日記・コラム・つぶやき

2005年9月27日 (火)

<ジャズ雑感 第8回> ミニ杜の会~大阪:Yoさん宅でジャズ10時間聴きまくり!

Verveというレーベル・・・Contemporaryというレーベル・・・。

先日、大阪のYoさん宅におじゃまし、いろんなレコード、CDを聴きまくりました。翌日のお昼すぎまで、計10時間強!ランダムに選びながら、多くのレコードを聴いたのだが、事前に決めていたことがある。Yoさん手持ち盤と僕(bassclef)の手持ち盤の中に<同一タイトル/センターラベル違いの盤>のものがいくつかあったので、それらを聴き比べてみることだった。その辺りに絞って話しを進めてみます。なお、デジカメ持ってくのを忘れたので、Yoさん手持ちのレコードの写真はありません。いや、持っていても・・・聴くのと話すのに夢中で、多分、写真撮れなかったでしょう(笑)

050907_001 マリガンの「The Concert Jazz Band」~
<Stereophonic>(写真なしです。残念!)
<T字MGM Verve>
<黒トランペット(モノラル)>

YoさんのStereophonic、こちらが残りの2枚、計3種の Concert Jazz Band がソファの上に並んでいる。Stereophonic盤は、どうも普通のT字Verveより、音がいいらしいぞ・・・とは思っていた。オスカー・ピータースンのライブ・フロム・シカゴ(verve:stereophonic)を愛聴しているのだが、ピータースンの他のVerve盤諸作より、格段に「音が生き生き」しているのだ。ピアノの音色につやがあり、レイ・ブラウンの音色も「よく締まったそれでいてブウンと伸びるいい音」で入っているように感じていた。これは、たまたま「ライブ・イン・シカゴ」の録音(ロンドンハウスというライブハウスでの実況録音)が素晴らしかったのかもしれないが、もう1枚持っていたエラの「シングス・ガーシュイン」これも、盤質は悪かったが、同質の良さを感じていたことから類推して・・・やはりStereophonicというラベルの盤は、「一味違うぞ」とほぼ確信していたのだ。そんな時、Yoさんがサンディエゴの廃盤店で入手したマリガンの「白」(Concert Jazz Band)が、そのStereophonicラベルだったことを知った。僕は・・・う~んと唸りました。この「白」のStereophonicラベルの存在は知っていても・・・なかなか手に入らなかったのです。そんな訳で・・・この3種の聞き比べをしよう、ということになり・・・よく考えたらこのことが、Yoさん宅へオジャマするキッカケになったような気もする(笑)

さて・・・3枚の同じジャケットを並べて2人でニンマリ。こういう風景は、見るだけでも楽しい。B面2曲の<My Funny Valentine>という同じ曲を連続して聴き比べてみた。T字Verve、Stereophonic、黒トランペット(これだけがモノラル)の順で聴くことにする。
まずT字~マリガンの吹くテーマのバックに拡がる中編成のハーモニーが、軽くふわ~っと拡がり、いい感じだ。Yoさん、「悪くないよ、これも」。ちょっとうれしい僕。 そして、Stereophonic・・・出だしではそれほど差を感じない。しかし・・・マリガンのソロが始まると・・・やはりバリトンの音色に、より一層のつやが出ているようだ。より生き生きした感じがする。Stereophonicラベルの盤は、全体に「明るく華やいだ雰囲気」が出てくるようだ。
最後にモノラルの黒トランペット~モノラルなので、ステレオの2枚に比べると、やや重く詰まった感じのサウンドだ。これも案外に悪くない。個人的には・・・マリガンのライトなサウンドにはステレオの方が似合うような気はした。しかし、「黒トランペット」ラベルも、やはり侮れない。ちなみにこの「黒トランペット」は、3年ほどまえに、大阪・梅田のLPコーナー本店で手に入れたものだった。

「ノーマングランツジャムセッション#8」~050907_003
<Clef>
<verve 黒トランペット>(Verve clef-sereis)
8月の「ニーノニーノ杜の会」で、Yoさんが持ちこんだこの盤を聴いてBoseさんが「煩悩に火達磨」になってしまった、という話し~
僕もたまたまこの盤の Verve Clef-Sereies(ジャケは同じデザイン)を愛聴していたものだから~大いに納得してしまいました(笑) それじゃあそのClef盤もぜひ聴いてみたい、ついでにVerve clef-sereies 盤との聞き比べもしようじゃないか、ということになりました。普通に考えると、Clefとして#8が出ていたものを何年か後に、Verve clef-sereies として再発したのだと思う。Clef盤の音の良さは(特にサックス)2~3枚だけ持ってるClef盤(10インチ音源を12インチ化したシリーズ)で、もう充分に知っているので、これは、相当に差があるだろう・・・との予測はついてはいた。最初にかけたのは「Verve 黒トランペット」。普段から案外にいい音と思ってたが、Yoさんのシステムでも、きゅっと締まった聴きやすくいいモノラルの音質だった。ちょっとうれいしい僕。しかし次にかけたClef盤のサックスの音が鳴った瞬間・・・やはり「違う」。何が違うか、というと・・・サックスの音色に、もっと「こく」が出てきて、より「生き生きと」した音色になった。(ように感じた) さきのマリガンのバリトンの音色と同様、違いというのはそれほど大げさには出ないが、楽器の音色に、より「つや」が出てくるようだ。そうして、その「音色を味わう」という次元での差というのは・・・そのレコードの演奏を好きになればなるほど、ものすごく大きな差に感じてしまうのだ。Boseさんの「火達磨」・・・よく判ります(笑) その後、その「火達磨」は、見事に治まった由。この盤が見つかってよかったですね、Boseさん。こちらもいつかあのClef盤、欲しいものです。

ロリンズの「Brass & Trio」(Stereophonic)~ 
これは、僕の手持ちがT字Verve。今回持参しなかったので、僕の記憶との比較。僕は、ポリドールの国内盤と T字Verve MGMを聴いているが・・・どちらの盤でも、あんまりいい録音とは言えないように思う。ロリンズのサックスにエコーがかかりすぎ、ブラス陣が入った関係からか、全体のサウンドが、どうもすっきりしないような印象がある。そこで、このStereophonic盤の登場だ。聴いてみると・・・全体のサウンドの様相に変わりはないが、やはり・・・ロリンズのテナー、グライムスのベース、そして全体のサウンドが、T字Verveよりは、鮮度が高いように聞こえた。もっとも・・・このBrass & Trioは、元々「メトロ」原盤とのこと。だから本当のオリジナルは「メトロ盤」(スタジオらしきところで吹いているロリンズとブラス陣のジャケのやつ)ということになる。一度、それも聴いてみたいものだ。どなたかお持ちでしょうか? できれば、その盤の音の「雰囲気」だけでもお知らせください。

さて、T字Verve と Stereophonic~もちろん個々のタイトルによって、状況は違うだろうが、たいていの場合なら、Stereophonic盤の方が、T字Verve よりも「いい音」だと言えそうな気がする。少なくとも僕はそう感じている。さらに・・・T字Verveでも、MGMと入るものと、それ以前のVerve Inc.というのもある。ニーノニーノのDuke氏によると、Verve Inc.は MGM Verveよりも上質とのこと。これは、同一盤でのサンプルが揃わなかったので、比較はしていない。とにかくVerveというレーベルは、難しい。mercury,Norgran,Clef,そしてVerve。Verve の中でも 黒・黄のトランペット、黒・青・赤・黄(プロモ)のT字Verve、Stereophonic、その後、ようやく MGM T字Verve・・・。これらの各タイトルが、オリジナルと再発も微妙にクロスして発売されてるようでもある。僕がマークしている<Stereophonic>ラベルにしても、どのタイトルで何枚くらい出ているのかも、全く判らないのだ。肝心の「音」にしても、「古いほど音がいい」のであれば、話しは簡単なんだが、そんなこともないようだ。そういえば、Yoさん宅で音質優秀で有名な?エラの「クラップ・ハンズ」(MGM-Verve)をちょっとだけ聞かせていただいた。何の曲かは失念したが・・・イントロのピアノの後から入ってくるウッドベースの音の生々しいこと!輝くようなベースの音色だ。びっくりしてジャケ裏を読むが・・・普通のビッグバンドの普通のベーシストらしく、バックミュージシャンのクレジットなど全くない(笑) ベースというのは(いや、どの楽器でもだろうが)あれだけ「いい音」でレコードに入ることが珍しいので、もうその音だけで、凄いベーシストに聞こえてしまうようだ(笑) だからこそ・・・ラファロやレイ・ブラウンみたいに、どのレコードでも、だいたい同じように「素晴らしい音」で聞けるベーシストというのは・・・逆説的に言えば、それこそが超一流のベーシストである証し、とも言えるのかもしれない。

今回、Yoさんとはいろんなレコードを聴きながら、いろんな話し(レーベル、録音、マイク、コンデンサーマイク、ダイナミックマイク・・・)をしたのだが、両者共に大きく納得したことは・・・<レコードやCDに入っている「音質」というのは、個々のタイトル~そのレコード・CDの録音状態によって、大きく異なっている>ということである。もちろんレーベル(録音技師)で、ある程度は、そのレーベルの傾向みたいなものはあるが、絶対ではない。よく考えてみれば・・・録音スタジオ、録音技師が同じであっても、「ミュージシャン」が違うのだ。楽器も違う。いや、同じミュージシャンでさえ、録音日が違えば、その日の気分(ノリ)、体調、技術の進歩(低下)という要素だってあるはずだ。
レコードはもともとが、一枚一枚、全く違う音なのだ。それを再生する時、だから・・・全てのタイトルが、そのまま同じように鳴るわけがない。こんなようなある種の割り切り、これには僕も全く同感だ。この後、つまり「違う」ということを認識した上での「対処」は、人それぞれだと思う。「レコードにもともと入っているバランスでいい」と思う方なら、そのまま聞くのがベストだろう。この点で、Yoさんの考え方は明快であった。まず「自分が出したい音」をしっかりと自覚している。それから<タイトルごとで音が違う。レーベルごとで音が違うのだ>ということをしっかりと認識し、そうしてそれらのタイトルを、自分の好みバランスに近づけるために「プリ前段階」で調整する、という考え方のようである。「プリ前で」と表現したということは・・・トーン・コントロールは最後の手段ということだったかもしれない。(この辺り、全く僕が勘違いしているかもしれません・・・遠慮なしに、「訂正」「追加」のコメントもお願いします・・・。
具体的には・・・その調整を<LPなら2種のステレオ・カートリッジ/「CDなら2台のプレーヤー>で実践しているのだ。タイトルごとに音が違うとは言っても、やはりレーベルには、基本的なサウンドカラー、サウンドバランスというものもある。Yoさんの中では、レーベルとカートリッジの相性で、ある程度の「棲み分け」が確立しているようだった。

以下Yoさんメール談~
~《カートリッジ2種は どちらもオルトフォンの Jubillie とSPU-SilverMisterです。CDはトランスポート2種で上にあったのがオラクルCD2000で、下にあったのがWadia3200で、DACは共通でWadia-Proです~
~私の常用のSPUは最近の機種でオリジナルに近い元のタイプではないです。ですが、やはり最新の「ジュビリー」と比べると、レンジが狭く重心が低いです。ジャズで言うと、BN,プレスティッジは完全にSPUがいいです。ジュビリーだと妙にやかましくなったり、中域が薄く聴こえたりします。コンポラ、CBS,RCAはジュビリーです。SPUだと低音が重く感じます。それ以外はレコードによってと言う感じです。同じバンゲルダーでもインパルスはジュビリーの方が良い場合が多いです》~

こんな説明も聞きながら、いくつかの同じレコードを、2種のカートリッジで聞き比べてみた。たしかにかなり違う。これはYoさんからも指摘されたが、僕の好みでは、SPUの方がいい、と思えることが多かった。いずれにしても、2種のステレオカートリッジでの変化、レーベルとの相性みたいなものを体感できたことは、とても興味深いことだった。そして、2機種のCDプレイヤーについては・・・(カートリッジでの使い分けと同じ意味合いで) ワディア=SPU、オラクル=ジュビリーとして機能させている、ということで、これには充分に納得がいく。Yoさんは、物事(オーディオ)を非常にシンプルに、しかしロジカルに考えているのだろう。そして背景として「自分の出したいサウンド(バランス)を出したい」という目的がはっきりしてるから、いろんな機器選択・調整が「ぶれてない」ように思えた。というのは・・・いい音(録音)のLPと、いいリマスタリングのCDとを「パッと聴き」した時、そのサウンドカラーにほとんど差がなかったのだ。これこそ、その機器調整が「うまくできている」(Yoさんにとって)ということなのだと思う。余談だが、CDプレイヤーにおいても、僕には、ワディアの方が魅力的な音に聞こえた。「芯のある丸みのある音」に聞こえた。あれなら、古い音源の復刻CDでも(そのCDがある程度のバランスとれていれば)すごく「アナログライクないい感じ」で聞けるだろう。

ちなみに僕は、アンプのトーン・コントロールをけっこういじる(笑) 全く使わないという「原音主義」の方が多いようだが、僕にはそのカタクナさが判らない。端的に言えば・・・レコードに入った状態が、すでにして「原音」じゃあないのだ。そうして、レコードに入っている楽器の音量バランスが、常に適正とは言えないのだ。ベース音が「大きすぎたり」「小さすぎたり」、またはドラムスのシンバル音が「うるさすぎたり」「小さすぎたり」、ピアノの高音が強すぎたり・・・そんなレコードがけっこう多いのだ。僕は、その状態を「原音」としては許容できない(笑) だから・・・そんな時、「トーン・コントロール」を積極的に使って、少しでも聞きやすい楽器バランスに(もちろん自分にとっての)調整する。そうして(僕の装置で聞く場合の)理想のベース音量バランスのレコードが、前述したオスカーピータースン/ライブインシカゴ(Verve:stereophonicラベル)なのである。このレコードでのレイ・ブラウンのウッド・ベースは・・・A・B面とも、「ややオフ気味」に聞こえるかもしれない。ややベースが小さめなバランスに聞こえる。もう少しふくらんだ響きがほしいかな?と思うくらいタイトな音色だ。しかし・・・演奏が進むにつれ、徐々にレイ・ブラウンのウッドベースの音圧・音量が上がってくる。そういう風に聞こえる。このレコードで聞こえるベース・ドラムス・ピアノの音量バランスが、自分にとっての座標と言えるのかもしれない。

Yoさん宅では、この他に Contemporaryの<Stereo>レーベル(ジャケに楕円マーク)と普通のContemporary stereo盤~
これの1st黒ラベルと2nd緑ラベル~の聴き比べもした。まずは、ロリンズの「ウエイ・アウト・ウエスト」~この盤では・・・「Stereoレーベル盤」(ジャケに楕円ステレオマークではなく「Way Out West」の下に大きく「In Stereo」と表記されているやつ)/「ステレオ黒ラベル盤」、/「アナログ・プロダクション盤」・・・以上の3種(全てYoさん)を聞き比べた。曲は<Solitude> どの盤でもレイ・ブラウンの「いいベース音」をたっぷり味わいました。
これについては・・・ニーノニーノさんのHP「こだわりの杜」(9月23日)にも書き込んだので、そこからちょっと抜粋します~
~《それでは、例えば・・・レイ・ブラウンのベース音はどうだったのか。
ソニー・ロリンズ/ウエイ・アウト・ウエスト~ステレオレーベル盤。<ソリチュード>を聴く。この盤でのレイ・ブラウンのベース音。これはもう素晴らしいの一言!全く、タイトにきりりっと締まった、しかしグウン~」とよく伸びるウッドベースの音なのだ。生のウッドベース(アンプ通さずに)聞くとこんな感じだろう、というリアルなベース音であった。真っ直ぐ聴き手の脳髄に食い込むベース音だった。続けて、同じ「ウエイ~」の「普通のステレオ盤」と「アナログプロダクション?」を聞いたところ・・・レイ・ブラウンのベースは、もう少し「ふくらみ気配」(いや、それでも抜群のレイ・ブラウンのベース音なのだが)にしてあるようだ。普通に言えば、こちらのベース音の方が聞きやすいんだろうとは思う。しかし・・・あの「ステレオ・レーベル」のレイ・ブラウンには驚いた。パブロの「エリントン&レイ・ブラウン/ブラントンに捧ぐ」も、「やや硬質でアンプで増幅していない感じの、本当のウッドベース生音」が飛び出てきました。ほんとうに凄いベーシストですね・・・レイ・ブラウンは。》~

ロリンズ/コンテンポラリー・リーダーズ(Contemporary)これは2種のみ。

黒ラベル:ステレオ(Yoさん)
緑ラベル:ステレオ(bassclef)
<How High The Moon>を続けて聴いたが・・・この黒と緑、ベースの響き、、サックスの鳴り、ケッセルのギター、バランスも音質も、ほとんど差が感じられなかった。1stの「黒」の方が圧倒的に良いのでは?と想像していた僕は、2ndの「緑」もまずまずだったので、ちょっとうれしい。Contemporaryの盤をいろいろ幅広く集め、聴きこんでいるYoさんが言うには、「Contemporaryというレーベルは、(おそらく)録音されたオリジナルテープの管理やらが優秀なので、1st,2nd,3rd どれも安定した質で、案外、大きな差がないよ」とのこと。
それにしてもよく判らないのが・・・<Stereo>レーベルである。なんだか、このレーベルにはまっていきそうな感じである(笑)
ああ・・・ジャズは底なしだあ・・・。

追伸:「聴き比べ」以外にも、素晴らしいレコードを聴きました。例えば・・・Bill Evans/Everybody Digs Bill Evans(riverside)ステレオ・黒ラベル  Wes Montgomery/Wes Montgomery Trio(riverside)モノラル・青ラベル  Erney Henry/Presenting Erney Henry(riverside)モノラル・青ラベル   Verve や Contemporary だけでなく、これらの Riverside盤も、「しっとりした」実にいい音でした。この辺りは、また別の機会に・・・。

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2005年9月 7日 (水)

<ジャズ雑感 第6回> ソニー・ロリンズ/オン・インパルス~マット・デニスのスタンダード。

スタンダードソングの魔力~いい曲だなあ・・・と思うといつもマットデニスだ。

<everything happens to me>~この曲を最初に聞いたのは・・・ああ、モンクの「サンフランシスコ」だ。いや、正確には・・・米マイルストーンの Pure Monk(himself と sanfrancisco のカップリング2LP)という盤で聞いたのだ。モンクのソロピアノというと・・・「サンフランシスコ」より前に、1954年のヴォーグ盤を聴きこんでいた。特に「煙が眼にしみる」を気に入っていた。この曲はジェローム・カーンの作曲だが、とにかくあのメロディーが好きだった。あのメロディーをモンクはそれほど崩してはいない。崩してはいないが・・・その元メロディーの合間にモンク流のアドリブを混ぜ込んで、見事に唄い切っている。本当に素晴らしいピアノソロなのだ。もともと、こういう古いスタンダードソングというものが、僕の性に合っていたのかもしれない。だから、スタンダードがたくさん入っている「サンフランシスコ」も、すぐに大好きになった。<remember>という曲も、モンクの斬新な解釈で、というより斬新なピアノプレイが印象深い。なんというか・・・左手コードの入れ方が、スタカート気味というか、ほとんど伸ばさずに、「ブツ切れ」状態なのだ。そんな過激なアレンジ(いや、素晴らしいヒラメキ!)でありながら、演奏全体には、なんとも言えないノスタルジイみたいなものを感じる。この曲はホワイトクリスマスの作者として有名なアーヴィング・バリーンの作曲だ。 この<remember>は、ハンク・モブレイの「ソウル・ステーション」A面1曲目に入っているので、ご存知の方も多いと思います。ああ、もうひとつあった・・・スティーヴ・レイシーがこの曲のチャーミングなテーマを吹く演奏があるんです。ギル・エヴァンスのプレスティッジ盤「ギル・エヴァンス&テン」に入ってます。この曲のチャーミングなメロディが、レイシーのソプラノサックスの音色によくマッチしているようです。
そして・・・「サンフランシスコ」の中で、一番好きになった曲が<everything happens to me>だ。正真正銘、このテイクが初聴きだ。(少し後にロリンズ(後述)、うんと後にシナトラ~この曲のオリジナルバージョン~も聴いた) この曲を、本当に「すうっ」と好きになってしまった。なぜかは判らない。ただ・・・「煙が眼にしみる」もそうだが、モンクが弾くスタンダードには、いつも「ペイソス」が漂っているのだ。僕は、この「ペイソス」という言葉を~一抹の寂しさの中にほのかな希望を感じるような雰囲気~「人生にはつらいことも多いけど、まあがんばっていこうや。たまにはいいこともあるし」みたいな感じに捉えてます。その「ペイソス」。モンクが弾くから「それ」がにじみでてくるのか?あるいは・・・曲の中に「それ」を感じとったから、モンクがこの曲を選んだのか?
多分・・・その両方だろう。そして、聞き手があるミュージシャンの演奏するある曲を聴いて、ものすごく気に入る・・・ということも、まさにミュージシャンがその曲を選んだのと同じような feeling を聞き手も感じたからなのだと思う。そうしてさらに、その曲を得たミュージシャンが「どんな風に唄うのか」を聴くことで、聴いてその「唄い」が納得できれば、その曲を、本当に「自分のもの」にできるのだと思う。
こんな具合に、あるミュージシャンのと聞き手の feeling が一致する、というのは本当に幸せなことです。僕の場合は・・・まさにセロニアス・モンク、それからロリンズが、そういうミュージシャンなのです。今回は、そのロリンズが演奏した<everything happens to me>についてだけにします。ロリンズについては、また別の機会にじっくりと(笑)

《Sonny Rollins/On Impulse~僕の手持ち盤はMCA impulse盤。すごく安っぽい緑色のラベルが哀しい:笑》

050907_001さて、ソニー・ロリンズの「オン・インパルス」(impulse)1965年~ロリンズのあまたのLPの中では、あまり「傑作」とか言われないようだが、これが実にいいアルバムなんです。(僕の知る限り、このLPを「いい盤」として何度か取り上げていたのは、大和明氏だけだ) 僕は、もう長いことロリンズ好きだし、愛聴盤もたくさんあるが・・・「凄い盤」とか「大傑作」とかじゃなく・・・「好きな盤は?」と問われれば・・・真っ先に、この「オン・インパルス」が浮かんでくる。まず選曲がいい。A面には on green dolphin street(ちょっとモード風の速め4ビート)と everything happens to me(バラード)、B面には、hold 'em joe (カリプソ風),blue room(ゆったり4ビート),three little words(軽いノリの速め4ビート) この5曲のバランスが絶妙で、全く厭きさせない。レイ・ブライアント(p)の明るくきらめくフレーズ。ミッキー・ロッカー(ds)のカラッとした切れのいいドラミング。そして・・・ウオルター・ブッカー(b)のがっしりしたリズムと唄心を感じさせるベースソロ。トリオが造り出すまとまりのあるサウンドに、ロリンズの自由自在に唄うおおらかさ、みたいなものが、実にうまい具合にブレンドされて、聴いていて本当に「気持ちのいいジャズ」に仕上がっている。
そうして、この<everything happens to me>が、おおげさじゃなく絶品なのだ。モンクのソロピアノを聴いて以来、大好きになっていたこの曲。あのちょっとセンチメンタルなメロディを・・・ロリンズが、イントロなしで、いきなり吹き始める。ロリンズ独特の「揺らぐような」サウンドを響かせながら、軽いフェイク(崩し)も混ぜてくるが、あのメロディをいつくしみながら、ゆったりと謳い上げている。本当にテナーサックスで「唄っている」ようだ。僕は「ロリンズは・・・この曲を本当に好きなんだなあ・・・」と確信する。そんなバラードプレイだ。ピアノもしっとりしたソロを取る。そして・・・ウオルター・ブッカーの出番だ。ブッカーも・・・じっくりと、いやどちらかというと、もっさりと・・・しかし・・・ブッカー自身の「唄」をこの曲の中で、唄い上げている。「唄こころ」というものを、たっぷりと指先から弦に伝え、その弦を、気持ちを込めて弾(はじ)いているかのようだ。ブッカーもまた、この曲を好きなのだ。もちろんブッカー自身、この曲を以前から知っていたのかもしれないが、仮に、この日、初めて出会った曲だったとしても・・・この曲をロリンズがテーマを吹き始めたその瞬間に「好きになった」のだ、と思う。「曲との相性」というものは、人との出会いといっしょで「インスピレイション」で決まってしまうこともあるのだ。

ジャズ聴きの幸せは・・・やはり自分にとっての、本当のフェイバリットミュージシャン(そんなに多くはいるはずもないが)を見つけることだと思う。その人の音色、フレーズ、選曲、唄い・・・そんなもの全てが自分の好みと合致する、ということは少ないかもしれないが、人を好きになる、ということは、もういずれ、その人の全てを好きになってしまうものなんです(笑)

・・・そんなわけで、スタンダードが好きになってくると、だいたい「好きな曲の傾向」みたいなものができてくる。僕の場合は・・・なぜだか、コールポーターやガーシュインのゴージャスで壮大な曲想よりも

ハロルド・アレン(I’ve got a world on a string, over the rainbow,when the sun comes out,come rain or come shine, let’s fall in love など)
ジェローム・カーン(smoke gets in your eyes,all the things your are など)
アーヴィング・ヴァリーン(remember,blue skies など)などの、いかにも「小唄」と呼びたくなる曲の方がが好みのようだ。

そして・・・マット・デニス。さきほど書いたように、モンクのソロピアノでこのマットデニスの名曲<everything happens to me>を知ったのだが・・・実はそれより前に、マットデニスの曲をよく聴いていたのだ。72年9月頃、日本ビクターが prestige 音源から20枚だか30枚を、オリジナル・ジャケとセンターレーベルで050907_002復刻し、1100円盤シリーズとして発売したのだ。 その中から「コルトレーン」(1957年)を買っていた。コルトレーンがサックスを前に置いて正面を睨んでいるジャケ。あれだ。<コートにすみれを/violets for your furs>は、このLPに入っている。私見だが、この1100円盤シリーズは、案外にいい音だと思う。後に発売された米ファンタジーのOJCシリーズよりも、楽器の音に「芯」があるように感じる。

僕はA面2曲目の、この<violets~>とB面2曲目の<while my lady sleeps>が特に気に入っていた。<while~>はマットデニス作ではないが、こちらもなかなかいい曲だ。タイトルは「あいつ(女)が眠ってるうちに・・・」という意味だろうか~その眠ってる内に、多分・・・抜き足差し足で部屋を出て行こうとする男(笑)~すごく勝手な推測だが、この演奏を聴くと、そんなイメージが広がってくる。こちらは激賞されることもなく sleepしているようだ:笑)
両方ともバラードで、「静かに」演奏されていた。コルトレーンのバラードというのは、独特の「澄んだ感じ」があって、今思えば、このリーダーアルバム1作目には、片面3曲づつのLPのA・B面2曲目にバラードを配置してあり、コルトレーン自身も「バラード」にかなりの配慮をしていたのだろう。マイルスのLPでもそうだが、同じペースの曲が連続しないように~LP片面20分を飽きさせないようにする工夫が感じられる。そのコルトレーンのバラードがいい。コルトレーンがいい、という以上に、この「コートにすみれを」が、チャーミングなメロディーをもった素晴らしい曲なのだ!ということを言いたい。もちろん、この曲を選んだコルトレーンもまた素晴らしい。

そうしてこの素晴らしい曲を作ったのが・・・これまたマットデニスなのだ! 余談だが、FMで流れるジャズをマメにカセットにエアチェックしていた頃~71年~75年頃だったか~何かのジャズ番組で、峰厚介のコンサートのライブが放送された。その中に「コートにすみれを」が含まれたいた。「あれ・・・あのコルトレーンのLPに入ってるやつだぞ。渋い曲を演るなあ・・・」とちょっと驚いたことが印象に残っている。(やはりバラードで演奏されていたはずだ。この演奏はたしかレコード化もされてないだろう。僕のカセットテープコレクションのどこかに入ってるはずだが)自分が「いいなあ」と感じていた曲をこうして、日本のテナー奏者が取り上げている、ということに感心したのだ。「楽譜とかどうするんだろう?やっぱり耳でパパッと音もとっちゃうんだろうか?」とも思った。というのも、その頃、この「コート~」という曲のことをジャズ雑誌で活字として読んだ記憶が一切なかったからだ。僕の記憶では、この「コート~」がいい、というような記事がジャズ雑誌に載ったのは・・・かなり後、少なくとも80年より後だったと思う。「コルトレーンのバラードの原点」という表現が増えてきて、今ではすっかり名曲「コート~」として定着しているようだ。ズート・シムスの「コート~」も、相当に有名になった。ブルーノートのユタ・ヒップの緑色の盤(1956年)に入っている。この演奏もいい。やはり「曲の力」というのも相当にあるはずだ。とどめに(笑)同じテナーで、JRモンテローズの「コートに~」もとてもいい。

おまけとして・・・マット・デニスのちょっといい曲を以下。
everything happens to me
violets for your furs
the night we call it a day
angel eyes
will you still be mine?
let’s get away from it all
どれも印象的なメロディでを持っており、「品のいい寂しさ」みたいなものを感じさせる。僕の心に「きゅうん」と入り込んでしまうキュートな曲ばかりだ。
ついでに言うと・・・これらの曲のほとんどは、すでに1940年代、1950年代にシナトラが唄っている。だから・・・モンクもロリンズもコルトレーンも、そしてマイルスもみんなシナトラを聴いていたのに違いない。そうして、そのスタンダードソングを、「どうやってかっこいいジャズにしてやろうか?」てなことばかり考えていたに違いないのだ。実際、マイルスの回想本で「シナトラをよく聴いた」というのを読んだ記憶がある。なお、モンテローズの「コートに~」では、彼は、シナトラのキャピトル盤を聴き込んだようで、演奏としては珍しくも、ヴァースの部分からチャーミングに吹いている。
そんなことを考えてみると・・・シナトラこそ、モダンジャズのバラードの「父」みたいな存在だったのだ、と思えてくる。最高のジャズミュージシャン達が、最高の素材~ソフトでスイートな極上のポピュラーソング~に、少々のビターネスをまぶして「ジャズのバラード」に仕立て上げてきたのだ。「好きな曲」を軸に、ちょっといろんな唄・演奏を探ってみると、スタンダードソングの世界が本当に奥深いことを実感する。自分が「好きだ」と思えるスタンダードソングを何曲か知るだけで・・・もうジャズ聴きの楽しみはぐんと拡がるのだ。
そうして・・・やっぱり、ジャズはやっぱり止められない(笑)

追伸 :みなさんのお好きなスタンダード曲~ぜひコメントにてお知らせ下さい。とても絞りきれないでしょうが・・・思いつくままどうぞ(笑)

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2005年9月 4日 (日)

<思いレコ 第4回> セロニアス・モンク/ザ・モンク・ランズ・ディープ(vogue/東宝)

ニーノニーノの「こだわりの杜」~趣味でつながる楽しみ。

ニーノニーノというオリジナル盤通販のお店がある。そのニーノの新納さんは、HPも運営しているのだが~オーディオやレコードのセンターラベルの話しが満載の中身の濃いHPである~そこにはBBS「こだわりの杜」もあって、「拘りのオヤジたち」が、連日、親密なやり取りをしているのだ。最初に書き込む時には、ちょっと思い切りが要るかもしれないが、一度入ってしまえば、思いのほか気さくな方たちばかりである。僕も1年ほど前から、ちらちらと書き込みをするようになった。4月には、長野の白馬で「杜の会」なるオフ会が開かれたので、普段、出不精の僕もそのオフ会に参加したのだ。そこで、Dukeさんを始め、普段、ハンドルネイムでやりとりしている皆さんと~この「白馬」では、栃木・群馬・静岡・愛知・長野・大阪などから集まった「杜の住人」の方々~実際にお会いしたわけだが・・・いやあ、これが驚くほど自然な打ち解け具合だったのだ。我ながら偏屈な人間だよなあ、と思ってる僕なんかでも、初顔合わせの方々とすぐに打ち解けて、好きなジャズや音楽についてのいろんな話しができてしまうのだ。皆さんの持ち寄ったレコードもいろいろ聴けて、本当に楽しかった。「趣味」だけでつながる集まりというのは、実にいいものです。そんなこともあり、その後の「杜」というBBSでのやり取も、いっそうリアリティが増した、というか「立体感」が出てきたような手ごたえもある。
白馬でのオフ会から一週間後、Dukeさんから電話があった。HPの次の「コラム」を書いてくれ、「テーマは自由。なんでも好きに書いてください」とのこと。 この「コラム」というのは、「杜」の常連さんが、ほぼ月替わりの交代で、「ジャズやオーディオへの思いのたけをぶちまける」みたいなコーナーだ。あのコーナーに、自分の「文章」が載るのか! もちろんたいへんに光栄なことで、うれしくもあったのだが・・・さて何を書こうか。僕の場合、とにかくもうジャズが好きで好きでという状態なんで・・・そういう「ジャズへの拘り」具合なら、なんとかなりそうに思った。だから、中3の頃から自分が「どんな風にジャズという音楽へ没入していったか」みたいなことを書き始めたのだが・・・それからの2週間ほどは大変だった(笑) なかなか書けないのである。いや、書くには書くのだが・・・言い回しが判りにくいし、文章もガチガチ(笑) 普段の「杜」への書き込みは、誰かの話しへの反応やら、ちょっと自分から話しを振ったりで、ずいぶんと気楽に書けたんですが・・・いざ、「コラム」という場所を与えられて、そのスペースが、自分だけにまかされてしまうと・・・これが、妙に構えてしまうのです。そんなに大げさに考えるな、いつもの書き込みと同じだ、気楽にいけよ。もっと長く書いてもいいんだぞ、と自分に言い聞かせるのですが・・・そうは、なかなかできないもんなんです(笑)
例えば・・・ただ「モンクが好きだ」と書けばいいのに「僕はどうしてモンクが好きになったのだろうか?」とか変な言い回しになったり(笑) まあそれでも、結局は・・・自分の好きなジャズ、そのジャズ遍歴を回想風に書くしかない、という気持ち的な開き直りも経て、どうにかそのコラムを書いたのだ。けっこう何度も書き直したりしてましたが(笑)
そのコラムは、6月いっぱい、「ニーノニーノのコラム」欄に on air (笑:言葉の使い方が違ってますが)されていた。杜のみなさんから暖かい反応をいただくたびに、つい読み返してみたりしましたが、ガチガチな文章は、もはや変わるはずもないのでした(笑)
そのコラムの中で挙げたミュージシャンたちは・・・もちろん僕の個人的な好みの歴史なので、どの方にも共通する感覚というわけもないのですが、読まれた方には、bassclef という人間の「ジャズの趣味」がどんな具合なのかということは、判ってもらえたように思います。
「白馬・杜の会」があり、その白馬でのことを「杜」へ詳しく(いや、しつこく:笑)書き込みしたりしているうちに、さらに「コラム」も書くことになり~そうこうしてるうちに、どうやら「ジャズへの自分の想い」を、もっともっと綴りたくなってきてしまったようです。もともと、レコードへの思い込みは強い方だったので、自分のレコード購入記録みたいなものを<レコード日記>として書いていたんですが、4月初めにパソコンが壊れてしまい、(バックアップも取らないタイプなので)それらも全部、消えてしまったのです。そのことへの若干の「拘り」もあったのかもしれません。そんなわけで・・・5月末からこのブログ<夢見るレコード>を始めたのです。いずれにしても、僕がブログを始めたきっかけは、間違いなくあの「コラム」だったのです。ジャズへの想いを「コラム」という型でまとめる機会を与えてくれた、新納さん・・・いやDukeさんには、とても感謝しています。
そのコラムをここに再録します。この転載を快諾していただいたDukeさん、改めて・・・ありがとうございます!ジャズへの想いを正直に書いたつもりです。このガチガチ具合を笑って許してください(笑) 
Blame It On My Youth...

<全てはモンクから始まった>

~自分でもあきれるほどジャズが好きだ。休みの日には、たいていLP10枚くらいは聴く。なんでこんなにジャズが好きなんだろう?・・・よく判らない。でも<ジャズが好き>ということは、僕という人間の正真正銘の真実だ。この先、ジャズを聴かなくなるなんてことは・・・絶対にない。
これほど僕を惹きつけるジャズ。このどうしようもなく魅力的な音楽に、僕はどんな具合に、はまり込んできたのか。ちょっと思い出してみる。

・・・中3の時、マイルスデイビスをカセットに録音したのがきっかけだ。たしか週1回のNHK-FMのジャズ番組で、この日の放送はマイルス特集、DJは児山紀芳。今、思えばなぜ録音したのかわからない。その頃は、サイモンとガーファンクル、エルトン・ジョンなどを好んで聴いていたのだ。LPレコードはとても高くて、2ヶ月に1枚買えるかどうかだった。だからFMからいろんな曲を録音しては、気に入らなければそれを消去してまた使う、という感じだった。あの頃は、カセットテープも(まだTDKという名に変わる前の東京芝浦電気と漢字で書いてある真っ赤な箱のやつ)けっこう高かったし、決してムダ使いはできなかったのだ。 だから・・・名前だけ知っている「マイルス・デイビス」なる人を一度は聴いてみよう、くらいに思ったのかもしれない。いまだ鮮明に覚えているのは・・・その放送の中で、児山紀芳がマイルスの人物評として「タマゴの殻の上を歩くような」というフレーズを紹介していたことだ。そうしてその紹介のあとに流れた曲が・・・<ラウンドミッドナイト>(columbia/1956年)だ。「タマゴの殻?」そんな人物評にも興味を持ち、思わずカセットの録音ボタンを押したのだった。そんな風に気まぐれに録音した<ラウンドミッドナイト>。最初は、演奏なんかよくわからない。ただ・・・あの曲のもつムードに「何か」を感じた。そうして何度か聴くうちに、あのなんともいえない神秘的なテーマとそれを奏でるマイルスのミュートの音色が、もうグングンと僕の心に染み入ってきたのだ。さらに繰り返し聴いているうちに、マイルスのテーマが魅力的なのはもちろんだが、コルトレーンが出てくる場面にもゾクゾクしてくるようになった。そうしてラストのテーマでは、再びマイルスのミュートに戻る。このテーマに戻る場面でも、いつも気分がよくなるのだった。
「静寂」から「躍動」、再び「静寂」に戻る、という自然な流れ。何度でもまた繰り返して聴きたくなる。・・・それまでには味わったことのない感覚だった。

その少し後・・・今度は「あの曲」の作曲者、セロニアス・モンク自身のソロピアノでの「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」(vogue/1954年)を再びFMから録音した。マイルスのミュートが演出したあの曲の持つ「独特なムード」に慣れていたせいか、このモンクのソロピアノにも違和感など全く感じることもなく、いやそれどころか・・・モンクのピアノは、不思議なくらいに、本当に真っ直ぐに僕の心に入り込んできてしまったのだ。マイルスのラウンドミッドナイトは、もちろん素晴らしい。でもモンクのこの演奏には・・・もうムードなんてものを通り越して、モンクという一人の人間が、自分のあらゆる感情を吐露しているような厳しさがあった。モンクの、いや、あらゆる人が、人生を生きていく上で味わう感情・・・<挫折><孤独><哀愁>そして<優しさ><希望>・・・みたいなものが、この演奏の中に封じこめられているかのようだった。(そういう風に聴こえた)

このモンクのソロピアノのレコードは、なかなか見つからなかった。高1の夏に、東芝ブルーノートの国内プレス(ジニアス・モンク vol.1)を間違えて、買ったりしました。「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」という曲が入っている、という理由だけで買ったのだが、このLPに入っているバージョンは、モンクによる初演(1947年の3管入りのもの)だった。「なんか違うなあ・・・」とがっかりしたのだ。(笑)その年の秋だったか・・・ようやく vogue録音のソロピアノのLPが東宝から発売されたのだ。タイトルは・・・セロニアス・モンク/モンク・ランズ・ディープ(東宝) ようやく、あの「ラウンドアバウトミッドナイト」に出会えたのだ。すぐに手に入れて・・・・・このレコードは、本当に何度も何度も聴きました・・・・。runs_deep    

このLPには、ラウンド・アバウト・ミッドナイト以外にも、リフレクションズ(ポートレイト・オブ・アーマイト)、オフマイナー、ウエル・ユー・ニードントなどモンクの傑作曲が入っており、全てが気迫のこもった素晴らしい演奏ばかりです。。その中で、唯一のスタンダードの「煙が目にしみる」・・・これがまた素晴らしい!よく「モンクは変。判りにくい」とか言われるが・・・この「煙が目にしみる」みたいなスタンダードを弾くときのモンクは、一味違います。誰もがよく知っているあのメロディ、あの魅力的なメロディーをそれほど大きく崩したりはせず、謳い上げています。強いタッチなので、演奏全体にゴツゴツした「堅い岩」みたいな雰囲気を感じるかもしれませんが、それがモンクの「唄い口」です。そうしてこのモンク独特の無骨な唄い口が、却ってこの曲の持つ<哀感>みたいなものを、よく表わしているように思います。
ちょっと気持ちが弱った時なんかに聴くと・・・「おい君・・・人生ってそんなに悪いもんじゃないよ」とモンクに優しく諭されているような気分になります。

モンクの魂に触れてしまった(ように思えた)・・・ジャズにここまで深く入り込んでしまった・・・これでもう、僕のジャズ人生も決まったようなものです。この後、モンク~コルトレーン~マイルス~ミンガス~ドルフィー、ロリンズという具合に次々にジャズの巨人たちの<個性>を味わっていきました。それから、いかにモンク好きの僕としても、ずーっとモンクだけ! というわけにもいかず(笑)、ピアノでは、自然と、バド・パウエル、少ししてからビル・エヴァンス、ソニークラーク、ランディ・ウエストンなど好みになりました。特にウッドベースでは、モンク絡み(モンクス・ミュージック)とロリンズ絡み(ナイト・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード)で、ウイルバー・ウエアがもう大好きになったりしました。ちょうどその頃、大学でモダン・ジャズ研究会なるサークルに入りました。聴くだけではガマンできなくなったようです。ピアノかベースか迷いましたが、たまたまベースがいない、ということもあり、ウッドベースを始めたのです。先輩に「好きなベーシストは?」と尋ねられ「ウイルバー・ウエア」と答えたら、その先輩、「うう・・・まあそういのもいいけど・・・まずはチェンバーだよね。チェンバースを聴きなさい」とかなり動揺しておりました(笑)。

楽器を始めると、それまで遠いものに感じていたテナー~アルト~トランペット~トロンボーンなどが、うんと身近なものになり、管楽器への興味が深まっていきました。(それまではどちらかというとピアノ中心に聴いていた) そう思っていろんなレコードを聴いていくと・・・いろんなミュージシャンの音色・フレーズなどの違いにも興味が湧いてきました。ジャズはロリンズ、コルトレーン、マクリーン、ブラウンだけじゃあなかったんです!
「おっ。この人、好きだな。もっと聴きたい!」~「おお、この人もおもしろい。他のも聴いてみたい!」~「ああ、こんな人もいたのか」~ 
・・・キリがありません。そりゃあそうです。ミュージシャンの数だけ、異なる個性が在るわけですから。「個性」に黒人も白人もありません。
だから・・・どちらかというと黒人ハードバップ重量級ばかりを10年くらい聴いてきた後に、ふと手に入れたペッパーの「モダンアート」、この盤で聴いたペッパーは・・・ものすごく新鮮でした。特にバラードでの唄い口には、しびれました。チェット・ベイカーの<あまり強く吹かない乾いたような音色>にも強烈に惹かれました。シナトラの「唱」に急に感じるようになったのもこの頃です。

こうして自分がどんな具合でジャズを聴いてきたかを振り返ってみると・・・だから・・・僕のジャズの聴き方は、こんな具合に、全くの「人聴き」でした。
だから、決してジャズをスタイルで分けて聴いてきたつもりはないのですが、興味を覚えたミュージシャンを聴いてきた34年の間には、自然と、ハードバップ~バップ~ウエストコースト~ボーカルと聴く範囲が拡がってきたようです。この先は・・・バップからもう少し遡って<中間派/エリントン派>あたりに、少しづつ踏み込んでいきそうな気配も感じております。(気配って・・・自分の意思なのに、なんと無責任な(笑)) ただ、僕の場合は、ジャズへの興味が、どうしても過去へ過去へと向ってしまう傾向にあるようです。正直に言うと・・・これまでのところ、結果的には「新しいジャズ」はほとんど聴いておりません。もちろん、あるカテゴリーを偏見をもって意識的に避けたりはしてませんが、あまり好みではないミュージシャンを羅列すると・・・たまたま<新主流派>だった、とかいうことはあります(笑) 「人聴き」するタイプの僕には、「おもしろい」と感じるミュージシャンがあまり見つからないようです。

こんな風に長い間、ジャズを聴いてきても、まだ飽きない。いや、それどころか、ますます好きになってきている。聴きたいジャズはまだいっぱいある。欲しいレコードもまだいっぱいある。わおー!!!

・・・ジャズとはなんと魅力的な、しかも懐の深い音楽なんでしょうか。全てはモンクから始まったのだ・・・・・。

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2005年8月28日 (日)

<ジャズ雑感 第5回>熱いベース奏者たち(A面) ヘンリー・グライムス

音圧を聴く・・・いや、音圧を感じるウッドベース。

ジャズを聴くとき、たいていの場合、ウッドベースの動きに意識が向いてしまう。ウッドと言ったのは・・・エレベ(エレクトリック・ベース)の入ったジャズを、ほとんど聴かないからだ(笑) ジャズ聴きの最初から、そんな聴き方をしていたわけではないのだが、ウッドベースという楽器に魅せられてからは、まず「ベースを聴く」というのが、僕にとっては自然なことになってしまったようだ。ジャズを聴いていて、普通に「耳に入る」楽器は、やはり・・・その曲のテーマ(メロディー)を奏でるサックスやペット、それにピアノだろう。まず、彼らのテーマを聴き、それからアドリブを聴く。もちろん僕も、サックス奏者やピアノ弾き~彼らのテーマやアドリブを聴く。その「唄いっぷり」を聴きとろうとうする。いいアドリブには、う~ん、と唸る。でも、そういう「メロディー聴き」と同時に・・・その後ろで「なにやらうごめいている」ベーシストやドラムスの動きを聴きとりたい~彼らの「唄」も感じとりたい~と強く思うのだ。ウッドベースもドラムスも、主役を支えるリズム陣ではあるが・・・主役の背後で、ただ「さしさわりのない音」を出しているだけではなく、一個の人間(ミュージシャン)が、「何らかの意図を持って音を出している」はずなのだ。特にジャズでは!

音楽というのは・・・やはり、一種の「音響」でもあるわけで、特にウッドベースの低音の音圧やら、ドラムスのバスドラやハイハットの音というもの・・・ある意味、刺激的な「音響」というものは・・・少々でも「それを聴こう」と意識さえすれば~主メロディを聴きながらも「背後の音を聴こう」というような意識の持ち方に慣れてくれば~聴こうとしなくても「聞えてくる」ものだと思う。
ウッドベースの場合だと・・・弾き手によっての「音圧の強さ・弱さ」「ビート感の違い」「ベースラインの動き方」それからもちろん「音色の違い」などを、楽しめるようになってくる。こうして、いろんなベーシストの個性を知ってくると・・・例えば、知らないリーダー名義のレコードに遭遇した時でも、そこに知った名前のベーシストを見つければ~そのベーシストが自分の好みかどうかも加味して・・・そのレコードを購入するかどうかの判断ポイントとすることもできるのだ。ジャズのベーシスト像というと、一般的には・・・「バックに徹する」「目立たない(目立ってはいけない)」みたいなイメージが強いように思う。たしかにそういうタイプも多い。しかし、ジャズの世界には、いろんなベーシストがいる。それに、ベーシストというのは・・・案外に偏屈な人種である(笑) 一見おとなしく、バッキングをこなしているように見えても、実はその陰で~勝手に2拍3連でノリをためてみたり、ドラマーと示し合わせて2拍目に「ド~ン」と入れてみたり、ベースラインを低音域のあたりだけでさまよってみたり、高音域で遊んだり、さらに、ぐいッと音圧を上げたり、またはぐっと下げたり~などと、けっこういろんなことをやっていたりするのです(笑)
だから、ことさらベースを聞こう、などと思わなくても、そんな風なベース奏者の「主張」を、いやおうなしに「聴かされてしまう」ことも、けっこうあるものなのだ。そうして僕は、そんな個性の強い、いやアクの強いベーシストが好きだ。例えば・・・050801_003

ウイルバー・ウエア
ミンガス 
ダグ・ワトキンス  
ジョージ・ジョイナー
ジョージ・タッカー
ベン・タッカー
ヘンリー・グライムス
ジミー・ギャリスン
スコット・ラファロ
それから・・・アクが強い、という表現はちょっとあたらないかもしれないのだが・・・本当の意味で、これほど個性の強いガンコなベーシストはいないんじゃないか、と思えるこの人・・・レイ・ブラウン。

そんな僕の好みのベーシスト達。まだまだいるのだが、キリがない。これらのベーシスト、それぞれの「いい盤」を一挙にコメントしたい気もするのだが、やはりベースについては、僕の拘りの根っこなので、A面~?面として、ミュージシャンを絞って、その分ちょっと詳しく紹介していきたい。いつもクドくてすみません(笑)
今回は・・・ヘンリー・グライムスに絞って、話しを進めていきたい。

ヘンリー・グライムス。まず、その「音色」がすごい。きれいに弦が響く「ボムン・ボムン」というようないわゆるウッドベースの音色ではなく、「ベキン・べキン」と聞こえたりする。左手をガシッと押さえた上で、右手のひとさし指(あるいは中指も加えて)で、強靭に引っ張ったような音だ。おそらく強く引っかけすぎて、それでも強引に弦を弾ききってしまうから、こういう「ベキン」というような音色になるのだろう。多分、グライムスが最も影響を受けたであろう、ミンガスもおなじように「歪む音色」を出す人だ。私見だが・・・ミンガスは多分に意図的にそういう「サウンド」を出しているように思う。とにかくベースから引き出すパワーの量、というものが圧倒的に多い。さすがのグライムスも師匠のミンガスには、ちょっと負けてるかもしれない(笑) いずれにしても・・・ミンガスもグライムスも、普通にきれいに鳴らすタイプのベーシストとは、受ける感じがおそろしく違う。主張が強い。一音一音のピチカート音に「強さ」があり「アク」がある。そうしてこの人のベースソロには・・・深いソウルを感じる。

Gerry Mulligan/Reunion with Chet Baker(pacific)1958年 reuion1  

このレコードは、友人のkonken氏が、パシフィックのオリジナル盤を持っており、何度か聴かせてもらったが、やはり「凄い音」だった。管楽器もよかったが・・・とにかく、グライムスの、あの「ベキン・ベキン」のベース音が、リアルな感じで鳴ってました。(写真は konken氏提供。2ndかもしれない、との本人談あり)

僕の手持ち盤は・・・いや、盤じゃあないな(笑)・・・CD(米EMI)です。まあ、強いて言えば・・・元LPには8曲収録だが、このCDには、別テイクが大量に入っており、その分、グライムスのベースソロがふんだんに聴けるのが、まあ、ちょっとはうれしい(笑)

このレコードは、マリガン/ベイカー組み合わせの再開セッションだが、それにしても、このグループにグライムスとは・・・。かなりの違和感を覚える。音の方は・・・全体にあっさり流れるノリの中で、グライムスは、ハードにブンブンとベースをうならせて、すごくスイングしている。ソロもゴリゴリと強引に弾いている。マリガンとベイカーの「軽い音色」(好きなんですが)。その音色がスムースに流れるジャズには、普通は「差しさわりのない」タイプのベースを使うはずなんだが・・・。例えばモンティ・バドウイッグとか~それだと音楽が平板なものになる~とまで考えて、ちょっとアヴァンギャルドなヘンリー・グライムスという人を起用したのであれば・・・マリガンという人も、やはり凄い人だ。 それとも・・・このレコードの録音時に、たまたまグライムスしか空いてなかったのかもしれない(笑)  reunion2

ジャズの4ビートでのノリのポイントは、1、2、3、4拍の、2拍目と4拍目にアクセントをもってくることだ。ドラムスのハイハットも、この2拍目と4拍目に(1)、「キュッ!」、(3)、「キュッ!」とハイハットの「小気味いい音」を入れるのだ。ちなみに、この2拍目・4拍目のアクセントのことをアフタービートと呼ぶ。
さて、このグライムス。この人のベースの弾き方は、異常に2拍目・4拍目が「強い」。そこまでやらなくても・・・と思うほど、2拍目・4拍目にアクセントを強調した4ビートの弾き方なのだ。
オーディオの世界で、「音の高低」(周波数)を測定するオシロスコープというのがあるらしいが、もしも「音圧」を計る測定器があったとして、ベースのランニングの「音圧」を測れたら・・・これはおもしろいだろうなあ。僕の言う「音圧」とは、「音量」とはちょっと違う。もちろん、音圧が上がれば(上げれば)おのずと音量も上がるだろうが・・・ここでの「音圧」というのは、ベースを弾く時の右手のピチカートする時の、「指のひっかけ具合とか引っぱり具合のパワーの強さ・弱さ」みたいなものを表現しようとした「音圧」のことです。
冒頭に、「ジャズの世界には・・・本当にいろんなベーシストがいる」と書いたが、これは~ランニングの音(選び取る音階)とかソロの唄い口(フレーズ)が違うというだけでなく~この平均的なピチカートの「音圧」が<低いタイプ>、<高いタイプ>のベーシストがいて、また、その基礎パワーの中で<安定音圧のタイプ>、<強弱が大きいタイプ>がある、というような意味なんです。

それにしても・・・ヘンリー・グライムス。この人の1拍目と2拍目(3拍目と4拍目)の「音圧の差」は、相当に凄いだろうなあ(笑) まあ「ダイナミックレンジが広い」とも言える(笑)
さて、そんな「ガンコ的アフタービート死守」派のベースソロは、だから時々4ビートのランニングだけ、というのもある。ランニングだけのソロ、一見、退屈に見えるかもしれないが・・・グライムスに限っては、このアクセントの強調やら音色のハード風味のおかげで、全く退屈などすることはない。まったく・・・世の中には、本当にいろんな人間がいるものだ(笑)だから・・・おもしろい。

あと何枚か、グライムスの参加しているレコードも紹介しておきます。

ロイ・へインズ/アウト・オブ・ジ・アフタヌーン(impulse) ローランド・カークも参加しており、どの曲も快演ぞろいだが、特に<Fly Me To The Moon>でのベースソロは・・・素晴らしい!
一応、トミフラのピアノも伴奏をつけてて、いわゆるフリーではないのだが・・・グライムスという人は、ベースのソロ部分では、あまり「イン・テンポのタイム感」を重視してないようで、精神はまさにフリーだ!なんというか・・・普通のFly Me To The Moonではない(笑) この曲の持つ「ほのかな哀愁」みたいなイメージを、思い切りダークにして、ぐちゃぐちゃにかき混ぜてしまったような・・・そうしてそれをベースという楽器から「搾り出したような音」なのだ。「黒い」イメージのある、インパクトの強いソロだと思う。

Henry Grimes/Henry Grimes Trio (ESP 1026)1965年 
やはりグライムスは、地がフリーのミュージシャンなのだろう。グライムスに興味を持ち始めた頃、がんばって手に入れたのだが・・・ あんまり聴いてない(笑) ベースという楽器は・・・ある制約(例えば、4ビートというリズム)の下で、基本のバッキングをこなしながら、そのバッキングの中にどれだけおもしろいアイディアや主張をちりばめるか、あるいはベースソロにおいてどれだけ「フリーな感覚」を持ちこめられるか、というような部分に、聴いていてのおもしろさがあったりするのだ。だから、ベーシストのリーダーアルバムでベースソロが延々と続いたり、またはフリーイディオムで、ベースのモノローグ(独白)が始まると・・・たとえ器楽的には興味深くても・・・聴いていてあんまりおもしろくないのだ。(少なくとも僕には。だから、チェンバースのベース・オン・トップもあまり好みではない。同じブルーノートでも
「ポール・チェンバース・クインテット」の方が、ドナルド・バードやクリフォード・ジョーダン、それにエルヴィン!も入っており、聴いてても、うんと楽しい。ベースがテーマを弾く<ソフトリー~>にもチェンバースの気合が感じられる。やはり・・・これもエルヴィン効果なのか。)

マッコイ・タイナー/リーチング・フォース(impulse) 1963年            私見では、マッコイはこの頃が一番輝いていた。スタンダードのちょっと新らしめのモード的解釈やらオリジナルのモード曲と、マッコイ自身のピアノプレイが、うまくかみ合っており、聴いていてとにかく気持ちがいい。ドラムスもロイ・へインズで、あの乾いたスネア音とマッコイのクリアなタッチは、よく合っている。そして、ベースがグライムスである。58年の「リユニオン」の頃ほど、2拍目・4拍目のアクセントは強調されておらず、その分、全体に安定した「重い音」で鳴らしている。重い音と重いビート感のおかげで、「ひと味違う」ピアノトリオに仕上がっている。A面3曲目<Thema For Ernie>でのベースソロは~ガッツある音色をフルに鳴らして、ビート感を維持したまま、ちょっとだけハードボイルドな唄い口で弾き切っている~まったく素晴らしい。本当にいいベーシストである。

ソニー・ロリンズ/ロリンズ・ミーツ・ホウキンス(RCA Victor)
<Summer Time>のソロが好きだ。ハードな中に唄心を感じる。

050801_002ソニー・ロリンズの海賊盤~59年のストックホルムやら63年のドイツでのコンサートのライブ盤として何枚か出た~ロリンズとのトリオ編成の演奏は、どれもなかなかすごい。確信を持って4ビートを弾きこむグライムスのベースがトリオを引っ張っていく。ロリンズの大きなノリを、グライムスが支えたり、煽ったり、拮抗したりしている。これらの海賊盤の中では、1984年頃、正式?に dragonレーベルから出た Sonny Rollins Trio/St.Thomas in Stockholm(dragon)は、音質もまずまず。これは・・・1959年のライブだが、ロリンズのものすごくワイルドな面が出ている凄い演奏です。この盤は、少し後にDIW(ディスクユニオンのレーベル)からも出たように記憶している。
63年ライブ(unique盤)は、どの盤も音は相当に悪い。よほどのロリンズ好きかグライムスのマニア(そんな人おるんかいな?)
以外には、お勧めできません(笑)

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2005年8月16日 (火)

<ジャズ回想 第2回> 1971年のバート・バカラック

A&M第1作~Reach Out(1967年)「アルフィー」~絶妙の隠し味

バカラック・・・単にそういう世代なのかもしれないが・・・けっこう好きなのだ。中3だった1971年~その頃、僕はたまに買うエルトン・ジョンやらサイモン&ガーファンクルのレコードに夢中だったが、バカラックのことも(カーペンターズの曲(Close To You)などから)「ちょっといいな」とは思っていた~バカラックが来日して、豊橋から1時間ほどの名古屋でコンサートがあった。そのバカラックを名古屋まで見に行った、という同級生がクラスに2人いた。男子生徒と女子生徒である。その2人は、それぞれの親と同伴でコンサートに行ったのだろうが、クラスの連中は「一緒に行ったのか?」と冷やかしたりしていた。僕はもちろん、来日ミュージシャンのコンサートなどに行ったこともなく、まぶしい想いで彼らを見ていたが、当時からギターを触り始めていた僕は、あくまで「音楽」に興味があるのだ、という風を装い、女子生徒の方にそのコンサートの様子をたずねてみた。
彼女は~映画「明日に向って撃て」でも使われていた<サウス・アメリカン・ゲッタ・ウエイ>が、すごくいい感じで演奏されて、それで<カム・タッチ・ザ・サン>が流れてきた時は、ジワ~っと感動しちゃった~などと「目をお星様」状態にして、熱心にコンサートの様子を説明してくれたのだ。作文がとても上手で、すごく明るい女の子だった。そんな訳で・・・今でも、バカラックを聴くと、どうしても彼女のことを思い出してしまう(笑) 050801_001

《Burt Bacharach/Live In Japan(キング)GP-205》 豪華なゲートフォールド(見開きジャケ)である。録音もすごくいい感じだ。何でも録音の音質にうるさいバカラック自身が、この音を聞いて発売の許可を出したとのことだ。

このバカラックの来日コンサートの様子は、少し後でTVで放映された。家庭用ビデオなんか、もちろんない時代だ。TVで放映されるコンサートの「音源」は、とても貴重なものだったので、僕はTVのスピーカーの前にカセットデッキ(マイク付き)を置いて、その音源を録音した。あれは・・・ソニーの黒いラベルのカセットテープだったかな。そうして、それを何度も聴いた。この時のライブ盤は、キングから出たが・・・この盤を手に入れたのは、30年も経ってからである(笑) 

バカラックが1967年に発表したA&M第1作の「リーチ・アウト」。これが一番好きなんだが、長いこと、CDで我慢していた。この外盤CD(Rebound Records 1995年)も意外なほど、いい音に仕上げられていた。そうなると・・・これはもう、ぜひともオリジナルのLP盤も聴いてみたくなる。先日ようやく、オリジナル盤~といっても60年代後半のものなんで、特に価値があるわけではないだろう~Reach Out(A&M SP-4131)を手に入れた。やはり・・・期待したとおりの音だった。どの楽器の音も厚く入っていて、なにか温かみのある感じを受ける。A&Mって、音楽自体にもソフトで柔らかい流れがあり、そのポリシーによくマッチした録音だと思う。いつ聴いても「いいなあ」と感じるのだ。どうやら、僕は70年前後のA&Mの録音が好きらしい。050801_002

A面2曲目の<Alfie>~これが素晴らしい。アルフィー・・・ロリンズのアルフィーとは違うバラード風の曲だ。5~6年前だったか、女性ヴォーカルのヴァネッサ・ウイリアムス(だったかな?)がカヴァーして、ヒットしたように記憶している。そういえば・・・20年近く前だったか・・・TVの歌番組に、阿川泰子が出たときに、なぜかベースのロン・カーターがゲストで登場、その時に唄った曲が、この「アルフィー」だった。特にロン・カーターのファンというわけではなかったが、普通の歌番組に出てきた本物のジャズミュージシャンというのは、さすがにかっこよかった。そういえば、ビル・エヴァンスもこの曲を何度か録音している。とにかく・・・いい曲なのである。さて、バカラック初演(だと思う)の<アルフィー>・・・これが「凄い」・・・「粋の極致」とでも言おうか。音の中身を説明するのは、もちろんなかなかに難しいのだけど・・・やってみよう。この<アルフィー>はバラードではない。まず、ガットギターの刻みが、遅いテンポの2拍子というか、ゆったりしたサンバ風のリズムで入ってくる。そうだなあ・・・「1拍・2拍」の連続を「1234・1234」と16分でノッているようなリズムに聞こえる。そこへ、トランペットが入ってきて、あのメロディーを吹く。メロディのノリ方は、1拍=1234(昔の音楽授業風に言うと・・・1拍にもオモテ・ウラがあるので、その1拍のオモテでイッ・トオ、ウラで二ットオと声に出してみると、うまくノレる)なので、ゆったりとノッているのだが・・・その時のバックのドラムスがすごい。ドラムスが、というより、そのリズムパターンが凄いのだ! ドラムス(ブラッシュ)の方は、なんと・・・1拍=12341234と、そのまた倍にして叩いているのだ。しかもブラッシュで!だから・・・「ああ、アルフィーかあ、いい曲だ」と思ったあなたは・・・すぐに、「あれ?なんかドラムがちょっと変だぞ?」と気付くことになる。そりゃあそうだ。バックで、ドラマーが「ザワザワ」と格闘しているのだ。ところどころで、ブラッシュで刻んでいるリズムが、よれそうになったりしている(笑) 必死に刻んでいるドラマーの姿が見えるようだ。文字通り「格闘」である。無理もない。もともとゆったりの1拍を4つに分けての「16分音符割り」を、その倍の8つに分けて「32分音符割り」にしているのだから。ドラマーにしてみれば・・・大きな1拍を8つに分けるというノリ自体が厳しいところへ、相当に早いテンポのサンバを「ブラッシュだけで刻め」と指示されたことになる。これは技術的にも相当に難しいことだと思う。
とにかく・・・こんなアレンジ、聴いたことない。これが、バカラックのオリジナルのアイディアかどうかは判らない。でも少なくとも・・・いかなるドラマーでも、自らこんな風に叩きたい、とは申し出ないだろう(笑) この<アルフィー>の凄いのは~ドラマーが大変だとかいうことではなく(笑)、そんな陰の労苦に関係なく(いや、それが「隠し味」になっているのに違いはないのだが)~とても「優雅」に「ゆったりと」「小粋」に聴けることなのだ。素晴らしいアレンジである。僕は、やはり・・・バカラックが好きだ。

*Reach Out の下は、A&M2作目~《Make It Easy On Yourself(SP-4188)》 1969年 

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2005年8月 9日 (火)

<やったあレコ 第3回> After Hours Jazz(Epic) ああ、エルヴィン!

ハードバップ・エルヴィン~素晴らしいあのビート感!

何年か前に「ハードバップ・エルヴィン!」と題して、エルヴィンのレコード・リストを作っていたことがある。ハードバップ・エルヴィン!などと勝手にタイトルしたが、要は、コルトレーンとの共演以外ののエルヴィン参加アルバムのリストなのだ。コルトレーンとのエルヴィンは、もちろん凄いのだが、普通の4ビートでのエルヴィンも、これまた凄い(笑) 4ビートの場合、右手に持ったスティックで右側にセットしたトップシンバルを叩く~基本は「チーン・チーキ・チーン・チーキ」だが、それはあくまで基本であって、バリエーションは自由~のだが、この「シンバル・レガート」の鳴り方、いや、鳴らせ方が、エルヴィンだと、もう全然違うのだ。何が違うって・・・なかなかうまくは言えないが・・・手首を柔らかく使ってなめらかに、しかも豪快に鳴らしている。そうして、どんなテンポでも「速度」を感じさせる。といっても、テンポが軽はずみに走ったりするわけではない。「速度」というのは、「速度感」のことであり、テンポが速いとか、遅いとかいう問題ではない。この「速度感」というのは、おそらく・・・一定のテンポに対し、微妙に「突っ込み気味」だったりするシンバルワークや、ちょっと「もたれ気味」だったりするバスドラ、これに、時々繰り出す「爆風のようなロールと、そのロールの響きを巻き込むように、強烈なシンコペでドカーンとくるバスドラとシンバルの強打」・・・そんなもの全体から浮き出てくるfeelingなのかもしれない。一定のテンポを、とにかく律儀にキープするだけのドラマー~例えば、コニー・ケイ。(もちろんMJQの音楽には、あのスタイルが合っているのだろう)彼と比べてみれば、いかに全体のドラミングの表情が違うものか、お判りいただけるかと思う。
とにかく・・・エルヴィンの、あのシンバルレガートからは、凄いビート感が生まれてくるのだ。そうして、「ジャズ」という音楽の中で、どこに一番「ジャズらしさ」を感じるか、というと・・・それが、このこの「ビート感」なのだ。
同じように、凄いビートを感じさせるトニーのシンバルレガート。しかし・・・トニーとエルヴィンでは、ビートの質感が違う。トニーのレガートは、「爽快」だが、エルヴィンのレガートには、もう少し「重さ」がある。トニーのスピード感というのは、例えば・・・50kmの速度を、125ccのバイクでキビキビと走る感じか。
そうして、エルヴィンは・・・速度は同じだとしても、トルクに余裕を感じさせる400ccでゆったりと、しかもキレを保ったまま走る、というような感じか。もっともエルヴィンの場合、バイクというよりも、「野生の馬」で、自由自在に草原を駆け巡るようなイメージの方が似合ってる。何かに「乗る」というのを「ライド:ride」というが、「リズムに乗る」という状態も「ride」表現しているようだ。エルヴィンのシンバルレガートからは、文字通り、この「ライド感」がたっぷりと感じられる。そうだ、それにトップシンバルのことを「ライド・シンバル」ともいうじゃないか。エルヴィンのレガートは・・・聴いていてとにかく、気持ちがいいのだ!ひょっとしたら、ジャズを聴く上での「快感No.1」じゃないだろうか。
そして、そんなエルヴィンの「快感」を味わうには、コルトレーンとの諸作よりも、素直な「ハードバップ・エルヴィン」の方が最適なのだ。思いつくレコードを何枚か挙げてみる。

050801_001After Hours Jazz (Epic ) LNー3339
この盤は、いろんなセッションからのオムニバスだ。例の「Jazz Data Bank」(拙ブログ~月~日の記事)の「トミー・フラナガン」の項に、このレコードのジャケ写真が載っていた。その記憶を頼りに、トミ・フラ目当てで入手したのだ。だから、この盤を聴いた時、エルヴィンが入っていることを失念していた。そしてB面1曲目~サヒブ・シハブ(bs)のリーダーセッションだろうか~<Hum-Bug>を聴いて、僕は驚いてしまった。おおっ!このシンバル・レガートは!このキレ、このノリは・・・エルヴィンしかあり得ない! とすぐさまジャケ裏をチェックすると・・・やはり、エルヴィンだった。うれしい~(笑)
シハブとのセッションは、2曲のみで、もう1曲は<Southern Exposure>で、トミフラやケニーバレル、エディ・バート(tb)も参加している。 

ベニー・グリーン/ソウル・スターリン(bluenote)東芝盤
 ブルーノートにエルヴィンは珍しい。エルヴィンのライド・シンバルにのって吹きまくる太っい(ぶっとい)音色のトロンボーン。無骨いテナーのジーン・アモンズも負けてはいない。2人ともディープなソウルに溢れている。
そんな重量感のある管奏者たちにキリリと絡むソニー・クラークのピアノがチャーミングに映える。バラードの「That’s All」は、思い切ったスロウなテンポだ。情感あふれるソニー・クラークのソロも絶品。これは、本当に好きな1枚だ。

クリフォード・ジョーダン/ストーリー・テイル(jazzland)Wave盤
ジョーダン(ts)とソニー・レッド(as)の2管にロニー・マシューズ(p)かトミー・フラナガン(p)が入る。61年録音なので、(私的には)
僕の思っているハードバップより少し新しい感じかもしれない。新しい・・・というのは、要するに「モードっぽい曲」が多い、ということだ。
割と急速調の曲が多いが、2管でモード、ということで、なにか後のエルヴィンのコンボのサウンドの原型のような感じも受ける。
ソニーレッドも好きなアルトだ。マクリーンほどではないが、音色が、充分に「濃くてドロドロ」している(笑) うれしくなってしまう。050801_003 

ところで・・・エルヴィンのドラム音というのは、レコードでは、どうも「抑え目」に録音されていることが多いように思えてならない。
JJ ジョンソンと演ってるColumbiaの録音では、特にそう感じる。おそらく、録音ディレクターが、エルヴィンの「音のあまりの大きさ」に驚いて、思わず(録音技術上)入力レベルを下げてしまったのでは? と邪推したくなるほど、ドラム音が「遠い」。遠くて小さい。残念である。このジャズランド盤でも、若干、その傾向を感じる。その点、インパルスは偉い!エルヴィンのヴォリュームを基準として、他のレベルを合わせてる感じで、ドラムスが主役といってもよさそうだ。

最後に、オマケとして・・・僕がリストアップした「ハードバップ・エルヴィン!」の古い方から、1958年くらいまでの分を、ちょっと書き出してみる。もちろん完全じゃあない。録音年月もいい加減なものだ。追加情報も、ぜひコメントにて、お知らせ下さい。

1948年(と解説にあるが、そんな古いはずはないだろう)
?   variousu aritists/Swing,Not Spring (savoy) 4曲

1955年 
 7月  Miles Davis/Blue Moods (debut)  4曲

1956年
 5月  variousu aritists/After Hours (epic)    2曲
 7月  J.J.Johnson/Jis For Jazz (columbia) 4曲
11月  Bobby Jasper/~ Quartet (仏columbia)  8曲
12月  Art Farmer/Farmer’s Market (new jazz) 4曲

1957年
 1月  Sonny Rollins/~ Plays (period)      1曲のみ
 1月  Thad Jones/Mad Thad (period)       3曲
 1月  J.J.Johnson/Dial For J.J.(columbia)10曲
      Jay & Kai/ Jay & Kai (columbia)  1曲のみ(I should care)
 2月  Kenny Burrell/Blue Moods (prestige)   6曲
 2月  Thad Jones/The Magnificent vol.3 (bluenote) 4曲
 2月  Thad Jones/Olio (prestige)   6曲
 5月  Paul Chambers/~ Quintet (bluenote)  6曲
 5月  Bobby Jasper/with George Wallington(riverside)6曲
 8月  Tommy Flanagan/Overseas (   )  9曲+3曲
10月  various artists/Roots (prestige)  2曲
11月  Sonny Rollins/A Night At The Village Vanguard            vol.1~vol.3(bluenote)
11月  Sonny Red,Pepper Adams,Wynton Kelly etc./Two Altos(savoy) 2曲
11月  同じ/Jazz Is Busting Out All Over (savoy)                  1曲
11月  Red Rodney/Fiery (savoy)  3曲
11月  Pepper Adams/The Cool Sound Of ~(regent) 4曲

1958年
 1月  Mal Waldron/Mal 3 (new jazz) 5曲
 3月  Pepper Adams,Jimmy Knepper (metro) 7曲
 4月  Bennie Green/Soul Stiring (bluenote) 6曲
 4月  Jones Brothers/Keeping Up With The Jones          (metro) 7曲
 ?   Hank Jones/Porgy & Bess (capitol) 10曲 
 4月  Pepper Adams/10 to 4 At The Five Spot       (riverside) 5曲
10月  Lambert,Hendriks&Ross/The Swingers (pacific)      1曲のみ(jackie)
10月  Steve Lacy/Reflections (new jazz) 7曲

1959年

 6月  Herb Geller/Gypsy (atco) 8曲
10月  Thad Jones/Motor City Scene (united artists) 
(追加)1959年~
 2月  Gil Evans/Great Jazz Standards (world pacific)
  3月  Tommy Flanagan/Lonely Town (日キング)
 3月  Crutis Fuller/Sliding Easy (united artists)                       
 5月  Randy Weston/Destry Rides Again(united artists)
 5月  Art Farmer/Brass Shout (united artists)

・・・・ああ、キリがない。この辺りでやめとこう(笑)

いつまでも現役でドラムを叩いてくれるのでは、と思ってたエルヴィンが昨年(2004年)亡くなった。エルヴィンの本当の凄さはテクニックなんかじゃない。今、演ってるその演奏を「もっとビートを出すぞ。もっともっと熱くしようぜ!」という気合いを、どの時代にも持ち続けたことなんだと思う。昨年、エルヴィンが亡くなる直前、たまたま、米オークションでエルヴィンのブルーノート盤(Liberty)に友人の代理でビッドしていた。運良く落札できたのだが、その少し後、エルヴィンの永眠を知った。僕はそのfeedback欄(オークションの取引後に短いコメントをアップするコーナー)に、こう書いた・・・<We Love Elvin Jones!We Love Jazz!>

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2005年8月 5日 (金)

<発掘レコ 第2回> 「ペレス・プラード/白熱のペレス・プラード・ショウ」(ユニオン/テイチク)

<ぅううう~ホッ!に笑う子供たち~ペレス・プラードの快感>

DSCN0808音盤コレクター系の方のブログで、「リサイクルショップでのちょっといい格安盤入手記」みたいなのを見かける。これを「猟盤」と表現していることが多い。猟盤~感じ 出てますね(笑) あまたの真性ジャンクものの中から、「ぴくっ」とくるものだけを拾い上げる。狙った獲物は逃がさない~まさに猟盤である。ただ正確には・・・「狙った」のではなく、いろいろある中からいいものを選び取る「消極的セレクト」とも言えるわけで、だからこそ・・・自分のフィルターの調整目盛りをしっかり設定しておかないと、「相対性価値観マヒ症候群」により、ついつい余分なものまで拾ってしまうことになる。これは僕自身の要注意ポイントでもある。(*拙ブログ 7月11日分<発掘レコ第1回 小林旭/大いに唄う~相対性レコード>参照)
余談だが・・・拙ブログ<夢レコ>のリサイクル探索の話しの中で、この「猟盤」という表現を使おうとしていたのだが、「猟」という字にリアリティがありすぎたので(なにかハイエナが辺りを嗅ぎまわっているような・・・それに、まさに自分もそうなんだ・・・という自覚も:笑) 「発掘レコ」という、考古学的フレイバーを感じさせる表現にしたわけです。まあでも、気分は、まさしく「猟盤」である。

オーディオや楽器のリサイクルショップ、HOはチェーンなので、僕の街に1店、すぐの隣街に1店、ちょっと離れた街までいけば、周りに5~6店はあることになる。BOの方が店数は多いのだが、BOは、基本的に本とCDのみで、LP盤は置かないようだ。HOには、仕事帰りに寄ることが多い。500円~2000円の値付け品のLP盤が主力なのだが、たいてい、どの店にも、
50円~200円くらいのLP盤やシングル盤が、「ジャンク品」として置いてある。ジャンクものは返品・交換不可!としてある。まあ元々、タダ(でなくても10枚で100円とか)で仕入れてきたものを、少しでも現金化しよう、ということなんだろう。HOでは、ほとんどジャンクものしか買わない。このジャンクの新入荷ものが狙い目なのだ。ただし・・・いつ入荷するか判らない。
HOは、オーディオ機器や楽器が主力なので、多分・・・「古いコンポ」を売り払うついでに、30枚くらいあるLP盤も、売ってしまう、というパターンだろう。時々、カウンターでLPレコードを拡げてる場面を見かける。入荷してきたレコードに値付けしている場面であろう。どういう具合に値付けが決定されるのだろうか? 僕は、レジそばの楽器やらアンプを見るフリをしながら、しばらく様子をうかがったりするが・・・黙々と作業をしているので、よく判らない。本当は、一部始終を見守りたいくらいのところだが、そうもいかない(笑) 推測だが、おそらくは・・・外見が汚くて古い(外袋のビニールが、白く濁ってるくらいの古いやつ)と~100円、ちょっとキレイなものだと300円とか、これは洋楽だってんで、500円とかの「大体の決め」があって、あとはもう、その値付けする時の個人の判断なんだろう。というのは、同じHOでも個店によって、安め・高めとかなりの差があるようなので。いずれにしても・・・究極の visual grading「見た目評価」 のはずだ(笑) 一般に、洋楽系の「キレイな盤」が、やけに高い。ところが、最近は、70年台の洋楽ロック系に2000円以上も付いており、ヘタしたらまともな中古レコード屋さんより高い、なんてこともありそうだ。さて・・・運がいいと、たまに興味をひくレコードが入ったりしている。僕の場合は、ポピュラー系のボーカルもの、映画サントラ、クラシック。それから、古い「ムード・ミュージック」や「ラテン」ものなどに、食指が動く。ロックやブルース系のベストものなんかがあれば、うれしい。もちろんジャズがあれば、もっとうれしい。

60年代の日本盤には、「外国のミュージシャンが来日した際の日本公演の実況録音」というものが、けっこうあるようだ。ジャズもそうだが、この時代は、外国からのミュージシャン来日、それ自体が、ものすごいイヴェントだったようで、大物タレントになると、日本中を縦断しながら、数多くの街で公演したようだ。「ライブ・イン・ジャパン」に、少しでも付加価値があるとしたら、レトロなものが好きな人間にとっては・・・音源の希少性だけでなく、ジャケも含めて、ちょっとおもしろい「珍盤」のように映るからだ、と思う。ヴェンチャーズの、赤い番傘をさしているジャケの「ライブ・イン・ジャパン」も、なんかいい味わいですよね。(持ってないけども)

ある時、そのHOで「ペレス・プラード/白熱のペレス・プラード・ショウ」(ユニオン/テイチク)という盤を入手した。「ペらジャケ」風造りなのにゲイト・フォールドになってるのも悪くない。オビもやけにレトロな味わいだ(笑) そのオビには・・・「マンボの王様 初の完全ステレオ実況盤堂々登場」などと謳われている。それにしても、モノクロ写真とカラーロゴのジャケ~プラードの、目がすわってしまったような顔つきも、ちょっと怖い(笑)・・・多分、音楽に入り込んでいる状態のショットなのだろう。 でもこのジャケ、なかなかいいじゃないか。クレジットによると、<昭和40年7月29日:大阪 サンケイ・ホール録音>(レコーディング:吉田悦造)となっている。 DSCN0809
見開きの内側には、全メンバーの楽器演奏中の写真、この実況録音の良さをほめる小川正雄の解説もあり、全体に丁寧な造りを感じる。
さあ、聴いてみた・・・これが実に「いい録音」なのだ! こう・・・なんというか・・・いかにも目の前にホールが広がっているような感じ~この時代のステレオ録音が目指したであろう「臨場感のステレオ録音」なのだ。
嫌いじゃない音だ。子供の頃、よくラジオから流れていた、あの「変な曲」~マンボNo.5~あれももちろん演ってる。あの曲が聞こえると、いつも笑えてきたような記憶がある。「う~~~ほっ!」とかの掛け声が、笑いを誘ったのだ。昭和の時代には・・・あの「ほっ!」のたびに、日本中いたるところで、小学生が笑っていたに違いない(笑)

このライブでは、2曲ほど演奏した後、プラードは、片言の日本語で(いかにもローマ字を読んでます・・・うまく読めませんが・・・こんなでいいでしょうかね?という雰囲気を漂わせながら) 「おおきに」などと言ってる。この日本語挨拶に、聴衆はお約束の大喜び。 そうして・・・場の雰囲気が一気に和んでいく。その様子がよく判る。連続で日本に来ていただろうが、それにしても、ショウマンシップの塊りのような人だ。プラード楽団自体が楽しそうに「ノッている」様子だ。楽団の演奏もさすが巧いし、こなれている。こういうライブ盤て・・・悪くないぞ。。録音が聴きやすいいい音質なのでA面を通して聴いてしまった。この僕が「マンボ」をちゃんと聴けるなんて・・・。たまにFMで、マンボやルンバ、タンゴを聴くが、正直に言うと・・・ラテン音楽の持つあまりの濃厚さに、ちょっとついていけない感じがある。1965年で、このノリだったら、やはり黄金時代でのプラード~元祖のマンボNo5の頃の音楽は・・・さぞかし、
すごい「密度」だったんだろうなあ、と慄(おのの)いてしまう。 僕もいつか、こっち方面の音楽にもハマッていくのだろうか(笑) 
ああ・・・音楽ってほんとに底なしだあ・・・。

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2005年8月 1日 (月)

<やったあレコ 第2回>                   ジョー・バートン/Subtle Sound(Joday)

ついつい聴いてしまうピアノトリオの盤~ジョー・バートン

050502_004Joe Burton というピアニスト。あまり話題にならないピアニストだが、ジャズ批評42号<ジャズ・ピアノ vol.1>に、紹介記事がのったことがある。
ビル・エヴァンスも真っ青な耽美派~みたいな内容だった。自分の大好きなエヴァンスを引き合いに出され、しかもエヴァンスよりいい、というようなニュアンスの紹介に、僕は少々「むっ」としたが、それ以来、ジョー・バートンというピアニストが、気になる存在になっていた。
その何年か後、91年発売の「キングレコード最後の名盤シリーズ」の何回目かに、このジョー・バートンの名前があった。Jazz Pretty(Regent原盤)というタイトルだ。さらに、93年発売のMCA系音源の「幻のLP選集」には、2タイトル~Session と Here I Am In Love Againだ。共に Coral 原盤だ。Here I Am~のジャケは・・・ちょっとセクシーで悪くない。このシリーズは、ジャケがコーティングなしだったので、ちょっとがっかりしたが、センターラベルは、ちゃんと復刻されていた。このてのレコードに、あのMCA系の虹デザインじゃあねえ(笑) 

レコード好きにとっては・・・「音源」だけが目的じゃないのだ。ジャケの図柄やコーティング、盤の手にした時の重み、センターラベルのデザイン、これらから全体から醸し出される「古み」を味わいたいのだ。その時代の「空気」を感じたいのだ。一度だけ、1950年代後半であろうファクトリー・シールドのオリジナル盤を入手したことがある。そいつの封を開ける時・・・本当に50年代の「空気」が封じ込められているかも、などと夢想し、ちょっと匂いをかいだりしたものだ(笑) 僕の記憶が間違ってなければ・・・1972年秋から日本コロムビアや日本フォノグラム、CBSソニーなどが、ジャズレーベルを復刻し始めたのだが、その頃のシリーズでは、「センターラベル復刻」までは、なされていなかった。ビクターのリバーサイド復刻でさえも、初めの頃は「マイルストーンのM字緑色ラベル」だったのだ。あれでは、やはり気分が乗らない(笑) もっとも、センターラベルの知識がほとんどなかった当時は、何も感じなかった。後年、中古盤やらで、それらの盤を目の当たりにすると・・・かなり哀しいものがある(笑) そんな風だから、どの国の再発盤であっても、裏ジャケや、センターラベルまで忠実に復刻されていると、案外うれしいものなのだ。こういう感覚というのは、どのジャズレコード好きには共通したものだろう。
あなたは・・・雰囲気のあるジャケットから丸いレコード盤を取り出す。センターラベルの渋いデザインが目に入る。そうして・・・その vinylの円盤からは、なんと・・・「音」も出るのだ!(笑) レコードというのは、なんと素晴らしいものではありませんか!こんな具合に、レコード盤の魅力にとりつかれると・・・どうしても、オリジナル盤志向になってしまうのだ。            さて、ジョー・バートン。94年10月に「MCA幻のLP選集」の「Session」を入手。その盤を聴いてはいたが、強く印象に残った、というわけではなかった。ちょっとおとなしい趣味のいいピアニストだな、というくらいだった。その解説(滝口秀之氏)に、日本で復刻された3枚以外にも、63年頃の録音の4枚目が存在する、という件(くだり)があった。その4枚目も「思いがけず海外で復刻された」としてある。その少し後だったか・・・その「Subtle Sound」(Joday)のオリジナル盤のを見つけたのだ!こんな盤が、なぜか・・・僕の地元、豊橋のすぐお隣、浜松の中古レコードショップに「在った」のだ。ひょっとして「海外再発盤」かも?という疑惑もあるが・・・ジャケや背表紙の「古み具合」、それにセンターラベルの「溝あり」からみて、やはりオリジナル盤だと思う。それに・・・ジャケも底割れしているし(笑)
僕の「レコード購入リスト」によると・・・95年1月4日に入手している。050502_003
この「Subtel Sound」が、素晴らしかった。Subtleというのは、どうもはっきりしない単語で(それこそ、subtleじゃないか!)
辞書によれば、[微妙]とか[繊細]とか、あるいは[巧妙]とか[狡猾な]、という意味もあるらしい。ホメ言葉の場合なら、やはり「繊細」とかいう感じなんだろう。63年頃ということだと、先の3枚からは数年後の録音になる。この数年に内に、自分の「個性」を推し進めたのかもしれない。
このピアニストは・・・右手のシングルトーンにクセがある。高音を多用するのだが、そのタッチそのものは軽いが、リズムへのノリは、どちらかというと「重い」。タメた感じで、強弱のアクセントをつけながら、ちょっと長いフレーズを弾く。時には、最高音の辺りでも、タッチの強弱をしっかり意識してトツトツとフレーズを弾く。決して弾きまくる感じではない。
バラードでの思いきったスロウテンポにも特徴がある。<I’m Glad There’s You>は、スロウで始めるが、弾いたあとのコードの「響き」を充分に伸ばして、その残響を意識しながら、次の音へ入っていくような感じだ。コードの響きがちょっとエヴァンスに似ていなくもない。ジャズ批評「ピアノトリオ特集」では、こんな部分を「耽美派」としたのかもしれない。いずれにしても・・・相当に個性的なピアニストだ。ジャケットの写真を見ると・・・度のつよいメガネをかけた、ちょっと神経質そうに見える風貌だ。素晴らしいピアニストだ。

《補筆》 後日、この記事へのコメントで、「ワガママおやじ」さんと「recooyaji」さんから、僕の知らないジョー・バートンのレコード情報をいただいたので、追加しておきます。

Joday1000
Joday1001でSt Louis bluesてLP出してるみたい(ワガママおやじさん)

ROTHというレーベルに「The tasty touch of Joe Burton」というリーダー作があります。ただしトリオではなく、ギター入りのクァルテット編成です(recooyajiさん)

この店~ディスク36は・・・何年かマークしていた。2ヶ月に1回くらいは顔を出し、それ以外でも仕事で浜松に行く時にも、なるべく寄るようにしていた。LP盤中心にかなりの在庫があり、ロック系がメインの店だったが、ジャズもけっこうあった。レコードを面で見せるいわゆるエサ箱の上の方の空間に、「吊り棚」が横1面に伸びている。不人気?のジャズはそこにあった。
吊り棚の位置が高いので、そこらへんに置いてある小さい丸イスを踏み台にして、1枚1枚、左から右へチェックするのだ。(僕は決まって左から右だ) 狭い台の上での根気のいる作業はけっこう疲れる。そうして50cmほど進むと・・・踏み台にしているイスを移動しなくてはならない(笑) このレコードショップでは、他にもいろいろな、「ちょっといい盤」を入手した。97年くらいから、徐々にジャズの在庫が減り、たまに寄ってもほとんどジャズ在庫の入れ替えがない状態になったきたので、そのうちに行かなくなってしまった。まだ健在なのだろうか?

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2005年7月29日 (金)

<思いレコ 第3回> マイルス・デイヴィス/マイルス・アヘッド

なぜか・・・ふと、思い出すメロディ。

050502_002マイルスといえば、ジャズを長いこと聴き続けてきて、僕が何度も実感していることがある。それを「マイルス特効薬」とでも言おうか・・・。
レコードって、聴くのにも「ノッてる時」と「ノッてない時」があるようで、ノッてる時は、「聴きたい」と思うレコードが、迷うことなく次々にアタマに浮かんでくるのだが、そうでない時は「あれを聴こう!」というレコードが思いつかないのだ。無理やり何かを手にとってみても・・・「音がイマイチ」「ドラムがうるさい」「曲がよくない。」などと、聴く前から、なぜか否定的なイメージばかり湧いてきて、なかなか前向きな気分になってこないのだ。
こんな感じ・・・多分、レコード好きの方なら、何度も味わっているのではないだろうか。そんな時、僕は・・・マイルスを聴くのです。たいていの場合、Columbia時代の初期~中期の盤から選ぶ。どの盤でも大丈夫です(笑) マイルスさえかければ、さっきまでの「ノラない気分」は、キレイさっぱりなくなって、「ああ。ジャズっていいなあ・・・」と素直に思えてきます。

ジャズファンを長年続けていると、やはり、ある「好み」が生じてきます。僕はテナーが好き。いやアルトがいい。オレはトロンボーンが好きだ。やっぱりピアノだよ~という具合に、特定の楽器に対する好み。それから、バップ、ハードバップ、ウエストコースト、新主流派、フリーなど、それからヴォーカル。 ある種、ジャズのスタイルにもやはり好みがはっきりしてくるようです。そうしてそれぞれの好みの軸になるような「特別に好き」なミュージシャンが、現れてきたりするのです。マイナーなミュージシャン、マイナーな盤へも目が向いてくる。そうして「渋い盤」ばかり集めるようになったりする。これも実に楽しいジャズのレコード道楽だ。だが、そればかりだと、やはり、退屈してくるのだ。「渋いもの」は、ときどき聴くからいいのだ。(次回ブログのテーマ「渋いピアノトリオの盤」~近日公開予定です:笑) 多分・・・この「聴きたいレコードないない病」というのは、だれもがなりうる病(やまい)です。持っているレコードの枚数には関係ないと思う。ひょっとしたら、レコードをたくさん持っている人ほど、この「ないない症状」がひどいかもしれない(笑) 

ジャズを好きになっていく頃には・・・おそらく、誰もが素直に「ああ、マイルスっていいなあ・・・」と感じたはずだ。逆に言えば・・・そう感じた人が、その後もジャズを聴き続け、ジャズという音楽を好きになっていくタイプ、ということかもしれない。 マイルスの音楽には、いわゆる、モダンジャズの「かっこよさ」(もちろんスピリッツも含めて)が、全て備わってる、と思う。 曲(テーマ)の聞かせ方、アドリブの凄さ・おもしろさ、ジャズのビートの醍醐味(チェンバースとフィリージョー)・・・そうして、曲が終わると気付く、その見事な「構成力」と完成度の高さ。僕はマイルスの「ラウンド・ミッドナイト」をジャズ経験の、ごく初期に聴き込んだ。例えば、マイルスのミュートをかけた「深い音色」で奏でられる<ラウンド・ミッドナイト>。テーマの終わり部分になってから、終わりそうでなかなか終わらない<オール・オブ・ユー>。コルトレーンとマイルスがテーマを、タイミングをずらしながら「非ユニゾン」で吹く<ア・リューチャ>~あんなにワクワクさせられた音楽ってそうはない。それから「カインド・オブ・ブルー」~僕はこの盤を高1の夏に買ったので、そのひと夏、何度も聴いた。そうして、その夏の終わり頃に聴く、この<フラメンコ・スケッチ>には、何かこう・・・胸がしめつけられるような切ないようなものを感じたりした。

そんなわけで・・・聴きたい盤が見つからない時には、マイルスさえ聴けば、もう理屈ぬきに「モダンジャズ」の音世界に入っていけるのだ。 だから、「聴きたいレコードないない病」の「特効薬」は、僕にはマイルス・デイビスなのだ。もしあなたが「ないない病」にかかったら、マイルスが特別に嫌い、ということでなければ・・・ぜひマイルスを聴いてみてください。すかっとしますよ、きっと。その後に、ガーランドでもハンコックでも、もちろんコルトレーンでも、あるいは、キャノンボールでも。それにビル・エヴァンスへ走ってもいいかも。マイルスという大きい幹には、あらゆる枝葉がくっついている。ジャズ聴きが長くなり、知らぬ間に枝葉の方にばかり拘ってきて、そんな時、ジャズを聴くのに疲れてきたら・・・たまには、幹にすがりついてみる。目をとじてその太い幹に腕をまわしてみるのだ。よどんでいた気分は、たちまち、リフレッシュされ、再びジャズを聴く意欲が湧いてくる。

そんなマイルスのあまたのLPの中で、特に好きなのが、これだ。マイルス・デイビス/マイルス・アヘッド(columbia/CBSソニー)普通の日本盤です(笑) もう1枚は、80年後半(by「夜明けさん」コメント情報。Thanks!)に出た「ステレオ盤」(米columbia)これがオリジナルステレオ録音ということで、すっきりしたいい音質だ。全曲が別テイクとの説もあるようだが、はっきりしない。今では、モノ盤より、このステレオ盤の方を聴くようになっている。050502_003右側の1枚は「ポギーとべス」(英盤)ジャケのデザイン、案外悪くない。音もまずまず。

仕事でクルマ運転中とかに、ふと思い出したりするメロディがある。たいてい、その時には・・・ただメロディだけが浮かんでくる。そうしてその曲を包んでいる「雰囲気」を思いだす。ところが・・・その曲名が出てこない。「ああ・・・あのメロディだ。何かで聴いてる。絶対、持ってるLPだぞ・・・何だったかなあ・・・」その曲名は、だいぶ後から唐突に「ぽんっ」と思い出したりする。というより「そのLP」が何であったか、を思い出すのだ。また、何げなくLP盤を聴いてる時に「ああ・・・あの曲はこのLPに入っていたのか」ということもある。とにかく・・・どのLPかさえ思いだせば、こっちのものだ(笑) 

そんな経験をよくする。そして、その「音ネタ」が、なぜだか・・・マイルスが多いのだ。マイルスの吹くメロディの一節が、そのサウンド全体のイメージと共に「プお~」とアタマの中で鳴ってくるのだ。今では、鳴った瞬間に「ああ、あれだ」だ、と判るが、そうなるまでに、何度も繰り返された「メロディ」がある。
それが、この「マイルス・アヘッド」に入っている<The Duke>だ。ちょっと軽妙で、しかし少しだけ哀愁を感じさせるメロディ。これが・・・よく鳴る(笑) 僕は、ジャズ好きによくあるように・・・デイブ・ブルーベックが嫌いだった。デスモンドは好きだが、ブルーベックはダメだった。ところが、このどうにも気になる曲<The Duke>の作者が・・・ブルーベックだったのである(笑) ブルーベックに<In Your Own Sweet Way>というチャーミングな曲があることは、ビル・エヴァンス絡みで知ってはいた。 それにしても、こんないい曲を書く人か・・・これは見直さねばいかんな(笑)くらいは思いました。その後は・・・ブルーベックのこと、「好き」というわけではないが、デスモンドのテーマが終わり、ブルーベックのソロに入っても・・・途中で針を上げたりはせずに、再びデスモンドのテーマが出てくるまで、我慢できるようになりました(笑) 

思いだすメロディ・・・このLPから続くことが多い。<Lament>だ。JJジョンソン作のバラードである。渡辺貞夫も大好きな(多分)曲だ。この曲も本当にいい。このメロディが聞こえてくると、何かこう・・・「キリッとした男の決意」みたいなイメージが湧いてきて、なんだか荘厳な気持ちになる。もともと、このLPは、いろんな曲が、つながっていて組曲風に聴けるようになっている。だからなのか、さらに思い出してしまうのが<My Ship>だ。 これは、案外有名なスタンダードで、マイルスは、ほとんど原メロディを吹いてるだけなんだが、この「マイルス・アヘッド」の流れに中で、聴かされると・・・何か別の曲のように聞こえる。説明しづらいのだが、「普通のスタンダード」という感じではないのだ。どうやら、ギル・エヴァンスの「哀愁アレンジ」が醸し出すあのアトモスフィア(雰囲気)に、この盤全てが、包み込まれてしまったのかもしれない。そうして、そのアトモスフィアに、マイルスの「あの音色」が溶け込んでいく・・・。どうにも魅力的な音楽だ。ああ・・・マイルスは素晴らしい・・・。

未知だったものを知っていく喜び!~たとえそれが古い時代の音源でも~  ジャズはまだまだおもしろい!(Yo氏登録商標) PS:~Yoさん。いいフレーズなので使わせてもらいました。ジャズメンも、時には、フレーズ真似しますから(笑)

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2005年7月24日 (日)

<思いレコ 第2回>ジョアン・ジルベルト/JOAO GILBERTO(ブラジル盤)

ボサノヴァが好きだ~夢見る音楽との出会い。

ジャズを好きなことにもちろん変わりはないが・・・ボサノヴァも本当に好きだ。中3の時からガットギターを触っていたこともあり、もともとアコースティックなギターの音色が好きだった。エレキ(死語か?)の音はあまり好きじゃない。だからジャズを聴くようになるまでは、ポール・サイモンのギターに痺れていたのだ。その頃、兄が東京で下宿生活を始め、帰省するたびに、大学の生協でLP盤を買ってきた。生協で買うと10%だか20%引きだったのだ。ああ、そうだ・・・レコードだけじゃなかった。050502今、ここにあるギターShinanoGuitar25というガットギターも、兄が最初に帰省した時、ハードケース付きで持ち帰ってきたものだ。G線のチューニングがちょっとだけまずいが、まあ悪くないギターだ。その生協レコードは、在庫してないものでも注文取り寄せできる、ということだったので、兄が帰省する頃になると、欲しいジャズのレコードをハガキで知らせておいて、買ってきてもらったりしていた。高1になってジャズのレコードを買い始めていた僕は、モンクのポリドール盤(2LP:モンクス・ワールド)~を真っ先に頼んだ。まだビクターがリバーサイドを復刻する前で、この2枚組は「himself」と「ミステリオーソ」のカップリングだったのだ。この盤は、名古屋の名曲堂(<夢レコ~旅レコ第2回:モンクス・ミュージック>に登場)で見かけた時に、ポリドールという会社名とレコード番号まで控えておいたものを、兄の大学の生協で注文取り寄せしたもらったわけだ。当時、ジャズ雑誌の質問コーナーなどで~モンクの名盤/himself の国内盤は出てません~などの記事を読んだ記憶もあるので、そのモンクのソロピアノ「himself」が、普通の国内盤2LPで聴ける、ということは、あまり知られていなかったようだ。1973年頃になると、米マイルストーンからtwofer という2LPシリーズが出回ってきて、prestige や riverside の音源が2LP(初期の一部はコンピレーションだが、ほとんどは、オリジナルLP音源をそのまま2枚、カップリングしたもの) その中には、モンクの「Pure Monk」(サンフランシスコ+ヒムセルフ+他LPからのピアノソロ2~3曲)というのがあった。この盤も「サンフランシスコ」聴きたさに、すぐに買ったなあ・・・。
ああ・・・話しが逸れた。ボサノヴァの話しだったんだ。モンク関わりの話しは、また別の機会にじっくりと・・・。

さて・・・兄が東京で下宿生活を始めた1971年~僕は中3で、ジャズはFMからエアチェックするのみで、まだレコード盤を買うまでにはなっていなかった。買うのはポール・サイモンやらエルトン・ジョンだった~その年末に兄が帰省する際、初めて買ってきた生協扱いのLPの中に、なぜか「セルジオ・メンデス&ブラジル66」があったのだ。これは・・・キングレコードがA&M音源から製作した「生協用?特別配布レコード」とかなんとかいう非売品で、3LPで2LP分の価格!てな企画品みたいなレコードだった。あとの2LPは・・・トム・ジョーンズだかフンパーディンクだったか(笑)・・・忘れてしまった。
この「セルメン」が、意外にも・・・気に入ったのだ。ベスト集だったのだが、とにかくどの曲も「かっこいい」。ボーカルのラニー・ホールという女性ボーカルも、なにやら「女性」を感じさせる柔らかな唄いかたで、とてもキュートな「声」だった。そんな風で、何度も聴いている内に中に Wave やら For me(タイトル違うかも?) という曲をすごく好きになった。まあでも この頃に「ボサノヴァ」なんていう音楽を意識していたわけでもなく、ただ「セルメン」として、「ああ、かっこいいなあ」と思っていたのだ。

ボサノヴァ。それをはっきりと意識したのは1975年~僕は地元の大学のジャズ研に入りウッドベースを始めたのだが~そこで4ビート以外の曲として「ボサノヴァ」というリズムがある、ということを習ったのだ。2小節に8分音符が16個並ぶ中、その独特な位置にスネアで (カツツカツツカツ、ツツカツツカツツ)てな具合にアクセントをつけるあの定型パターンもなんとか覚えた。ベースのパターン( ドゥーン・トゥ・トゥーン・トゥ、ドゥーン・トゥ・トゥーン・トゥ )もとりあえず覚えた。でも「ああ、これがボサなんだ」と実感したのは・・・置いてあった古いガットギターで、Waveというボサノヴァ曲のコードを、なんとなく弾いていた時だ。コード弾きをしていると、なぜか、すごく自然にボサノヴァのリズムに「ノレた」のだ。 その時、そばにいたベースの先輩が「お前・・・ボサノヴァ巧いなあ」と言ってくれたので、ああ・・・これがボサノヴァかあ・・・と後から納得したりした。こんな風に、ごく自然にボサの「感じ」をギターで掴めたのは・・・ずっと前から、ピックを使わず、コードをピチカット風に弾くというガットギターの奏法自体になじんでいたこと、それと・・・やっぱり、「セルメン」のおかげだろう。ボサと意識せずとも、とにかく何度も聴いていたので、ボサの「感じ」というものが知らぬ間に、僕の体にしみこんでいたのかもしれない。 とにかく・・・ありがとう、セルジオメンデスとブラジル66!~今、思えば「セルメン」は、本当にアメリカ風に洗練された、とても「インスト的」なボサノヴァのサウンド志向で、ヴォーカルは入っているが、本質的にはインストグループだと思う~ボサというものの典型を聴き覚えるのには、最適なグループだったのかもしれない。050502

そのうちにやはり・・・ジョアン・ジルベルト、僕も好きになりました。 ゲッツ/ジルベルトだけは、けっこう早くに聴いていたのだが、その時はまだゲッツばかり聴いてて、ただジョアンの唄声が「ほんわり」してるなあ・・・くらいにしか思ってなかった。80年頃に地元にラビットフットレコードという輸入盤・中古盤の店がオープンした。(2003年8月31日、惜しまれつつ閉店。)すぐそばのジャズ喫茶「グロッタ」に行く前に、この「ラビット」に寄るのがパターンになった。そのラビットで、ジョアンの「アモロッソ」など入手し、徐々に「黄昏(たそがれ)たようなジョアンの声」にもはまっていった。その頃・・・ジョアンのブラジル盤が2枚、ラビットに出た。ブラジル盤といっても、1972年頃の「再発ブラジルEMI-odeon盤」なのだが~2枚とも、ジャケが渋い。050502_001これの1960年頃のオリジナル・・・欲しいです(笑)
  
「もの思いに耽る横顔のジョアン」と
「正面を向いてる若々しいジョアン」 

ブラジルには「緑色」がよく似合う。共にいい感じのグリーンを生かした悪くないデザインだ。今、気付いたのだが、なぜか両方とも、右手を右頬につけている。ジョアンの好きなポーズだったのだろうか?まあ多分、照れ隠しに、思わずこんな風な頬杖ポーズになってしまったんだろう(笑)

~この2枚、「いいなあ・・・」と思ってるうちに、(どうしても本線のジャズばかり買ってたので)やはり、2枚とも売れてしまった。ちょっと残念に思ったはずだ。その証拠に・・・半年だか1年くらいたった頃に・・・また出たのだ、その2枚が! ジャケのスレ具合なんかから見ても、そっくり同じ盤だと思う。この前の購入者が、何らかの事情で、またラビットに売ったのだろう。運よくこの2枚と再会した僕は、今度は迷いなく、その2枚を購入した。そうして・・・この盤を・・・聴いた、聴いた、また聴いた(笑)
  
・・・全てが気に入った。録音はかなり古そうだし、ジャケからもかなりの古さが伝わってくるが、ジョアンの音楽は・・・古さなどみじんも感じさせない。まったく素晴らしいのだ。どの曲も短いのだが、あのジョアンの唄声とギターによる完璧な世界~小宇宙のようだ。あれ以上、いじりようがない。いや、いじってはいけないのだ(笑)
この頃、中村とうようがボサノヴァの本を出したり、フィリップスから(もっと他からも)ボサノヴァを盛り上げよう!みたいな動きもあり、けっこういろんな盤が復刻されたのだが、僕は2~3枚しか買わなかった。ジャズのレコードが本線だったので、なかなかボサまではフォローできなかった。それに、ジョアンジルベルトが出ない!どこからも出ないのだ!「とうよう本」によると、ジョアンの初期傑作が3枚あるらしい。2枚は入手している。あと1枚か・・・聴きたい。そんな状態の時、仕事で東京へ行った。出張から帰る日に、何をおいても時間を作って「レコード買い」をするのが、コレクターの悲しいサガだ。(笑) そんなわけで、新宿のユニオンに寄った。
そしたら・・・ここで、見つけたのだ。ふふふふ。ジョアンの「あと1枚」を。     Joao Gilberto/O Amor,O Sorriso E A Flor (東芝 EOS-40114) なんと・・・東芝から国内盤が出てたじゃないか!こんな盤があるとは、全然知らなかった。その存在を知っていて、狙っていてそれを見つけるのも、うれしいもんだが・・・全くその存在を知らずに、いきなり発見してしまった時の驚き・・そのうれしさよ・・・ああ、今日、ここに来るのがオレの運命だったんだ・・・神様ありがとう!と突然にクリスチャンになったりします(笑)
「MOR1500」というシリーズ名なので、多分、1500円盤として出たのだろう。裏解説は、伊藤勝男なる人物だ。初期の3枚の中では、この盤が2枚目にあたる、ということが判った。1枚目の有名曲<Chega De Saudade>1曲だけは、この盤にも収録されていたが、あとの曲に重複はなかった。どの曲も素晴らしいのだが、<O Pato>(ガチョウのサンバ)の「粋さ」といったら・・・。

そうだ!ジョアンは「粋」だ。ボサノヴァとは「粋」ということなんだ。こんなにも軽やかで~涼しげで~でも仄かに暖かくて・・・そうして、何より聴く人の気持ちをほっとさせる~ボサはそういう音楽だ。こんな音楽、めったにないぞ。
そうして・・・ボサはやはり、ギターでなくてはならない(笑) エレキではないガットギターでなくてはならない(笑) でもって、本当は・・・さっき説明した「定型パターン」など、あってないがごとくで、スネアのアクセントだって変えられるし、ギターのコードだって、どんな風にも「刻める」リズムなのだ。アイディアに満ち溢れた(閃きのあるミュージシャンには)素晴らしく自由な音楽なんです。

~Bossa Nova! 僕はジョアンジルベルトに、カルロス・ジョビンに、カルロス・リラに・・・感謝したい。こんなにも素晴らしい音楽を生み出したブラジルにも感謝したい。(すみません・・・ピエール・バルーのパクリです(笑)  映画好きの方ならご存知~「男と女」の中でピエール・バルーがギター弾きながらボサへの愛着を唄う場面~あれは・・・よかったですね) ああ、音楽ってホントにいいですね。

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