チャーリー・マリアーノ

2010年7月 4日 (日)

<ジャズ回想 第23回>雨降りの1日は、レコード三昧だった。

~United Artistsというレーベルを巡って~

久しぶりに藤井寺のYoさん宅でのレコード聴きをすることになった。今回は4月白馬の集まりに参加できなかったリキさんと僕(bassclef)のために、Yoさんが声を掛けてくれたのだ。集まったのは、愛知からリキさん・konkenさん・僕。関西からdenpouさん、PaPaさん、Bowieさん。Yoさんを入れて7人となった。

午前中から夕方まで約8時間・・・皆であれこれと聴きまくったわけだが、今回はクラッシクから始まった。
Vx25_j_2 まずはYoさんから、シュタルケルのチェロ独奏。コダーイの曲を鋭く弾き込むシュタルケルのチェロ。その中低音が豊かに捉えれた、しかもエッジの効いた好録音。ジャケットを見るとこれがなんと1970年頃の日本でのレコーディング。つまりこの日本ビクター盤がオリジナルなのだ。Vx25_lシュタルケルのチェロをYoさんはディグ(探求)しているようで、そういえば2~3年前の白馬でも、シュタルケルの日本での実況録音盤~バッハだったか?~をセレクトしていた。この人のチェロは、強くて毅然としており、曖昧なところがない・・・そんな感じだ。 《シュタルケルの写真2点~Yoさん提供》
それから、ムターなる女流 ヴァイオリニスト~言わずもがなの「美人」~の2種(共にグラモフォン音源)に話題が。ムターについては、おそらく事前にリキさんとBowieさんが音源セレクトを相談したのかな。
カラヤン指揮(1988年)
~クラシック不慣れな僕らのためにお2人が気をつかってくれたのだろう(笑)・・・曲は「チャイコフスキーのヴィイオリン協奏曲」冒頭から少し経過すると飛び出てくる印象的なメロディ・・・ああ、この曲なら僕でも知っている(笑) 1988年のデジタル録音ということもあってか、ムターのヴァイオリンだけでなくバックのオーケストラまでクリアに聞こえる。
次に同じ曲の70年代もの(グラモフォン音源)Bowieさんのセレクト。こちらはアナログ録音だがバックのオケの音圧感がより豊かで肉厚な感じがする。これも良い録音だ。こちらのヴァイオリンはミルシュタインだったか。指揮はアヴァド。アヴァドという人・・・曲の終盤になると劇的に盛り上げる感じがいつもあって(たぶん)僕はなぜだか嫌いではない。そんなシンプルな躍動感みたいなものがカラヤン盤よりも濃厚に感じられて、この協奏曲は僕にも充分に楽しめました。
ムター繋がりでリキさんからもう1枚~
「これは・・・珍盤の一種かも」というリキさんが取り出したのは、立派の箱入りのLP2枚組。タイトルは「Carmen-Fantasie」(今、調べたら録音は1992年。正規品はもちろんCDであろう)ジャケット写真は・・・ヴィオリンを弾いているムターの立ち姿。正規CDと同じデザインだと思うが・・・このムター、ちょっと色っぽい。
掛けたのは「チゴイネルワイゼン」
曲の出だしからちょっと大げさな感じのするあのメロディ(好きな方、sorryです) これはグラモフォン音源のはずだが、センターラベルは白っぽくてデザインも違う。ラベルには小さい文字でmade in Japanと入ってはいるが、解説書の類(たぐい)は一切ない。聴いてみると・・・音からするとちゃんとした音源のようだとYoさんが言う。臨時に版権をとった記念のLPセットのようなものだろう・・・という意見も出たが、いずれにしても、所有者のリキさんでさえ、その出自を知らない「謎のムターLP2枚組」である。
ムター好きを隠さないYoさんが「欲しい・・・」とつぶやくと、ダジャレ好きなPaPaさんは「そんなごムターな・・・」などと言ってる(笑)

こういう音聴き会では、各人のお勧め盤を順番に聴いていくわけだが~そうすると、当然、各人の趣味嗜好が様々なので、厭きない流れになるというわけだ。実際の順番どおりではないが、ここで皆さんのお勧め盤をいくつか紹介したい。

Yoさん~今回は実は<UAレーベル>というのが隠れ主題になっていて(と勝手に解釈していた僕) それもあってか、そろそろ・・・という感じでYoさんが1枚のUA盤を取り出した。
Uas_5034_j_2 《リトルの写真4点~Yoさん提供》 Booker Little/~+4(united artists)ステレオ盤青ラベル 
この渋いUA盤からYoさんが選んだのは moonlight becomes you。スタンダード曲である。リトルはうんとスローなバラードで吹いている。
ラファロと共演のTime盤にもひとつスローものがあったと思うが、このUA盤(Booker Little +4)にもこんなに素敵なスローバラードmoonlight becomes you が入っていたのか。Uas_5034_lところが・・・僕はこの「ブッカーリトル・プラス4」~国内盤さえ持ってない。リトルがリーダーなのだから、ローチのことは気にせず聴くべきレコードだったのだな・・・などとモゴモゴ弁解する僕(笑)そういえば、Yoさんもマックスローチ苦手絡みということもあり、このUA盤の入手は他のUA盤に比べれば遅かったらしい。リトルという人・・・スパッと抜けのいい音色にも特徴があるが、丁寧にじっくりとメロディを吹くその誠実感・・・みたいなBcp_6061_j 味わいが実にいいのだ。 
Booker Little/~& Friends(bethlehem) if I should loes you
こういう音聴き会ではいつもちょっとした偶然がある。この日、konkenさん・リキさんとクルマで藤井寺へ来たわけだが、車中ではたいていiPODをシャッフルで掛けている。音源は konkenさんCDなのだが、ジャズ、ロック、ヴォーカルがごちゃ混ぜで入っているので、この3~4時間がけっこう厭きない。四日市の辺りで、トランペットが深々と吹く聴いたことのあるメロディが流れてきた。このメロディは・・・知っている。そうだ、if I should lose youだ。BGM的に流してはいても、気になる音(音楽)が掛かるとと、iPODの真ん中辺りを押してデータを表示したくなる。「ああ・・・ブッカーリトルかあ」と納得。
そんな場面があったことをYoさんに告げると、ちょっと嬉しそうなYoさんは続けてリトルのbethlehem盤を取り出して、if I should lose you をセレクトした。うん・・・いい。「やっぱりiPODで聴くよりいいな」と僕が言うとkonkenさん、ひと言「当たり前じゃん」Bcp_6061_l
どちらの演奏も、本当にスローなバラードである。一拍をカウントしてみると明らかに1秒より遅い。♪=60以下の超スローなテンポだ。
リトルはバック陣にきっちり淡々と伴奏させながら、悠々とじっくりとメロディを吹く。ほとんど崩さない。しかし不思議に味がある。リトルの音色・・・とても抜けのいい感じで、どちらかというジャズっぽくない音色とも言えそうだが・・・どこかしら、わずかな翳りがある・・・ようにも感じる。それは説明しづらい何かであって・・・妙な言い方になるが、黒人全般に一般的には似合うはずのブルース感覚とはちょっと違う感性のトランペッターであるような気がする。そしてその「翳り」とバラードはよく似合う。ブッカー・リトルという人、どうにもバラードがいいじゃないか。

Dscn2490bassclef~
Jimmy Woods/Conflict(contemporary)ステレオ盤。 conflict
右側からタッカーのザックリした切れ込み鋭い戦闘ベースが、たっぷりと鳴る。いつになくハードボイルドな感じの増したハロルド・ランドもいい。やや左側から鳴るカーメル・ジョーンズも覇気のある音色だ。そしてピアノは ・・・なんとアンドリュー・ヒル。ヒルが弾くストレーと なブルースも面白い。Dscn2492リーダーのウッズのアルトは、ちょっとクセのある粗野な感じだが、もちろん嫌いではない。ウネりながら巻き込むような吹き方は・・・ちょっとドルフィ的でもある。そしてもちろんエルヴィンもいい(笑)ドッカ~ンと響くドラムサウンドがこのレーベルの端正な感じの音で鳴るのも実に悪くない。

Miles Davis/Round Midnight(columbia CLモノラル6つ目) round midnight 
ここでいつもの聴き比べ病が出る(笑)Columbiaはスタンパー違いで音が違いが大きいと言われているが、そういえば実際に試したことはない。このRound Midnight・・・同じモノラル6つ目をYoさんもお持ちで、じゃあマトリクスを見てみよう・・・僕のはジャケはぼろぼろだが(笑)盤は1C。Yoさんのは1J。CとJなら違うと思うよ・・・と、Yoさん。
Dscn2493聴き比べの時は、僕はウッドベースの音(聞こえ方、バランス、音圧感)やシンバルの打音に注目するのだが、columbia録音のシンバルはいつもうんと控えめバランスなのでこの場合、フィリー・ジョーのシンバルであってもあまり参考にならない。そこでウッドベースだ。同じ音を出しているはずのチェンバースのベースでも、Columbia録音の場合、presitigeに比べると低音を厚めしたような感じがあり、僕の場合は、ややギスギスした感じのprestigeでのベース音よりも、ややソフトな感じのcolumbiaの方が好みではある。Dscn2489
さて、この2枚を続けて掛けてみると・・・・・・その雄大に鳴るチェンバースのベース音・・・その輪郭においてやはり1Cの方がよりくっきりした音圧感で鳴ったようだ。ベース以外には特に大きな違いは感じなかったが、全体をパッと聴いた印象として、1Cスタンパーの方が色艶が濃いというか鮮度感が高いように聞こえた。やはり・・・Columbiaレーベルではスタンパー違いによる音質の違い(鮮度感)というものがあるのかもしれない。むろんタイトルによってその差異は様々だろう。

Kenny Clarke/(Telefunken Bluesと同内容の12inch盤)から solor
アルトがFrank Morgan・・・ここでPaPaさんが鋭く反応。
PaPaさん~
僕がモーガンの名を出すと、PaPaさん、すかさず1枚のレコードを取り出す。おおっ、GNPのフランク・モーガンだ!盤を出すと鮮やかな赤。
Cimg5658_2Frank Morgan(GNP)赤盤 the nearness of you

《GNP盤写真2点~PaPaさん提供》
モーガンのアルトは・・・う~ん、これは好みが分かれるだろうな・・・ちょっと軽い音色でフレーズの語尾をミョ~!ミォ~!としゃくるような感じ。どこかの解説で「名古屋弁のアルト吹き」という表現があった。素晴らしい!(笑) ちょっと、ソニー・クリスにも似ているな・・・と思ったら、PaPaさん、次にソニー・クリスを出してきた(笑) Cimg5663さすが・・・パーカー以後のアルト吹き全般に精通しているPaPaさんだ。セレクトにテーマがある。
Sonny Criss/Up Up and Away(prestige) 紺イカリラベル から sunny

この「サニー」はもちろんあの有名ポピュラー曲。録音が1967年なので、当時のジャズロック調まっしぐら。何の衒(てら)いもなく、当時のヒット曲を料理しているようで、それは案外、クリスの持ち味であるちょっと軽いポップな感じと合っているのかもしれない。
そういえば、PaPaさんと僕が思わず微笑んでしまった場面もあった。フランク・モーガンだけでなく、もう一人、ディック・ジョンソンというアルト吹きをセレクトしてきたのだが、2人ともemarcyではなく、riversideのMost Likelyを持ってきたのだ(笑) この時、音はかけなかったが、なにか1曲となったら・・・たぶんPaPaさんも 静かにバラードで吹かれる the end of a love affair を選んだであろう。

denpouさん~
ちょっとマイナーなピアノトリオを本線とするdenpouさんではあるが、この日はピアノ主役ではない10インチ盤をいくつか持ってこられた。

Dscn0301 《写真~denpouさん提供》
Georgie Auld / (discovery:10inch) here's that rainy day
darn that dream
ジョージ・オールド・・・いや、古い日本盤ではこの人の名をりをちゃんと「ジョージイ・オウルド」と表記してあったぞ。GeorgeではなくGeorgieという綴(つづ)りに注目したのだろう。
スイング時代のビッグバンドっぽいサウンドをバックにゆったりと吹くこのテナー吹き。コーニイ(古くさい)な感じがまったく・・・悪くない(笑)
古いテナー吹きをけっこう好きな僕も、もちろんジョージイ・オールドを嫌いではない。Cimg5664_2そういえば何か10インチ盤を持ってたけど・・・などと言っていると、PaPaさんが自分のレコードバッグからすうっ~と見せてくれたのは・・・roostの10インチ盤。「おおっ、これだ!」
それにしても・・・PaPaさん、なんでも持っている(笑) Cimg5665_3 このroyal roost盤・・・面白いのは、裏ジャケットが無地・・・一文字も入ってない、無地の青一色であることだ。 さっぱりしていいじゃないか。そういえば、スタン・ゲッツの10インチも同じように裏ジャケットは無地だったかな。 当時のroyal roostさん・・・デザインとしての無地だったのか、単なる手抜きなのか(笑)
《royal roostのオウルド写真2点~PaPaさん提供》

さて・・・オウルドの10インチ盤から、here's that rainy dayという好きな曲がかかったので、僕はあのレコードを想い出した。あれ・・・エルヴィンとリチャード・デイヴィスのimpulse盤 Heavy Soundsだ。 As9160_jあれは・・・フランク・フォスターの堂々としたバラード吹奏がたまらなく魅力的なのだ。このレコード・・・拙ブログ夢レコでも小話題になったことがある。それは・・・録音のバランスとしてのリズムセクションの捉えられ方についてのコメントで、そのバランスがこのHeavy Soundsでは明らかにベース、ドラムスが大きすぎるというのがYoさん意見だった。今回、here's that rainy dayつながりだったが、Yoさんお持ちのそのimpulse盤(これは赤黒ラベルが初版)を聴いてみた。As9160_l右チャンネルからリチャード・デイヴィスの芯のある強いピチカット音が・・・かなり大きな音で鳴りまくる。 う~ん・・・これは・・・確かに大きい。フランク・フォスターのテナーが主役なのだが、音量バランス、それに弾き方そのものが管に負けないくらい「主張する音」となっている。僕はデイヴィスの音は強くて大きい~と認識しているので、僕としては「大きくても」問題ない(笑)ただ・・・一般的にみて、ジャズ録音における管とリズムセクションのバランスにおいては・・・少々、出すぎかな(笑)まあでもこのレコードはエルヴィンとリチャード・デイヴィスのリーダー作ということでもあるのだから・・・ヴァン・ゲルダーがあえてそういうバランスにしたとも考えられる。《Heavy Sounds写真2点~Yoさん提供》

Dscn0243_2《写真~ denpouさん提供》
Max Bennett~おおっ!あのシマウマだ!この10インチ盤・・・ただ、シマウマが2匹いるだけなのに、どうにもいいジャケットだ。denpouさんのこの手持ち盤はコンディションもいい。ジャケット表のコーティングもキレイでシマウマのオシリも艶々している(笑)
ベツレヘムというと名前が浮かんでくる女性ヴォーカルに、ヘレン・カーという人がいる。ヘレン・カーのリーダーアルバムとしては、10インチでは<ビルの一部屋に明かり>、12インチでは<浜辺に寝そべる2人>がよく知られているが、この「シマウマ」にも2曲だけヘレンの唄が入っている。konkenさんのリクエストもあり、この10インチ盤から ヘレンカーの歌入り(they say )を聴く。カーさん・・・声質にはやや低めで落ち着いた感じで、ビリーホリデイみたいに、しゃくったような歌い方もするが、わりと甘えたような唄う口でもある。そのカーの歌も悪くないのだが、ここはやはり間奏に出てくる、「おお、このアルトは?」くらいにハッとする鮮烈なアルトの音色に痺れる。そう、チャーリー・マリアーノである。マリアーノは唄伴でも遠慮しない。ここぞ・・・という感じで自分の唄を出しまくる。特に50年代の彼は激情マリアーノだ(笑)Dscn2504
ちなみにこの「シマウマ」(Max Bennett)は、それはそれは高価なのである(笑)でも同じ音源(8曲)をどうしても・・・という場合は、12インチではMax Bennett Plays(BCP-50)でも聴かれます。この辺りのbethlehem盤はどれもいいです。僕はマリアーノ目当てで集めました。

konkenさん~
Peggie Lee/Black Coffee(UK brunswick:10inch)
何年か前に杜のお仲間でも小話題になり何度か登場した10インチ盤。今回、ジャケット・盤ともコンディションのいいものをkonkenさんが入手。う~ん、やっぱりいい音だ。米Decca10インチと続けて聴いてみると・・・ペギーの声の鮮烈さ、バック伴奏陣のクリアさなど・・・やはりUK10インチに軍配が上がるようだ。ついでに米Deccaの12インチ盤も聴くとこちらの方がすっきりとしたいい感じなので、どうやら米Decca10インチ盤にはカッティングレベル(低い)も含めてプレス品質の問題があるかもしれない。

リキさん~
ロスアンゼルス交響楽団/Candide(Decca) バーンステインOverture ミュージカル音楽を豪快に爽快に楽しく聴かせてくれる。それにしてもこういう壮大になるオーケストラはYoさん宅の大きなスピーカーで聴くと理屈ぬきに楽しめる。

こんな具合にあれこれと連想ゲームのように飛び出てくる皆さんのお勧め盤を楽しんでいると、いくら時間があっても足らないなあ・・・という気分になるわけである。そんな中、でもやはり「レーベル興味」の音比べも楽しみたい・・・というのが、Yoさんと僕の病気である(笑)
こういう音聴き会の前にYoさんとメールやりとりしていると、そんな「レーベル話題」に関して何かしらテーマらしきものが浮かび上がってくる。
今回は・・・United Artistsである。以前から僕らの集まりで「UAのステレオ盤とモノラル盤」の話題になることがけっこうあった。具体的には・・・UAのいくつかのタイトルにおいては~<どうやらステレオ盤の方がモノラル盤より音がいい>ということで、まあもっともそれは、Yoさんと僕がチラチラと主張していただけで(笑)検証タイトルがなかなか揃わないこともあって、実際の聴き比べまでは話しが進まなかった。(Yoさんはだいぶ前から同タイトルで両種揃えていたようだ:笑)
僕が最初に、そのUAのステレオ/モノラルの音質違いに気づいたのは、アイリーン・クラールのBand & Iの2種を聴き比べた時だ。アイリーン・クラールは僕にとっては数少ないヴォーカルもの集めたい人で、このUA盤は5年ほど前だったか、先にモノラル(赤ラベル)その半年ほど後にステレオ盤(青ラベル)と入手した。そうして後から手に入れたステレオ盤を聴いて・・・僕は驚いた。「音の抜けが全然違う!」
このBand & I はバックがビッグバンド風なので、まあ簡単に言うとたくさんの音がバックで鳴っている。その大きな響きの様が、赤ラベル(モノラル)では、詰まったような感じで、なにやら暑苦しい感じが濃厚だったのである。アイリーン・クラールの声そのものにそれほど差はないようだったが、パッと聴いた時に、クラール独特のあの爽やかさ、軽やかさみたいな感じがモノラル盤では味わえなかったとも言える。
ステレオ盤では、バックのバンドの音群がそれはもうパア~ッと抜けて・・・「抜け」というのは、僕の中ではけっこうキーワードなのだが・・・説明しづらいのだが、周波数的に高音が出ているとかいう意味合いだけでなく、その鳴り方の「空気間」というか、その場で(録音現場)鳴り響いた音響の「感じ」が、よりリアルに捉えられている・・・というような意味合いで「抜けがいい」と表わしているつもりではある。
Dscn2494 Yoさんは、3年ほど前だったか・・・konkenさんお勧めのMotor City Sceneのキング国内盤ステレオを聴いて、その演奏を気に入り即座にそのオリジナル盤(モノラル)を入手した。ところが・・・どうも「違うなあ」ということで、国内盤であってもあのステレオ盤の方が遥かにいい音だった・・・という冷静な判断を下したらしい。そうしていつの間にか・・・Motor City SceneのUAステレオ盤(青ラベル)を入手していたのである(笑)
僕もクラール盤で感じていたことなので、UAの赤/青についてはまったく同感だった。そんな経緯もあって、Yoさんとは何度か「UA~United Aritistsは青ラベルだよね」みたいな会話をしていたわけである。Dscn2495
僕もまたkonkenさんのキング盤「モーター・シティ・シーン」を何度か聴いて、実に欲しい1枚だったのだが、わりと最近、ステレオ盤を入手して、その良さに満足しているところだ。4曲どれも良いのだが、特にA面2曲目 minor on top で出てくるぶっとい音のベースソロが気に入っている。ベースはポール・チェンバース。彼のいかにも大きそうな音が・・・そうだな、プレスティッジほど硬くなく、コロムビアほど柔らかくなく、適度な芯と適度に豊かな拡がりを保ちながらしっかりと芯のある素晴らしい音色で捉えられている。UAの録音エンジニアはあまり話題にならないが、なかなか素晴らしい録音だと思う。そのA面2曲目~ minor on topを掛けてもらった。
う~ん・・・素晴らしい!艶のある音色で細かいことをやらずに余裕たっぷりに吹くサド・ジョーンズ、それからいつものことながら、小気味いいシングルートーンを適度なアクセントを付けながらサラッと弾くトミー・フラナガン、そしていつもよりちょっと抑えた感じの、つまり・・・全編ブラッシュでリズムを刻むエルヴィン・ジョーンズ、そしてさきほど言ったポール・チェンバースのでかい音像のベースがやや左チャンネル辺りから響き渡る。いやあ・・・素晴らしい!Yoさんのウーレイから鳴る「抜けのいいベース音」も快感である。
この1曲があまりに素晴らしくて・・・赤ラベル(モノラル盤)と聴き比べることなど忘れてしまった(笑)
Uajs_15003_j_2《UJASステレオ盤の写真2点~Yoさん提供》
その替わりにというわけでもないのだが、今回、意図して持ってきたレコードが、Undercurrent(UA)である。同じUAでも・・・この作品は「サックス吹きラベル」である。Uajs_15003_l
   これについては・・・Yoさんがステレオ盤(UJAS~、僕がモノラル盤(UJA~)を持っており、僕はわりと最近、このモノラル盤を聴いて・・・その音の感じにやや違和感を覚えていた。ひと言で言うと「強すぎる」という感じがあったのだ。Yoさんとはメールではある程度、音の様相までのやりとりをしたが、やはり・・・音は聴かねばダメだ(笑)
7人が集まった会ではあるが、同音源の聴き比べにはあまり興味のない方も多いと思われるので、僕はちょっと遠慮気味にではあるが「ちょっとこれを・・・」と言って、灰色一色の暗いジャケット~モノラル盤:Undercurrentを取り出した。「ああ、それ、やりまひょか:笑」微妙に関西弁のYoさんが応えた。このUndercurrent・・・1978年だったか国内盤を入手した以来、僕はもう大好きでそのキング盤(ステレオ)を聴きまくってきた。あまり良好とは思えない録音(ちょっと弱い感じ)の音ではあったが、しかし、それは繊細に絡み合う2人の音世界に合っている・・・とも思えた。

<UnderCurrent モノラル盤/ステレオ盤から my funny valentine を聴き比べした後、Yoさんとのメールやりとり>Dscn2497
basslcef~
UAモノの方は「優雅で繊細」とだけ思っていた二人のデュオに、相当な力強さを感じました。エヴァンスのピアノがかなり近い音で入っていて(音量レベルそのものも大きいような感じ)かなり強いタッチに聞こえます。ガッツあるデュオ・・・という感じにも聴けました。
(ステレオ盤を聴いてみての印象)
やっぱり、青のステレオ盤、ある種、柔らかさが気持ちよく、そしてギター、ピアノのタッチの強弱感もよく出ていてよかったですね。エヴァンス、ホールのデュオ音楽としては、モノ盤のピアノは強すぎで繊細さに欠けた感じがありますね。楽器が二つだけのためか、他のUA作品でのステレオ、モノラルほどの音の落差はなかったようですが。同じサックス吹きセンターラベルでも、違い(ステレオはグレイ、モノラルはやや黄色がかった感じ)があることが判りました

Yoさん~
エバンス&ホールの件、UA盤はステレオとUK盤のモノがあります。UKモノはbassclefさんのモノオリジと同じようにカッティングレベルも高く、力感がありますが、ちょっと厚ぼったい感じがします。ステレオはちょっとレベル低めですが、透明感と力感が上手くバランスして好きです。
(USモノ盤を聴いてみての印象)
Undercurrentモノ盤は音自体は悪く無いのですが、仰るとおり「強い」という感じがあのDuoには似合わないように感じました。私は元々「DuoなんだからStereoが良いに決まっている:笑」と言う事で買ったのです。同じところから2人出てくるのは嫌いなので・・・(笑)

《この「黄色がかったモノラルラベル」については・・・Yoさんからも「モノラルでも普通はステレオと同じグレイ(灰色)だと思います」との情報をいただいた。僕の手持ちモノラル盤のラベルは・・・どう見ても黄色っぽい。これはいったい・・・? ひょっとしたら非US盤かも?と心配になった僕は、ジャケット、ラベルを仔細にチェックしてみたが・・・カナダ盤、オーストラリア盤、アルゼンチン盤などという表記はどこにもなかった。よかった(笑)》

Dscn2499《追記》
「アンダーカレント」という作品~
ステレオとモノラルの音の質感のことばかり書いてしまったので、その音楽の中身についても少し触れたい。デュオという形態は・・・難しい。その2人の個性を好きなら、ある意味、その人の手癖・足癖までたっぷりと見られるわけで面白いとも言えるが、ジャズはやはりリズム(ビート感)だ!という気持ちで聴くと・・・確かにデュオというのはあまり面白くない場合もけっこうありそうだ。
さて、エヴァンスとホールのデュオ・・・これは・・・僕は本当に凄いと思う。もちろんその前に、本当に好きだ(笑) その「凄い」は突き詰めていくと・・・やはりこのレコードのA面1曲目~my funny valentine の凄さなのだ。ごく一般的に言うと・・・ピアノとギターというのは、本来(器楽的な面として)ジャズでは相性が悪い。ハーモニーを出し、メロディも出し・・・という機能面で似ているので、出した時のサウンドとして「カブル」(被る~音が重なってしまってハーモニーが引き立たないというか・・・そいういうニュアンスで相性が悪いと・・・いう面は確かにあると思う。
この「アンダーカレント」は、ある意味・・・そうした器楽上の困難さに、ビル・エヴァンスとジム・ホールという2人の名人(白人技巧派として)が挑戦した・・・そんなレコードだと僕は思う。そうしてそんな2人の何が凄いのか・・・というと、それは「鋭すぎるリズム感の交歓、いや、せめぎ合い」ということになるかと思う。 my funny valentineは、普通の場合・・・スローバラードで演奏される。しかし、このテイクは違う。1分=180~200ほどと思われる急速調である。いきなりエヴァンスの引くメロディからスタカートをバリバリと掛けてキビキビしたテキパキした硬質my funny valentineなのである。ドラムスとベースがいないので、たしかに・・・なにやら疲れる。というより、普通のジャズだったら、あるはずの「聞こえるビート」「聞こえるタイム」がないのだ!これは・・・困る(笑) 落ち着かない(笑)フワフワしちゃう(笑)
しかし・・・これは2人の音楽的チャレンジでもあるのだ。ビートとタイムは今、聴いている自分が発現すればいいのである。アタマの中でも、あるいは手を膝に叩いたスラッピングでも何でもいいので、カウントを取って聞こえてくるビートに合わせてみる・・・そうすると2人の演っている「音」というのが、いかに凄いか・・・判ってくる。
このmy funny valentine・・・聴いていてグッ、グッと突んのめっていくような感じを受けないだろうか。この音楽が好みでない方にしてみれば、セカセカした感じと言ってもいいかもしれない。それはおそらく・・・テンポが速いからだけでなく、2人のノリ方が当たり前に「乗る」4ビートではないからのだ。小節のアタマ(4拍の1拍目)を、あえて外したようなフレージング。2拍・4拍のノリをあえて外したようなリズムのコンピング(相手がソロを弾いている時にバックに差し入れる和音) 2人はそのコンピングをどうやら1拍半(1.5拍)
のタイミングで入れているようだが、それを意地になって連続してくる。そしてその「1.5拍」は強烈なシンコペーションにもなってくるのだ。
<2小節8拍を~2・2・2・2(2x4=8)と2拍づつ刻むのではなく、例えば、1.5・1.5・1.5・1.5+2(この最後の2拍を1.5+0.5の場合もある)と
刻む。いや・・・この考えを倍の4小節(16拍)まで引き伸ばして、その間、延々と1.5拍攻撃を続けている場面さえあるようだ>
う~ん・・・こりゃ、聴いててもホント、どこがどこやら判らなくなる(笑) しかし・・・この2人はこの曲のどこで何をどうやっても、コーラスの進行を寸分違(たが)えずに音楽を進めていく。確固たる信念を持って先鋭的なリズムのやりとりを進めていく2人の厳しい佇まいに、僕は思わず身を硬くしてしまう・・・それくらいこの my funny valentineは凄い・・・と思う。そんな2人の緊迫したやりとりが、ひと山越えると、今度は、ジム・ホールがその真骨頂を見せる。エヴァンスのピアノのソロの途中、ホールはギターで4ビートを演ってしまうのだ。いや、ジャズを4ビートで演るのは当たり前だが、そうじゃない。よくあるようにベースの替わりをギターの低音部シングルトーンで弾くのでもない。ギターのコード(和音)を弾きながらそのまま4ビートを表出してしまうのだ!「なんだ、これは!」最初にこのレコードを聴いた時、その「和音の4ビートカッティング」に僕はブッとンだ。これは・・・ちょっとギターを弾いたことのある人ならば・・・同様に感じるであろう、ある意味「ショッキングなサウンド」なのである。そしてもっと凄いと思うのは・・・ジム・ホールという人がその「和音の4ビートカッティング」の音量を、微妙に抑え加減にして、なんというか技巧的に凄いというだけでなく、その技術をちゃんと音楽的なものにしてしまっていることなのだ。このジム・ホールは・・・本当に凄い、いや、素晴らしい。なお、いつもの僕の妄想では(笑)この「4ビートカッティング」が鳴り始めた瞬間、ピアノのビル・エヴァンスは、グッと目を見開いた。そうしてほんの一瞬、間を取ったが、その素晴らしいアイディアとサウンドに嬉しくなり、「よしっ!それならばオレもグイグイいくぜ」と鋭いフレージングに切り込んでいったのだ・・・。
*この「アンダーカレント」については、コメントも頂いたyositakaさんがご自身のブログでも触れてくれた。「2人のデュオ」という観点で素晴らしい表現をされている。
http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun/32543379.html
このアドレスでご覧ください。bassclefもコメントをしました。その補足として、この追記を載せました。

UA盤話題で何度となく言葉になった、その「抜けの良さ」は、アイリーン・クラール、Motor City Scean、Undercurrent以外のタイトルでも実感していた。それは、有名なアート・ファーマーのModern Art。2ヶ月ほど前だったか、いつも2人でレコード聴きをするrecooayajiさんのモノラル盤と僕のステレオ盤で聴き比べた際、モノラル盤では引っ込み気味だったベースとドラムスが、ステレオ盤では、スパ~ッと抜けたように、大きな響きになり、しかもそれはふやけた感じではなく、しっかりした音圧感を伴った鳴りに聞こえたのである。
通常の場合、モノラル盤志向のrecooyajiさんであっても、レーベルによってはステレオ盤の方がいいのかな?・・・という見識もお持ちだ。つまり・・・いい録音のステレオ盤には偏見はない(笑) 実際、同タイトル2種(Art)を聴き比べてみて、これだけ「ベースの出方、ドラムの鳴り方が違ってくると・・・これはやっぱりステレオ盤の方がいいね」という場面もあったりで近頃は、僕らの仲間でも「UAはステレオ」がちょっとしたキーワードともなっている(笑)

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2008年11月18日 (火)

<ジャズ雑感 第27回>バド・シャンクのpacific盤

好きなバラード:アルト編(その2)

前回、パーカーのことを書いてみた。音楽から受ける印象というのは、もちろん人それぞれだと思うが、僕が感じているところのパーカーのアルトの質感・・・それは圧倒的な密度を感じさせるあの重い音色であり、そうしてその音色は微妙にピッチ(音程)がズレたようでもあり、しかしパーカーがその個性的な音色でもって迷いのないフレーズ吹くと・・・その「パーカーの音」は不思議に僕の心に食い込んでくるようでもある。そんな脳髄が麻痺するような感じを「白痴美」という言葉で表そうともした(笑)
そんな風に、僕にとってのパーカーをなんとか表現しようとしたつもりではあるが・・・やはり音の表現というのはなかなか難しい。
そりゃそうだ・・・音楽なのだから最後はその「音」を聴くしかないし、聴くことにこそ価値があるわけで、ただの言葉からその「音」の真実~その聴き手にどう感じられたかという真実~が判るはずもない。音楽は聴くものだ!聴いて何かを感じることだ!それでいいのだ!
・・・そんな「言葉は無力」的な気持ちにもなったこともあり・・・しばらくブログを更新できなくなってしまった(笑)

いずれにしても、この一時期にパーカーを色々と聴いてみて・・・パーカーの強烈な音を浴びてみて・・・僕は「パーカーという人の個性」を改めて感じずにはいられなかった。パーカーは、何をどう聴いてもパーカーなのだ。
「パーカーの音」を僕なりに整理すれば、あの「太い音色と微妙なピッチのずれ感」こそがパーカーの個性と言えるのかもしれない。そうして・・・ジャズはやはり個性の音楽なのだ!
そんな「パーカー毒」のせいで、いや、おかげで(笑)僕のアタマもいくらか麻痺してしまったようだが・・・この間もレコードだけはいろいろ聴いていて、そうして「ジャズの個性はひとつだけではない」という当たり前のことを思い出したりもした。アルト吹きは、もちろんパーカーとドルフィだけではない。ジャズ好きはそれぞれに自分の好きな個性を見つければいいのだ!

そういえば、だいぶ前に「好きなバラード~アルト編」(タイトルは「ペッパーのモダン・アート」)というのを書いた。
僕はジャズのスタンダードソングを好んで聴いているが、どうしてもいいバラード(スローなテンポで演奏されるスタンダードとでも言おうか)も聴きたい。だから、1枚のLPの中に1曲でも素敵なバラードが入っていると・・・そのレコードを好きになったりする。
そんな訳で、今回は「アルト編2」ということで、僕の心に留まったバラード演奏をいくつか紹介してみたい。とは言うものの、実は・・・僕はアルトにはそれほど詳しくはない。僕のジャズ聴き遍歴を大雑把に分けると、最初の15年が黒人ハードバップ系~次の15年で白人ウエストコースト系~ここ5年はバップ、スイング系~という具合にジャズ聴きの興味が拡がってきた。その間、楽器への好みとしては「アルトよりテナー」という感じでジャズ聴きをしてきたので、アルトという切り口ではそれほど深く入り込んでいないのだ。最初に好きになったハードバップは、もちろん今でも本線として聴いているが、ことアルトに関しては、ジャズ聴きの早い時期に好きになった、アーニー・ヘンリーとドルフィー、そしてパーカーの3人以外はそれほど深くはディグしていない。マクリーンもアダレイも、もちろん嫌いではないのだが・・・深く入れ込んだことはない。なぜだかあの3人から先に進まないのだ。そうして西海岸ものを聴くようになってから、特に「バラード」という観点からいくと、ペッパーを初めとして、チャーリー・マリアーノ、バド・シャンクといった白人系のアルト吹きに興味が湧いていったようだ。だから、今回「好きなバラード~アルト編」という括りになると・・・そんな白人アルト吹きの名前ばかりがアタマに浮かんできてしまうのだ。
バド・シャンク、ハーブ・ゲラー、チャーリー・マリアーノ、ハル・マクージック、ディック・ジョンソン、ロニー・ラング、ジーン・クイル、ジョン・ラポータ、ジョー・メイニ、そしてフィル・ウッズ・・・そんな感じか。ああ、それからもちろん、リー・コニッツやポール・デスモンド、それからペッパーにも登場してもらわねば(笑) 

まずは、バド・シャンクからいこう。僕にとってバド・シャンクという人はちょっとばかり不思議な存在で・・・というのは、僕はアクの強い(個性の強い)タイプに惹かれることが多いのだが、シャンクはどちらかというと、そういった「アク」が一切ないとも言えそうなタイプだし、それまでの自分の好みから言っても、特に「シャンクのレコードを集めよう」とも思ってはいなかったのだが、知らぬ間にレコードが集まってきてしまった・・・というアルト吹きなのである。だから、もちろんシャンクを嫌いなはずはないのだが、彼のアルトを「~ だ」と表現するような巧い言葉が、僕には見つからない。とにかくもう・・・アルトの音色が美しいのである。あのアルトの音色には・・・例えば彫金の名工が造り上げたような、渋い輝きと品格を感じる。
そんなシャンクの60年代のレコードを以前の<夢レコ>で取り上げたことがある(plays ルグラン)が、今回はうんと初期のものからいくつか挙げてみたい。Dscn2207
Laurindo Almeida Quartet(pacific PJLP-7)10インチ~艶ラベル
B面2曲目の noctambulism というバラード曲に参ったのである。アルメイダはブラジル出身ののガットギターの名手なので、このレコードはブラジルの伝統的なリズムを生かしたギターミュージックという色彩が濃いのだが、このnoctambulismだけはひと味違う。
ゆったりとしたテンポで、クラシック風のメロディが密やかに奏でられる淡々とした演奏なのだが・・・これがどうにも素晴らしい!とにかくもう、このアルトの音色が絶品なのである。艶やかで馥郁(ふくいく)とした、そして品のいい色気のあるアルトの音色なのだ。このアルトの音色・・・こういうのを聴くと、もう理屈ぬきである。たぶんそれは・・・(音色の質感は違っても)パーカーの場合と同じように、器楽的な快感を味わっている部分があるのかもしれないが、そうであっても僕としては一向に構わない。音楽なのだから、鳴った響きをそのまま感じて味わえたのなら、それは悪いことではないだろう・・・たとえそれが錯覚だとしても(笑)Dscn2208
アルトのテーマが終わった後、アルメイダのギター独りだけになるのだが、このギターの音色がこれまた素晴らしい。
ガットギター本来の弦が鳴り、胴が響く、そんな美しさを感じさせてくれるギターの音だ。録音engineerは、Phil Turetskyという人らしい。その裏ジャケットに録音風景の写真が載っているのだが、そうすると後方でヘッドフォンをしている人物が、エンジニアのPhilさんであろう。僕はいくつかのPacific盤の音の素晴らしさから、このPhilさんというエンジニアに密かに注目している。
この10インチ盤がとても気に入ったので、そのvol.2も手に入れた。

Dscn2209Laurindo Almeida Quartet vol.2(pacific PJLP-13)10インチ~艶ラベル 録音~1954年4月
ところが・・・7番から13番の間に何があったのか? このvol.2・・・こちらも悪い音質ではないのだが、微妙に違うのである。残念ながら良くない方に違うのだ(笑)多少、盤質が悪いこともあってか・・・シャンクの音色の輝きの輪郭がほんの少し鈍ってしまったようDscn2210な・・・そんな感じを受ける。これは、もちろんレコードの音質の微妙な味わいのことであって、バラードで演奏されるスタンダードのstairway to the stars はやはり素晴らしい。この10インチ盤2枚が、僕のお気に入りであることに変わりはない(笑)
なお、この2枚の10インチ盤の全14曲は、12インチ盤(pacifc1204)のA面・B面に全曲とも収録されているようだ。その12インチ盤は、フラメンコダンサーが踊っているジャケット(オレンジ色/白色の2種あるようだ)のやつである。

さて、リー・コニッツ・・・この人もちょっと難しい(笑)なんというか・・・あえて情緒を排したような音色に変化をつけないような吹き方で、宙に浮いたようなフレーズを延々と吹く。ある意味・・・パーカー以上に純粋的音響主義みたいな気配がある。うんと初期の頃から「クール」と言われたようだが、実際、いくつか聴いてみても、やはり「冷やかな」肌合いのアルト吹きであることには間違いない。その辺が好みの分かれるところだと思う。僕も熱心なコニッツマニアではないが、たまにあの透徹したような音色を浴びると、けっこう気持ちがいい(笑)
今回、気づいたのだが、初期のコニッツには意外と「バラード」が少ない。意外に急速調で(あるいはミディアムであっても)テーマの最初からベースに4つ打ちさせている演奏がほとんどなのだ。それでも初期のprestigeにスローなバラードと言えそうな演奏があった。
you go to my head(1950年4月)~「サブコンシャス・リー」収録
indian summer(1951年3月)~「エズ・ゼティック」収録 
どうやら・・・初期のコニッツは、殊更(ことさら)に原曲のメロディをそのまま吹かないようにしているようで、単純にスタンダード好きの僕など「なぜだあ?」と思わないでもないが、まあそれがコニッツ流の美学だったのだろう。
001この2曲・・・悪くないが、同じ曲で、もっと素晴らしいコニッツがいるのだ!それは、スエーデンでのライブ音源を集めた「サックス・オブ・ア・カインド」に入っている you go to my head(1951年11月)だ。ライブということもあって、いい感じにリラックスしたコニッツの音色はスタジオ録音の時よりも温かみがあり、同じように抽象的な(スタンダード曲の元メロディを具象とすれば)フレーズを吹いてはいても、あまり分解的な印象がなくて、リズム的にリラックスした感じでおおらかに吹いているようで・・・だから演奏に自然なグルーヴ感がある。この「サックス・オブ・ア・カインド」はなかなかの好盤だと思う。
エルヴィンとのmotion(verve)も快作だったが、どうやらコニッツは・・・「ライブ」の方がいい(笑)
002さきほどシャンクの音色を激賞したついでに、もう1枚コニッツ絡みのpacific盤を挙げたい。僕が愛聴しているのは、Lee Konitz and the Gerry Mulligan  Quartet(pacific PJLP-10)という10インチ盤~1953年にコニッツがマリガン/ベイカーのバンドに客演した時の録音だ。A面1曲目のthese foolish things がゆったりテンポのバラード風だ。ゆらゆらとたなびくような独特なフレーズで原曲のメロディを崩しにかかるコニッツ・・・相変わらずである(笑)でもこのバラードはなかなかいい。
もう1曲だけ同じpacific盤から紹介しよう。これはバラードというよりミディアムくらいのテンポかもしれないが、too marvelous for words である。
これは・・・どうにも素晴らしい! 自分のリーダー作でないのでリラックスしていたのかもしれない。これ、先ほどのバド・シャンクと同じように、やけに生々しい録音も素晴らしいのだが、なによりコニッツの閃きフレーズが、本当に素晴らしいのだ。ひょっとしたら、いつも気難しそうなコニッツが、ベイカーとマリガンをバックに従えて、いいところ見せてやろう~てな感じで気分が乗っていたのかもしれない(笑)残念ながらコニッツのワンホーンではないが、マリガンとベイカーはバックで静かにハーモニーを付けているだけなので、実質、コニッツのアルトをフューチャーしたスタンダード曲と言える。
それにつけても、こういうコニッツのアルトのサウンドをもっと聴きたい!と僕は思ってしまう。さきほど「その透徹したような音色を浴びると気持ちがいい」と書いたが、それは・・・「肌理(きめ)の細かい大理石に触れた時の冷やかさ」・・・そんな感触かもしれない。 003
この1曲~too marvelous for wordsを聴いて、やっぱりコニッツは凄い!と実感した僕である。
このコニッツ+マリガン/ベイカーのセッションは、12インチ盤だと「リー・コニッツ・ミーツ・ジェリー・マリガン」(東芝EMI)になるはずだ。

《追記》コニッツについては、<Storyvilleの10インチ盤:Live At Storyvilleではピッチ(音程)が半音ほど高め>話題がコメント欄にて大いに盛り上がりました。ぜひお読み下さい。その後、NOTさんが実際にそれらの音源を聴き比べた印象などをご自身のブログでまとめてくれました。そちらもぜひお読み下さい。

チャーリー・マリアーノも本当にいいアルト吹きだ。僕はジャズ聴きの初め頃に秋吉敏子の「黄色い長い道」(candid)収録のdeep riverを聴いて、ごく素直にマリアーノを好きになった。そこから遡(さかのぼ)って初期のマリアーノを好んで聴くようになった。
彼の初期の音源はprestige、fantasy、imperial、それからbethlehemなどにあるのだが、この辺りのオリジナル盤はどれも高価でとても手が届かないので、再発もので我慢している(笑) 002_3
マリアーノという人・・・どうやらバラードが好きなようで、初期のレコードにおいても必ずいつくかのバラードを取り上げている。
prestigeには「ニューヨークの秋」、imperialには「it's magic」そしてbethlehemには「darn that dream」などがあり、どれもテーマを吹くだけで短めに終わるのだが、独特の情感が漂うバラードの名演だと思う。
001_3 fantasy音源のCharilie Mariano Sextet(8曲)は、OJC盤[Nat Pierce-Dick Collins Nonet]のB面に8曲とも収録されている。
タイトルのクレジットがNat Pierceになるので、マリアーノ参加ということが、案外、知られてないかもしれない。
このfantasy音源では、come rain or come shine、それからthe thrill is gone が素晴らしい。マリアーノのアルト・・・これはもう判りやすい。どちらかというと淡々としていない(笑)そうして自分の好きなスタンダードソングのメロディをストレートに唄い上げる・・・というより唄い上げようとする。そのアタックの強い音色は気迫に満ちているが、ピッチも良いし、なによりも濡れたようなしっとり感がある。ゆったりメロディを吹いたかと思うと、その合間にも激情的なフレーズを差し込んでくる。Dscn2222この辺の気迫・・・好きだなあ(笑)
マリアーノについても、もう1曲紹介したい。マリアーノは(たぶん)譜面にも強いので、いろんなオーケストラ企画ものに参加していたようで、スタン・ケントン楽団の[Contemporary Concepts](1955年7月)というレコードがある。
A面2曲目~stella by starlightでは、マリアーノがフューチャーソロイストだ。控えめなバックに乗ってマリアーノが「星影のステラ」のメロディをじっくりと吹く。ちょっといつもの激情を抑えたような感じもあり、それがまたいい(笑)

《だいぶ以前に東芝から国内盤を聴いて気に入ったので、capitolのターコイズ・ラベル(青緑)を入手した。音もいいです》

ああ、まだ3人挙げただけなのに・・・このままでは長くなりすぎる。残りのアルト吹きについては、いずれまた。
それにしても、ジャズの世界にはいろんなアルト吹きがいるものだ・・・ジャズはまだまだ面白い(笑)

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2008年4月10日 (木)

<ジャズ回想 第12回>半年ぶりにYoさん宅に集まった。その1

いいレコードを聴くと幸せな気分になる~

(*Musashi no Papaさんが、あの日のレコード写真を送ってくださったので、いくつかの写真を追加しました。lora albright, anita o'day, pinky winters, zoot sims(煙草), charlie mariano(imperialの2枚)がPapaさん提供分です。4/13)

寒い冬が終わる頃になると、たいてい「そろそろ集まりましょうよ」というやりとりがあって、「じゃあ」ということになる(笑) そんなわけで、久しぶりにYoさん宅での音聴き会である。昨年9月の「秋の杜」以来か・・・今回は、愛知から、リキさん、D35さん、konkenさん、スノッブSさん、僕:bassclef。それから神戸からMusashi No PaPaさんの6人が集まった。
PaPaさんは昨秋から「杜」(ニーノニーノさんのBBS)に書き込みを始めた方で、ちらっと書かれるレコードのタイトルから、相当なコレクター氏であることが充分に窺(うかが)われた。だから・・・Yoさんを通して、PaPaさん所有の10インチ盤もいくつか見せていただくようお願いしてある(笑)

ちょっと急なあの階段を上がり音聴き部屋に入ると、すでにリキさんがソファの後ろの席で落ち着いていた。「何からいきます?」とYoさん。そうは言っても、最初の内は皆さん遠慮気味だったりして、もじもじしているので(笑)Yoさんが自分の選んだレコードをいくつか掛けていくことになった。
こんな時は、軽くヴォーカルからがいい。
Yoさんが手に取ったジャケットは・・・フランス国旗みたいな青・白・赤3色のあれ~モリスがくっと開いた目が印象的なXレーベルの有名な盤だ。Audrey_morris_bistro

《写真Yoさん提供:Audrey Morris(オードリー・モリス)のBistro ballads》 Bistro_2

Yoさんはレコードの音質~録音の具合による各楽器の音圧感やらバランス~によって、使うカートリッジをセレクトする。セレクトといっても、2つともステレオカートリッジ(オルトフォン・ジュビリーとSPUシナジー)なのである。Yoさんはかねてから、「モノラル盤だから必ずしもモノラル・カートリッジにする必要はない」という考えをお持ちで、それは、モノラルレコード溝の深さと針の径に関する理論的な裏づけからなのだが、そのYoさんも、昨夏に若干の変化を見せた。新たに導入した2台目のプレーヤーにも2本のアームを付けたのだが、その際、カートリッジの1つをモノラルとしたのだ。もう1つはステレオで、共にエミネントというメーカーとのこと。エミネント・ソロ(モノラル)というのは・・・ごく単純に言えば、従来のものより、(モノラルカートリッジとしては)高域まで伸びるということらしい。そんなわけで、4本アームのステレオカートリッジが3個、モノラルカートリッジが1個という選択肢になる。僕など、これらのカートリッジ個々の性格まではよく判らないので、何やら混乱してしまいそうだが、これまでも巧いこと2個の使い分けをしてきたYoさんだから、新規導入の2種のエミネントの個性と使い勝手もほぼ把握できてきたのだろう。

最初に左側のプレーヤーで掛けた。選んだカートリッジは、ハイパー・エミネント(ステレオ)だ。ピアノのイントロから始まる曲~nobody's heart belongs to me だ。「ピアノ、誰?」の問いに「弾き語りだよ・・・たぶん」とYoさん。ピアノも声もちょっとおとなしい感じだ。ドラムスもベースもいないので、余計にそう感じるのかもしれない。しかし、それがモリスの落ち着いた優しい声質には合っているかもしれない。「ちょっと換えてみようか」と、Yoさんが(SPUシナジー)の方でかけてみる・・・「おお!」という皆の反応。一聴・・・音全体がスカッと抜けた感じだ。こちらの方がうんとピアノの音が太くて、しっかりと聞こえるのだ。モリスの声もやや大きくなり、ふくゆかさが増したようだ。カートリッジの出力の違いもあるかもしれないが、全体的に音がしっかりしてきたように僕は感じた。ただ、女性の声に対する微妙な味わい・・・そんなところに敏感なリキさんは「僕は・・・さっきの方がいいな」とつぶやく。
確かに、後者のカートリッジだと、モリスの声がちょっとだけ年を取ったようにも聞こえる。逆に言えば、前者の方が「より若い声のモリス」なのだ(笑)ヴォーカルが好きなリキさんの美学としては、その辺りに拘りがあるのだろう。僕など「声」も、器楽的に聞いているので、単に「大きくハッキリ」聞こえる方が、いい音だろうと思ってしまうようだ。Img_1600_2
実は、ちょっと後にも同じようなことがあって、それは、ローラ・オルブライトのあの素敵なジャケット~Lola Wants You(KEM)のEP盤(PaPaさん手持ち)を聴いた時である。そのメリハリある音に驚いた僕が「ううっ、これはいい音ですねえ」と言うと、「いや・・・ローラはもうちょっと柔らかいですよ」というリキさんとYoさん。そうか・・・日ごろからあのオリジナルを聴いている耳には、45回転のローラは、ちょっと張り切りすぎだったのかもしれない。
そういえば、僕などは、どんなヴォーカルが出てきても、ある意味、それをホーン楽器(テーマを吹く)の一種として聴いているようなところがあって、テーマをどのように吹くか(唄うか)、どんな風にメロディを崩すのか、あるいは崩さないのか・・・そんなことには興味が向かうが、その歌い手が醸し出す情緒・・・みたいな部分には、案外、無頓着なのかもしれない。いずれにしても、僕は、まだまだヴォーカルを味わう(その声の質感を味わう)・・・という境地には至ってないようだ。う~ん、ヴォーカルも奥が深いなあ(笑)
それにしても・・・みなさん、あの12インチ盤を持ってるのだな。たしか、パラゴンさんもrecooyajiさんも持っていたはずだ。PaPaさんが見せてくれた「青のローラ」を見ながら、ううむ・・・と悔しがるkonkenさんと僕であった(笑)

そうこうしている内に、神戸からにPaPaさんも到着。愛知の5人はPaPaさんとは初対面だったので、やあやあという挨拶。PaPaさんは、白い大きめのレコードバッグにぎっしりと詰め込んできた。「ダイアルのパーカーはいくつか持ってきました」というPaPaさん。チラッと見える10インチ盤たちが気になる僕だが「10インチの方は、また午後にでもたっぷりと」と、やせ我慢をする(笑)
《センターラベルは黄色も鮮やかなN.Y.だ。録音はもちろんvan gelderである。写真はYoさん提供》Photo_2Photo_10
Yoさんがフィル・ ウッズの「Woodlore」を、すうっと取り出した。バラードが流れてくる。知らない曲だが、実にいいメロディだ。いや・・・これはbe my loveか? それをうんとスロウにして崩しているのかもしれない・・・などと思って、ジャケ裏を見たら、falling in love all over again というニール・へフティのオリジナル曲だった。 この「ウッドロア」~僕はCDを持ってたのだが、こんなに素敵なバラード演奏があったとは・・・恥ずかしながら気が付いていなかった。be my loveは、この絶品バラードの次に入っていた。be my loveも溌剌(はつらつ)としたウッズがとてもよかった。バラードでもそうだったが、ごく初期のウッズの音には、なんというか「気合」が入っている。そして気合だけでなく、その音色になんとも言えないような甘い色気みたいなものがある。う~ん・・・ウッズのこのレコード、 こんなによかったのかあ・・・と、改めてジャケットを見せてもらう。 右上のprestige横のLP7478の丸い囲みが一瞬、シールに見えたのでちょっと指でさすってみたりしたが、もちろん印刷だった(笑)
それにしても・・・僕は「いい演奏」なら音源は何であっても「いい」と判るはず~と思っていたのだが、この「ウッドロア」に対しては、全くの不覚を取ったようだ。僕の場合、CDで持っていてもあまり愛着が湧かないので、それが故に「音楽」をしっかり聴いてないのかもしれない。これはまずいな・・・と反省する気持ちになってしまった。そうだ、元の演奏には何の罪もないのだ(笑) どんな音質であっても、中身をしっかり聴いてあげなければ。
そういう反省をする一方、言い訳ではないが、「オリジナル盤」と「いいオーディオ」が合わさった時に発揮されるなんというか「出てくる音が持つ理屈ぬきの威力」~そういったものも確実にあるのだな・・・ということも実感させられた。そんな「いい音」で聴くと・・・驚くほどに「その演奏」が判ってしまう~そんな感じだ。そういえば、Yoさんはフィル・ウッズを凄くお好きなようで、epicのWarm Woodsも、それからちょっと後のヨーロッパ録音のものも、ほとんどをオリジナル盤で持っていたはずだ。やっぱりレコード好きという人種は、好きなミュージシャンの本当にいいレコードをよく知っているということなのだろう。

次はテナーだ。てなわけでPaPaさんもお勧めのバルネ・ヴィランがかかった。劇画風のイラストのジャケットのやつ~IDAのLa Note Bleueだ。バラードのgood bye これは好きな曲だ。次にベサメ・ムーチョ。なぜかベサメを2テイクやっている。録音がうんと新しい時代なのでもちろんいい音だ。しかし、今ひとつ、軽い感じだ。音が軽いのか演奏が軽いのか・・・それは微妙だが。同じバルネでも昔のを聴こう~ということになり、仏RCAの有名なレコード「Barney」~バルネが脱いだ背広を肩にかけてるやつ~から、またまたベサメ・ムーチョを。バルネ氏、ベサメ・ムーチョが大好きなんだろう。 この1959年の演奏・・・ケニー・ドーハムの吹くテーマもいいし、もちろんバルネのテナーもいいソロを吹く。そしてデューク・ジョダンのピアノも、ちょっと不思議な音色のしかしいい味わいだ。僕は・・・どうしても50年代の演奏と音が好きなようだ(笑)Cd_2
《聴いたのは、たしか仏RCAオリジナル盤だったが、左の写真は僕の日本盤CD。近年、発掘された長尺未発表曲4曲が付いているので、「バルネ」の内容が大好きな方には気になるCDかもしれない》

テナー特集に移ってわりとすぐだったか、茶目っ気を起こしたYoさんが、ジャケットを見せずに何かをかけた。しっとりしたバラード。テナーである。わりあい中高音を中心に吹く感じの吹き方だ。あまり聞いたことのないメロディを抑え気味に吹いている・・・「誰か判る?」とYoさん。たしかに聞いたことのあるはずのテナーの音色だが・・・よく判らない。konkenさんが「ジョニー・グリフィンかな?」とつぶやく。そういえば・・・この高音域の音色が、グリフィンがうんと抑えて吹いた時の音色にも似ているような気もする・・・違うかなあ。ややあって、このテナーから軽くコブシを廻すようなフレーズが出た時「う~ん・・・グリフィンかな?」と僕も言う。Yoさん、黙っている・・・どうやら違うらしい(笑) もうしばらく聴き進めると、これはどうにもよく知ってるテナー吹きだぞ・・・と思う。ああっ!あれだっ。「ハロルド・ランド!」 「当たり!」というわけで、ジャケットを見せてもらうと・・・Carl's Blues(contemporary)だった。

001_2《聴いたのはもちろんオリジナル盤だったが、左写真は僕の手持ち~1970年頃の米再発盤です。そういえば・・・ニーノニーノさんのBBS「こだわりの杜」での、Yoさんとのやりとりのキッカケになったのが、このCarl's Bluesだった。A面のバラード~「言い出しかねて」も絶品だ》
曲はB面2曲目のLarue。う~ん・・・再発盤だけど持っているレコードだったのに。そういえば、僕はいつもA面ばかり聴いていたのだ。Larueというのは、たしかクリフォード・ブラウンの曲で、ラルーという奥さんの名前にちなんだ曲だったはずだ。しかし、僕はこの曲自体をよく覚えていなかった。だから・・・なかなかハロルド・ランドだとは判らなかったのだ。ということは・・・僕はブラインドがわりと得意な方だと思っていたが・・・その人の音だけで判断しているわけではなく、半分は(いや、それ以上か)演奏している曲名~特にスタンダード曲~と結びつけて、そういうディスコグラフィー的な知識を交えて、そのレコードなりミュージシャンを「覚えて」いるようだ。そういえば「音」の感じもブラインドの大きなヒントになる。ドラムやベースの音(録音の感じ)で50年代、60年代、70年代以降~と大まかな録音年代は判るのだ。もっとも(僕の場合は)例えばその音源が70年代以降の音だと判っても、その辺りのレコードをあまり聴いてないので、それが誰なのかほとんど判らない(笑)
Carl's Bluesといえば、このLPの録音の良さについて書かれた記事があるのだ。それは「ジャズ批評別冊~ジャズ喫茶80年代」というやつで、だいぶ前にワガママおやじさんのブログでも取り上げられたことがある。
http://ameblo.jp/d58es/entry-10035477644.html#cbox
たしか・・・嶋 護という録音技師が、prestigeやcontemporaryなど、ジャズレーベルの録音の質感の違いみたいなことを判りやすく記事にしている。読んでいて、うんうんと頷(うなづ)ける内容で、嶋 護氏は最終的にはcontemporaryの録音を好きなようで、特にフランク・バトラーのドラムソロの録音をそれはもう褒め上げていたのものだ。そのワガママおやじさんのブログ記事のコメント欄で、Yoさんがこの本(の内容)に興味を持ったことが判った。たまたま僕もこの本を持っていたので、この日、ぜひYoさんに読んでもらおうということで持ってきていたのだ。もちろんそんなことは知らないYoさんが、ハロルド・ランド絡みとはいえ、ちょうどこのレコード(B面のlalue)を掛けてくれるとは・・・ちょっと素敵な偶然じゃないか(笑)

《以下のランド、ズート、エドワーズの写真5点はYoさん提供》

Land_grooveyard同じくランドのcontemporary盤~Grooveyardからeverything happens to me。You Don't Know What Love Is。このレコード、なぜだかあまり見かけないぞ。しかし・・・欲しい(笑)Zoot_riverside 

ちなみにこのGrooveyard~モノラル盤の方は、ジャケットは同じなのに、なぜだかHarold In The Land of Jazzというタイトルになっている。

ズート・シムス   Zoot(riverside) 
fools rush in
同じ曲の聴き比べということで
テディ・エドワーズ It's about time(pacific)
から fools rush in Photo_3
このエドワーズのテイクを聴き終わると、PaPaさんが「・・・やっぱりズートには敵わないね」と、静かにではあるが言い切る。
「いや・・・」と、Yoさんも一言。エドワーズやランドなど、 曲のテーマをじっくりと吹き進めるタイプの、強いて言えば「訥弁(とつべん)型」のミュージシャンも好きなYoさんとしては、ズートだけが凄いのではないよ、と言いたいのだろう。しばしの間、静かなる論戦を繰り広げる。若干の緊張感がお2人の間に漂う(笑)Teddy
おせっかいの僕は「まあ、タイプも違うしね」と、割りこんだ(笑) 確かにノッてきた時のズートの鮮やかな語り口~テーマを見事に崩していくあの絶妙なバランス感~には、どんなテナーの名手も敵わないだろう。僕もあのfools rush inには、充分に参ってます(笑) 
Teddy_edwardspacific_2一方・・・エドワーズの方は、もうちょっと不器用だ。テーマをあまり崩さずに、丁寧に吹いていく。そうしてその端正なテナーの音色でもって、じっくりとこの曲のメロディを唄い上げる。後からじわじわと効いてくるような感じだ。
この曲の味わいとしては・・・僕もやはりズートの方が好みかもしれない。テナーの違いだけではなく、バックのミュージシャンの違いも大きいようだ。ズート側には、ベースのwilbur wareが入っている~僕など、それだけでriverside盤に軍杯を上げたい (笑) もちろんそんなことも、全ては「好み」によるものであることは言うまでもない。それぞれの音楽好きが、それぞれの感性で、フェイヴァリット~ミュージシャン、曲、レーベル、エンジニア~を持つ・・・そんなことが一番、楽しいことなんだろう。

インストが続いたところで、またヴォーカルでもいこうよ~ということになり、D35さんが何やら取り出している。Felicia
・・・いきなり、落ち着いてはいるが、説得力ある歌声が流れてきた。ちょっと「語り」のようなドラマティックな唄い方だが、あまり声を張り上げないところに、逆に凄みを感じる・・・そんな個性のある歌い手だと思う。デッカ盤のジャケットの方が有名かもしれない。
フェリシア・サンダースのTime盤/Felicia Sanders(time)だ。I wish you loveを掛ける。この曲・・・僕はシナトラ とベイシーのreprise盤で聴いているが、なかなかいい曲である。僕も同じレコードを持っていたのでちょっとうれしい。ちなみにこのtime盤~おそらく、2ndジャケットだろう。サンダースのアップ写真のジャケットの方が1stだと思う。1stの方が2曲余分に入っている。
《マクレエのbethlehem盤。写真Yoさん提供》

Photo_4次に、カーメン・マクレエ(sugar hill)~マクレエ・・・むちゃくちゃ巧い歌い手なのだが、そういえば「マクレエ命」みたいな人は、あまりいないよね・・・なんて話しをしながら、まずYoさんが「唇のマクレエ」(bethlehem 10inch)を取り出す。聴いた曲・・・失念(笑)
独特の乾いた感じの声は、やはり「マクレエ」だが、意外にも曲のメロディはほとんど崩さない。こういう端正なマクレエは悪くない。
もうひとつマクレエを・・・と、D35さんの手持ち盤から「シュガーヒルのライブ盤」を出した。A面1曲目sunday(だったかな?)を聴く。このライブ盤でのマクレエは、もうメロディをストレートに唄わない「マクレエ節」になっている(笑)
そしてこのレコード・・・ライブ録音なのだが、ベースの音が凄い!と思ったら、隣に座ったD35さんが、にやっと笑ってクレジットのエンジニア~の所を示してくれた。Wally Heider!そういえば、このシュガーヒルも西海岸でのライブ録音だったのだ! このブログの<Wally Heiderというエンジニア>のワイダー・リストにもさっそく追加させてもらいました(笑)Img_1598

PaPaさんは、ヴォーカル盤にも造詣が深い。
anita oday(advanceというレーベルの10インチ盤)~これは初めて見たレコードだった。ace in the hall という曲名に聞き覚えがある。たぶん・・・ボブ・シールのflying duthmanというレーベルから「若き日のアニタ」というようなタイトルで復刻されたLPのオリジナルだろう。
what is this things called loveを聴いてみる。アニタのことだから、この曲・・・多分、急速調だよ・・・と予想した通りの速いテンポになったが、途中からラテン風アレンジになったのにはちょっ驚いた。
そしてPaPaさんのバッグから出てきたのは・・・「沼地のピンキー」である。
マニアには有名なPinky Wintersのargo盤だ。この盤の登場に、喜んだのが、今回、初参加したスノッブS田さん。そうなのだ。S田さんも相当なヴォーカル好きなのである。このargo盤・・・相当に希少らしい。実際、ネットでさえほとんど見かけない。Img_1591
ピンキーの唄は、あまり聴いてない僕だが・・・案外にクセのない声質で、とても聴きやすい唄い方だった。実に巧い歌い手である。
それにしても、このargo盤のジャケット・・・どうにも独特な雰囲気だ。なぜ沼地なのか? なぜトレンチコートを着ているのか? S田さんによると、なんでも「コート3部作」というのがあるそうな(笑) アン・フィリップス・・・ジェリー・サザン・・・あと誰かな? どれも、なにかしら寂しげな感じがするね。ひょっとしたら、「女性が着るトレンチコート」には何か特別な意味があるのかもしれないね・・・などと訳の判らん話しをする僕らであった(笑)

次に聴いたのは、カーティス・フラーのThe Magnificent。これは、個人的に「かなりいい音」だと思っているCBSソニー盤の実力はどんなもんかな? という気持ちが以前からあり、今回、Yoさんお持ちのEPICのオリジナル・ステレオ盤と聴き比べてみることにしたのだ。たまたまkonkenさんもそのCDも持ってきていたので、それも併せて、CD、Epicステレオ・オリジナル、CBSソニー盤という3種の two different worlds を比べてみることになった。  
           
Dream《Magnificentの2点~Yoさん提供》
<CBSソニー盤>~全体にしっとりした感じがあり、ベースの音圧感もしっかりとある。Dream_3
<CD>~CBSソニーのLPと比べると・・・ちょっとこもった感じがあり、トロンボーンだけでなく、各楽器の鮮度感が足りない。マスターテープ鮮度という点では、1973年くらいに復刻したソニー盤の方が、だいぶ有利であっても不思議ではない。
<Epicオリジナル盤>~ラウズのYeah!で、Epic盤の音の良さというものは充分に判っていたが、「EPICのステレオ盤」の音にも実は相当な興味があった。united artisitsのレコードによくあるように、モノラル盤よりステレオ盤の方がさらにいいのではないだろうか・・・という期待もある。
さて、そのEpicステレオ盤~各楽器の定位感はソニー盤とほぼ同じ。一聴してソニー盤とあまり変わらないようにも聞こえたが・・・いや、やはり違うぞ。ソニー盤の持つ「甘さ」が、もう少しキリリッと締まり、各楽器の音にオリジナル盤ならではの鮮度感がある。特にトロンボーンの音に、より厚み・輝き・深みがあるようだ。
そんなオリジナル盤を聴いた後でのソニー盤の印象としては~「悪くない」の一言。ちょっとだけ低音を強調気味かもしれないが、各楽器を聴きやすいバランスで巧くまとめてある・・・そんな感じか。まあ僕は、これで我慢しよう(笑)

さて、PaPaさんは相当なコレクター氏で、事前にリクエストした10インチ盤~ダイヤルのパーカー、prestigeのマイルス、ロリンズ、モンク、roostのゲッツなどを含めて30枚ほどを持ってきてくださった。
この日、10インチ盤で聴かせてもらったのは、以下。

ゲッツ(roost 407) Jazz At Storyville から parker51
パーカー(dial 201)Charlie Parker Quintet から
lover manとgypsy 
マイルス(prestige 124) Miles davis The New Sounds から
my old flame 
ズート・シムス(prestige new jazz 1102)Zoot Sims In Hollywood  から what's new
チャーリー・マリアーノ(imperial 3006と3007) から
sweet & lovely
これら10インチ盤については、ゲッツのroostの10インチ盤と12インチ盤の音質の具合とか、パーカーのダイアル10インチ盤の音はどんな感じなのか・・・というような観点から、またの機会にまとめてみたいと思う。
ここでは、ズート・シムスとチャーリー・マリアーノについて、僕の手持ち再発盤との絡みを少しだけ書いておきたい。

10インチ盤のマイルスを聴いた後、ちょっとトランペット談義になり、なんとPaPaさんは、マイルスのペット自体はあまり好みではないとのこと。
トランペットは、リー・モーガンやハバードのようにバリバリと鳴ってほしい・・・というPaPaさん。僕はどちらかというと、トランペットは、マイルス、ベーカー、ファーマーといった中音派が好みかもしれない。しかしトランペット特有のあの「ッパ~パ~ッ!」という突進力も、もちろん嫌いではない(笑)僕は後期のハバードは、あまり好まないが、初期のハバードは、どんなフレーズを吹いても、凄い切れがあって、やっぱり気持ちがいい。
そんなやりとりを聴いていたYoさんが、しっとり派のアート・ファーマーをセレクトした。Early_art 《アートの写真2点~Yoさん提供》

Art Farmer/Early Art(new jazz)
B面から I've never been in love before だ。Early_art_3飛び跳ねるように小気味のいいピアノソロ・・・これを聴いてすぐにkonkenさんが「ケリーだね」と言う。konkenさん、たしかこのレコードは持ってないだろうに・・・さすがはケリー好きだ。その通り、ピアノはウイントン・ケリーだ。
そしてベースが・・・アディソン・ファーマーだ。アディソンは「ボン・ボン・ボン・ボン」と4分音符をわりと伸ばさない弾き方をする。安定はしているが、ビートが突き進んでこない。そんな特徴のアディソンファーマーを、僕があまり好んでないことを知っているkonkenさんは、こちらを向いて「アディソン・ファーマーだよ」とも言うのだった(笑)僕は思わず苦笑いをした。ところが・・・今、聴いているベース音がそれほど嫌ではないのだ。これまで、アディソン・ファーマーを「いい」と思ったことはなかったはずだった・・・しかし、このYoさんの装置で聴くウッドベースの一音一音には・・・有無を言わさない説得力があったようだ。ビートは確かに進んでこない。しかし、この人の「ボン・ボン」という一音一音に、これまで感じたことのなかった、柔らかな膨らみ具合を感じたのだ。もうちょっと硬直した感じの音だと思っていたその「ボン・ボン」には思ったよりも豊かな音圧があり、それらがソフトなクッションのように弾(はじ)けるような様を感じ取れたのだ。それはそれで気持ちがよく「ああ、こういう良さのあるべーシストだったのか・・・」と、納得がいってしまう僕だった。 これも「いい音」の威力なんだろうな・・・(笑)
そして、I'll walk alone。やはりファーマーは・・・バラードが巧い。しっとりした音色でじっくりといいメロディを吹き込む。このEarly Artは(A面だけだが)ロリンズも参加しているので、僕も黄緑ラベルを持っているが、とても好きなレコードだ。

In_hollywood_10 さて、ズートも聴かねばなるまい。 ZOOT SIMS In Hollywood (prestige new jazz 1102)から what's new
《写真~PaPaさん提供》
ズートの10インチ盤~これなどもうジャケットを見ているだけで、幸せになる。モノクロでTシャツを着た若いズートが煙草に火を点けているやつである。掛けたのは、たしかwhat's new。このトランペットは誰?という話しになったが、その時は、これもジョン・オードレイかな?と言ったような気もするが、正直、判らなかった。というのも・・・この10インチ盤の裏側は、何にも書いてない真っ白だったのだ(笑)  Zoot_3
さっき調べてみたら、この10インチ盤4曲は、1954年のセッションで~p:ドリュー、b:ラルフ・ぺナ、そして、トランペットはstu williamsonであった。なるほど・・・納得のチェット・ベイカー、ジョン・オードレイ路線の音色だったな。そして、その10インチ盤は、 意外なほど新しい感じのいい音だった。Good_old_zootすっきりさっぱりしており、シンバルもクリアなのだ。みんなも「いい音だねえ」という反応だったのだが、実際、録音も1954年と10インチ盤としては、比較的、新しいほうで、そしてなんと言っても、西海岸での録音というのが「音がいい!」と感じた理由だろう。
《10インチ盤:In Hollywood の4曲は、12インチ盤~good old Zootに収録されている。上の写真2点は、米fantasy再発です》

さて・・・チャーリー・マリアーノ(imperial 3006と3007) だ。
マリアーノのあのimperialの10インチが2枚ともが、今、僕の目の前にある!う~ん・・・と唸るのみだ(笑)
「マリアーノはやっぱりバラードを聴きたいな」という僕のリクエストで、vol.2の方から when your lover has gone をかけてもらう・・・すると意外なことに、このwhen your lover has gone は普通のスインガー(4ビート)で演奏されていた。「あれれ?」という僕の反応を見て、PaPaさんが気をきかせてくれる。「じゃあ他の曲にしましょうか」そこでvol.1の方の裏ジャケを見ると、sweet & lovelyというタイトルが目に入る。Pomeroyroostよし、これにしよう、ということで掛けてもらう・・・うん、今度こそバラードだ。しかしテーマを吹くのはトランペットだった。これは誰だろう? ちょっとチェット・ベイカーに似ている。裏ジャケ解説をしっかり見てみると・・・Herb Pomeroyだった。                                 《上の写真~ポメロイのroulette盤》
ポメロイは、当時のボストンで音楽の先生的な存在だったミュージシャンだったと思う。あまりレコードが出てない人だと思うが、PaPaさんと「そういえば何かリーダーアルバムがあったね」・・・などとPaPaさんと話す。僕もあの「緑っぽい色のジャケット」の様子を思い出すが、さすがにタイトルまでは出てこない(笑) 今、調べてみたらThe Herb Pomeroy Orchestra(roulette)というレコードだった。このレコードは持っているのだが、あまり印象に残っていない(笑) 10_5

  バラードでのマリアーノはやっぱりいい。このsweet & lovely~主旋律を吹くポメロイに、マリアーノは、抑えたような音で、すす~っと忍び寄るようなオブリガートを入れてくる。サビの部分はマリアーノだ。2コーラス目はマリアーノがソロ。そして今度はサビ部分をポメロイ。スロウのテンポに倍で乗るようなマリアーノ。長いフレーズでも息を切らさずに粘りながら吹き込んでくる。マリアーノのアルトの音色の底には・・・強靭な何かがある。バラードに拘る僕としては、vol.2収録のit's magicにも注目したい。これも素晴らしい!

10_2_3 それにしても、この2枚の10インチ盤・・・見れば見るほど素晴らしい。imperialからのジャズレコードということで、余計に希少に見えてくるかもしれないが、実際、この2枚の持つ佇(たたず)まいはどうだ。アルトを吹くマリアーノの精悍な横顔(vol.1)からは、若い頃のマリアーノの血気が感じられるし、ちょっとヘタウマ風のイラストのvol.2も悪くない。ジャケットから醸し出されるその素晴らしい雰囲気(atmosphere)を、なんとか心に留めておきたくて・・・僕は、しばらくの間、ジャケットをさすったり、裏返してみたり・・・センターラベルの青色を眺めたりしていた。

Photo《右の写真は1997年に東芝が発売した2枚。大きさは12インチなのだが「コレクターズLPシリーズ from オリジナル10インチALBUMS」という涙ぐましいタイトルのシリーズである。このシリーズでは、roost、pacific、nocturnからの復刻タイトルもあったので、たくさん入手した。だから、オビに付いていた特典応募券を切り取って、僕はドロシー・ドネガンの非売品LPも入手した(笑)》

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