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2006年1月15日 (日)

<ジャズ雑感 第12回 ジャズの廉価盤シリーズとその発売小史B面>

ジャズ廉価盤のチラシを見ながら・・・クインシー・ジョーンズのことなど。

今では・・・これらのシリーズに、音源的/コレクト的価値は全くありません。個人的な興味から集めたチラシをまとめたかっただけです(笑)
ただ、こうして1972年9月から始まった1100円の廉価盤シリーズのチラシを並べて見てみると・・・日本の各レコード会社が、それぞれの所有レーベルから多くのタイトルを「廉価盤」という型で再発をすることにいかに積極的だったか・・・それがよく判る。catalogue_of_lp_002catalogue_of_lp_003

9月

ビクター

[PRESTIGE JAZZ GOLDEN 50]

(20タイトル)

catalogue_of_lp_007

catalogue_of_lp_006

11月  

コロムビア

[ジャズ・ヒストリカル・レコーディングス] 

(20タイトル)

そして12月  

フォノグラムジャズ[1100コレクション](mercury系全10タイトル)
BT-2001~BT2010jazz_catalogue_tirashi_006

このフォノグラムジャズ[1100コレクション]シリーズは、ビクター、コロムビアの  1100円 盤に続いて、1972年の12月に発売されたものだ。(チラシの右下に12月5日と明記されている) 

こういう企画モノの場合、やはり一番売れそうなタイトルを、型番の最初にもってくることが多い。

このシリーズでは、コルトレーンとキャノンボールが共演した「~イン・シカゴ」が目玉だったようだが、今見てみると・・・ジョー・ゴードン入りのブレイキーやクラーク・テリーやビリー・ミッチェルの渋いタイトルの方に目がいってしまう。
それに、おなじみマリガンの「ナイト・ライツ」もこの時に出ている。ということは・・・FM放送の番組「アスペクト・イン・ジャズ」がもう始まっていたのだろうか?この番組のテーマに使われていたのが、この「ナイト・ライツ」に入っている<prelude in E minor>だ。 この曲名を知ったのはだいぶ後だったが、とにかく毎週「ああ、いい曲だなあ・・・」と感じながらあの番組を聴いていた。だから今でも、この<プレリュード・イン・Eマイナー>を聴くと・・・どうにもあのナレーションが、聞こえてきそうな気分になってしまうのだ(笑) 
「こんばんわ・・・油井正一です・・・」
あの番組~アスペクトインジャズを愛聴していた全国津々浦々のジャズ好きの方には、間違いなくこの「音源的パブロフ反応」という共通した症状があるはずだ、と僕は確信している(笑) 

このフォノグラムジャズ[1100コレクション]シリーズ・・・僕はリアルタイムでは1枚も買っていない。この頃、高1だった僕は、ビクター1100円盤を何枚か買っていたので、こちらのシリーズまで買う余裕は、とてもなかったのである。この10タイトル、今ではCDも含めれば全て持ってはいるが、後になってこのシリーズのこの盤で入手しているのは・・・
ミルト・ジャクソン/ボーンフリー
クラーク・テリー/クラーク・テリー
クインシー・ジョーンズ/ライブ・アット・ニューポート1961
の3タイトルだけだ。ちなみに・・・このフォノグラム1100円盤シリーズにも解説書は付いていなかったようだ。上オビの裏に簡単な解説がついている。

まずクインシー・ジョーンズ。catalogue_of_lp_quincy_001
ニューポートのライブ盤では、バラードの
<evening in Paris>では素晴らしいフィル・ウッズが聞ける。どれくらい素晴らしいか!それを示すエピソードがジャケ裏の解説(Gene Lees)で紹介されている。

[この曲を録音している時(演奏している時)・・・ステージ右の録音ブースにいたA&Rマンのジャック・トレイシーは、誰かが「こんなアルトを吹いてるのは、いったい誰なんだ!」と大声で叫ぶ(exclaim)のを聞いた。トレイシーが声の方を振り返ると・・・そこにいるのはジョニーホッジスだった] とのエピソードだそうだ。

ちなみに・・・だいぶ後の1984年頃、やはりフォノグラムから「クインシー・ジョーンズ/オリジナル・マーキュリー・コレクション」(1950円)として数タイトルが発売されている。(このシリーズのチラシは持ってないのです) 
オビの文句をちょっとみてみると・・・[ビッグバンド史上に燦然と輝くクインシー・ジョーンズ・オーケストラ。25年を経てオリジナル・マスター・テープよりデジタル・マスタリングで甦る!] このセリフ通りに音質も悪くない。児山紀芳氏の発掘・監修なので、しっかりしたシリーズのようだ。
それにしても、こんな地味なシリーズがよく発売できたものだ。たぶん・・・クインシー・ジョーンズという名前がマイケル・ジャクソンがらみですごくポピュラーなものになってきた時期の企画だったのだろう。

このシリーズには、それまで全くの未発表音源だったものが何枚かあった。
ひとつは・・・
1961年3月スイスでのライブ音源が[The Great Wide World of Quincy Jones LIVE!]というタイトル。catalogue_of_lp_quincy_003

オビのコピーは・・・
[陶酔と興奮の坩堝と化したチューリッヒでの熱狂的なステージを捉えた白熱のライブ] ちょっと大げさではあるがこの言葉にウソはない(笑)
この盤でもいつものようにフィル・ウッズが大活躍するが、ちょっと珍しいのは、なぜかフレディ・ハバードが参加していることだ。クインシーバンドにハバードという配置はあまりないはずだ。 stolen moments ではりきったロング・ソロを吹いている。 
もうひとつは・・・
「バンドの誕生vol.2」~これは、もともとの盤は「赤のジャケット」だが、それとジャケットのデザインは同じで色だけを「黄色」に換えて発売されたのだ。以前の記事で書いたYoさん宅で、「赤/モノラル」と「赤/CD」とこの「黄色」を聴かせていただいたことがある。
この「バンドの誕生vol.2」は、単なるテイク2の寄せ集めではなく、曲によっては「赤」とはソロイストを換えたりしており(例えば・・・<ミッドナイトサン~>ではアルトからギターへ)なかなか興味深い内容だった。音質もいい。
そういえば、Yoさんは最近、この「赤/ステレオ」を入手されて、やはりいい音質だったとのこと。
クインシージョーンズオーケストラ。いいアレンジにいいソロイスト。しっかり練り上げられたものは・・・やはりいい。ちょっと地味だけど、聴いててすごくおもしろいオーケストラだと思う。

clark_terry_1100 次にクラーク・テリー。2~3年前にようやく入手したこの「クラークテリー」~思いがけずいい内容なのだ。ガレスピーに影響されたのだろうか・・・ちょっと「ラテンっぽい」ノリの曲も入っている。セシル・ペインのバリトンサックスが効いてるし、ところどころにオスカー・ペティフォードのセロのソロが入る。アレンジした部分とソロイストの張り切る部分のバランスがいい具合で、力強くてガシッとしたジャズだ。古い録音だが、音質も案外いい。今、ジャケットの解説をチェックしたら・・・swahili、double play、tumaの3曲ほどはクインシー・ジョーンズの作曲でアレンジにも関わっているらしい。道理でよくあるバップ的セッションとは一味違うわけだ。

それにしても1972年の発売から30年も経ってからその時代の盤を手に入れる。そうして今頃「いい内容だ」となどと感心しているのも間の抜けな話しではある(笑) まあしかし・・・ジャズには「聴きたい盤」が・・・いっぱいありすぎる。
その時その時で興味を持ったものを聴いていくしかないのだ。それが僕の開き直りだ(笑)

フォノグラム発売のmercury系音源は、この後も何度も発売されいる。jazz_catalogue_tirashi_007
[mercury Jazz 1300円 Collection](全20タイトル(BT-1301~BT1320)というシリーズが翌年の1973年6月~7月にも1期~2期に分けて発売されている。
1期の目玉は「アート・ブレイキー/パリのジャムセッション」だった。ショーターとバルネ・ヴィランの2テナーにバド・パウエルもゲストで2曲入っているというちょっと面白セッションだ。
2期ではヘレン・メリルの「メリル・アット・ミッドナイト」が、その後の再発もないようでちょっと珍しいかもしれない。チラシで見ると、ジャケットもなかなか魅力的だ。(残念ながら未入手:笑)
73年の12月には[ジャズ・アテンション・シリーズ(全8タイトル:phillips系)1200円]というのもあった。マイルスやコルトレーンが参加したミシェル・ルグランの「ルグラン・ジャズ」が目玉だったか。

たしか・・・この次の年には、やはりフォノグラムがアメリカの工場で作らせた盤を「直輸入盤」(1300円?)として大量に発売した。catalogue_of_lp_quincy_002
ほとんどは、mercury系のタイトルだったように記憶している。直輸入盤ということなので、確かに「日本語」の表記は一切なかったが、ジャケの造りも安っぽく音質はあまりよくなかったようだ。中古盤屋さんで、盤が軽くて、安っぽい(笑)赤いセンターラベルの mercury盤を発見したら・・・それはおそらくこの「直輸入盤」だ(笑) 

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