(笑)重くてとても2人でも持ち上げられない。もし持ち上がっても・・・その重さから言っても、たぶん棚が壊れてしまうだろう。仕方ないのでkonkenさんにも手伝ってもらって、CDや雑誌を居間や階段に積んだりしてなんとか空にした。さあ・・・作業開始だ! 027_3
《作業中のkonkenさんが、いつもよ凛々(りり)しく見える(笑)》

さあ・・・2つの「箱」はうまく入った。1つの箱が「上 下2段で横3つ」なので、合計では12boxになるのだ。このboxにレコードが全部入るのだから、相当な重量になるのは間違いない。僕は「吊り下げ」(この9月時点では、左側の床からのタナとピアノとの間のEP用ケースはまだなかった)というのが、その重量に耐え切れるのかどうか心配ではあった。その点は・・・レコードが全部詰まった後、(下のタナを追加する前の)一ヶ月経過しても何ともなかったので、もちろん大丈夫です:笑)

溢れていたレコード達をそのまま詰めるのでは芸がない。以前からのレコード棚に詰めていたやつらとの再編が必要なのだ。例えば・・・「ウエストコースト全般」の流れ~テナーやトランペット、それから中編成・ビッグバンドもの~ここらのものを既存タナ分と床立て置き分と、うまいことブレンドして収納しなくてはならない。
もう何年も前に一生懸命考えて並べた「フィエヴァリット・ミュージシャン」の並びは、あまりいじらないこととした。ここは・・・好きだからたいていのモノは揃えてあり、だから「フェイヴァリット」として特別に分けたわけだし、その後の入手分というのもそれほどないわけだから、ほとんど固定になっているのだ。もちろんこの「フェイヴァリット」こそ、国内盤からオリジナル盤に差し替えてはいきたいのだが、いかんせんこの辺りのハードバップものは高すぎる・・・(笑)031
さて・・・「溢れ出ていた床立て置き」分は、ここ2~3年の入手分であり、それらはどちらかというと、ウエストコースト系、ピアノトリオ、ヴォーカルものが多い。レコードというものは「持ってなかったもの」を買うわけだから(基本的には:笑)これらのカテゴリーのものは既存タナには、わりと少なかったわけなので、その既存分と新着分を再構成しながら・・・大雑把に、ヴォーカルものを右隅から、そしてギターやオルガンものを左隅から攻めることにした。あまり聴かない日本ジャズも左隅だ。そうすれば、ピアノトリオものとウエストコースト全般(中編成やビッグバンドものも含む)を中央辺りになるはずだ。細かいところは作業しながらまた考えよう。
てなわけで、それからしばらくは、新しく出来た器(スペース)に、少しづつレコード達を収めていくという楽しい作業が続いた。そうして・・・床にはみ出ていたレコード達も全て、新しく出来たスペースに収めることができた!
ああ・・・スッキリした!
しかし・・・これだけのスペースがあれば大丈夫・・・と思っていたのだが、はみ出ていた分を収めてしまうと・・・残りスペースはわずか1.5boxほどしかない(笑)これはもう、いっぱいになるのは時間の問題だな・・・と覚悟するbassclefである(笑)029030_2

さてこの12boxが出来てしまうと・・・左側に空いたタナ下のスペースが気になる。このスペースにはウッドベースも置けないわけだし、見た目も間延びしている。ピアノ上部の隙間ももったいない。てなわけで、どうせなら・・・ということで左側に床からのタナを造ってしまうことにした。見た目もいいし、吊り下げタナの支えにもなる。何よりも収納スペースが増えるじゃないか!出し入れを考えるとスピーカーとの距離がないので、奥行きを少し短くしてもらった。ピアノ上にケースが詰まるのは、たぶんピアノにとっては(音響上)良くないだろうが、それほどピアノを鳴らすわけじゃあない(笑)

<2006年10月>そんな訳で、第2弾の取り付け作業も完了した。
う~ん・・・こりゃいい!これでようやく「床立て置き」レコード達が救われる。ここからの作業は・・・大変だがやはり楽しい。どのbox辺りに「何」を詰めるか・・・いろいろと考えるのだが、レコード好き人間にはそれが楽しい(笑)
konkenさん、改めて・・・Thanksです!Dscn1718_4 Dscn1716_2

<2008年暮れの1日>
やるなら今日しかない・・・タナに入りきらずに床に置いてあるレコードをなんとかせねば・・・と思いながらズルズルと時が過ぎてしまった。2年ほど前だったか、konkenさんにレコード/CDタナを造ってもらって、一度はキレイに収まったはずの我がレコード達。その後の入手分が徐々にタナから溢れ出て、再び床に立て置き掛け置き状態になっていったのだ。
暮れの31日・・・僕は、朝から決死の作業に入った。溢れたLPを収納するためには。なんとかしてタナ1段分を空けることが必要だ。どの1段でもいいが、詰める(省く)のは、とにかくCDのタナしかない。CD2段分でLPの1段分だ。CDは1段に奥の列と前列に詰めてあるので、都合横4列分のCD群を他の場所に詰め込まなければならない。どうせなら、一番、手にとりやすいタナにしよう。僕は目の高さのCDタナを睨(にら)みつけた。よし、ここを空けよう!ここのCD君たちに無理を頼むしかない。
僕のアタマの中では、CDの序列はうんと低い(笑)まずCDをあまり聴かない。少なくともLPよりは聴かない。だから極端に言えば、CDはタナに並べなくてもいいのだが、そうは言っても「聴きたいから買った」わけで・・・だからなるべく見えるところに並べておきたい。CDでもLPでも同じだと思うが、ひとたびダンボールに仕舞ったら、もうそれで終わりである(笑)実際、ダンボール収納済みのレコードが、家のあちこちに置いてある。それらは、ロックものとかダブリもののダンボールなのだが・・・これから先、まず・・・聴かないであろう。
さて、CDの中にも何となく序列があって、僕の場合、ハードバップもののCDがちょっと微妙なのだ。ヴォーカルや西海岸ものだと、CDでもそれほどの違和感はないのだが、バップやハードバップものは、なぜかCDだともうひとつダメなのである。bluenoteものなど、どうしても音を聴きたいものをいくつか持ってはいるが、あまり聴かない。ハンク・モブレイとCDは・・・実に似合わない(笑)
それと「箱もの」・・・これも高いのを無理して手に入れたわりには、あまり聴かない。もっとも「箱もの」を聴かないのは、LP箱物でも同様だが(笑)

そんなところを考えながら・・・それでも作業は始めなくては進まない。僕は、まずCDタナ最下段に詰めてあった「箱物CD」を、まだ一区画分、空いている「シングル用スペース」の一番右へ押し込むことにした。これは点数が少ないので割と早く完了した。
あとは・・・これまでのスペースにとにかくたくさん詰めることである。CDは普通、背表紙が縦になるように置く。当たり前である。しかし・・・縦に置くと、タナの上段との間に4~5cmの隙間が発生する。もちろんその隙間は、取り出す時に必要なのだが、この際、それは無視する(笑)その限られたスペースを有効に使うためには・・・CD横置き・横積みしかないのだ! もちろんこれだとCDが取り出しにくくなるが、それも無視する(笑)そういえば・・・だいぶ以前の<夢レコ>で香港でのレコード探しを書いた。その時、驚いたのが、香港のCDショップ「横置き・横積み」である。あれ・・・結局のところ「スペース有効活用」のために必然的に編み出された収納方式だったのだろう(笑)
そうは言っても「横置き」は奥の列だけにしたい。まずはそんなあまり聴かない(であろう)タイトルの方から奥の列に横積みしていく。「奥」に行くのはほとんどコンピレーションものとか、非正規CDたちである。CDが定価3000円ほどした頃、よくスーパーなどで1000円CDが売られていた。それらは音源はオリジナルだがジャケットがうんと安っぽくて(たぶん)音も悪いのだ。でも安さに釣られて、blue note音源ものをけっこう買ったのだ(笑)この辺は全て奥の列だ。ピアノトリオ、ヴォーカル、西海岸ウエストコースト、東海岸ハードバップなどのカテゴリーもある程度はまとめたい。そうと決めたら、オレは案外やること早い(笑)
もともとCDへの愛情が薄いこともあってか・・・当初の目的であるCD2段分を空けて、その分をほぼ現状のCDスペースに詰めることができた。だがしかし、あと少しが収まりきらない。こうなりゃ仕方ない・・・「横積み」は奥の列だけに留(とど)めたかったが、それではスペースが足りない。ちょっとだけあるクラシックとヴォーカルの区画は前列も横積みにすることで、ともかく1枚のCDもダンボール行きにすることなく、なんとか収めることができた。
そんな訳で、大晦日の午前中があっという間に過ぎてしまう。午後は用事があるので、今日の「レコード棚:再編」はここまでだ。空けた「LP棚1段分」をどう使うか・・・楽しみは明日にとっておこう(笑)002

さてと・・・元旦、1月1日だ。わりと早起きしてしまう。苦労して「空けた1段」をどう使うか・・・そんなイメージがアタマの中に巡っていて、のんびりと寝ていられなくなったのだ(笑)
実はもう大枠のプランはできていた。その特等席は・・・「Clef,Norgranの専用タナ」にするつもりなのだ。僕はこれまでのレコード整理では「レーベル別」を作ることはしなかった。特定のミュージシャン興味から入手するレコードが決まってくることがほとんどなので、自ずと「ミュージシャン並べ」になってきたのだ。ところがこの2~3年、ClefやNorgranに対しての思い入れが募ってきたようで、これらのレーベルのものなら、なんでもかんでも欲しい・・・という気持ちになってきたのだ。そうなると・・・それらを特別扱いにしたくなるのも仕方ないじゃないか(笑)現実的にも、この先、少しづつでも増えていく可能性が高いわけで、その辺も加味して、この専用棚には、ある程度の余裕も持たせて調整したいところだ。
そんな訳で、元旦の本日も午前中からがんばって作業を始める。床の立て置き分を、ピアノトリオとかヴォーカル、それからClefものなどに大分けしておく。「ピアノトリオ」「ヴォーカル」は、現状、すでにギュウギュウ詰めになっているので、そこらにあとどのくらい収めなくてはいけないのかを見定める必要があるのだ。ついでに、まだ少ししかない10インチ盤もうまいことまとめたい。
そんな粗分けをした後、まず、Clef, Norgranの並びを専用区画に移す。そこにそうして空いた棚に、ピアノトリオやヴォーカル、それからクラリネットを移しながら、さきほど見定めた「ピアノトリオ/ヴォーカル」を、既存コーナーに組み込んでいく。
この時、自分の中での「序列」の再編が始まる。よく聴く(聴きたいと思う)ミュージシャンに「いい場所」を与えたいのだ(笑)その辺を見極めるために、例えばヴォーカルものの並びをパラパラと見ていると「ああ、こんなのもあったのか」ということもある。好きなミュージシャンやヴォーカリストは大方、決まってはいるが、そんな好みも少しづつ変わったりするので、うんと以前にたまたま入手していたレコードでも「はっ!」とする場面がけっこうある。そういうのがあると、そこでまたそのレコードを聴いたりして・・・作業はたいてい捗らない(笑)まあ・・・こんな風な取捨選択が・・・苦しくも楽しいのだ。

正月の朝からセルジオ・メンデス66など聴きながら、そんな作業を黙々と進めるオヤジ1名(笑)ちなみにこういう作業のバックに、コルトレーンは似合わないだろう(笑)
元旦ということで、ちょっと痛んできた気配のあった針も交換することにする。シュアのM7Dという古いMMカートリッジだが、交換針の方もいくつか確保している。ピンセットで出っ張り部分をつまんで抜いたり差したりするのだが、もう何回もやっているのですぐに完了。替えた針で聴くピーターソンの Now We Get Requestsは、やっぱりいい音だ(笑)
そんなことをお昼過ぎまで続けると、我がレコード棚もほぼ狙った線になってきた。レコード整理において経験的に判っていることがある。さらなる微調整のために、各区画に少しづつ余裕を持たせておくのがコツなのだ。しかしその「余裕」を持たせたことで、タナにはあと30枚ほどのスペースしか残ってない。しかるに「床・立て置き」は100枚ほど残っている。15まあでも、この「床・立て置き」は・・・最新入手ものをしばらく置いておくのには最適な場所でもあるので、だから・・・このスペースを常に最小限に維持できれば(前方にせり出してこないように)ベストなわけである。
現状、2列(各50枚ほど)が残っている。まあでも、昨日からの作業で確定したダブリ盤や不要盤もけっこう出てきたので、それらをダンボールに仕舞えば、なんとかなるだろう。CDでもLPでも、ダンボール行きは不憫(ふびん)だが仕方ないな・・・と大げさに眉間に皺(しわ)を寄せるbassclefであった。(笑) 
《写真右上~もともとのタナ。ゲッツの写真は古いカレンダーだ。下写真~ほぼ完了した第2次レコード再編後。横積みCDも一部だけ写っている。左から2列目・上から3段目がNogran、Clefの専用コーナー。10インチ盤も徐々に増えてきている》 001 

さて、収容スペースの問題とは別次元で、やはり悩む問題がある。それは・・・「並べ方」である。僕の並べ方は、基本的に「楽器別」なのだが、その際、リーダー名義に拘らない。入手時点での「興味ミュージシャン別」なのである。(前述~夢レコ記事参照)
その際、いつも悩んでしまうレコード達がある。それらはたいてい「Coリーダー」というか、メインのミュージシャンが2人連名になっているものだ。
具体的にいこう。
ドナルド・バードとジャッキー・マクリーンの2人が共演している諸作品・・・この辺、けっこう困りませんか?
例えばジョージ・ウオリントン名義での「ボヘミア」・・・これ、大雑把に楽器別・リーダー別に拘ると、例えば「ボヘミア」はピアノのタナに入れることになり、そうすると例えば「ライツ・アウト」は管楽器のタナなので、フロントの管楽器奏者は同じ2人なのに、分かれてしまうことになる。僕にはそれが我慢ならない(笑) 拘るようだが、「ボヘミア」と。例えば「ジャッキー・マクリーン・クインテット」、「ライツ・アウト」や「4,5&6」、それに「Two Guitars」。それから、同じウオリントン名義でも、アルトがフィル・ウッズの方のやつ~「ニューヨーク・シーン」や「ペアリング・オフ」。これらはやはり並べておきたい。そんな訳で、僕はやや強引だが、これらを、共通項である<ドナルド・バード>として並べているのだ。
ただ、正直に言うと・・・このところ、持っているはずのレコードが見つからないこともけっこうある(笑)・・・その理由がこういう「気分的あいまい的並べ方」にあるのは明白なので、そろそろリーダー名義で整理する方が探すのには便利かな・・・という気も充分にしているのだが、まだ踏み切れない。だちなみに、僕の場合、これらのハードバップ名盤は、もちろん全て・・・国内盤です(笑)

みなさん・・・レコードの並べ方はどんな様子でしょうか?拘りゆえに工夫しているような並び方があれば・・・ぜひお知らせください。

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2008年7月10日 (木)

<ジャズ雑感 第24回>初期のアーマド・ジャマル

<マイルスがジャマルを聴きまくった・・・という話しは本当だった!>

アーマド・ジャマルを猛烈に好きだという人は・・・あまりいないような気がする(笑)そういう僕も彼のピアノを聴き始めたのは・・・せいぜいこの10年くらいのことである。その頃から「ジャズのオリジナル盤」に惹かれ始めたのだが、廃盤店を見回すようになってみると・・・prestigeやbluenoteなどの名盤のオリジナル盤は、どれもこれも「うんと高い」ということも判ってきた。「高い」のには、それなりの理由があるのだろうが、とりあえず国内盤やOJCで聴けるものを、その何十倍も出してまでは買う気持ちにはなれなかった。
Jamallp_0011枚の名盤に2万出すのなら、4000円の地味盤を5枚聴きたいのだ。ただ最近は、本当にいいレコードだけ(もちろん自分が大好きなレコード)を、コンディションのいいオリジナル盤で集めていく~というスタンスもまた魅力的なのでは・・・という気分も現れてきた。あと10年もすれば、そんな集め方になるかもしれないが・・・今はまだ無理なようだ(笑)

そんなわけで、10年ほど前から、ちょっと安めのオリジナル盤で、まだ聴いたことのない(持ってない)ものを中心に狙い始めたのだ。そんな目線で廃盤店のタナを探ってみると・・・自ずとArgoやcadetのこの辺りのレコードが目に付くようになる。ラムゼイ・ルイスやアーマド・ジャマルというピアニストには、当時、相当な人気があったらしく、ArgoやCadetからはかなりの数のタイトルが発売されている。もちろんそれら全部を持っているわけではないが、ひとつ聴いてみると「案外、いいぞ~」と思うので、知らぬ間に、けっこう集まってしまうのである(笑)
今回は、ジャマルに絞って、ちょっと気になる初期のもの中心にをいくつか紹介してみたい。Jamallp_004

ジャマルと言えば、真っ先に思い付くのは、やはり「But Not For Me」ということになるのだろう(笑)僕も含めてジャマルというとこのLPしか聴いてこなかった方も多いと思う。
ジャマルのピアノは、かなり独特なスタイルである。どんな曲でも、たいてい高音域をコロコロと弾く。この「コロコロ」は、軽いタッチだが、スナップを効かせたようなタッチであって、力任せに押し込んだような感じではないので、決してやかましくはない。私見では、この「コロコロ」は、アート・テイタム風、ジョージ・シアリング風でもあり、もう少し言えば・・・後年のガーランドが時に見せる「コロコロ」にも近いものがあるように思う。
そんな「コロコロ・フレーズ」は、アドリブを弾きこむ~というより、その曲の構造上の美点みたいなもの感じを、力まずに軽々と表出している・・・という感じでもある。ベースとドラムス(あるいはギター)に、その曲の「骨格」を造ってもらっておいて、その上に「乗っかる」ように、遊び心溢れる高音域フレーズを繰り出してくる~という感じかな。
そうして流れ出るサウンドは・・・あくまで軽い(笑)しかし、この「軽さ」は・・・クセになる(笑)ジャマルの演奏にはいつも「洒落た工夫」があり、それが音楽の自然な流れにもなっているようで、聴いていてとにかく気持ちがいいのだ。だからジャマルにはライブ盤が多いし、あのリーダー作の多さは、やはりジャマルには相当な人気があったということだと思う。もちろん・・・ジャマル自身が、そういう「音楽の快楽」を表現することに徹していたのだろう。素晴らしい才人だと思う。 

Argoが先でCadetが後のはずだが、Jamallp_003Argoにもいろんなラベルがあるようだ。モノラル~黒・灰色、ステレオ~青というのが基本のようだ。ただ「青」にも、「普通の青」(662:Happy Moods)、「群青色っぽい青」(667:At The Pershing vol.2)、「紫っぽい明るい青」(691:All Of You)という具合に微妙な違いがあるようだ。音質については・・・どうもArgoにはそれほどいい印象がないのだが、同じ場所での1958年の録音音源であるBut Not For Me(黒・モノラル盤)とJamal At The Pershing vol.2(群青・ステレオ盤)を比べてみると、どうも「ステレオ録音」の方がいい音のように感じる(僕には)ピアノの音全体に厚みがあるし、艶がある。Jamallp_002蛇足だが、今回、ジャマルのLPをいろいろ聴いてみて、「音質」が一番よかったのは、1962年のAt The Blackhawk~実は国内盤(テイチク)しか持ってない~だった。やっぱりライブ録音でも、「西海岸もの」は一味違うようだ。ひょっとして、この1962年の西海岸録音Argo盤にも、ワリー・ハイダー氏が関わっていたかもしれないぞ(笑)
Argo時代のジャマルでちょっと珍しい2枚組~Portfolio Of Ahamad Jamal(argo 2638)については、そういえば、この<夢レコ>でも、だいぶ以前に取り上げている。こちらの<珍しレコ:Portfolio Of Ahamad Jamal(argo 2638)>もご覧ください。

ジャマルというと・・・「あのマイルスが、ジャマルに影響された」という話しがよくジャズ本に出てくるし、ジャマルはひょっとしたら「そのこと」だけで有名になっているような気もするが(笑)実際のところ「音楽の具体的な様子」として、マイルスがジャマルのどこにどんな風に影響されたか・・・については、あまり書かれていなかったように思う。それ以前に・・・なによりもジャマルのレコード自体が(日本では)あまり聴かれていなかったのだろう。それはもちろん僕自身も同じ状況で、その辺りのことが、ハッキリとは把握できていなかった。そんな状況だったことを推測しながら、このレコードを聴くと・・・ちょっとした誤解が生じてしまうような気もする。
というのは・・・
このBut Not For Meには、
but not for me
surrey with the fringe on top
no greater love
woody'n you
という「マイルス取り上げ曲」が入ってはいる。しかし・・・このジャマル盤は、1958年録音なのである。つまり・・・この4曲については、どれもマイルスの録音の方が先なのある。(but not for me~1954年、no greater love~1955年、surreyとwoody'n you は1956年)ということは・・・ジャマルという人を初めてこのLPから聴いた場合~
「マイルスが影響された云々(うんぬん)」という観点からは、まるで逆の「音」を耳にしていたことになる。もちろん僕もそうだったし、だから「マイルスにはジャマルからの影響が・・・」と言われても、どうもよく判らないのも無理からぬことだったのかもしれない。

さてそろそろ「マイルスがジャマルに影響された」証拠のLPを出さねばなるまい(笑)ジャマルのLPは、ほとんどがargoに在ると思われがちだが、実はそのちょっと前の時期の音源として、2枚のEpic盤があるのだ。

The Ahamad Jamal Trio(LN3212)~Goldmineによると1956年発売
Jamallp_008_2
The Piano Scene of Ahamad Jamal(LN3631)~Goldmineによると1959年発売

このEpic盤・・・2枚とも、どうやらOkehレーベル音源からの再発らしい。(推定)1951年録音のようだが・・・私見ではそこまでは古くなく、もう少し後の例えば1953年くらいの録音に聞こえる。いずれにしても、録音の音質は・・・よろしくない(笑) Epic盤の高音質というイメージとは程遠い。
このEpic盤2枚に収録してある曲から「後年にマイルスが取り上げた曲」を探ってみると・・・なんと、8曲もあるじゃないか!
love for sale
autumun leaves
squeeze me (以上3曲~The Ahmad Jamal Trio)
ahmad's blues
billy boy
will you still be mine
the surrey with the fringe on top
a gal in Calico(以上5曲~The Piano Scene Of~)

~Trio(3212)の方に「枯葉」が入っている。そのイントロのフレーズが、あのマイルス/キャノンボールの「サムシング・エルス」の枯葉と、ほぼ同じなのだ。ジャマルの方は、マイルス・ヴァージョンよりもやや速いテンポのラテン風で、あのフレーズをギターに弾かせている。「ほぼ」と書いたのは・・ジャマル版ではあのフレーズのアタマを半拍だけ休符にしているからだ。そのためかジャマル版の方が、よりラテン風に聞こえる(裏を返せば、マイルスの方がジャズっぽい・・・とも言える)Jamallp_007
ジャマルという人は・・・ある意味「アレンジャー的ピアニスト」でもあると思う。ほとんどの場合、スタンダード曲を素材にしているのだが、どの曲にも凝った工夫が施してあるのだ。1951年当時では、他のバンドではあまり考えられないような「合わせ」が~ベースやギターにメロディの一部を取らせたりしている~多いのだ。パッと聞いて「洒落た」サウンドをしているのだ。グループとしての「サウンド」を意識している点では、ジョージ・シアリングとも似ているかもしれない。この当時のジャマルのリズムセクションは、べースはイスラエル・クロスビー、ギターはレイ・クロフォードらしい。

Piano Scene(3631)の方には、Ahmad's blues, the surrey with the fringe on top, will you still be mine, a gal in Calicoなど、後にマイルスが吹き込んだ曲が入っている。
そしてこのPiano Sceneからも、ちょっとした驚きの曲がひとつ見つかった。
A面ラストのPavanneという曲~これ途中、ギターソロの部分があるのだが、そこがマイナー調のコードになっていて、途中で4小節だけ「半音、上がるのだ!そしてそのサウンド(の様相)は・・・もう明らかに「モード」なのだ。つまり・・・ドリアンというモードを使った「ソー・ファット」(あるいは「インプレッションズ」)と同じなのである。その時のギターのフレーズも、何やら「インプレッションズ」風なのだ(笑)推定~1951年録音のレコードである。時代性を考えれば・・・驚くほど「モダンなサウンド」だと思う。
そしてこれは僕の妄想だが、マイルスから「ジャマルを聴け!」と言われたコルトレーンは、このPavanneを聴き込んでいたので、あのimpressionsを造ることができた(笑)
*以下参考~「ドリアン」という旋法に興味のある方は、何かのキーボードで試してみてください~(Dドリアンの場合)「D=レ」から始めて「レ」で終わる音階を「白鍵のみ」で弾く~つまり<レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ>という弾くだけです。どうですか?これだけで何となく・・・So What? の感じになるでしょ(笑)
《追記:2010年1月5日》このPiano Scene(3631)収録曲の録音年データを(スコット・ヤーロウ氏による)付けておきます。1951年の2曲はOkay音源のようです。これによれば、僕がドリアンモード的と感じたPavanneは、1951年より4年後の1955年ということになる。
Will You Still Be Mine (Oct. 51)
The Surrey With The Fringe On Top (Oct. 51)
Billy Boy (May 52)
A Gal In Calico (May 52)
Aki And Ukthay (May 52)
Ahmad’s Blues (May 52)
Old Devil Moon (Oct. 55)
Poinciana (Oct. 55)
Pavanne (Oct. 55)
Crazy He Calls Me (Oct. 55)
Slaughter On 10th Avenue (Oct. 55)
It’s Easy To Remember (Oct. 55)

Jamallp マイルスとの繋がりについては・・・2枚のEpic盤の裏解説が興味深い。つまり、発売年度が早かった1956年の3212(Trio)には「マイルス」という言葉は全く登場してこないが、1959年の3631(Scene)のナット・ヘントフ氏による裏解説では、冒頭から「マイルス絡み」の話しばかりなのである。ジャマルのことを「基本的にはカクテル・ピアニスト」と評したことへ、マイルスが憤然と反論してきた~というような件が書いてあるようだ。マイルスが「ジャマルの造り出すスペースの生む効果」についても書いてあるが、どうやら「音楽の具体的な様子」については、ここでも触れられていないようだ。ひょっとしたら、「マイルスがジャマルに影響された云々」は、このヘントフ氏の裏解説から、広まった話しかもしれない。

では、Argo盤からもう1枚。実は「マイルス関わり」の音として僕が最も驚いたのが、これである。Jamallp_006
Ahmad Jamal/Chamber Music Of The New Jazz(argo 602) 1955年
これはargo/cadetに20枚近くもリーダーアルバムのあるジャマルのargo第1作である。このLPを、なぜだかこれまで全く聴いたことがなかった。ジャマルの国内盤発売は、いつもBut Not For MeやPenthouse だけだったし・・・オリジナル盤を探す際にも、この602盤は年代が古い分だけ、他のargo盤に比べるとやや見つかりにくいかもしれない。ちなみに、このレコード・・・creativeというレーベルから出たものが真のオリジナルらしい。
《2009 1/2追記~creativeではないが、このArgo602番のオリジナル1stと思しきジャケットをネットで見かけた。それは・・・石畳の広場を上空から撮ったショット。左下隅に高そうなクルマ(ロールスロイスか?)がちょっとだけ写っている。画面は薄い緑一色。ちょっとベツレヘム・レーベルのバート・ゴールドブラットのデザインとよく似た雰囲気だ》

A面1曲目のnew rumbaのイントロ部分から、いきなり驚いてしまった。なんだ、これはっ!
そう・・・マイルスのLP~Miles Ahead のnew rumba、あれのそのままじゃないか!録音は当然・・・ジャマルの方が先(推定1955年)である。
いろんなジャズ本から「マイルスが、ジャマルからはヒントを得た」という話しは知っていた。知ってはいたが・・・それはあくまで「ヒント」くらいだと思っていた。しかしこのnew rumba・・・これはもう完全に「パクリ」である(笑)
new rumbaイントロでの、あのちょっとモードっぽい、かっこいいフレーズ~あれはギル・エヴァンスのアレンジかなと思っていたのだが・・・あのかっこいいリズムパターンとフレーズが、そっくりそのまま、このジャマルのLPに入ってるじゃないか!
このジャマルのLP収録曲で、マイルス取り上げ曲は~
new rumba
all of you
it ain't neccessarily so
の3曲である。しかし、もうひとつ・・・A面5曲目のMedleyというタイトル。これが曲者で、曲が始まると・・・「ああ・・・これも知ってる」
というメロディが軽やかに流れてくる。これも確かに「マイルス・アヘッド」に入ってる曲だぞ・・・と調べてみると「アヘッド」の
B面ラスト~I don't wanna be kissedじゃあないか(笑)この曲・・・メロディの出だしから3連符のフレーズで始まり、その後も2拍続けて3連符を使ったりするところが、ちょっとユーモラスな感じもして、強く印象に残っている曲だった。その「マイルス・アヘッド」のI don't wanna be kissed のアイディアそのままが、このジャマルの1955年のLPに入ってるじゃないか!ジャマルのピアノが、軽く小粋に弾く3連符は、マイルスが現そうとしたニュアンスそのままなのである。う~ん・・・これは・・・マイルスもギル・エヴァンスも、ジャマルにアレンジ料を払わなくては、まずいだろうな(笑)
蛇足をひとつ~ジャマルは1958年のBut Not For Me(前述)で「マイルス曲」を4つも取り上げた・・・あれは「ジャマルのお返し」だと、僕は踏んでいる(笑)

はうんと前から「マイルス・アヘッド」が大好きだった。あのLP、特にどの曲が・・・という訳ではないのだが、A面1曲目のspringsvilleが流れ始めると、継ぎ目なしに次の曲に移っていき・・・それはまるで川の流れのように全く自然な感じで・・・途中で針を上げることができなくなる。そうしていつも両面を聴き通してしまうのだ。あのLPの「サウンドのイメージ」がいつもアタマの中に渦巻いてしまって困るくらいの時期もあった。だから今回、ジャマルの1955年作品を聴いてみて、マイルスのあのLPの中で印象に残っている「部分」が、そっくりジャマルのアイデアだった・・・と判ってしまったわけで、その事実にちょっと軽いショック(がっかりしたような気持ち)を受けた僕である(笑)
しかし・・・だからと言って、マイルスへの(あのLPへの)見方が変わるわけではない。確かに、細部のアイディアを借用しているが、それらを巧く使い切った上で、あのLP全体を「あるムード」で包み込み、「ひとつの組曲」にまで造り上げてしまったのは・・・やはりギル・エヴァンスであり、何よりも「マイルスのあの音色」なのだから。

ちくしょう・・・オレはやっぱりマイルスが好きらしい。
その証拠に、今また僕は「マイルス・アヘッド」を聴いてみて・・・すっかり感動している(笑)

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2008年3月23日 (日)

<ジャズ雑感 第23回>エリック・ドルフィーという人。

僕の好きなドルフィー~

「カッ・カッ・ッカ・ッカ・カッ・カカ・ッカ・ッカ」
いきなりロイ・へインズの甲高いスネアのリム・ショット打音で始まるこの曲。
そう・・・ドルフィーのG.W.である。ドルフィーとハバードのテーマが終わると、すぐにドルフィーのアルトが飛び出してくる。
う~ん・・・気持ちいい!(笑)

いやあ・・・今日は久しぶりにドルフィーをたっぷりと聴いた。そういえば、しばらくドルフィーを聴いてなかったのだ。
ちょっと前に、4438milesさんのブログ「Fのブルース」でオリバー・ネルソンの「ブルースの真実」が記事になり、そこでドルフィーの話題になった。  その記事を読んでいるうちに・・・俄かに、ドルフィーが聴きたくなってきたのだ(笑)
朝からどんなのを聴いたかというと・・・
「惑星」(outward bound)~A面(G.W.,on green dolphin street,les) 
B面(245,glad to be unhappy,miss toni)
「アウト・ゼアー」~B面(eclipse, 17west, sketch of Melba, feathers)
「ファイブ・スポットvol.1」~A面(fire waltz, bee vamp) 
B面(the prophet)
「ヒア&ゼアー」~A面(status seeking, god bless the child)
「メモリアル・アルバム」~A面(number eight)
「ダッシュ・ワン」~A面(G.W., 245) B面(bee vamp, serene)

こんなにもたくさんのドルフィーの音を浴び続けると・・・さすがにちょっと疲れる(笑) でもまあ心地よい疲れというか・・・やっぱりジャズの一番、濃いところを、しっかりと身体に沁み込ませたような気分でもある。

エリック・ドルフィー・・・もちろん、僕もドルフィーが嫌いではない。中3の時からジャズを聴き始め、モンクやミンガスの次に好きになったのが、ドルフィーだったように記憶している。
最初にドルフィーを聴いたのは・・・高1の時に買ったミンガスの「ミンガス・プレゼンツ・ミンガス」だったはずだ。このレコードは素晴らしかった。ミンガス、ドルフィー、テッド・カーソン、ダニー・リッチモンドという4人のバンド全体に凄い気合が入っていて、ミンガスによって自在にコントロールされたバンドのサウンドには、強力でありながら柔軟~というジャズの素晴らしいダイナミズムが溢れていた。このレコードは本当に何度も聴いた。そしてドルフィーという人を好きになった。
《写真は、CBSソニー盤:SOPC-57001》Mingus_presents

この「プレゼンツ」~今、聴くと・・・やはりこの「プレゼンツ」はミンガスのアルバムであり、演出家(兼役者)としてのミンガスが「こんな風に演出したい」という場面に、ドルフィーという巧い役者が「演出家の要求以上に素晴らしい演技をした」~そんな印象も受ける。(このレコードについては、ミンガス絡みでいつかまた記事にしたい)


《写真は「惑星」(outward bound)と「アウト・ゼアー」をカップリングした2LP(PR-24008)milestoneのtwofersシリーズ》
Twofer

記事の冒頭に書いたように、ロイ・へインズの「カッ・カッ・ッカ・ッカ・カッ・カカ・ッカ・ッカ」で始まる、この「惑星」というLP~ドルフィーのプレイはもちろんのこと、他にもいろいろと聴きどころがある。
一つは、フレディ・ハバードである。この頃の迷いのないハバードのフレーズ、そして何よりあの鋭いトーン・・・これを聴くだけで、実に気持ちいい(笑)
思うに・・・ハバードには、こういう曲というかフォーム~適度にモード的とでも言おうか・・・サウンドとしては、ちょっと前衛的で、しかし熱いスピリットも充分にある(出したい)感じ~そんなフォームが、最も似合っているような気がする。
ハバードのフレーズは、古いスタンダードをオーソドクスなコード(和音)で演るハードバップというスタイルでは、ちょっと浮いてしまうかもしれないし、逆に得意のモード手法を洗練しすぎてしまうと、吹き方がパターン化してつまらなくなってしまうような部分があるかと思う。
そしてもう一つ、ジョージ・タッカー・・・このベース弾きがまた尋常ではない。
この強靭な音色! 以前に記事にしたヘンリー・グライムスと似ているタイプだと思うが、とにかく一音一音が凄くアタックの強い音だ。これは・・・指をしっかりと弦に引っ掛けて相当に強い力で引っ張った音色だと思う。
その「ブチッ・バチッ!」という音色が、これまた快感である。但し・・・好みに合う・合わない、ということもあるかと思う。
なにしろ、タッカーのベースときたら、最初から最後まで怒ったような音をしているのだから(笑)

Van_gelderこのtwofersなるシリーズ・・・初期のものには、センターラベルに<van gelder>刻印があるようだ。
これもちょっと意外だったのだが、ジャケットのクレジットを見ると・・・ちゃんとremastering:Rudy Van Gelderと書いてあるじゃないか。そんな事情を知ってから聴くと・・・音質の方も案外にしっかりとしているように聞こえてくる(笑)
このtwofersシリーズの2枚組みは当時から安い価格で出回っていたし、たぶん今でも人気薄だろうと思う。見かけたら、センター・ラベルのvan gelder刻印の有無をチェックするのも楽しいかもしれない。音質は、twofers以前の「黄緑ラベル盤」よりは、いいだろう。

「ダッシュ・ワン」A面(G.W., 245)とB面(bee vamp, serene)~
「ダッシュ・ワン」は、1982年に発売された未発表テイク集だ。これ以上できない、と思えるほど最悪なジャケットだが(笑)《一番下の写真:右側》
内容は悪くない。なんと言っても、1961年7月「ファイブ・スポット」での別テイク(bee vamp)が素晴らしい。
そして「惑星」(ourward bound)からの別テイク(G.W.と245)もうれしい。マスターテープの管理状態がよかったのか、音質もかなりいいように思う。
G.W.でのロイ・へインズのドラムのイントロ~このパターンが、本テイクとは微妙に違うところがおもしろい。やはり、別テイクの方が、やや切れが悪く、ちょっと判りにくいリズムパターンになっているような気がする。

「アウト・ゼアー」~B面(eclipse, 17west, sketch of Melba, feathers)
この「アウト・ゼアー」・・・昔から、僕にはあまりおもしろくない。というのも、ジョージ・デュブビエのベースにロン・カーターのチェロが加わっており、端(はな)からクラシックの現代音楽風なサウンドを意図したようで、バンド全体のサウンドがこじんまりとしてしまっているからだ。「惑星」に溢れているようなジャズ的なビート感の盛り上がり・・・そんなものが僕にはあまり感じられない。そして、意図したであろう、この現代音楽風なサウンドとしては・・・チェロの音程があまりよくないのも、ちょっと白ける。
B面3曲目のsketch of Melba~このsketch of Melbaは、ランディ・ウエストン絡みで好きな曲だったので、このメロディが流れてきた時に「あれっ?この曲・・・」てな驚きもあり、ドルフィーがこの曲を演っていたということがちょっとうれしかった。5spot_3

さて、ミンガスの「プレゼンツ」の圧倒的な影響もあり、しばらくの間、僕はミンガス絡みでのドルフィーだけ聴いていたのだが、高2の時だったか、FMのジャズ番組「アスペクト・イン・ジャズ」のドルフィ特集で聴いたfire waltz~これには、本当にぶっ飛んでしまった。
ドルフィー、ブッカー・リトル、マル・ウオルドロン、リチャード・デイビス、エド・ブラックエル。この5人が生み出す全ての音に気迫が満ち満ちている。
fire waltzとはよく名付けたもので・・・この5人、本当に燃えているのだ!
5spotしばらくは、テープに録ったその演奏を聴くたびに「これこそがジャズだあ!」と興奮していた。調べてみると、そのfire waltzは「ファイブ・スポット第1集」に収録されており、この日の演奏は、どうやらいろんなLPに分かれて収録されていることも判ってきた。そんな訳で、その後「第2集」「メモリアル・アルバム」「here & there」と、順番に集めたりもした。

ただ、僕の「ドルフィー好き」は、ちょっとばかり片寄っていて、僕はもうひたすら彼のアルトサックスが好きなのである。とにもかくにも、ドルフィーがアルトを吹く時の圧倒的な音圧感やドライブ感に惹かれるのだ。
吹いている楽器がぶっ壊れてしまうんじゃないかと思わせるほどにビリビリと鳴りまくる、あのアルトサックスの音色。そのいかにも大きな音でもって、うねるように、巻き込むように繰り出してくるドライブ感に溢れるフレーズ。

そういえば、ドルフィーがノッてくると、必ず繰り出してくるパターンがある。それは・・・「パッ・パラ・パーラ・パーラ」というデコボコした起伏を持つフレーズで、ドルフィーは、この1小節4拍のフレーズを、それはもう重い音色でもって、何かが弾け飛ぶような感じで、吹き倒すのである(笑)
そしてこのフレーズが出ると・・・その瞬間、ビートが一気に「解き放たれる」ような感じがするのだ。バンド全体の感じているビート感も一気に爆発するとでも言うのか。そうだ・・・まるで、砲丸投げのあの重い鉄球をブンブン振り回しているみたいじゃないか。それも、砲丸の軌道や速度を自在に変化させながら。そうしてそれが、ムチャクチャ気持ちいいのである(笑)

だから、ファイブ・スポットのライブでは、fire waltz, the prophet, number eight, status seeking をよく聴く。同じファイブ・スポットでの演奏であっても、like someone in love, booker's waltzなどのフルートにはそれほど惹かれなかった。Heartheredash_one
もうひとつのドルフィーの楽器~彼の吹くバス・クラは、アルトほど好きではないが、あのバスクラの音色には独特の暗さがあって、もちろん悪くない。
here & there に収録されているgod bless the child は、ドルフィー独りだけのバス・クラによるソロ演奏だが、なんというか・・・地底の底から緩い地熱がじわじわと伝わってくるような・・・そんな独特の気配を感じさせてくれる。5分ほどの小品(他のライブがほとんど10分以上なので:笑)だが、なんとも愛着の湧く1曲である。

それにしても、ドルフィーという人。聴けば聴くほど、ただ一言・・・「凄い」
まったく・・・とんでもないアルト吹きがいるものだ。

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