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2005年9月27日 (火)

<ジャズ雑感 第8回> ミニ杜の会~大阪:Yoさん宅でジャズ10時間聴きまくり!

Verveというレーベル・・・Contemporaryというレーベル・・・。

先日、大阪のYoさん宅におじゃまし、いろんなレコード、CDを聴きまくりました。翌日のお昼すぎまで、計10時間強!ランダムに選びながら、多くのレコードを聴いたのだが、事前に決めていたことがある。Yoさん手持ち盤と僕(bassclef)の手持ち盤の中に<同一タイトル/センターラベル違いの盤>のものがいくつかあったので、それらを聴き比べてみることだった。その辺りに絞って話しを進めてみます。なお、デジカメ持ってくのを忘れたので、Yoさん手持ちのレコードの写真はありません。いや、持っていても・・・聴くのと話すのに夢中で、多分、写真撮れなかったでしょう(笑)

050907_001 マリガンの「The Concert Jazz Band」~
<Stereophonic>(写真なしです。残念!)
<T字MGM Verve>
<黒トランペット(モノラル)>

YoさんのStereophonic、こちらが残りの2枚、計3種の Concert Jazz Band がソファの上に並んでいる。Stereophonic盤は、どうも普通のT字Verveより、音がいいらしいぞ・・・とは思っていた。オスカー・ピータースンのライブ・フロム・シカゴ(verve:stereophonic)を愛聴しているのだが、ピータースンの他のVerve盤諸作より、格段に「音が生き生き」しているのだ。ピアノの音色につやがあり、レイ・ブラウンの音色も「よく締まったそれでいてブウンと伸びるいい音」で入っているように感じていた。これは、たまたま「ライブ・イン・シカゴ」の録音(ロンドンハウスというライブハウスでの実況録音)が素晴らしかったのかもしれないが、もう1枚持っていたエラの「シングス・ガーシュイン」これも、盤質は悪かったが、同質の良さを感じていたことから類推して・・・やはりStereophonicというラベルの盤は、「一味違うぞ」とほぼ確信していたのだ。そんな時、Yoさんがサンディエゴの廃盤店で入手したマリガンの「白」(Concert Jazz Band)が、そのStereophonicラベルだったことを知った。僕は・・・う~んと唸りました。この「白」のStereophonicラベルの存在は知っていても・・・なかなか手に入らなかったのです。そんな訳で・・・この3種の聞き比べをしよう、ということになり・・・よく考えたらこのことが、Yoさん宅へオジャマするキッカケになったような気もする(笑)

さて・・・3枚の同じジャケットを並べて2人でニンマリ。こういう風景は、見るだけでも楽しい。B面2曲の<My Funny Valentine>という同じ曲を連続して聴き比べてみた。T字Verve、Stereophonic、黒トランペット(これだけがモノラル)の順で聴くことにする。
まずT字~マリガンの吹くテーマのバックに拡がる中編成のハーモニーが、軽くふわ~っと拡がり、いい感じだ。Yoさん、「悪くないよ、これも」。ちょっとうれしい僕。 そして、Stereophonic・・・出だしではそれほど差を感じない。しかし・・・マリガンのソロが始まると・・・やはりバリトンの音色に、より一層のつやが出ているようだ。より生き生きした感じがする。Stereophonicラベルの盤は、全体に「明るく華やいだ雰囲気」が出てくるようだ。
最後にモノラルの黒トランペット~モノラルなので、ステレオの2枚に比べると、やや重く詰まった感じのサウンドだ。これも案外に悪くない。個人的には・・・マリガンのライトなサウンドにはステレオの方が似合うような気はした。しかし、「黒トランペット」ラベルも、やはり侮れない。ちなみにこの「黒トランペット」は、3年ほどまえに、大阪・梅田のLPコーナー本店で手に入れたものだった。

「ノーマングランツジャムセッション#8」~050907_003
<Clef>
<verve 黒トランペット>(Verve clef-sereis)
8月の「ニーノニーノ杜の会」で、Yoさんが持ちこんだこの盤を聴いてBoseさんが「煩悩に火達磨」になってしまった、という話し~
僕もたまたまこの盤の Verve Clef-Sereies(ジャケは同じデザイン)を愛聴していたものだから~大いに納得してしまいました(笑) それじゃあそのClef盤もぜひ聴いてみたい、ついでにVerve clef-sereies 盤との聞き比べもしようじゃないか、ということになりました。普通に考えると、Clefとして#8が出ていたものを何年か後に、Verve clef-sereies として再発したのだと思う。Clef盤の音の良さは(特にサックス)2~3枚だけ持ってるClef盤(10インチ音源を12インチ化したシリーズ)で、もう充分に知っているので、これは、相当に差があるだろう・・・との予測はついてはいた。最初にかけたのは「Verve 黒トランペット」。普段から案外にいい音と思ってたが、Yoさんのシステムでも、きゅっと締まった聴きやすくいいモノラルの音質だった。ちょっとうれいしい僕。しかし次にかけたClef盤のサックスの音が鳴った瞬間・・・やはり「違う」。何が違うか、というと・・・サックスの音色に、もっと「こく」が出てきて、より「生き生きと」した音色になった。(ように感じた) さきのマリガンのバリトンの音色と同様、違いというのはそれほど大げさには出ないが、楽器の音色に、より「つや」が出てくるようだ。そうして、その「音色を味わう」という次元での差というのは・・・そのレコードの演奏を好きになればなるほど、ものすごく大きな差に感じてしまうのだ。Boseさんの「火達磨」・・・よく判ります(笑) その後、その「火達磨」は、見事に治まった由。この盤が見つかってよかったですね、Boseさん。こちらもいつかあのClef盤、欲しいものです。

ロリンズの「Brass & Trio」(Stereophonic)~ 
これは、僕の手持ちがT字Verve。今回持参しなかったので、僕の記憶との比較。僕は、ポリドールの国内盤と T字Verve MGMを聴いているが・・・どちらの盤でも、あんまりいい録音とは言えないように思う。ロリンズのサックスにエコーがかかりすぎ、ブラス陣が入った関係からか、全体のサウンドが、どうもすっきりしないような印象がある。そこで、このStereophonic盤の登場だ。聴いてみると・・・全体のサウンドの様相に変わりはないが、やはり・・・ロリンズのテナー、グライムスのベース、そして全体のサウンドが、T字Verveよりは、鮮度が高いように聞こえた。もっとも・・・このBrass & Trioは、元々「メトロ」原盤とのこと。だから本当のオリジナルは「メトロ盤」(スタジオらしきところで吹いているロリンズとブラス陣のジャケのやつ)ということになる。一度、それも聴いてみたいものだ。どなたかお持ちでしょうか? できれば、その盤の音の「雰囲気」だけでもお知らせください。

さて、T字Verve と Stereophonic~もちろん個々のタイトルによって、状況は違うだろうが、たいていの場合なら、Stereophonic盤の方が、T字Verve よりも「いい音」だと言えそうな気がする。少なくとも僕はそう感じている。さらに・・・T字Verveでも、MGMと入るものと、それ以前のVerve Inc.というのもある。ニーノニーノのDuke氏によると、Verve Inc.は MGM Verveよりも上質とのこと。これは、同一盤でのサンプルが揃わなかったので、比較はしていない。とにかくVerveというレーベルは、難しい。mercury,Norgran,Clef,そしてVerve。Verve の中でも 黒・黄のトランペット、黒・青・赤・黄(プロモ)のT字Verve、Stereophonic、その後、ようやく MGM T字Verve・・・。これらの各タイトルが、オリジナルと再発も微妙にクロスして発売されてるようでもある。僕がマークしている<Stereophonic>ラベルにしても、どのタイトルで何枚くらい出ているのかも、全く判らないのだ。肝心の「音」にしても、「古いほど音がいい」のであれば、話しは簡単なんだが、そんなこともないようだ。そういえば、Yoさん宅で音質優秀で有名な?エラの「クラップ・ハンズ」(MGM-Verve)をちょっとだけ聞かせていただいた。何の曲かは失念したが・・・イントロのピアノの後から入ってくるウッドベースの音の生々しいこと!輝くようなベースの音色だ。びっくりしてジャケ裏を読むが・・・普通のビッグバンドの普通のベーシストらしく、バックミュージシャンのクレジットなど全くない(笑) ベースというのは(いや、どの楽器でもだろうが)あれだけ「いい音」でレコードに入ることが珍しいので、もうその音だけで、凄いベーシストに聞こえてしまうようだ(笑) だからこそ・・・ラファロやレイ・ブラウンみたいに、どのレコードでも、だいたい同じように「素晴らしい音」で聞けるベーシストというのは・・・逆説的に言えば、それこそが超一流のベーシストである証し、とも言えるのかもしれない。

今回、Yoさんとはいろんなレコードを聴きながら、いろんな話し(レーベル、録音、マイク、コンデンサーマイク、ダイナミックマイク・・・)をしたのだが、両者共に大きく納得したことは・・・<レコードやCDに入っている「音質」というのは、個々のタイトル~そのレコード・CDの録音状態によって、大きく異なっている>ということである。もちろんレーベル(録音技師)で、ある程度は、そのレーベルの傾向みたいなものはあるが、絶対ではない。よく考えてみれば・・・録音スタジオ、録音技師が同じであっても、「ミュージシャン」が違うのだ。楽器も違う。いや、同じミュージシャンでさえ、録音日が違えば、その日の気分(ノリ)、体調、技術の進歩(低下)という要素だってあるはずだ。
レコードはもともとが、一枚一枚、全く違う音なのだ。それを再生する時、だから・・・全てのタイトルが、そのまま同じように鳴るわけがない。こんなようなある種の割り切り、これには僕も全く同感だ。この後、つまり「違う」ということを認識した上での「対処」は、人それぞれだと思う。「レコードにもともと入っているバランスでいい」と思う方なら、そのまま聞くのがベストだろう。この点で、Yoさんの考え方は明快であった。まず「自分が出したい音」をしっかりと自覚している。それから<タイトルごとで音が違う。レーベルごとで音が違うのだ>ということをしっかりと認識し、そうしてそれらのタイトルを、自分の好みバランスに近づけるために「プリ前段階」で調整する、という考え方のようである。「プリ前で」と表現したということは・・・トーン・コントロールは最後の手段ということだったかもしれない。(この辺り、全く僕が勘違いしているかもしれません・・・遠慮なしに、「訂正」「追加」のコメントもお願いします・・・。
具体的には・・・その調整を<LPなら2種のステレオ・カートリッジ/「CDなら2台のプレーヤー>で実践しているのだ。タイトルごとに音が違うとは言っても、やはりレーベルには、基本的なサウンドカラー、サウンドバランスというものもある。Yoさんの中では、レーベルとカートリッジの相性で、ある程度の「棲み分け」が確立しているようだった。

以下Yoさんメール談~
~《カートリッジ2種は どちらもオルトフォンの Jubillie とSPU-SilverMisterです。CDはトランスポート2種で上にあったのがオラクルCD2000で、下にあったのがWadia3200で、DACは共通でWadia-Proです~
~私の常用のSPUは最近の機種でオリジナルに近い元のタイプではないです。ですが、やはり最新の「ジュビリー」と比べると、レンジが狭く重心が低いです。ジャズで言うと、BN,プレスティッジは完全にSPUがいいです。ジュビリーだと妙にやかましくなったり、中域が薄く聴こえたりします。コンポラ、CBS,RCAはジュビリーです。SPUだと低音が重く感じます。それ以外はレコードによってと言う感じです。同じバンゲルダーでもインパルスはジュビリーの方が良い場合が多いです》~

こんな説明も聞きながら、いくつかの同じレコードを、2種のカートリッジで聞き比べてみた。たしかにかなり違う。これはYoさんからも指摘されたが、僕の好みでは、SPUの方がいい、と思えることが多かった。いずれにしても、2種のステレオカートリッジでの変化、レーベルとの相性みたいなものを体感できたことは、とても興味深いことだった。そして、2機種のCDプレイヤーについては・・・(カートリッジでの使い分けと同じ意味合いで) ワディア=SPU、オラクル=ジュビリーとして機能させている、ということで、これには充分に納得がいく。Yoさんは、物事(オーディオ)を非常にシンプルに、しかしロジカルに考えているのだろう。そして背景として「自分の出したいサウンド(バランス)を出したい」という目的がはっきりしてるから、いろんな機器選択・調整が「ぶれてない」ように思えた。というのは・・・いい音(録音)のLPと、いいリマスタリングのCDとを「パッと聴き」した時、そのサウンドカラーにほとんど差がなかったのだ。これこそ、その機器調整が「うまくできている」(Yoさんにとって)ということなのだと思う。余談だが、CDプレイヤーにおいても、僕には、ワディアの方が魅力的な音に聞こえた。「芯のある丸みのある音」に聞こえた。あれなら、古い音源の復刻CDでも(そのCDがある程度のバランスとれていれば)すごく「アナログライクないい感じ」で聞けるだろう。

ちなみに僕は、アンプのトーン・コントロールをけっこういじる(笑) 全く使わないという「原音主義」の方が多いようだが、僕にはそのカタクナさが判らない。端的に言えば・・・レコードに入った状態が、すでにして「原音」じゃあないのだ。そうして、レコードに入っている楽器の音量バランスが、常に適正とは言えないのだ。ベース音が「大きすぎたり」「小さすぎたり」、またはドラムスのシンバル音が「うるさすぎたり」「小さすぎたり」、ピアノの高音が強すぎたり・・・そんなレコードがけっこう多いのだ。僕は、その状態を「原音」としては許容できない(笑) だから・・・そんな時、「トーン・コントロール」を積極的に使って、少しでも聞きやすい楽器バランスに(もちろん自分にとっての)調整する。そうして(僕の装置で聞く場合の)理想のベース音量バランスのレコードが、前述したオスカーピータースン/ライブインシカゴ(Verve:stereophonicラベル)なのである。このレコードでのレイ・ブラウンのウッド・ベースは・・・A・B面とも、「ややオフ気味」に聞こえるかもしれない。ややベースが小さめなバランスに聞こえる。もう少しふくらんだ響きがほしいかな?と思うくらいタイトな音色だ。しかし・・・演奏が進むにつれ、徐々にレイ・ブラウンのウッドベースの音圧・音量が上がってくる。そういう風に聞こえる。このレコードで聞こえるベース・ドラムス・ピアノの音量バランスが、自分にとっての座標と言えるのかもしれない。

Yoさん宅では、この他に Contemporaryの<Stereo>レーベル(ジャケに楕円マーク)と普通のContemporary stereo盤~
これの1st黒ラベルと2nd緑ラベル~の聴き比べもした。まずは、ロリンズの「ウエイ・アウト・ウエスト」~この盤では・・・「Stereoレーベル盤」(ジャケに楕円ステレオマークではなく「Way Out West」の下に大きく「In Stereo」と表記されているやつ)/「ステレオ黒ラベル盤」、/「アナログ・プロダクション盤」・・・以上の3種(全てYoさん)を聞き比べた。曲は<Solitude> どの盤でもレイ・ブラウンの「いいベース音」をたっぷり味わいました。
これについては・・・ニーノニーノさんのHP「こだわりの杜」(9月23日)にも書き込んだので、そこからちょっと抜粋します~
~《それでは、例えば・・・レイ・ブラウンのベース音はどうだったのか。
ソニー・ロリンズ/ウエイ・アウト・ウエスト~ステレオレーベル盤。<ソリチュード>を聴く。この盤でのレイ・ブラウンのベース音。これはもう素晴らしいの一言!全く、タイトにきりりっと締まった、しかしグウン~」とよく伸びるウッドベースの音なのだ。生のウッドベース(アンプ通さずに)聞くとこんな感じだろう、というリアルなベース音であった。真っ直ぐ聴き手の脳髄に食い込むベース音だった。続けて、同じ「ウエイ~」の「普通のステレオ盤」と「アナログプロダクション?」を聞いたところ・・・レイ・ブラウンのベースは、もう少し「ふくらみ気配」(いや、それでも抜群のレイ・ブラウンのベース音なのだが)にしてあるようだ。普通に言えば、こちらのベース音の方が聞きやすいんだろうとは思う。しかし・・・あの「ステレオ・レーベル」のレイ・ブラウンには驚いた。パブロの「エリントン&レイ・ブラウン/ブラントンに捧ぐ」も、「やや硬質でアンプで増幅していない感じの、本当のウッドベース生音」が飛び出てきました。ほんとうに凄いベーシストですね・・・レイ・ブラウンは。》~

ロリンズ/コンテンポラリー・リーダーズ(Contemporary)これは2種のみ。

黒ラベル:ステレオ(Yoさん)
緑ラベル:ステレオ(bassclef)
<How High The Moon>を続けて聴いたが・・・この黒と緑、ベースの響き、、サックスの鳴り、ケッセルのギター、バランスも音質も、ほとんど差が感じられなかった。1stの「黒」の方が圧倒的に良いのでは?と想像していた僕は、2ndの「緑」もまずまずだったので、ちょっとうれしい。Contemporaryの盤をいろいろ幅広く集め、聴きこんでいるYoさんが言うには、「Contemporaryというレーベルは、(おそらく)録音されたオリジナルテープの管理やらが優秀なので、1st,2nd,3rd どれも安定した質で、案外、大きな差がないよ」とのこと。
それにしてもよく判らないのが・・・<Stereo>レーベルである。なんだか、このレーベルにはまっていきそうな感じである(笑)
ああ・・・ジャズは底なしだあ・・・。

追伸:「聴き比べ」以外にも、素晴らしいレコードを聴きました。例えば・・・Bill Evans/Everybody Digs Bill Evans(riverside)ステレオ・黒ラベル  Wes Montgomery/Wes Montgomery Trio(riverside)モノラル・青ラベル  Erney Henry/Presenting Erney Henry(riverside)モノラル・青ラベル   Verve や Contemporary だけでなく、これらの Riverside盤も、「しっとりした」実にいい音でした。この辺りは、また別の機会に・・・。

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