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2023年12月31日 (日)

<ジャケレコ 第6回> JATP~Jazz at the Philharmonic の10インチ盤あれこれ。

 Norman Grantz の JATP/10インチ盤を巡って~
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《上写真~Norman Grantz/ JATP vol.6(mercury) JATP10インチ盤シリーズ中、ジャケット最高傑作はこれだ!(私見)》

今回は僕が素朴的な気分から「これ、欲しいなあ」と思って集めた・・・いや、集まった(笑)レコード達をあれこれと紹介したい。
そう・・・上の写真でお判りのように、JATP~Jazz At The Philharmonic の10インチ盤である。もちろん、僕もジャズレコード収集歴の最初から JATP、あるいは10インチ盤などという渋い所に興味と持ったわけではない。きっかけは・・・1980年頃だったか、ジャズ雑誌に載った「コレクターさん紹介」記事を目にしたことだ。その内容が、Verve、Clef、Norgran、Mercury のコレクション特集だったのだ。
まず、いくつかのジャケットにピクッときた(笑)それらはもちろんストーンマーチンの何かだったはずだ。それから、センターラベルのイラスト~横向きのトランペッターがブロウしている絵柄に、はっきりと心惹かれた。その「流れるような線で描かれたトランぺッター」には、今、音楽を奏でている・・・その躍動感みたいなものが見事に表現されていた。なんともジャジーで(死語~笑)かっこいいじゃないか! 
それでもって、その「トランペッター」ロゴは、Verveが元祖ではなく、Clef や Norgran や Mercury が源流であることや、ラベルにも黒や黄色の色違いが存在している~などということが、僕の心にしっかりと刻み込まれたわけである。ちなみに・・・その雑誌は立ち読みしただけだったので、手元には無い(笑)

さて、その JATPシリーズ・・・Mercury や Clefの10インチ盤、また12インチ盤の New Volumeシリーズ(10インチ盤2枚をA/B面に収録したシリーズ。vol.~vol.7まで発売された)も含めて、あれこれ集まってくる内に色んなことが判ってきた。
どうやら <JATPの10インチ盤は vol.1~vol.14 まで存在していて、vol.15からは12インチのBoxセットになっている>らしい・・・とかそんなことが。そして面白いのは・・・JATPというライブ形態(それを録音してレコード化するアイディアも含めて)をノーマングランツ自身がプロデュースしたにも関わらず、記念すべき vol.1 は自身のレーベル~Mercury(Clef)からは発売されなかった(できなかった?)~ということで、そんな事柄が、僕としては興味が尽きない対象となっていったのである。

下写真~JATP の vol.1 (正確には vol.1 という表記は無い)10インチ盤~Stinson(SLP-23)

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上写真~Stinson(SLP-23)10インチ盤。表カヴァーにお馴染みのトランペッター図柄を使用しているが、余分な背景がある。

*ゴールドマイン本によると、JATP 第1弾の10インチ盤~Stinson SLP-23 は、1950年の赤ヴィニール盤が初回盤で,、従ってこの写真の黒ヴィニール盤は2nd ということになる(2nd の赤ヴィニール盤も在るらしい。1st 赤盤どうやって区別するのだろうか?)
この 2nd盤の発売年は不明(195X年)となっている。僕としては、盤・ジャケットの造り具合が(盤が薄くて軽くて、そしてジャケットも紙質が薄い) Mercuryの1950~1953年頃の10インチ盤とよく似た質感であることから、195X年は・・・1951~1953年ほどと推測している。 

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下写真~裏カヴァーの解説は ノーマングランツ自身が書いている。ジャムセッションにおけるスポンティニアスな演奏の素晴らしさを熱く説いている。パーソネル、ソロオーダーなども細かく記述している。
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《上写真~Stinson SLP-23 12インチ 赤ヴィニール盤》番号は10インチ盤と同じ~SLP-23(1963年)
さて、あまり知られてないようだが、Stinsonの JATP vol.1(ここでは便宜上、vol.1と呼ぶ)には、12インチ盤も存在する。ジャケット図柄が少しアレンジされている。裏解説は10インチ盤と同一(Norman Grantz解説)である。

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《上の写真~左上の 「トランぺッター」ではないジャケットのものが、1950年のArco盤~Arco AL-2である。中身は、JATP vol.3(mercury)と同一音源のもの。Arco の10インチ盤についてはよく判らないが、ゴールドマイン本によると、mercury の JATP vol.2 と vol.3 だけが、Arcoレーベルからも AL-1、AL-2として同じ1950年に発売されたとのこと》

ちなみに、Stinsonの10インチ盤と12インチ盤が並ぶと・・・はて、収録音源の中身はどうなっているのだろうか? ひょっとして12インチ盤には未発表音源など紛れ込んでいないだろうか?などと妄想するのも無理はないだろう。当然、僕も妄想が膨らんだ(笑)そこで、さっそくチェックしてみたが、結論から言うと、まったく同一の音源であることが判った。違うのは盤のサイズと色だけ(笑)
A面~How High The Moon
B面~Lady Be Good
片面1曲の収録曲、収録面は同じ・・・それぞれのA面を通して聴き比べてみたが、ソロイストの順番、構成など、両者で違う箇所は皆無だった。念のため収録時間も計ってみたが、両者とも 14分強でまったく同じでした。残念・・・というか当たり前というか(笑)

そんなわけで、JATPの vol.1 が Mercury、Clef レーベルから発売されなかったことに、若干、無念の気持ちを抱えながら(笑)せっかくだから、vol.1 から vol.14 までの10インチ盤を、順番通りに並べてみたい。僕としては珍しく全14点を揃えたのだが、ちょいと残念なことは、これらの14点、いや、13点が、Mercury と Clef でバラバラなことだ。全13点を Mercury ばかり、あるいは Clef ばかりで揃える・・・さらにはその両方をパーフェクトに揃えるのが(揃えようとするのが)本当のコレクターであろう。

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《上写真~vol.1 から vol.6 まで》

右下の vol.6で、Stinsonと同じトランぺッター図柄が表カヴァーに使われている。おそらくデヴィッド ストーン マーチン本人から見ても、やはりこの「トランペッター」は傑作だったに違いない。そして本来ならば、グランツ氏もこの図柄を使って、<JATP 第1弾10インチ盤>を造りたかったのだろう。それが何らかの理由で権利を Stinson に譲渡することになった。そして、自身のMercuryレーベルで vol.2 から vol.5まで発売をして、満を持して vol.6 にこのストーンマーチンの傑作イラストを使った・・・などというストーリーを勝手に妄想している(笑)
そんな意味も込めて、今回、ブログの初っ端(しょっぱな)に写真を掲げたわけだが、ホント、何度見ても素晴らしい!
<太い描線が描き出す躍動感>
<背広の赤とトランペットの黒>
<右の空間をタテに埋める MERCURY文字~これ、トランペットから鳴り響く音~というシャレだと思う>
<譜面台に掛かれた赤い文字群~Norman Grantz JAZZ at the Philharmonic>
・・・完璧なバランスである。うん、最高にかっこいい「トランぺッター」だあ!

vol.2 (上写真~上段真ん中)も素晴らしい。こちらはレスターヤングをイメージした図柄で、うんと斜めに構えたテナーの構え方にヤングの繊細な感じも表れていて、本当に惚れ惚れするようなカヴァーアートだ。

vol.3)(上写真~上段右) も好きなカヴァーだ。ガレスピーのイメージと思しきトランペット吹きが、太い丸い感じで描かれている。橙(ダイダイ)色はvol.2にと似ているが、やや濃い感じだ。この vol.3 については、Mercury盤とClef盤、(Arco盤も)が揃っているので、以下に掲げておきます。盤のセンターラベルの違い方が興味深い・・・と思う。ちなみに、ジャケットについては、両盤の表・裏をチェックしてみたが何の違いも見つからなかったので、おそらく共通のものを使用していたと思う。だからこそ、1~2年後発の Clef 盤には、在庫していたジャケットに<Clef Records>シールを貼った~ということだろう。

下写真~上が Mercury MG vol.3、下が Clef MG vol.3。番号は同じだが、それはおそらく「共通ジャケット」を使いまわしていたからだろう。ちなみに、Clef 盤のシールは相当に剝がれにくいものだったようだ。というのも、僕の手持ち盤の中でClef シールの無いものは、すべてMercury盤だったから。
*Mercury盤には、実は1950年頃に発売された純正オリジナルとも言うべき、MG-35000番台の(vol.2~vol.11まで)が存在しているらしい。僕の JATP10インチ盤の手持ち分には、MG35000番台のものは1枚も無かった。いやはや、なんとも複雑な世界である(笑)

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上写真の2枚~Mercury盤センターラベルには艶があり、濃い緑色の文字が魅力的だ。 Clef盤も艶ラベルで、しかも盤はズシリと重い。Mercury盤は意外に軽い。ちなみに、ゴールドマイン本よれば~Mercury 1951年、Clef盤は1953年 となっている。一般的には「古い時代の方が盤は重い」という印象があるが、そうとも限らないのだろう。

 

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《vol.7 から vol.12 まで》

vol.9の「浮遊するサックス吹き」・・・このジャケットにも愛着とちょいとした思い出がある。15年ほど前だったか・・・レコード仲間の何人かで「ジャズ批評誌」に記事を投稿した時期があり~その頃、僕は10インチ盤に凝っていたので~ちょうど、ジャズ批評誌「10インチ盤特集号」の時、この「浮遊するサックス吹き」のことをあれこれ書いて投稿したのだ。首尾よく掲載されたことは嬉しかったが、肝心のジャケットがモノクロ写真だったので「このイエローが効いているのになあ・・・」などと生意気にちょっとがっかりした記憶がある(笑)
下写真~うん、この「黄色」がいいんですよね。下のベース弾きも文字通り「低いところ」を支えている。

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下写真~Mercury MG vol.11。
色合いでいくと・・・vol.11の「青」も好きなジャケットだ。男女が軽く抱き合っている図なのだが、女性の腰辺りに回して組んだ男性の手とか、女性の右手の具合とか、ハンガーに掛けられた帽子とか・・・それらを包み込む「深い青色」がなんとも美しいじゃないか。

*Mercuryのセンターラベルも2種類ある。上写真の vol.9 盤ラベルは「艶なし黒・銀文字」だが、下写真の vol.11のラベルは「艶あり黒・深緑文字」であることが判る。
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《vol.13 と vol.14》
vol.13の「黄緑色」はストーンマーチンには、わりと珍しい色使いかもしれないが、vol.5と同様になにか新鮮な感じを受ける。
vol.14は・・・vol.12と同じモチーフかな。12と14はとてもよく似ているので、間違えそうだ。ストーンマーチンとしては、ちょい力を抜いた感がある(笑)
さて・・・10インチ盤 J ATPシリーズとしてはこのvol.14で終結である。一部のゴールドマイン本に<vol.15に10インチ盤在り>という記載があるが、おそらくそれは間違いだ。ネット等でも10インチ盤vol.15は見たこともないし。
<vol.15 から vol.18 までは、12インチ盤3枚組BOXセット>というフォーマットで Clefレーベルから発売されており、僕はその辺りも入手しているので、またの機会に紹介したい。

*上写真に敢えてvol.17(12インチ3枚組BOX)を載せたのは、10インチ盤との大きさの比較~という意味合いと、上記のように vol.14に続く vol.15 からはこのような12インチ別フォーマットで発売された~という意味合いから。だから本来ならば、vol.15 BOXセットを掲げるべきだったのだが、それが出来なかったのは、僕のレコード整理の仕方が拙くて、どうにも取り出せない状況だったからです(笑)
*その12インチ盤フォーマットに移行してからの vol.15 ~ vol.18 と New Volume シリーズvol.2~vol.7 については、続編としてまたの機会にまとめるつもりです。できたら、あまり間を空けることなく(笑)


 

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