<発掘レコ 第1回> 小林旭/大いに歌う(コロムビア)25センチ盤
リサイクルショップの楽しみ~恐怖の相対性レコード。ごく稀に「発掘」。
リサイクルショップには、時々寄るようにしている。ジャズの在庫は、ほとんど期待できないが、ジャンク品のLPやシングル盤の中に、けっこう捨てがたいものがあったりするのだ。価格は、40円とか50円から、せいぜい200円くらいまでが一般的だ。
(ところが最近は、ちょっと古い70年台のロックLPなんかに、やけに強気の値付けをしてくる。ビートルズなら、もう何でも3000円とか。変な知恵がついてきたようだ(笑))
そんなリサイクルショップでは・・・しばしば、「魔の相対性理論」を身を持って味わうことになる。
僕の経験では、リサイクルショップのLP盤在庫で、最も多くみかけるのは、ニューミュージック系(アルフィー、オメガトライブ、甲斐バンドなど)とアイドル系(松田聖子、西条秀樹、シブガキ隊、近藤真彦など)です。
この辺りになると、50円でも誰も買いません。何が「カイ」バンドでしょうか(笑) さて、こんなレコード達の群れを一枚一枚チェックしていくと・・・そうですね。およそ10分ほどで、脳髄が「真性ジャンクLPウイルス」に侵されてきます。このウイルスは強力です。よほどの強い意志力がないと・・・やられます(笑) まず、オメガの群れの間にチラッと見えるエポや竹内まりやが気になりだします。エポ、けっこういいし、まりやも悪くないよな・・・100円なら買っとこうかな?てな具合に。それから、僕のような人間には、とにかく「古い」ものが、新しいものより良く見えるんです。近藤真彦や西条秀樹なんかの間に「フォーリーブス」や「にしきのあきら」を発見すると、ちょっと手が止まりかけたりします(笑)
こんな具合だから、「森山良子」「やまがたすみこ」「尾崎紀世彦」などが出てくると、かなりの「価値」を感じ、一度は手が止まります(笑) 本来、自分が全然好みでないタイプでも、100円なら持っててもいいかなあ・・・という感じになるのです。あまりにたくさんの<マイナス100>を見続けると、<マイナス30>でも「いいもの」に感じたりするようです。
実に怖ろしい、相対的「錯覚」です(笑)。
「洋楽」においてはさらに顕著です。一般に・・・リサイクルショップの値付けにおける価値観は、明らかに、洋楽>邦楽です(笑)
その証拠に、中古LP~邦楽100円、洋楽300円などと値付けに差をつけているショップも多いのです。正直に告白すると、僕は、この値付けに必ずしも反対ではない。50円と300円でもいいかもしれない。(もちろん全てに、ということではないです) 世代的にも、洋楽から音楽にはまってきたので、単純に「かっこいい」という先入観はぬぐえないものがあるのかもしれない。
洋楽の在庫で多いのは・・・これはもうノーランズでしょう(笑) ABBAも多い。ビリージョエルもあなどれない(笑) でも・・・オメガ攻めにあった後に見るABBAなんかは、ポップでいいメロディで悪くないじゃん、くらいに思う。ビリージョエルのなんと本格音楽志向の格調の高いことよ!(ビッグヒットを連発させたので、リサイクルショップでは在庫過多だが、ジョエルにはいい曲が多い。”Just The Way You Are”なんて最高!(あのかっこいいサックスのソロは誰なんでしょう?)
さらに・・・ちょっと古いインストもの(というより軽音楽)が出てくると、さらにココロ惹かれる。ポールモーリアやレーモンルフェーブルまでは、「まあ、やめとこう」とがまんできるのだが、「サム・テイラー」や「シル・オースチン」を
発見すると・・・かなり、危ない(笑) ジャズ好きもある程度までくると、僕はギター好き、オレはアルトだな、と各々の好みが、特定な楽器に分かれてくる。僕の好み~これはもう・・・テナーだ。テナーの音自体が嫌いじゃないので、ジャズメンが演奏する<テナーによるムード歌謡もの>みたいなのも、一応押さえておきたくなる。(笑) さすがに全曲が演歌、というのはちょっと厳しいのだが、この手のLPって、たいてい半分くらいはスタンダード曲が入っているので、好きな曲が何曲か入っていて、ミュージシャンが、松本英彦、宮沢昭なら、うれしく抜き取ることになる。 右のレコードは、「エース7」というグループ名義による「夜のヒットスタジオ」(RCA)というイージーなタイトルのムード歌謡盤だが、松本英彦や、鈴木勲が入っている。その右側にチラっと見えるジャケは東芝の歌謡ムード盤だが、テナーは宮沢昭だ。
こんな風にして、リサイクルショップで「相対価値盤」を、いろいろ集めてきたが・・・そんな中、真に<発掘レコ>と呼べるのは、これしかないだろう。
≪小林旭/ 大いに唄う ≫ (コロムビア AL-182)
25センチ盤だ。(この場合、10インチと呼ぶのは似合わない:笑) 3~4年前には、コロムビア時代~クラウン時代の全音源が、CD化されたようだ。この時代の25センチ盤には、ジャズとはまた別の「オーラ」を感じる。ちょっと、歪んだオーラではある。(笑) この盤は、残念ながら、退色が進みつつある。僕の「購入リスト」によると・・・95年の9月24日(日)に入手している。
大量のクズ盤の中から、この25センチ盤がチラッと見えた時、もうダレきっていた僕の脳髄のどこかに、「ぱっ」と閃光がきらめいた! これはもう・・・「超」相対性だ(笑) ただの25センチじゃあないぞ。あの小林旭だ。まだ、小林旭が本格的に再評価される前だったが、何枚かのシングル盤を聴いていたので、「全てを突き抜けたような何か」を感じさせる、どうも気になる存在だった。この盤で、ほとんどの曲を初めて聴いたのだが、中でも<オレに逆らうな>には、本当に驚いた。「~どいつもこいつも・・・オレに逆らう奴は・・・(とタメておいて)ぶっとばすっ!」てな歌詞の唄が、信じがたいほど、堂々と唄われるのだ(笑) オソロシイ歌手である。小林旭は・・・。今でも、時々聴くのだが、そのたびに・・・理屈ぬきに・・・笑い出してしまう。素晴らしい!
一番上の写真は、与田輝雄とシックスレモンズ(コロムビアAL-215)と松本英彦のポリドール盤だ。この頃のデザイン、嫌いじゃあないのです。
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