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2012年12月31日 (月)

<思いレコ 第19回>スタン・ゲッツのJazz at Storyville。

スタン・ゲッツ入魂のアドリブ・・・1951年の傑作ライブ!

ジャズを長く聴いていると、まだ馴染みのないミュージシャンであっても、なんとなくこの人は好きだな・・・と感じる場面がけっこうある。それからそのミュージシャンのレコードを色々と聴いていくと・・・その人の諸作の中でも分けても好きなアルバムというものが自(おの)ずと浮き上がってくる。ジャズを長いこと聴いてきても厭きないのは、そんな風に少しづつ自分にとって未知のミュージシャンを知り、その人を身近に感じていく・・・そんな過程が楽しいからかもしれない。

10_004 Stan Getz/Jazz at Storyville(Roost RLP-407)1952年
thou swell
the song is you
mosquito knees
parker 51

スタン・ゲッツ・・・この人をもう長いこと聴いている。特に50年代初期のゲッツに痺れている。何故か?何かを好きになるのに理屈はないのだろうけど、強いて言えば・・・僕はまずもってあのテナーの音色が好きなのである。
1949年~1953年頃のゲッツの音色は、音が小さく、か細い感じで、ごく素朴に言えば・・・あんまり力強くない(笑) 
僕の場合、テナーという楽器ではロリンズを先に好きになったので、この50年代ゲッツ聴きのごく当初には、若干の違和感を覚えた。ちょっと器楽的な話しをすれば、ゲッツの音色はサブ・トーンの割合が多い感じかと思う。サブトーンというのは・・・(私見では)吹き込んだ息の全てを音として「強く大きく鳴らそうとはしない状態」・・・というか、そんな吹き方のことだ。だからサブ・トーン気味の音は、まずは「柔らかい感じ」に聴こえる音色だと思う。判りやすい例を挙げるならば・・・<レスター・ヤングがサブトーン主体で、コールマン・ホウキンスがフルトーン主体>かな。
(実際の聴こえ方としては、サブトーンだから「小さい音量」、フルトーンだから「大きい音量」という単純なことではないとも思う)

様々なミュージシャンの現す音色(例えばテナーならテナーという楽器の)に対しての好みというものは・・・ヴォーカルものへの好みと同じように「その声(音色)」に対しての生理的な反応で左右されると思う。
「おっ、いい感じの声だな」と感じるのか・・・あるいは「あまり好きな声じゃないな」と感じるのか。そんな具合に、どういうものを好むかは良い・悪いじゃなくて、聴き手それぞれの感性の問題だろう。

楽器の音色としてゲッツのあの「ヒョロヒョロ~」がダメだという方も多いような気もするが、僕の場合は、その「ヒョロヒョロ音色」はすぐに気にならなくなり、というより、太くはなくても力強くはなくても・・・その逆に、柔らかくて肌理(きめ)の細かい肌触りのいいシルクのような・・・その「音色」を好きになった。 
そしてこのことは・・・ちょいと大げさに言えば、ジャズの魅力というのは、力強くゴツゴツした黒人的なハードバップだけにあるわけではなかった・・・という、僕のジャズ聴きへの新たな開眼ポイントになったのだ。

僕自身のジャズ聴きの変遷を思い起こしてみると、ゲッツについては、50年代ゲッツに踏み込む前に、60年代のボサノヴァでのゲッツはよく耳にしていて、そこでもうゲッツを好きになってはいたじゃないか。ジョアン・ジルベルトとの「イパネマの娘」・・・間奏部でのあのゲッツのソロ! なんと見事に歌うフレーズであることか!あれは譜面か?(アレンジされていたもの) と思わせるほどに、テーマメロディを生かしながらの、小粋な崩し。ソロの最後の辺りの3拍3拍2拍のフレーズ・・・これはもう「粋」としてか言いようのないジャズになっていると思う。
この辺りの「前ゲッツ体験」を、今、あえて分析してみると・・・たぶん僕は、ゲッツの自然なフレーズ展開の見事さに感心していたのだろう。元メロディを生かしながら自在に展開させてしまうセンスのよさ・・・そうなのだ、ゲッツという人は「音色」だけではなく、「フレーズ」の人でもあったのだ! そんなの、あたりまえの話じゃないか(笑)

スタン・ゲッツは閃きの人だと思う。「閃き」を生かす~という点では、ソニー・ロリンズと同じタイプ(音色やフレーズは全く対極だが)かと思う。そうして・・・いい「閃き」が湧いた時のゲッツは・・・本当に凄い。テーマの部分では元のメロディを崩したりもするが、しかしそれは元メロディのツボをちゃんと生かしたようなフレーズであって、そしてひとたびアドリブに入れば、ゲッツはもう吹くのが楽しくて仕方ない・・・という風情で、迷いのない、そして見事に歌っているフレーズを次々と繰り出してくる。スローバラードでの叙情溢れるフレーズももちろん素晴らしいのだが、急速調でのスピードに乗った淀(よど)みのないフレージングときたら・・・それはもう、本当に生き生きとした音楽がそこに立ち現われるのだ。

10_003 Stan Getz/Jazz at Storyville volume 2(Roost RLP-411)1952年
pennies from heaven
budo
jumpin' with symphony sid
yesterdays

さて・・・ゲッツの「音色」と「フレーズ」についていろいろ書いてきたが、僕が思うスタン・ゲッツという人の本当の凄さとは・・・実はその「音色」と「フレーズ」の見事な融合感にあるのだ。
ゲッツの吹くフレーズには理論で分析したような跡はまったくない。閃きによって生まれた自然なフレーズを、あたかも「そういう音しか出なかった」ように思える自然な音色で吹く・・・。これら2つの要素がまったく違和感なく、ごく自然に溶け合っていることに、僕は驚くのだ。
スタン・ゲッツという人は、自分の音色に合うフレーズを自ら生み出したのだ・・・いや、自分のフレーズに合う音色を創り出した・・・そういうことだと僕は思う。
そうして、ひとたび彼がテナーを吹けば、それがテーマであってもアドリブであっても・・・そこには本当に「自然な歌」が溢れ出るのだ!

もしあながたゲッツのそんな「自然な歌」に浸りたいのであれば・・・何を置いても、スタン・ゲッツのこの Jazz At Storyville を聴かねばなるまい。ようやくレコードの話しになった(笑)
Jazz At Storyville は「ストーリヴィル」というジャズクラブでの1951年10月28日のライブ録音である。1951年のしかもライブ録音だから、やはりそれほどいい音質とは言えない。まあしかし・・・このライブ盤に関しては・・・音質云々(ウンヌン)はもうなしにしよう。 音楽を聴こうではないか! 1951年のこの瞬間に、テナーという楽器を本当に生き生きと吹いた・・・そう、息を吸って吐いていた彼の生きた時間を、生きた音楽を聴こうではないか!

Roostレーベルにはゲッツの10インチ盤が7枚ある。その内の3枚が、Storyvilleのライブ盤である。番号は~407、411、420で、各4曲づつ収録の全12曲。後に2枚の12インチ盤で再発された時に、1曲(everything happens to me)が追加されている。
*12インチ盤の写真はこの記事の一番下にあります。

10_002 vol.1が1952年に発売された後、1954年に発売されたvol.3(420)の裏ジャケット。タイトルJAZZ AT STORYVILLE の下の、~not so long ago at the Storyville Club in Boston という文章が何やら言い訳がましい(笑) 2年も経ってしまったから「最近」とは言えずに「そんなに以前のことではない」みたいな意味合いだろう。

これらシリーズ3枚目の10インチ盤~3枚のライブ盤:全12曲・・・どのテイクも本当にいい。しかしあえて・・・ベストを(というより単に自分の好みだが)挙げれば・・・そうだな、やはり parker51ということになるかな。
parker51なる曲は「チェロキー」のコード進行をそのまま使っていて、そもそもチェロキーという曲は急速調で演奏されることが多く、スピードに挑戦する時に格好の曲なのだ。ゲッツはパーカーがそうしたように、2小節8拍を「3拍3拍2拍」で取るノリのフレーズを吹いたり、細かいアルペジオ風のフレーズの終わりを「タッタッタッ!」という歯切れのいいスタカートで締めるパターンを繰り返したり・・・いろんなアイディアを繰り出してくる。・・・parker51 は全員がスピードの限界辺りを果敢に突き進んでいて(220くらいのテンポか)そのリズムに乗って、スタン・ゲッツがアドリブの本領を発揮している名演だと思う。
ドラムのタイニー・カーンも凄い。特に急速調の曲でのタイニー・カーンは、柔らかいシンバリング(シンバルの叩き方)で、バンド全体をグイグイと乗せてくるような感じだ。バッキングを無難に流すだけのありきたりのドラマーではない。そして、vol.3に収録の move では終盤にドラムのソロ場面があるのだが、これが素晴らしい聴きものだ。リズムの割り方が面白くて、かなり変則的なことを演っているのだが、自分のソロを見事にコントロールしている。1951年としては相当に新しい感覚だと思う。カーンもまた閃きの人だったのだろう(笑) ゲッツは明らかに、このドラマーの凄まじいノリに刺激を受け・・・燃え上がったのだ!
ジャズは・・・凄い(笑)

10_001 Stan Getz/Jazz at Storyville volume 3 (Roost RLP-420)1954年
rubberneck
signal
hershey bar
move

ジャケットについて言えば・・・vol.3の写真ジャケが一番好きだ。vol.1とvol.2のジャケット・・・バート・ゴールドブラットのイラストは、もちろん悪くないが、何かしら全体のバランスがちょっと変な感じもあって、その点、vol.3のモノクロ写真はかっこいい。ゲッツのあの「白いマウスピース」が、ひと際、輝いている。そうしてよく見てみると・・・あれ?このゲッツの写真~(写真上)右向きでテナーを吹いているゲッツのアップ写真なのだが、これ・・・明らかにvol.1とvol.2のイラストと同じじゃないか。そうか、この写真を基にイラストにしたのだな。そしてvol.3のジャケット右隅にはメンバー4人の演奏中と思(おぼ)しき写真も写っている。う~ん・・・しかし小さい。この4人をもっとアップにした写真を裏ジャケットに載せればよかったのに。

余談だが、この「白いマウスピース」について少しだけ。この白いマウスピース(brilheart社のstreamline)・・・僕などは、あれこそがゲッツの代名詞みたいなイメージを持っているのだが、ゲッツも生涯、このマウスピースしか使わなかった・・・ということではないようだ。管楽器をやっている方には当たり前のことなのだが、管楽器というものは、マウスピースの種類によってその音色が相当に変わるのだ(リードの種類も大いに関係してくる)
スタン・ゲッツも、ある時期、マウスピースをあれこれ試していたらしい。ゲッツのテナーの音色(基本的にはサブトーン主体のソフトな音色だと認識している)が、年代によって微妙に違うようにも聴こえるのだが、それは当(まさ)にマウスピースの違いによるものだったのかもしれない。その辺りについてジャズ仲間のsige君がとても参考になる資料を紹介してくれた。
テナー奏者の西条孝之介が、ゲッツの使ったマウスピースについて詳しく語っているのだ。以下、ほんの一部を抜粋~
≪(細いメタルのマウスピースを使ってますね)これはベルグラーセンですね~ゲッツは若いとき、ビバップをやろうとした~サヴォイの「オパス・デ・バップ」の頃、僕としては許せない音なんですよ。下品な音。~~~~~~~~ウディ・ハーマン楽団の頃から変わってくる~白いマウスピースですね。ストリームラインと書いてあるけど~ブリルハート社製でね。プレスティッジもルーストも全部これ~≫ う~ん、興味深い・・・。ジャズ批評119号(p101~p103)をお持ちの方~ぜひご覧ください。

なんにしても・・・ジャズは本当に素晴らしい!

122 左の写真~2枚の12インチ盤。
左側が第1集(1956年)
右側が第2集(1957年)
追加1曲のeverything happens to meは、第2集のA面最後に収録されている。



下の写真~試みに第1集のジャケットを「反転」させてみると・・・なかなかいい写真が現われた! ベーシストにうんと近い位置で吹いている。ストーリーヴィルでの演奏中の写真なのだろうか?

Getz_roost_12inch_1_2

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コメント

bassさん、明けましておめでとうございます。

本当に更新してたんですね(笑)
いつもながらのbass節・・新年から堪能しました。レスを含め濃い内容に圧倒です。この調子で年に3回くらいは更新お願いします。楽しみにしてますので。

今年の白馬でお会いできればと思います。

投稿: パラゴン | 2014年1月 2日 (木) 09:21

guitar madness さん、初のコメントをありがとうございます。
ゲッツは、北欧・ヨーロッパでもうんと早い時期から大人気だったんでしょうね。というより、あの「ザ・サウンド」は米ではroost発売ですが、ピアノのベン・ハルベルクらとの8曲のオリジナルの録音はmetronomeだったわけですし。そういう意味でゲッツの北欧盤・欧州盤に興味が向うのは、ごく自然な流れでしょう。
僕の方は、しかし・・・「別ジャケット」には充分に惹かれるものがありますが・・・これ以上、物欲光線の量を増やすわけにはまいりません(笑)ここはグッとガマンして、ヨーロッパ盤(=別ジャケットの魅力:僕の中では)には、目を向けないようにしていく所存であります。

投稿: | 2013年3月17日 (日) 11:15

初コメです。楽しく読まさせて頂いています。今後共宜しくお願いします。
さて、ゲッツのストリービルライブはゲッツの傑作の一枚だと思っています。私は以前から別ジャケ(特にヨーロッパから出たもの)に興味を持って集めていましたが、最近フランス盤を手に入れたので紹介します。VOL1は白黒写真が印象的なアニバーサリーシリーズのvogue盤で番号は629・30。VOL2はゲッツがTSを吹く綺麗な写真を使ったジャケットが素晴らしいCIDレーベルで番号は42・001。前者は廃盤店でもよく見るので珍しくはないですが入手が難しい後者のvol2は最高のジャケットだと思います。別ジャケに興味のある方は是非チェックしてみて下さい。

投稿: guitar madness | 2013年3月 2日 (土) 19:13

bsさん、コメント、感謝です!そして、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
bsさんのHPと名古屋のジャズ喫茶~Day's訪問記、楽しく読んでます。一度、覚王山にも寄りたいものです。

ゲッツ”ボサノヴァ野郎”~
なるほどっ!(笑) そういえば・・・自分のジャズ聴き体験を思い起こしてみても、本記事に書いたように、ゲッツとの出会いはボサノヴァからでした。ただ、今、思えば、その「ボサ」が、カルロス・ジョビンのピアノとジョアンジルベルトのギター&歌、(歌の一部、アストラッド・ジルベルト)と、そこにゲッツのテナーという、最高のものだった・・・というのが、僕にとっては幸運だったのかな・・・と。
それからジャズ喫茶:グロッタのマスターが、時々、「古いゲッツ」を聴かせてくれて、それが1949年の prestigeセッションの音源だった・・・というわけです。
あのテナーの音色は~それを耽美的と言ってもいいでしょう(笑)~真に独創的なもので、1946~47年頃のsavoy音源でのゲッツの「デクスター・ゴードンみたいな音色」を聴くと・・・ゲッツと言えども、ごく初期においては、迷いはあった・・・そうして、ゲッツという人は、その後、徐々にあの音を「造り上げた」という感じがします。
bsさん、仰るように、ゲッツはキャリアの最後の作品(
ピアノのケニー・バロンとのデュオ)充分に美しい音楽を奏でてますね。people time とか好きです。時に背筋がゾオッとするような音色も発しますが、とにかく自分の「音楽」してます。それがどれだけ凄いことか・・・。

さあ、お互いにまた「レコード三昧」でいきましょう!(笑)

投稿: bassclef | 2013年1月12日 (土) 17:26

dukeさん、北の方はうんと寒いでしょうね。コメント、ありがとうございます。
ゲッツのことは、いつも書きたいと想ってたんですが・・・なかなかうまくいかず(笑) それでだいぶ前から好きなライブ演奏のレコードということで、そのstoryvilleライブののRoost 10インチ盤3枚が揃ったものですから、その記念に(笑)ということもありまして、入れ揚げた記事になりました。いつも表現がくどくてすんませんです(笑)
>聴かずとしてあの「ヒョロヒョロ~」が聴こえてくるではありませんか~
それはたぶんdukeさんがゲッツをいっぱい聴いているからこそ・・・の脳内再生でしょう(笑) でも嬉しいです。

ゲッツという人~ホントにどうして、あれほど素敵なフレーズがドンドンと湧いてくるのでしょうか? dukeさんが挙げられたdear old stockholm でも ボサ諸作でも、一節(ひとふし)吹けば・・・あれ、ゲッツがそこに!(笑) という感じですよね。
それこそ・・・真の個性というものでしょう。
楽譜で理論付け(しかもそれは後付け)されたフレーズをいくらなぞったところで・・・その人の個性・センスでもって、音楽の流れの中で瞬間的に生まれたであろう、「生き生き感」「鮮度感」は表出できませんよね。
そんな偉大な個性を生み出した・・・ジャズはやっぱり凄い!

投稿: bassclef | 2013年1月12日 (土) 17:08

こんばんは!
 
また、「レコード三昧」の一年が始まりましたね(笑)
bassclefさんの記事に触発され、今日はルーストの「ゲッツ三昧」でした。残念ながら、再発ものばかりです。
 

初めは「ボサノバ野郎」(失礼!)のイメージが強かったのですが、‘THE MASTER’(コロンビア)と聴き、「コイツ・・・・・」、‘VOYAGE’を聴き、「・・・・・やるなぁ~」と思い、時代を遡った次第です。

「初めは天才、後は・・・・・」が多い中、ゲッツは「天才に始まり、天才で終わる」、そんな気がしました。

投稿: bs | 2013年1月10日 (木) 20:41

bassclef さん、今年もよろしくお願いします。

久しぶりのアップだけあり煮詰まっておりますね。M54 さんがゲッツのプレイについての表現は絶品、と絶賛されておりましたが、聴かずとしてあの「ヒョロヒョロ~」が聴こえてくるではありませんか。私はボサノヴァのゲッツを最初にゲットしましたので、あとから聴いたヒョロヒョロ感の強いストーリヴィルは頼りっけがありませんでしたが、その音色からは想像できない殺気さえ漂う斬れるフレーズに戦慄したものです。

ゲッツは、ジャズの優れたミュージシャンの多くは黒人だが、白人の中にもそれにひけをとらない優れたミュージシャンがいて、僕もそのひとりだと思う、というようなことを語っておりました。この自信がストックホルムの民謡を吹いても独創的であり、ボサノヴァを演奏してもコマーシャルにならないのかもしれませんね。

投稿: duke | 2013年1月 9日 (水) 18:49

上不さん、ハービー・スチュアードのCD-R~貴重な資料音源、届きました。
ハービー・スチュアードを聴くのなら「いい音源」「いい音」で聴いてほしいのだよ~という上不さんの気迫のこもった素早い行動に驚きつつ、感謝です。本当にありがとうございました。
まずはじっくり聴かせていただきます。

印象に残ったものを少しだけ~4曲収録のEP盤(仏)の4曲(1950年、1951年のRoost録音)を何度か聴きました。1曲目の my last affair なる曲・・・これ、スローバラード風ですが、冒頭からスチュアードのしっとりした艶のある音色が、生々しく流れてきます。この音色とやさしい唄い口に・・・そう、瑞々しい色気みたいなものも感じます。奇を衒(てら)う感じのまったくない、すう~っと吹いているのだけど心に染み入ってくる・・・そんな感じ。素晴らしいですね。

SP音源の方は、時間を取れる時に気合を入れて聴いてみたいと思います。

投稿: bassclef | 2013年1月 9日 (水) 13:21

Getzが1951年、スウェーデンの放送局で残した一曲はHERSHEY BARでした。

投稿: 上不三雄(マシュマロレコード) | 2013年1月 7日 (月) 20:47

StewardのRoost 録音の再発、Spotlight盤は音が酷すぎます。また現在日本のAudioPark社からのCDは、コンピューターによるノイズ除去のため、美味しい音の部分が失われています。
そこで、手持ちのオリジナルSP(正しくは78回転盤)からCD-Rにコピーしてお送りしました。オリジナルRoost盤の他、SwedenのGazelle盤(SP)も併せてお送りしましたので、ご研究の一助になれば幸いです。
Getzは1951年Sweden楽旅の際、ストックホルムのラジオ局に招かれインタビューと演奏を一曲(SWEETIE PIE,テナー、ピアノ、ベースのトリオ、音も悪くない)残しましたが、インタビュー中「デビューしたての頃は特に気になるテナー奏者はいなかったが、暫くして、Lester,Parker,そしてStewardに心を惹かれた」と答えています。
またGetzはいつも演奏者に辛辣なコメントを残していますが(特に同業者のテナー奏者に)、Stewardについては「今までに聴いてきて最も人の声に近いサウンド」とStewardをほめちぎっています。
またHaigについては「Best accompanist in business}とたたえています。
Stewardの入ったSam SongsとAvaばんはどちらもあまり面白くない(双方、録音企画として、、、)と思いますので、Steward研究には適しておりません。
聴くなら初期のArty Shaw時代から50年代初期、中期のものが良いでしょう。
マシュマロ制作の4枚の中では、HERBIE'S HERE,ONE MORNING IN MAY,そしてSIR CHARLES THOMPSONとの一期一会の共演、とくにI SURRENDER DEARの演奏は聴かせます。

投稿: 上不三雄(マシュマロレコード) | 2013年1月 7日 (月) 20:42

上不さん、さっそくの再コメントをありがとうございます。
「想像・推測だけではダメだよ、もっと資料・文献の勉強を」~という厳しいご指摘・・・上不さんとは以前、お会いして2時間ほどいろいろジャズ話しをした折、上不さんのちょっとぶっきらぼうな言い方だけども、本当にジャズを愛している心根を充分に感じておりますので、それゆえの「お前もジャズが好きならもっと勉強しろ」という温かい叱咤激励・・・だと、こちらに都合よく解釈させていただきます。

Roostレーベルのことを、間違ってStoryville(というレーベル)と書いてしまいました。こちらもご指摘、感謝です。勘違いが多いもので(笑)

12インチvol.1の「ネガポジ反転」については~「vol.2が裏焼き」とまとめて繋げた僕の文章が拙くて誤解を招いたようですが、もちろんあれがRoostのミスとは思ってません。ただ、元の写真がとてもかっこいいのに、なぜそのような意図的な「ネガポジ反転」デザインにしたのかな・・・という素朴な疑問が湧いたわけです(笑) 
vol.2の「裏焼き」も、うっかりミスではなく、デザイン的にゲッツを左側に持ってきたかった・・・くらいのことかもしれません。これは「推測」ですから「かも」と書いておきますね(笑) 
「もうひとつ~」と書いたのは、Roostレーベルの内容についてではなく、その辺のデザイン的なものが僕の個人的な感覚ではちょっと残念・・・ということです。

Herbie StewardのRoost録音・・・これは未聴です。大阪のjojoさんという方のoriginal-jazzvilleというブログによると、英spotliteのAl HaigのLPに4曲収録とのことなので、ぜひそれを探してみます。
本当に上不さんが仰るように、まずは音源(音楽)を聴かねばいけませんね。

THE FOUR BROTHERS-TOGETHER AGAIN!については、本日、じっくり聴いてみましたが jojoさんも書かれているように、so blue はしっとりした音色と優しい唄い口・・・本当に素晴らしいですね。
Buddy ChildersのLiberty盤(Sam Songs)と、Avaの盤は、幸いにも持ってましたので、また聴たいと思います。
上不さん、こちらの方こそ、またいろいろと教えてください。

投稿: bassclef | 2013年1月 5日 (土) 23:24

Chuck StewartはHerman Leonardの(Storyville Vol.1の写真)の助手を務めた後、50年代中期から独立して、良い写真を数多く記録した(黒人!!)の写真家です。
いつも思うのですが、bass clefさんの記述は素晴らしいものが多いと思いますが、想像、邪推の域に留まり(夢見るレコードだからそれで十分と思いますが、、)事実とかけ離れた記述がたまに見受けられます。もちろん評論家ではないし、お仲間で楽しく盛り上がるブログですので、やかましいことは申しません。ただ今少し、文献、古い雑誌(Down Beat etc.)等を読んでいただければより事実に近い地点近づけるのでは、、と思います。Bass Clefさん程の良い耳、と感性をお持ちであれば今からでもぜひその分野にアプローチしていただければと思います。以前Wilbur WareについてのBill Crowの研究記事をお送りしたこともありましたね。
GetzとAl Cohnとの間のマウスピースについての確執などのエピソードも実に興味深い内容でした。
また文面からAl Haig については疎遠の印象を持ちましたが、これは意外でした。
GetzのStoryvilleにおけるセッションについては、私の大好きなTiny Kahnのディスコグラフィーをぜひ参考にしてください。
私もレコードのオリジナル云々、プレス云々にも興味はありますが、やはりそこに記録された演奏にまず興味がそそがれます。
Vol.1のネガポジ反転についてはRoost(Storyville レコードではありません!)別にうっかりミスではなく、間違いなくネガポジのデザインで、というRoostの意向です。まさか間違って反転写真を使うはずはありません。材質、そのほか、いくつか気になるところはあるものの私はRoostが好きですね。1950年にHerbie Stewardの録音を、しかも当時のParkerのリズムセクション、プラスJimmy Raneyの参加で制作したのはRoost Recordsの素晴らしさです。このセッションを聞かれたことがありますか?ジャズテナー奏者の中で最も繊細な2人、LesterとSteward(と私は考える)、は粋の極致と考えます。
どうぞこれからもいろいろ教えてください。

投稿: 上不三雄(マシュマロレコード) | 2013年1月 5日 (土) 21:37

上さん、コメントをありがとうございます。ゲッツの12インチ盤 storyville vol.1のジャケット写真の貴重な情報~この内容からすると、「上」さんとは・・・上不さんでしょうか。当時のジャズ現場の話し・・・いつもありがとうございます。とても興味深いです。
あのvol.1に写っているベーシストはトミー・ポッターとのことですので、実際のstorvilleでの演奏中(ベースはテディ・コティック)の写真ではないようですね。
ピアノのアル・ヘイグという人は、バップ期のちょっといいセッションにはたびたび名前が出てきますね。パーカーの西海岸ライブ「1945年ロータスランド」もたしかアル・ヘイグだったし。ゲッツのstoryvilleのレコードでのピアノを聴いても相当にモダンなスタイルですね。

storyville vol.2 12インチ盤のジャケット~本記事の一番下の方に写真を載せてありますが 「裏焼き」!
~あれ、ホントだ。赤や黄の丸い玉デザインに目を取られて気がつきませんでしたが、ゲッツの持ったテナー・・・右手がテナーの上の方に掛かってますね。これはあり得ない!(笑)(管楽器は全て、左手が上、右手が下ですからね) 写真家のチャック・ステュアート氏はモノクロのものでかっこいい写真がいっぱいありましたね。写真とジャケットのデザイナーとは別かもしれませんが、vol.1の「ネガポジ反転」、とこの「裏焼き」、それから音質なども含めて、レコード造りにおいては「ストーリーヴィル」というレーベル~
*訂正≪Roostというレーベル≫~
は、もうひとつ・・・という気がしないでもありません。内容はいいものがいっぱいなんですが。

Herbie Steward・・・手持ちはRCAのサージ・チャロフらとのものくらいです。また勉強しておきます。

投稿: bassclef | 2013年1月 5日 (土) 11:12

気合の入った内容、楽しめました。
Storyville Vol.1のジャケット写真は、この録音の一年前にBirdland(多分)で撮られたもので、べーシストはTommy Potter で、ここには映っていませんがGetzの手前にAl Haigがいます。私の持っている大型のポスターはこの写真の別テークですがそれにはHaigがはっきり映っており、またPotterも良く映っています。
一方Vol.2のほうはStoryvilleの録音から2,3年後に撮影されたもので(Chuck Stewartが撮影したものなので)、例のVerveの「飛行機」ジャケットの頃でしょう。写真が裏焼きになっているのが残念。
いつかGetzが心から尊敬していたHerbie Stewardを話題にしてください。リーダーアルバムがなければ、あるいは少なければ無視されそうですが、、、。

投稿: 上 | 2013年1月 3日 (木) 18:17

sigeくん、明けましてオメデトウ!お互いまた1年、永らえましたね(笑) 今年も出来得る限り、ジャズ聴きともちろんジャズ演奏に埋没・・・いや、邁進しましょう(笑)
コメントもthanksです! ジャズ聴きを始めると、どなたにもいろんなミュージシャンといろんな「出会い」があるわけですよね。最初に聴いたコルトレーンが「アセンション」だったとか・・・(笑) パーカーを聴かねば・・・ということでレコードを買ったら「52番街のチャーリー・パーカー」だったりとか(笑:これ、パーカー中でも特に音が悪いというもの)
ゲッツとの最初の出会いとしては、「ダイナスティ」は・・・う~ん・・・それはあまりいい出会いとは言えないでしょうね(笑)
というのはこれ~1971年録音で(つまりゲッツとしては低迷期と言えるかと思う)たしかベース奏者なしのオルガンとのバンドでしかも2枚組。15年くらいまえだったか・・・ようやく入手しましたが(ゲッツのレコードとしては録音年度からみて優先順位が低かったので) 聴いてがっかりした記憶があるのですよ(笑)
チック・コリアとのバンドは良かったですね。そのNHK-FM放送の正月番組(1973年か1974年かな)については・・・児山紀芳がDJで、僕もその頃ジャズ番組を熱心に聴いていたものだから、エアチェックもしました。その辺のことについても、1975年頃にたしか君と times lie はかっこいいねえ・・・などと話しをした記憶もあるなあ。このモントルーの実況録音は、その後、ポリドール発売(1977年)のStan Getz at Montreux(MPF 1112)というレコードになってますね。

what's new・・・うん、これは1949年のプレスティッジの「カルテット」だね。あの辺りは録音セッションで言うと、たいてい4曲づつの録音を2日間やって、片面4曲づつ8曲で一枚の10インチ盤~という構成が主だったようです。ゲッツの後のキャリアを知ってから遡って聴いていくと・・・この頃からゲッツの音色が、透き通ったような独特なものになっていたわけなんですね。
同日録音の他3曲~too marvelous for words, there's a small hotel, I've got you under my skin も本当に素晴らしいです。
なんとういうか、スタン・ゲッツが、自分の美意識というものを充分に判って、そうして(記事中にも書いたように)<自分に合う音色を創っていった~>そんな感じがしますね。
その音色はもちろん「甘ったるい」だけではなく、ちょっと聴くと、か細くてソフトな風だけれども、内にギュギュッと圧縮した芯のある音色だと思います。
残念ながら、12インチオリジナルのStan Getz Quartet は未入手ですが、2ndか3rdの同内容の12インチ盤(黄色NJ)、オリジナル10インチ盤、それと上記4曲入りのEP盤は手元にありますので、また今度、聴きましょう!

投稿: bassclef | 2013年1月 2日 (水) 20:50

67camperさん、また1年が経ちましたね、明けましておめでとうございます。元旦そうそうのコメントもありがとうです。
ゲッツの「ヒョロヒョロ~」・・・いやあ、記事にも書いてあるとおり、僕自身が最初に「初期ゲッツ」(1949年~1953年くらいのイメージ)を耳にした時、実際・・・「なんて弱々しいテナーなんだ」と思いましたよ(笑) それまでは、
<コルトレーンの、メタリックな美しさまで感じられる硬質な音色>。
<ロリンズの、豪快に鳴る(基本的にはコールマン・ホウキンスのタイプ)、しかし時には優しく鳴る、変幻自在な音色>
の2タイプしか耳にしていなくて、(レスターヤングも未聴に近い状態) そこへ ゲッツのprestige時代のバラードものを聴いたわけだから・・・なかなかその良さが判りませんでした。スローバラードは好きだったけど、それはコルトレーンスタイルのバラードに馴染んでしまっていて、今、思えば・・・古い録音のために、ゲッツのテナー音を「ショボイ音」(これは反省を込めて言うのだけど、オーディオ的にも)と感じた部分もあったと思います。
しかし、何度か聴くうちに、その「ヒョロヒョロ~」は、これはなんて「独自な歌い口」なんだろうと感じるようになり・・・verveのPlays(この時はもちろん12インチ、いや、CDだったか)で、決定的に「ゲッツの歌」に痺れまくったわけです(笑) 

好み・感じ方は、まったく、人それぞれのものです。例えば僕の場合は、今でも、ウエイン・ショーター(初期~いわゆる新主流派時期までも)という人をあまり好きになれません。音色と(たぶん)曲想、雰囲気・・・と肌が合わない・・・ということでしょう。
この辺は仕方ないですよね(笑) 

ゲッツのボサ以降~そうですね、どちらかというと、初期の「ヒョロヒョロ~繊細さ」よりも、普通に鳴らしている感じの音色に聞こえますね。
「サブトーン」については・・・これは僕もよく判ってません(笑)
ただ、「サブトーン」というのは、吹き方の技術的な面のひとつの状態のことですので、「サブトーンという一種類の音色」のことを指すのではありません。
レスターヤングにはもともとレスターヤング独自の「音色」があって、そのレスターがサブトーン主体で吹くと、僕らが耳にしている「レスターヤングのあの音色」になる・・・ということだと思います。
だから、ベン・ウエブスターがサブトーン気味で吹くと、あの「ベン・ウエブスターの音色」になる・・・と理解してます。

ゲッツについても、だから、「Roostの全てがサブトーン」とまでは思ってませんが・・・ゲッツは初期1949年~1953年くらい)においては、ほぼサブトーン主体で吹いている人であろう・・・と考えております。
余談ですが、ゲッツの最初期(1945年~1949年くらいのsavoy音源)~については、これがまったく「非サブトーン」なのです。savoy音源のいくつかを、知らずに聴いたら・・・まず10人が10人、ゲッツだとは思わないでしょう。そうですね・・・デクスター・ゴードンが風邪で調子悪いのかな?・・・みたいな感じでしょうか(笑)
それくらいゲッツのイメージとは「違う音色」です。この辺~記事中に書いた西条考之介氏:ジャズ批評に詳しいです。
ゲッツのsavoy音源、お持ちの方は、ぜひ聴いてみてください。あまりの「違い」に唖然としますよ(笑)

投稿: bassclef | 2013年1月 2日 (水) 11:10

yositakaくん、正月早々のコメントをありがとう! スタン・ゲッツをとても好きで、しかし<夢レコ>にはゲッツのこと・・・断片的には載せてきたけど、ゲッツだけをまとめてきたことがなかった。今回、Roostレーベルのゲッツの10インチ盤全7枚が揃ったので、まずはStoryvilleのライブ盤を!という気持ちになり・・・それで文章もだいぶ力んでしまったようです(笑) 
parker51を熟読、いや、熟聴していただいたようで恐縮です。

音質について~僕もこの「ストーリヴィル」は、まず1990年の東芝CD(vol.1&2 全13曲)で聴いてました。それから、米12インチ盤2枚~10インチ盤3枚~と元の音源へと辿っていったわけです。3種聴いてみた後で、今、再聴してみると、東芝CDの音質はとても聴きやすくていいバランス・音質にまとめてあると思います。オリジナルの10インチ盤に比べると、おそらくは・・・(オフ気味だった)ベースをやや増幅して、ドラムのシンバルなどややマイルドにしてあるように感じますが、聴いていて、いやな増幅感ではありません。
では、オリジナル盤はもっとうんと素晴らしいのか?と言うと・・・Roostというレーベルのものは大体が、カッティングレベルが低いようで、いわゆる「オリジナル盤の凄さ」は、あまりないようです(笑)  (prestigeやclef ,norgran では、もっとはっきりとオリジナルの良さが感じられる・・・ように思う)
12インチは僕の手持ち2枚はあまり良好とは言えませんし、10インチ盤も、(これは一般的にもですが)盤の材質不良もあってか、もちろん個体としてのコンディション不良もあって(笑)全体的にノイズ・チリパチが出ます。ドラムのシンバルなどもやや歪み気味かな?とう気がします。
ただゲッツのテナーの音色の・・・その輪郭がもう少しくっきりするというか、鮮度感みたいなものが、より感じられる(12インチ・CDに比べて)・・・そんな気がします。
またお聴かせしますね。

タイニー・カーンの素晴らしさについて~(書き忘れたことがあったので)もうひとつの急速調もの move について、少しだけ加筆しました。move でのドラマーの凄さもまた聴いてみてください。

投稿: bassclef | 2013年1月 2日 (水) 10:11

bassclefさん、あけましておめでとうございます。今か今かと待っていましたが、記事を読むことができ、やったーという感じです。余談ですが、僕は高1の時「ミッドナイトジャズレポート」でヴァーブの何かを、高1の終わりにNHkFMで『ダイナスティ』を聞いて、実はゲッツのことピンと来なかったんです。高2のお正月NHkFMで「モントルーのゲッツカルテット」(チックコリアとやったやつ)を聞き「すげえ、かっこいい」と聞きほれたんですが、大学時代プレスティジの「ホワッツニュー」を聞き、一発で痺れました。これかっゲッツって。この痺れ感覚、麻痺する感覚を知らずゲッツを語れない。そして嵌るとわかる、「汲めども尽きない、瞬時に浮かぶ陶酔と感能のメロディー」の美の創造者ってことを。(ここはbassclefさんの文章がすばらしい)
アットストーリービルから1954年あたりまでを、bassclefさんのご自宅で聞かせていただいています。痺れています。
 去年の暮れ、名古屋・本山に在る、とあるジャズ喫茶で「イギリス盤のプレスティジ・ホワッツニュー」を聞きました。オリジナル盤とは違うでしょうが、ヴァイタボックスから出てくる硬質の「サブトーン」(このブリルハート、ストリームラインのサブトーンは硬質な音がする)とともに、きりっとした「ホワッツニュー」を聞き、「ああ、ゲッツの音って甘ったるさだけじゃないんだ。」と再認識していました。今年もよろしくお願いします。

投稿: sige | 2013年1月 2日 (水) 02:30

bassclefさん,あけましておめでとうございます。暫く暖めた記事,やはり内容が濃いですね。ROOSTのゲッツ,10インチは一枚も所有していません(涙)。ストーリービルは12インチでは2枚に編集されているのでしょうか?自分は国内盤しか所有していないので10インチの
よさについては言及出来ませんが、自分も「ヒョロヒョロ~」がダメな口の一人です。むしろボサノバ以降のゲッツではこの「ヒョロヒョロ~」は影を潜めている感じがします。自分はボッサのゲッツから時代を逆行した聞き方でしたので,余計に「ヒョロヒョロ~」が耳についた感じがします。VERVE(clef, norgran)でもそんな感じは否めないですが,ROOSTほどではないですよね。
さてサブトーンってどんな音色???個人的にはベン・ウェブスターに聴かれるのが典型的なそれで、あのかすれ気味の音色こそがサブトーンと理解しておりました。ROOSTのゲッツが全てサブトーンと解釈するという切り口,とても勉強になりました。
今年も宜しくお願いいたします。

投稿: 67camper | 2013年1月 1日 (火) 21:03

bassclef君、あけましておめでとうございます。

ゲッツについて語る口調、全身全霊といった感じですね。これだけ力が入った文章になると、ブログ更新も大変なのがよくわかります。

>もう吹くのが楽しくて仕方ない・・・という風情で、迷いのない、そして見事に歌っているフレーズを次々と繰り出してくる…淀(よど)みのないフレージングときたら・・・それはもう、本当に生き生きとした音楽がそこに現われている

ゲッツの音楽を見事に言い表していますね。parker51、この記事を読みながら聞きました。もの凄いことをやっているのに、ゆとりある音色と軽やかさを少しも失っていない。驚くべき演奏だと思いました。
ただ音質は、個々の音をピックアップしたものではなく、少し離れた位置にマイクを置いて全体の響きを拾っている感じ。そのため音量を抑えている部分はちょっと拾いきれていない気がします。レイニーのギターやヘイグのピアノの音から、機材そのものは悪くないと感じました。CDで聞いての感想なので、10インチ音も聞いてみたいものです。

今年も楽しい音楽の時間を期待しています。

投稿: yositaka | 2013年1月 1日 (火) 20:31

denpouさん、コメントどうもです。そして明けましておめでとうございます。
ゲッツは、レーベルで分けると、roost時代の後はclef時代になりますね。記事で紹介した「ストーリーヴィルのライブ」は1951年10月の録音。clefでの初録音は1952年12月の12曲が2枚の10インチ盤~stan getz plays(MGC-137)とthe artistry of stan getz(MGC-143)として発売されたようです。
僕はこのClef初期のゲッツの音色もそれはもう好きで好きで(笑)

本記事ではStoryvilleライブの演奏面を激賞しましたが、レコードの音質としての話し(盤の材質とかも含めての)になると・・・Roostレーベルはあまり質が宜しくないようです。音に拘る方の間でも「Roost は音がいい」という声は聞いたことがありません(笑)
その点、グランツ氏のレーベルはレコード造りの質が高いので、Clefの方が音質も良いようです。そして「テナーの音色」についても、Clef、Norgran初期のゲッツも本当に素晴らしいです。
僕はRoostとClefのテナー音色の微妙な違いは・・・録音・マスタリング・レコード材質・プレス精度などの違いによるものかな・・・と思ってましたが、記事中に挙げた西条孝之介の「ゲッツのマウスピース」分析ではRoost時代(1951年まで)とClef時代(1952年から)で、使っているマウスピースが違う」ということになってました。この辺、ジャケットに写ったゲッツの写真などから判断しているようなので、実際の吹き込み時に「どんなマウスピースを使ったのか」という本当のところまでは誰にも判りません。また10インチ盤(少しでも当時の「音」の質感が残っているだろうから)を聴き込んでみたいと思います。

投稿: bassclef | 2013年1月 1日 (火) 18:52

M54さん、明けましておめでとうございます。そしてさっそくのコメントにもthanks a millionです。
ゲッツの407番をお持ちで、しかもさっそく聴いていただいたとのこと・・・嬉しいです。
10インチ盤片面の12分~15分くらいというのは、馴れるとこれがなかなかいいもので・・・どうやら僕はこの頃、音質も長さも10インチ盤の「時代」に馴染んできてしまったようです(笑)
昨日のオオツモゴにM54さんの<傷だらけのあいつ>を読みまして、モブレイのrememberつながりで、本日、僕の元旦のレコード聴きは、モンクの「サンフランシスコ」となりました(笑)
54さん、今年もよろしく!

投稿: bassclef | 2013年1月 1日 (火) 18:25

bassclefさん
 明けましておめでとうございます、本年も宜しくお願いします。
 久しぶりのブログですね、私はゲッツはCLefでroostはなかなかゲット出来てませんよ、欲しいんですが、また 杜できかせてください。

投稿: denpou | 2013年1月 1日 (火) 14:28

bassclefさん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。 いやーゲッツは良いですね~! 僕はこれ407だけは持ってました。昨夜はこれを早速聴きましたよ。 いやー飲みすぎてまして直ぐに眠ってしまったみたいでいやーいけませんねー10吋は直ぐ終わるのでやばいですね、今日また聴きなおします(笑)
50年代のゲッツを僕ももっと深堀したいと思ってます。

投稿: M54 | 2013年1月 1日 (火) 06:59

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