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2008年2月 3日 (日)

<ジャケレコ 第1回> Deccaの動物ジャケ

この「夢見るレコード」・・・タイトル部分に<旅レコ>とか<思いレコ>、あるいは「発掘レコ」など、ごちゃごちゃと説明が多いかと思う(笑)
これらはブログを始めた頃、いろんな切り口からいろんなレコードを取り上げてみたい・・・と構想していた、その名残りである。当初、「旅レコ」では、旅先で買ったレコードの全てを記録しよう・・・また「発掘もの」としては、リサイクル屋での格闘ぶりを書きたい・・・などと思っていたのだが、そうそう「旅」や「発掘」のストーリーがあるわけもない。もしあったとしても、そうすると「旅レコ」は、全く僕個人の「購入レコードリスト」になってしまうし、「発掘レコ」に登場するレコードは、歌謡曲のシングル盤ばかりになってしまう(笑)
もちろん、タイトル部分に「ジャズから昭和歌謡まで」とも書いてあるように、当初は「ジャズ」だけに拘(こだわ)るつもりもなかったのだが、何回か話しを書き進めているうちに・・・やはり「ジャズ」を主軸でやっていきたい気持ちが強くなってきたようで・・・だから最近は、特に切り口を特定しない<ジャズ雑感>での更新回数が多くなっている。実際、僕が何を書いたとしても、それは「ジャズに関する何らかの感想」でもあるわけだし、もともと、どんなレコードやテーマを取り上げたにしても、僕の書く文章の中身(質感)にそれほどの違いがあるわけでもない。であれば、「思いレコ」やら「やったあレコ」などと、ヘタに切り口を分けずに、単に<夢見るレコード 第~回 ~>の方が、よほどすっきりするようにも思うのだが、このブログを始めた直接の動機にもなった<旅レコ>という名前そのものに若干の愛着もあったりするので・・・当分は、やはりこのままでやっていこう。瑣末なことで、いろいろ迷う自分である(笑)

そんなことを思いながら、タイトル部分を眺めていたら・・・これまでに全く登場していない切り口があることに気がついた。
<ジャケレコ>である。自分で書いた説明では『<ジャケレコ>とにかくジャケットがいいレコード』となっている。
う~ん・・・なぜ<ジャケレコ>が一度も登場してこなかったんだろう? たぶん・・・それは僕の妙な拘りのせいだ。つまり・・・何らかのレコードを、わざわざ<ジャケレコ>として取り上げるのも、なんだか大げさな感じだし、それよりも自分の好みのジャケットのレコードを見せることで「なんだ、あいつ、こんなセンスのないジャケットが好みなのか・・・」などとも思われそうでもあるし・・・というような気持ちである。それならそんなテーマを作らなければいいのに(笑)まあそれでもせっかく作った「切り口」だし、実際、音の中身を知らなくても「ジャケット」を気に入って入手したレコードもあるのだ。だから、これからはそんな変な自意識は捨てて(笑)自分が「ちょっと気に入ったジャケット」のレコードを、気楽に取り上げていこうと思うのである。そして・・・この<ジャケレコ>での記事は、あくまで「ジャケット」が主役なので、レコードの中身には、それほど踏み込めないかもしれない。だから・・・わりと短めになるかと思います(笑)

さて、記念すべき<ジャケレコ>の第1回は「デッカの動物ジャケ」でいこう。他のレーベルでも、動物を使ったジャケットは、けっこう見かけるのだが、僕には、この「デッカの動物シリーズ」が、なんとなく気になったのである。そうして、気になるデッカ盤をいくつか連ねてみると・・・どうやら「シリーズ」になっているようなのだ。こうなると・・・もちろん揃えたくなる(笑)本当を言うと・・・シリーズを全部揃えてから記事にしたいところだが、それだといつまで経っても記事にできない(笑)中途ハンパなコレクターの僕としては、不揃いであっても、こうして載せてしまうのである(笑)

最初にこの「動物」を意識したのは・・・「鳥」だった。首が細くて、やけに長いのだが、その割りに頭と胴体は大きめだ。その鳥が、羽を大きく羽ばたかせて空中を飛んでいる映像が、ジャケット一杯に広がっている。その不安定なバランスに見えるフラミンゴのような鳥が、見事にゆったりと宙に浮いているような感じがあって、不思議に印象に残るジャケット・・・あれはたしか、ギターのバリー・ガルブレイスのレコードだった。しかしながら、この「鳥ジャケ」・・・強く印象に残っているのだが、国内盤でさえ未入手なのである(笑)

このシリーズ・・・大体、以下の「動物」がジャケットを飾っていると思う。
「犬」
「猫」
「猿」
「ペンギン」
「ヤマネコ」
「フラミンゴ」

Evans_2 僕が最初に入手したのは・・・「犬」だった。ビル・エヴァンス入りのあの盤~Don ElliotのThe Mello Sound(decca:DL9208)である。このレコードについては、拙ブログ<やったあレコ 第1回> ドン・エリオット/メロウ・サウンド(Decca)を、ご覧下さい。
いずれにしても・・・この盤などは、ビル・エヴァンスのマニア以外には、面白くもなんともないレコードだろう(笑)

次に「猿」。こちらも・・・またある意味、マニアックなレコードかもしれない。ジョン・ピサーノという地味なギタリストと、ビリー・ビーンという、これまたあまり名前を聞かないギタリストの共演アルバム~Maikin' Itである。Photo_5
ピサーノについては・・・ビル・パーキンスの「ジョニー・マンデル集」とでも呼ぶべき Quietly There(abc riverside)
においての「生ギターのしっとりした感じ」をとても気に入っていた。Photo_8

ちなみに、このジョン・ピサーノ氏は、現在も西海岸で活躍中らしい。 

004 ビリー・ビーンの方は、バド・シャンクのパシフィック盤(slippery when wet)での「クールで切れのいい音色」がちょっと気になっていた。割と知られているであろうレコードでは、ピアノのWalter Norris のThe Trio(riverside)にも参加していたギタリストでもある。

私見だが、この2人・・・両者とも、ギターのピッチ(音程)が凄くいいように思う。とても趣味のいいギタリストだ。002
だから、全く未知だったこのレコード:Johnny Pisano, Billy Bean/Maikin' It (Guitar Duets)を発見した時は、そのマニアックさに電流が走った。「あの2人のデュオだって!」 しかもジャケットが・・・変な「猿」である(笑)
ところで、<ジャケレコ>ではあまり内容には触れない・・・とは言ったものの、このマニアックなギター・デュオ盤の中身はというと・・・A面1曲目~ill wind から、いきなり「弦楽」の音が聞こえてきて、少々がっくりする(笑)がっくりはするが、「弦入り」は3曲だけなので我慢して聴くと、他にも「管部隊」入りが2曲あり、全体に「アレンジされたジャズ」の感じがあって、あまりジャズ的に楽しめる内容ではないなあ・・・と思う。
しかし、もちろんいいテイクもある。when I fall in love では、スロウバラードでの2人のギターをじっくりと味わえる。音色が柔らかくて丸みのある方がピサーノだと思う。この人の生ギターは本当に温かい感じがする。
the song is you は2人のギターにベースだけのトリオ編成だ。わりと急速調を軽くスイングしていて、とてもいい感じだ。
このレコード・・・あまりアレンジに凝らずに、もっと小編成を中心にまとめていれば、もの凄くいいレコードになったのに・・・という気持ちになってしまう。でも・・・こんな渋いレコードを造ってしまったDeccaというレーベルもなかなか懐が深いと思う。

そして「動物シリーズ」の中では、最も知られているであろうと思うジャケットが、これだ。
Photo_2 エリス・ラーキンスの「猫」である。真っ赤をバックに気位の高そうな2匹の猫が、何やら上の方を見つめている。
このピアノトリオ盤は・・・なかなか聴かせる。実は、エラのレコードをあまり持ってないので、ラーキンスという人をほとんど聴いていないのだが、この人の力まないタッチは・・・やはり唄伴の名手でもあるジミー・ロウルズに、ちょっと似ているような印象を受けた。
そんなラーキンスの品のいいタッチが、そういえば・・・ジャケットを飾る品のいい猫とよくマッチしている・・・とも言えそうだ(笑)その証拠にタイトルもThe Soft Touchだ(笑)

Photo_4

もう1枚の「犬」~こちらはなかなか躍動的なジャケットである。小柄な犬が思い切りジャンプして、高跳びの棒を跳び越えようとした、その瞬間を捉えたショットのようだ。
タイトルは Piano A La Mode。
バーナード・ペイファー・・・このピアニストもあまり聴いてない。emarcyから出ている Bernie's TunesというLP国内盤を持っているが、あまり印象に残ってないのだ。005_4 高音での切れのいいタッチ、そしてその粘りのない8分音符を聴くと・・・やはりフランスのピアニストだなあと思う。マーシャル ・ソラールと同じように、むちゃくちゃ巧いのだが、何か「引っかかり」がない。ジャズという音楽には、時として灰汁(あく)も欲しいのだ(笑)

このレコードについては、内容よりも、ちょっと興味を惹くことがあった。「内袋」である。Deccapicture_sleeve_3僕の持っている他のデッカ盤のinner sleeve(内袋)は、たいてい紙製のカラー写真入り~いわゆるad sleeve(広告スリーブ:advertisement sleeve)だったのだが、この9203番だけは「ビニール製の内袋」だったのだ。もちろん僕の下(もと)に届いたこのPiano A La Modeに入っていたこの「ビニール内袋」が、純正オリジナルの内袋なのかどうかは判らない。しかし僕の直感では・・・このレコードから中の盤を取り出すときに感じた「盤と内袋の自然な合体感」から~Deccasleeve_2これは、もちろん僕の思い込みだが:笑~この「ビニール製ad 内袋」は、この9203番の純正オリジナルだと思うのだ。 そんな風に見直してみると・・・あまり見かけないこともあってか、このチープなビニール内袋が、なにやらチャーミングなものにも見えてくる(笑) ちなみに、「広告写真」のレコードは・・・デッカの場合、何が何でも「サッチモ」なのである(笑)  

並べてみて気がついたのだが、この4枚・・・どのジャケットにも左上に 《MOOD JAZZ IN HI FI》という表記がある。そしてレコード番号は、どれも9200番台だ。やはり・・・これは「動物シリーズ」だったのだ!
そう思って、裏ジャケットをしっかり見てみれば・・・introducing the J 9200 seriesとして、この9200番台の9200から9208までの全9タイトルのリストが載っているではないか。003_2そしてちょっと不思議なことが・・・というのは、普通、こういうシリーズものは番号順に発売されていくので、例えば9200番など始めの頃ものには、そのシリーズの全タイトルは表記されずに、逆に、例えば終わり頃の9208盤には、それより以前の全てのタイトルが表記されているのだろう~と思ったのだが、僕の持っている4枚、どの盤にも全9タイトルが表記されていたのだ。そしてよりよくチェックしてみると・・・正確には「全9タイトル」ではなくて、どの裏ジャケにも「その盤のナンバーを除く全8タイトル」がリストされているのだった。この辺り、丁寧な仕事だと思う。
ひょっとしたら・・・この全9タイトルは、同時に~あるいは短期間の内に~発売されたのかもしれない。

(青字が持っている盤)
DL 9200 Barry Garbraith/ Guitar And The Wind
DL 9201 Earl Grant/ MIdnight Earl
DL 9202 Fred Katz/Soul Cello
DL 9203 Bernard Peiffer/Piano A La Mode
DL 9204 Toots Thielmans/Time Out For Toots
DL 9205 Ellis Larkins/The Soft Touch
DL 9206 Johnny Pisano, Billy Bean/Maikin' It
DL 9207 Ralph Burns/Very Warm For Jazz
DL 9208 Don Elliot/The Mello Sound

そして・・・この動物シリーズは、どうやらこの9枚で完結しているようなのだ。というのも、この次の番号~DL 9209が、ハル・マクージックの「クロス・セクション」という、割と有名なレコードで、ジャケットはたくさんの「管楽器たち」のやつだ。ちなみにその「クロス・セクション」には、ビル・エヴァンスが参加している。

そういえば・・・この「動物シリーズ」には、痛恨の1枚がある。トゥーツ・シールマンズの一枚、あれは確か・・・「ヤマネコ」みたいなジャケットだったかな? この「ヤマネコ」には、大阪の日本橋(ニッポンバシ)にある中古レコード店で、一度だけ遭遇したことがある。シールマンズ絡みで前から探していた盤だったし、価格も3000円台だったので「やったあ!」と、ほとんど買いかけたのだが・・・「傷あり」の表示が気になり、カウンターでチェックさせてもらうと、片面の半分ほどにスリキズが走っており、しかもそれが割と深そうなスリキズで、どうにもノイズが出そうだったので・・・涙を呑んで見送ったのだ。そういう時、僕は「いい方」に考える。「すぐにまた見つかるだろう」・・・しかしあの「ヤマネコ」、あれ以来、ネットでさえ見かけないのだ。どこへ行ってしまったのだろうか・・・あの「ヤマネコ」君は(笑)
そして、これはうんと後から判ったことなのだが、この「ヤマネコ」に、なんとベースのウイルバー・ウエアが参加していたのである。う~ん・・・あの時、それさえ知っていれば、多少はコンディションが悪くても入手していたのに・・・。痛恨の1枚である。
そうして僕は、さっそく拙ブログの「ウイルバー・ウエアのディスコグラフィ」の項~<思いレコ 第12回> Ernie Henry/Presenting(riverside)に、いつ入手できるかも判らない、このレコードのタイトルを付け加えた(笑)*補筆1.~この後、DL 9204 Toots Thielmans/Time Out For Tootsを入手したところ、ベースはダグ・ワトキンスであることが判明しました。残念ながら、「ウエア参加」は全くの間違いでした。ウエアのディスコグラフィの方も訂正しました。残念である。
*補筆2.~このシールマンズのジャケットを、僕は「ヤマネコ」と書いたが、それは完璧に僕の思い違いでした。ブログ仲間の67camperさんが、コメントで知らせてくれたように、「犬」(ボクサー?)でした。その愛嬌あるジャケットは、67camperさんのブログでどうぞ。   
special thanks to Mr.67camperさん! 

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