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2010年11月23日 (火)

<思いレコ 第18回>チェット・ベイカーのPacifc盤

チェット・ベイカー・・・抑制の美学

Dscn2508_10 チェット・ベイカー・・・この人のトランペットには独特な何かがある。その「何か」をどんな風に表現したらいいのか・・・音や音色のことを言葉で表わすのは、なかなか難しい。
例えば・・・あなたがある歌手なりミュージシャンを好きに(嫌いに)なったとする。音程がどうとかフレーズがどうとか言ったりもするが、聴き手にとっての好みというのは・・・突き詰めていけば「歌手の声質」であり「楽器の音色」に対する感覚的なものかと思う。では・・・演奏者にとっての好みというのはどんな風に現れるものだろうか・・・。

ジャズという音楽を色々と聴いてくると、トランペットという楽器からも実に色んな「音色」が発せられきたことが判ってくる。マイルス・デイヴィスの音色とクリフォード・ブラウンの音色は、やはり相当にその質感が違う。
ミュージシャンの発する「音色」というものは・・・やはりその人の感性や美学から生まれてくるものだと思う。
アドリブのフレーズとかタンギングとかの技術上・奏法上のことはある程度、分析的・後天的に造られていくものかもしれないが、その人が発する「音色」というものは、歌手の声と同じように先天的なもので、それは「その人であること」を決定づける根本だと思う。もちろんどの楽器の奏者の場合でも、その楽器を持った端(はな)からその「先天的音色」が出るはずもないが、その修練過程において、無意識にでも「あんな音、こんな音がいいなあ」と感じながら、その「音色」が創られていくものではないだろうか。そうして、チェットという人は・・・心底、己(おのれ)の感性、いや、もっと本能的・肉体的な意味での生理感覚だけで、トランペットという楽器をまったく自分の好きなように鳴らしている・・・そんな風に思えてならない。

チェットはトランペットを溌剌(はつらつ)とした感じでは吹かない。
チェットのトランペットは、いわゆる金管楽器に特有の輝かしいものではなく、くぐもった様に暗く低く・・・しかし妙に乾いた感触のある不思議な音色で鳴る。
チェットは音色だけでなくその語り口も独特だ。
フレーズはたいてい、のそ~っと始まり、戸惑ったように口を噤(つぐ)んだり、そうしてまた訥々(とつとつ)と語り始める・・・そんな風情だ。
スローものでは、いや、速めの曲でさえも、いつもどこか一歩引いた視点で吹いているように見える。
そうなのだ・・・この人は明らかにいつも「抑えて」吹いているのだ。
人が何かを訴えたい時に、声高(こわだか)に叫ぶよりも、逆に抑えた方がうんと説得力が増す・・・ということもあるように、チェット・ベイカーという人は、そんな「抑えた語り口の凄み」というものを、本能的に身に付けている稀なミュージシャンなのかもしれない。
そんな独特な音色と語り口でもって、チェットという人は己(おのれ)を語るわけだが、その音(サウンド全体)から醸し出される情感の漂い方が、これまた尋常ではない。あの「寂しさ」や「けだるさ」・・・あんな風に直截に鋭く深く「ある情感」を感じさせる「音」というものもめったにないだろう。
そしてその「音」は、フィーリングの合う聴き手には、どうしようもないほど素晴らしい。

僕はチェットのスローバラードをどれも好きなのだが、特にこれは・・・と思うものをいくつか挙げてみたい。後期のものはあまり聴いてないので、どうしても初期の作品からのセレクトになってしまう。Dscn2507_2
《チェットの最初のリーダーアルバムとなった10インチ盤/Pacific PJLP-3。チェットのトランペットの斜め下向き、なぜか切り取ってしまった背中の真っ直ぐライン、それらが水色と黒の中に見事にデザインされていて・・・実に素晴らしい。この写真では判別しづらいがセンターラベルは<艶あり>で、裏ジャケ下の住所はSANTA MONICAとなっている。この10インチ盤では imagination というスローバラードが秀逸だ》

キング発売の「チェット・ベイカー・カルテット」第1集・第2集(キング18P~の1800円定価のもの)を、発売当時に入手し損ねた僕は、その後もあの水色のジャケットが欲しくて仕方なかったDscn2519_2
たまに中古盤屋で見つけても、そのキング盤は5000円以上の値段で我慢せざるを得なかった(笑)
だいぶ後になってから東芝が発売した「コレクターズLPシリーズ from オリジナル10インチ」なるシリーズで、ようやくその音を聴くことができた。このシリーズは元々の10インチ盤のジャケットをそのまま12インチに引き伸ばしたものだが、それでも、オリジナル10インチ盤の素晴らしいデザインと「同じもの」が見られるだけで、僕は充分にうれしかった。
そうしてようやく、その「本物の水色ジャケット」の10インチ盤を手に入れることができた。東芝12インチ盤と並べてみると・・・やっぱりこのジャケットは10インチの方が収まりがいいようだ(笑)

その「カルテット第2集:featuring ラス・フリーマン」にmoon loveという曲が収められている。ラベルのクレジットには kern-grossmith-wodehouse とクレジットされており、東芝盤解説では『ジェローム・カーンが作曲したもので~』という岩波洋三氏の解説もあるが、これ、元々はクラシックの曲で、それはどうやらチャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章からの引用らしい。
というのも・・・先日、サックス吹きの友人sige君とグロッタ(ジャズ喫茶)にてジャズ話しなどしていると、ちょうどこのチェットのmoon loveが掛かったのだが・・・「このチェット、いいだろう」と僕が言うと「あれ?・・・何でチャイコフスキーが・・・」とsige君。そういえば彼はクラシックにも詳しいのだ。
そうか・・・この曲の元メロディは、チャイコフスキーだったのか。それにしても、本当にいいメロディじゃないか・・・。
このメロディがチェットのあの音色でもって流れてくると・・・なんとも内省的な思いに沈み込んでいくような風情がある。それは・・・寂しさだけでなく、仄(ほの)かに希望を感じさせるような・・・そう、哀しいのだけど微(かす)かに微笑んでしまう・・・そんな雰囲気だ。それを「ペイソス」と呼んでもいいのかもしれない。う~ん・・・やっぱり、チェットはいいなあ・・・(笑)

moon loveという曲は、うんと初期のpacific録音。
《ついに手にいれたオリジナル10インチ盤 Pacific PJLP-6》Dscn2505_2

この10インチ盤にもジャケット違いが存在する。カラーとモノクロだ。Dscn2517 そして・・・そのカラー盤にも2種類あるかも。
この10インチ盤写真の「黄土色っぽいもの」と「セピア色っぽいもの」の2種があるようだ。
(東芝12インチ再発盤は、そのセピア色盤が出自かも)
僕もオリジナル10インチ盤の現物2種を並べて確認したことはなく、ネット上での写真による比較なので、絶対とは言えない。  

《PJLP-6の裏ジャケット》

Dscn2506_2 この10インチ盤の収録8曲は、もちろん全てインストなのに、なぜかsings~の時の写真が使われている。それともこのセッションの合間に歌の練習でもしていたのだろうか(笑)


そういえばリチャード・ツアージックというピアノ弾きが気になっている。だいぶ前にこのブログでチラッと触れたPianists Galore!(world pacifc) に入っていた1曲(Bess,you is my woman)~あの普通ではない暗さがどうにも気になったのである。
そしてその頃、ちょっと珍しい日本盤2枚組みを入手した。
《チェット・ベイカー・イン・パリ》         

Dscn2513_4 この2枚組は日本ポリドール発売。ラベルが白いテスト盤のようだが、この2枚組の何曲かがチェットとツワージックの共演セッション。僕はこのLPで 初めて sad walk という曲を聴いたのだが、これがまたそのタイトルそのままに、なんとも寂しい・・・どうにも寂しい雰囲気なのだ。たぶん・・・ツアージックがチェットのために書いた曲なんだろう。というより・・・いつも耳にしているチェットのトランペットのサウンドがツアージックの耳に、身体に沁み込んでしまって、そうして,じわじわとこの寂しいメロディが湧きだしてきた・・・そんな気になってしまうほど、この曲はチェットに合っている。
この2枚組LPを聴いて、しばらくの後、香港でCD(仏polydor)を見つけた。そのCDには、チェット~ツアージックのセッション全9曲が収録されていた。ホントは・・・CDなんかじゃなく、仏Barcleyのオリジナル盤が欲しい・・・(笑)

チェットのPacifc10インチ盤は、PJLP-3、PJLP-6の他にもいくつか出てます。その辺りはまたの機会に。

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コメント

三式さん、ご丁寧な返信、どうもです。
それほど「相当な違い」ということでもないと思うのですが・・・この二つの曲から受ける印象がまったく別種なものに感じていたので、相当、驚いたことは事実です。三式さんの提示にはいつもハッとさせらてますから(笑)

僕の拙(つたな)い説明ではピンとこないかと思われますが、簡単にまとめると~

≪milestonesのサビ部分とThe Lamp Is Lowの出だしの部分で、コード(ハーモニーの感じ)とメロディ(シから始まる音)から受けるハーモニーの感じが似ているようにも思える≫ということです。
この辺・・・モード理論とコード解釈に詳しい方の感想を待ちましょう。

投稿: bassclef | 2011年3月11日 (金) 22:42

bassclef さん、懇切丁寧なご返答いただき感謝です。
ご返答の内容からしても相当な違いがあるようですね。
とんだ戯言にお付き合い戴きありがとうございました。
これに懲りずによろしくです!

投稿: 三式 | 2011年3月11日 (金) 02:42

三式さん、古い記事へのコメント、どうもです。
the lamp is low なる曲については、どうやら版権問題が理由で新録音がされなくなった・・・そしてある年代からその版権が消失してまた新録音がOKになった~ということまで、ようやく判ったという流れでした。

さて、三式さんが提議されたマイルスのmilestones と lamp is low という曲は、よく似ているのでは? という疑問についてですが・・・私:bassclefはウッドベースを触ってはいますが、特に音楽理論に詳しい方ではありませんので、ここから先は、まったくbassclefの私見ということになりますが・・・ぱっと思い出す印象ではそういった印象は、あまりないのです。

ただ・・・ひょっとしたら、と思う部分もないわけでなく、それを以下に~
版権問題云々(うんぬん)の時に、友人sige君が提供してくれたthe lamp is lowの譜面が手元にあったので、(それを見てみました。
そういえば、いろんな「ジャズ曲集」の譜面本にも、lamp is lowは収録されてないようで・・・そこにも「版権問題」が影を落としている・・・という感じがします)
さて、その譜面によると~(簡略したコードで書くと)
キー(調性)はGのようで、曲の出だしの8小節のコード進行は~
Am7 Am7 D7 D7 G△7C9 Bm7 E7 という感じです。

milestoneの譜面~手元にないのですが、あの曲は「モード」理論によるものとされていて、よくある表現は~出だしの6小節が
<Cのミクソリディアン>か何かの「モード」で(これ、自信なし)次の2小節にが F△7となっている・・・と思います(キーは、便宜上、Fとします)
で、この<Cの~モード>の部分は・・・どう聴いても、lamp is lowと似ている感じはしません。
(キー(調性)を合わせたとしても)
曲全体のイメージもあまりにも違うので「酷似」という点はほとんどない・・・と思うのですが、そういえば「あれ?」と思える点があって、それは、milestonesの「サビ」のメロディとそのコード(サウンド)です。
あの「サビ」はモードでは~
Aエオリアンか(Eフリシアンかな?これも自信なし:笑)そのサビの部分のメロディ~「シ」の音から始まる辺りの感じが~ちょっと、lamp is lowの、先ほどの出だしの部分~Am7 Am7の時に「シ」から始まるメロディと、そういえば・・・ちょっと似ているかなという感じはしますね。Aエオリアンというモードを大雑把にコード解釈すればAm7にも似ているし。

だから三式さんが「似ている」と感じた部分は・・・ここかもしれません。milestoneのあの、途中から(サビ)ちょっと雰囲気が変わるエキゾチックというかイスラムっぽいというか・・・あのメロディの「感じ」と(そのバックに流れるコードのサウンド)the lamp is low のフワ~ッと宙に浮いたようなメロディ(とサウンド)に類似を感じたのかもしれませんね。
ただ、その類似性と、milestones以降にthe lamp is lowの新録音減少は無関係かと思います。
*モードの解説の部分は・・・違ってるかもしれません。よろしく~です。

投稿: bassclef | 2011年3月 9日 (水) 23:17

こんばんは、今ごろ古いネタを蒸し返すようで恐縮なのですが、bassclefさんは音楽の理論についてお詳しそうなので敢えてお尋ねしたいのです。この「The Lamp is Low」という曲は1960代以降、極端に演奏されることが少なくなりましたね。版権とか諸事情によって・・・。話はMiles Davisが名作「Milestones」を録音した1958年に戻りますが、この年以降、「The Lamp is Low」の録音が減っているような気がするのです。音楽理論に全く疎い僕の素人考えでお恥ずかしいのですが、この名作「Milestones」のコード進行が「The Lamp is Low」のコード進行と酷似しているように思いますがbassclefさんはどう思われますか。

投稿: 三式 | 2011年3月 8日 (火) 00:18

ああ、azuminoさん、拙ブログへもコメントをありがとうございます。こちらのコメント欄やりとりにおいて「the lamp is lowの版権問題」が浮上してきて、僕が何かで読んだ記憶として・・・『ラヴェルの遺族がこのthe lamp is lowという曲を訴えた~』ということを書いたのですが、その辺の経緯が曖昧なままでした。そこへ・・・azuminoさんのブログに「ドリス・デイ/Day By Night記事」を発見した・・・というわけです。勝手にこちらのコメントにアドレスリンクしてしまいましたが、快諾していただいたようでありがたいです(笑)
ドリス・デイのこのアルバム(米盤)を僕も持っていたのですが、B面最後のthe lamp is low のことまでは覚えてませんでした。少し前に、友人sige君が「ドリス・デイのthe lamp is lowもしっとりしていていいよ」と教えてくれたのに(笑)

版権問題・・・当時から現代まで(著作権のJASRAC)いろんなトラブルや困ったことが起きてるみたいですね。実際、CD録音時だけでなく、現在営業中のジャズ喫茶やライブハウスにおいても、CDやレコードを掛けたり、あるいはライブの場で「スタンダードソング」を歌ったり、演奏したりするという行為に著作権料を徴収するらしいですね。その取り方が、実際の経営状態とは関係なく、大雑把にそのお店のキャパ(席数)を計算して、掛けた(演奏した)曲数に掛け算するらしく・・・ひどいと言えばひどいですね。
ああ・・・話しが脱線しました(笑)まあでも、いろんな所でいいメロディのスタンダードソングが掛かったり、演奏されたりすることで、さらにその曲が廃(すた)れずに、世に広まっていく・・・という実際的効果も絶対にあるわけで・・・しかし一方で、ある種の発明に対してのパテント料というのも、それは保証されるべきで・・・。難しいですね、この問題は。

件(くだん)の the lamp is low は、実は、現在では法的措置が解けているようで、そのことについては、友人sige君がこう教えてくれました。
《今回、調べていく過程で、JASRACのこんなPDFを見つけました。http://www.jasrac.or.jp/license/guide.pdf
この録音禁止著作物一覧には、「The Lamp is Low」は「1998/7/30 以降 録音禁止解除」と記されています》
~というわけなので、現在では録音しようと思えばできるのかな。それにしてはこの曲の「新録音」もあまりないような・・・。ちなみに僕が一番好きなthe lamp is lowは・・・実はチェットのではなく、ゲイリー・マクファーランドのVerve盤(Samba Strings)です。全編、ユルユルです(笑) これもsige君が「聴いてみたい」と言ってましたが、なぜかちょうど持っているのですよ(笑)

投稿: bassclef | 2010年12月31日 (金) 23:18

こんばんは

長野のazuminoです。拙ブログへの投稿、またご紹介ありがとうございます。チェットの話題から「The Lamp is Low」へと展開する幅の広さに驚いています。

チェットについては、かつて若いころのハンサムぶりに、ジェームス・ディーン(当然映画上のですけど)の印象を重ねていました。刹那的とか、デカダンス(古いですね)、反抗とかいうものですが、チェットの若いころの演奏は生気にあふれています。表現方法が落ち着いた、彼なりきの奏法だったということだろうと思います。レコードは日本盤ですが、かなり集めたのですが、CDへの切り替えなどで売却したものが多く、持っていればよかったと反省することしきりです。まとまらずすみません。

投稿: azumino | 2010年12月31日 (金) 22:36

三式さん、瀬谷さん、こんばんわ。こんな年の瀬に再びのコメントをいただき感謝です。
前回の情報でどうやら・・・チェット・ベイカーの1954年録音のthe lamp is low という曲に纏(まつ)わる話し~原メロディのラヴェル側からの抗議があり、その後<新録音が許されない>事情があったことが判りました。
そのthe lamp is low 問題について具体的な例として取り上げられたブログがありました。それは長野のazuminoさんの素敵なブログ<お気楽ジャズ・ファンの雑記帳>のドリスデイDAY BY NIGHTという記事です。azuminoさんは以前に<夢レコ>にもコメントをくれた方でこちらからコメントしたこともあったと思います。ひょっとしたらazuminoさんがこの<夢レコ>を見て助け舟を出してくれたのかもしれません。special thanks to Mr.azuminoさん!
それによれば、ドリスのDay By Nightの「日本盤の解説」に、the lamp is low についての具体的な話しが書いてあるとのこと。興味ある方、ぜひその記事をご覧ください。アドレスはこちら~http://jazzvo.blog.ocn.ne.jp/blog/2010/12/day_by_night_f1.html

さて・・・Dizzy Meets Kern。こちらも瀬谷さんお持ちの1946年のSP(12インチ2枚組)と三式さんの情報から~作曲家側からの抗議でそのレコード自体が回収された~という経緯があった・・・らしい、ということまで判りました。
1曲単位とSPアルバム単位という違いはありますが、the lamp is low問題とと同質のケースかと思います。たぶん・・・当時は「作曲家」側のステイタスが高かったというか・・・権威主義があったんでしょうね。逆に言えば・・・「ジャズ? あんな品のない音楽なんて・・・」という感じだったのかもしれませんね。

このDizzy Meets Kern~友人のsige君も興味津々らしく、いろいろ検索して調べてくれたらしい。そうして、米サイトのJAZZ CORNER というのに関連情報があるよ、と教えてくれた。そのサイトは、どうやらジャズ関連の掲示板のような内容のようです。こちらも興味のある方、どうぞ~。
http://speakeasy.jazzcorner.com/speakeasy/showthread.php?t=12590

そのトピックスによると~
<父親から譲り受けた古いSPセット(Dizzy Meets Kern)を持っているのだが、それがどんなものなのか、どんな価値があるのかまったく判らない・・・誰か教えておくれ>という質問に始まり、いくつかあった反応のひとつに~
ドイツのbichoというIDの人からの
[カーン財団から猛烈な抗議があってそのレコードはアッという間に回収された(The four tracks were duly issued by paramount but were rapidly withdrawn in the face of vehement objections by the kern estate)]みたいな答えがあって・・・この辺は、すでに瀬谷さんからの情報で大体の経緯は判明していたわけですが、どんな『抗議』なのかは、イマイチ判りません。カーン作曲のメロディに対する敬意が感じられない・・・というようなことなのかな。なんとなく・・・こちらも「ジャズという音楽への軽視・敵視」みたいな感情があったのかな・・・と邪推してしまう僕です(笑)
たぶんbicho氏の反応も、おそらく瀬谷さんの仰る「本」が元ネタだと思います。
いずれにしても、Dizzy Meets Kernの4曲は、そういう法的な問題により発売後すぐに回収されてしまった・・・かわいそうな音源だったようですね。そんなわけで、そのSP2枚組は回収前に手に入れた方しか持っていないわけで・・・その掲示板への投稿にも「本当に貴重なものをお持ちですね」みたいな反応もありました。もっとも、そんな「回収騒ぎ」がなかったとしても、SP盤の世界には、その後の10インチ、12インチ、CD に未収録の音源は、それはもうワンサカあるんでしょうね・・・怖ろしい世界だと思います(笑)
そういえば・・・そのHPの反応の中にひとつ嬉しい情報がありました。その音源の再発がどうやらあったようで、それは~
米再発専門(?)のレーベル、Phoenixから出た<Phoenix LP-4>という番号らしい。それで検索したところ、タイトルが判りましたのでお知らせしますね。
Dizzy's Delight(Phoenix LP-4)というタイトルのようです。
・・・とここまで判ったところで、改めて三式さんコメントのデータを見たら・・・曲名の後に、ちゃんとPhoenix LP-4という表記もありました(笑)それによると・・・4曲の内、2曲だけ収録かもしれませんね。
いずれにしても、ただでさえあまり人気のない(廃盤レコード盤として)ガレスピーの1945年のSP音源にまで興味を持つ方も、そんなにはいないでしょうね。僕は・・・いや、ちょっとは聴いてみたいですけど・・・phoenix盤がお気軽価格で見つかったら考えます(笑)

投稿: bassclef | 2010年12月31日 (金) 18:32

bassclefさん、三式さん、こんにちは。
三式さん、コメントありがとうございます。三式さんの推測通り、カーン側に何やら気に入らないことがあったのでしょうね。

また、データも載せていただきありがとうございます。
Dizzy Meets Kern の追補になりますが、パラマウントという(あの20年代のパラマウントとは関係がありません)SPアルバムのライナーを読むと、15人ではなく、16人編成のようです。そしてレーベルは白のままではなく、赤が印象的なレーベルです。
また、メンバーに関しては間違ったディスコグラフィが多いようですので、正しい情報を載せておきます。

Dizzy Meets Kern (Paramount A-1) 12inch-SP×2 Album
Dizzy Gillespie(tp) Al Haig(p) Ray Brown(b) Roy Hall(d) Johnny Richards(arr) + 6 Strings, 4 Woodwinds, a harp, a French horn

ストリングスなど、ジャズ・ミュージシャン以外は、1940年代中頃のロサンゼルス交響楽団、NBC と CBS のスタッフ・オーケストラ、映画スタジオ・オーケストラの中からベストの人選をしたと書かれています。


私のSPアルバムは、どうみても46年に発売された市販品です。白レーベル(テスト盤?)の時点でクレームなら市販されてないはずです。しかし、本では回収されて店頭から消えたとなっています。ここいら辺がすっきりしませんね。

投稿: 瀬谷 | 2010年12月29日 (水) 14:17

bassclefさん、こんばんは。

瀬谷さんが指摘されてるのはおそらく

Dizzy Gillespie With Johnny Richards Orchestra
Dizzy Gillespie (tp) Al Haig (p) Ray Brown (b) possible Roy Porter, unknown (d) Johnny Richards (arr) frh, fl, 8 violins, 3? violas, 3 violoncellos, 2 contrabass, harp
Los Angeles, CA, January-February, 1946
PAR-101-A Pt. 1: Way You Look Tonight Paramount 101; Phoenix LP 4
PAR-101-B Pt. 2: Why Do I Love You? -
PAR-102-A Pt. 3: Who? Paramount 102; Phoenix LP 4
PAR-102-B Pt. 4: All The Things You Are

のことではないか思うのです。

このセッションは1946年の1月~2月にかけて行われたもので、この2ヶ月ほど前にジェロームカーンが急死してるのです。これは僕の推測の域を出ないのですが演奏の内容がどうこういうのではなくて、カーン追悼の意味で出されたのかどうか分かりませんが何か事情があってカーンの関係者には気にいらなかったのではないでしょうか?

勝手な推測で申し訳ないです。違ってたらスミマセン(汗)。

投稿: 三式 | 2010年12月29日 (水) 01:23

瀬谷さん、コメントありがとうございます。ガレスピーとジョニー・リチャーズというと・・・そういえば微かな記憶があり、あまり持ってないガレスピーのレコードを探ると・・・それは、同じジョニー・リチャーズのオーケストラとの共演ではありましたが、普通のSavoy盤米再発もので(原盤はdiscoveryとのこと)タイトルはThe Dizzy Gillespie Storyというやつでした。
そのガレスピーのジョニーリチャーズとの共演は8曲(alone together, on the Alamo, what is there to say,など)おそらく片面4曲づづの10インチ盤(discovery)がオリジナル音源でしょう。
そのSavoy盤を聴いてみると・・・瀬谷さんが「カーン」音源を聴いての印象と同じく・・・、こちらでもガレスピーが意外におとなしい(笑)すぐはしゃいだようにワイルドに吹くガレスピーが、全編、丁寧に「決められたような」メロディを吹いてます。そうですね・・・明るいブルー・ミチェルみたいな感じかな。これも案外・・・いいじゃないか(笑)
*こちらの8曲の中に”Interlude in C”なるタイトルの曲があって、それを聴いたら・・・ラフマニノフの有名な曲のテーマ(曲名は・・・たぶんピアノ協奏曲の~番か・・・よく耳にするあのフレーズです)そのまま!てのがありました(笑)
やっぱり、こういう「引用」は、この時代の「流行(はやり)」だったんですね。

瀬谷さんご紹介のDizzy Meets KernはSP盤(しかも12インチ)ということで片面2曲づつの4曲収録とのこと。ジェロームカーンというと・・・<all the things you are、煙が目に沁みる>など浮かんできます。カーンは格調高い雰囲気の作曲家ですが、その「格調」にバップエイジの「ワイルドなバップ」をぶっつけて・・・という狙いだったのかな。いずれにしても、当時としては予算もかかった、とても意欲的なプロデュースだったのでしょうね。
曲目も載ってない白レーベルのようですが・・・テスト盤みたいなものだったんでしょうか。どのレーベル(レコード会社)でしょうか?
ジェローム・カーン側からのアピールで「回収」されたとあっては、正式発売はおろか後の編集12インチ収録、CD収録もないのでしょうね。
それにしても<ラヴィルのpavane→the lamp is law>も含めて、当時というのは、たぶん、クラシック側や職業作曲家が自分たちの「財産」を守ろう!という意識が強まった(始まった?)時代だったのかもしれませんね。
瀬谷さん、またいろいろと教えてください。

投稿: bassclef | 2010年12月28日 (火) 20:12

"時代"が大いに関係したのでしょうね。
少し、例が違うかも知れませんが、ディジー・ガレスピーが1946年1月or2月に吹き込んだDizzy Meets Kern という12インチSPアルバムがあります。モダン派による最初のウィズ・ストリングスで、ガレスピーがジェローム・カーンの作品4曲を取り上げたものです。

昭和52年にスイング・ジャーナル社から発刊された「ジャズの歴史」粟村政昭著でこの経緯が紹介されています。
粟村氏の文章を要約すると次のようになります。
… この時にバックを努めたのはジョニー・リチャーズの指揮する15人編成のバンドで、曲目記載のない白レーベルのまま売り出された2枚のSP盤は、「ガレスピーの解釈が、原曲の内容を著しく損ねている」という故ジェローム・カーン側のアピールによって回収され、店頭から姿を消した。

私は長い間、クレームが付き、回収されるくらいなので超前衛的な演奏だろうと思っていました。
ところが実際聴いてみると、原曲をちゃんと吹いているし、ジェローム・カーン側がアピールするとは考えられないほど普通の演奏です。
これは今聴いての感想かもしれませんが、"時代"を感じずにはいられません。また、意地の悪い見方をすれば、ジェローム・カーンはASCAP の設立者のひとりです。カーン側がなんらかの圧力をかけた? なんて思ってしまいますね。

投稿: 瀬谷 | 2010年12月25日 (土) 14:26

瀬谷さん、三式さん、
コメントをありがとうございます。
the lamp is low・・・いろいろと曰(いわ)くある曲のようですね。
瀬谷さんコメントにあるように、《ラヴェルのパヴァーヌ(亡き王女のための~)にインスピレーションを受けて》という表現のとおり、似ているのはメロディの初めの箇所しばらくだけで、後はちょっと別の曲調のようです。だから・・・ピーター・デローズとバート・シェフターがラベル原曲を1曲まるごとパクッたということではないようですね。1930~1940頃には、他にもクラシックのメロディを拝借してポピュラーのスタンダード曲として(しかもそれがヒットした)例がいくつもあるようだし(moon love、my reverie、stranger in paradiseなど)まあ、そういう流行(はやり)のひとつだったんでしょう。

ただ、三式さんが再び疑問コメントされた
《でもどうしてベイカーの国内盤をPAVANEにしたんでしょうね?》~
これについてはまだはっきりしませんね。この件について友人のsige君もちょっと調べてくれたようで、その中に「ラベルの遺族が起こした版権問題」(これは僕がそんなような記述を読んだ記憶がある・・・というレベルです)に関連してきそうな情報がありましたので、以下に紹介させてください。
以下《 ~ 》はsige君コメント~
《さて「The Lamp is Low」の版権問題ですが~今回、調べていく過程で、JASRACのこんなPDFを見つけました。
http://www.jasrac.or.jp/license/guide.pdf
この、3 録音禁止著作物一覧には、「The Lamp is Low」は「1998/7/30 以降 録音禁止解除」と記されています~
手元の全音『スタンダードジャズのすべて』にも収録されていないし~》

*このJASRAC情報によれば・・・The Lamp Is Lowというスタンダード曲は、一度は「録音禁止」という法的措置を受けていたのは間違いないようですね。僕は「曲名クレジットできない」という意味だと思ってましたが、新録音禁止ということは、ある時期からのレコード・CDには、新録音としてのこの曲は収録できないわけで、結果的には、The Lamp Is Lowなるタイトルも、新しくは世に出てこれない~ということになったのかもしれません。そうして、その「時期」にも期限があったようで・・・それがどうやらこの「1998年に録音禁止解除」なんでしょうか。(*訴訟があったと仮定して、たぶんその年度が例えば1958年とかで以後40年間は新録音禁止・・・というようなことだったのかもしれませんね)
上記のような流れを踏まえての推測ですが~
版権問題に敏感な各レコード会社さんは、新録音ではないにしても何かと問題になりそうな 「The Lamp Is Low」(1953年録音)の扱いに慎重になった結果・・・東芝盤[Chet Baker Quartet]では、B面1曲目に収録されていたこのThe Lamp Is Low を Pavaneなるタイトルに変えておいた・・・というようなことではないでしょうか。
なお、その東芝盤の発売は 1997年12月 のようです。

投稿: bassclef | 2010年12月25日 (土) 10:13

そら来た、北のdukeさん!
dukeさんのブログ(右側にリンクしてある『デュークアドリブ帖』)には、これはもう本当にジャズ好きで、それ故にジャズに詳しいジャズ者が渾身のコメントを引っさげて集ってますね。この頃は、南のDukeさん(ニイノニーノさん)とのお仲間である、M54さんも参戦してましてこちらも負けずにいいレコード・CDのコメントを入れなければ(笑)

dukeさんブログでは、毎週、取り上げるスタンダード曲の名演・好きなレコードをいつくも知ること・再確認することができて毎回、実に楽しみです。今回のdukeさんのお題は~just friends ですね。
今回、僕は番外編として「映像」(ウイントン・マルサリス)を紹介させてもらいました。ほとんど聴かないウイントンなんですが・・・このライブjuat friendsは気に入りました。ウイントンって、こんな風にも吹けるんだねえ・・・でもそれもただ器用」とは済まされないくらい、この曲・この演奏にノッてます。自然なジャズのビート、リラクゼーションを感じます。ベースは中村健吾。よく歌ういいベース弾きだと思います。ついでにこちらにもそのyoutubeのアドレスを付けます。みなさん、ご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=-RHuG7Sqt5w

投稿: bassclef | 2010年12月25日 (土) 09:42

瀬谷さん、こんばんは。
The Lamp Is Lowの情報ありがとうございます。
そういうことだったんですね。
でもどうしてベイカーの国内盤をPAVANEにしたんでしょうね?

大体PAVANEって16~17世紀の宮廷舞踊のことをいうみたいですね。
PAVANEに関してはほかにもガブリエル・フォーレのPAVANEというのがあって、
これもBill Evans Trioとシンフォニー・オーケストラ(Verve)の中で演奏されてますし、
Stan Getz もストリングスと組んで演ってますね。
それに変わったところでは40年くらい前にブームになった日本のグループ・サウンズに
テンプターズというグループがいましたが彼らのヒット曲「エメラルドの伝説」がガブリエル・フォーレのPAVANEにそっくりでした。

bassclef さん、勝手に上がりこんでスミマセン(汗)

投稿: 三式 | 2010年12月25日 (土) 00:59

The Lamp Is Low (1939) は、ラヴェルのパヴァーヌにインスピレーションを受けてピーター・デローズとバート・シェフターが共作したものにパリッシュが歌詞をつけたもので、本来ならラヴェルはクレジットから外してもよいかな? とも思います。
逆にパヴァーヌの方はラヴェルだけの方がすっきりすると思うのですが…。

なお、共作のバート・シェフターは1937年にユニークなジャズも録音しています。クラシックの素養があるようでChopin's Ghost などという曲もあります。この曲には、もう一つのパヴァーヌで紹介したヴィブラフォンのエイドリアン・ロリーニも参加しています。
なんか繋がっていますね。面白いです。

投稿: 瀬谷 | 2010年12月24日 (金) 18:26

bassclef さん、こんばんは。

ジャズギャグを展開する拙ブログを宣伝いただきありがとうございます。

67camper さん

>人は老いるものですが,やせてしわくちゃになったチェットはみたくなかった

同感です。憧れのマドンナの姿を見て、同窓会に来るべきではなかった、そんな感じでしょうか。美貌のまま姿を消したグレタ・ガルボや原節子のような「美」の美学が似合うベイカーです。

投稿: duke | 2010年12月23日 (木) 23:30

ああ、三式さん。久々の更新記事にまたコメントを頂き、ありがとうございます。
チェットの「はつらつハードバップ」・・・たぶん三式さんのイメージした作品は~
「Quartet」(pacific 1956年)[イラストの真っ赤なジャケット]
や「チェットベイカー&クルー」、それから、
In NewYork(riverside1958年)辺りでしょうか。
[真っ赤なジャケ]は、1956年録音で、本記事に挙げた1953年録音の時と同じカルテット編成ですが、受ける印象がだいぶん違いますね。
僕が思うに・・・それはチェットの演奏スタイルそのものが違ってきているというよりも、サイドメンの違うことが大きいのかなと。
[真っ赤なカルテット]では、ピアノは同じラス・フリーマンですが、ベースがルロイ・ヴィネガー、ドラムスはシェリーマンで・・・そしてこの2人がリズムセクションだと、わりとガンガンとストレートに4ビートを演じるタイプなので、どうやらそのために、演奏曲も急速調のバップ風のものが増えたのではないか・・・とも思うわけです。チェットも多少はアタックを強く吹いているような場面もありますが、僕としては、そのことでチェットがハードバップになった・・・とは感じてません。
そういえばこの[真っ赤なカルテット]には、特に強い印象というものが残ってなくてて・・・なぜかなと思い、さっき、A面・B面聴いてみました。まあ僕の好み(チェットへの)が、抑制モノローグ・スタイルというだけかもしれませんが、やはりチェットに急速調は似合わない・・・そしてそれは・・・ヴィネガーのように軽快にゴンゴンと鳴るウオーキングベースとチェットは相性が悪いのかな・・・(いかに4ビートの名手であっても、共演者とのビート感の相性というものもあるように思う)と感じました。
もっとも、そうしたサイドメン起用も、チェット本人が「強力ハードバップ風」なサウンドを出したい・・・と要望したものかもしれませんね。
スローものが2曲だけあり、それはA面のsummer sketchとB面のrush life。この2曲は、じっくり吹くチェットの音色が素晴らしく・・・私的には、やっぱりチェットはバラード・・・と思ったわけです。

Lamp Is Low~ラヴェルのPavaneが原曲だという~。これ、「亡き王女のためのパヴァーヌ」でしょうかね。そういえば、メロディが似ているかな。ラヴェルの方はうんとスローだったので(チェットのthe lamp is lowは軽快な4ビート)同じ曲とは気がつきませんでした。

そして、三式さんならではの・・・問題提起ポイント!その二つの曲名表示の謎!
10インチ盤表記では Lamp Is Low。
そして、
東芝盤復刻12インチでは・・・ああ、本当だ!
Pavaneとなってますね。
自分で2枚並べて写真を撮ったのに、まったく気付きませんでした(笑)

それでちょっと思い出したのですが・・・そういえば、このThe Lamp Is lowという曲には、なにやら版権問題?があったような・・・それは、ラヴェルの遺族がこの曲を訴えたとかなんとかで、それがために、「The Lamp Is lowという曲名」自体が、現在では使うことができない・・・とかそんな内容だったと思うのですが、はっきりした記憶がありません。その辺りのことについて、ご存知の方、また教えてくださいね。

ちなみに、曲名クレジットは以下~
(10インチ盤のB面1曲目)
the lamp is low[Ravel-Shefter De Rose-Parish]

(東芝復刻12インチ盤のB面1曲目)
Pavane[Ravel-Shefter De Rose-Parish]
となっており、作曲者クレジットは同じように表記されてました。

投稿: bassclef | 2010年12月18日 (土) 12:09

こんばんは、bassclefさん。
チェット・ベーカーの鳴らすトランペット、、いつも押さえ気味に聴こえる。抑制の美学!なるほどそうですね!でもチェット本人はウェストコースト風というか、何か制約の中でプレイすること好んでいなかった、、むしろマイルスやほかのイースト系プレイヤー寄りのハード・バップをやりたいと真剣に考えていた・・、というのを何かで読んだことがあります。50年代の終わり頃から60年代半ばにかけては実際にそういうタイプの作品を残していますね。

それから話は変わるのですがbassclefさんが初めに載せておられる2枚のパシフィック盤、10インチ盤と12インチ国内盤がありますね。水色のやつです・・。


何時ぞや、モートン・グールドのパヴァーヌが話題になってたことがありましたね?ジャズメンが時たま取り上げる楽曲にTHE LAMP IS LOW というのがありますがチェットもこのパシフィック盤で演っています。これの原曲はラヴェルのパヴァーヌなんですね。

それで10インチのオリジナル盤ではTHE LAMP IS LOWになってるのですが12インチ国内盤で出された時には元のパヴァーヌに戻されてたんじゃないでしょうか。

どうでもいいことですけど(笑)

投稿: 三式 | 2010年12月17日 (金) 20:33

67camperさん、コメントをいつもどうもです。いやあ、そんな出遅れとかハードルとか・・・そんなことまったくないですから(笑)

>パンナムジャケが一番好き~あのチェットのPacific盤(PANAMジャケ)はそれこそ人気が高くて、なかなか入手できません。あのジャケット・・・飛行機会社との版権問題(いや、肖像権?)が理由で、もう2度と使えない写真ということらしいですね。収録曲はたぶん、今回記事で紹介した10インチ盤からのセレクトなんでしょうね。

僕は、もうチェットの歌よりも(歌ももちろん嫌いじゃありません)あのトランペットのサウンドが好きで好きで・・・あのトランペット音色の不思議な佇まいは・・・それこそ、ジャズ界の7不思議くらいに思ってます(笑)

投稿: bassclef | 2010年12月 7日 (火) 20:46

完全にコメント出遅れです。東京めたぼさんの言う通りでこのブログは,どんどんハードルが高くなって行きます。今回は,自分の全く知らないパシフィック10インチが一杯で最初から棄権しようと思っていました。10インチ・オリジナルはコンディションがいいものが少なく高価だし,と言っても10インチを12インチに引き延ばしたものは購買意欲を減退させます。ということで自分のライブラリにチェットの10インチが一枚もないのです。淋しいです・・・。演奏については皆さんがコメントされているように,中性的ボーカルの印象と相俟ってアンニュイな感じが横溢している印象ですよね。個人的には例のパンナムジャケが一番好きですね。人は老いるものですが,やせてしわくちゃになったチェットはみたくなかった。やっぱりクラクストンが撮った画像だけのこして逝ってほしかったと思うのは自分だけでしょうか???

投稿: 67camper | 2010年12月 5日 (日) 20:26

bsさん、コメントをありがとうございます!
bsさんのブログhttp://avenger.blog.ocn.ne.jp/blog/2010/10/zoot-sims-in-pa.html
にゲッツとベイカーの共演盤が載ったのを見て、こちらの方もドキリとしました。いや、ベイカーの後期の方も聴いてみてくださいよ・・・と言われているようで(笑)久々のゲッツとの共演・・・2人の蟠(わだかま)りみたいな感情も融けていたのでしょうね。そのアンコールのdear old stockholm~聴いてみたいですね。またStockholm sessionsと併せて探してみます。

bsさんの「別宅」~bsさんはクルマも凄くお好きのようでいつもキレイな風景にクルマがそこに居る写真が素敵です。そのクルマ別宅ブログに時に載る「ジャズ」、これがいい。
ズート・シムスのあの真っ黒な「UA盤」が載った時、うれしくなって思わずコメントしました(笑)
http://www.geocities.jp/bluespirits4196/konoitimai1.html#line
あのライブでのシムス・・・ホントにテナーをゆったりと歌わせていてどのテイクも素晴らしい!真の名ライブ盤だと思います。あのUA盤がズート諸作の中では、特に持ち上げられることが少ないのは・・・なぜか?判りません(笑)単に日本での発売機会が少なかった(であろう)ためか?
キングが発売した1500円UAシリーズで出たと思いますが、僕自身もその時点で買い逃し、だいぶ後になっての東芝CDです。bsさんのUAオリジが、実に羨ましいですよ(笑)

投稿: bassclef | 2010年12月 5日 (日) 10:45

こんばんは。
先日は、別宅へのコメント、ありがとうございました。

で、本宅の次のUPはベイカーでも、と思っていた矢先、bassclefさんのUP、ドキッとしました。
ま、なんとやらの法則なんでしょうかね。
‘moon love’、若者のナイーブな切なさがよく出ていると思います。
当方は皺顔ベイカーのバラードをUPしたいと思います~

投稿: bs | 2010年12月 3日 (金) 00:35

yositakaくん、<チェット・ベイカー>へのコメントをありがとう。

>自分を壊してまで表現に賭けるというひたむきさではなく、崩れ去る自分を皮肉にみるような~

いやあ・・・そんな感じ、ありますね。余分な力を抜いた、しかしその心の底に深くて重いフィーリングを秘めているような・・・チェットの儚(はかな)げな音色・・・ああしたニュアンスは、確かにいわゆるジャズジャイアント達の持つ強靭な表現力とはまた別の何かが・・・と思えてしまいます。

yositakaくんは、moon loveを耳にしていただいたようで、嬉しいです。このチャイコフスキー作曲が元になったmoon love~ホントにいいメロディですね。そのメロディを重いようでもあり軽いようでもあり、不思議に淡々と吹くチェット・・・たまりませんね(笑)

今回の記事では「僕の好きなスローバラード」として~
imagination
moon love
の2曲を挙げました。
それぞれ初出自盤は10インチ盤で、その10インチ盤そのものへの愛情もあって、盤中心の紹介にもなり、曲の紹介としては判りにくい記事になってしまったようです。
これら2曲を含むCDも出てまして、それは、The Artistry of Chet Baker というタイトルです。これは、チェットのPacific音源ベストセレクション的な内容です。
グーグルでThe Artistry of Chet Bakerで検索すれば、各曲、45秒ほどですが「音」を聴ける宣伝HPも出てくるかと思います。

投稿: bassclef | 2010年12月 1日 (水) 19:36

久しぶりの更新でわくわくしました。
チェット・ベイカー。

>その音(サウンド全体)から醸し出される情感の漂い方が、これまた尋常ではない。あの「寂しさ」や「けだるさ」・・・あんな風に直截に鋭く深く「ある情感」を感じさせる「音」というものもめったにないだろう。

その「ある情感」とは、彼の音楽人生を通底する「滅びの予感」から来るものでしょうか。
ジャズマンには「破滅型」の人が多いとは、常々思うところです。が、チェット・ベイカーという人は「破滅型」というよりは「崩壊型」でしょうか。破滅型に見られるような、自分を壊してまで表現に賭けるというひたむきさではなく、崩れ去る自分を皮肉にみるような。

「moon love」ききました。チャイコフスキーのテーマを、テンポ、音形をほとんど崩さず演奏していますね。このクールな感傷。なんと、チェットにぴったりな曲でしょうか。

投稿: yositaka | 2010年11月30日 (火) 11:44

東京めたぼさん、こんにちわ。<めたぼ>さんとしてのお名前には、dukeさん(デュークアドリブ帖)や67camperさんの67camper's Blogにてhttp://blog.goo.ne.jp/67camper/e/d6edec52cb1f382525d0e2acc163a29c)
何度もお見かけしてます。ググッとくるようなジャズの渋いところをしっかり押えられている方だと思っております。こちらにもノー遠慮にてどんどんコメントしてください。と言っても新作記事が何ヶ月ぶり・・・というペースですが、旧記事へのコメントにも当方に通知が着ますので、無視することはありません(笑)今、「あばちゃんさん」がうんと古い記事から見てくれているようでそんなコメントやりとりもしております。ありがたいことです。

チェット・ベイカー~まったく・・・いいトランペット吹きですね。今回の記事では、チェットの音色の独特さ・・・という点に注目したわけですが、音色の傾向で言えば、チェットは、いわば「非ブリリアント系」ということで、マイルス・デイヴィス、アート・ファーマー、ケニー・ドーハムの流れかなと思いますが、チェットの場合、そのサウンド全体から醸し出される雰囲気というのが、まったく独自な味わいで、それは、外に向かって放たれたものではなくて、完全に内に向った「音」のような気がします。
そして僕らは、そのチェットのモノローグを耳にして・・・共感し、あるいは・・・嫌悪する(笑)
いずれにしても、得がたい個性のトランペット吹きですね。

ピアノのツアージックについては・・・録音自体があまりないみたいで、聴き込んだということもないわけですが、ボストン出身ということで、チャーリー・マリアーノの初期録音(prestigeの10インチ音源だったか)に参加していたはずです。リーダーアルバムはない・・・というかPacificの12インチの片面セッション(もう片面はラス・フリーマン)をが、唯一のリーダーセッションかなと思います。チェットとの共演もの(仏barcley音源)以外では、まずはそれを聴くしかないようです。

投稿: bassclef | 2010年11月28日 (日) 10:58

北のdukeさん(「北」というのは~ブログ「デュークアドリブ帖」の管理者さんです。福岡のニーノニーノのDukeさんとは別の方です。http://blog.goo.ne.jp/duke-adlib-note/ このブログ~ジャズ名曲をサカナの話題満載、コメントにて好みの演奏を挙げる~という記事で、毎週、コメント者で賑わっております。皆さん、ぜひコメント参入しましょう:笑)

チェット・ベイカーの音を聴くと・・・《「アンニュイ」、「退廃」~》まったくそんな感じですね。記事中に登場した友人sige君も良さに気づく前に聴いた印象を《けだるさばかりが気になった》という表現をしてました。今はそういうチェットを充分に好きなようです(笑)
ジャズという音楽に一直線に快活さとか力強さとかだけを求めてしまうと・・・(ジャズを好きになる時、そういう段階は必要だとも思ってます)チェットの持つ怪しげ、いや、妖しげな世界は・・・「うう、これは近づいてはイカンぞ」と感じてしまう方も多いのかもしれませんね(笑)年を取ってきて純粋でなくなると・・・好きになるタイプなのかな(笑)とは言え、チェットももちろんアンニュイだけの人ではなく、Pacificの12インチの「赤のイラスト・カルテット」1956年やPrestigeの「~ingセッション」5部作などは、抑えた音色ながらも、急速調の曲を中心にをわりとバリバリ吹いている作品もあって、やっぱり、いいトランペッターだなあ・・・と思うわけです。

投稿: bassclef | 2010年11月28日 (日) 10:32

声質と音色・・、陰翳の美学

いつも思わず頷いてしまうコメントの数々拝見しております。はじめまして、ではなく
bassclefさまには別HNでの拙文にお褒めの言葉を頂いたことがあり嬉しかったです。
それにしましても簡にして要をえた出色のチェット考・・きっと共感の輪が広がります。
チェットは白人で最愛のトランペッターで、ヴォーカルも大好き、瑞々しいんですよね。

「寂しさだけでなく仄かに希望を感じさせるような」とは言いえて妙、そのうえ美しい。
その点似ているケニー・ドーハムが黒人で最愛のラッパ吹き、訥弁調が感動的です。
ツワージクのピアノも暗いばかりでなく麗しい、こういうのに惹かれてしまうんですね。
67camperさまのご助言に従い早めにコメントしました、ついていけなくなる前に(笑)

投稿: 東京めたぼ | 2010年11月27日 (土) 09:15

bassclef さん、こんばんは。

ベイカーの音を最初に聴いたときに思わず浮かんだ単語は、「アンニュイ」、「退廃」、「絶望」でした。人物は別として単に音から受ける印象は強いものがあり、その後知ったマフィアから麻酔なしで歯を抜かれた、という怖い話を聞くとその音は人物像に重なり、さらに強烈になります。「不安」という心理を音を表現できるのはベイカーだけかもしれません。

水色のパシフィック盤は何といっても10インチ盤ですね。この大きさだからこそ映えるジャケット芸術と思います。12インチに引き伸ばすと空間が間延びしますし、CDサイズだとベイカーの肩身が狭くなります。麻薬代をトランペッターの命ともいえる歯で払ったベイカーは肩身が狭いわけはありません。

投稿: duke | 2010年11月26日 (金) 19:43

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