<発掘レコ 第2回> 「ペレス・プラード/白熱のペレス・プラード・ショウ」(ユニオン/テイチク)
<ぅううう~ホッ!に笑う子供たち~ペレス・プラードの快感>
音盤コレクター系の方のブログで、「リサイクルショップでのちょっといい格安盤入手記」みたいなのを見かける。これを「猟盤」と表現していることが多い。猟盤~感じ 出てますね(笑) あまたの真性ジャンクものの中から、「ぴくっ」とくるものだけを拾い上げる。狙った獲物は逃がさない~まさに猟盤である。ただ正確には・・・「狙った」のではなく、いろいろある中からいいものを選び取る「消極的セレクト」とも言えるわけで、だからこそ・・・自分のフィルターの調整目盛りをしっかり設定しておかないと、「相対性価値観マヒ症候群」により、ついつい余分なものまで拾ってしまうことになる。これは僕自身の要注意ポイントでもある。(*拙ブログ 7月11日分<発掘レコ第1回 小林旭/大いに唄う~相対性レコード>参照)
余談だが・・・拙ブログ<夢レコ>のリサイクル探索の話しの中で、この「猟盤」という表現を使おうとしていたのだが、「猟」という字にリアリティがありすぎたので(なにかハイエナが辺りを嗅ぎまわっているような・・・それに、まさに自分もそうなんだ・・・という自覚も:笑) 「発掘レコ」という、考古学的フレイバーを感じさせる表現にしたわけです。まあでも、気分は、まさしく「猟盤」である。
オーディオや楽器のリサイクルショップ、HOはチェーンなので、僕の街に1店、すぐの隣街に1店、ちょっと離れた街までいけば、周りに5~6店はあることになる。BOの方が店数は多いのだが、BOは、基本的に本とCDのみで、LP盤は置かないようだ。HOには、仕事帰りに寄ることが多い。500円~2000円の値付け品のLP盤が主力なのだが、たいてい、どの店にも、
50円~200円くらいのLP盤やシングル盤が、「ジャンク品」として置いてある。ジャンクものは返品・交換不可!としてある。まあ元々、タダ(でなくても10枚で100円とか)で仕入れてきたものを、少しでも現金化しよう、ということなんだろう。HOでは、ほとんどジャンクものしか買わない。このジャンクの新入荷ものが狙い目なのだ。ただし・・・いつ入荷するか判らない。
HOは、オーディオ機器や楽器が主力なので、多分・・・「古いコンポ」を売り払うついでに、30枚くらいあるLP盤も、売ってしまう、というパターンだろう。時々、カウンターでLPレコードを拡げてる場面を見かける。入荷してきたレコードに値付けしている場面であろう。どういう具合に値付けが決定されるのだろうか? 僕は、レジそばの楽器やらアンプを見るフリをしながら、しばらく様子をうかがったりするが・・・黙々と作業をしているので、よく判らない。本当は、一部始終を見守りたいくらいのところだが、そうもいかない(笑) 推測だが、おそらくは・・・外見が汚くて古い(外袋のビニールが、白く濁ってるくらいの古いやつ)と~100円、ちょっとキレイなものだと300円とか、これは洋楽だってんで、500円とかの「大体の決め」があって、あとはもう、その値付けする時の個人の判断なんだろう。というのは、同じHOでも個店によって、安め・高めとかなりの差があるようなので。いずれにしても・・・究極の visual grading「見た目評価」 のはずだ(笑) 一般に、洋楽系の「キレイな盤」が、やけに高い。ところが、最近は、70年台の洋楽ロック系に2000円以上も付いており、ヘタしたらまともな中古レコード屋さんより高い、なんてこともありそうだ。さて・・・運がいいと、たまに興味をひくレコードが入ったりしている。僕の場合は、ポピュラー系のボーカルもの、映画サントラ、クラシック。それから、古い「ムード・ミュージック」や「ラテン」ものなどに、食指が動く。ロックやブルース系のベストものなんかがあれば、うれしい。もちろんジャズがあれば、もっとうれしい。
60年代の日本盤には、「外国のミュージシャンが来日した際の日本公演の実況録音」というものが、けっこうあるようだ。ジャズもそうだが、この時代は、外国からのミュージシャン来日、それ自体が、ものすごいイヴェントだったようで、大物タレントになると、日本中を縦断しながら、数多くの街で公演したようだ。「ライブ・イン・ジャパン」に、少しでも付加価値があるとしたら、レトロなものが好きな人間にとっては・・・音源の希少性だけでなく、ジャケも含めて、ちょっとおもしろい「珍盤」のように映るからだ、と思う。ヴェンチャーズの、赤い番傘をさしているジャケの「ライブ・イン・ジャパン」も、なんかいい味わいですよね。(持ってないけども)
ある時、そのHOで「ペレス・プラード/白熱のペレス・プラード・ショウ」(ユニオン/テイチク)という盤を入手した。「ペらジャケ」風造りなのにゲイト・フォールドになってるのも悪くない。オビもやけにレトロな味わいだ(笑) そのオビには・・・「マンボの王様 初の完全ステレオ実況盤堂々登場」などと謳われている。それにしても、モノクロ写真とカラーロゴのジャケ~プラードの、目がすわってしまったような顔つきも、ちょっと怖い(笑)・・・多分、音楽に入り込んでいる状態のショットなのだろう。 でもこのジャケ、なかなかいいじゃないか。クレジットによると、<昭和40年7月29日:大阪 サンケイ・ホール録音>(レコーディング:吉田悦造)となっている。
見開きの内側には、全メンバーの楽器演奏中の写真、この実況録音の良さをほめる小川正雄の解説もあり、全体に丁寧な造りを感じる。
さあ、聴いてみた・・・これが実に「いい録音」なのだ! こう・・・なんというか・・・いかにも目の前にホールが広がっているような感じ~この時代のステレオ録音が目指したであろう「臨場感のステレオ録音」なのだ。
嫌いじゃない音だ。子供の頃、よくラジオから流れていた、あの「変な曲」~マンボNo.5~あれももちろん演ってる。あの曲が聞こえると、いつも笑えてきたような記憶がある。「う~~~ほっ!」とかの掛け声が、笑いを誘ったのだ。昭和の時代には・・・あの「ほっ!」のたびに、日本中いたるところで、小学生が笑っていたに違いない(笑)
このライブでは、2曲ほど演奏した後、プラードは、片言の日本語で(いかにもローマ字を読んでます・・・うまく読めませんが・・・こんなでいいでしょうかね?という雰囲気を漂わせながら) 「おおきに」などと言ってる。この日本語挨拶に、聴衆はお約束の大喜び。 そうして・・・場の雰囲気が一気に和んでいく。その様子がよく判る。連続で日本に来ていただろうが、それにしても、ショウマンシップの塊りのような人だ。プラード楽団自体が楽しそうに「ノッている」様子だ。楽団の演奏もさすが巧いし、こなれている。こういうライブ盤て・・・悪くないぞ。。録音が聴きやすいいい音質なのでA面を通して聴いてしまった。この僕が「マンボ」をちゃんと聴けるなんて・・・。たまにFMで、マンボやルンバ、タンゴを聴くが、正直に言うと・・・ラテン音楽の持つあまりの濃厚さに、ちょっとついていけない感じがある。1965年で、このノリだったら、やはり黄金時代でのプラード~元祖のマンボNo5の頃の音楽は・・・さぞかし、
すごい「密度」だったんだろうなあ、と慄(おのの)いてしまう。 僕もいつか、こっち方面の音楽にもハマッていくのだろうか(笑)
ああ・・・音楽ってほんとに底なしだあ・・・。
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コメント
sgr5さん、こんにちわ。ラテン音楽がフェイバリットの方でしょうか?このペレス・プラード、長年の探求盤とのこと、それを発掘したこちらも、なにやら誇らしく感じます(笑) ?この盤への高い評価もうれしいのですが・・・気に入った盤は、僕も手放さない主義なので・・あしからず。ヤフオクなどでがんばってみてください。
投稿: bassclef | 2005年8月14日 (日) 08:54
snobさん、またまたどうも。そうですか・・・あのヴェンチャーズ・ライブ・イン・ジャパン、内容も
いいんですね。一度、あのLP盤、見かけたんですが、けっこういい値段でちょっと買えませんでした。こういうのが、リサイクル屋で、ポっと300円くらいで出てくる時代は、もう終わったようです。残念です・・・(笑)昔の日本盤って、「薄いジャケにコーティング」で、実にいい味出してますよね・・・欲しい盤です。あの赤い番傘・・・。
投稿: bassclef | 2005年8月13日 (土) 21:37
“ヴェンチャーズの、赤い番傘をさしているジャケの「ライブ・イン・ジャパン」も、なんかいい味わいですよね。”とありますが、ホントこれは内容も超名盤です。「みなさーん拍手“を”お迎えしましょう」とか「(メンバーが)何か文句言ってるけどグァイアトーンの最新アンプ最高ね」「日本製のコード(シールド)一番ね」「だいじょーび」とかビン・コン・セプションの変なMCもたくさん入ってます。ヴェンチャーズをとりあえず1枚という人はベストなど買わずに、とりあえずこれを買いましょう。最近音の良い盤がまた出てるし、また買い直そうかなー。パンキッシュな演奏で今の耳で聞いても充分いけます。モノクローム・セットとかラモーンズ好きな人にはお勧めです。
投稿: snob | 2005年8月13日 (土) 11:00
おおっ!snobさん。さっそくコメントどうもです。
やっぱり、あの「っうっ!」好きでした?(笑)
その10枚組特典の60年ライブ、聴いてみたいものです。マンボって・・・そうですね、確かにファンキーな感じ、突き抜けた明るさ、みたいな感じもありますね。う~ん・・・ラテンも深いなあ・・・いや、オレにはジャズが・・・(笑)
またコメントいつでもどうぞ。
投稿: bassclef | 2005年8月12日 (金) 22:03
高校の頃トランペットと半年くらい格闘していた関係で、実はペレス・プラードの隠れファンです・・・セレソ・ローザのブレイクのところが小さい頃から大好きでウッ。10枚組ボックス持ってますよ。で僕の持っているのはビクター盤1960年2月20日国際ホテルのライブ盤が特典としてついてまして・・・凄く変です!日本語も変です!内容もファンキーというかチャカポコが生々しくて大変よろしい。1947年のデビューから1962年までの全盛期!やっぱ暑いときは、大音量でウーッ、マンボでしょ!
投稿: snob | 2005年8月12日 (金) 12:25
BTMさん、54さん、またまたどうもです。
山形は・・・今日も暑いのでしょうね。こちらも珍しくも、マクリーン聴いてて熱いです(笑)
「杜の会」遅くまで続いたようで、54さんの
熱い血(くどい?笑)も、静まったのでは(笑)
ミンガス、かかりましたか!「直立猿人」~ミンガスのあのある種の「ギョウギョウシサ」に違和感さえ覚えなければ・・・はまりますよね!
JRモントローズも、なんか「歪んだ」ようなトーンで、独特の個性を発揮し始めてますし。アトランティック(トム・ダウド)の音・・・どんなですかね? 「強い音」という印象ありますが。
54さん、いつかどこかで、ジャズ話しをたんまりとしたいものですね(笑) ミンガス、J.タッカー、H.グライムスなんかの話しばっかじゃ、回りに迷惑ですよね(笑)
お疲れさまでした~。
投稿: bassclef | 2005年8月 7日 (日) 10:34
すいません! 酔っ払ってます(笑)
>バッキー・ピザレリ、ズート・シムスと演ってる・・イヤー当にそのレコードなんですよー!
ズートとバディーのヘタウマ、ヴォーカル皆に聴かせましたよ~!!
BTMさん、ごめんなさい! 歯止めききませんでした、、、酔っ払いました(笑)
ML2LONさん、サンタナ、トラウマ?・笑
ケッコウ、イケテマスよ~改めて聴いてみては」いかがでしょうか? 嵌るかもしれませんよ~(笑)
bassclefさん、ミンガスのピテカンの聴き比べもしました。 やはりオリジは偉大です。
これもトム・ダウトなんですよね~最近、レーベルとエンジニアの『音』創りみたいなモノにも興味が湧くようになってきました。 やはり、病気でしょうね~笑・・・
投稿: 54 | 2005年8月 7日 (日) 01:16
いやー毎日暑いですね。御存知のように山形は盆地で蒸します!夜家に帰ってレコードを取り出すと、ほのかに暖かいですから(笑) 針圧も冬場にくらべればちょっと軽くしています。
皆さんサンタナがお好きなようで(笑)やっぱり暑いときはラテン系が聞きたくなりますね。でもジャンルや古い、新しいに拘ることなく好きな音楽を聞くのが一番の暑気払いです!!
ML2LONさんbassclefさんブログはズボラナ私には無理です(笑) ところで54さんは酔っ払い中ですか?
お疲れのこととは存じますがレポートよろしくお願いいたします(笑)
投稿: BTM | 2005年8月 6日 (土) 23:48
54さ~ん・・・今頃は、どうにもお好きな(らしい)
酒と、もちろん数々のオリジナル盤の芳香とに、クラクラに酔ってしまったのでしょうか(笑)
>バッキー・ピザレリ~ズートシムスと演ってる1枚しか、知りません(笑) でもこの人、ソロなんかもシングルトーンでなく、「和音でのソロ」巧いですよねえ。渋いセレクトだなあ。
「杜の会」・・・お疲れさまでした。また、会の具合など教えてください。
投稿: bassclef | 2005年8月 6日 (土) 21:15
ML2LONさん、こんばんわ。九州では「杜の会」さぞや盛り上がったことでしょうね。ML2LONさん、14日にはSPUさん宅、行かれるじゃ?関東と信州、案外近いですよね。
サンタナ~とにかく独自の個性ありますよね。73~74年頃だったか・・・TVのCMで(PILOTだったか何か)サンタナのキャラバン・サライの中からの1曲が流れてました。あれ・・・印象に残ってるなあ。 ああ、それと・・・
>BTMさん、ぜひML2LONさん要望のブログ、
どうですか? パソコン嫌いの僕なんかでも
「ココログ」というブログ(ニフティの無料サービス)で、この<夢レコ>始められたんだから。
説明を読んで、20分くらいで、とりあえずアップまでいきます。もちろん、タイトルとかくらいは、決めておかないとまずいでしょうが(笑)
投稿: bassclef | 2005年8月 6日 (土) 21:02
BTMさん。いやあ・・・なんのなんの!BTMさんの「原盤原理主義」と言い切ってしまう武士のような潔さ・・・こちらこそ負けられません(笑) 本線として聴く音楽の趣味は違えど、「自分にはこれだ!」という核を持ってるBTMさんには、すごく親近感を覚えます。これからもよろしくどうぞ。山形は・・・盆地と聞いてますし、夏は暑そうですね。こちらも連日、暑いです。猛暑に負けずに、聴きましょう!好きな音楽を!
投稿: bassclef | 2005年8月 6日 (土) 20:50
誤字訂正。
>好き物→好き者
>好例→恒例
失礼しました。
投稿: ML2LON | 2005年8月 6日 (土) 20:10
54さん、サンタナは当時(○年前?)友達に好き物がいて、車で伊豆に遊びに行ったときに車中でサンタナ(苦)聴かされた記憶があります(笑)今となっては青春の懐かしい思い出ですが。ソウソウ、bessclefさんの表現されてる「クイ~ン」と伸びるギターはサンタナのトレードマークでしたよね。
それとLive Under The Ski毎年の好例でFmでチェックして聴いてたなあ。懐かしいですね。
BTMさんも、ロック版プログいかがですか?いや、ほんと!
投稿: ML2LON | 2005年8月 6日 (土) 18:32
ヤッパリ、暑いですね。
今日の集いはYoさんが遠路お越しになりますので、ギターものを持っていきます。
ウエスとバッキー・ビザレリを持っていきます。
勿論、ミンガスも数枚(笑)、皆さんも自慢のブツを持ってこられるでしょうから、かけられるかどうかは判りませんが・・
BTMさん、ハイ!・・飲みすぎには充分注意しま~す!
bassclefさん、九州方面のことも気に掛けていただき、ありがとうございます。
それにしても音楽は無限ですね~楽しむぞー(笑)
投稿: 54 | 2005年8月 6日 (土) 11:53
おはようございます。たまに覗かせてもらっています。いつも思うのはbassclefさんのレコードに対する情熱は頭が下がります。私も負けられないと(笑)これからもよろしくお願いします。
54さん、飲み過ぎないように!!(笑)
投稿: BTM | 2005年8月 6日 (土) 10:45
54さん、朝コメント、ありがとうございます!
サンタナですか!そういえば80年ころだったか・・・ロリンズが目当てのLive Under The Sky(大阪万博公園)で、ハンコック+サンタナ見ました。「クイ~~ン」と伸びるサンタナの音が
野外に気持ちよく拡がっていきましたね。その
セットでは、デビュー間もない気鋭のトランペッターという紹介で、ウイントン・マーサリスが登場しました。あまり印象に残ってないんですが
(笑) 54さん、今日は「ニーノ・杜の会」ですね・・・ミンガスの、あの腹の底から湧き上がってくるようなウッドベースの音圧が、味わえるといいですね。
投稿: bassclef | 2005年8月 6日 (土) 08:44
おはようございます。
毎日暑いですね、こんな日はラテンに限る!なんて人もいるのでしょうね?笑 僕にとってラテンと言えばサンタナなんですなー、、レコード引っ張り出して聴いてます。 当時、ロックを主に聴いてましたときに、『オエコモバ』がラジオから流れてきた時には正直なんじゃこら?でしたが、今聴いても好いですね~泣きのギターとパーカッションが僕をダンスホールに連れて行ってくれます。 さあー朝の涼しいうちに犬の散歩行ってこよう!
投稿: 54 | 2005年8月 6日 (土) 06:02