<ジャケレコ 第4回>JAZZ AT THE PHILHARMONIC VOL. 17 (3LP BOXセット)
あっ・・・気がつけば、もう2018年も終わりの大晦日(おおみそか)になってるじゃないか。家でボオッ~としていても却って疲れてしまうよな・・・というわけで、久々にこの「夢見るレコード」に戻ってきました(笑)
相変わらず僕はレコードを聴いている。ジャズを中心に、それからクラシックを少し。とにかく・・・アナログレコードを聴き続けている。うん、厭きないのです、これが(笑)
さて、今回の夢レコ・・・特定のミュージシャンやレーベルでまとめるものにはできそうにない。というのも、この数年・・・年末・年始に「夢レコ」を更新するのだ!ということが、最低限の目標になってしまっており、だから今回、まずは短いものでもいいから・・・という感じもあるからです。
考えてみれば・・・がんばって凝ったものを拵(こしら)えよう、とするあまり、なかなか記事を更新できなかったという面もあるので、今回は・・・そうだな、素直に「好きなレコード・面白いレコード」を紹介するだけでいいじゃないか! ということに相成りました(笑)
そんな時・・・ぱっと目についたのが僕のレコード棚の正面真ん中あたりに、レコードのジャケット面を見せている・・・うん、これだ!
JAZZ AT THE PHILHARMONIC VOL.17 3枚組box(CLEF)
これ、好きだなあ・・・ジャケットのイラストはもちろん、中身の3枚のレコード、センターレーベルの色合い・・・何もかも好きだ(笑) そう、素直に好きなのである。
考えてみたら、僕がオリジナル盤というものに急速に嵌(はま)り出した頃、その一番の原動力となったのは・・・デビッド・ストーン・マーチンだった。そのジャケットの魅力だった。そうしてやはりJATP シリーズ(mercury、clef の10インチ盤)のストーン・マーチンのジャケットには惚れ惚れするほど素晴しいものが多く、それらがVOL.1からVOL.17までのシリーズにもなっており・・・だから、それはもう「集めるしかなかった」のだ(笑)
3枚組だから、1面から6面まである。そして言わずもがな・・・のことだが(笑) この時代の複数枚セットものは、1枚目に1面・2面、2枚目に3面・4面~とはなっていないのである。どういうことかと言うと・・・このセットの場合は、1枚目に1面と6面、2枚目に2面と5面、そして3枚目に3面と4面~という具合に数字の順番どおりには構成されていないのだ。こういうやり方ってのは、オートチェンジャー装置(何枚もの盤を連続して掛けることが可能な仕組み)への対応上、そうなっている・・・と我々は知ってはいるが、当時の米国にしても、家庭のステレオ装置が100%オートチェンジャー仕様だったとも思えないし、なんとなく・・・嫌だなあ(笑)
どのミュージシャンのどの演奏も楽しめるが、僕の好みは第2面である。
ノーマングランツ氏お得意のバラード・メドレーだが、メンツが凄い。選曲もいい。
ロイ・エルドリッジ ~The Man I Love
ベン・ウエブスター ~Tenderly
ビル・ハリス ~Imagination
フリップ・フィリップス~I’ll Never Be the Same
ディジー・ガレスピー~Stardust
グランツ氏の解説によると(下・写真を拡大すれば文字まで読めます)~
≪それぞれのミュージシャンに、好きな曲とそのキーを選んでもらって・・・そしてそれは、それぞれのプレイヤーが、うまいこと(pretty)演奏して、それぞれの良さを発揮してもらうためだ≫
・・・というようなことが書かれている。
≪On Side 2~中略~Also on this side is the Ballad Medley, which allowed each artist the selection of the tune and the key for the demonstration of his ability to play pretty≫
う~ん・・・やっぱり、いい演奏はいうものは、いい企画(意図)から生まれるのだな。
皆が絶好調の時期のようで、どの曲でも各人の名人芸が楽しめる。僕は特にフリップ・フィリップスの1曲が好きである。スタジオ録音でも同じ曲を演奏してるので、フィリップス氏・・・この曲を好きなんだろう。
そのフィリップスのClef、Norgranの緒作については、だいぶ前に<夢レコ>にまとめてあるので、そちらもご参照ください。
このセッション・・・録音もなぜだか凄くいい感じで、1954年のある夜のライブ会場のざわめくような雰囲気も最高である。ちなみに箱の内側のライナーノートによれば録音場所は・・・Hartford Bushnell Memorial Auditorium(1954年)とのこと。
さて・・・この3枚組ボックス。ジャケットも中身も充分に良いものなのだが、もうひとつ、素晴しいオマケがある。それは・・・
≪PICTORIAL STUDY OF THE ARTISTS IN VOLUME 17≫ と題されている写真群である。このVOL.17録音に参加しているミュージシャンのモノクロ写真が12枚入っている。
実は、このJATP VOL17・・・僕が最初に入手したのは「写真集・無し」のものだった。というか・・・本来は写真集が付いていること自体を知らなかったのだ。後にだんだんと判ってきたのだが、どうやら、CLEFのJATP VOL 15、16、17 という箱ものセットには、販売時に写真集が付いていたようなのだ。ところが如何(いかん)せん、これらは1950年代の古いものだから、壁に貼られて破損したり、散逸したり、あるいは写真だけ別保管したために紛失したり、などで・・・オークションに出品されているものには「写真集・無し」のものが多かったように思う。
そして今回、紹介したこのピクトリアル(写真集)は、<封筒も付いた12枚の完品>である。この記事では12枚の内、2枚(ライオネル・ハンプトンとバディ・リッチ)だけ紹介していない。
「無し」を入手した後、だいぶ経ってから ネットで「VOL.17 箱と写真集・完品(レコード3枚は無し)」の出品を見つけて・・・僕はどうしてもこの「写真集」が欲しくなり(笑) ちょっと無理して、それを入手したというものである。
・・・そんな訳で、この VOL.17・・・箱だけが2つ在るのです(笑)
<追記>2023年1月2日
ノーマン・グランズお得意のセット物のオマケPictorial (写真集)には、小型判型の物も在ります。それは・・・
スタン・ゲッツのEP盤6枚組~At The Shrine(noesgran EPN 2000-6)です。
小型判ピクトリアルの大きさ比較できるように、ここで紹介しておきます。
| 固定リンク | 0
コメント
やあ、sigeさん、2019年・明けましておめでとう!コメントありがとうです。
≪ディジーガレスピー「言い出しかねて」スタジオ録音の採譜を音源とともにチェックし、その音づかいの端整なこと(洒落たテンション音なども含め)や構成に感動していました≫
おお、そうでしたか! なるほど・・・ガレスピーという人は、決してラテン・アフロキューバンばっかりではなくて、けっこうバラードも演ってて、ちょっと調べてみると・・・「言い出しかねて」については
1945年)(savoyのパーカー絡みだったか?失念・・・手持ち見つからず)
1948年(ガレスピー・オーケストラ/フランスでのライブ録音)、
1956年(Verve/World Statement)
と3ヴァージョンはあるようです(もちろん、もっとあるかと思いますが)
僕の手持ちでは1948年・フランス録音のものしか見つからなくて~これはガレスピーがテーマ吹いて、メロディをフェイクして吹いてると(わりと軽い感じでパラパラと吹くのが、当時としては、相当にお洒落な感じかと・・・これがガレスピーの持ち味かな)そのバックでピアノのジョン・ルイスが、オブリガート気味に絡んでくる・・・そういう演奏です。sigeさんの聴いたのは「スタジオ録音」ということなので、たぶん・・・1956年のVerveの正式レコード(World Statement)に収録のものかな、と思います。
またレコード聴きなどしましょう。
投稿: bassclef | 2019年1月 6日 (日) 10:35
明けましておめでとうございます。昨年の夏、ディジーガレスピー「言い出しかねて」スタジオ録音の採譜を音源とともにチェックし、その音づかいの端整なこと(洒落たテンション音なども含め)や構成に感動していました。今回のbassclefさんの記事に「スターダスト」ガレスピーとあり、JATPの舞台でどんな演奏がなされたか、ちょっとわくわくしております。また、記事の更新を楽しみしております。今年もよろしく。
投稿: sige | 2019年1月 5日 (土) 18:17
パラゴンさん、コメントどうもです!明けましておめでとうございます。
Clef (Mercury) のJATPシリーズは、10インチ盤で vol.1~vol.14 まで。(正確にはvol.1はStinsonレーベル)
そして、vol.15、16、17が12インチ盤・複数枚ボックスセット・・・なのかな?
それから、10インチ盤2枚分をカップリングしたような 12インチ盤のNew Volumeというシリーズも、たしか1~7まで出ているし(それも10インチと同じジャケットを使っているので)・・・なかなか判りにくいですよね。
そういえば・・・パラゴンさんも、セットものでいいのいっぱいお持ちでしたね。僕などは以前に見せてもらった、フレッドアステアやジャズシーン(SP盤)の箱ものが忘れられませんよ(笑)三島には2度ほどおじゃましましたが、また機会あれば、パラゴンの中に隠れるあの猫くんに会いたいですね(笑)
投稿: bassclef | 2019年1月 4日 (金) 10:06
denpouさん、明けましておめでとうございます。また1年経ちました・・・速いですね(笑)denpouさん「お知り合いがジャスのお店」とのこと、やっぱり大阪の方だと、まだまだジャズ関わりの新しいお店ができるんですね。そういえば・・・何年か前にできた(らしい)ヴィンテージ機器でモノラル(スピーカー1台)で、オリジナル盤を聴かせるジャズ喫茶・・・(名前失念)あのお店、どうなりましたかね?
野鳥観察・・・寒いですからお気を付けてどうぞ。僕の方は・・・まあBirdというと・・・声~音を聴きたいですね(笑)
投稿: bassclef | 2019年1月 4日 (金) 09:54
(このパラゴンさんからのコメント~前回記事のエリオット・ローレンスの方に入っていましたので、こちらに移動させてもらいました)
あけましておめでとうございます。
相変わらず快調ですね・・・もう、それしかないです。杜の集まりとか、この様な紹介記事は、新しい情報として自分にとって、とっても大事なんです。Bassさんの紹介で何枚買った事か。まあ、両手でも足りないでしょう。
今回の記事もしかりです。少し、ヤフオクで探してみようか。
今年もどこかの時期に集まりましょう。
投稿: パラゴン | 2019年1月 4日 (金) 08:56
投稿: パラゴン | 2019年1月 4日 (金) 09:31
yositakaさん、明けましておめでとうございます!このような1年に1回更新ペースのブログにさっそくのコメントをthanksです!
yositakaさんは自身のブログ≪児童文学と音楽の散歩道≫http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun
を本当に精力的に更新していて、しょっちゅう拝見しているのですが、まだ自分のクラシック音楽経験では、なかなかコメントもできず、申し訳ないです。
それでも、yositakaさんのこのところの・・・「SP盤のめり込み」のルポ的記事はとても楽しませてもらってます。SP盤鑑賞会では選曲・解説も担っているようで、頼もしく思ってます(笑)
今回のJATP3LPセット、僕は決してコレクターではないのですが・・・たまに今回のように、その存在が気になっているところへ、ピタリとその気になるモノが現わてしまうと・・・弱いんですね(笑)
>案外、これがレコードよりも高価だったりして~
いやあ・・・yositakaさん、当たりです(笑)
投稿: bassclef | 2019年1月 3日 (木) 18:32
bassclefさん 明けましてオメデトウございます。
通年元旦の投稿だったのに 今年は大みそかだったんですね、画像を見ると流石に凄いコレクションですね 壮観です、それに今回取り上げられているCLEFは私なんかはあまり目にしていないレーベルでしたので 興味深く拝見しました、最近は野鳥撮影にはまっていていますが 知人がJAZZの店を始めたのを知って頻繁に通っています JAZZは最近はCDばかりですが 昔のいい演奏が再版され楽しんでいます、また機会が有れば みなさんお会いしたいですね 野鳥の画像でfacebookにも投稿していますので また見て下さい。
投稿: denpou | 2019年1月 3日 (木) 18:14
audio_romantic80さん、明けましておめでとうございます。コメントをありがとうございます。
80さんは≪オーディオ・ロマンチック街道≫
http://blog.livedoor.jp/audio_romantic80/archives/52075078.html
~いい音楽(ジャズとクラシック)をいい音で聴きたい!という情熱に溢れた素晴しいブログをやられております。僕は真空管アンプ(レシーバー)を使っていますが、それは古い民生用製品(米Fisher)をそのまま使っている状態なので、技術的な部分にはまったく疎いのですが、「接点」「情報量」などを起点に徹底的に考えを巡らしいく、80さんの熱い心情にはリスペクトを感じます。
そして・・・僕などはそんなメカニック分野よりも、80さんの音楽への好み(レコードとその音質)がわりと自分と似ている感じがあって、そのことに親近感を覚えております。例えばビル・エヴァンス関わりでのベースの太い音質への興味(チャックイスラエル)と録音エンジニアのこと(ワリー・ハイダー)、クラシックLP話題の折、ふと載せる、ディーリアスの東芝LPのこと・・・など。僕もほぼ同じような「音」に ハッ とする性質(たち)なもので(笑)
またいろいろと教えてくださいね。
投稿: bassclef | 2019年1月 3日 (木) 18:13
コンパクトな良い記事ですねえ。
それにしても、写真集と箱だけの出品がよく見つかったものです。愛好家にとっては、これがあるのとないのとでは「まるで赤ん坊と兵隊」くらいの違いがありますからね。案外、これがレコードよりも高価だったりして。
そういうもの全部ひっくるめての「夢見るレコード」これからも応援します。
投稿: yositaka | 2019年1月 3日 (木) 15:07
bassclefさん
あけましておめでとうございます
今年はclefののデビッド・ストーン・マーチンですね
眺めているだけでジャズが聞こえてきそうですね 素敵です
僕も少し頑張って入手しようかなぁ。。。って思いました
なかなか難しいでしょうけど
今年はぜひ 肩の重荷を降ろしていただいて(笑)
「好きなレコード・面白いレコード」のご紹介 楽しみにしています
寒いですので ご自愛くださいね
では また
投稿: audio_romantic80 | 2019年1月 3日 (木) 10:10
konkenさん、明けましておめでとうです。夢レコ・・・今年2019年は、もうちょい踏ん張って短いものでもいいのでアップ回数を増やしたい所存です(笑)またレコード聴きもやりましょう。
投稿: bassclef | 2019年1月 2日 (水) 09:56
記事も貯まりましたし、本にして出版したら?
投稿: konken | 2019年1月 1日 (火) 23:35
D35さん、2019年~明けましておめでとうございます!お元気でしょうか?また軽く少人数でレコード聴きなどやりたいものですね(笑)
それにしても・・・ノーマン・グランツ! 自分の好きな真に個性的な(それぞれの確固たる名人芸を持っている)ミュージシャンだけ集めてコンサートを催し、スタジオで録音し、そしてストーン・マーチンのカバーアートを使い・・・幾つもの素晴しい「レコード」というプロダクツを創ってきた・・・特にこのJATP vol.15, 16, 17 に到っては、ピクトリアル(写真集)まで付けての、まさにトータル作品に仕立て上げてしまった・・・かのようです。掛かったコストも相当なものだったのだろう・・・と思われますが、「自分のいいと思うもの」を徹底追求した、ノーマン・グランツという人は・・・凄いと思います。
結局、僕らは発売から何十年経っても・・・ノーマン・グランツ氏のマニアックなまでのコレクタブル的気質の産んだプロダクツに、まんまと魅せられている・・・ということなんでしょう(笑)
投稿: bassclef | 2019年1月 1日 (火) 20:44
あけましておめでとうございます。
今日(元旦)どうかな?と開いてみたら大晦日に更新されていて?と読みだしたらさっさと読み終えて安心してコメントです(笑)。写真もそうですが内袋なんかもその頃のジャケット写真が並んでいて、それがなんか違う?と気になって仕方がないなんてこともありますね、というのは私だけ?
時間ができていっぱい聴けるはずが最近さっぱりで、こうして刺激を受けてまた聞き始めて...
ストーンマーチンのジャケットはかっこいいし中身もその通りトータルのできですよね。
こののりで毎月お願いします!
投稿: D35 | 2019年1月 1日 (火) 18:13
senriyanさん、さっそくのコメント、ありがとうです!
1年に1回、更新するかどうかの<夢レコ>~今日の午前中にぱっと思い立った気分で大晦日に短いものを更新したので、当分はどなたからもコメント入らないだろう・・・と思ってたので、コメントいただき望外の喜びでありました(笑)
「箱もの」~おっしゃるとおり、まずコンディション自体が拙いものがほとんどのようです。たいていのボックスセット・・・箱の高さが1cmくらいあるので、その辺の部分が折れて壊れてがつぶれてしまうんですよね。
付属のピクトリアル(このセットの場合~12枚)については、さらに悲惨です(笑)バラにして好きな1枚を壁に貼ったりすることも多いでしょうし、そうなれば画鋲の穴が開くし・・・。
ひどい場合には・・・例えば3枚組で、違うセットのものが入れ替わって入っていたり(これ、実際に体験しました・笑)
まあ・・・でも「セット」ってなにかしら、欲しくなる・・・ものですよね(笑) 結局、僕などは(いや、もちろん僕だけでなく)ノーマン・グランツ氏のマニアックなまでのコレクタブル的気質の産んだプロダクツに、まんまと魅せられた・・・ということなんでしょう。
senriyanさんなどは・・・欧州のEP盤の発する妖光にだいぶんやられてるようですが(笑)ある種の「プロダクツ」(もの)の持つ魅力・・・抗えませんね(笑)
senriyanさん、よいお年を!
投稿: bassclef | 2018年12月31日 (月) 23:12
bassclefさん、一年お疲れ様です。
いやあ、このジャケットの佇まいは最高ですね!
色合い、今の時代にはコンピューターグラフィックの時代がもう取り戻せない感覚ですよね。
そして、こうした箱ものにまつわるお話として、抜けのない状態を求めるのが難しい。
だが、これは頑張った分、いや、素敵な写真、いやあ、貴重ですね。
箱が二つ、トレード用に大事にしましょう。(笑)
bassclefさん、よいお年を‼
投稿: senriyan | 2018年12月31日 (月) 19:45