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2005年8月21日 (日)

<ジャズ雑感 第4回> The Birdland Stars On Tour (RCA victor)

つい揃えたくなるvol.1とvol.2~アル・コーンというテナー奏者。

50年代のジャズレコードには、vol.1、vol.2 というシリーズものが、けっこうあるようだ。たいていジャケが同じで色違い、あるいは似たデザインのジャケで一対になっていることが多い。僕は・・・このシリーズものに弱い(笑) オスカー・ピータースンのEP盤(Clef)など、色違いで5タイトルは、あるらしい。運よく(いや、悪くか)1枚でも入手したら・・・絶対に残りが欲しくなるようにできている。ずるいレコード会社め。(笑) そんなシリーズ物~揃いのものも不揃いのものも~気に入っているやつを、何枚か紹介したい。

Manny Albam/The Jazz Greats Of Our Time vol.1(coral)  これは、けっこう音がいい。8月1日の「ジョー・バートン」で書いたMCA幻のLP選集からも洩れていたはずだ。(後に紙ジャケCD化はされた)
Many Albamは、TV・映画でも有名なアレンジャーだ。この手のビッグ・スモールコンボ(あるいは・・・スモール・ビッグバンドというべきか:笑)は、いいソロイストが入っているかどうかがポイントだ。そして、この「~Our Time」は、パーソネルがいい。以下、7人の管奏者とピアノ・ベース・ドラムスのテンテットだ。050801
Gerry Mulligan
Al Cohn
Zoot Sims
Phil Woods
Bob Brookmeyer
Nick Travis
Art Farmer
なかなか粒揃いのミュージシャンばかりではないか。Coralは相当の予算をかけたのだろう。その証拠に・・・ジャケには12コマの写真~個々のミュージシャンの演奏中アップ写真(tpのニック・トラヴィス以外)~を配し、「ご覧のとおりの豪華なミュージシャンですよ」とアピールをしているのだ。実際・・・どの人のソロもいい。シムスはもちろんのこと、アル・コーンも全然負けてないし、またこういう場面でのフィル・ウッズというのは、これまたいいソロをとるのだ。張り切り具合がいい加減(ちょうどいい、という意味です:笑)に出るようだ。マニーアルバムという人を知らなかったとしても、このての盤は、パーソネルで中り(あた)をつければ、大丈夫です。好みのミュージシャンが、何人かでも入っていればいいのです(笑) 僕自身、アル・コーンを好きになってきたのは、まだこの7~8年くらいで、きっかけは・・・スタン・ゲッツも何かの盤で取り上げている<オー・ムーア>という素晴らしい曲の作者が、このアル・コーンと知って、それで、もうぐ~んと興味が湧いたのだ。枯れたような味わいの音色を持つ、いいテナーです。こういう職人的な味わいのミュージシャンを好きになると、もうこれは、ある意味、大変です(笑) こういうタイプの人は、サブで参加しているような渋い盤が、あまた存在するので、欲しい盤が一挙に拡がってしまうようです。

そのアル・コーンが大活躍する盤がある。 050801

The Birdland Stars On Tour (RCA victor)vol.1 LPM-1327 と vol.2 1328 である。パーソネルは・・・Al Cohn、 Conte Candoli、 Phil Woods、Kenny Durham(ジャケには、DorhamではなくDurhamと表記されている) John Simmons、 Kenny Clark、 Hank Jones。 この盤もいいメンツである。ず~っと欲しかったのだが、なかなか日本盤が出なかったはずだ。1年ほど前だったか、ようやく揃いで入手した。2枚とも、ジャケの左上には、「変な鳥がサックスを吹いているイラストとBirdland Series」というロゴが入っている。ジャケ右下のRCA Printed in USAのRCAの前にはCマーク(〇印で囲まれた)が付いている。レコード番号も連番になっているので、端(はな)から2枚分を発売する意図だったのかもしれない。1956年のライブの録音~モノラルということで、音質はそれほどいいとは感じないが、そんなことより演奏がいいのだ。アレンジの仕事が多そうなアル・コーンも、ここではソロをふんだんにとっており、ふくゆかなコーンの音色をたっぷりと味わえる。コンテ・カンドリやフィル・ウッズの張りのあるソロも聞かれる。この2枚は・・・機会があったら、ぜひ聴いてみて下さい。

さて、もう一対。こちらもRCA系だが、Vikレーベルから出た2枚だ。
Birdland Dream Band vol.1 (Vik) LX-1070
Birdland Dream Band vol.2 (Vik) LX-1077

DSCN0814 何年か前に、BMGから復刻LPで出たはずだ。これは、メイナード・ファーガスンのリーダーアルバムと言えるのかもしれない。というのは・・・正確に言うと、僕の手持ち盤の LX-1070の方には、「vol.1」と表記されてないのだが、1077の方には、Maynard Fergusonという名前と volume2 が表記されているのだ。よくあるケースだが、1070を発売したら、案外に好評だったんで、残りテープを集めて「vol.2」として発売したのかもしれない。その際、ファーガスン名義とした方がより売れるだろう、ということだったのでは、と思う。この2枚は、もちろん同じVikレーベルだが、微妙にジャケやセンターラベルの形式が違うのだ。共に、ジャケ右下に小さくRCA printed in USA とあるのだが、1070の方には、RCAのすぐ前に、「Cマーク」が付いている。そうして、1077(vol.2)の方には、RCAの前に何もない。センターラベルについても・・・Vikという字体、ラベル色などは、全く同一だが、LX-1070の方は、ラベルに印刷された同じレコード番号のすぐ下にA面(G4JP-7605)、B面(G4JP-7606)と表記されており、vol.2には、LX-1077という番号の下には何もない。 一般的に言って、CマークとかRマーク(なんらかの商標)が付くほど、時代が「新しい」はずだ。だから、僕の手持ち2枚は、1077(vol.2)のCマークなしが、オリジナルVikで、1070が、後年の再発Vikかもしれない。
この2枚は、完全にビッグバンドの編成で、vol.1の方は以下~
トランペット~4人(ファーガスン、ニック・トラヴィス、他2人)
トロンボーン~2人(ジミー・クリーブランド、エディ・バートかソニー・ルッソ)
サックス~4人(アル・コーン、バド・ジョンソン、ハーブ・ゲラー、アーニー・ウイルキンス)
これに、ハンク・ジョーンズ(p),ミルト・ヒントン(b)、ジミー・キャンベル(ds) というリズムだ。さすがに、ドリームバンドというだけのことはある。アレンジャーにもビル・ホルマン、マーティー・ペイチ、マニー・アルバムなど起用したようだ。バンドのサウンド・・・これはもう「張り切ったビッグ・バンド」だ。ファーガスンの「キンキン」の高音トランペットには、本能的にバンドメンを煽る(あお)機能があるみたい(笑)で、全体にすごくハイ・テンションな感じだ。だから・・・ところどころに出てくるトロンボーンの、ちょっと「緩い音色」~多分、ジミー・クリーブランド~や、テナーのアル・コーンのソロに、「ほ~っ」とするのは、僕だけだろうか(笑) でも、ファーガスン・・・たまに聴くとスカッとしますね。56年のこの頃からかなり有名だったわけで、ちょっと後の60年代初期のルーレット時代にも、とてもいいバンドを組んでいる。ファーガスンて、けっこうバンドのバランスを考えてるようで、サックスセクションにいいソロイストを配置してるようだ。ルーレット盤では、ジョー・ファレルが大活躍している。ああ、話しが脱線してきたぞ・・・このルーレット盤については、また別の機会に書きます。

さて、この「バードランド・ドリームバンド」。このバンド名からも、つい「バードランド」でのライブ録音かと勘違いしていたのだが、今、よくジャケ裏を見ると・・・「メイナード・ファーガスン指揮で、1956年9月7日、11日に、ウエブスターホール&スタジオ2で録音」と書かれているのだ! そういえば、拍手などどこにも聞かれない。それにしても、ジャケットの写真がバードランドでの演奏中のものなので、(あの「ステージ後ろのカーテン飾り」で、それと判る)ライブ盤だと錯覚してしまうのも無理はないなあ。ここでも・・・「ずるいレコード会社め」だ(笑) なお、vol.2は、56年9月24日、25日録音となっており、パーソネルも若干だが、変更している。

ちょっと余談だが・・・この頃のジャズのひとつのカテゴリーとして「東海岸の白人ジャズ」がある。この言葉は、僕の知る限り・・・ジャズ批評などにもたびたび登場する「吉岡祐介」という評論家が、言い始めた言葉(概念)のはずだ。イースト=黒人、ウエスト=白人 という単純な図式で語られることの多いジャズのスタイル(便宜上、分けるとき)に~いや、それだけじゃ無理だ。
実際には、「東海岸の白人ジャズ」みたいなカテゴリーが存在しているぞ~というような主張だったはずだ。(記憶が定かではないが、多分・・・ジャズ批評の「ウエストコースト・ジャズ」の特集号に掲載されていると思う)*[その後、吉岡氏ご本人からコメントを頂き、この記事はジャズ批評「ジャズ・50年代」に収録されているとのことです。興味の湧いた方はぜひ!]     どういうわけか・・・この「吉岡説」は、あまり広まらないようだが、僕はこの主張を全面的に支持したい。というのは・・・僕自身、昔はあまり興味のなかったハル・マクージックやアル・コーンらの演奏を、主にCoral系のレコードで、愛聴するようになってから、いわゆるウエストコーストとはちょっと肌合いの違うクールさ~ウエストものほど「カラッ」としてない~そんなものを意識し、またその雰囲気を嫌いじゃないぞ、ということを自覚してきた頃に、ちょうどこの「吉岡説」を読んだので、ピタリと合点がいったからなのだ。

先に「あるカテゴリー」のスタイルやら特徴を意識して聴くのではなく、偶然に聴いたレコードで、あるミュージシャンを意識し始め、その周辺を聴き込んでいったら・・・どうやらそれが「~と呼ばれるカテゴリー」だった、という流れでジャズを聴けること。僕はそれをとてもシアワセなことだと思う。カテゴリーというのは、便宜上、説明するのに、後付で考えた言葉(概念)であり、それ自体にとらわれて、「これは、~というカテゴリーだからいいんだ」なんてことはやはり・・・むなしい。やっぱり・・・まずは、「人」だと思う。ある「人」に興味を覚え、だからいろいろ聴いてみて、そうして「その人の個性」を好きになる(あるいは・・・嫌いになる)というようなことが、それを聴く本人にとって、意味があるのだ、と思う。(もちろん、どんなミュージシャンを好きになるかは、全く自由なわけだし) それにしても・・・ジャズの世界には、いろんな個性がある。ありすぎる(笑)  そして・・・やっぱりジャズは、やめられない。

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