ソニー・ロリンズ

2008年8月 8日 (金)

<ジャズ回想 第16回>暑い日にYoさん宅に集まった(その2)

やっぱりロリンズはいい!

今回のYoさん集まりではいろんなジャズ、クラシックを聴いた。ペッパー、ゴードン、マリアーノ、フィル・ウッズの50年代ジャズの後、ちょっと「現代ジャズ」(チコ・フリーマンとアーサー・ブライス)。クラシック(プレヴィンとカラヤンの「惑星」、展覧会の絵、デュプレのチェロ、ラフマニノフの3番、チョン・キョンファのバッハ曲など)も聴いた。マイルスやフランクロソリーノ、MODEレーベルのミニ特集、「my one & only love」の聴き比べ、それから、ロック(ツェッペリンの何か)も少し。もちろん女性ヴォーカルもいくつか聴いた。エセル・エニスのChange of Scenery(capitol)、リタ・オビンク(オランダの歌手)、エリス・レジーナ。さらに、サラ・ヴォーンとクリフォード・ブラウンのemarcy盤~ブルーバック、ブラックバック、カナダ盤、日本盤BOXセット(デジタル・リマスター)~の聴き比べ。これはなかなか面白かった。
いつものことだが、こうした音聴き会を終えると、いろんな音楽の様相~そのイメージみたいなもの~がアタマの中を渦巻いて、たいていその日の夜はうまく寝付けない。翌日もなにやらぼお~ッとした感じなのだが、それは「心地よい疲れ」でもあり、なかなか悪くない。そうして、ちょっと落ち着いてから、会で聴いた曲を改めて自分の手持ち盤で聴いてみると、その曲を聴いた時の感触がリアルに甦ってくるのだ。そんな具合で、混沌としていた音たちのイメージが整理されてくると・・・その日の音盤たちを記録しておきたくなるのが僕の病気だ(笑) どのレコードもいいものばかりなので「全て」を書き残しておきたい気持ちもあるのだが、今回の(その2では)ジャズ盤で印象に残っているものをいくつか書いてみたい。

《以下の写真~「橋」以外は全てYoさん提供》
Prst_7677_j Yoさんが「じゃあ、エルヴィンを」と言って針を落とす。張りのあるテナーとバリトンの野太い音。この両者とエルヴィンのドラムスが絡みあうようなテーマの曲だ。たしかに聴いたことのあるサウンドだが、うう・・・これはエルヴィンのbluenote盤かな? いや、ちょっとbluenoteとは感じが違うようだ。それとこのバリトンは・・・bluenoteのエルヴィンにバリトン入りなんてあったかな? そうか、このバリトン・・・ペッパー・アダムスか。となると・・・あっ、そうだ・・・アダムスのプレスティッジ盤、ズート入りのあれだ!「これ、エンカウンター?」と聴くと、Yoさんが「うん」と、ジャケットを見せてくれた。このレコード・・・僕は何かの再発盤で持っているのだが、ズート目当てに聴いたわりには、そのズートがいつもの柔らかい感じとは違っているような印象を持っていた。たしかにこのズート・・・いつもよりバリバリと吹いているみたいで、ちょっと新しい世代のテナーみたいに聞こえなくもない。エルヴィンと演っているためか、1968年の演奏なので、ズートのスタイルもちょっと変わってきているのか。聴いた曲は in and out。ブルースっぽい曲だが、バリトン、テナー、それからピアノ(トミー・フラナガン)が1コーラス(12小節)づつソロを取るのだが、どのコーラスでもエルヴィンがブレイクを取る。その4小節の間、ソロ奏者は「バッキングのリズムなし」でアドリブしなくてはならない。このブレイクがあまりにも頻繁なので、最初は新鮮に感じたその「ストップ感」がちょっとくどい感じもしないではない(笑)Prst_7677
それにしても、エルヴィンのシンバルの・・・いや、スネアやらバスドラ、それら全体から湧き上がってくるような「鳴り」は・・・凄い。ただ、もともと「ドカ~ン!」と鳴るエルヴィンの「響きの全体」に、ちょっと「エコー」が掛かり過ぎていて、量感は凄いがややタイトさに欠けるようにも感じる。1968年12月の録音。そんな「エコー感」からも、engineerは・・・ヴァン・ゲルダーだと思い込んでいたのだが・・・今、手元にある米fantasy再発盤(日本ビクタートレーディング)の裏ジャケットには、Tommy Nolaと表記されていた。

もう1枚、エルヴィン絡みで聴いたのは~As9160_j
Heavy Sounds(impulse) このimpulse盤は1967年発売なので、センターラベルは「赤・黒」がオリジナルとのことだ。これは好きなレコードだ。テナーがフランク・フォスター・・・特にフォスターという人を聴き込んではいないのだが、このレコードを聴くたびに「いいテナ ーだなあ」と思ってしまう。そしてこのimpulse盤、何がいいかって・・・ベースのリチャード・デイビスがいいのである。まずギュッと締まったベースの音色が心地いい。それから、デイビスのグイグイッと引っ張るようなビート感も、そして、ソロを取るときのガッツ溢れる「唄おうとするマインド」も素晴らしい。
そういえば、リチャード・デイビスを一度だけ見た。新宿ピットインで森山威夫のライブが終わった後に、翌日行われる<リチャード・デイビスmeets 森山威夫、板橋文夫>の公開リハーサルなるものを1時間ほど見ることができたのだ。あれは・・・たしか翌日にソニー・ロリンズを渋谷公会堂で見た時なので・・・1981年だったように記憶している。As9160_2
椅子とかは片付けられてしまい、それでも残った熱心なファンが注目する中、そのリハーサルが始まる。ところが、リチャード・デイビスのベースの音は・・・細くてペンペンだった(笑) レコードで聴くあの強靭さがほとんど感じられないその貧弱な音色に、僕はもう本当にがっかりしてしまった。ところが、デイビスが10分、20分と弾き込むにつれ・・・ベースの音が徐々に「深く」なってきたようなのだ。弾き込むことでベース自体が鳴るようになってきたのか、あるいはアンプの調整をうまく合わせてきたのか、とにかく「いい音」になってきた。リハーサルなので、テーマとエンディングの合わせくらいで、ベースもソロなどほとんど取らないのだが・・・なんというか、マグマの地熱のように吹き出てきて、演奏が「徐々に熱くなってくる」ような感じだった。あの独特なグルーブ感は・・・デイビス自身の持つ底の知れないジャズマインド~そのマインドの深さが生み出す凄さだったのかもしれない。リハーサルであの具合なら・・・これは本番では、さぞや・・・と思わせてくれるリチャード・デイビスであった。
ちなみに、私見では、この日、いくつか聴いたチコ・フリーマンとの名コンビのべーシスト~セシル・マクビーとよく似たタイプだと思う。音色の質、ビート感、マインド・・・好きなタイプのべーシストである。
さて、このHeavy SoundsからYoさんが選んだのは~shiny stockings。これは文句なく、いい曲だあ!(笑)この有名曲・・・実はフランク・フォスター自身の作曲である。
Heavy Sounds(impulse)は、先ほどのEncounter(presitge)とほぼ同時代の録音なのだが、「録音」という観点で比べると、僕はこのHeavy Soundsの方が、うんと好きだ。フォスターの(たぶん)しっとりした音色も自然な味わいだし、デイビスのベースのタイト感もよく録れている。そして何よりもエルヴィンのドラムス・・・その全体の鳴りが~もちろん「でっかい鳴り」ではあるが、過剰な強調感がない(ように感じる) こちらもimpulseなので、録音はVan Gelderかと思いきや・・・今、僕の手持ち盤(再発のグリーンラベル)でチェックすると、Bob Simpsonだった。この人、オスカー・ピーターソンの「リクエスト」の名エンジニアである。

Lps_2 ロリンズの「橋」をかけてもらった。このレコード・・・僕は長い間、日本盤で聴いていたのだが、ようやくRCA VictorのLSP盤(ステレオ)を入手した。自分の荒っぽい装置で聴いても「かなりの鮮度感」と思ったので、ぜひYoさん宅のいい装置で聴いてみたかったのだ。
where are you?を聴く。ロリンズのテナーの音が、その音の輪郭がググ~ッと余韻を持って拡がる。「エコー」で拡がるのではなく、ロリンズ自身がおそらくテナーを揺らして音色の音場を拡げている・・・そんなソノリティ(「音の響き具合」というような意味合いか)を感じる。時に、ロリンズが音をベンド(音程を微妙に上げ下げするような感じ)させる辺りの表現力・・・これには参ってしまう。あの上げ下げは・・・おそらく、マウスピースに通す息をわざと詰まるようにしてベンドさせているのだろう。そんな「小技」だけでなく、とにかく全編がロリンズ独特の音色によるロリンズの「唄」になっている。う~ん・・・これは気持ちいい!このwhere are you? は、ロリンズのバラードでは最高かもしれない。(笑)ジム・ホールの控えめな音量だが、キュッと芯のあるギターもいい音で鳴っている。以前からRCAのステレオ録音は好きだったが、この「橋」は、自然な質感の、しかし充分に音圧感を持った本当にいい録音だと思う。
次に、Yoさん手持ちのモノラル盤も聴いてみる。モノラル盤もやはりいい音だ。つまったような感じもなく、テナーの音も伸びやかに拡がるし、ウッドベースの厚み・音圧感は、やはりモノラル盤の方に分がありそうだ。
私見では、RCA Victorは、モノラル盤でもステレオ盤でも、音質の感じに大きな違いはないように思う。音質の傾向としては、過剰な色づけが少なくて、どの楽器の音もしっかり録られている感じがして、実に聴きやすい音だと思う。録音エンジニアは、Ray Hallだ。RCA Victorステレオ盤のいいところは・・・モノラル盤に比べても各楽器の音圧感がほとんど落ちないまま、ピシッと各楽器が定位されることで、僕はロリンズのテナーが右寄りから振りかぶってくるようなステレオ盤が好みである。

もうひとつ、Yoさん手持ちのロリンズのVictor盤を聴いた。Lsp_3355_j
The Standard(LSP:ステレオ盤~こちらもengineerはRay Hall) である。my one & only loveをかける。実はこの前に、ちょっとした「my one & only love」特集があり、チコ・フリーマン(Beyond The Rain)、リッチー・カムーカ(mode盤)のmy one & only loveを聴いていたのだ。そしてロリンズのこの曲~意外な感じがするが、ピアノがハンコックなのである。
僕は「このmy one、いいんだけれど、ハンコックのピアノがなあ・・・」と隣にいたkonkenさんに言うと・・・「合わないだけじゃないですか?」とクールな反応であった。ロリンズとハンコック・・・確かに「合わない」(笑)たぶん、他ではない取り合わせである。久しぶりに聴いたこのmy one & only love~ ゆったりと音をいつくしむように吹くロリンズはやっぱり素晴らしいじゃないか。良くない印象だったハンコックのピアノも、左手のハーモニーがちょっと「新しい感じ」で僕の好みとはちょっと違うが・・・切れのいいタッチがいい音で録られており、案外に悪くなかった(笑)Lsp_3355
このStandard~これも実にいい音だった! これではRCAのロリンズは全てステレオ盤で揃えたくなってしまう。そういえば、ブログ仲間のbsさん<Blue Spirits>で、うんと以前から「RCA期のロリンズは凄い。ぜひステレオ盤で聴いてほしい」という内容の記事を書かれていた。今回、「橋」と「スタンダーズ」のステレオ盤を続けて聴いてみて、bsさんの得たであろう感触を実感できた。
そして、もっと実感したのは・・・僕はやっぱり、ソニー・ロリンズを大好きなんだ!ということかもしれない(笑) 

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2008年6月 4日 (水)

<ジャズ回想 第14回>4回目の白馬は雨降りだった。

2008年5月~杜の会in白馬

毎年、この時期になると、ひとつ楽しみなことがある。長野県白馬で行われるニーノニーノさん主催の「杜の会in白馬」である。2005年の第1回から数えてもう4回目だ。今年は、関西からのYoさん、Musashi no papaさんに、愛知・静岡組の~recooyajiさん、konkenさん、マント・ケヌーマーさん、そして僕:bassclef~6人が合流してのクルマ旅となった。1369astaire
5月24日(土)集合場所の伊勢湾自動車道「刈谷ハイウエー・オアシス」にて、うまく合流できた我々6名は「やあやあ」と挨拶を交わす。papaさんとは3月の藤井寺以来だが、recooyajiさんとマントさんは、papaさんと初対面となる。「杜」で知り合ったお仲間が初対面する時・・・ちょっとおもしろい現象が起きる。「~です」と事前に聞いていたはずの名字を言いあっても、なかなかピンとこないのだ。それで「recooyajiです」と「杜」でのハンドルネイムを発声すると・・・「ああっ、recooyajiさんですかあ!」と、描いていたその人のイメージが、今、目の前にいる生身の人間と劇的にマッチする~という仕組みなのだ(笑) そういえば、2005年に初めて「洗濯船」1Fのあの食堂に入って行った時~すでにほとんどのメンバーが集合しており談笑していた~僕が「bassclefです」と言うなり、皆さん「ああ~っ」と反応してくれたなあ。そして全員(ほとんどの方が初対面)が名字+ハンドルネイムで自己紹介をすると、不思議なほどに打ち解けてしまうのだった。

さて、なごやかになった6名に気合が入る。「いざ、白馬へ!」
最初の運転はpapaさんだ。昨年、僕が失敗した土岐ジャンクションでの<伊勢湾自動車道~中央自動車道>も巧く乗り継ぎ(あたりまえか:笑)中津川の長いトンネルも抜けていく。こういう長いトンネルは6人でワイワイやってると早いけど、1人だと本当に長く感じる。しかもあの「微妙に暗めのオレンジ色」あれがいけない。あんな風にトロ~ンとした色合いでは・・・どうしたって眠くなるじゃないか(笑) Yoさんのワゴン車も3500ccでパワーに余裕があるのだが、papaさんは運転も相当に巧いようで、緩やかに続く登りカーブでもスムースな走りだ。そういえば、さっきYoさんが「papaさんはA級ライセンスを~」と言ってたな。僕は最後列でkonkenさんと隣合わせだ。ちょっと新しめのテナーの音が流れている。「これ、誰だろう?」「判らん」「わりと最近の録音だろうね」てなジャズ雑談。なにしろ、2人とも新しい録音のジャズをほとんど聴いてないのでよく判らないのだ(笑) スピーカーが後列にもあり、けっこう大きめな音量だったので、ちょっとだけヴォリュームを下げてもらった。その時のpapaさんとYoさんの反応で~音を下げろということは、あいつら、マレイを気に入ってないな・・・というような会話に違いない(笑)~このテナーが「デビッド・マレイ」だと判った(笑)そういえば、マレイについては・・・3月のYoさん宅でも、papaさんお勧めの2~3タイトルを聴いたばかりだ(笑)
お昼前までになるべく行けるところまで行っておきましょう~という作戦にしたので、ほとんど休憩を取らない。その内、マレイのCDが一巡したらしく同じ曲が流れるので「そろそろ替えましょう」などと最前列助手席のYoさんにお願いする。後はバルネなど聴きながら・・・あれ、もう松本近くまで来ているじゃないか。朝の集合が早かったこともあるので、梓川SAでちょっと早めのお昼休憩。
次の運転はマントさん。マントさん、仁科三湖辺りのクネクネ道でもけっこう飛ばす。クルマがよく走るので嬉しいのだろう。 マントさんに後から聞くと、あれでも抑え目に走ったと言うところが、ちょっと怖い(笑) だんだんと曇ってきているようで、なんとかガマンしていたような雨が、ついにパラパラと降り始めた。この辺りまで来ると、左側には槍ヶ岳とかの景色が素晴らしく広がるはずなのだが、そんな山々の姿もほとんど見えなくなってしまう。まあいいか・・・どうせ我々は山歩きをしにきたわけではない。
そんなこんなで、2時過ぎには「洗濯船」に到着。幹事役のSPUさんとパラゴンさんが笑顔で出迎えてくれた。会が始まる前に、皆さんのレコードを見せてもらうのも楽しみのひとつだ。僕はpapaさんに声をかけて、papaさんコレクションから見せていただくことにした。papaさん、今回はパーカー10インチを遠慮して(笑)他の貴重盤をたくさん持ってきてくれた。食堂のテーブルにずら~っと並べる。パラゴンさんがヴォーカル好きということで、ヴォーカルの珍しい盤をいくつか~キティ・ホワイトの見たことのない盤(emarcy盤ではない) ピンキーのvantage盤など・・・挙げていけばキリがない。あの辺りだと・・・ヴォーカル好きが見たらマイってしまうだろうな。僕はやはりインスト中心なので、ペッパーのdiscovery 10インチ盤2点にどうしても目がいってしまう(笑) これは・・・聴いてみたい! 食事の後の地下JBLルームでの第3部の時「ぜひ」とお願いした。
そうこうしてると、ワガママおやじさん、Dukeさん、千葉xyzさんも到着した。千葉xyzさんとpapaさんは今回の白馬が初参加だ。「洗濯船」オーナーのMさんも加えて、さあ・・・これで、今回の参加者12名が揃ったじゃないか。御大Dukeさんが一言~「ちょっと早いですが揃ったので始めましょうか」外の雨もだいぶ強くなってきたようだが・・・今から、ひたすらレコード音楽に耳を傾ける我々には関係ないか(笑)

第1部「トーク・タイム」(14:45~17:15)地下JBLルーム
ワガママおやじさんと不肖bassclefのトーク~各1時間づつたっぷりと語らせていただきました(笑) 昨年の「白馬:杜の会」からこの新企画が始まった。事前に指名された方が、60分ほど時間を頂いて、自分の選曲とコメントを皆さんに聴いていただくのである。テーマは全くの自由。昨年の白馬では、洗濯船MさんとYoさん。秋の杜では、パラゴンさん、recooyajiさん、Gamaさんが、この「トークタイム」を通して、自己の音楽原点的心情を吐露したのだった。その秋の杜の宴会の時、パラゴンさんから「2008年白馬トークタイム」のご指名を受けてしまったのだ。
好きなレコード(演奏)を掛ければいいのだよ~と思ってはみても、いざ「お前が好きなようにやれ」と言われると・・・案外、迷うものなのである。それに、あまりマニアックに過ぎるのもなあ・・・などとあれこれ悩んだのだが、結局はジャズジャイアントの隠れた名演~みたいな線でいこうと決めた。白馬直前のワガママおやじさんの「杜」への書き込みでも、同じような迷いがあるらしいことが判った。自分の好みで選曲できる「トーク」は楽しいけど、けっこう大変なのである(笑)

2008_0116s90000013_3 <ワガママおやじさんのトーク>
S&Gの「サウンド・オブ・サイレンス」を巡っての話し~
ポールサイモンが独りで吹き込んだSimon Before Garfunkelというアルバム。確かアメリカでは発売されずに、日本だけで発売許可されたというレコードである。このSimon Before Garfunkelは、僕にとっても思い出の1枚だ。中3の時だったか・・・このCBSソニーのLPを入手して、それはもう聴きまくったものだ。この「サウンド~」ギターのアルペジオで始まるイントロこそ、おなじみのパターンなのだが、唄の出足~hello darkness, my old friend~ポールは、怒ったようなぶっきらぼうな調子で唄い始める。ちょっとボブ・ディラン的というか・・・感情を抑えたようなポールの静かな気迫を感じる唄い出しだ。このレコードでは全曲、伴奏は自分の弾くギターだけ。しかし、そのシンプルさが、かえってポールの音楽(S&Gではなく)の骨格を見事に浮き彫りにしたのかもしれない。唄いながら、ギターを叩き、足を踏んでリズムを取るポール。この「サウンド・オブ・サイレンス」・・・抑えていた彼の内に秘められたいろんな感情がモロに溢れ出てしまったような、素晴らしい唄とギターであった。この「独りS&G」を初めて聴いた方も多いようだったが、誰もが感銘を受けたようだった。このPaul Simon Song Bookについての、ワガママおやじさんの記事はこちら、http://ameblo.jp/d58es/day-20080116.html それと、mono-monoさんの記事http://mono-mono.jugem.jp/?eid=195
67camperさんの記事http://blog.goo.ne.jp/67camper/e/0dfa2c93fde73f44354648646df7d583もおもしろいです。

おやじさんのトーク後半は「後期の2008_0524s90000013_2リー・モーガン」特集だ。1965年のCornbreadから、1968年のCaramba、1971年のBobby Humphrey(女性フルート奏者)への客演、それから映画「真夜中のカウボーイ」のサントラEPなどをかけてくれた。「真夜中~」これ、ハーモニカのトゥーツ・シールマンがメロディを吹いていて、ちょっとムード歌謡っぽいモーガンのトランペットが軽くアドリブする~という珍品。僕はもちろん初めて耳にした。他の4000番台のLPも正直なところ、全て初めて聴いたものばかりだ。僕はどうしても「ハードバップ」的なサウンドが好きなので、1965年の「コーン・ブレッド」での、ちょっと大人しい・・・というより弱々しい、しかし妙に存在感のあるテナーの音色が気に入った。そのテナー奏者は・・・ハンク・モブレイなのであった!
*このワガママおやじさんのトーク内容については、「こだわりの杜」へのご自身の書き込みがありましたので、ここに再掲させていただきます。
(以下斜体字部分)2008_0606s90000004_2
《トーク自体は再現出来ませんが、お聞き頂いた曲を羅列しますね。実はトーク、下原稿ではS&G中心で考えてました。サウンドオブサイレンスの3パターン、ブックエンドから一曲を挟んで明日に架ける橋で、S&Gバージョンとアレサ・フランクリンバージョンを掛けて、JAZZを一曲二曲で組み立てていたのですが、2008_0606s90000005_4 それでは余りにマズかろう云うことで、当日はアンディーウィリアムス一曲とポールサイモン/ソングブックからサウンドオブサイレンスを!
JAZZからは「コーンブレッドとそれ以降のリーモーガン」に焦点を当ててみました。コーンブレットB面。どん底の時期のリーモーガンの演奏からEPミッドナイトカーボーイ。2008_0606s90000002_2キャランバからヘレンズ・リチュア、 そうあのヘレンへ捧げた曲。ボビィーハンフリーのフルートインからサイドワインダーをお聞きいただいて、締めは恩人でもあろうベニーゴルソン・アンド・フィラデラルフィアンズからカルガリー。 この時点で時間オーバーだったので演奏時間の短いカルガリー選んだけど、アフタヌーンインパリの演奏がお勧めです》
《以上5点の写真・盤~ワガママおやじさん提供》

さて、僕:bassclefの方は「ジャズジャイアントの隠れた名演」みたいな流れに決めたのだが、セレクトにあたっては、ちょっとだけ捻って<中編成・ビッグバンドをバックに気持ちよく吹くサックス奏者たち>というのを、一応のテーマとした。トークは1時間という枠があるので、曲順くらいは決めておかないと・・・ということで、ズボラな僕としては珍しく原稿らしきものを用意した。原稿と言っても・・・曲名、時間、ステレオ/モノラルの区別。録音年、録音エンジニアのデータ・・・あとは一言コメントくらいのものなのだが。
まあ・・・実際に話しを始めたら、やはり原稿を棒読みするというのも、とても不自然なものなので(笑)結局はいつものように、思いついたことを話しているうちに、つい長くなってしまったようだ。だから何曲かはカットせざるを得ませんでした(笑)
それでは以下~僕の悪戦苦闘の記録として(笑)ちょっとDJ風にアレンジした<白馬でのbassclefのトーク>を載せておきます。
もちろんこの通りに話したわけではありませんが、話しのニュアンスは、だいたいこんな感じだったはずです。なお時間が不足したので、8番のグリフィンと9番のゲッツは、かけられませんでした。

<bassclefのトーク>
今日は、まあ・・・テナー&アルトの特集です。サックス奏者の名演はあまたあるんですが、今回はちょっと捻りました(笑)
というのは、コンボではなく「ビッグバンドや中編成コンボをバックに気持ちよく吹く名プレーヤーたち」というのを一応のテーマとして、その辺りでまず好きなもの・・・そして、できるだけ録音が優秀かな・・・と感じているレコードからセレクトしてみました。あまりにもマイナーなミュージシャンは避けて、有名どころのちょっと渋いレコード・・・という趣ですかね。サックスばっかりではおもしろくないので、一部、トランペット奏者のフューチャリング曲も混ぜました。それから、ステレオ盤・モノラル盤・レーベルなども、できるだけ混ぜ混ぜにしてみました。Fox

1. I wished on the moon 1961年ステレオ
    エディ・ロック・ジョー・デイヴィス/The Fox & The Hounds(RCA victor)バックのリズム陣までくっきりと録られた録音もなかなかいいです。 (engineerは、mickey croffordという人) 曲は・・・思わずワクワクするようなアレンジにのって、ロック・ジョーが楽しそうに吹く I wished on the moonにしましょう。ロックジョーというテナー吹きは、飄々とした感じが堪りませんね。なお、アレンジャーはBobby Platerという人です(ライオネル・ハンプトン楽団~ベイシー楽団でロックジョーと仲間) ビッグバンドはNYのトップジャズメン17人としかクレジットされてませんが、多分、ベイシー楽団でしょう。だとすれば、ベースはエディ・ジョーンズだと思います。

Les_brown_jazz_song_book 2. let's get away from it all 1959年 ステレオ
     レス・ブラウン楽団/Jazz Song Book(coral)
次は、ズートといきましょう! レス・ブラウンというのは、わりとポピュラーっぽい楽団だと思いますが、このアルバムでは、巧いソロイスト(フランク・ロソリーノ、ドン・ファーガキストら)を、Song_bookうまい具合に配分していて(各3曲づつくらい)、充分にジャズっぽいアルバムだと思います。ズートの誠にスムースなフレージングと、あっさりと乗る軽い感じが気持ちいいですね。
《ここでPapaさんから、「このアルバムはいいですよ」とうれしい一言。Papaさんはモノラル盤をお持ちとのこと。僕の手持ちはピンクラベルのプロモだ》

3.   round about midnight 1959年 モノラル
     アート・ペッパー/プラス・イレブン(contemporary)
このレコード、オリジナルを持ってないので、今回はYoさんに借りました(笑)このレコードは最高! まず演奏がいい。アレンジもいい。そして・・・録音もいい!(roy dunan) ジョー・モンドラゴンのベースも重い音で録られています。僕はキングの国内盤ステレオで聴いているのですが、それを聴いていても「ステレオ盤オリジナル」も相当にいい音だろうな~と推測できます。ステレオ盤だと・・・ペッパーのアルトが中央に定位したまま(その音圧感が全く落ちずに) ベースとドラムスが左右に分かれてオーケストラは後ろから・・・というような定位になると思います。このレコードでは、ペッパーのテナーが3~4曲聴けるのですが、ここはやっぱりアルトということで(笑)
bernie's tune のペッパーのソロも素晴らしいのですが、同じようなテンポの曲が続いてしまうので、ここはスロウもの~ A面4曲めのround about midnightにしました。アレンジャーは、マーティ・ペイチです。

4.   day in day out 1961年 モノラル/ステレオVerve_2
Terry Gibbs Dreamband (contemporary)
モノラルのオリジナル盤はこちら~verve V-2151:The Exciting~ですが・・・このcontemporary盤は、1990年発売の新発見ステレオ・マスターなので、少々こじつければMain_stem、このLPを「ステレオ盤オリジナル」と呼ぶこともできます。このレコード・・・とにかく録音が抜群! エンジニアは、あのwally heiderです!ではA面1曲目の day in day outを。
短いソロは・・・コンテ・カンドリ(tp)とビル・パーキンス(ts)です。ベースはバディ・クラークという人。音がでかそうですね(笑) ぺッパーの・・・いや、マーティー・ペイチのtampa盤に入ってた人です。

  Photo_45.  quintessence(4'14") 1961年 ステレオ

クインシーPhoto_6・ジョーンズ/クイセッテンス(impulse)
フィル・ウッズの輝くようなアルトの鳴りを。(van geldr) 曲の終わりの短いカデンツァも、ウッズの 巧さ爆発です。文句なし! 何度聴いても、このimpulse盤は気持ちがいい。

6.   isn't this a lovely day?(4'14") 1953年 モノラル 《写真・盤~konkenさん提供。この盤、実は両面ともB面のラベルが貼られていた。これが、この個体だけのミスなのか、あるいは・・・》
    
フレッド・アステア/~ストーリー(clef) 1369astaire_2
大編成ばっかりではちょっと疲れますので、ここで中休みとして・・・テーマから離れて「唄」をひとつ。フレッド・アステアのIsn't this a lovely day? を。実は・・・このレコードもkonkenさんからの借り物です(笑)
ほのぼのしたような、しみじみしたような情感が漂う名唱・名演だと思います。 優しげなテナーソロは・・・フリップ・フィリップスです。

7.  from now on 1957年 モノラル
   マーティー・ペイチ/Picasso of jazz(cadence)
もうひとつ、モノラル録音のいいやつを。cadenceというレーベルは、たぶんcolumbiaの子会社です。その cadenceの子会社があのcandidです。だからこの「Picasso」は、candidからも出たこともあると思います。渋いトランペットは、ジャック・シェルダンです。独特の沈んだような音色・・・いいソロですね。実は、アルトのクレジットがないのです。この辺りの白人系のアルトをいろいろ聴いてみました。でも・・・判りませんでした。ジーン・クイルかジョー・メイニか、あるいはチャーリー・マリアーノかな?と推理してます。ペッパーやバド・シャンクではないですね。ハーブ・ゲラー、ロニー・ラングではないような感じがします。Photo
《そういえば、cadenceレーベルの小話題として~このcadence~Dukeさんの好きなピアニスト:ドン・シャーリーの初期の作品がたくさんあるレーベルで、実はこれ、ある有名なシンガーがオーナーなんですよ・・・などと話そうかなと思っていたら、cadenceと言った瞬間に、すぐ「アンディ・ウイリアムスの・・・」と声がかかりました(笑)さすがに皆さん、よくご存知です(笑)
アルト奏者のクレジットがない話しも、それを切り出す前に、recooyajiさんから「アルトは誰ですか?」との声。やっぱりちょっと気になる、いいソロだったようだ(笑) 
《その後、PapaさんがこのレコードPicasso of jazzのパーソネルを調べてくれたようで、「こだわりの杜」へ書き込みにて知らせてくれた。
録音年月日 1957 June 7&8   Los Angels
”The Picasso of Big Band "
Pete Candoli, Buddy Childer, Jack Sheldon (tp) Herbie Haper (tb) Bob Envoldsen (vt-b, cl) Vince Derosa (fhr)
Herb Geller ( as ) Bob Cooper, Billy Perkins (ts) Marty Berman (bar) Marty Paichi (p) Joe Mondragon (b) Mel Lewis (d)
う~ん・・・あのアルト奏者は、ハーブ・ゲラーだったのか! まずいなあ、「違う」候補の3番手にゲラーを挙げていたなあ(笑)》Big_soul_band

8.  jubilation(3'53") 1960年 モノラル
  グリフィン~The Big Soul-Band(riverside) 
ちょっと「くどい」音色のグリフィンです。ベースのヴィクター・スプロウルズの音がでかそうなこと! 録音はレイ・フォウラー。

9.   bim bom(4'32") 1961年  ステレオGetz_bigband_bossa_2
     スタン・ゲッツ/Big Band Bossa Nova(verve)
これ、ジョアン・ジルベルトの曲。ゲッツのテナーもマイルドでいい。スネアのリム・ショットとかシンバルのドラムスの音とブラスのバランスが絶妙。 けっこう好きな録音です。verveですがval valentineではなくて、george kneurr&frank laicoという人です。ガットギター・ソロは・・・ジム・ホール!

10.far out east(4'30") 1958年  モノラル/ステレオ
      ロリンズ/ブラス&トリオ(metro) Photo_2
このメトロ盤がオリジナルです。これ、ようやく入手しました(笑) 長いこと、こちらのverve盤(緑色のやつ)で聴いてました。一応、VerveとしてはオリジナルのはずのT字のVerve Inc.(long playing 溝あり)盤なんですが、このverve盤は・・・音があまりよろしくない(笑) モノラルだステレオだという前に、ロリンズのテナーの音に厚みがない。鮮度感に乏しい。それに全体にやけにエコーが強いし、ドラムスやベースの音が遠い感じです。
一方、Metroのステレオ盤では~ロリンズだけが左側で、ビッグバンドとリズムセクションは右側~という、ちょっとおかしなステレオの定位ですが、何よりもテナーの音の鮮度が段違いです。生き生きしたロリンズの音が気持ちいい!1958年の好調なロリンズ! ベースのヘンリー・グライムズも重い音で録られてると思います。B面のコンボの方で比べると、ドラムスやベースの鮮度感の差がよく判ります。では・・・オリジナルのMGM盤(ステレオ盤)ではどうなのか・・・続けて聴いてみましょう。もっともロリンズらしい~と思える1曲を。Brasstrioverve
      verve盤~A面4曲目のfar out east~30"ほど
   metro盤~A面2曲目 far out east
え~と、このタイトル・・・有名なway out westのもじりだそうです(笑)
実は、このロリンズのメトロ盤・・・テナー1本のソロが入ってるんです。body & soulなんですが、1958年でのテナーソロというのも珍しいでしょう。ところが・・・すでに1948年にテナー1本のソロが存在しております。ロリンズの方(body & soul) も掛けたいところなんですが・・・最後に、この「史上初のテナーサックス1本のソロ演奏」と言われているやつを聴いていただきたいと思います。

11.  piccaso モノラル 1948年
コールマン・ホウキンスの「ピカソ」です!Photo_7
これ~THE JAZZ SCENE~mercuryからSP6枚組がオリジナル~10インチ2枚組~EP5枚組~12インチLP~という順で発売されたのだと思います。音は12インチよりEPの方が圧倒的にいいようです。このEP盤5枚セット・・・盤質も最高だし、私的にはけっこうお宝盤です(笑)
なお、ジャケットの図柄はゲッツの「plays Bacharach」に使われてましたね。では・・・1948年の「ピカソ」を。
《あらゆる希少盤をお持ちだとも思えるPapaさんが、珍しくも「う~ん・・・このEP Boxは・・・欲しい」と言ってくれたので、僕はちょっと嬉しかった(笑)まあ半分は、compliment(お世辞)だろうけど(笑)》

第2部(19:15~22:00)
毎年、食事の後に「この1曲」をやるのですが、今年は皆さんの「燃える自己紹介」の後、おいしい泡盛もだいぶん入りながらの「この1曲」で、その後、オークションへ突入。1F食堂タイムが終了したのは例年より1時間ほど遅めの時刻だった。以下、皆さんの「この1曲」をリストしておきます。

Ethel_ennis パラゴンさん~エセル・エニス(jubilee盤:Lullbies For Losers紫ラベル)金色ラベル から
You'd Better Go Now~この名曲を、エセルは、あっさり加減の唄い口で、しかし、しっとりと唄う。それとこのjubilee盤・・・普通、モノラル盤は青か黒だと思うのだが、なぜか・・・パープル!これは・・・珍しい。さっそくpapaさんの熱い視線が(笑)
《上の写真・盤はパラゴンさん提供》
2008_0606s90000003

ワガママおやじさん~Eddie Lockjaw Davis with Shirley Scottから serenade in blue
《右の写真・盤はワガママおやじさん提供》

マントさん~E・パイネマン女史(V)のドボルジャークバイオリン協奏曲

《下の写真・盤はkonkenさん提供》
1186marlenekonkenさん~Marlene De Plankの唄~Fools Lushi In
マーレーンの唄い口は・・・いつも優しい。聴いていて、理屈抜きに安らぐのだ(笑)konkenさんは、あのsavoy盤:Marleneも持っており、この歌い手のレコードをほとんど揃えているようだ。

Yoさん~Jazzville'56(dawn)からlover man(ジーン・クイル)Jazzville56
《右と下の写真・盤~Yoさん提供》
クイルもまたアルトの名手だ。パーカー、マクリーンも演奏したこのバラードを、クイルは、凄く情熱的に吹いている。フレーズ展開に破綻(はたん)をきたしそうな場面もあるのだが、その危うさがスリリングでもある。Jazzvilleこのドーン盤・・・たしかトランペットのディック・シャーマンのいいバラードも入っていて、いいオムニバス盤だと思う。


洗濯Mさん~高木麻早「ひとりぼっちの部屋」~「い~まあ~ッア」と声を思い切り伸ばした後に、短く「アッ」と声を切るところが素晴らしい(笑) 

Dukeさん~ダイナ・ワシントンの初期の10インチ盤からI want to cry 
~生々しい声が印象的。この10インチ盤は30分後にオークションにて、Musashi no papaさんがゲットした。そのpapaさんのコメントを以下。
《白馬の杜でDUKEさんからオークションで譲って戴いたダイナ ワシントンは素晴らしいレコードでした。8曲のうち特に気に入ったのが杜で流された I want to cry でした。チェックしたみると1948年10月16日ロイヤルルーストNYでの録音でバックのペットはガレスピーのようです。この1曲は素晴らしい。私のお気に入りになりました》

PaPaさん~ドイツのアルト奏者~ミハエル・ナウラ
(フィル・ウッズにも似た感じの名手だった。vibraphoneはWolfgangという名だけ覚えてますが、あれは・・・チェット・ベイカーともsandra盤で共演しているWolfgang Lackerschmidなのかな?)
《以下、訂正》
Papaさんからのデータを以下。リーダーのミハエル氏をアルトだと勘違いしてました。ミハエル氏はピアノ、アルトはペーター・レインケという人でした。
ヴィブラフォン奏者も、ウオルフガング違いでした(笑)
Michael Naura Quintet(German Brunswick 87912)
Michael Naura(p)      
Peter Reinke(as)      
Wolfgang Schluter(vib)   
Wolfgang  Luschert(b)   
Joe Nay(ds) 

千葉ZYXさん~テクノっぽいやつ(曲名失念。ごめん!)

SPUさん~Clifford Brown&Max Roach (emarcy) Img_0011_5
10inch盤から delilah。Img_0016_4






ローチ/ブラウンのemarcy盤では、たしか・・・これだけが10インチ盤とのことだ。《写真・盤~SPUさん提供》

recooyajiさん~スリーキャッツ「黄色いさくらんぼ」(日本コロンビア)25cm盤

bassclef~クリフォード・ブラウン「ブルー・ムーン」(emarcy EP盤)

<第3部~地下JBLルーム 夜10時30分~1時30分頃まで>白馬第3部
ある意味、この第3部が最も楽しい時間である。というのも、ここでは皆さんが、いわば「本音盤」を掛けるので、毎年、印象に残るレコードが飛び出るのだ。今回は・・・タイトル・順番など、どうにも記憶があやふやである。皆さんの飲まれたアルコールがJBLルームに気化して、それと音の洪水で・・・僕の脳髄も麻痺してしまったのかもしれない(笑)それでも印象に残っているレコード達をいくつか。

Yoさん~「聴き比べ2題」
<ハロルド・ランド~The Fox>(contemporary盤とHi-Fi盤)からthe fox one down
<アート・ペッパー~Surf Ride>(savoy12インチ盤とdiscovery10インチ盤)からsurf ride

ワガママおやじさん~「ソニー・クラーク~Leapin' & Lopin'からケベック入りのdeep in a dream

SPUさん~「ウディ・ハーマン」Woodchoppers(dial)10インチ盤からit's the talk of town(ラベルにはon the townと表記)

konkenさん~アーサー・ブライスIn The Traditionからin a sentimental mood

洗濯船Mさん~サラ・ヴォーンのlullby of Birdland(emarcy)

Okpapaさん~ペップ・ボネPep Bonet(スペインのサックス奏者)この人、ちょっとロリンズ風。そんなバリバリと吹くテナーに、ちょっとヘタウマ風なピアノとベースが絡む。Papaさん、こういうヨーロッパ系の「武骨ジャズ」も好みらしい。そういえば、イギリスのディック・モリシー(ts)にも、同じような雰囲気を感じた。《写真・盤はPapaさん提供》

Jazz_vane_2bassclef~ジミー・ロウルズweather in jazz vane(andex)からsome other spring。このレコード・・・CDで愛聴してきたのだが、ちょっと前にようやくオリジナル盤を入手できた。ロウルズという人のしみじみとした持ち味がよく出ていて、好きなレコードだ。それに、Andexというレーベル・・・なかなか音がいい(笑) この頃は、こういう、日向ぼっこをしながら居眠りしているような・・・そんなまったりした感じが好きになってきた。《このandex盤はプロモ盤なのでラベルが白だ》

マントさん~DECCAでホルストの惑星(カラヤン・VPO)からジュピター。何度聴いても・・・やっぱりいい曲だ(笑)
チャイコフスキーのロミオとジュリエット(同)からロミオとジュリエット(2000番台)。DUKAS:LA PERI poeme dance'(ラージラベル)~このデュカスの曲・・・最初の金管楽器が一斉に鳴り響くあたりは、サウンドとして気持ちがよかった(笑)

千葉ZYXさん~「ToTo」のLPから(タイトル失念・・・ごめん!)
この1曲は・・・ZYXさんが茶目っ気を出して「ある大物ジャズメンが参加している」とのクイズ曲となった。昔、ローリング・ストーンズにロリンズが参加したLPのことは知っている。誰かが「楽器は?」と尋ねると・・・「いや、まあ・・・聴いてみましょう」と口ごもりながらも、小さい声で「トランペットです」とヒントをくれる優しいZYXさんだった(笑) ToToという名前は知っているが、ちゃんと聴いたことがない(笑)冒頭からギターがしばらく続いた後・・・なにやら聴いたことのあるぞ~と思える音色のトランペットが鳴りはじめる。この、ちょっとくぐもったような音色と、ためらいがちなフレージングは・・・おおっ、あれだ。「わかったあ! マイルス!」と僕は言う。「当たりです!」とZYXさん。「さすがですね」などと誉めてくれるZYXさん。でもね、ZYXさん・・・マイルスのトランペットなら、ジャズ好きなら誰でもすぐに判っちゃうんですよ(笑) それにしてもこのToToへのマイルスの客演~おそらくオーヴァーダビングなのだろうが、ソフトなロック調にかぶして吹くマイルスのフレーズには、全く違和感がない。それになんと言っても、一人の人間がそこでしゃべっているような・・・そんな説得力があるじゃないか。Img_0006_4

SPUさん~Woody Herman/Woodchoppers(dial:10inch)
毎年、夜が更けてくると異常に元気になってくるSPUさんである(笑)
SPUさん、いつもいいところを入手しているようで、いろいろと見せてくれる。ソニー・クラーク・トリオ(bluenote)にも惹かれたが、ここはやはり昼間にチラと見せていただいたダイアルの10インチ盤である。  Img_0018_3 《写真・盤~SPUさん提供》
それはWoody Hermanの10インチ盤。聞かせてくれたのが、バラードの it's the talk of town(ラベルのクレジットでは"on the town"と表記されている) これ、ウッディ・ハーマンと言っても、フリップ・フィリップスのフューチャー曲で、彼の見事なソロがたっぷりと入っている・・・これはいいっ! 
まったくフィリップスという人は、こういうゆったりしたバラードを吹かせると、もう独壇場である。僕の好きな「フィリップ風」がゆったりと謳いあげる。ううう・・・これは、垂涎盤だあ!(笑) フィリップス好きの僕にとっては、この夜のMIV盤(most impressive vinylという勝手な造語です)は、このダイアル10インチ盤である。

《下の写真・盤~ワガママおやじさん提供》
2008_0323s90000014_5ワガママおやじさん~Sonny Clark/Leapin' & Roapin'(bluenote)NYラベル
お勧めはやはり・・・deep in a dream。さすがワガママおやじさん、ジャズのコアなところをご存知だ。この「リーピング~」チャーリー・ラウズとトミー・タレンティンの2管入りセッションが主なのだが、この1曲:deep in a dreamだけは、アイク・ケベックのテナー1本。そしてこれが実にいい。ソニー・クラークのバラードを弾くときの独特なロマンティックな感じ・・・そのイントロからしばらくはピアノのソロが続く。「あれ、これ、テナーは?」と皆が思ったころ・・・ケベックが「ずず~っ」と忍び込むような気配で吹き始める(笑)、ソニー・クラーク/アイク・ケベック~2人の音が醸し出す雰囲気と、この曲の、ちょっとセンチメンタルな雰囲気が見事にマッチしている。このバラードは、やはり絶品と言わねばなるまい。

Yoさん~<ハロルド・ランド:Foxの聴き比べ>
《以下6点、ランドとペッパーの写真・盤~Yoさん提供》The_foxhifi_6

ランドのThe Foxは、もともとHi-Fiレーベルへの吹き込み(1960年)だが、一般的に知られているのは、contemporaryの緑ラベル(1968~1970頃)として再発されたものだと思う。僕もその緑ラベルを愛聴していた。そういえば・・・第1回白馬の時に、Yoさんとランド話題になり「Foxはいいよね」みたいな話しになったな。そのYoさん、最近、FoxのHi-Fi盤を入手されたとのことで、じゃあ、あのcontemporary盤とどんな具合に違うのか・・・
という流れになっていた。Yoさんによると、contemporary盤は「いつものcontemporaryらしい、自然な質感のいい音」なのだが、Hi-Fi盤(モノラル)は、全く音造りが違うとのこと。簡単に言えば、あまり西海岸っぽくないそうである。Fox_hifi
最初にHi-Fi盤から~まずジャケットがいい。暗めの赤色、灰色、黒色などが太い筆でググッと塗りたくってあるだけの抽象絵画っぽいジャケットなのだが、中身の音の力感みたいなものが感じられるのだ。A面1曲目のThe Fox B面のOne Down を聴く。各楽器の音がメリハリのハッキリした太い輪郭で、全体的に音が強い感じだ。パーソネルを知らずにパッと聴いたら・・・イーストの黒人ハードバップだと思ってしまうだろう。もっとも・・・このThe Fox~ランドもエルモ・ホープもリズムセクションもみんな黒人だし、実際、こういうハードバップ的な4ビートジャズをやっているバンドのサウンドに、東海岸と西海岸で、それほどの違うがあるはずもないのだが。ただ「録音の感じ」の違いは・・・明らかにあると思う。その「音の感じ」で言うと・・・Hi-Fi盤では「ジャズが強く聴こえる」ように感じたのだ。ピアノのエルモ・ホープの叩きつけるようなタッチも、相当に迫力あるガッツあるタッチとして鳴った。いずれにしても、Hi-Fi盤の音は、モノラル盤と言うことも含めて・・・魅力的なジャズのサウンドではあった。なおHi-Fi盤の録音は1959年。録音エンジニアは・・・Art Becker & David Wiechmanとなっている(contemporary盤の裏ジャケに表記あり)

Foxcontemporay 次にcontemporary盤~この緑ラベル・・・何度も聴いているので僕には親しみがある。裏ジャケの解説はLeonard Featherで、1969年10月としてあるので、発売は1969年か1970年だろう。
さて「緑ラベルのステレオ盤」だ。一聴・・・ランドのテナーが少し細くなり(と言ってもそれは悪い意味ではない)音色もややソフトな感じになった。ドラムスの「鳴り」が全体的に「すっきり」してきた。音楽全体の鳴り」として・・・たしかにやや軽くなったような感じはする。しかし・・・本来、ランドやフランク・バトラーが楽器から出している「サウンド」としては・・・僕はこのcontemporary盤の方が「自然」だと思う。いい意味での「軽やかさ」~僕はこの感じを「軽み」(かろみ)という言葉で表したい(笑)~が感じられるサウンドだと思うのだ。Foxcontemporay_2 う~ん・・・Hi-Fi盤もいいが、やはりこちらのcontemporary盤もいい・・・聴いている方々もそれぞれの音にに感じるところがあったようで、判断に迷っているような気配ではある。これは、Hi-Fi盤とcontemporary盤との「音造り」の違いでもあり、また「モノラル盤」と「ステレオ盤」のそれぞれの特徴(良さ)が現れた好サンプルかもしれない。ジャズ好きの「音」や「音楽スタイル」に対する好みの傾向は様々だし、そういう好みの違い方というようなことへの興味を、Yoさんも僕も持っている。そんなこともあって、どちらの音が好みか・・・というアンケートをすることになった。この場にはちょうど9名いた。僕の予想は「半々」だった。
まず「Hi-Fi盤」~4名が手を上げる。そして「contemporary盤」~これも4名。1名が手を上げてない(笑) Yoさんは決着を付けたいようだ(笑)「konkenさんは?どっちが好き?」と追求する。konkenさん「うう・・・」唸りながら「やっぱり・・・contemporaryかな・・・」 これで5対4だ。やはりほぼ半々か・・・。まあいずれにしても、実に興味深い「音の好み」の違いじゃないか(笑)

Pepper_surfride_savoy_2  Yoさん~<ペッパーのサーフライド>
さて、savoy12インチ盤(MG-12089)とdiscovery10インチ盤2点(Art Pepper Quartet 3019)と(Art Pepper Quintet 3023)
発売は、10インチ盤の3019が1952年、3023が1954年。12インチ盤が1956年と、当然のことだが、10インチ盤の方が早い発売である。Surfride
最初に掛けたのは、savoy盤12インチ~曲は急速調のsurf ride。
サックスの音にメリハリがあり、全体的に明るい感じ。とても1952年の録音とは思えないほどパリッとしたジャズの音だ。さすがにVan Gelderのマスタリングした12インチ盤だ。張りのあるジャズっぽさも充分に感じられる。
Yoさんは「うん、このsavoy盤も悪くないなあ」とちょっと嬉しそう(笑)

次に、discovery10インチ盤~これは僕の私見だが、10インチ盤というのは、時代も古い分だけ(たぶん)12インチ盤に比べると、盤質の材料やカッティングの精度において、若干のデメリットがあると思う。ただし「モノ」としての魅力~あの10インチという大きさからくる圧倒的な存在感、古み感など・・・それがそこにあるだけで、素晴らしい(笑)そう思わせてくれるほど、ある種の10インチ盤には、エモイワレヌ魅力を感じる。ペッパーのこの2枚のdiscovery盤もそんなレコードである。
《下の10インチ盤2枚~写真・盤はPapaさん提供》Discovery10inch_2_2

さて、その音は・・・? Mさんが慎重に針を下ろす。
材質・盤質からくるノイズはほとんどない。いいコンディションのようだ。
一聴・・・全体の音がおとなしい感じか。ちょっと楽器全般がくすんだような色合いになったかもしれない。ぱっと聴いて受ける印象は・・・古い写真がセピア色に染まりつつあるような・・・そんな感じに近いかもしれない。そして僕には、その「セピア色」が心地よい。ちょっと高音の方が詰まったような音なのだが、こうして2枚続けて聴いてみると、この「ちょっとおとなしい鳴り方」の方が、より自然なものに聞こえないこともない。
ドラムスのシンバルのクリアさや、それからペッパーのアルトの輝き具合においては、確かに12インチ盤の方に分があった。それでも10インチ盤の「自然な鳴り」に僕は惹かれるものを感じた。
目をつぶって「音」だけを聴けば、12インチ盤の方を選ぶ方が多いかもしれない。しかし~パーカーのダイアル盤の時にもちらっと書いたのだけど~こちらのアタマに「貴重な10インチ盤。時代的にはオリジナルの10インチ盤」という思いも入り込んでの聴き比べなので(そうならざるを得ない)そういう意味で「10インチ盤有利」になってしまうことがないとは言えない(笑)
いずれにしても、こういうのは「好み」の問題だと思う。例えば、僕自身は・・・一般的には強い音が好きなのだが、Van Gelder特有のかけるエコーが(強すぎる場合)あまり好きではない。Cimg0268
ひとつだけ確かなのは「ペッパーは凄い」ということだ(笑) レコード化の段階で、後から何をどういじったとしても、1952年にペッパー達が演奏した素晴らしい演奏(音楽)は・・・・厳然として、そこにあったわけなのだから。
《上の写真~savoy12インチ盤には収録されなかった4曲(These Foolish Things, Everything Happens to Me, Deep Purple, What's new)と、レッドの2曲を収めたArt Pepper/Sonny Redd~通称Two Altos(regent)。なるほど・・・ラベルは緑でしたか!写真・盤~Musashi no papaさん提供》

好きになったミュージシャンの音を集中して聴くのならば・・・どんな版のレコードを聴いたとしても、感じるところは絶対にあるはずだ・・・と思いたい。まあもちろん、音がいいレコードで聴くに越したことはないのだが(笑)

《写真・盤はkonkenさん提供》Photo
最後の方に聴いたのは、konkenさんの「アーサー・ブライス」in the traditionからJitterbug Waltz と in a sentimental mood。
どちらかというと古い年代のジャズが中心の会なので、こういう1970年代後半の、ガッツあるハードっぽいジャズがかかると、新鮮な感じもあり、楽しく聴けた。斜め前に座って、なにやらブライスのアルトに集中している様子のPapaさんに「こういうの好きでしょう・・・」と言うと「これは気に入りました!」と一言。Papaさんは、もちろんパーカー命のような方だが、デビッド・マレイなどちょっと新しい世代のサックス奏者も愛聴しているようだ。

そして大ラス~洗濯船Mさんが「では最後に1曲」と静かに言う。
「バ~バ・バ~ラ・バッバッ・バッバ・パ~」ああ・・・これは皆がよく知っているレコード・・・サラ・ヴォーンのemarcy盤だ!Mさんが、bluebackのジャケットがイーゼルに掲げられる。ねっとりした唄い回しのサラの声が、力感豊かに流れてくる。あのサラのアドリブ・フレーズを諳(そら)んじているらしいkonkenさんが、サラと一緒にスキャットしている(笑)酔っているので音程は覚束(おぼつか)ないが、気持ちは充分に判る(笑)
見事なまでにコントロールされたサラの声が厳(おごそ)かに流れつつ・・・2008年の白馬:杜の会は、ようやく終わろうとしているのだった。

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2008年1月 1日 (火)

<その後の夢レコ 1>ロリンズ/Newk's Time

なんとなく始めたこのブログ「夢見るレコード」ではあるが、けっこう続いている。更新ペースが月に1回ほどなので、記事数はまだ80ちょっとしかないが、それぞれの記事でそれぞれのレコードに対する思い入れを語ってきたつもりだ。始めてから2年半ほど経っているので、その後、各記事の内容に関連したレコードなどもいくつか入手している。そんなレコード達・・・期待通りだったものもあるし、そうでなかったものもあるが、記事との繋がり具合の濃いものから、思いつくまま書き足したい気分になってきた。そういえば、僕はいつも「思いつき」だけだ(笑)
(これらは<その後の夢レコ>としてトップ画面にアップした後、いずれは「追記」として各記事に組み込む予定です)

まずは・・・<旅レコ第1回>のソニー・ロリンズ/Newk's Time の「その後」からいこう!

この記事で紹介した盤は、1975年頃以降だったか、よく出回っていたUA「音符ラベル盤」で、それは、まったくコレクター的な盤ではなかった(笑)ロリンズのレコードはどれも好きだが、僕はこのNewk's Timeを特に気に入っているので、1年ほど前に、その「音符ラベル盤」より少し前の盤を入手した。これもあまりコレクター的とは言えないLibertyラベル盤である(笑)001_2・・・というのは、共にRVG刻印のないa division of Liberty時代の盤なので、いわゆるbluenoteのレベルとしては、音の鮮度がだいぶ落ちているとのことなのだ。だから、そのラベル違いなどにそれほどの意味もないだろうが・・・「a division of Libertyラベル」と「UA音符ラベル」の音質は、はたしてどれくらい違うのか? という個人的な興味はあった。
Newks《左側がLiberty盤。右側がUA音符ラベル盤。ところで、このNewk's Timeの録音日についてだが、これまでは、どのディスコグラフィ本にも1958年9月22日とされていた。ところがそれは間違ったデータだったらしく、どうやら1957年9月22日説が有力のようだ。だから近年の新しいソフト(CDなど)のデータでは、「1957年録音」と表記されていることが多いようだ。「録音の感じ」としての、この辺りの1年の差までは僕は判らない。しかし・・・演奏の感じ~ロリンズのテナーの弾み上がるような感じ、音色の丸みのある太さ~その辺りからみると・・・僕は「1957年秋の絶好調のロリンズ」の雰囲気を感じる。なにしろ、この年の11月には、あの恐るべき傑作「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」も録音されるわけなのだから

まずはジャケット~オモテもウラも全く同じ・・・左上のSTEREO文字も同じ・・・と思ったら一箇所だけだが、わずかな違いがあった。右上の文字~BLP4001のところだ。2枚とも「ステレオ盤」なのだが、「Libertyラベル」右上には、<BST84001とBLP4001の2種>が表記されているが、「音符ラベル」の方は<BLP4001のみ>の表記なのだ。ということは・・・<「Libertyラベル盤」プレス時には、たぶんステレオ盤とモノラル盤の2種が発売されていて、だから共用ジャケットにしていた~と考えられる。そして「音符ラベル」発売時には「ステレオ盤」のみプレスしたので、BLPナンバーを消した~ということではないだろうか>~などと推理していたら・・・それは、とんでもない勘違いだった(笑)Newks2
というのは・・・「音符ラベル」の方の右上表記がBLP4001となっていることがおかしいではないか。もし「ステレオ盤のみ発売」との理由で1つだけの表記にするのなら、当然、BST84001の方にするはずだ。そう思ってよくよく見てみると・・・表ジャケット全体のトリミングもちょっと違うのだ。「音符」の方がロリンズの顔がちょっと上の位置にあるように見える。そういえば、左上表記のSTEREO文字もジャケットの上辺ギリギリだ。「Libertyラベル盤」ではSTEREO文字の上に1cm弱の余白があるじゃないか・・・そして右上のBST84001文字は、そのSTEREO文字のやや上の位置に当たるのだ。ということは・・・「音符ラベル盤」で切れたSTEREO文字の上の部分・・・つまり、上辺の淵~継ぎ目(seam)を見ると・・・その狭い継ぎ目に、やはりBST84001という文字が見える。Newks3
これらを考え合わせると・・・要するにどちらも同じ写真の同じ紙を使っていたのである。そして、これは、あのマイルスの「いつか王子様が」方式である(笑)つまり・・・ジャケットサイズより少々大きめサイズの紙を使っていて、その貼りあわせが上下にずれていただけなのである。(この辺り~詳しくはmono-monoさんのブログ「いつか王子様が」ページを参照してください)
もちろん、このNewks Timeの「音符ラベル盤」全てにおいて、意図的に上方にずらしたかどうかは判らない。というより、この個体だけが「ただ、ずれただけ」の可能性も非常に高い(笑)

さて、この2枚の「ステレオ盤」・・・a division of LibertyもUA音符も、楽器の位置関係はやや不自然~ドラムスとピアノが左寄り、ロリンズも中央やや左か。ベースだけが右寄り~ではあるが、いわゆる擬似ステレオではないように聞こえる。その定位感については2枚ともほとんど同じだが、それぞれの楽器の鳴り方(聞こえ方)には、やはり違いがあるようだ。一聴して、ドラムスがだいぶ違う。「UA音符盤」では、フィリーのドラムスがシンバルやスネアが大きめに聞こえ、ドカン!と叩いた時の響き具合も拡がっている。だからドラムス全体にちょっとやかましい感じがある。
ところが「Liberty盤」になると・・・このフィリーのドラムが、うんと落ち着く。Liberty盤に替えると・・・一瞬、ちょっと迫力不足か?とも感じるが、よく聴くとドラムス全体の響きが端正で、サックス、ベース、ピアノと絡んだ時の「ドラムの響き方」としては、確実にこちらのLiberty盤の方がいいのだ。他の楽器の鳴りをじゃましてない・・・という感じとも言える。
ワトキンスのベースの鳴りについても同じような感じがあり、ベースがフューチャーされる同じ場面を聴き比べると、やはり、Liberty盤の方が「グンと音が締まっている」ので、ヴォリュームを上げてもベースの音色が崩れない。「音符ラベル」では、やはり時代が後になった分、ドラムスやベースの音を強調したのだろう。そうしてみると・・・「UA音符ラベル」の音質はあまり良くない~という説は、やはり当たっているようだ。少なくとも、このNewk's Timeというタイトルの「音符」対「Liberty」については、どうやら間違いないようだ。Newks_time
「音符ラベル盤」をたくさん持っている僕としては、やや残念ではある(笑)個人的な印象としても、UA音符ラベルよりは、日本盤(キングでも東芝でも)の方が、はるかに良いような気がしている。そりゃあオリジナルが一番いいのは判っているが・・・bluenoteは高すぎる。なんでもかんでもbluenoteというだけで上がってしまう。僕などは、そんな傾向へのやっかみ気分もあるので、bluenoteの諸作は、Liberty,UAなどの2nd、3rd、あるいは、それほど悪くない日本盤で楽しむ~というのが現実的だと思う。いろんなジャズの名演奏を味わいたいのであれば・・・「高いから聴かない」より「どんな盤でも、とりあえずその演奏を聴く」方が、よりジャズを楽しめると思いたい。むろんこれは・・・ヤセガマンではある(笑)

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2007年12月20日 (木)

<思いレコ 第14回>ペッパーのGoing Home

クラシックの曲をジャズ風に演ったものをいくつか。

002_3《ソニー・ロリンズ・クインテット(everest)  これは日本コロンビア盤。最初(1972年)に出した1100円盤ではなく、1979年に発売した1500円盤。それでも、ラベルがperiod仕様になっているところが、なんとも意地らしいじゃないか(笑)》

いやあ・・・ロリンズのこのレコード、本当に久しぶりに聴いたなあ。なんとなく「原曲がクラシック曲のジャズ演奏」というようなテーマを思い付いて、最初に浮かんできたのがこのレコードだったのだ。このロリンズ・・・なんと、チャイコフスキーの「悲愴」のテーマを使ったバラード風の演奏(Theme from Pathetique Symphony)をしているのである。今、改めてレナード・フェザーの裏解説を読んでみたら・・・ちょっと面白いことが書いてあった。
<この「悲愴のテーマ」は”the story of a starry night”というタイトルで、ちょっと前にラジオでよくかかった曲で、ロリンズは、ヴィレッジ・ヴァンガード出演中に、たびたびこの曲のテーマを吹いていた>(Sonny featured prominetly during his booking at the Village Vanguard)ということなのだ。あのヴィレッジ・ヴァンガードで「悲愴のテーマ」かあ(笑)おそらく・・・ロリンズは、ハードな演奏の合間に、この曲のテーマだけを、独りで吹いていたのだろう・・・と、僕は勝手な想像をしてしまう(笑)
このeverest盤の録音日は、1957年11月4日であり・・・ということは、あのヴィレッジ・ヴァンガードの翌日なのである。さすがのロリンズも、前夜のあの素晴らしい「ノリ」に酔っていたのだろう・・・この3曲だけのセッションでも、イの一番に"Sonny Moon For Two"も演っている(笑)リズム・セクションが手堅すぎて、前夜のドラムス、ベースから成るサックス・トリオの豪快のグルーヴ感には及ばないが、ロリンズのアドリブでは、アイディアに溢れたフレーズが飛び出してきて、やはりこのSonny Moonも素晴らしい。
ああ・・・それより「悲愴のテーマ」のことだった。1拍待ってから始まるあの有名なメロディを、ロリンズはちょっと抑えたような音色~輪郭が拡がり過ぎないような感じ~と音量で、しかし充分にゆったりと吹き始める。繰り返しの2回目では、ジミー・クリーヴランドのボントロにちょっと対位的なメロディを吹かせている。
こうして聴いてみると・・・やっぱりこの曲のメロディがロリンズの好み~ちょっと古風なラプソディックな雰囲気もあり~だったんだろうなと思えてくる。ロリンズはスタンダード曲を吹くとき、たいていはその曲をあまり捻(ひね)らない。「捻らない」というのは、そのスタンダードの持つ「雰囲気」をそのまま唄うだけなのだが・・・しかしそれがロリンズ流の唄いになってしまうのである(笑)
この演奏でも、ロリンズは「テーマの唄い」に気持ちを集中させているようで、テーマ提示が終わった次のコーラス(いわゆるアドリブ部分)からは、ちょっと変化をつけるためだろうか・・・ベースとドラムスが4ビート(1小節に4分音符を4回打つ。テーマの部分では2ビート~1小節に2分音符を2回~だった)になる。それでも、ロリンズはあまり「アドリブ」という感じで吹いてはいないようだ。テーマからの軽い崩しを混ぜて、ロリンズ流のラプソディを演出している・・・という感じかもしれない。だから・・・この「悲愴」が特に素晴らしい・・・とは僕も思わない(笑)ただふとした時に「(ウン)・パー・パー・パー/パー・パー・パー・パー/パーパ・パー~~」と聴こえたりする妙に印象に残っているメロディである。さすがにチャイコフスキーだ(笑)それにしてもこの「悲愴のテーマ」をジャズ・バラード風で演ってしまおう・・・と考えるミュージシャンも、まあロリンズくらいだろうなあ(笑)003

《右写真:Tenor Madness~ラベルは青・イカリなので、2ndか3rd盤であろう》

そういえば、ロリンズにはもうひとつ、同じ趣向の曲があった。あの「テナー・マッドネス」に入っているmy reverieである。こちらはけっこう有名だと思うが、あれ、ドビュッシーの(何だったかな・・・? Reverie「夢」あるいは「夢想」と呼ばれる)曲が原曲なのである。<azuminoさん、Yoさんの情報により判明しました>
my reverieというタイトルとしては、1930年代にラリー・クリントンという人が「作曲」したということになっており、グレン・ミラー楽団でもヒットしたらしい。こちらの方は1956年5月録音で「悲愴」よりも1年半も前の録音なのだが、ロリンズはやはり「バラード風」に吹いており、この素敵なメロディから「優しさ」みたいな雰囲気が漂ってくる。ガーランドやチェンバースが巧いこともあり、バンド全体の演奏としては「悲愴」よりもだいぶんこなれているように思う。ドビュッシーの原曲そのものがジャズっぽいアレンジにも合う曲調だったのかもしれない。002
そのためかどうか、ジャズ・ヴァージョンもたくさんあるようで、ロリンズの他にも、ハンク・モブレイ(curtain call)、バーニー・ケッセル(music to listen to Burney Kessel by)、そしてトニー・ベネット(cloud 7)などがある。もともと僕はこの曲のメロディが好きなので、どれもいい感じに聴ける。特に若い頃のトニー・ベネットのやや高めの声には、なんとも言えない色気を感じる。
《上写真:ベネットのCloud 7~そのmy reverieは、なんとA面1曲である。当時のcolumbiaのこの曲に対する意気込みが窺(うかが)われる》

そしてもうひとり・・・アート・ペッパー絡み(がらみ)のレコードについても少し書いてみたい。
ペッパー絡みといっても、リーダーはショーティー・ロジャーズで、ペッパーはほんの少し(A面5曲目のsnowballで短いクラリネットのソロ?)出てくるだけだ(笑)001 あまり知られてないレコードかもしれない。

Shorty Rogers/The Swingin' Nutcracker(RCA Victor)
LSP-2110




《アル・シュミットのメリハリあるステレオ録音だ。ひょっとしたら僕がこのレコードを気に入ったのは・・・この素晴らしい録音のためだったかもしれない(笑)》

どうやら、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」のメロディ素材を「スイングしている」ようにアレンジしたレコードのようである。僕はクラシックをほとんど聴かない。どの曲も長すぎてなかなか集中できないのだ(笑)
でも・・・名曲と言われるものは、やはり素晴らしい。クラシックの作曲家が、おそらくウンウンと唸りながら造りだしたメロディとハーモニーには、絶対的な魅力が溢れている。そうしてせっかちな僕は、そういう「魅力ある素晴らしいメロディ」の箇所だけ、聴きたいのである。「そこ」に至るまでの段取りが長いとガマンが効かないのだ。
そんなクラシック素人の僕は、どうやらチャイコフスキーが好きなようである。「くるみ割り人形」は、中学の頃、好きになった。当時、日本コロムビアが古い音源のものを「1000円LP」として発売した時、兄と小遣いを分け合い、何枚か入手したのだ。「アルルの女」とか「カルメン」とか・・・まあそんな「判りやすい」クラシック曲を、いくつか聴いていたのだ。そして今でも「判りやすい」クラシック曲だけ好きである(笑)001_3
《右写真は、ガラクタ屋で入手した古い25cm盤(日本コロムビア) 音は・・・よろしくない(笑)》

「くるみ割り人形」~「胡桃割り人形」と書いた方が感じが出る~は、組曲で、1曲1曲がわりと短めなのもよかったし、チャーミングなメロディの曲が多くて、すぐに気に入ってしまった。チェレスタを使った「こんぺいとうの踊り」や、フルートが奏でる「あし笛の踊り」、それから終曲の「花のワルツ」が特に好きだった。
そんな「馴染み」があったせいか、このショーティー・ロジャーズのLPを聴いた時・・・「あれ?このメロディ・・・聴いたことあるぞ」てな感じで、わりと抵抗なく、この「クラシック曲のジャズ化」音楽に入り込めたようだ。
それと、クラシックの曲を忠実に(「目玉のメロディ」の前後までそのまま)ジャズ(風)にしても、おそらく長々として堅苦しくなるだけだが、このロジャーズのアレンジでは、その辺りを思い切りよく「端折っって(はしょって)いるところが、僕は気に入っている。おいしいメロディの箇所だけを生かして、残りはそのアイディアをアレンジして巧いこと繋げているようなのだ。例えば「花のワルツ」をモチーフに使ったB面2曲目(Flowers For The Cats)は、なんと4拍子になっていたりする。タイトルが「スイングする胡桃割り人形」なので、仕方ない(笑)だから厳密に言うと、このレコードは「くるみ割り人形のジャズ化」ではないだろう。そういえばこのLP・・・ジャケットにわざわざ「Like Nutty」とも書いてあるのだが、それは「くるみが好き」というのと「くるみ割り人形的な」という意味合いも持たせたのかもしれない。002_5
《録音だけでなく、メンツもいい!ビル・パーキンス、コンテ・カンドリ、リーチー・カムーカ、フロンク・ロソリーノなどは、この手のセッションの常連だと思うが、ハロルド・ランドの名にちょっと驚く。短いがとてもいいランドのソロが随所に出てくる》

最後に、もう1枚。
僕はペッパーを大好きなのだが、よく聴くのは、ほとんどcontemporary期までのレコードで、彼の70年代以降のレコードを普段はあまり聴かない。ところが後期ものの中で1枚だけ愛聴しているレコードがある。それがGoin' Home(galaxy)である。004_2
《これも日本盤。近年録音のものだと、外盤と日本盤にそれほど音質の差はないように思う》

「家路」・・・ドヴォルザークの『新世界より』のいいところのメロディだけ抽出して「家路」と呼んでいるのだが、この曲のメロディ・・・知らない方はいないだろう。小学校の頃、放課後に校庭で遊んでいて、ふと気づくと辺りが薄暗くなっていて、友達の姿もぼんやりとした影のようになってくる。そんな時・・・この「家路」が鳴ったりする。
「ああ・・・みんな、もう家に帰らなくちゃ・・・」下校時間=「家路」という、実に短絡的な発想ではあるが(笑)僕は、このメロディを素朴な気持ちから「いいなあ」と思うのだった。
そういえば・・・中学の時、音楽の授業で(レコード鑑賞)いつもクールな女性の教師が「この本当に美しいメロディを聴いてください」と、やけに熱心にコメントしてから、この『新世界より』をかけたこともあった。
このレコードを、本当によく聴く。ジョージ・ケイブルスのピアノとのデュオなのだが、この形態によくある「丁々発止のフレーズやりとり」みたいな感じではなく、とても内省的な演奏になっている。ドラムスもベースもいない・・・だから、2人が2人だけの呼吸で、お互いの「間合い」を測りながら、寄り添ったり、あるいはちょっと突っ込んでみたり、しかし・・・全体に流れる空気には絶妙な「信頼」がある・・・そんな感じのデュオなのだ。
ペッパーが吹くクラリネットの音色・・・これがまたなんとも素晴らしい!
なにか「音」をストレートに出さずに、一度、口の中に含んで溜めたようなニュアンスが感じられる。ぺッパーは、その溜めた「息」を小出しに出しながら、実に抑えた感じの音色を~ベニー・グッドマンとは対極の音色だ~生み出しているのだ。そんな「押し殺した」ようなクラリネットの音色がなんとも言えず凄い。そして、その音色でドヴォルザークの「家路」のメロディを淡々と吹く。この曲、ペッパーはテーマを吹くだけである。いわゆるアドリブは全くない。ポピュラー風に言えば、最初のコーラスでは、ペッパーがテーマを吹き、サビの部分をピアノにまかせる。そして、2コーラス目はピアノがソロを弾き、ペッパーはサビから入り、そのまま最後のテーマを淡々と吹き進めて、この曲は終わってしまう。それでも、随所で情念の閃き(ひらめき)を見せるペッパー・・・僕はやはりペッパーが好きだ。それにしても、このデュオは、本当に素晴らしい。聴いているといつも・・・「原曲がクラシック」という外面的なことは全く忘れてしまう。ただただ、この2人が表出する音だけに集中してしまうのだ。ジャズを聴いている・・・という意識すら消えているかもしれない。
なにかしらちょっと滅入っている時などに聴くと・・・どうにも心に染み入ってくる。どこまでもしみじみとした、でも温かい気持ちにさせてくれる大好きなレコードだ。こういうレコードがあるから・・・ジャズはやめられない。

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