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2005年7月29日 (金)

<思いレコ 第3回> マイルス・デイヴィス/マイルス・アヘッド

なぜか・・・ふと、思い出すメロディ。

050502_002マイルスといえば、ジャズを長いこと聴き続けてきて、僕が何度も実感していることがある。それを「マイルス特効薬」とでも言おうか・・・。
レコードって、聴くのにも「ノッてる時」と「ノッてない時」があるようで、ノッてる時は、「聴きたい」と思うレコードが、迷うことなく次々にアタマに浮かんでくるのだが、そうでない時は「あれを聴こう!」というレコードが思いつかないのだ。無理やり何かを手にとってみても・・・「音がイマイチ」「ドラムがうるさい」「曲がよくない。」などと、聴く前から、なぜか否定的なイメージばかり湧いてきて、なかなか前向きな気分になってこないのだ。
こんな感じ・・・多分、レコード好きの方なら、何度も味わっているのではないだろうか。そんな時、僕は・・・マイルスを聴くのです。たいていの場合、Columbia時代の初期~中期の盤から選ぶ。どの盤でも大丈夫です(笑) マイルスさえかければ、さっきまでの「ノラない気分」は、キレイさっぱりなくなって、「ああ。ジャズっていいなあ・・・」と素直に思えてきます。

ジャズファンを長年続けていると、やはり、ある「好み」が生じてきます。僕はテナーが好き。いやアルトがいい。オレはトロンボーンが好きだ。やっぱりピアノだよ~という具合に、特定の楽器に対する好み。それから、バップ、ハードバップ、ウエストコースト、新主流派、フリーなど、それからヴォーカル。 ある種、ジャズのスタイルにもやはり好みがはっきりしてくるようです。そうしてそれぞれの好みの軸になるような「特別に好き」なミュージシャンが、現れてきたりするのです。マイナーなミュージシャン、マイナーな盤へも目が向いてくる。そうして「渋い盤」ばかり集めるようになったりする。これも実に楽しいジャズのレコード道楽だ。だが、そればかりだと、やはり、退屈してくるのだ。「渋いもの」は、ときどき聴くからいいのだ。(次回ブログのテーマ「渋いピアノトリオの盤」~近日公開予定です:笑) 多分・・・この「聴きたいレコードないない病」というのは、だれもがなりうる病(やまい)です。持っているレコードの枚数には関係ないと思う。ひょっとしたら、レコードをたくさん持っている人ほど、この「ないない症状」がひどいかもしれない(笑) 

ジャズを好きになっていく頃には・・・おそらく、誰もが素直に「ああ、マイルスっていいなあ・・・」と感じたはずだ。逆に言えば・・・そう感じた人が、その後もジャズを聴き続け、ジャズという音楽を好きになっていくタイプ、ということかもしれない。 マイルスの音楽には、いわゆる、モダンジャズの「かっこよさ」(もちろんスピリッツも含めて)が、全て備わってる、と思う。 曲(テーマ)の聞かせ方、アドリブの凄さ・おもしろさ、ジャズのビートの醍醐味(チェンバースとフィリージョー)・・・そうして、曲が終わると気付く、その見事な「構成力」と完成度の高さ。僕はマイルスの「ラウンド・ミッドナイト」をジャズ経験の、ごく初期に聴き込んだ。例えば、マイルスのミュートをかけた「深い音色」で奏でられる<ラウンド・ミッドナイト>。テーマの終わり部分になってから、終わりそうでなかなか終わらない<オール・オブ・ユー>。コルトレーンとマイルスがテーマを、タイミングをずらしながら「非ユニゾン」で吹く<ア・リューチャ>~あんなにワクワクさせられた音楽ってそうはない。それから「カインド・オブ・ブルー」~僕はこの盤を高1の夏に買ったので、そのひと夏、何度も聴いた。そうして、その夏の終わり頃に聴く、この<フラメンコ・スケッチ>には、何かこう・・・胸がしめつけられるような切ないようなものを感じたりした。

そんなわけで・・・聴きたい盤が見つからない時には、マイルスさえ聴けば、もう理屈ぬきに「モダンジャズ」の音世界に入っていけるのだ。 だから、「聴きたいレコードないない病」の「特効薬」は、僕にはマイルス・デイビスなのだ。もしあなたが「ないない病」にかかったら、マイルスが特別に嫌い、ということでなければ・・・ぜひマイルスを聴いてみてください。すかっとしますよ、きっと。その後に、ガーランドでもハンコックでも、もちろんコルトレーンでも、あるいは、キャノンボールでも。それにビル・エヴァンスへ走ってもいいかも。マイルスという大きい幹には、あらゆる枝葉がくっついている。ジャズ聴きが長くなり、知らぬ間に枝葉の方にばかり拘ってきて、そんな時、ジャズを聴くのに疲れてきたら・・・たまには、幹にすがりついてみる。目をとじてその太い幹に腕をまわしてみるのだ。よどんでいた気分は、たちまち、リフレッシュされ、再びジャズを聴く意欲が湧いてくる。

そんなマイルスのあまたのLPの中で、特に好きなのが、これだ。マイルス・デイビス/マイルス・アヘッド(columbia/CBSソニー)普通の日本盤です(笑) もう1枚は、80年後半(by「夜明けさん」コメント情報。Thanks!)に出た「ステレオ盤」(米columbia)これがオリジナルステレオ録音ということで、すっきりしたいい音質だ。全曲が別テイクとの説もあるようだが、はっきりしない。今では、モノ盤より、このステレオ盤の方を聴くようになっている。050502_003右側の1枚は「ポギーとべス」(英盤)ジャケのデザイン、案外悪くない。音もまずまず。

仕事でクルマ運転中とかに、ふと思い出したりするメロディがある。たいてい、その時には・・・ただメロディだけが浮かんでくる。そうしてその曲を包んでいる「雰囲気」を思いだす。ところが・・・その曲名が出てこない。「ああ・・・あのメロディだ。何かで聴いてる。絶対、持ってるLPだぞ・・・何だったかなあ・・・」その曲名は、だいぶ後から唐突に「ぽんっ」と思い出したりする。というより「そのLP」が何であったか、を思い出すのだ。また、何げなくLP盤を聴いてる時に「ああ・・・あの曲はこのLPに入っていたのか」ということもある。とにかく・・・どのLPかさえ思いだせば、こっちのものだ(笑) 

そんな経験をよくする。そして、その「音ネタ」が、なぜだか・・・マイルスが多いのだ。マイルスの吹くメロディの一節が、そのサウンド全体のイメージと共に「プお~」とアタマの中で鳴ってくるのだ。今では、鳴った瞬間に「ああ、あれだ」だ、と判るが、そうなるまでに、何度も繰り返された「メロディ」がある。
それが、この「マイルス・アヘッド」に入っている<The Duke>だ。ちょっと軽妙で、しかし少しだけ哀愁を感じさせるメロディ。これが・・・よく鳴る(笑) 僕は、ジャズ好きによくあるように・・・デイブ・ブルーベックが嫌いだった。デスモンドは好きだが、ブルーベックはダメだった。ところが、このどうにも気になる曲<The Duke>の作者が・・・ブルーベックだったのである(笑) ブルーベックに<In Your Own Sweet Way>というチャーミングな曲があることは、ビル・エヴァンス絡みで知ってはいた。 それにしても、こんないい曲を書く人か・・・これは見直さねばいかんな(笑)くらいは思いました。その後は・・・ブルーベックのこと、「好き」というわけではないが、デスモンドのテーマが終わり、ブルーベックのソロに入っても・・・途中で針を上げたりはせずに、再びデスモンドのテーマが出てくるまで、我慢できるようになりました(笑) 

思いだすメロディ・・・このLPから続くことが多い。<Lament>だ。JJジョンソン作のバラードである。渡辺貞夫も大好きな(多分)曲だ。この曲も本当にいい。このメロディが聞こえてくると、何かこう・・・「キリッとした男の決意」みたいなイメージが湧いてきて、なんだか荘厳な気持ちになる。もともと、このLPは、いろんな曲が、つながっていて組曲風に聴けるようになっている。だからなのか、さらに思い出してしまうのが<My Ship>だ。 これは、案外有名なスタンダードで、マイルスは、ほとんど原メロディを吹いてるだけなんだが、この「マイルス・アヘッド」の流れに中で、聴かされると・・・何か別の曲のように聞こえる。説明しづらいのだが、「普通のスタンダード」という感じではないのだ。どうやら、ギル・エヴァンスの「哀愁アレンジ」が醸し出すあのアトモスフィア(雰囲気)に、この盤全てが、包み込まれてしまったのかもしれない。そうして、そのアトモスフィアに、マイルスの「あの音色」が溶け込んでいく・・・。どうにも魅力的な音楽だ。ああ・・・マイルスは素晴らしい・・・。

未知だったものを知っていく喜び!~たとえそれが古い時代の音源でも~  ジャズはまだまだおもしろい!(Yo氏登録商標) PS:~Yoさん。いいフレーズなので使わせてもらいました。ジャズメンも、時には、フレーズ真似しますから(笑)

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