チャーリー・ラウズ

2009年1月 2日 (金)

<ジャズ回想 第18回>ジャズ好きのささやかな幸せ(笑)~Pacific10インチ盤を巡って

大晦日~recooyajiさんとああだこうだのレコード聴き。

毎年、暮れの31日のお昼過ぎになると、僕は何を置いても出かけていく。すぐ近所のレコードのお仲間~recooyajiさんと「暮れのレコード聴き」をやるのである。何も暮れも押し迫った31日に集まらなくても・・・とも思うのだが、二人とも前日まで仕事のことが多くて、それに大晦日に家の掃除などするのも面倒なので、こうやって集まればその3~4時間は掃除免除となるのもいい(笑) そんな訳で、この2人集まりは恒例行事になってしまったようである。001

「何からいきましょう?」と問われた僕は、いくつか持ってきた10インチ盤の中からintroducing Joe Gordon(emarcy:10インチ)を取り出す。

《上の写真~モノクロ写真に濃い目の緑色が効いている。左後方のベース弾きがソフトフォーカスになってるのもいい。好きなジャケットだ》

これ、長いことCDで我慢していたが、ようやくこのオリジナル盤を入手できたので、最近、よく聴いているのだ。
A面1曲目~toll bridge から始めた。これを聴くといつも「あれ?このテーマ・・・どこかで聴いたことあるぞ」と思うのだが、そういえば、これ・・・モンクの「ハッケンサック」という曲と同じようなテーマじゃないかな。
002このジョー・ゴードン盤~emarcyにはなんとなく似合わないようなゴリゴリのバップ、いや、ハードバップになりかけ・・・かな。そんな黒っぽいジャズになったのは、やはりテナーで登場するチャーリー・ラウズのおかげだろう。ラウズのソロが思いの他、良いのである。どの曲でもゴツゴツした音色(後年よりも)でガッツあるソロを取っている。ちょっと残念なのは、このemarcy盤・・・録音が1955年と古いこともあってか、音質はあまり良くないように思う。
ちなみにEP盤よりも10インチ盤の方が鮮度感があるようだ。
そういえば、ジョー・ゴードンってリーダーアルバムが少ないよね・・・なんていう話しになると、recooyajiさん、すかさず、Joe Gordon/Looking Good(contemporay)を取り出してきた。emarcyとは、明らかに音の質感が違う。さきほどのクリアではないがグンと重みのある東海岸の音と比べると、うんとカラッと、全体にとてもすっきりして、聞こえる。emarcy盤は1955年、こちらは1961年の録音なので、録音機材も良くなってはいるだろうが、そのためだけではなく、やはり東海岸と西海岸の音は~録音された音~その質感・肌合いにおいて、根本的に違うよなあ・・・と思う。おそらくそれは、録音マイク~ダイナミック型とコンデンサー型の違いによるものだろう。
16 そのLooking Goodを掛けると、二人とも、ゴードンよりも、アルトのジミー・ウッズの方が気になってしまった。このウッズという人、独特のちょっと暗い音色をしている。contemporaryには、たしかエルヴィンと共演している、conflictというレコードがあったはずだ。あれも気になるレコードだ。
《recooyajiさんのオリジナル・モノラル盤を聴いたのだが、上の写真は、僕の手持ち~哀しきOJC盤です》

フレディ・ハバードが亡くなった、ということもあり「ハバード・・・何か聴きましょう」と、recooyajiさんが出してきたのは、Maiden Voyage(bluenote)。
「実はこれ、午前中にも聴いたんですよ」と僕が言うと、recooyajiさんも「「いやあ・・・僕も聴きましたよ(笑)」
ジャズ好きは、同じようなことをするものである(笑)
Maiden Voyageのを途中まで聴いて、僕はB面2曲目のハンコックの傑作曲~dolphin dance をリクエストする。ハンコックのピアノをあまり好きではない僕だが、この曲は好きなのだ。ハバードのソロも新鮮だ。あともう1曲、ハバードを・・・ということで、Buhaina's Delight(blue note)からmoon river。テーマの途中でテンポを変えるようなショーターらしい捻ったアレンジだが、こういうムーンリヴァーも悪くない。

2_001 Dexter Gordon/Go(blue noet)モノラル~
recooyajiさんとは、ああだこうだとジャズ話しをしながら、いろんなレコードを聴いていくわけだが、話しが「シンバルの鳴り」になった時、recooyajiさんが「あのカーンが好きなんですよ」と取り出した1枚・・・それがDexter GordonのGoだった。
《上写真~オリジナル・モノラル盤:NYラベル》

A面1曲目~cheese cake・・・ベースが短いイントロを弾くと、すぐにドラムスのビリー・ヒギンズがシンバルを「カーン・カーン~」と鳴らす。このオリジナル・モノラル盤で聞くシンバルは、確かに強烈だった。シンバルの音量が入力オーバー気味と言ってもいいほど大きいのだ。recooyajiさんは、この「カーン」がいいのだ!と嬉しそうである。僕の好みでは・・・ちょっとキツイ感じがした。このGoは、ソニー・クラーク絡みで割と聴いたレコードなのだが、どうもその強烈な「カーン」の印象はないのだ。
《追記~1/4(日)に再度、recooyajiさん宅で、Go(オリジナル・モノ)を聴いてみました。結論~ベースのイントロの直後に入るシンバルは・・・「カーン」と表現するほどキツクはなかったです(笑) ステレオ盤(仏・再発)での同じ場面のシンバルは、右チャンネルからわりと大人めに「シャーン」と鳴るので、それに比べると「強め・厚め」であることは間違いないですが、「カーン」という表現では、なにかシンバルを叩き倒しているような・・・そんな雰囲気にもなってしまい・・・そこまで強くは鳴ってないように聞こえました。
ただ、テナーが入ってきた辺りから、ドラムスの音量が上がってきて、その際、シンバルも先ほどの冒頭場面よりもかなり大きめになってくるので、その箇所では、ややキツイという印象はありました。いずれにしても、ちょっと誤解を招く「カーン」でした。当事者のrecooyajiさん始め、皆さんに余分なご心配を掛けました。今後もいろんな音のニュアンスを、できるだけうまく表現できるように努力する所存であります(笑)》

「ステレオ盤だと、また違うんだろうね」と2人で話したのだが、さきほど「仏・再発のステレオ盤」を聴いてみると・・・これが全然「カーン」ではないのだ!やや右よりの方から「シャーン、シャーン」とごく普通のシンバル・レガートに聞こえてくる。僕自身の好みとして、やかましいシンバルは苦手なので、僕にはこのステレオ盤のバランスがちょうどいいようだ。
果たして・・・オリジナルのステレオ盤では、cheese cakeの出だしのシンバルはどんな具合に鳴るのだろうか?011
(右写真~僕の手持ちは、もちろん非オリジナルで、通称、DMM(Direct Metal Mastering)blue noteだ。このDMM・・・1984年頃のフランス再発盤だ。一頃、わりと安価で出回ったので、持ってないタイトルをいくつか入手した。中にオマケの円形ポスターが入っている。表がblue noteのラベル、裏がへたくそなイラストの、まあどうでもいいようなポスターである(笑)

003Gerry Mulligan/~Qurtet(pacific)
pjlp-5
~これ、ようやく手にいれた10インチ盤なのだが、残念ながら、ラベルが黒の「艶なし」だった。残念というのは、「艶ありラベル」の方が1stだという認識があるからだ。この5番・・・裏ジャケット下の住所も7614 Melrose Avenueとなっている。
僕が持っている他のpacific盤をチェックしてみると・・・PJ-10(マリガン/コニッツ)、PJ-13(ローリンド・アルメイダvol.2)、PJ-14(3トロンボーン)など番号の進んだ方の盤はどれも住所はSanta Monica Blvd となっていた。  Pj52_3
《追記》~このpj-5について NOTさんから貴重な追加情報をいただいた。ちょっと下、青い字の《追記》にあるように、Santa Monicaが1st→Melroseが2ndであることが判明したのだが、このpj-5・・・1stと2ndのジャケットにかなりの相違点があったのだ。詳しくはNOTさん下のコメント(1/4 22:52の方)をどうぞ。
《上写真~1stのジャケット》*ネットから借りました(笑)

004 PJ-2番(これもマリガン/コニッツ)とPJ-7番(ローリンド・アルメイダvol.1)の2枚には住所表記がなかった。ちなみに、以上の5枚は全て「艶ありラベル」である。
*追記~PJ-7、PJ-13、PJ-10の3枚の
写真は前記事<バド・シャンクのPacific盤>をご覧ください。

《上の写真ではよく判らないが、右側~7番:ローリンド・アルメイダが「艶あり」、左側~5番が「艶なし」です》

だから、僕の手持ちPacific 10インチ盤の中では、5番のマリガン・カルテットだけがMelrose住所なのだ。そしてちょっと気になるのが、この5番だけ「pjlp-5」という風に「小文字」表記(表ジャケットの右上)なのだ。
普通に考えれば、5番より後の番号は、どれも(僕の手持ちの中では)Santa Monicaなので、「Melroseが先でSanta Monicaが後」とも言えそうなのだが・・・ここで困ってしまうのである。実は、もう1枚の僕の手持ちのPJ-1番「ジェリー・マリガン・カルテット」~これが、Santa Monicaの住所なのである。005

《左の写真~重ねたジャケットの下のやつが問題のPJ-1番。他のSanta Monica表記盤と比べると、この1番だけは、Santa Monica文字のサイズが小さい》

そうしてその「マリガンPJ-1番」のラベルは「艶なしラベル」なのである。推理としては~(艶なしラベルが2ndという前提ならば)まず「PJ-1番の1stはMerlose住所で艶ありラベル」だったが、この1番は良く売れたので、何年か後のSanta Monica住所の時期に、再発した。それが僕の「マリガン(PJ-1番)/艶なしラベル」ということなら・・・一応の理屈は合う。
《追記》~アドレス表記に関する上記の僕の推理は間違っていたようです(笑) 瀬谷さんの貴重な情報からも明らかなように、アドレスについては《Santa Monicaが先で、Melroseが後》が正しいようです。詳しくはこの記事の一番下のコメント~瀬谷さん情報をお読みください。

006 さて、アドレス表記のことよりも強調したいことがあるのだった。この5番~<MerloseアドレスのGerry Mulligan Qurtet>・・・やけに音がいいのである。西海岸録音に特有な「カラッ」とした良さはそのままに、マリガンのバリトン、チェットベイカーのトランペットの音色に、もう少しの生々しさが加わった感じか。実際、これまで聴いたpacificの10インチ盤では、最も生気感・鮮度感のある音に思える。パッと聴いたら、とても1952年の録音とは思えないだろう。艶なしラベル(2ndと思われる)でこれなら・・・1stならどうなるの・・・などと想像してしまう僕である(笑)
《追記~レコードを再生する場合の「音質」に大きく関係してくるであろうRIAAとそれ以前のAESカーブの問題。これについては、以前からNOTさんが具体的に突っ込んだ考察をされており、特にPacific10インチ盤についての詳しい記事がありますので、ぜひこちらをご覧ください

《追記~NOTさんブログにて、コメント欄で話題になった、マリガン/コニッツのPJLP-2番「銀色ジャケット」の詳細が判ります。併せて、PJLP-5番の1stと2nd、裏ジャケットの写真も載ってます。ぜひご覧下さい》

追記~
このPacificの10インチ盤の<アドレス表記、ラベル艶の有無>は、実に興味深い事象なので、コメントを頂いたYoさん、67camperさん、三式さん、NOTさん、bassclefの手持ち盤から、実際に確認できたものをリストにしてみました。(NOTさんは全部揃いだと思いますが、他の方の情報とダブらない盤のみお知らせいただきました)
*今後も、何らかの情報ありましたら、ぜひコメントにてお寄せください。

PJLP 1 - Gerry Mulligan Quartet
        <Santa Monica  艶あり> Yoさん、
                <Santa Monica   艶なし>  bassclef *盤の入替か?

PJLP 2 - Gerry Mulligan Quartet With Lee Konitz   
      <表記なし 艶あり> bassclef

PJLP 3 - Chet Baker Quartet 
     <Santa Monica 艶あり> Yoさん、三式さん

PJLP 4 - Sweets at the Haig - Harry Edison Quartet  
      <表記なし   艶あり> 67camperさん

PJLP 5 - Gerry Mulligan Quartet
            <表記なし 艶あり>  NOTさん
            <Melrose   艶なし> bassclef

PJLP 6 - Chet Baker Featuring Russ Freeman
       <表記なし 艶あり> 三式さん
       <Melrose  艶なし> NOTさん

PJLP 7 - Laurindo Almeida Quartet                                                <表記なし 艶あり/艶なし> bassclef,  Yoさん

PJLP 8 - Russ Freeman Trio
          <Santa Monica   艶あり> Yoさん

PJLP 9 - Chet Baker Ensemble
     <Santa Monica  艶なし> NOTさん *盤の入替か?

PJLP 10 - Lee Konitz And The Gerry Mulligan Quintet                               <Santa Monica   艶あり> bassclef

PJLP 11 - Chet Baker Sings
              <Melrose      艶あり> Yoさん *盤の入替か?
     <Melrose          艶なし>mono-monoさん
     <Santa Monica 艶あり> 三式さん、NOTさん

PJLP 12 - Meet Mr. Gordon
             <Santa Monica  艶あり>Yoさん、67camperさん
             <Melrose  艶あり>        NOTさん

PJLP 13 -LaurindAlmeida Quintet vol. 2                                    
      <Santa Monica  艶あり> bassclef

PJLP 14 - Bud Shank And Three Trombones   
             <Santa Monica    艶あり> bassclef

PJLP 15 - Chet Baker Sextet
       <Santa Monica    艶あり> NOTさん

PJLP 16 - Bob Brookmeyer Quartet
       <Santa Monica    艶あり> NOTさん

PJLP 17 - Chico Hamilton Trio
       <Melrose  艶あり> NOTさん  *盤の入替か?

PJLP 18 - Al Haig Trio~発売されず 

PJLP 19 - Clifford Brown Ensemble
       <Melrose   艶あり> 三式さん 

PJLP 20 - Bud Shank And Bob Brookmeyer
               <Melrose     艶あり>  Yoさん

007 Ray Bryant/Live At Basin Street East(Sue) これ、ブライアントのライブ盤だが、録音がとてもいい感じだ。ピアノだけでなくベースやドラムスも音圧感豊かに捉えていて、加えて店内のザワザワした感じも窺(うかが)えるので、僕は好きな録音なのだ。もちろん演奏も最高だ。聴衆を楽しませるマインドたっぷりのブライアントらしくスタンダード曲に適度なアレンジを施し、でもやり過ぎずに、キッチリしたトリオのサウンドで楽しませてくれる。 A面とB面の1曲目~what is this things called loveとblowin' in the windを聴く。ブライアントはこの有名なデュラン曲を、ちょっとカリプソ風のリズムにして、実におおらかで、そしてモダンなサウンドに仕立て上げている。
008すると・・・recooyajiさん、『う~ん・・・この「風に吹かれて」、いいなあ。そうだ、あれも聴いてみよう!』と、Junior ManceのTuba盤を取り出してきた。2_002
《右写真~Junior ManceのTuba盤》
こちらの「風に吹かれて」は、わりとストレートな8ビート風。ラムゼイ・ルイスが得意そうな感じだ。このTuba盤もなかなかいい録音だった。マンスのジャズロックも悪くなかったが、A面のthe good life・・・これがしっとりしたバラードで最高!マンスは、案外、バラードがいい》

ここから俄かにマイナーレーベルのピアノトリオ盤に話しが移った。Tuba、Herald、Salemというあまり聞かないレーベル名が飛び交う。この辺になると、recooyajiさん、異常に詳しい(笑)相当なジャズ好きしか名前も知らない(だろうと推測している)Bill Will Davis(p)、Johnny Pate(ベース弾き)やAaron Bell(こちらもベース弾き)のピアノ・トリオ盤を引っ張り出してきた。

2_003Tubaというレーベルだけは、ヴィブラフォンのJohnny LittleのLPを持っているので、辛(かろ)うじて知ってはいたが、Aaron(b)のレコードは、Three Swinging Bells(Herald)なるタイトルで、見たことも聞いたこともないレコードだった。う~ん・・・参りました(笑)
《上写真~Sue繋がりで出てきたWill Davisの1枚》

 
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《左~Johnny Pate At The Blue Note:この盤はStephanyなるレーベルだがオリジナルはSalemとのこと。右~アーロン・ベルHerald盤》
Johnny Pate(b)という人は、ピアノのロンネル・ブライト絡みで2枚ほど復刻盤を入手したが、recooyajiさんが見せてくれたレコードは知らなかった。
そんな類をいくつか聴いたのだが、どれもなかなかいい音だった。マイナーレーベルの録音を侮ってはいけないのだ(笑)

キャロル・キングのtapestry(ode)~このオリジナル盤は、70odeと呼ばれているとのこと。it's too late~いやあ・・・僕はこの名曲、何度も日本盤シングルで聴いていたので、それに比べるともう・・・10倍くらいは音がいい!
《recooyajiさんのオリジナル米盤》
2_006 乾いた感じのバスドラの抜けがよくて、ギターもカッティングも生々しい。そしてもちろんヴォーカルも瑞々しい。
やっぱりキャロル・キングはいいねえ・・・と2人で言いながら、will you love me tomorrow?,so far away も聴いてしまったのだった(笑)2_007
そういえば、このLPでは、it's too lateで、ちょっとヘナヘナとしたソプラノサックスが聞こえてくる。僕はそのソプラノサックス奏者が誰なのか・・・日本盤シングルの解説により知っていた。「そういえば、どうでもいいような話しですけど、「このサックス、誰か知ってます?」と僕が尋ねると、recooyajiさん、即座に「カーティス・アーミー」と答える。「いやあ・・・さすがですね(笑)」
カーティス・アーミーは、Pacificに2~3枚、リーダーアルバムがあったはずで、東芝が復刻した時にいくつか入手した記憶があるが、サックス奏者としてはあまり印象に残っていない(笑)

recooyajiさん宅をちょっと早めにお暇(いとま)した後、ちょっと時間があったので、地元の中古レコード屋さんを覗くことにする。たしか今日まで20%オフなのだ。あまり期待せずにチェックしていくと・・・「おっ?」という1枚があった。

17Jimmy Forrest/Most Much(prestige)である。フォレストは、エルヴィンと共演しているデルマーク盤(再発)を聴いていてけっこう好きなテナー吹きである。そのフォレストのprestigeものはOJC盤でいくつか持っていたが、このMost Muchはちょうど未入手だったのだ。1180円という値付けだったので、もちろんOJCだと思ったのだが、ジャケットの裏右上にOJCの文字はない。よく見るとジャケットの3辺に白いテープが貼り込んであったりする。う~ん・・・ジャケ不良だから安いのか・・・じゃあ「黄緑ラベルだろうな」と思いながら、中身を取り出してみると・・・鮮やかな銀色が目に飛び込んできた。銀・黒ラベルのステレオ盤(擬似ステレオではないもの)は嫌いではないので、もう嬉しくなってしまった僕である(笑)

午前中はレコード棚の収納再編成~そのためにあれやこれやとCDやレコードをいじり、午後はジャズ好きとたっぷりレコード聴き、その後、ちょっといいジャズのレコードを買ったり・・・これもなかなか優雅な大晦日じゃないですか(笑)
いやあ・・・それにしても、やっぱり音楽はいい! 好みはそれぞれ違えど・・・それだけは間違いない!

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2007年4月20日 (金)

<ジャズ回想 第10回> ああ・・・この音だ。Yoさん宅、再・再訪記(その1)

いくつかの聴き比べを交えて「音楽」に浸った9時間。

推測だが・・・ジャズ好きという人種は「偏屈」である。もちろん、僕も例外ではなく、どちらかといえば狭い人間関係の下で生きている(笑) ところが、この3年ほどか・・・九州の新納さんの田園の中のレコード店~Ninonyno(ニーノニーノ)さんのBBS「こだわりの杜」に顔を出すようになって、そこでのやりとりを通じて、ジャズのお仲間が増えてきた。その後、このブログ<夢見るレコード>も始めて、さらに多くのジャズ好きの方と知り合うことができた。このごろでは、「杜」のお仲間と「ミニ杜」と称してオフ会的に集まったりもする。持ち寄ったレコードを聴いたり、しゃべったりしていると、本当に楽しい・・・そうして、判ったことがひとつある。「ジャズ好きはジャズ好きと語りたい」のである(笑) そして「オン/オフ」に係わらず、「語り合えるお仲間」がいるということは、素晴らしいことだ。
そんなお仲間のYoさんとは、たびたびジャズ話しのメールやり取りをしている。たいていは、最近入手して気に入ったレコードとか、逆にそうでもなかったもの、あるいは再発ものなどでも、やけに録音がいいと感じたものとか・・・そんなレコード話題である。レコードやミュージシャンに対する好み、あるいは録音に対する好み・評価などは、合ったり合わなかったりなのだが、そんなやり取りをしていると、「聴き比べてみたくなる盤」が、次々に浮上してくる(笑)
例えばこんな具合である。ある時、ラウズ~モンクのことから話しがグリフィン(リヴァーサイドの「ミステリオーソ」(nutty)に及んだ。
Yoさん~「モンクとやっているグリフィンは、緊張しているせいか大人しい」
bassclef~「いや、そんなこともない。いい感じでノッてるのでは」
お互いに「そうかなあ?」そして再聴してみるのだが、やはり意見は変わらない。それも伝える。またまた「う~ん・・・変だなあ」
その「ミステリオーソ」・・・双方の手持ちの盤は何なのかな?
う~ん・・・それじゃあ、ひょっとしたら録音の感じが違うかもしれんぞ(特にリヴァーサイドだから:笑)じゃあ、ぜひ聴き比べてみよう!・・・てな感じなのである。
Yoさん~Misterioso(riverside)黒・ステレオ《下の写真2点はYoさん提供》MisteriosoMisterioso_l

Dscn1691

《左写真:bassclef~Misterioso(riverside)青・小・モノラル》

この「ミステリオーソ」の聴き比べについては、すでにニーノニーノさんのBBS「こだわりの杜」に書き込みレポートをしたので、その書き込みを以下に再掲させていただきます。

モンク/ミステリオーソ(riverside)~
これは「モンクとのグリフィンはおとなしい感じ」というYoさんの印象~[ミステリオーソでは頼りなげに聴こえるんです。録音の所為かもしれません。モンクのピアノが強く明確に録られているので余計に音の小さなグリフィンがそのように聞こえるのかもしれません。ステレオだと左隅で小さくなって吹いているように聴こえます。(モノとステレオの違いも有るのかも?)]というYoさんと「いつものグリフィンだと思う」というbassclefのメールやりとりから、Yoさん手持ちの<黒・小・ステレオ>とbassclefの<青・小・モノラル>を、ぜひ比べてみよう!という経緯があったわけです。
曲はlet's cool one にした。この曲、途中でモンクらがバッキングを止めてしまい、完全にグリフィンのテナーだけになる辺りがスリリングだ。メロディがチャーミングで、モンク曲の中でも特に好きなのだ。
先に[黒・小・ステレオ]から~
聴き馴染んだあのメロディが始まる・・・ところが、グリフィンが左の方、それもかなり遠い。確かにYoさんの印象どおりで・・・・他の楽器とのバランスからいっても、かなり小さめだ。これは・・・「おとなしいグリフィン」になってしまっている(笑)これを聴いたのなら・・・たしかに「モンクに遠慮でもしているのか?」と感じてしまうだろう(笑)Yoさんに「う~ん・・・(なぜグリフィンが大人しい・緊張?と感じたのか)これで判った」と言う僕。Yoさん、ちょっとホッとしたような表情。
続いて[青・小・モノラル]~いきなりのピアノのイントロから音が元気だ。カッティングレベル自体もモノラルが高めにしてあるようだ。
そして・・・グリフィン。中央から太く、そして大きな音量バランスでテナーが鳴り始める。Yoさん「全然、違う!」さきほどホッとしたYoさん、今度は、モノラル盤の「粋のよさ」に、少々、悔しそう(笑)
どちらかというとステレオ派(特にライブ録音では)の僕でも、こうして続けて聴くと・・・この「ミステリオーソ」に関しては、モノラル盤の方が「音楽」が
楽しめる。う~ん・・・モノラルも悪くないなあ(笑)
それにしても解せないのが、この黒・ステレオ盤は、裏ジャケにray fowlerもクレジットされており、例の「変なステレオ3D図面」もある。
そして僕が聴いてきたステレオ盤(昔のポリドールの2枚組monk's world)でも、こんなに「遠いグリフィン」ではなかった。戻ってから聴いたファイブスポット未発表テイクでのグリフフィンも、中央やや左から、もっと大きなバランスで元気に鳴っていたのに・・・。この「黒・小・ステレオ盤」では、フォウラーが、意図的に、テナーを抑えたバランスでのミキシングをしたのかなあ・・・?当時のriversideは、ちょっと変則で、あるセッションなりライブの際、モノラル用の録音とステレオ用の録音を「同時に」やってしまったらしい。ミキシングで各楽器の位置、音量を「変えて」しまったのかもしれないし、録音の際の「マイクの位置取り」において・・・モノラル用の方にアドヴァンテージがあったのかもしれない(笑)
いずれにしても・・・モンクのファイブスポットは、本当にいいライブです。僕はもう大好きなレコードで、これでベースがアブダリマリクでなく(もちろん悪くないのですが)ウイルバー・ウエアだったらなあ(笑)と隣のkonkenさんに洩らした僕でした。



レコードというのは、普通は~普通でない場合ももちろんあるでしょうね(笑)~なかなか同じタイトルのものを何種類も集めない。しかし、そのレコードに「ラベル違い」があることが判っていて、しかもお互いの手持ちの中でそれらが揃ったとなると・・・これはやはりその「ラベル違い」で、どんな具合に音質が違うのか、あるいは違わないのか?  そんなことを知りたい気持ちになるのも、レコード好きとしては無理からぬことだろう(笑)
さきほどの「グリフィン」と同じ経緯で浮上してきたここ最近の「聴き比べ候補盤」あるいは「お勧めの好録音盤」(ほんの一部)を以下に挙げてみる。

Lorindo Almeida/~Quartet(pacific:PJLP-7) 10インチ盤~[ラベルの艶:有り/無し]
Stan Getz/~Plays(clef:10インチ盤)と ~Plays(norgran:12インチ盤)と 同音源のEP盤(EP-755)
Oscar Peterson/We Get Requests(verve)~このレコードは、MGM-VERVEのT字ラベルなのだが・・・「モノラル溝あり」と「ステレオ溝あり」と「ステレオ溝なし」の3種あることが判ったので、それもぜひ聴き比べてみよう!とあいなった(笑)
(以下は、bassclefの思う好録音盤として)
Frank Rosolino/Free For All~[米specialty盤とセンチュリー国内盤]
Thelonious Monk/Blues Five Spot(milestone/ビクター)
Bill Evans/Time Remembered(milestone/ビクター)この2タイトルは共に
1982年頃発売されたriversideの未発表音源だ。

こんな具合に「聴きたい盤」が増えてくると、どうしても集まりたくなる(笑) そんなわけで半年振りにYoさん宅におじゃますることになり、今回はkonkenさんと2人で藤井寺に向かった。早めに出たのだが、関~伊賀辺りが事故渋滞で、そこを抜けるのに1時間以上もかかってしまった。トンネルの途中で止まってる時など~まだこの先、何時間待たされるかも判らないので~せっかちな僕は「チャンスは今日だけじゃない・・・」と、あきらめかけたりしたのだが、konkenさん「ここまできたら絶対に行く!」と力強い一言。じゃあ、ってんで、覚悟決めて、あれこれとジャズ話しなどして渋滞の苦痛を耐え忍ぶ二人。いいかげんイヤになってきた頃・・・天は我々を見捨てなかった(笑) 伊賀の「加太(かぶと)トンネル」を出ると、とたんに渋滞が消えたのだ。二人とも「やったあ!」 後はもう、飛ばすに飛ばす(笑)
そうして 11:30頃にはYoさん宅に到着できたのである。よしっ、これでまた「あの音」が聴けるぞ!

左側に手すりのついた、ちょっと急なこの階段を上り始めると・・・そういえば昨年の秋、この部屋に14人も集まったのだなあ・・・と懐かしいような気持ちになる。あの時は先に到着していたパラゴンさんが「ヴォーカル特集」を展開しており、階段の途中で漏れ聞こえてきたのは・・・キャロル・スローンだった。スローンのOut Of The Blue(columbia)からの・・・deep purple~イントロ部分での、弦を使ったちょっと不協和音のようなアレンジが特徴的なあの曲~が流れていたように記憶している。もっともこういう記憶は、後から自分の中で勝手に脳髄インプットされたりもするので、アテにはなりません(笑)
*10月の「大阪・神戸・秋の陣」会の模様は、拙ブログ記事に長々と書いてあります。こちらからどうぞ。

さて・・・今回の3人会は、ラウズ3連発から始まった。ラウズから始まり、そのまま「テナー特集」と化し、次に「聴き比べ」をやり、インストばかりではちょっと厭きるので、「ヴォーカル」や「ピアノトリオ」を混ぜ、再び「聴き比べ」。その後、ちょっとだけクラシック。それからアルトで、またヴォーカル・・・そんな感じで、実にいい按配に、次々と「音楽」が流れていった。ひとつの曲が終わると、短くその感想を言い合い、そして次にかけるレコードを取り出す・・・時間がどんどん経っているようでもあったが、3人とも休む素振りを見せない。そして・・・全く疲れない。まるで名手の吹く自然なアドリブのようではないか(笑)

YeahYoさんが最初にかけたのは、チャーリー・ラウズの Yeah!(epic) からyou don't know what love is。普通はバラードで演奏されることの多いyou don't know だが、ラウズは、あえて最初からベースがゆったりテンポの4ビートを刻むリズムを選んだようだ。そして、ペック・モリソンの強くギザギザしたような音色が、目の前のスピーカーから弾んだ瞬間・・・「ううっ。これは凄い!」と僕:bassclefは、 唸ってしまった。右隣に座ったkonkenさんも、やはり「うう・・」とスピーカーの方を見つめたままだ。

《上下の写真2点ともYoさん提供》
Yeah_l前回、レコードによっては響きが膨らみすぎる場合のあった、ウッドベースの音が見事に締まっているのだ。いや、充分に存在感を感じさせながら、わずかに引き締まった感じになっているようなのだ。ペック・モリソンという人の参加レコードはそれほど多くないと思うが、そのいくつかのレコードで、音の大きそうなガッツあるタイプのべーシストだとは感じていたが、正直に言うと、ここまでペックモリソンが「凄い」と感じたことはなかった。
「凄い」というのは・・・なんというか、ペック・モリソンというべーシストの「音が大きい」ことが判るだけでなく、その一音一音に込める気合やら、ベースで紡(つむ)ぐライン全体の迫力・・・そんなものまで「判って」しまったという意味なのだ。
いかにも音が大きそうで太くて重くて、ちょっとギザギザしたような独特なモリソンの音色。心持ち、弾むようなビート感が心地よい。彼の刻む4ビートが見事にゆったりと、しかし決して鈍重にはならずに「音楽」を支えている。それに乗っかって、ラウズのテナーが深く沈みこむような音色でもって、自分の唄を吹き進んでいく。それから、デイブ・ベイリーの重心の低いドラムス。
それらがしっくりと溶け合った実に感じのセッションではないか。たぶん「音色」の相性までもがよかったのだろう。Yeah!という作品は・・・本当に傑作と呼んでもいいだろう。

そういえば、ラウズのテナーも、このEpic盤:Yeah!では、実に魅力的な音で録られているように思う。前々回の<夢レコ>では、ラウズの音色を「深い」と表現したが、Yeah!でもやはり・・・深い。その深さにさらに落ち着きが増して、どっしりした重さも加わっているような感じなのだ。
そのラウズのテナーの音色が、面白いことに、同じ時期の2枚のEpic盤~[Yeah]と[We Paid Our Dues]とでは、微妙に違っていたのだ。レーベルが同じでも「同じ音」と決め付けてはいけないようだ(笑)
以下、その比較の印象を少しだけ。(jazzlandのTakin' Care~も参考として聴いてみた)

Yeahの方~深みと重み、それに渋みがブレンドされたような音色。豊かに響く。ラウズは元々、わりとサブトーンを使うので、音色の輪郭自体も丸みのある方だが、やや膨らみ気味かもしれない。だがしかし、僕はラウズに関しても、Yeahでの音色の方が好みのような気がする。

We Paidの方~(Yeahに比べると)音色自体もちょっと締まり気味で、サブトーンなどの響きの余韻を程よく抑えたような感じ。だから・・・ラウズが少しだけ知性的になったような感じがする(笑)

Takin' Care(jazzland) からpretty strange ~この盤では、再び「膨らみ気配」のテナーになった。サブトーンの余韻もやや強調気味か。もちろん悪い録音ではないのだが・・・2枚のEpic盤の~両者共にどうにも魅力的なテナーの音色だった~直後に聴いたこともあり、「あれ?」という感じがするくらい「普通」のテナーの音に聞こえてしまったことも事実だが、まあそれくらいYeah!の録音が素晴らしいということだろう(笑)

・・・・・ラウズ3連発を聴き終えると・・・このYeah!を初めて耳にしたらしいkonkenさんも「ラウズも、いいねえ」と嬉しそうだ。
ハロルド・ランドやテディ・エドワーズ、それからこのラウズ・・・独りでじっくりと吹かせると実にいい味を出すタイプだと思う。その手のテナーのちょっといいレコードも、この後でかかることになる。

さて・・・今回は、いきなりの「驚愕のベースサウンド」で始まったので、その後かけたいろんなレコードのそれぞれのべーシスト達の「音の印象」を少しまとめてみたい。

《We Paid Our Dues(epic)黄・モノラル。写真2点ともYoさん提供》
We_paid_lWe_paid









ラウズ2枚目のレコード~We Paid Our Dues(epic) からは、バラード:when sunny gets blueを聴いた。 

~ラウズとセルダン・パウエルが3曲づつ分け合っての1枚。交互に1曲づつ配置されているとのこと。ラウズの3曲は以下。
When Sunny Gets Blues
Quarter Moon
I Should Care
2曲のスタンダードなど、とても趣味のいい選曲だと思う。気になるペック・モリソンの名が、なぜかパウエルの方のセッションに載っている(笑)

この曲でのべーシストはレジー・ワークマンであった。(このレコードでの)ワークマンは・・・ベースの音色がもうちょっと下の方に伸びたような感じ。音色の説明はとても難しい(笑)そうだな・・・ビル・エヴァンスのExplorations(riverside)でのラファロのベース音に近い感じかな。ワークマンもラファロと同じく一音一音をグウ~ンと伸ばすビート感を持つ弾き手だ。このレコードでも「巧いべーシスト」の音色だったが・・・その音量はたぶんペックモリソンよりも小さい。そして、ラウズのテナーのもっさり感には・・・ペック・モリソンの方が「相性」がいいように感じた。
いずれにしても、さきほどのペック・モリソンとはおもしろいように「音」が違う。いや・・・「音が違うことが判る」のだ。そしてそれは、それぞれの奏者にそれぞれの「個性」がある~そんな当たり前のことを、もう理屈ではなく目の前の音から確認できるということなのだ。
2人のベース奏者を比べただけでも、こんな風に「個性の違い」が見えてくる・・・これは面白いですよ(笑)
もちろん演奏の良し悪しや録音の具合によって、その「表われ方」に微妙な差はあるかもしれないが、音量・音圧、そして音色、そんなその奏者の「真実」を、そこにあるスピーカー(の間の空間)から感じとることができるのだ。聴く方には面白いが、演奏者には「怖い」ことだろうなあ(笑)
ちなみに、サックスやピアノは違いが判るが、ベースやドラムだと判りにくい・・・とよく言われるかと思う。管楽器やピアノの場合だと、その主役の吹くテーマやアドリブを聴き込めば(そして身体で覚えてしまえば)音色やら(特徴的な)フレーズなどから、各奏者の違いを聴き分けやすいのかもしれない。その点、たしかにベースが主役のソロイストとして、メロディーを弾いたり、アドリブを弾きまくることは少ない。しかし・・・僕は、ベースやドラムスの場合でも全く同じだと思う。ベースならその(好きになった)べーシストの演奏(ライン)を意識して、ある程度まで聴き続ければ、終いには「その奏者」のクセを身体が覚えてしまいます。そうなれば何かのレコードをメンバーを知らずに聴いたとしても「あれ?この弾き方は・・・」てな感じで「その奏者」だと、判るようになったりします。(もちろん判りやすい奏者と、そうでない奏者がいますが)
そうして、そんな「耳」(意識)になってくると・・・オーディオの「素晴らしさ」そして「怖さ」は、よりいっそう増すのかもしれない。

ベースの音がいいねえ・・・という感想をkonkenさんと言い合っていると、Yoさんが次なるレコードを繰り出してきた。
ソニー・ロリンズ/A Night At The Village Vanguard(bluenote)~UAラベルだったかな?~から softly as in a morning sunrise をかける。
*訂正~このbluenote盤は<RVG刻印ありのリバティー・モノ盤>でした(Yoさんコメント参照)

強烈な引っ張り力でウッドベースという楽器を雄大に鳴らしているであろうウイルバー・ウエア。
そのベース音は、ガット弦の特徴でもある、音色のエッジが丸く膨らみながら低い方に伸びるような音色だと思う。そのウエアの大きな音像が、充分な膨らみを持ちつつ、切れ味ある鳴りっぷりだ。
この曲でのエルヴィンはブラシで通すが、時にアタックを効かせたエルヴィンのバスドラが、コンパクトにドシッ!ドシッ! とすっとんでくる。乾いたいいドラムスの音だ。この頃のエルヴィンは、まだまだ端正な感じだ(笑)
僕は、もちろんこの「ヴィレッジ・ヴァンガード」は大好きなレコードで、以前にも記事にしたのだが、実は、このライブ盤の音については、ちょっとひずみっぽい雑な録音だと思っていた。しかし、このリバティ・ラベル盤は、ドラムもべースも、そしてもちろんロリンズのテナーも、いい具合にすっきりした、そして実にいい音だった。
以前からYoさんの装置では、ベースがよく鳴る。充分すぎるほどの音量・音圧がベース好きの僕にはうれしくなるようなサウンドだった。ただそれがゆえにレコード(その録音バランス)によっては、どうしてもベースが出すぎ・膨らみすぎの感じもあって、Yoさんももちろんそれを自覚されており、今回は、その辺りも調整をしてきたらしい。どこをどうしたとかは、例によって尋ねもしなかったが・・・出てくる音~その低い方から中音・高音のバランスは~さらに「いい方」へ(少なくとも僕の耳には)変わっていたのだ。
「ベースの音色」で言うと・・・低い方での響きの輪郭の広がり具合が2割くらい締まってきて、そのことで、ベースのライン(弾いている音程)が、より鮮明になってきた。「ベースの抜け」がぐんとよくなったのだ。特にウイルバー・ウエアとかジョージ・デュビュビエらの「大きく太く鳴らす」タイプのベースラインが、見事に「抜けた」ように感じる。今、思うに・・・どうやらYoさんは、「ベース音像膨らみの絞り気味調整」~その仕上がり具合を、ベースにうるさい僕に聴いて(聴きとって)もらいたかったのかもしれない(笑)

そして、ベースの音色の輪郭がややスリムになったことで、さらによくなった(と僕が感じた)のは・・・ドラムスなのである。実はベースの低い方とドラムスのバスドラ(右足で踏む大きい太鼓。直径が一番大きいので「ドン!」と低く鳴る)は、実際の演奏においても、わりと「かぶり」やすいらしく、バスドラがドン、ドンと大きめな音量で鳴ると、その瞬間(バスドラの響きの余韻が残っている間)自分で弾いているベースの低音が聞き取りにくくなることがあるのだ。そのバスドラが、以前よりすっきりしてきたようだ。バスドラ、ベースの中低音~その辺りの景色が、霞(かすみ)が晴れたように、クリアに浮かび上がってきたのだ。
そしてなぜか、ハイハット(左足で踏む~シンバル横向きに上下2枚に合わさったやつ。「ッシャ!ッシャ!」と鳴る)の音も、前よりくっきりと感知できたのだ。いや、以前ももちろん聞こえてはいたが、今回聞いたハイハット・・・シンバルの厚みというか・・・重みのある「ッシャ!」になっているのだ。特に冒頭でかけた、Yeah!(ドラマー:デイブ・ベイリー)とこの辺りは僕の錯覚かもしれないが・・・低音域のややかぶり的な要素が取り払われたことで、もともと鳴っていた中高音辺りのハイハットも、より実在感のある「鳴り」として浮かび上がってきたのかもしれない。あるいは、この「ハイハット」については「弦の艶が出てきた」ことと~ちょっと前の「杜」に、そんなコメントがあった~関係があるのかもしれない。
いずれにしても・・・ベースが豊かな響きはそのままに、よりタイトに少しスリムに(このことで、僕などはベースの音色により色気みたいなものを感じた)、しかもドラムスの方もぐっと見晴らしがよくなり、バスドラ、ハイハットもくっきりと浮かび上がる! これは・・・リズムセクションの動き・具合までじっくりと聴きたいジャズ好きには・・・もうたまらなく魅力のある音だったのだ。

~「じゃあ次はちょっと新しいエルヴィンだあ!」とkonkenさんが取り出したのは・・・
Elvin Jones/ Polly Currents (bluenote)liberty から Mr. Jones。
《写真2点はkonkenさん提供

Polly_currents_2 これは1968年だったかの録音で、だいぶエルヴィンの音が荒々しくなっている。テナーが凄い。このレコードには2人のテナー奏者がクレジットされていた。ジョー・ファレルとジョージ・コールマンだ。僕はジョー・ファレルはけっこう好きなので、初期のメイナード・ファーガソン時代のルーレット盤なども聴いていているが、なかなかワイルドな凄いテナー吹きだと感じている。長いソロを取るテナーがジョー・ファレルだろう。どうやらこの曲ではファレルだけがソロをとっているようだ。Polly_currents_label

エルヴィンのドラムス・・・この頃の録音になると、先ほどの1957年録音のコンパクトに締まった音とは、だいぶん違う。まず全体にドラムス(正に複数形のドラムスでないと感じが出ない)の響き全体がバカでかい!(笑)
スネアやらバスドラが、いちいち「ドカン!」「ドカン!」と鳴り響いている。いいんだもう・・・何でも。エルヴィンなら・・・許す(笑)
3人で豪快な鳴りのエルヴィンを堪能しました。しかしこの時代のエルヴィン・バンドのべーシスト~ウイルバー・リトル~は大変だったろうな・・・。さすがにエルヴィンが大きく鳴らしている時には、その響きに隠れがちだったが、それでもあのうねり・あの響きの中で、きっちりと芯のある強い音色が強力にビートを刻んでいるウイルバー・リトルもいいべーシストだ。
ああ・・・今日はベースばかりに耳がいく(笑)いや、耳がいかなくても・・・勝手に身体にベースの音が入り込んでくるのだ(笑)もともとベース好きの僕には、このYoさんの装置は、もう実に極楽なのであった(笑)


さて・・・そろそろ「聴き比べ」をやらねばならんね(笑)とYoさんと僕はゲッツの盤を取り出した。
同じ音源で4種の盤が揃った。
Yoさん~ Stan Getz/Plays(clef:MGC-137) 10inch
Yoさん~ Stan Getz/The Artistry(clef:MGC-143) 10inch
bassclef~Stan Getz/Plays(norgran:MGN-1042) 12inch
bassclef~Stan Getz/~Quintet(clef:EP-155) 7inch

ちなみに「子供キス」のジャケットで有名なStan Getz Playsだが、もちろん10インチ盤の方が古い。
Plays(137)とartistry(143)~こちらの方が元々の「子供キス」ジャケなのだ~の2枚の10インチ盤が発売された何年か後になって、12インチ盤のStan Getz Plays(1042)が出たのだろう。10インチ盤には各8曲。12インチ盤には12曲(137の8曲+143のA面4曲) 収録してある。

このスタン・ゲッツの聴き比べは、少し前に、ニーノニーノさんのBBS「こだわりの杜」の書き込みから浮上してきた話題だった。以下にちょっとその模様を転載します。

No.15098
ハンドルネーム:Yo   (2007.3.8,14:58:03)     
皆さん、ご無沙汰です。
ひょいと見たら10インチと12インチの話ですね。大概は10インチが先かなと思うのですが、Dukeさん、ひとつ下記の3枚の順序を教えて欲しいのです。(乱入すみません。)
Stan Getz Plays (Clef MGC137):Dec.12'52
Artistry of Stan Getz (ClefMGC143):Dec.29'52&Apr.16'53
Stan Getz Plays (Norgran MGN1042):Dec12&29 '52
Norgran12インチ盤が10インチのClef盤2枚をカップリングしてある感じですが、52年12月のセッションだけでまとめてあるので、オリジナルがどうなのか知りたいのです。特にあの有名なジャケがNorgran盤とClef143と同じなのでどちらが先か知りたいです。よろしくお願いします。 

No.15099
ハンドルネーム:Duke   (2007.3.8,16:06:44)     
Yoさん、お久しぶりです。Goldmine Jazz Album Price Guideとw. Bruynicckx著Modern Jazzz Discographyの両方で調べた結果、Clef MGC 137とMGC 143は1953年、Norgran MGN 1042は1955年となっています。NorgranのほうにはApr.16'53のセッションは入っていないようです。Yoさんのおっしゃるように「Norgran12インチ盤が10インチのClef盤2枚をカップリングしてある」ということになります。ご参考になれば。

No.15100
ハンドルネーム:Yo   (2007.3.8,16:49:02)     
Dukeさん、ありがとうございます。
あのゲッツがサックスを抱いて子供のキスを受けているジャケがどちらが先か気になったんです。そうですか Norgran1042は2年も後ですか?12月の早い2つのセッションをまとめてあるので、ひょっとしたらClef143が最後かなと思っていました。・・・良かった。Clef盤大事にします。(笑)・・・でもClef盤のゲッツの音が特別すごいとは思わないので、Norgran1042も聴いてみたいですね。

No.15101
ハンドルネーム:bassclef   (2007.3.8,19:24:31)     
Dukeさん、みなさん、こんばんわ。
10インチと12インチ・・・なにやら面白そうな気配が(笑)Yoさんが挙げられたゲッツの3種、やはり10インチ2枚が先ですか。「子供にキス」のジャケットは、10インチだと[plays]ではなくて、artistryの方なんですね。
>Norgran1042も聴いてみたいですね~
Yoさん、偶然にもそのNogran1042(12インチ)なら持ってました(笑)
以前「関西・杜の会」(Yoさん宅)でもちらっとかけてもらったゲッツのclef・EP盤(time on my handsやらbody & soulなど4曲入り)の音もかなりいいぞ、と思ってるのですが、Norgranの12インチ盤の方も、ゲッツのテナーの音は・・・かなりいいように感じました。もっとも僕の好みのゲッツが、52年頃なので、何を聴いても「よく」感じてしまうのかもしれませんが(笑)
またぜひ10インチと12インチとそれと7インチでbody & soulなど聞き比べてみたいですね。

~こんな具合で、この「ゲッツ・聴き比べ」は、僕自身もものすごく楽しみにしていたのである。1952年のゲッツ・・・僕はこの頃のゲッツがどうにも好きなのだ。どの曲においても、ゲッツがあのマイルドなテナーの音色で吹き始めると、フレーズがどうだとかなど考える間もなく・・・その曲は「ゲッツの唄」になってしまう。もう何をどう吹いても・・・ゲッツなのだ(笑)言わば・・・too marvelous for words(笑)  とにかく素晴らしい。

さあ、その1952年のStan Getz Plays・・・かける順番をちょっと相談した。
やはり時代の新しい方からということで、僕の12インチ盤Playsからにした。どの曲も素晴らしいのだが、どうせならEP盤(4曲収録)にも入っている曲にしよう、ということで、time on my hands を選んだ。 

Dscn1688_11  Norgran盤~ミディアムテンポにノッたピアノのイントロが流れてくる・・・すぐにテーマを吹き始めるテナー。盤質がそれほどいいとは言えないので、多少チリパチが入るが、ゲッツのテナーの音色は・・・くっきりとして充分に鮮度感のある悪くない音だ。ただ、中高音をわずかに強めにしたような感じもあり・・・だから、この12インチ盤でのゲッツのテナーは、ちょっとだけ硬質な感じに聞こえなくもない。というのも、僕はこのtime on my handsを、12インチ盤よりも先にEP盤で聴き込んでいたので、そのEP盤に比べての話しである。

Getz_plays10inch Clef盤~これが「Plays」だよ、と言われると、一瞬、たじろぐが(笑)・・・このイラストのジャケットも、さすがにデビッド・ストーン・・・実にいい味わいだ。なかなかお目にかかれない一枚でもある。裏を見て嬉しくなる。というのは・・・この10インチの裏ジャケットの写真(黄色のゲッツ)が、僕のEP盤と同じ写真だったのだ!

Getz_plays_bGetz_plays_l_2









《10インチ盤3点の写真はYoさん提供》

さあ・・・と同じ曲、time on my handsをかけてもらう。イントロでは、それほど大きな差は感じなかったが、 ゲッツのテナーが入ってくると・・・う~ん、やはりだいぶ違うぞ・・・先ほどの12インチの方がすっきり感のあるちょっと新しめの音とすると、10インチの方は落ち着いた感じで、ややこもった感じもあるが・・・その「こもり感」が心地いいのだ。 ゲッツのテナーが、よりソフトにマイルドに聞こえるのだ。  「ソフト」と言っても、音色がふやけたわけではない。テナーの音色の肌触りが「より木目細やか」になったと言えばいいのか。 そうしてその「マイルド」さは、僕が以前から知っているEP盤でのゲッツの音と同質なものだったのだ。音全体のイメージとしては「温かみと品がある」ということかもしれない。

7inch Clef盤~このEP-15 5は以前にも<夢レコ>に登場させたことがある。ここ、Yoさん宅の10月の集まりの時、第1部の最後にかけてもらった。その時、たしかDukeさんがこう言った・・・「いつものゲッツと違う!」僕の推測では、その「違う」は、よりソフトにキメ細やかに聞こえる、という意味だったのだと、今は思う。7インチ盤は一般に盤質が良くないことが多い。扱い方の問題なのか盤の材質の問題なのかは判らないが、僕のいくつかのEP盤にも盤質のいいものはほとんどない(笑)そして・・・ゲッツのこのEP-155は、うれしいことに、盤質が最高なのである。
Dscn1689このEP盤からの time on my hands は・・・音色の質感はやはり10インチ盤と同じ感じである。そして、もう少しだけテナーの音色に潤(うるお)いが増したようで、そのテナーの音色が、軽く「フワ~ッ」と浮かび上がってくるような感じでもある。う~ん・・・Dscn1690やっぱりこの45回転はいいなあ(笑)

《EP盤~EP-149とEP-155。10インチ盤:Playsの8曲が、この2枚のEPに、4曲づつ収録されている。同じセッションからの音源で型番も近いのに・・・なぜか155の方が音がいい。ゲッツのテナーが、滑らかでクリアなのだ。コンディションの差だけではないように思うのだが・・・不思議である》

もう1枚の10インチ盤~artistryの方からも何か聴こう、ということになり、かけた曲は、A面のthese foolish things。さきほどのPlaysの8曲は、52年12月12日の録音で、こちらのartistyのA面4曲は、12月29日である。録音日はとても近い・・・なのに録音の感じはちょっと違うようだ。Yoさんも僕も、この点については同じような印象を持ったようだ。つまり・・・artistryも、もちろん悪くないのだが、ゲッツのテナーの生々しさ~そんな「気配」のレベルでは、どうも12日の8曲の方が「いい録音」のようだね・・・というような話しをした。 Artistry_1《写真3点:Yoさん提供~この10インチ盤のartistryが、「子供キス」の初出自ジャケットである》 Artistry_b

・・・と、まあ、こんな 具合で会は進んでいくのだった。まだほんの少ししかお伝えしていないが、このままではあまりに長くなりすぎるArtistry_l(笑) だから、とりあえずここまでを「その1」として、ひときりつけよう。いったい「その~いくつ」までいくのだろう(笑)
まだまだお伝えしたいレコードのことや、聴き比べの話しもある。 
次回をお待ちください・・・。

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2007年3月 1日 (木)

<ジャズ雑感 第17回>チャーリー・ラウズのこと。

心に染み込む深い音色・・・それがラウズの唄だ。

妙に好きなレコードというものがある。「妙に」というのは・・・特にそのアルバムなりミュージシャンを大好きだと自覚しているわけではないのだけれども、なぜかレコード棚から取り出すことが多くて何度も聴いているうちに「好きなレコード」になってしまった・・・そんな意味あいである。

ジャズ聴きの初期の頃からモンクをいろいろと聴いてきた。そうしてモンク好きによくあるように、僕もチャーリー・ラウズというテナー吹きをあまりいいとは思わなかった。モンクとそしてモンクの曲と正に対決するように吹いたコルトレーンや、あるいは圧倒的に自分の個性を発揮しながらモンクと対峙したロリンズと比べると・・・モンクとただ共演しているラウズは平坦に感じた。ちょっと「のんびりしたような音色」で、同じようなフレーズを繰り返すものだから、凡庸なテナー吹きという印象を持ってしまったのだ。
<補足>このことについては、みなさんから多くのラウズ擁護コメントをいただき、僕:bassclef もタジタジです(笑) 「CBS時代のモンク」に興味のある方(肯定・否定どちらでも)ぜひ、コメント欄もお読み下さい。長いです(笑)

そういう風に聴こえたのには理由がある。
モンク好きとしては、モンク曲の演奏には、なにかしらスリル感みたいなものがほしいのである。
よくジャズはアドリブだ!と言われている。しかし・・・どの曲でも同じだとは思うのだが、あるテーマが終わって「はい、ここからアドリブだよ」というように、アドリブ部分を普通のバップ感覚でコード通りにスムースに吹き進めていっても、あまりおもしろくないことも多い。 特にモンクの曲においては、テーマとアドリブを切り分けてしまっては、あのユニークなモンクのテーマが生きてこないように思う。
モンク好きとしては・・・テーマ部分でのあのモンク独自のメロディや、あの不思議なタイミング(そのアイディア)のエッセンスみたいなものを、巧くアドリブの中に生かしてほしいのである。
もっともこれは、僕が勝手に思う理想郷(モンク曲解釈としての)であって、それは相当に難しいことなんだろう。
実際、モンクの曲をそんな風に吹いたのは・・・ロリンズとスティーブ・レイシーくらいかもしれない。Dscn1669_1

そんなラウズのことを見直したのは、Takin' Care of Business(jazzland)を聴いた時からである。僕はこのレコードをうんと安いOJC盤で買ったのでそれほど期待もせずに聴いたのだが・・・まずB面1曲目の wierdo という曲がよかった! このKenny Drew作の曲は魅力的なテーマの曲で、かなりの急速調で演奏されるのだが、この曲でのラウズはやけに気合が入っているのだ。ノリのいいテーマの後も、アイディアに溢れるアドリブ展開を見せるラウズは凄い! たいていゆったりとしたテンポで、もっさりとしか吹けないようなイメージをラウズに対して持っていたのだが、この曲でのラウズは違った。それはもう覇気のある見事なテナー吹きだったのである。
そんなラウズに驚いた後・・・思い切りスロウなテンポでやけにメランコリックな曲が流れてくる。それがランディ・ウエストン作のPretty Strange という曲だった。
ランディ・ウエストンが生み出した、正にちょっとstrangeなメロディを、独りラウズが吹いていくと・・・ずし~んと重く沈鬱な感じが漂ってくるのだ。うんとスロウなテンポなので、普通なら、間が持てなくなってパラパラと流すようなフレーズを出してしまいそうなものなのに・・・ラウズは全く動じない。ベースとドラムが淡々とリズムをキープしつつピアノが合間に時々バックをつける中、ラウズは岩のような重さを保ったまま、「メロディを唄う」ことのみに集中しているようだ。ここまで音楽に没入してくると・・・もはやフレーズがどうとかリズム感どうとかいうようなことは問題ではない。
「音色」こそが全てなのだ。
さきほど「のんびりしたような」と書いたラウズの音色が、このウエストンの曲では、これほど深々とした落ち着きのあるどうしようもなく魅力的な音色に聴こえてくる。これはもう・・・全くラウズの世界、そしてランディ・ウエストンの世界だ。それにしても、こんな深い味わいのバラードというのはめったにないぞ・・・。
ラウズがウエストンの曲を好きだったのだろうか・・・このレコードでは、もう1曲、ウエストンの曲を演っている。「204」という曲だ。この曲は、ウエストンのhi fly にちょっと似ている曲調だが、こちらもやはり素晴らしい。チャーリー・ラウズとランディ・ウエストンの相性は、最高にマッチしているように思う。
ちなみにランディ・ウエストンについては・・・次回にでも何か書こうと考えている。

そんな具合に、チャーリー・ラウズという名前が気になってきた頃に、ラウズの「ワン・ホーン」のレコードを手に入れた。
Yeah!(Epic/CBSソニー)である。Dscn1668
このレコードは1973年頃にCBSソニーから1100円の廉価盤として発売されたはずだが、ラウズ=凡庸と思い込んでいた僕が、この盤をその頃に買うはずもなかった。後年、この「Yeah!」にはけっこうな人気が集まったらしく、CBSソニー盤にさえけっこういい値が付いたりしていた。そんな日本盤高騰ブームが去ったある時、このCBSソニー盤を、普通の値段で見つけたのでうれしく入手した。
このレコードではラウズのワン・ホーンで、you don't know what love is や stella by starlightなどのスタンダードを、じっくりと自分のペースで吹いている。モンク曲とは全く別の地平でじっくりとスタンダードをゆったりと吹き進めるチャーリー・ラウズ・・・これも実にいいのである。
この人には本当は「ワン・ホーン」が合っているのかもしれない。
想うに・・・ラウズのテナーには、なんというか実にソウルフルな感じを受ける。ソウルと言っても、いわゆるテキサステナー的な意味合いのソウルではなくて、なんというか・・・深い情感を伴ったある種の敬虔さみたいなものさえ感じ取れる「ソウル」なのだ。
今回、レコードを何度も聴き直しているうちに・・・ますますラウズの音色の深さに引き込まれてしまった。ラウズという人の音色は・・・聴き終わった後にでもじわじわと効いてくるような、そんな地熱のような温かさを持った音色なのかもしれない。
まったく・・・ジャズの世界にはいろんなテナー吹きがいるものだ。まだまだジャズはやめられない。

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