<ジャズ雑感 第40回> マイルスのスケッチオブスペインのことを少し。
だいぶ前にマイルスの傑作~「マイルス・アヘッド」について書いたことがある。僕にはふとした時に想い出すメロディー(とそのサウンド)というものががいくつもあって、するとそれは・・・いつもマイルスのMiles Aheadに入っているメロディじゃないか・・・あのレコード全体の雰囲気みたいなものがどうにも体に染み着いてしまっているようだ~そんな内容だったはずだ。
どうしてそんな風になるのか、というと・・・マイルスという人はその音色・表現に圧倒的な存在感があって、その音色~言ってみればその人そのもの~を一度(ひとたび)好きになれば・・・ちょっと溜めたようなタイミングのフレーズも含めて、もうマイルスという人を大好きになってしまうのだ・・・そんなことも書いたかもしれない。そうして、そういう気分は今でも変ってないようで、あのレコード「マイルス・アヘッド」を掛けると、ほとんどの場合、両面を聴いてしまうくらいに・・・好きなのである(笑)
ギル・エヴァンスがどうも苦手で・・・という方も多いかと思われますが、そういう場合は、ぜひ「マイルスの音色」だけに集中して聴いてみてください。その内にマイルスの音色と「合うように」鳴らされているはずのギル・エヴァンスのサウンドにも自然と馴染んでくる・・・ように思います。そんなわけで「マイルス・アヘッド」については、自分の想いみたいなものを整理できているのだが・・・実は、もうひとつのギル・エヴァンスとの大作『Sketches of Spain』については、夢レコでもほとんど触れたことがなかった。この作品・・・僕は1980年頃だったかに国内盤、その後、6つ目ラベルのステレオ盤とモノラル盤を入手して何度も聴いてきた。
もちろん気にいらなかったわけじゃない。だけど「マイルス・アヘッド」と比べると、何かがちょっと違うような感じもあって・・・それはごく簡単に言えば、ちょっと堅苦しい感じで・・・素直に「大好きだ」とは言えないような感覚もあって・・・特にこの「スケッチ・オブ・スペイン~A面の「アランフェス協奏曲)」については、何をどう書いたらいいのか判らない・・・という気分だったのだ。
1ヶ月ほど前に、マイルスの『モア・ミュージック・フロム・カーネギーホール』というレコードを入手した。このLP・・・当時のマイルスの未発表音源(1961年:カーネギーホール)をCBSソニーが1987年に発売したものである。自分の好きなマイルスの未聴レコードを今頃になって購入するというのも、実に暢気(のんき)な話しである(笑)
このレコード・・・目玉はもちろん<アランフェス協奏曲のライブヴァージョン>だったはずだが、当時、僕はそのことを知ってはいても・・・この未発表音源LPを買わなかったのである。
2800円という若干高めの価格に(当時はCDは3200円、LPだと2800円というパターンだった)抵抗感もあったかと思うが、買わなかった理由はそれだけじゃない。正直に言おう・・・やっぱり「アランフェス協奏曲」そのものにそれほど興味を持てなかったのだ(笑) だからそのライブヴァージョン発掘!と言われても価値を感じなかったのだろう。
「アランフェス協奏曲」はクラシック原典の曲で、哀愁感たっぷりのメロディーが素晴らしいものだが・・・全編、ゆっくりなテンポのルバート風なので、ビート感がないというか、いわゆるノリノリの4ビート場面はちっとも出てこないわけで・・・4ビートジャズを好きな方が普通のジャズを期待して聴けば・・・やはり退屈なものになるかもしれない。マイルスを好きだと自覚していた僕も、退屈とまでは言わないが、変化に乏しくてベタ~ッとした感じ・・・そんな印象を「アランフェス」に抱いていたのかもしれない。
ところがこの7~8年のことだろうか・・・僕も少しづつクラシックを聴くようになってきて・・・とは言っても、ラベルやドビュッシーのピアノもの、チェロ、クラリネット、それから弦楽など、ジャンルを限定した一部のクラシックに馴れてきたという程度だが、いずれにしても、クラシックのサウンドそのものや、1曲が長尺であることに対しても、以前ほど違和感を覚えなくなってきたのだ。
1/9追記~コメントやりとりにおいて面白い話題が浮かび上がった。マイルスとギル・エヴァンスがこの『アランフェス協奏曲』を採り上げることになったきっかけについて、この「スケッチ・オブ・スペイン」の裏ジャケット解説に載っている。
それは≪1959年の初頭、マイルスが西海岸に居た時、彼の友達が「アランフェス協奏曲」を掛けて聴かせた。マイルスが後日、こう語った『2週間ほど聴き続けたその後になっても、その曲のことがどうにもアタマの中から離れないんだ~~~で、そのレコードをギルにも聴かせてやったら・・・彼もそれを気に入ってくれたんだ≫
こんな感じなのだが、曲名の後そのレコード番号≪CL-5345≫まで書いてある。うん、何?・・・という感じなんだけど、これ、さすがColumbiaレーベルさん、そのレコードが自社発売のものだったので、宣伝も兼ねて、CL-5345と載せたのだ!(笑)
グーグルで「CL-5345」と入れると・・・すぐ出てきました。これです。
レナータ・タラーゴという女性ギタリストのレコードだったんですね。CLはColumbiaのモノラルを表しますから、写真のように「灰色ラベル」でいいわけです。1959年初頭に、このレコードをマイルスとギルは聴きまくった・・・ということが判りました。
この辺りのことについて、yositakaさんがさっそくご自身のブログ<児童文学と音楽の散歩道>で詳しくレポートしてくれました。こちらでどうぞ。http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun/39808256.html
そんな中、僕はこの『アランフェス協奏曲~未発表音源』を発売から28年後に、初めて聴いてみたわけである。そうして・・・ある意味、クラシックに馴れた耳で聴いた、このライブ版~マイルス/ギル・エヴァンスの『アランフェス協奏曲~未発表音源』・・・これがなかなか良かったのだ(笑) ≪Sketches of Spainは1960年5月録音、このライブは1961年5月。1960年録音の「アランフェス」は約16分、この「ライブ版・アランフェス」も約16分・・・ということは、やはり同じ譜面を同じような編成で演奏したのだろう≫
聴きなれたはずのギルエヴァンスのアレンジ・・・同じアレンジのはずだが、カーネギーホールでのライブということもあってか、なにやらバックの伴奏陣が、みんな張り切って、1年ぶりに見る譜面を前にして皆が懸命に吹いているような気配がある。
レコードで聴きなれたアレンジと同じ構成・進行で、しかし前述のように、ライブで演奏されているのだが・・・とにかくその響きが妙に新鮮に感じられるのだ。そしてここに・・・マイルスが登場するのである。マイルスは出だしからどっしりとゆったりしたノリで、フリューゲルを鳴らす。そんな音色で、あの哀愁のメロディを奏でるわけで・・・これは効く(笑)
う~ん・・・これは凄く生々しいぞ! ホールでのライブだから・・・生々しいのは当たり前かもしれないが、録音の感じも臨場感たっぷりで、マイルスが、伴奏陣が・・・カーネギーのステージのそこら辺りで演奏している・・・そんなリアリティを感じられるのだ。
このアランフェスが(同じ譜面だったとしても)スタジオで粛々(しゅくしゅく)と録音されていったであろう、そういうスタジオでの緊張感とは別の、このカーネギーホールという大舞台ならではの、ミュージシャンたちの気概みたいなものに溢れた、いい演奏じゃないか・・・と僕は感じ取ったのだ。
そして、録音もそれほど悪くない。マイルスのフリューゲルはやや左側から聴こえる。ベースも左だ。全体のバランスとして・・・マイルスのフリューゲルの音量に対して伴奏陣全体の音量(レコードでの聞こえかたとして)が大きすぎるようにも感じる場面もあるけれど・・・ギルエヴァンスのアレンジした玄妙なるサウンドがしっかりと聞き取れるので、僕にはそれほど嫌ではない。
全編に聴かれる「今、ステージで演奏している」ような生々しさが、とても魅力的な「アランフェス」になっていると思う。
ラストは、マイルスが2つの音のトリルを何度も繰り返しながら・・・案外にあっさり終わる。
実はこの、ライブ版「アランフェス」を知ってから、スケッチオブスペイン版「アランフェス」を改めて聴いてみると・・・これがまたいいのである(笑) 印象としてはちょっと大人しい感じだけど、そこには端正な味わいもあって、やっぱりとても良いのである。これは・・・これからまた、モノラル盤、ステレオ盤といろいろ聴き比べる楽しみができたというものだ(笑)
そして、「アランフェス」の終わった後に、Will O the Wisp という曲が続くのも悪くない。このWill O the Wisp なる曲・・・原典は、スペインの作曲家;ファリャのバレエ曲~El Amor Brujo から、ギルとマイルスが選んだ1曲とのこと。ジャケット裏の解説にそう書いてある。
その原盤裏解説がナット・ヘントフによるもので、これが素晴らしい内容なんだが、ものすごく小さな活字で縦4列にびっしりと埋まっており・・・読むのに実に難儀なんです(笑) まだちゃんと読んでないのですが、スタジオでのマイルスやギルの様子や、テオ・マセロも交えて3人の会話の様子なども描かれており、とても興味深い裏解説です。
この「アランフェス協奏曲」について、マイルス自身の言葉として載っている部分を見つけたので、ここで紹介しておきたい。
*裏ジャケット写真~縦4列の右から2列目の真ん中辺り~
you know・・・the melody is so strong・・・の箇所。
≪いいか・・・このメロディはとっても強力なんだ。どうこうしようとする余地なんてないんだよ。このメロディでビバップなんてやろうとしたら・・・それこそ愚の骨頂だぜ。今、オレがやらなきゃならないのは、ものごとを結びつけることなんだよ。オレが吹くことで何らかの意味を持たせることなんだよ≫
う~ん・・・やっぱり、マイルスって人は、どこまでも自覚的・・・全部、判ってやっている人なんだなあ・・・実にかっこいいじゃないか!
この『ライブ版・アランフェス』を聴いた後に、スタジオ版「アランフェス」を聴くと、ちょっと大人しい感じを受けるけど、しっかりした端正さもあり、それがまた悪くないのである(笑) 改めて感じたのは・・・どちらのヴァージョンでも、実に堂々と、自分の間合いで自分の詩(マインド)を歌い切っている、マイルスという人の大きさというか・・・ミュージシャンとしての度量の大きさというか・・・なんにしても、マイルスは素晴らしい(笑)
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コメント
yositakaくん、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」についての更なる調査コメント、ありがとう!
マイルスとギル・エヴァンスの「アランフェス」が録音されるそのキッカケとなった・・・と言われるマイルスの友達が聴かせてくれた~というアランフェス協奏曲のレコード(裏ジャケットの解説のよる)・・・そのレナータ・タラーゴ米コロムビア盤は~
≪1954年発売ですので、イスパヴォックスの録音を権利取得して発売したものと思われます。もともとは16回転、7インチという妙な形で出されたもののようです≫
なるほど・・・元々は1952年のスペイン音源だったとは。それも16回転7インチとは驚きです!
通常、7インチの米EP盤は45回転で、片面4~6分程度の収録時間ですから、33回転で7~8分として、16回転なら10分~15分くらいは取れたでしょう。日本では7インチ:33回転の通称「コンパクト盤」~シングル盤の両面で2曲に対し、両面で4曲収録)というフォームが流行りましたが(米では45回転EP盤が主流という認識なのです)ひょっとして欧州では7インチ16回転というフォームを流行らそうとしたのかもしれませんね。
投稿: bassclef | 2016年1月21日 (木) 22:21
やあBassclef君、加筆とリンクありがとう。その後の調べで、タラーゴのアランフェス協奏曲は、スペイン・イスパヴォックスが1952年に発売したものとわかりました。米コロムビア盤は1954年発売ですので、イスパヴォックスの録音を権利取得して発売したものと思われます。もともとは16回転、7インチという妙な形で出されたもののようです。オーケストラ名は「マドリード・フィル」となっているものが多いようですが、「マドリード・コンサート・オーケストラ」が正しい表記。
マドリードには「スペイン国立管弦楽団」「スペイン放送交響楽団」「マドリード交響楽団」と三つのオーケストラがあり、このうちのどれかか、それとも臨時編成なのかは不明です。
ちなみにイエペスは一回目を「スペイン国立管弦楽団」二回目を「スペイン放送交響楽団」と録音しています。
タラーゴ盤の伴奏部分は、残念ながら、このどちらと比べても、そうとう下手に聞こえます。臨時編成かもしれません。
いまでこそポピュラーな「アランフェス協奏曲」ですが、1950年代の時期にレコードといえば、他には初演者レヒーナ・サインス・デラ・マーサのSP盤くらいしかなかったのでは…マイルスが目をつけたのはこの曲を世界的に有名にしたイエペス盤(1957年録音)よりも一足早かったと思われます。
なんという慧眼!
投稿: yositaka | 2016年1月19日 (火) 13:41
北のdukeさん、ほぼ1年ぶりに更新した「マイルス~」記事にコメントをありがとうございます。
1972年新宿厚生年金会館のギル・エヴァンス・・・dukeさんはそれを見て・聴いたのですねえ、いやあ、羨ましい。僕は当時、高1でして、「週間FM」という音楽雑誌を毎週購入してました(ジャズやクラシックのコンサート報告がよく載っていた)そのコンサートの記事も載ったので、ギル・エヴァンスの写真を見た記憶があります。
そうですか・・・やっぱりギルが指揮すると、いい音が鳴ったんですねえ。菊池雅章はたしかその頃は、ギル・エヴァンスに師事していて弟子みたいな感じ・・・だったのかな。
ギルの創りだす(創ろうとする)音楽って・・・いいソロイストが居ないとイマイチ生きてこない感じもあり、だから当時のビリー・ハーパーやハンニバルなら、やっぱり素晴らしかったでしょうね。
dukeさん、因縁の(笑)マーヴィン・ピーターソン・・・当時はパワーがあって音に艶もあって、いいトランペッターだったですよね。
投稿: bassclef | 2016年1月18日 (月) 23:06
bassclef さん、今年もよろしくお願いします。
久しぶりのアップだけあり濃くて太いですね。ギル・エヴァンスは1972年に新宿厚生年金会館で聴きました。菊池雅章を中心とした日本人プレイヤーで編成したオーケストラでしたが、指揮する指先からオーラで出ているのか、臨時編成のバンドとは思えないほどレベルの高い演奏でした。これが並みのアレンジャーでしたらこうはいかないでしょう。このとき連れてきたのがビリー・ハーパーとマービン・ピーターソンです。衣装も派手なら演奏も派手で驚いたものです。ともに素晴らしいソロを吹いておりましたが、20年後マービンを聴いてがっかりしました。マイルスになれなかったマービンです。
アランフェス協奏曲はマイルスが取り上げなかったらジャズファンは知らずに終わったかも知れません。おそるべしマイルス。
投稿: duke | 2016年1月17日 (日) 11:42
yositakaくん、コメント返事にて、「クラシックの長尺曲」のこと、判りやすく説明してくれてありがとう。
≪ロマン主義のロマンとは長編小説のこと~メロディだけではなく、主題感の対話、意外な展開、張り巡らされた伏線、緊張と脱力の対比など~長い曲を聴き終わったあとには、長編小説を読み終えたような満足感や達成感~≫
なるほど・・・(一部の)交響曲などが長尺化してきた流れが判りました。そうか・・・長編小説と考えれば、確かに文学全体としては、短編もあれば随筆もあれば日記もあれば・・・いろんな形式がある。そうして、それぞれの読み手(聴き手)の好みというものもあってもいいわけで・・・。
実際、クラシック世界には長い歴史を経た上での、実に様々な形式があるわけですから、であれば、まずは音楽を楽しむ~ということを優先させれば≪面白さの片鱗をつまみ食い~が、それでも面白い。構成要素が多彩なので、どっかには引っかかる≫
うん、そうだよね! アレを聴かねばならん、コレの良さが判らんとは・・・みたいなことは気にせず、まずは、自分にピタッとくるものを見つけられたならば(たぶん、ここまでが大変なんでしょうけど)後はそれを聴けばいい・・・そう考えれば、だいぶ楽になります(笑)
なんにしても言えるのは・・・クラシックでもジャズでも、いい音楽ってのはいっぱいある!ということですね。いい音楽を聴きましょう!
投稿: bassclef | 2016年1月10日 (日) 12:28
bassclef君、長文のコメントありがとう。
タラーゴの「アランフェス」は、グーグルで動画検索しても、なかなか出てきません。ロス・アンヘレスの伴奏はいっぱい出てきますが…案外これは、稀少盤なのかもしれない。ebayだと30ドル以上で、これだと送料込で最低でも5000円はかかってしまいますね。
どこかで聞けるといいです。
クラシックとジャズ、ポピュラー音楽の違い…
もともとは娯楽の為の、ソロ中心の短い音楽だった。これは変わりがありません。
ではどこで変わったのか。
転機はヨーロッパ音楽「消費」の中心地がローマ、ミラノ、ヴェネチア(貴族層・富裕層)からロンドン、パリ、ウィーン(市民層)に移ったことがあります。
大きな変化は、「歌やソロ」を楽しむ聴衆ばかりだった時代から、「器楽合奏」を楽しむ聴衆が加わり、拡大したことです。
彼らはメロディーや名人の技を楽しむことも大好きでしたが、音楽独自の「構成」や「物語」を聞き取る楽しみを覚えていった聞き手でした。
おそらく長編小説の時代ともリンクしていたと思います。ロマン主義のロマンとは長編小説のことですからね。
音楽の物語にも、メロディだけではなく、主題感の対話、意外な展開、張り巡らされた伏線、緊張と脱力の対比など、いろいろな楽しみが求められました。長い曲を聴き終わったあとには、長編小説を読み終えたような満足感や達成感をもてる快楽をもたらすことになった…
構成や構造を楽しむ快楽を知った聞き手に対応して、必然的に、音楽はどんどん長時間化することになっていったのだと考えられます。
クラシックファンが、そうした面白さの全てを舐めるように味わい尽くしているとは思えません。好きな部分を好きなように聞いている。私もきっと、面白さの片鱗をつまみ食いしているだけでしょう。不遜ながら、演奏する人も同じだと密かに思っていますよ。
が、それでも面白い。構成要素が多彩なので、どっかには引っかかる。
bassclef君もそうだと思います。いいと思うところを自分流に楽しむ…ってところでいいのだと思います。
投稿: yositaka | 2016年1月10日 (日) 08:31
yositakaくん、こちらこそ今年もよろしくお願いします。クラシック曲の長時間・・・これは・・・(笑)ジャズ好き(ポピュラー音楽全般)にとって大問題であります(笑)ビート、ノンビートのことはさておき・・・まず、素朴になぜあれほど長いのか?! っていう驚き、ないし、困惑・・・の気持ちでしょうか。
まあ、特に長いのは、マーラー、ブルックナーの「交響曲」が主で、(以下、ごくごく一般的な話しとして)~協奏曲だとそれほどでもなく(それでも30分~40分か)そして、~組曲とかになると、1曲が4~5分でそれが幾つも繋がってる~という形式なので、これなら(僕の場合は)だいぶん大丈夫なんです。その中の、好きな曲だけ聴く、とかして(笑)
僕は元々「クラシックの名曲」は好きで、小学校・中学校の「音楽鑑賞」で聴いた曲はほとんどどれも気に入って・・・つまりそれくらいの名曲大好きレベルの子供だったわけです。一般に(ごく一般論です)ジャズも含みポピュラー音楽好きというのは・・・いいメロディ、いいハーモニー(コード進行)、かっこいいリズムパターン・・・そういう要素に反応して「この曲、いいな、この演奏、いいな」ということで、だから、例えば(いわゆる「名曲」で言えば・・・white Christmasとかyesterday とか「イパネマの娘」とかが、それこそ世界中でヒットしたのだな・・・と思います。
たぶん、音楽に対して「いいな」と感じるには、そのなんというか・・・いいメロディ、いいハーモニー(コード進行)、かっこいいリズムパターンなどの「美味しいところ」が、明快に即効で現われてくれた方が・・・まあより感じやすい、ということかとも思います。それでつまり・・・ポピュラー音楽というのは、そういう「美味しいところ」だけを抽出して、ひとつの楽曲として作られてきたわけで、そこが、クラシックの「長さ」とは決定的に異なる点かな・・・と。クラシックは、それこそ音楽の天才たちが、本当に苦労して多くの楽曲を(交響曲であれ協奏曲であれ組曲であれ・・・)創り上げてきて、だから、本当に素晴らしい「メロディ」が数多く存在してます。で、それをすぐに味わえる場合と、わりとそうでない場合もあって、それら素晴らしいメロディの「美味しいところ」が現われるまで、ガマンしないといけない場合も多いよな・・・というのが、僕の場合の正直な気持ちです。ごく簡単に言えば・・・ポピュラー好きは「せっかち」なんですよ(笑)
フォーム(形式)の種類が多すぎて、なにか逆にそのフォームに縛られている(例えば、交響曲は4楽章で創らないとダメとか)・・・そういうあまりにも肥大した形式というかクラシック音楽全体の構造に対しては、若干、批判的な気持ちも~もっと「いい曲」「いいメロディ」だけを楽しむ・・・だけではいけないのかな?という気持ち~あります(笑)
え~、話しが脱線しました(笑) 以上は「長さ」についての僕の単なる印象の話しで、「ビート」「ノンビート」についての話しではありません。リズム、テンポ、ビート・・・この辺は、それぞれの用語の意味合いも含めて、実に難しい話しかと思います。また少しづつ(笑)
さて、D35さんへの応答コメント文中にチラッと書き入れた、マイルスやギルが聴いたとされるレコードのレコード番号~ML5345。このところ、マイルスが採り上げたクラシック原曲の関わりに興味深々の yositakaくんがさっそく調べてくれました。僕もグーグルにこのレコード番号を入れてみました。我々は同じようなことをやってるようです(笑)
ML5345とは≪レナータ・タラーゴのギター、オドン・アロンソ指揮マドリード・フィルハーモニーの演奏≫
でした。キレイな女性ミュージシャンの『アランフェス協奏曲』だったんですね。(*この辺りのこと、yositakaくんがご自身のブログ にて詳しくレポートしてくれました。こちらでどうぞ。http://blogs.yahoo.co.jp/izumibun/39808256.html
なお、このbassclefのコメントは、<スケッチオブスペイン>という同じ話題の「児童文学と音楽の散歩道」と「夢見るレコード」の両方のブログに、同じものを入れさせてもらいました。
投稿: bassclef | 2016年1月 9日 (土) 10:42
今年もよろしくお願いします。
シュミットさんは「ノンビートで10数分間を耐えるのはけっこうシンドイ」とおつしゃっています。うーん…耐える…そうかあ、なるほど。
やはりジャズファン、いや一般音楽ファンも含めて、コアなクラシック聴きとの分水嶺はそこにあるようですね。私は90分、90分の曲も普通に聞きますが、それを「ノンビート」とは感じないんですね。大学時代にジャズ研部室でジャズのシャワーを浴びたとき「なぜこんなに執拗なビートが必要なんだ」と感じたことを思い出しました。
さてWill O the Wisp、ファリャの組曲『恋は魔術師』のなかで「恐怖の踊り」「狐火の歌」と二曲に使われているメロディで、後者にはソプラノ独唱が伴います。前者は中間部に速いテンポで、後者は遅くねっとりと。マイルスはさらに遅めですが、原曲の味はまったく変えていません。それと、今回気付いたのですが、前奏の「タタタターラ」という五和音、ビゼーの「アルルの女」第一組曲のメヌエット(有名な第二組曲のメヌエットではない、速いほう)の中間部と同じ音形です。もしかするとこれも引用かも。ギルもマイルスも、既存の楽曲を自分の色に染める名人ですねえ。
それになんと「アランフェス」では参考レコードの番号まで!これは米コロムビアの番号ですが、中身は同社が提携していた蘭フィリップスの録音で、レナータ・タラーゴのギター、オドン・アロンソ指揮マドリード・フィルハーモニーの演奏です。当事皆が聞いていたイエペスとアルヘンタのスペイン・コロムビア盤ではないところが渋いです。これ、聴いたことがないですよ。アロンソはイエペスの二回目の録音(グラモフォン)で伴奏指揮をしていますが。
今年も楽しい音楽生活になるといいですね。ブログももうチョイ多めに更新してほしいぜ。
投稿: yositaka | 2016年1月 8日 (金) 14:40
あ、D35さん、明けましておめでとうございます。約1年ぶりの更新なのに、さっそくのコメントもどうもです。
僕の方も「アランフェス協奏曲」~ロドリーゴの名曲・・・というくらいの知識しかありません(笑)でも小学生くらいの時、何かで聴いて、よく知っている。そしてあのマイナー調のメロディは素晴らしいものなので・・・するとやっぱり、マイルス(とギル・エヴァンス)は、いいところに目を付けた・・・ということだと思います。
ジャケット裏解説にこんな記述がありました。
≪1959年の初頭、マイルスが西海岸に居た時、彼の友達が「アランフェス協奏曲」を掛けて聴かせた。マイルスが後日、こう語った『2週間ほど聴き続けたその後になっても、その曲のことがどうにもアタマの中から離れないんだ~~~で、そのレコードをギルにも聴かせてやったら・・・彼もそれを気に入ってくれたんだ≫
ちなみにその解説には、ご親切にも、その時、マイルスが聴いたロドリーゴのレコードの番号まで(ML-5345)と書いてあるのが可笑しいですよ。たぶん・・・Columbiaレーベルのレコードだったんでしょうね(笑)
D35さん紹介の、ジム・ホールの「アランフェス」・・・あの青色ジャケットのCTIのレコードでしたね。たしか・・・持っているのでこちらも聴いてみますね。ちなみにMJQの「アランフェス」は聴いてみましたが、僕には、いまひとつでした。
D35さんも機会あれば、ぜひ、マイルス版「アランフェス」~聴いてみてください。
投稿: bassclef | 2016年1月 5日 (火) 23:02
シュミットさん、あけましておめでとうございます。これまでに引き続き、夢見るレコードにコメント~しかも元旦アップ予想までしていただいて:笑~をどうもです。
「スケッチ・オブ・スペイン」・・・そうなんですよね、たいていの場合、ジャズ好きは、クラシック名曲のジャズ化というのを好まないのです。僕自身、基本的にそうですから(笑)そして数少ない例外として好きなものとして挙げたのが(だいぶ以前に拙ブログで記事にした)ロリンズのmy reverie(ドビュッシーの「夢」が原曲)や「悲愴」(チャイコフスキー)、それからアート・ペッパーの going home(ドヴォルザークの家路)などでした。つまり僕の中ではおそらくは・・・クラシックの名曲が元メロディであっても、ただそれをキレイに無難に再現するだけでなくて、それを演奏するジャズミュージシャン自身の圧倒的な個性(いや、持ち味というべきか)でもって「自分のジャズ」に塗り替えてしまう~そんな感じのものなら、原曲がクラシックの場合でも楽しめる・・・というような感じだったように思います(あくまで、僕:bassclefの場合)
だもんですから・・・たぶん、「マイルスの音色・語り口」が大好きな僕としては・・・このクラシック名曲の、ある意味ベタな音楽にも(ギル・エヴァンスの個性も加味されての:笑) わりと抵抗無く入り込めたのかな・・・と自己分析しております。
≪オリジナルは3楽章からなってまして(マイルス版は第2楽章をアレンジしたもの)≫
~なるほど・・・そういえば、ジャケット裏解説にも(これがとっても長い!)こんな一節がありました。
Gil rewrote and extended the middle part of the CONCIERTO(DE ARANJUEZ)
なるほど・・・第2楽章を「書き直し」「拡張し」たわけですね。さすがに、マイルスとギルも3楽章をそのまま(の長さ)でジャズ化するのは・・・まずい、受け入れられないと考えたかもしれませんね。第2楽章の最も知られている・・・というより、素晴らしいメロディを核にして、いろんなモチーフを再構成して、そうして、ひとつの楽曲に仕上げたのでしょう。それでも・・・16分ですが(笑)
ちなみに「ライブ版」は、僕は気に入ってますが、それは、バンド全体がけっこうラフな音も出したりして(ちょっと調子っぱずれの音が鳴ったりもする:笑)それでも、そのライブ(人前で)音楽してる・・・っていう感じが悪くないからです。で・・・マイルスは正に千両役者! もしもジャズ好きの歌舞伎ファンが見ていたならば、思わず「っよ!マイルス屋っ!」てなもんでしょう(笑)
投稿: bassclef | 2016年1月 5日 (火) 22:40
明けましておめでとうございます。久しぶりの更新を拝見して、皆さんのコメントを見て、うれしくなって私も書きました。
残念ながらマイルスのこれは持っていませんし聴いていません。
私のアランフェスはジムホールですね(笑)。
けれどマイルスは去年何枚か手に入れて時々聴いてました。
近い内にスペインも手に入れて聴いてみたいです。
今年もよろしく!
投稿: D35 | 2016年1月 5日 (火) 18:50
あけましておめでとうございます。シュミットです。
たぶん元旦にご登場だろう、と予想してましたら、そのとうりになりました(笑)。
マイルスの「アランフェス」を聴いたのは2,3回くらいです。ライヴ版も持ってるんですが、こちらは聴いた覚えがありません。どうしてこんなに聴かないんだろう、と思うといろいろなことが浮かんできます。
まず、ノンビートで10数分間を耐えるのはけっこうシンドイことがありますね。それとあの世紀の名旋律をこんなにも真正面から奏でられたら、ジャズリスナーはそういうのにあんまり慣れてませんので、「どういう顔して聴けばいいの?」状態になるんじゃないでしょうか。とくに曲の後半クライマックスであの有名旋律をブラス群がフルヴォリュームで迫ってくるところなんか、私は「ちょっと勘弁してほしい」状態です。
私はクラシック音楽には疎く、興味もほとんどないのですが、ジャズを長く聴いててちょっと煮詰まってしまったようなとき、たまに聴いて気分転換することがあります。
この「アランフェス協奏曲」はたまたまジョン・ウィリアムス版とトゥリビオ・サントス版というのを持ってまして、そんなとき用のうちの2枚です。
知ったようなことを書くのは恐縮ですが、オリジナルは3楽章からなってまして(マイルス版は第2楽章をアレンジしたもの)、簡単に言えば明(長調)→暗(短調)→明(長調)という流れです。オリジナルのキモはやはり第2楽章だと思うのですが、その前後に躍動的でリズミックな楽章を配して、より効果的に暗の部分を際立たせている、という感じです。ですからマイルス版はいわば、いきなり「暗」からスタートして「暗」で終わる、というわけです。
私も「アランフェス」のマイルス版は苦手な口ですが、bassclefさんがおっしゃってるように、マイルスに集中して聴いてるとディープブルーな彼が浮かび上がってくるようです。
ご存知かもしれませんが、「the sound of miles davis」というtv放送の映像で、後半にマイルスとギルのバンドが「miles ahead」からの曲を何曲かやってまして、これがなかなかのミモノです。
すいません、また少し長くなってしまいました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
投稿: シュミット | 2016年1月 4日 (月) 23:15
senriyanさん、コメントありがとうございます。そして・・・せんりくん、明けましてオメデトウございます! いやあ・・・なにやら知らない街をぶらついていて偶然、古い友達に出合ったような・・・そんな感じでしたよ(笑)というのは・・・実は、senriyanさんのブログ~≪あなたまたレコード買ったのね≫ つい5~6日前に偶然に見ていたのですよ。≪部屋の音とレコードの音≫http://andokan.exblog.jp/ というブログを見ていて、そのお気に入りブログにsenriyanさんのブログが載っていて、それで≪あなたまたレコード買ったのね≫とは・・・こりゃ面白いブログ名だなあ(笑)と思い、いくつかの記事も読んでみると・・・それらが実に面白く、何よりさりげないセンスも素晴しく・・・まあそんなことから、うん?このsenriyanさんとうのはひょっとしたら「せんりくん」ではあるまいか?・・・てなことを考えてましたよ(笑)
そしたら今朝、senriyanさん=せんりくんと判り、やっぱり!と、ハタと膝を打ったわけです(笑)(これ実話です)
senriyanさん、さっそく≪あなたまたレコード買ったのね≫ http://nukirnes.exblog.jp/
リンクさせてくださいね。
マイルス・・・そういえば拙ブログ「マイルス・アヘッド」記事の折、せんりくんも「マイルス・アヘッド」の大いなる共感者と判りそれが印象に残ってます。
僕の方も「スケッチオブスペイン」~最初に入手したのは、ジャズ聴きのだいぶ後だったです。あれは・・・閉店セールの中古盤屋、いや、当時の「貸しレコード屋」でした。要は本当の閉店で少しでも在庫を減らしたい~ということだったのでしょう。10枚で1000円という怖ろしい価格でした(笑) で・・・まだ持ってない「スケッチオブスペイン」をついでに買ったわけです(笑)そしたら・・・案外、良かった!っていう、まあいい偶然でした。
アランフェス協奏曲・・・ちょっと長いので、B面から聴くと意外に「感じる」かもしれません。特に3曲目Soleaはお勧めです。
senriyanさん、またいつでもコメントを。いや、こちらも≪あなた またレコード買ったのね≫を覗きますね(笑)
投稿: bassclef | 2016年1月 3日 (日) 12:33
チャランさん、2ndコメントをどうもです。
≪サエタ(Saeta)はスペインのアンダルシア地方の宗教歌≫
なるほど・・・そうしたスペインゆかりのサウンドをあのように「被(かぶ)せた」のですね。おそらくは・・・あれはギル・エヴァンスのアイディアでしょう。僕もあの曲(鼓笛隊みたいな)自体が特に苦手というわけではなくて・・・それよりも(特にステレオ盤で)その「引用」の際、(おそらくは)意図的にその音量を、小さめ~大きめ~小さめ としていることなんです。
なんだか・・・そこに映像的な意図を感じてしまって・・・僕の好み感覚だと、ちょっと白ける部分があります(笑)
マイルスとギル・エヴァンスは、この「スケッチオブスペイン」を創るに当たって、クラシック系のスペイン音楽をそうとうに聴き込んで、その上で、彼らのピタッとくるものを選び取ってA面、B面トータルとして、ひとつの音世界を創ろうとしたのでしょうね。2人の才人がアイディアと工夫を尽くして創り上げた大作であることに間違いはありません。
実際、アランフェスだけでなく、B面3曲目のSoleaは、すごく良いです。リズムがちょっと変則気味ですが(普通に2・4ではノレない)マイルスの深く沈みこむ音色が素晴らしいです。
投稿: bassclef | 2016年1月 3日 (日) 12:01
明けましておめでとうございます。
せんりくん改めsenriyanです。面倒くさくてすいません。
今回の夢レコはなぜかオスカー・ペティフォード特集になると勝手に勘違いしレコードを揃えてコメント準備しておりました。(笑)
ぼくも、マイルス・ヘッダーというとことで、あのレコードの音絵巻にある何かを求めて、マイルスやギル・エバンスの他のレコードをいろいろと聴きましたが、やはりあの世界感はあの盤独自のものであったようです。
スケッチ・オブ・スペインは昔FMラジオで”アランフェス協奏曲特集”というのがあってそれをテープに録って聴いていたというのがすべてというおそまつさです。
しかし、今回のマイルスのコメントさすがにカッコイイですよ。いや本当にきちんと聴いてみたくなりました。
ぼくの方も、昨年よりブログを始めました。実にクオリティーの低いお恥ずかしいかぎりのシロモノなんですが覗いてみてやってきた下さい。
ブログタイトル”あなたまたレコード買ったのね”です。
http://nukirnes.exblog.jp/
投稿: senriyan | 2016年1月 2日 (土) 23:11
bassclefさん、2度目のコメです。
bassclefさんが、違和感を感じているエバンスのサエタ(Saeta)はスペインのアンダルシア地方の宗教歌で聖人行列の聖人に奉げる歌です。
ニューオリンズジャズの葬儀行列での演奏を感じます。
まあ、あれもスペインのスケッチですので・・・・私は、ニューオリンズジャズも好きなので・・・・。
しかし、マイルスのスペイン(人)の曲を聴いて感じた事を吹く感性と能力はすごいですね!
投稿: チャラン | 2016年1月 2日 (土) 21:17
Yoさん、明けましておめでとうございます。約1年ぶりに「夢見るレコード」を更新しました。
Yoさんもギター好きでクラシックギターの方もお好きなようで、そういえば・・・一頃、カルロス・モントーヤのレコード話題になったことがありましたね。僕もガットギター好きなんですが、好んで聴くギター音楽はボサノヴァ系だけで、なぜかフラメンコ(スパニッシュ系)は・・・1972年ころだったか、ほんのちょっとだけパコデルシアを聴いたくらいです(FM放送のエアチェックくらい)
ギルエヴァンスのアレンジ・・・≪マカロニ・ウエスタンっぽく~≫ わっはっは、なんとなく判ります。ギル・エヴァンスって、時々、わりとベタなマイナー調のメロディを、突拍子もない感じでドド~ンと出してきたりしますよね(笑)僕もあの手法は・・・あまり好きじゃないです。
Yoさんもチャランさんも、ロドリーゴ作のギター協奏曲に馴染んでいると・・・ギターが弾く主旋律のところは、マイルスが「吹く」音色を味わうとしても、おそらくギルエヴァンスのアレンジ部分(原曲そのままではなく、カットしたり付け加えたりして約16分にまとめた・・・と理解しているのですが)には、若干の違和感を覚えるだろうなあ、と想像します。
僕にもギル・エヴァンスのアレンジ(このSketches of Spainにおける)で、ちょっと「あれれ?これはイマイチだなあ」と感じる箇所があって、それはB面2曲目のSaetaという曲で冒頭と終わりに「鼓笛隊の行進」みたいな音(音響)が被(かぶ)さってくる箇所が・・・あれがどうもあまり好きになれません。演奏されている音楽とは別に、コラージュ風に重ねて・・・たぶん映像的に映画的な感覚で、街を行進していく感じを表そうとしたのだと思いますが・・・。ギルエヴァンスを嫌いではない僕でも、この箇所には大いなる疑問符が付きますね。
Yoさん、またいつでも、なんでもコメントをどうぞ。
投稿: bassclef | 2016年1月 2日 (土) 10:40
チャランさん、明けましておめでとうございます。そういえばチャランさんはスペインやポルトガルの音楽に興味お持ちなわけで、そうして若い時にギターで演奏される『アランフェス協奏曲』を聴きこんだとのこと。カセットテープというのが「時代」ですね(笑)
それで「じゃあマイルスはトランペットでどんな風に演ってるのかな?」という興味でマイルスを聴かれたわけですね。
マイルス・・・素材はなんであれ、あの音色と語り口でもって「マイルス節」にしちゃうわけで(笑)あとはもう、マイルスって人を好きかどうか・・・だけかもしれませんね。
投稿: bassclef | 2016年1月 2日 (土) 09:45
あけましておめでとうございます。
ご無沙汰しております。
毎年正月に更新ですね?
以前からbassclefさんはこの盤をお好きと言っておられたのを記憶しています。
私は「好きの一歩手前」程度です。ジャズばかり聴いておられる方はアランフェスと言えばこの盤と仰る方も多いし、私もマイルスのトランペットはとても良いと思うのですが、ロドリーゴの元曲のギター協奏曲で馴染んでいるとそれが「地中海に面したスペインの田舎」のイメージがとても似合うのに比べてこのアランフェスはジャケットのように赤土の荒野がイメージされるのです。そしてドラマチックな編曲がなにやらマカロニウエスタンっぽく聴こえてしまうのです。(正月早々変な感想ですみません)
クラシックでもギターをハープに替えた演奏もありますが、これは妙に上品になってイマイチです。
ジャズならチックコリアの「スペイン」の前奏にこのテーマが使われていますがこれはこれで本曲と合わせても「地中海の風」のようにさわやかで好きです。ちなみにこの曲のアコースティックバージョンにはこの前奏はカットされています。
投稿: Yo | 2016年1月 2日 (土) 01:51
私は、スペインギターが好きで「アランフェス協奏曲」を、昔カー・ステレオでカセットテープが切れるまで聴いていました。
そこでマイルスが、演奏するとどうなるかと思い「マイルスのスケッチオブスペイン」を購入しました。
マイルスがギターの代わりにトランペットでスペインの哀愁ある演奏を見事にしていて痺れました。
これは、bassclefさんお勧めの『ライブ版・アランフェス』も購入しなくては!!!
投稿: チャラン | 2016年1月 1日 (金) 22:49
あ、M54さん、さっそくの「読んだコメント」をありがとうございます。明けましておめでとうございます!
マイルス・・・本当にいつも意図を持っていろんなレコードを創ってきた人ですね。この「スケッチ・オブ・スペイン」・・・クラシック素材の音楽ではありますが、そこは、それ、マイルスですから(笑)「マイルスの音楽」と思えば別にどうってことない・・・てな風に思ってます。聴いてみた印象など、ぜひまたお知らせくださいね。54さん、今年も・・・ジャズを聴きましょう!
投稿: bassclef | 2016年1月 1日 (金) 22:47
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
元旦の更新、いやぁーめでたい!(笑)
僕もこのレコードを今から聴いてみようっと・・
投稿: M54 | 2016年1月 1日 (金) 21:05