« 2009年2月15日 (日) | トップページ | 2009年5月 5日 (火) »

2009年3月22日 (日)

<思いレコ 第16回>クリフォード・ブラウン with ストリングス

クリフォード・ブラウンの音色そのものを味わいたい~

002_3 休みの日に好きなレコードを聴く・・・僕にとっての幸せというのは、ほとんどそんなことだ(笑) そうして「好きなレコード」はいくらでもある。聴きたいな・・・と思うレコードは、その日の気分によって変わってくる。
今日は朝から雨模様で薄暗い。僕の気分もなにやら仄かに暗いようでもある。そんな時・・・僕はなぜかWith Stringsを取り出すのだ。
クリフォード・ブラウンのトランペットのあの「鳴り」が流れてきた瞬間、「ああ・・・いいなあ」
その音色に触れるだけで・・・実際、沈んだ気持ちが癒されていくのである。
あのちょっと軽めにも聞こえるパリッとしたペットの鳴り・・・本当にスカッと抜けたようにキレイに鳴っている。そのトランペットの音色が気持ちいいのである。これは・・・理屈じゃない。それは僕にはほとんど条件反射だ(笑) そうじゃない人もいるかもしれないが・・・レコード盤から出てきた「音」に幸せを感じてしまう人間がいる~ということも真実なのだ(笑)

A面が終わると・・・僕は迷うことなくレコードをひっくり返す。そうしてB面も聴き通す。同じような曲が続くのだが、不思議とあっという間に40分が過ぎてしまう。その間、思っていることは・・・「ああ、いいなあ」だけなのである(笑)いい音楽、いいレコードというのはそうしたものだろう。今日の僕にとってはそれが、With Stringsだったわけである。

007このクリフォード・ブラウンの作品、僕は長いこと日本フォノグラムの廉価版で聴いてきた。もちろん最初から嫌いではなかったし、よく言われるような「アレンジが古臭い」とかもそれほど気にならなかった。だがしかし、折りにふれ聴きたい~と思うほど好きなわけでもなかった。

005_3そんな「ウイズ・ストリングス」に特別な愛着を覚えるようになったのは・・・ちょっと前に入手した米EP盤~その中のブルー・ムーンなど聴いた時だった。クリフォード・ブラウンが吹くトランペットの音色の張り具合、輝き、そして何よりもその音の抜け方みたいなものが、国内盤とはだいぶ違うように感じたのだ。006

《EP盤はたいてい4曲収録なので、この2種で計8曲。12インチ盤には12曲収録だから、あともう1種、EP盤があるはずで・・・やっぱりそれも欲しいな(笑)
7インチ盤~柄は小さくても「ブルー・バック」なのが、ちょっとうれしい(笑)》

たぶん僕は、EP盤で聴いた「音色」にそれまでには感じたことのない「ブラウンという人の存在感」みたいなものを感じ取ったのだろう。ただ・・・そのEP盤はオリジナル盤と聴き比べると、ややハイ上がりでふくゆかさに欠けており、さらに2枚ともカッティングレベルが低いようだった。EP盤好きの僕は少々がっかりしたものだが、「With Strings」への愛着はますます湧いてくるのだった。

004_2そうしてちょっと前に12インチ盤「With Strings」を入手した(一番上の写真参照) 残念ながら、これはemarcyの再発で、センターラベルがドラマーの付いてないemarcyの2ndか3rdラベルだ。もちろん裏ジャケットもブルーバックではない。
追記《センターラベルは、Mercuryです。ジャケ表記はemarcyなのに:笑》003

だがこの再発emarcy盤の音・・・これが意外によかったのだ。
鮮度感はあったがややハイ上がりのEP盤と比べると、このemarcy盤では中音域が厚くなったというか・・・トランペットの音色がふくゆかになり、音全体に艶やかさが増してきたのだ。そうしてクリフォード・ブラウンがその艶やかで瑞々しい音色で、例えばcan't help lovin' that manのメロディをじわじわと吹き込むと・・・比喩ではなく、その音が僕の体に沁み込んでくるのだった。

このWith Strings~ブラウンはいわゆるアドリブをほとんど吹かない。どの曲もスローテンポのバラード調なのだが、ブラウンはそんないい曲のメロディを、慈(いつく)しむように・・・丁寧に吹く。ブラウンは本当にゆったりと吹く。パラパラとフレーズを細かく刻んだりはせず、自分自身が、ゆったり伸ばしたロングトーンの響きを楽しんでいるようにも思えてくる。トランペットという楽器の本当に美しい響きをひっそりと味わうだけでいい・・・そんな音楽なのかもしれない。
そうして、ブラウンが丁寧に吹くメロディを味わい尽くすためには・・・その音色全体のニュアンスがとても大事な要素になるのだと思う。

~追記《僕が気に入っているクリフォードの吹き方がある。この男、キレイにプワ~ッと伸ばしたその音の音圧と音量を保ったまま・・・どんな仕掛けか、その音を「むわわ~ん」と膨らましたような感じにするのだ。「膨らます」と言っても、音が拡散してしまうわけではなく、響きはあくまでクリアなままで、その音の輪郭だけを微妙に変化させる・・・シャボン玉を柔らかく膨らましているような・・・そんな感じかな。そんな風に聞こえる場面が確かにある。そしてそのクリフォードの「決め技」に・・・僕は参ってしまうのだ(笑)》

この頃の僕はなんとなく疲れ気味で、そのためか、このレコードを聴きたい・・・と思うことも多い。そうして、聴くたびに・・・気持ちよくなる(笑)
この「クリフォード・ブラウンのウイズ・ストリングス」は・・・僕にとっては、本当に大事な1枚である。
もちろん、1stのオリジナル盤はもっと凄いだろうな・・・と思わないわけでもないが、今の僕にはこれで充分だ。
当分は・・・1stオリジナルを耳にしない方がいいのかもしれない(笑)

| | | コメント (12)

« 2009年2月15日 (日) | トップページ | 2009年5月 5日 (火) »