オムニバス

2015年1月 3日 (土)

<ジャズ雑感 第38回> サヴォイ盤(Savoy)は謎だらけ。

Savoy盤~MG12000番シリーズを巡ってあれやこれや・・・。

また1年が過ぎてしまった・・・もう2015年である。この<夢見るレコード>にすっかり横着になってしまった僕ではあるが、さすがにこの正月休みには何らかのジャズ話題を書いて、途切れ途切れであっても、このブログに夢を見続けてもらわないと・・・などと思ったわけである(笑)

昨年~2014年は1月と2月に、bethlehemレーベルについて記した。クリス・コナーの「大口」「小口」のジャケット違いが存在することと、それぞれのジャケット裏の会社アドレスの違い方の関連に注目しながら、「リーフラベル」と「長方形ロゴラベル」の切り替わり時期などを類推した内容だった。
その際、手持ちのbethlehem盤を引っ張り出してきて、盤のセンターラベルやジャケット裏を、かなりの時間を掛けてあれやこれやとチェックなどした。
レコード(オリジナル盤)のジャケットをひっくり返して、その会社のアドレス(住所)などをチェックして、いったい何が面白いのか・・・と自分でも思わないわけでもない(笑) 
Dscn2984_2 ≪上の写真~ミルト・ジャクソン/Meet Milt Jackson(MG12061)≫
2枚とも、番号・ジャケット図柄・センターラベル様式・ジャケット裏表記まで、まったく同じものである。だがしかし・・・写真では微妙な差だが、両方を見比べると、ともにコーティングされたジャケットではあるが、写真の質感がかなり違うのだ。左側の方がモノクロの濃淡が濃い。濃くてよりくっきりしている。そうして両方の盤を手に取ってみると・・・微妙に左側の方が微妙に重く感じる。いや、これは・・・ジャケットの重厚さからくる先入観から、そういう風に感じてしまうだけかもしれない。ジャケット写真の色合いの違いの他に、もうひとつ、ハッキリした差異は・・・うん、「濃い」方がプロモ盤だったことだ。裏ジャケットの写真の左側の方~シールが痛々しいが(笑)そのシール貼りの箇所に、よく見ると・・・SAMPLE COPY NOT FOR SALE とスタンプが押されている。そして、センターラベルにも同じ文言のスタンプが押されていたのだ。(このセンターラベルの写真でもよく見ると・・・判るかもしれない。Dscn2986_2

Dscn2987_2
≪上の2枚の写真~2枚の[Meet Milt~]のセンターラベルと裏ジャケットを並べてみた。センターラベルの色合い・溝ありは同一。裏ジャケットも同一・・・と思ったが一箇所だけ違いがあった~右側のジャケット一番下には「SAVOY RECORD CO INC 58Market~」の上に、3行ほど小さめの字で <このレコードは .001針と33.3回転で再生しないと、音溝が傷みます>みたいな注意書きが入っている。(左側プロモには、その3行は無し)≫

このミルト・ジャクソン事例のように、古いレコードを集めていると、そこに様々な事象が湧き上がってくる。同じタイトル・同じ番号のレコードなのに、ジャケットの一部が違っていたり、センターラベルの様式が違っていたり、ジャケット裏の住所やらが違っている。そうなると、それらがどのような事情から発生したのだろうか?・・・どうにも気になってくるのである。

Savoyというレーベルにもなかなか興味深いものがある。5~6年くらい前だったか、初期のミルト・ジャクソンをディグしていた時期がある。その頃、自然に集まったきたミルトのSavoy盤を並べて、ジャケットを撫でたりしながらそれらのレコードを聴いているうちに、Savoy盤全般への興味・・・というか疑問が沸々(ふつふつ)と湧いてきたのである。
(追記~自分でも忘れかけていたのだが(笑)、この<夢レコ>に、2010年2月≪Savoy赤ラベルのスタンパー≫という記事があった。ミルト・ジャクソンの参加作品 Opus De Jazz(MG12036)のモノクロジャケットとカラージャケットを揃えて、両方のセンターラベルのスタンパーの数字やX20記号のことを見比べた内容である。ぜひ、ご覧ください。
http://bassclef.air-nifty.com/monk/2010/02/31savoy-6a10.html

ごく大雑把に言うと、疑問は以下の2つ。

1.『センターラベルの色が何種類もあってよく判らない。「赤」「エビ茶」「アズキ色」などと表記されているようだが、その変遷もよく判らない』
2.『ジャケット裏(下部)の住所表記も何種類かあって、デザイン等も微妙に違い、こちらもその変遷がよく判らない』

そこで、これら疑問に立ち向かうべく、まずはSavoy MG12000番シリーズでの「赤ラベル・溝あり」を1stの型と規定して(~後述)、そこからいろいろと類推してみることにする。
さあ・・・手持ちSavoy盤の総動員だあ!(笑) 

「センターラベル」については、やはりなかなか判りにくい。一口に「赤」と言っても番号の進みに伴って、その色合いに微妙な違いが出てくるようで、ラベルをパッと見て、はっきりと認識できる違いは~「赤」「アズキ色」「茶」の3種くらいか。
これらに「溝の有無」を組み合わせて考察していきたい。Dscn2965_2
≪ちなみに、栄えあるシリーズ第1作~MG12000番は・・・ charlie parker memorial vol.1である(元音源は10インチ盤)
もちろん・・・10インチ盤も欲しいですなあ(笑)≫
*1/17≪追記≫~上の写真のこの盤・・・「センターラベルは赤・DG、住所も58Market」の、いわゆるオリジナル(12インチ盤としての)だと思っていたのだが、どうも手に持った時にずしりとこない感じとか、ジャケットの表・裏がやけにキレイで古みに欠ける感じとかに、実は・・・若干の違和感を覚えていた(笑) そんな折、どうやらこの疑惑を解消してくれる情報を得たようだ。
それは、今回の夢レコ記事にコメントを入れてくれた alfa-60さんからの情報~[”NOT LICENSED FOR RADIO BROADCAST - FOR HOME USE ON PHONOGRAPH”(10インチ盤のラベルには必ず載っている)なる文言が、初期プレスのラベル(LONG PLAYINGの下)には有るようだ]である。これは・・・気がつかなかった!ということは・・・「赤ラベル・溝有り」であっても、それが真性1st(NOT LICENSED FOR~有りを仮にこう呼ぶ) ものであるかどうかの判別には、その文言の有無が重要なポイントとなる・・・ということだ。そうして・・・自分で載せた12015(Eddie BertのMusician of the Year)の赤ラベルには、その”NOT LICENSED FOR RADIO BROADCAST - FOR HOME USE ON PHONOGRAPH”なる文言がはっきりと写っているじゃないか!
但し、この[NOT LICENSED FOR ~]・・・なかなか見つからない。僕自身のSavoy赤ラベル・DG(溝あり)30数枚の手持ちの中では・・・12006(Kenny Clarke)と 12015(Eddie Bert)の2点だけ。ちなみに、ネットに載ったSavoy赤ラベル・DG40~50点を調べたが [NOT LICENSED FOR~有り] を確認できたのは・・・たったの2点である。それが、12010(Jay & Kai)と・・・こうして追記するに至った「疑惑」の12000番~パーカーの Charlie Parker Memorial vol.1 だったのである。
この [NOT LICENSED FOR~の有無]については、今後も調査していきたい。果たしてMG12000番の何番くらいまで存在するのか?・・・興味は尽きない。


さて・・・Savoyの12インチ盤~MG 12000番シリーズは、12000~12220 まで、200以上のタイトルが連番で並んでいる(但し(後述の)リストによると、欠落しているナンバーが以下12件あり~12060, 12098, 12129, 12135, 12142, 12159, 12162, 12165~12168, 12176)
ついでに言うと、このシリーズ・・・一般には、12000~12305 となっているが、実は、12220の後、数字が一気に飛んで、12300番から 12300~12305 の6タイトルだけが加えられているのだ。
さらに言うと・・・12196~12220までは、どうやら Regentレーベル原盤の再発のようである。人気の高い jonn jenkins/Jazz Eyes(12201)、 curtis fuller/It's Magic(12209)、sonny redd と art pepper/2altos(12215)など、どれも Regent 原盤である。

Dscn2961_2 
≪この写真は~日本フォノグラム発売のサヴォイ盤 「シグナルⅡ」のライナーノート裏のMG12000番シリーズのリスト。今回、手持ちのオリジナル盤(30枚強)やキング国内盤との照合にとても役立った。この写真の後、書き込みだらけのメモ用紙になってしまった:笑≫

Savoy というレーベルについては、実は、ゴールドマイン本にもあまり詳しくは記されていない。センターラベルについては、≪1950年~1960年代のオリジナル発売のものは、maroon(ジニアス英和~くり色・エビ茶)ラベルで、1970年代に再発された頃には red(赤) or brown(茶) のセンターラベル≫ と書かれているだけである。。この表記が実にどうも判りにくい。というのは、1950年辺りから考えるならば・・・当然、10インチ盤のセンターラベルを視野に入れなければならず、そしてその10インチ盤のセンターラベルは・・・「真っ赤な赤」である。「赤」の字が重なるけど、ここは鮮烈な赤色というニュアンスを表したいがためです。お許しください(笑)
(手持ちのSavoy10インチ盤は数枚だけだが、ネットも含めて他の色のセンターラベルは見たことがなく、少なくとも「ジャズ」の10インチ盤(MG9000番シリーズ)のセンターラベルは「真っ赤な赤」だと考えられる)
1954年~1955年頃を境目に、10インチ盤から12インチ盤へと移行していったと思うが、その際、ほとんどの場合、どのレーベル会社も、まずは、10インチ盤のセンターラベルのデザイン・色をそのまま12インチ盤にも使っている場合が多いと考えるのが自然だと思う。(bethlehemレーベルの「リーフラベル」のように)
とすれば・・・Savoyの場合、やはり12インチの初めのセンターラベルは、やはり、10インチと同じ「真っ赤な赤」ということになる。

Savoy_jazz_001_2 

Savoy_jazz_002_4≪10インチ盤~フィル・アーソとボブ・ブルックマイヤー(MG15041)
~このセンターラベルこそが「赤ラベル・溝あり」の基本形だ≫

Savoyのオリジナル盤(モノラル)と言えば、やはり、red・・・つまり、あの「真っ赤な赤色」red を想起するのが普通のはずで、そしてその 『赤のセンターラベルの外周から1cmほど内側に、銀色の丸囲みラインがあり、その丸ラインに沿ってDG(溝)がある』 というのが、SavoyレーベルMG12000番シリーズのオリジナルモノラル盤に対する基本的な認識だからである。

これは僕の推測だが、そもそも、ゴールドマイン本に使われた maroon という言葉が、その後の混乱を招いているように思う。実際、ネットなどでSavoyオリジナル盤(1st)のセンターラベルへの説明表記でも~つまり、写真でははっきりした「赤ラベル・DGあり」であっても、maroon をという言葉が使われているケースも見られるのだ。普通の感覚として、maroon というより、red と呼んだ方が、やはりあの「赤」をイメージできるような気がするのだが・・・。
そして、もちろん red と表現される場合も多い。最近、見つけたケースでは、bloody red(鮮烈な血のような赤色) という言葉もあった。bloodyとは凄い表現だが、たぶん実際のセンターラベルの色合いを見て考えたのだろう。個人的にはオリジナル盤(モノラル)のセンターラベルには、この「bloody red」が的確だと思う。
というのは、再発ものにも「赤ラベル」があって、それがオリジナルモノラル盤の「赤」とは微妙に色合いの違う「赤」のようにも見えるからで、例えば、オリジナル1stを bloody red (DGあり)、2ndを red (DGなし)というように分けて使えば判りやすいのになあ・・・と思うわけである。なお、再発もの brown(茶色) は、赤とは完全に別の色であるから、混同することはないと思う。
もう1種類のセンターラベルがある。「赤」といえば赤なんだが、もう少し暗めのやや茶色がかった・・・つまり「アズキ色」みたいなセンターラベルも存在しているのだ。このやや暗めの「アズキ色」(blackish red あるいは dark red) は、どうやら、比較的初期の再発ものに使われたようで、もう少し後期の再発ものの「茶色」と、しっかり分けて認識する必要があるかと思う。
センターレーベルについては~今回は、手持ち盤の実物を見ながら、写真を撮って、いわゆる「赤ラベル」であっても、それらに色合いのニュアンス違いを発見した場合は、できるだけコメントを残しておきたい。
こうなりゃ、1タイトルごとの現物主義でいくしかない(笑)

このブログでは~MG12000番代のオリジナル盤のセンターラベルを
≪赤・溝あり≫と呼ぶことにする。Dscn2974_2
≪写真~*同一タイトルでの 1stと 2nd の例~エディ・バートの[Musician of the Year] 
下が 1st~「赤・溝あり」「B面に手書きRVG」「58Market」アドレス。コーティングあり。
上が 2nd~「アズキ色・溝なし」「56Ferry」アドレス。コーティングなし≫

Dscn2975の写真では、上・下とも同じような「赤色」に見えるが、現物を見比べれば明らかに違う色だ。上のセンターラベルは、かなり暗い赤・・・やはり「アズキ色」と呼びたい(blackish red あるいは dark red) 
そしてこの「アズキ色」は、いわゆる 「茶色」(brown)ともだいぶ違う。
「茶色」はもっと暗くて赤みの薄い「こげ茶色」に近い。
「原色大辞典」というホームページ(HTMLカラーコード)のアドレスを付けておきます。ご覧ください。
http://www.colordic.org/
*(追記)<アズキ色~blakish red あるいは dark red>と僕がちょいと拘って書いてきたが ・・・どうやら一般的にはこのラベルの色のことを maroon と呼んでいるらしい。僕が「アズキ色」と呼んでいる色合いは、添付した「原色大辞典」で見ると、正に maroon(かdark red)に近いので、今後は、maroonを使うこととしよう。ラベルの色の表現としては、「赤」→「maroon」→「こげ茶」と表現する。


Savoy_jazz_001_3≪茶色ラベル・溝なし≫の例~ソニー・レッド、サヒブ・シハブらのオムニバス[Jazz is Busting All Over] MG12123~この番号ならやはり「赤・溝あり」が在るはずで、この写真の盤は、2nd だろう。

住所の変遷についても、ゴールドマイン本ではまったく触れていない。それでこちらも手持ちオリジナル盤の裏ジャケットのアドレスをチェックしてみた。
手持ちのオリジナル盤だけだとサンプル数が少ないので、キング国内盤(最後の名盤シリーズ~裏ジャケットまで忠実に再現されていると思われる)も参考にしたが、50タイトルほどを比較することで、『住所の変遷』の大体の流れが把握できてきた。

1.SAVOY RECORD CO, INC, 58 Market St, Newark, N.J.
というのが基本形である。(以後~「58Market」と呼ぶことにする)
この「58Market」は、おそらく12070番辺り(あくまで推測です。例外もあり(後述)みなさんの手持ちでの実例をぜひお知らせください。
Savoy_jazz_006_2

(この後(12070番辺り)から「58 Market St」表記が無くなってくる)

2.SAVOY RECORD CO, INC Newark, N.J.   あるいは
  SAVOY RECORD Co.Inc. Newark, New Jersy  となる。
  (以後~「番地なしNewark」と呼ぶことにする)
 *1/12~呼び名を「CO INC」から「番地なしNewark」に変更しました。

*N.J. と New Jersy の違い~まだサンプル数が少ないが、シリーズ番号の早い方に N.J.表記が多く、番号後期の方にNew Jersy表記が多いようだが、特に法則もないようだ。サヴォイの場合、アドレス表記のコラム(囲み)などもレイアウトが一定しておらず、単にデザイン的な理由から様々な表記が変化しているだけかもしれない。この辺りもサヴォイというレーベルのアバウトな(いい意味!笑)ところかもしれない。
≪下の写真~Frank Wess/North, South, East...Wess(MG12072)。
アドレスの「CO INC」部分~厳密には、Co.Inc.と大文字・小文字になっての、N.J.表記である≫
Dscn2995

Dscn2989
≪上の写真2点~ミルト・ジャクソン~Jazz Skyline(12070) と Jackson's Ville(12080)の2枚。近い番号のタイトルが共に「番地なしNewark.」のNew Jersy表記≫

*手持ち盤の中では、「58Market」アドレスで最も大きい番号のタイトルは、12061番Meet Milt Jackson(このブログの一番上の写真)と認識していたのだが、ひとつ例外的なものが見つかった。それは・・・12074番~Vido Musso/Loaded である。これが、上記写真のJazz Skyline(12070)~(アドレスに「58」無し)よりも後の番号であるにも関わらず、「58Market」アドレスだったのである。

Dscn2993 Dscn2992
・・・これでよく判らなくなった(笑) まあ「変遷」というものは、それほど鋭角的に変るものではなく「徐々に」移り変わっていくものなので、こういうケースも特に「サヴォイ」というレーベルでは、別にどうってこともないだろう(笑)

3.SAVOY RECORD CO.,INC.,56 Ferry Street, Newark, N.J. 07105
(以後~「56Ferry」と呼ぶことにする)
Savoy_jazz_010
Savoy_jazz_011
≪マリアン・マクパートランド/at Storyville(MG 12004) この2枚は同じタイトルの 1stと 2nd (3rdかもしれない)の例。
下が1st~ジャケットはカラー&コーティングで重厚。この緑色は良い色合いだ。盤も分厚くてセンターラベルは「赤・溝」。
上が 2nd~ジャケットがモノクロに変って、盤はペラペラと薄く、センターラベルは「茶色ラベル」。そしてジャケット裏のアドレスは 56Ferry。
この「56Ferry」盤の発売時期は1964年~1965年頃か?≫
1st と 2nd でジャケットが変るパターンについて付け加えると・・・有名な Opus De Jazz(12036) やModern Jazz Quartet(12046)の場合は、1stがモノクロ、2ndがカラーである。なのに・・・このマクパートランド盤では逆パターンになっている。この辺も、実に Savoy らしいじゃないか(笑)

さて・・・上記のように、MG12000番シリーズでは、「住所」の表記は、おおよそ、1・2・3の順に変遷している。
1の「58Market」は初期のもので期間はわりと短い。
  ≪MG12000~MG12074前後≫

2の「番地なしNewark」の期間は、1と3の間と思われる。
  ≪MG12705前後~MG12163前後≫
  *「58Market」と「56Ferry」に対し、この2だけは「番地がない」ので、これを「番地なしNewark」と呼び、区別することとした。

3の「56Ferry」は、番号のかなり後期に現われる。
  ≪MG12164番前後~MG12200≫

≪移り変わりの番号≫は・・・あくまでも大雑把な推定です。この番号前後の実例がっほしいところです。

1/18≪追記≫~レコード仲間~チャランさんから以下のようなメールをいただきました。
≪ミルト・ジャクソン/OPUS DE JAZZ(MG12036)2ND(ラベルはこげ茶色)
「あれ? 」裏ジャケットの会社の住所が、P.O.Box 1000,Newark,N.J.07101 になっている・・・・?≫
P1010239

~special thanks to Mr.チャランさん!
この情報を元に自分の手持ち盤をチェックしてみたら、やはりP.O.BOX表記がいくつか見つかったので、アドレス表記の類型として、以下の2種を追加しておきます。


SAVOY RECORDS CO.,Inc., Newark,N.J.  P.O.BOX 1000 (僕の手持ちでは~12088(Red Norvo/Move)ラベルはアズキ色・筋(ほぼ銀円上に沿っているが、DG(溝)ではない)
12088という番号から当然「赤ラベル・DG」が1stなので、この僕の手持ち盤は再発。それから後述の「PO BOX1000」からも再発であることが判る。 
もうひとつ~

SAVOY RECORDS CO.,Inc.,56Ferry St.,Newark, N.J.07101 P.O.BOX 1000
(このすぐ下に写真あり)
12194(チャールス・モフェット/ギフト)キング国内盤~これは、Savoy最後期の発売:1969年だが、私書箱のPOBOX1000の前に NJ 07101という表記も見られる。おそらくは・・・New Jersey州での何らかの管理番号だと思われるがよく判らない。いずれにしても1969年辺りまでくると、いろいろと「管理」が細かくなってくるのだろう(笑)

上記2種、共に・・・P.O.BOX 1000「私書箱」を意味する「P.O.BOX 1000」という文言が追加されている。そもそも、ジャケット裏にその会社のアドレスを記してあるのは、そのレコード購入者がレコード会社に「カタログ請求」する際の便宜のためであろう。だから、たいていは58Marketアドレスと並んで「 Send Stamp for LP & EP Discography」(12015(Eddie Bert)などと書かれている。「番地なしNewark」の場合でも「Write for Complete Discography today」となっているケースが多いようだ
私書箱「PO BOX 1000」のサンプルとしてここに挙げた Moveでは、その「カタログ請求の文言が~「FOR COMPLETE FREE DISCOGRAPHY, WRITE(この後、アドレス)」という文言になっている。カタログ請求を勧める文言の種類は発売時期によって実に様々であり・・・こういう「定型なし」ということ自体が、実に・・・Savoyらしい(笑) 
「私書箱」アドレスの時期は、おそらくは、56Ferryより少し後だろう。
というのは~58から56と住所が変った時期に、市場の在庫としてのレコードには「58」「番地なし」「56」が混在していたはずで、そのことが郵便配達上、多少の混乱を招いた・・・だから今後は「私書箱」で統一しようじゃないか、ということでの「私書箱」アドレス導入だった~と考えられるからである。
*大雑把な掴みとしては~ジャケット裏のアドレスに「P.B.BOX 1000」表記があった場合、たとえそのレコードがMG12000番の若い番号のタイトルの58Marketであっても、それはだいぶ後の時期に再発された際のジャケットである可能性が高い~ということになる。そして、その中身の盤のラベルが「赤・DG」ではなくて、「アズキ色」や「茶色」だったら・・・まず再発ものであろう。
*もちろん、後述の56Ferryへの切り替え時期(12164番あたりか?)と「アズキ色ラベル」「茶色ラベル」への切り替え時期(これがよく判らない)
より以後の番号タイトルの場合は、そのラベルは「アズキ色」「茶色」がオリジナルなのだから、当然ではあるが、再発ものではない。

問題は・・・これら住所表記の変遷が、MG12000番シリーズのどの番号あたりで切り替わっていったのかである・・・それを僕は知りたい(笑) 
特に「56Ferry」~ここが重要だ。「56Ferry」については、12000番シリーズのかなり後期~12164番(カーティス・フラー/Images)辺りからではないか、と推測はしている。(日本コロムビアのCDで「56Ferryを確認)
この移行の時期(シリーズでのおよその番号)が確定できると、言うまでもないが、例えば、12050番くらいの若い番号のタイトルで「56Ferry」アドレスのレコードを見つけた場合 それは・・・2ndか3rd(再発)である可能性が高い~(その番号だと、1の「58Market」時期であるはずだから)~ ということが判るわけである。
そしてもうひとつ・・・これは僕の勝手な推理だが、この「56Ferry」への移行期と、もうひとつの謎~センターラベル変遷の「茶ラベル・溝なし」への移行期・・・この2つの流れがほぼリンクしているのではないか・・・ということだ。
しかしながら、決定的に拙(まず)いことに・・・僕はこのシリーズ最後期のSavoy作品をほとんど持ってないのだ。およそ1963~1968年くらいの新録音ものと思われる~例えば、ユゼフ・ラティーフ、ビル・ディクソン、ビル・バロンらの諸作品を所有していないのだ。これは・・・現物確認主義者としてはたいへんに拙い(笑) 
およそであっても「新録音もの」の発売時期が例えば1965年と判った場合、その作品のセンターラベルやジャケット裏アドレスがどういう様式か・・・ということがポイントになるのである。「現物」を持っていなくても、発売年については、ゴールドマイン本などからも、ある程度は把握できる。 
例えば、Savoyに相当数のタイトルを持っているユゼフ・ラティーフの「The Dreamer」(MG12139)~今、これをゴールドマインで見てみると・・・1958年となっている。ちなみにステレオ盤のSR13007は1959年となっている。
こんな具合に「たぶん、そうだろう」的に把握できないことはないが・・・じゃあ中身の盤の重さ・厚さは? センターラベルの色合い・溝は? ジャケット裏のアドレスは? ・・・となると、これはもうお手上げである(笑) BLUENOTEくらいの人気レーベルになると、各エディション違いでのアドレス、センターラベル写真まで網羅した研究本もあるようだが、Savoyでは・・・まず無理だろう(笑) となると・・・やはり一番いいのは、そこに「現物」が在ることだ(笑)
Savoy_jazz_001_4 Savoy_jazz_002_3
≪上写真2点~チャールス・モフェット/ギフト(キング国内盤)≫ 
解説書によれば、録音は1969年となっている。1969年録音のこの作品が、MG12194というシリーズの最後期の番号。Savoyのオリジナル録音としても、最後期のものだろう。
MG12195のDoug Carn Trio(1969年)がSavoyオリジナル録音の最後の作品のようだ。*(MG12196~12220はRegent原盤の再発なので)

「アドレス~住所表記」についてのみ、僕自身が参考にした国内盤は~
1.キングレコードの「最後のジャズLP」(赤い帯のやつ)
2.日本コロムビアの「THE SUPREME COLLECTION OF SAVOY」(紫の帯のやつ)です。
これらの国内盤は、表・裏ジャケットまで忠実に再現していたと思われるので、ジャケット裏下部の「アドレス」については資料として役立つ。
但し、復刻の際に「写真写し」に使った元盤が 2nd というケースもありうるので、あくまで「参考」です。ちなみに、国内盤のセンターラベルについては、原盤の発売時期に伴う変遷を反映せずに、そのレーベル(シリーズ)の初期オリジナル様式に準じることも多いので、発売時期の推測にはあまり参考にはならない場合が多いかと思う。

みなさんのお手持ちのSavoy盤(特にMG12000番シリーズ)の情報を、コメントにてぜひお知らせください。

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2007年8月23日 (木)

<やったあレコ 第10回>Tenor Saxes(Norgran:MGN-1034)

<1955年に発売されたちょっといいオムニバス盤>

Dscn1733ノーグランというレーベルに、Tenor Saxesというオムニバス盤がある。いろんなミュージシャンの演奏を集めたオムニバス盤というものは、一般的には、個々のミュージシャンのオリジナルアルバムより人気がないのかもしれない。しかし・・・このTenor Saxesは例外らしく、けっこうな人気があるのだ。ジャケットがストーン・マーチンであることは、もちろん大きな魅力なのだが、僕の知る限り、このレコードの音源的な価値は、まずは、スタン・ゲッツの2曲(後述)それから・・・ベン・ウエブスターのtenderly にあるように思う。
ウエブスターの「テンダリー」・・・その演奏と音の凄さに魅了された方は数知れずか(笑)
実際、僕自身も、Yoさん手持ちのこのTenor Saxesを何度か聴かせてもらって・・・tenderlyに心惹かれた一人である(笑)

そのtenderly が入ったオリジナルLP~The Consummate Artistry(norgran)・・・この貴重な盤を初めて目にしたのは、2年ほど前、2005年の春「第1回白馬 杜の会」の時だった。夜も更けてきた地下のJBLルーム・・・スピーカー間に置かれたイーゼルに、あるノーグラン盤が掲げられた。明かりを落とし気味にした部屋に、この渋い色調の~くすんだ感じのセピア・イエローとでもいうのか~ベン・ウエブスターの姿が、ぼお~っと浮かび上がった。
「おお・・・」静かなどよめき。音が出る前から・・・もの凄い存在感だ。
そして・・・思い入れたっぷりのtenderlyが流れ始めた。ジャケットも凄いが演奏も凄い。
僕はそれまであまりウエブスターを聴き込んではいなかったので、ウエブスターの強烈なヴィブラートとサブトーンのリアリティに驚いてしまった。「う~ん・・・」と唸った拍子にふと振り向くと、すぐ後ろの席にリキさんがいた。「こだわりの杜」(ニーノニーノさんのBBS)での書き込みから「クラシック好きのリキさん」・・・というイメージが強かったこともあり、僕はリキさんになんとはなしにこう言った。
「こういうの・・・苦手でしょう」
するとリキさん「いえ、好きですよ。このウエブスター・・・僕のですから(笑)」

Dscn1742 僕はそのレコードの神秘的な佇まいが忘れられなくなり・・・しばらくしてから、ウエブスターのEP(tenderlyを含む4曲入り)を入手した。もちろん・・・ジャケットはThe Consummate Artistryと同じである(笑)
さて・・・「絵」の方はEP盤を眺めてガマンするとしても(笑)音の方は、やはりあの鮮烈なtenderlyを聴きたい・・・という想いもあり、僕は少し前に、前述のオムニバス盤~Tenor Saxesも入手してしまった。
「う~ん、やっぱりいい音だぞ・・・」などとうれしく聴きこんでいたその頃に、ちょうどYoさん宅に集まる機会ができた。Yoさんがkonkenさんに依頼したラックの増設台の取り付けの後に、どうせならレコード三昧をしようよ~という計画で、今回は、リキさん、konkenさん、recooyajiさん、bassclefの4人で、早朝からおじゃますることになったのだ。

こんな風に皆で集まる時は、いつも「何を持っていこうかな・・・」と楽しく悩むのだが、今回は、僕の方は大体の線は決まっていた。
ClefやNorgranの米オリジナル盤とUK Columbia盤(スタンパーはClef、Norgranと同じ)の聴きくらべである。ネタは、Flip Phillips のClef盤とUK盤と(こちらについてはまたの機会に!) Alto Saxes のNorgran盤とUK盤を用意した。
それからもちろん・・・ウエブスターの「テンダリー」である。
この集まりの少し前から僕が聴いていたTenor Saxes・・・どのトラックもよかったが、やはり・・・ウエブスターのtenderlyが、演奏はもちろんその音の良さで、ひときわ光っていた。自分の機械でEP盤のtenderlyと比べてみたりもしたが、やはりここは、盤による微妙な違いまでしっかりと出してくれるYoさんの装置で、そのオムニバス盤とEP盤・・・そしてできれば、Consummate Artistryも交えて聴いてみたいものだと考えていた。
だから事前にリキさんに「ウエブスターのあれ、持ってきて」とお願いしようとも思ったのだが、つい忘れてしまっていたのだ。

さて・・・Yoさん宅でいろんなレコードを聴いたあと、ウエブスターを聴いてみることになった。僕はEP盤、YoさんはTenor Saxes を出した。「Consummate があるといいんだけど・・・」と何気なく僕が言うと・・・Yoさん「あるよ」と一言。奥の部屋からすす~っと、あのセピア・イエローの盤を取り出してきた。ああ、なんとしたことか・・・Yoさんもいつのまにか、この貴重なノーグラン盤を入手していたのだ。いつものことだが・・・Yoさんは、いいレコードには本当に素早い(笑) 

そんなわけで・・・tenderlyの3つの音源を、Yoさんの装置で聴き比べできることになった。オリジナルLPとオムニバスLPとEP盤というわけだ。

EP盤から聴いてみることにした。
Consummate~(norgran)EP4曲入り~EPN-16
一聴して、音にあまり元気がない。どうやら・・・カッティングレベルもだいぶ低いようだ。そのためかどうか・・・テナーの音も力感に乏しくて、12インチには感じられた「瑞々しさ」も、抜け落ちてしまったようだ。リキさんが一言「あまり魅力のない音ですね」  実は僕も自宅で聴いていてそれほどいいとは思ってなかったのだが、ちょっとは45回転の威力に期待していただけに、少々残念であった。 まあいいか・・・EP盤はジャケットさえあれば(笑)

Ben Webster/The Consummate Artistry(norgran)~
スロウなテンポで、しっとりとしたピアノのイントロが流れてくる。このピアノ、意外にもオスカー・ピーターソンである。「意外にも」と感じたのは・・・ピーターソンにはあまり「しっとり感」ないのかな、と思っていたからだ(笑) その安定したスロウなテンポに乗って、ウエブスターが最初の4音を吹くと・・・もうそこはウエブスターの世界である(笑)
程よい粘り具合で(ウエブスターとしてはややあっさり加減の)この曲の優雅な、そしてちょっと澄ましたような感じを、うまく描き出しているのだ。テーマを2回繰り返すだけの短い演奏だが、このtenderlyは傑作だと思う。
ウエブスターのテナーがくっきりした感じでいい音だ。さて、このtenderly収録のオリジナルLPは、おそらくこのCunsummate~のはずで、だから、最も鮮度感があるのが、このLPと考えるのが自然だと思う。しかし・・・そうでもないようなのだ(笑)

Tenor Saxes(norgran)~出足のピアノからして違う!ピアノの音自体がさらに瑞々しいのだ。指を残したようなタッチ感もよく出ている。そして、ウエブスターのテナーも、輪郭のよりはっきりしたキリッとした音色だ。
サブトーンの響きが広がりすぎてないのも、僕には好ましい音色に聞こえる。本当にこの音は素晴らしい! 
「切れのよさ」という点で、オリジナルLP(Consummate)より勝っているように思う。ひょっとして・・・このオムニバス盤の方が発売が早かったのだろうか?

さて、今回はThe Consummate Artistryからもう1曲聴かせていただくことにした。
recooyajiさんと僕がリクエストした1曲~Danny Boyだ。僕はこの演奏、まだ聴いたことがない。さっそくかけてもらう・・・「あれ?」・・・テナーの音色がtenderlyとはちょっと違うぞ。
tenderlyのよりテナーの音の輪郭が拡がった感じがあり、その分、だいぶソフトな音色になっているようだ。この「ゆるさ感」の方に、よりベン・ウエブスターらしさを感じる方もいるかもしれない。
しかし、僕にはやはりさきほどのtederlyのテナー音色の方がうんと魅力的だ。このソフトな感じは・・・どうやらテナーにエコーをかけてあるような感じだ。あるいは録音時のセッティング~例えばテナーのベルとマイクの距離、角度などが違うためか・・・とにかく同じLPの収録曲なのに、なぜこんなに違うのか?
そんな疑問から裏ジャケットを仔細に見てみると、やはりtenderly は、1953年12月のセッション、danny boyは1953年4月のセッションだったのだ。ひょっとしたら、録音技師が変わったためかもしれないが、同じLPを創るための吹き込みなのに、曲によってこれだけ音色の様相が違ってしまうとは・・・。
tenderlyセッションの音が素晴らしいだけに、ちょっと残念ではある。
それにしても、こうしたマイクのセッティングやらミキシングの具合によって変わってくるであろう微妙な音色の違い・・・そんなものをより鮮明に浮き彫りにしてしまうYoさんの装置もとことん怖ろしい(笑)Dscn1734_2

さて、このTenor Saxes(norgran)には、7人のテナー吹きから一人2曲づつセレクトした全14曲が収録されている。
僕が気に入っているのは、これらのセレクト曲が全てスタンダードソングということだ。もちろんベン・ウエブスターだけが目玉ではない。
フリップ・フィリップスの2曲~
I didn't know what time it was,  
take the A train 
スタン・ゲッツの2曲~1954年1月録音。
I hadn't anyone 'till you(A面1曲目),
with the wind and the rain in you hair(B面7曲目)もなかなか素晴らしい。
フィリップスについては、そのうちに他の盤も併せて書いてみたいので、ここではゲッツの2曲について少し。

この2曲は、録音当時はゲッツのオリジナルアルバムには収録されなかったので、長いこと、Tenor Saxesでしか聴けなかったようだ。僕の知る限り、The VERVE COLLECTOR'S ITEM(日本ポリドール)という4枚組BOXで、ようやく陽の目を見たと思う。このThe VERVE COLLECTOR'S ITEMに米の元ネタがあったのか・・・それとも日本オリジナルかどうかは判らない。ちなみに、この2曲と同じセッション(1954年1月)でもう2曲 (nobody but else but me とdown by the sycamore tree) が録音されているのだが、こちらはCool Sounds(MGV-8200) というアルバムに収録されている。美女が鉢植えから溢れ出た水を浴びているcoolなジャケットのやつである。(写真は残念ながら、紙ジャケのCDです)

Dscn1752 このセッションの4曲を、僕はたまたまCDで聴いていた。だいぶ前に入手したStan Getz PlaysのCD(独polygram)に、これら4曲がボーナス・トラックとして付いていたのだ。ピアノがジミー・ロウルズ、ドラムがマックス・ローチ、ベースがボブ・ウイットロックとなっているので、たぶんゲッツが西海岸に来た時に録音したのだろう。
この4曲はどれもいい。この頃のゲッツのテナーは・・・肌触りのいいシルクのような音色をしていて、僕にはすごく魅力的だ。それから、短いピアノソロを取るロウルズのピアノもいい。僕はなぜだかロウルズのピアノが好きなのだ。彼のピアノに絶妙なしなやかさを感じるからかもしれない。そしてその「しなやかさ」は、ゲッツのシルキーな音色にすごく合っているように思う。ドラムスの録音はややオフ気味だが、ローチはピシッと背筋が伸びたような、クリアなシンバル・レガートを叩いている。この時代としては、かなり新しい感じのビート感だろう。そういえば、1954~1955年くらいの前ハードバップ時代のレコードを聴いて「あれっ? シンバルだけ、やけにモダンだな?」と思ってクレジットをみると・・・ローチだった!ということが何度かある。あのシンバルの切れのよさはさすがだ。ただ、ローチのきっちりとしたシンバル・レガートは、ゲッツのバップ的ではない(細かく分解したようなフレーズではない)唄うようなフレージングには、あまり合わないような気もする。そういえば、スタン・ゲッツとマックス・ローチの組み合わせというのは・・・案外、少ないように思う。

さて・・・Tenor Saxesに収録の2曲・・・これもなかなかいい音だと僕は思う。さきほど「肌触りのいい」と書いたが、ゲッツ好きには堪らないあの音色・・・冷たいようでほんのり温かい~ソフトでありながら芯のしっかりした~か細いようで実は太い鳴り・・・そんな不思議なゲッツの音色がきっちりと大きめに中央から飛び出てくる。CD収録の2曲もそれほど悪くなかったが、やはりゲッツのテナーの音色の生々しさ、それからローチのシンバルの鮮度感など、ノーグラン盤の方が素晴らしいようだ。考えてみれば、1954年録音のネタを1955年に封じ込めたヴィニールの方に、より鮮度感があるのは当たり前の話しかもしれない(笑)
こうなってくると・・・僕などこの4曲の残り2曲~ゲッツの Cool Sounds(MGV-8200)のオリジナル盤も聴きたくなってきてしまう(笑)こちらの1957年発売となっている。こちらの2曲は、ノーグラン盤の2曲と比べてどうなのか・・全く同質のものなのか・・・音源は同じであっても、2年の発売年の差が多少なりとも音質に影響しているかもしれない? そんなことをつらつらと考えてしまう僕である。Dscn1735_2
ああ・・・ジャズには全く・・・興味が尽きない(笑)

《写真はAlto Saxes。ちょっとゲッツの10インチ盤 Stan Getz Playsに似ているかな》

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