<ジャズ回想 第19回>溢れ出るレコード達をどうしようか・・・。
僕のレコード収納~苦闘の記録
前回・前々回とPacificやStoryvilleの10インチ盤話題が続いたからというわけでもないのですが、今回はレコード盤の話しではありません(笑) かなり以前の《夢レコ~<ジャズ雑感 第3回> セロニアス・モンク/モンク・オーケストラ・アット・タウンホール で、「レコードの並べ方」について少し書いたのだが、今回はその続編です。と言っても、並べ方以前の・・・みなさん、困ってるはずの、収納スペース(タナ)のこと~bassclefの場合はこんな感じ・・・という記録です。《2006年8月頃》~これが、恐怖の床立て置き3段積み。レコード専用に使っている本棚から溢れ出たレコード達が、床に積まれている。同じ状態がスピーカー側にも・・・これはもう限界である(笑)最下段のレコードはまず取り出せない。この時、最下段の奥にあったのは・・・アンドレ・プレヴィンのcolumbia:ポピュラー路線だったか。この状況を見て、友人のkonkenさんも決意したらしい:笑》
《2006年9月。下右写真~「作業前」のピアノ上部の様子。CDと音楽雑誌のタナが真ん中に踏ん張っている。下左写真~本棚とウッドベースの置き場》
この「つり下げタナ」は、実は突然に始まった。ちょくちょく遊びにくるkonkenさんが、僕の部屋の床に溢れ出したレコードの絶望的な状況~床に立て置きしたレコード群が前に前に伸びてきて、しかもそれらを台にして上にも列が出来ている~を見るに見かねて・・・というより、そんな様子に我慢ならず(笑)「タナを作るなら・・・この壁面しかないね」ということで、ピアノの置いてある壁面の横幅とか、ピアノからの天井までの高さとかをサッサと図り始めてしまったのだ。「箱(吊り下げタナ)ができたらまた来る」と言って彼は帰っていった。
そんな具合に否応なしに始まってしまった「bassclefのレコード棚つくり」・・・こうなりゃもうやるしかない!
吊り下げタナを設置するためには、当然のことながら、今そこにあるモノを撤去しなくてはならない。まず「高さ」がジャマになる、CDや音楽関連の本・雑誌が詰まった本棚。僕の大切なウッドベースも別の収容場所を見つけないといけない。シングル盤を詰め込んだ収納ケースもあるが、これは高さからみてそのままでも大丈夫だ。それからピアノの上になんとなくつくなってきたモノも片付けないと。
問題は本棚だ。そのまま移すスペースは絶対にない。それを移すためには・・・入り口ドア横に置いてあった古い本棚(これはスチール製の本当に古いやつだ:笑)を撤去するしかないだろう。つまり、そのスチール棚にぎっしりと詰まっていた本・雑誌の類をどうにかしないといけないのだ。この前作業が一番大変なのだ。けっきょくのところ、そんな準備作業が相当に大変そうなことが予想できたので、僕はなかなか「タナ作り」に踏み切れなかったのだろう。
それでも今回ばかりは、やるしかない。konkenさんは「箱」が出来しだい、設置に来てしまうのだ。とにかく収納できなくなる本をダンボールに詰め込み、雑誌などは思い切って処分するしかないだろう。空になったスチール棚はあちこち錆びているのでもう捨ててしまおう。
《2006年9月》天井からの吊り下げタナ作り。製作by konkenさん
konkenさんが「箱」を持ってきたのは次の日曜だった。まだCDと音楽雑誌の「本棚」がそのままだ。中身が入ったまま移動できないかな・・・と考えていたのだが、それは甘かった(笑)重くてとても2人でも持ち上げられない。もし持ち上がっても・・・その重さから言っても、たぶん棚が壊れてしまうだろう。仕方ないのでkonkenさんにも手伝ってもらって、CDや雑誌を居間や階段に積んだりしてなんとか空にした。さあ・・・作業開始だ!
《作業中のkonkenさんが、いつもよ凛々(りり)しく見える(笑)》
さあ・・・2つの「箱」はうまく入った。1つの箱が「上 下2段で横3つ」なので、合計では12boxになるのだ。このboxにレコードが全部入るのだから、相当な重量になるのは間違いない。僕は「吊り下げ」(この9月時点では、左側の床からのタナとピアノとの間のEP用ケースはまだなかった)というのが、その重量に耐え切れるのかどうか心配ではあった。その点は・・・レコードが全部詰まった後、(下のタナを追加する前の)一ヶ月経過しても何ともなかったので、もちろん大丈夫です:笑)
溢れていたレコード達をそのまま詰めるのでは芸がない。以前からのレコード棚に詰めていたやつらとの再編が必要なのだ。例えば・・・「ウエストコースト全般」の流れ~テナーやトランペット、それから中編成・ビッグバンドもの~ここらのものを既存タナ分と床立て置き分と、うまいことブレンドして収納しなくてはならない。
もう何年も前に一生懸命考えて並べた「フィエヴァリット・ミュージシャン」の並びは、あまりいじらないこととした。ここは・・・好きだからたいていのモノは揃えてあり、だから「フェイヴァリット」として特別に分けたわけだし、その後の入手分というのもそれほどないわけだから、ほとんど固定になっているのだ。もちろんこの「フェイヴァリット」こそ、国内盤からオリジナル盤に差し替えてはいきたいのだが、いかんせんこの辺りのハードバップものは高すぎる・・・(笑)
さて・・・「溢れ出ていた床立て置き」分は、ここ2~3年の入手分であり、それらはどちらかというと、ウエストコースト系、ピアノトリオ、ヴォーカルものが多い。レコードというものは「持ってなかったもの」を買うわけだから(基本的には:笑)これらのカテゴリーのものは既存タナには、わりと少なかったわけなので、その既存分と新着分を再構成しながら・・・大雑把に、ヴォーカルものを右隅から、そしてギターやオルガンものを左隅から攻めることにした。あまり聴かない日本ジャズも左隅だ。そうすれば、ピアノトリオものとウエストコースト全般(中編成やビッグバンドものも含む)を中央辺りになるはずだ。細かいところは作業しながらまた考えよう。
てなわけで、それからしばらくは、新しく出来た器(スペース)に、少しづつレコード達を収めていくという楽しい作業が続いた。そうして・・・床にはみ出ていたレコード達も全て、新しく出来たスペースに収めることができた!
ああ・・・スッキリした!
しかし・・・これだけのスペースがあれば大丈夫・・・と思っていたのだが、はみ出ていた分を収めてしまうと・・・残りスペースはわずか1.5boxほどしかない(笑)これはもう、いっぱいになるのは時間の問題だな・・・と覚悟するbassclefである(笑)
さてこの12boxが出来てしまうと・・・左側に空いたタナ下のスペースが気になる。このスペースにはウッドベースも置けないわけだし、見た目も間延びしている。ピアノ上部の隙間ももったいない。てなわけで、どうせなら・・・ということで左側に床からのタナを造ってしまうことにした。見た目もいいし、吊り下げタナの支えにもなる。何よりも収納スペースが増えるじゃないか!出し入れを考えるとスピーカーとの距離がないので、奥行きを少し短くしてもらった。ピアノ上にケースが詰まるのは、たぶんピアノにとっては(音響上)良くないだろうが、それほどピアノを鳴らすわけじゃあない(笑)
<2006年10月>そんな訳で、第2弾の取り付け作業も完了した。
う~ん・・・こりゃいい!これでようやく「床立て置き」レコード達が救われる。ここからの作業は・・・大変だがやはり楽しい。どのbox辺りに「何」を詰めるか・・・いろいろと考えるのだが、レコード好き人間にはそれが楽しい(笑)
konkenさん、改めて・・・Thanksです!
<2008年暮れの1日>
やるなら今日しかない・・・タナに入りきらずに床に置いてあるレコードをなんとかせねば・・・と思いながらズルズルと時が過ぎてしまった。2年ほど前だったか、konkenさんにレコード/CDタナを造ってもらって、一度はキレイに収まったはずの我がレコード達。その後の入手分が徐々にタナから溢れ出て、再び床に立て置き掛け置き状態になっていったのだ。
暮れの31日・・・僕は、朝から決死の作業に入った。溢れたLPを収納するためには。なんとかしてタナ1段分を空けることが必要だ。どの1段でもいいが、詰める(省く)のは、とにかくCDのタナしかない。CD2段分でLPの1段分だ。CDは1段に奥の列と前列に詰めてあるので、都合横4列分のCD群を他の場所に詰め込まなければならない。どうせなら、一番、手にとりやすいタナにしよう。僕は目の高さのCDタナを睨(にら)みつけた。よし、ここを空けよう!ここのCD君たちに無理を頼むしかない。
僕のアタマの中では、CDの序列はうんと低い(笑)まずCDをあまり聴かない。少なくともLPよりは聴かない。だから極端に言えば、CDはタナに並べなくてもいいのだが、そうは言っても「聴きたいから買った」わけで・・・だからなるべく見えるところに並べておきたい。CDでもLPでも同じだと思うが、ひとたびダンボールに仕舞ったら、もうそれで終わりである(笑)実際、ダンボール収納済みのレコードが、家のあちこちに置いてある。それらは、ロックものとかダブリもののダンボールなのだが・・・これから先、まず・・・聴かないであろう。
さて、CDの中にも何となく序列があって、僕の場合、ハードバップもののCDがちょっと微妙なのだ。ヴォーカルや西海岸ものだと、CDでもそれほどの違和感はないのだが、バップやハードバップものは、なぜかCDだともうひとつダメなのである。bluenoteものなど、どうしても音を聴きたいものをいくつか持ってはいるが、あまり聴かない。ハンク・モブレイとCDは・・・実に似合わない(笑)
それと「箱もの」・・・これも高いのを無理して手に入れたわりには、あまり聴かない。もっとも「箱もの」を聴かないのは、LP箱物でも同様だが(笑)
そんなところを考えながら・・・それでも作業は始めなくては進まない。僕は、まずCDタナ最下段に詰めてあった「箱物CD」を、まだ一区画分、空いている「シングル用スペース」の一番右へ押し込むことにした。これは点数が少ないので割と早く完了した。
あとは・・・これまでのスペースにとにかくたくさん詰めることである。CDは普通、背表紙が縦になるように置く。当たり前である。しかし・・・縦に置くと、タナの上段との間に4~5cmの隙間が発生する。もちろんその隙間は、取り出す時に必要なのだが、この際、それは無視する(笑)その限られたスペースを有効に使うためには・・・CD横置き・横積みしかないのだ! もちろんこれだとCDが取り出しにくくなるが、それも無視する(笑)そういえば・・・だいぶ以前の<夢レコ>で香港でのレコード探しを書いた。その時、驚いたのが、香港のCDショップ「横置き・横積み」である。あれ・・・結局のところ「スペース有効活用」のために必然的に編み出された収納方式だったのだろう(笑)
そうは言っても「横置き」は奥の列だけにしたい。まずはそんなあまり聴かない(であろう)タイトルの方から奥の列に横積みしていく。「奥」に行くのはほとんどコンピレーションものとか、非正規CDたちである。CDが定価3000円ほどした頃、よくスーパーなどで1000円CDが売られていた。それらは音源はオリジナルだがジャケットがうんと安っぽくて(たぶん)音も悪いのだ。でも安さに釣られて、blue note音源ものをけっこう買ったのだ(笑)この辺は全て奥の列だ。ピアノトリオ、ヴォーカル、西海岸ウエストコースト、東海岸ハードバップなどのカテゴリーもある程度はまとめたい。そうと決めたら、オレは案外やること早い(笑)
もともとCDへの愛情が薄いこともあってか・・・当初の目的であるCD2段分を空けて、その分をほぼ現状のCDスペースに詰めることができた。だがしかし、あと少しが収まりきらない。こうなりゃ仕方ない・・・「横積み」は奥の列だけに留(とど)めたかったが、それではスペースが足りない。ちょっとだけあるクラシックとヴォーカルの区画は前列も横積みにすることで、ともかく1枚のCDもダンボール行きにすることなく、なんとか収めることができた。
そんな訳で、大晦日の午前中があっという間に過ぎてしまう。午後は用事があるので、今日の「レコード棚:再編」はここまでだ。空けた「LP棚1段分」をどう使うか・・・楽しみは明日にとっておこう(笑)
さてと・・・元旦、1月1日だ。わりと早起きしてしまう。苦労して「空けた1段」をどう使うか・・・そんなイメージがアタマの中に巡っていて、のんびりと寝ていられなくなったのだ(笑)
実はもう大枠のプランはできていた。その特等席は・・・「Clef,Norgranの専用タナ」にするつもりなのだ。僕はこれまでのレコード整理では「レーベル別」を作ることはしなかった。特定のミュージシャン興味から入手するレコードが決まってくることがほとんどなので、自ずと「ミュージシャン並べ」になってきたのだ。ところがこの2~3年、ClefやNorgranに対しての思い入れが募ってきたようで、これらのレーベルのものなら、なんでもかんでも欲しい・・・という気持ちになってきたのだ。そうなると・・・それらを特別扱いにしたくなるのも仕方ないじゃないか(笑)現実的にも、この先、少しづつでも増えていく可能性が高いわけで、その辺も加味して、この専用棚には、ある程度の余裕も持たせて調整したいところだ。
そんな訳で、元旦の本日も午前中からがんばって作業を始める。床の立て置き分を、ピアノトリオとかヴォーカル、それからClefものなどに大分けしておく。「ピアノトリオ」「ヴォーカル」は、現状、すでにギュウギュウ詰めになっているので、そこらにあとどのくらい収めなくてはいけないのかを見定める必要があるのだ。ついでに、まだ少ししかない10インチ盤もうまいことまとめたい。
そんな粗分けをした後、まず、Clef, Norgranの並びを専用区画に移す。そこにそうして空いた棚に、ピアノトリオやヴォーカル、それからクラリネットを移しながら、さきほど見定めた「ピアノトリオ/ヴォーカル」を、既存コーナーに組み込んでいく。
この時、自分の中での「序列」の再編が始まる。よく聴く(聴きたいと思う)ミュージシャンに「いい場所」を与えたいのだ(笑)その辺を見極めるために、例えばヴォーカルものの並びをパラパラと見ていると「ああ、こんなのもあったのか」ということもある。好きなミュージシャンやヴォーカリストは大方、決まってはいるが、そんな好みも少しづつ変わったりするので、うんと以前にたまたま入手していたレコードでも「はっ!」とする場面がけっこうある。そういうのがあると、そこでまたそのレコードを聴いたりして・・・作業はたいてい捗らない(笑)まあ・・・こんな風な取捨選択が・・・苦しくも楽しいのだ。
正月の朝からセルジオ・メンデス66など聴きながら、そんな作業を黙々と進めるオヤジ1名(笑)ちなみにこういう作業のバックに、コルトレーンは似合わないだろう(笑)
元旦ということで、ちょっと痛んできた気配のあった針も交換することにする。シュアのM7Dという古いMMカートリッジだが、交換針の方もいくつか確保している。ピンセットで出っ張り部分をつまんで抜いたり差したりするのだが、もう何回もやっているのですぐに完了。替えた針で聴くピーターソンの Now We Get Requestsは、やっぱりいい音だ(笑)
そんなことをお昼過ぎまで続けると、我がレコード棚もほぼ狙った線になってきた。レコード整理において経験的に判っていることがある。さらなる微調整のために、各区画に少しづつ余裕を持たせておくのがコツなのだ。しかしその「余裕」を持たせたことで、タナにはあと30枚ほどのスペースしか残ってない。しかるに「床・立て置き」は100枚ほど残っている。まあでも、この「床・立て置き」は・・・最新入手ものをしばらく置いておくのには最適な場所でもあるので、だから・・・このスペースを常に最小限に維持できれば(前方にせり出してこないように)ベストなわけである。
現状、2列(各50枚ほど)が残っている。まあでも、昨日からの作業で確定したダブリ盤や不要盤もけっこう出てきたので、それらをダンボールに仕舞えば、なんとかなるだろう。CDでもLPでも、ダンボール行きは不憫(ふびん)だが仕方ないな・・・と大げさに眉間に皺(しわ)を寄せるbassclefであった。(笑)
《写真右上~もともとのタナ。ゲッツの写真は古いカレンダーだ。下写真~ほぼ完了した第2次レコード再編後。横積みCDも一部だけ写っている。左から2列目・上から3段目がNogran、Clefの専用コーナー。10インチ盤も徐々に増えてきている》
さて、収容スペースの問題とは別次元で、やはり悩む問題がある。それは・・・「並べ方」である。僕の並べ方は、基本的に「楽器別」なのだが、その際、リーダー名義に拘らない。入手時点での「興味ミュージシャン別」なのである。(前述~夢レコ記事参照)
その際、いつも悩んでしまうレコード達がある。それらはたいてい「Coリーダー」というか、メインのミュージシャンが2人連名になっているものだ。
具体的にいこう。
ドナルド・バードとジャッキー・マクリーンの2人が共演している諸作品・・・この辺、けっこう困りませんか?
例えばジョージ・ウオリントン名義での「ボヘミア」・・・これ、大雑把に楽器別・リーダー別に拘ると、例えば「ボヘミア」はピアノのタナに入れることになり、そうすると例えば「ライツ・アウト」は管楽器のタナなので、フロントの管楽器奏者は同じ2人なのに、分かれてしまうことになる。僕にはそれが我慢ならない(笑) 拘るようだが、「ボヘミア」と。例えば「ジャッキー・マクリーン・クインテット」、「ライツ・アウト」や「4,5&6」、それに「Two Guitars」。それから、同じウオリントン名義でも、アルトがフィル・ウッズの方のやつ~「ニューヨーク・シーン」や「ペアリング・オフ」。これらはやはり並べておきたい。そんな訳で、僕はやや強引だが、これらを、共通項である<ドナルド・バード>として並べているのだ。
ただ、正直に言うと・・・このところ、持っているはずのレコードが見つからないこともけっこうある(笑)・・・その理由がこういう「気分的あいまい的並べ方」にあるのは明白なので、そろそろリーダー名義で整理する方が探すのには便利かな・・・という気も充分にしているのだが、まだ踏み切れない。だちなみに、僕の場合、これらのハードバップ名盤は、もちろん全て・・・国内盤です(笑)
みなさん・・・レコードの並べ方はどんな様子でしょうか?拘りゆえに工夫しているような並び方があれば・・・ぜひお知らせください。
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