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2005年6月29日 (水)

<やったあレコ 第1回> ドン・エリオット/メロウ・サウンド(Decca)

あるビル・エヴァンス・マニアの告白~「デッカの犬ジャケ」レポート。

~このブログ<夢見るレコード>を始めて、ちょうと一ヶ月だ。<旅レコ>で書いたように、初めていったホンコンでは、あの暑さにうだりながら、レコード探しをしてきました。それ自体は、おもしろかったのですが、いかんせん、何が出てくるかワクワクしながら探すような「中古盤屋」は見つからなかった。ましてや「オリジナル盤」なども皆無。(もちろん、ホンコンほどの都会なら、どこかにそういうお店もあったのだろうが、それらを探し出すのは、3泊4日のツアーでは、とても無理だった) そんなホンコン編ゆえ、やむなくCDの紹介が続いてしまった。不本意である。(笑) 僕は、もうどうしても、ジャズのLP盤が好きなのだ。できればオリジナル盤が欲しいのだ。(あたりまえですね:笑) そんな訳で、vinyl ジャンキーの一歩手前の僕としては、やはり、「LP盤」も紹介していきたい。 ようやく<やったあレコ>の出番だ。

さて・・・前回の<ジャズ雑感 第2回>で書いたように、例えば、ビル・エヴァンスの参加盤で、長い間、国内発売されなかった盤~Guys and Dolls Like Vibes(coral)やら Jazz In the Space Age(decca)も、近年、ビクターから「MCA幻のLP選集」として復刻されたりした。まさに「マテバ・カイロノ・ヒヨリアリ」だ。長年のエヴァンスのファンなら、もう買うしかなかっただろう。推定、全国で2000人くらいは、即、購入したのではないだろうか? ファンとしては、やはり、とにかく、「聴いてみたい」のだ。

そんな中でも、どうしても出なかった盤がある。そんな一枚がこれだ。 
Deccaの≪Don Elliott/The Mellosound≫ 1958年2月録音。

  CIMG0008















<Jazz Hero’s Data Bank>とういう本。前回は、「曲名」の威力をコメントしましたが、「写真」の威力も、 相当に大きい。写真の記憶というのは、理屈じゃない。絵柄とか全体の感じ・・・そんなようなイメージが、何かの拍子に「ぱっ!」と思い出されるものだ。たぶん、意識してなくても、記憶の底に残っているのだろう。                                   めったにあることではないが、廃盤店のエサ箱でも、床置きのバーゲン箱でも、あるいはネットでも、「おっ、これは・・・」と自然に手が止まったりする。(笑) とにかく、ある特定のジャケットを発見すると・・・もちろんそのジャケットを見ただけで、全てのデータが浮かんでくるわけではない(笑)が・・・脳髄のどこかに残っている「レコ買いフィルター」に引っかかるようです。(笑)
それも、この本でいろんな探求盤の、そのジャケット写真を何度も見ているからこそだろう。

この盤は、ネットで見つけたのだが、この犬の顔を見た時、ドキッとした。  ただの気持ち悪い犬の顔なのに(笑)・・・しかし、これが「レコ買いフィルター」に引っかかったのだ。Don Elliott なる名前からピンとくるのは・・・もう Bill Evans くらいのものだ。さっそく、<Jazz Hero’s Data Bank>でチェックする・・・うん、やっぱり evnas 参加アルバムだ、間違いない!

・・・そうして、ようやく、この盤~Deccaのオリジナル盤を手にいれた。初めて聴ける、この一枚!データによれば、録音は1958年2月。58年なら、 悪いはずがない。・・・さあ聴くぞ!気合入りまくりの僕・・・。        

残念ながら・・・エヴァンスのソロは、それほど多くはない。ほんの数箇所、それも短いソロスペースしか与えられてない。
・・・いやしかし、僕は誇り高き、エヴァンスの enthusiastsである(笑) いいのだ。 その何十秒があれば、いいのだ!わずか8小節でも16小節でも、エヴァンスのソロさえあれば・・・あの、揺るぎのないタッチから生み出される硬質なフレーズさえ聴ければ・・・。やや苦しい僕ではある(笑)
そんなわけですが・・・せっかくなので、熱狂的なビル・エヴァンスのファンの方に、少しこの「メロウ・サウンド」の中身をお知らせしたい。DSCN0763
とりあえず、A面の6曲を・・・。

A面1曲目:A Million Dreams Ago
~いきなりハープの音がシロロン~シロロンと・・・女性コーラスも朗々と・・・(笑)  よく見れば表ジャケッとのDon Elliottの 下に小さく ~and Choir(聖歌隊とか合唱団の意味だろうなあ)と書いてあるじゃないか・・・。
しかし、たる~い女性コーラスが、ふわ~っと流れた後、「ドンッ」とブレイク。ここからいきなり、エヴァンスの鋭く切れ込む 1小節のフレーズが! おおっ。これぞまさしくエヴァンスだ!  素晴らしい!このままミディアム・スロウのテンポでエヴァンスのソロが9小節続く。

2曲目:It’s Only A Paper Moon
~16小節のソロ。この間、バックはベースのみ。ただこのベース奏者は、もちろん、フツウに淡々と4ビートを刻むのみ。それでもエヴァンスのソロは、 ノッているようだ。最後の4小節では、エヴァンスお得意のブロックコード風ユニゾンフレーズが出てきて、思わずうれしくなる。

3曲目:Dinah ~ソロなし。

4曲目:Blue Waltz
~ 3拍子の曲で、ほとんど女性コーラスだが、中間部で、再びエヴァンス登場!16小節を、これまた全てブロックコードで。おそらく、Deccaレコードのプロデューサーからは「ムード・ミュージック路線で」という指示があったに違いない。しかし、我らがエヴァンスは、一見、コードだけで「甘~く」弾いているが、その内実は・・・相当に、新しいサウンド(ハーモニー)を鳴らしてます。

5曲目:Poinciana ~ソロなし。

6曲目:Play Fiddle Play
この曲は、わりと有名だ。マイナーの曲調が、ちょっとモードっぽくもあり、そのため、~8小節のイントロがエヴァンスのリードで聴かれる。かっこいい! 中間部・・・ここで、エヴァンスのソロだ。出だしからちょっと強めのタッチで、気合の入った16小節のソロ。う~ん、ノッてきたなあ・・・と思ってると、次のギターソロに移ってしまう・・・。ちょっとがっくりする僕・・・しかし、最後のテーマの間のつなぎ部分で、4小節だけ、エヴァンスのソロが出る。これも、さっきのソロの続きのような感じだぞ・・・多分、さっき、もう少し弾きたかったはずのフレーズをここにぶち込んだに違いない(笑) と熱狂的エヴァンス・ファンの僕は、そう思い込むのであった(笑)

そんなわけで、こんな「変な犬のジャケット」盤を入手できたのも・・・前回に紹介したJazz Hero’s Date Bankのおかげなのです。まだまだお世話になりそうな僕の強い味方のようです。

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2005年6月26日 (日)

<ジャズ雑感 第2回>JAZZ HERO'S DATA BANK~僕の強い味方

ジャズ・ヒーローズ・データ・バンク(JICC出版局) 使えるデータがいっぱいだ!

DSCN0741 この本は・・・すごい。ハードバップ期の主要なミュージシャンの参加したレコードが可能な限り集められて、年代順にリストされている。あとがきによれば、40名/5000タイトルとのことだ。これらの録音年月日はもちろん、演奏曲目、パーソネルまでもが、しっかりと表記されている。それから、白黒だが、とにかく全点にジャケット写真が付いているのだ。(ほんの一部タイトルだけ写真なし) マイルスやコルトレーン、ロリンズやモンクなどのディスコグラフィーなら、わりと見かける。しかし、ケニー・ドーハムやドナルド・バード、ハンク・モブレイやジョニー・グリフィン、またトミーフラナガン、ケニー・ドリュー、ホレス・シルヴァー、レイ・ブライアントなど、ちょっと渋めのミュージシャンに、これだけのページを割いた(さいた) ディスコグラフィーなんて、これまでにあっただろうか。さらに、この1991年の時点で、チェット・ベイカーやアート・ペッパーまでも載っている、というような本は、日本では間違いなくそれまで存在しなかった。                                   この頃、もう本格的にジャズの、特にハードバップ時代のLP盤を集め始めていた僕には、彼らの~あの時代の本当に、それぞれの個性が溢れる魅力的なミュージシャン達~のリーダーアルバムだけでなく、全ての参加レコード(判っている限りの))が、年代順に並べられ、しかも写真付きで見られるのは、とてもうれしかった。「これはすごい!」は大げさな感想ではないのだ。 1991年7月の発売、定価は3200円。当時としては、3200円というのは、けっこう高かった。(いや、今でもか)しかし、ジャズが好きで特にハードバップ大好きで、レコードを集めている人間にとっては、この本の価値は絶大であった・・・3200円はむしろ、安かったはずだ。僕も、即、購入した。DSCN0739

使い始めてすぐに、ある欠点に気づいた。僕の場合、アルファベットのG(stan getz)やらC(sonny clark)やらを頻繁に見る。それ以外にも、あるミュージシャンが気になったりすると、すぐにそのミュージシャンのレコードを確認するわけだ。そんな場合に、うまく目的のアルファベットの開始ページを探り当てられないのだ!人名というのは面白いもので、BとかGとかMなどは、
数が多いのだが、AとかHの人名は、うんと少ないのだ。だから、「H(hampton hawes)は大体、この辺りだろう・・・」と探っても、なかなかそのページを開けなかったりする。(笑) これにはイライラさせられました。そうして「これはイカン!」とも思いました。普段はずぼらな僕ですが、好きなジャズ研究(笑)のことで、たびたび発生する不便は我慢できません。僕は、すぐに手製インデックスを作り始めました。タテ1.5cmくらい、ヨコ4cmほどの紙片を切り抜いて、ヨコ長の紙片を二つに折り、ページをまたぐようにして、 A~F、G~Yまでの紙片を、それぞれの該当ページに貼り付けました。この貼り付け方にもひと工夫。まず「A」を一番上の方から貼り始め、1.5cmづつずらしていくと 「K」で、本の下4分の3あたりまできてしまう。あまり下の方だと、ページが括りにくい。そこで次の「M」からは、また本の上から始めることにした。さっき貼った「A」と、高さは同じ位置なのだが、本の厚さが6cm以上はあるので、全く重ならないのだ。これなら見やすい!折り返しの「M」から「Y」まで、また順番に貼り付けて、ようやく完了だ。不器用な僕は、この作業に苦労したが、その甲斐あって、ものすごく使いやすくなった!しばらくの間は、用もないのに、M!(mobleyやらmcleanなど)とかD!(donaldson、drewなど)とか、指定のページに素早く到達できる状態を、楽しんだりしてました(笑) そんな風だから・・・この本、もうボロボロである(笑)
DSCN0740本の中央辺りが、Gなんだが、Stan Getz、を頻繁にチェックしたせいか、p241からp272の部分が、背のボンド着けから脱落して外れてしまっている。これだけ使い込まれれば、こやつも本望だろう(笑)
  
僕の場合は・・・あるミュージシャンを気に入ると、しばらくは、そのミュージシャンのレコードを集めていくことになる。(もちろん、ほとんどは国内盤での話しです)そうすると、prestige とか riverside、bluenote など有名レーベル原盤のものなら、年月をかければ、ある程度はなんとかなる。その時、廃盤でも、過去20年くらいまでには、たいてい一度は、国内盤として発売されていることが多いのだ。(もちろん、その国内盤中古でも、一時はどれもこれもがレア扱いで、平気で4000円とかにもなったタイトルもあったようだが今は、それなりに落ち着いてきたようだ。)また、復刻で再発されることもあるからだ。 しかし、それはジャズの専門レーベルについてである。   例えば、Decca,Coral,ABC,Warner などのレーベルだと、契約の関係からか、過去にも数点しか発売されず、これからもなかなか国内発売されないようなタイトルが多い。もっとマイナーレーベルだと、さらに入手困難だ。例えば、Bill Evansの場合~Secco [The Modern Art of Jazz] や Carlton 「Free Blown Jazz] などだ。これらは、59年頃とされるトニー・スコット(cl)とのセッションで、なぜか他にも Perfect 「My Kind of Jazz] などに分散されて発売されたらしい。この辺りのレーベルになると、日本復刻はまず望めない。
この<トニー・スコットもの>については、何枚かフレッシュサウンドでLP復刻されていたが、完全ではなかった。そうこうしている内に、そのフレッシュサウンドから、決定的なCDが出たのだ。前述の3枚分の音源に加えて、これら3枚以外にも分散していた残り3~4曲も網羅した Tony Scott & Bill Evans~A Day In New York(freshsound)2CDだ。DSCN0746

このような復刻CD、復刻LPが出た時にも、この本は威力を発揮する。復刻の場合、タイトルそのものやジャケ写真が変わったりするケースが多い。そんな時は~収録曲名、録音年月、それからパーソネルなんかを、この本でチェックするのだ。国内復刻の場合なら、たいていジャズ雑誌の広告やら小パンフに載っているあるので、それを本のデータと照合する。最近の復刻は、ほとんど、セッション単位で完璧なので、ほとんど安心だ。(CDなら未発表テイクもつくこと多い)  難しいのは、大手のCDショップや廃盤店で、全く予備知識のない「復刻盤」を見つけた時だ。特定ミュージシャンの場合で、未入手音源の場合なら、(多少のダブリや、セッションでの欠損の曲があったとしても)ほとんど買ってしまえばいいが、好きさ加減が微妙なミュージシャンの場合は、ちと困る。入れ込み度が薄い分だけ、記憶があいまいなので、「持ってるかもしれないなあ・・・いや、やっぱりこのセッションの2曲は持ってないぞ・・・」とか迷うのである。ほんとは、<レコ買い>の時は、常にこの<ジャズ・ヒーロー>を持ち歩いていけばいいのだが。さすがにそこまでの根性は・・・僕には、ない(笑)
ただ、こんな時、最後に、ダブリかどうかを判断するのは、僕の場合は、「曲名」なのだ。最近のCD(特にヨーロッパ復刻もの)だと、単なるベスト選集の場合と、ベストの合間に、貴重なセッションや全くの別テイク、未発表曲が、ひっそりと収録されていたりする。LP単位では、もはや復刻されないであろうセッション~例えば、マイルスみたいなメジャーなミュージシャンでも、僕はなかなか入手できなかった音源がある。
1951年録音の Capitol音源~<Early Spring>と<Local 802 Blues>の2曲だ。この本によれば・・・この2曲を収録のLPは、
≪Enter The Cool~The History Of Jazz vol.4 (CR-8024)≫として日本発売されたことになっている。
capitolだから、やはり東芝発売だったのだろうか? こんな風にvol~というタイトルがつけられたアンソロジーみたいなレコードが、最も再発されにくいのだ。事実、僕は、この「Enter~」を一度も見かけた記憶がない。

つい先日、珍しくもタワーレコードへ寄ってみた。LP盤メインの僕としては、タワーやHMVというのは、年に2~3回寄るかどうかである。バーゲン品とか輸入盤低価格のもので、なおかつ興味ある音源を見つけた時だけ買う。そのタワーで、2CDで1040円というマイルスのコンピレーションを見つけた。 
DSCN0745 ≪Miles Davis/The Formative Years≫(Castle Pulse) というタイトルだ。

もちろんいくら安くても、単なるベストセレクションなら不要だ。こういう「安CD」は、ジャケットも冴えないし、たいていデータが明記されてない。CDの裏面を凝視するが、字が小さくて読みきれない(笑) 2004年製で ”Castle Pulse” というレーベルのようだ。全く初めての名だ。バーコードのところに、小さくMADE IN THE EU と表記してあるので、これも「欧州製」なんだろう。一応、曲名を見ていくと・・・まずは、Birth Of The Cool のスタジオとライブからのセレクトや、 ブルーノートからのセレクトらしい曲名が入っている。これならいらないなあ、と思ったその時、あの曲名~<Early Spring>と<~802~>という文字が、まさにパッと目に入ったのだ。クレジットには、「Metronome All Stars」としか表記されてない。
ううう・・・これは・・・確か・・・あの・・・ほれ、あれだ、あれだよ、と自分のアタマの中で、うっすらとした記憶をたどる・・・。こんな時、僕はよく、独り言を言ってしまうらしい。純正の怪しいオヤジである(笑) ええい!どう思われようと構うものか(笑) 今は・・・アタマの中を整理する方が大事なんだ!
Early とか Local とか 802 とかいう「文字」が、かろうじて、僕の記憶フィルターが引っかかったようだ。これは・・・この2曲は・・・マイルスが何かに客演した、あれだぞ・・・そうだ、あれだ!という感じで、ほぼ、そのアルバムが特定できた。もちろんジャケットまでは浮かんでこないのだが。 そうして・・・どうにもその2曲を聴いた記憶がないのだ。じゃあ・・・持ってないはずだ。~という訳で、久しぶりにCDというものを買ってしまいました(笑)
そんなわけで、この本/Jazz Hero’s Data Bankには、まだまだお世話になりそうです。

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2005年6月25日 (土)

<旅レコ 第8回>香港でレコードを探す(F面)完

1992年7月 九龍公園を通リ抜けて~

(佐敦)ジョルダンの「ジャンフィールド」で、CDを3タイトル買った。ざっと計算すると、香港で買ったレコードとCD合計が120香港ドルほどになっている。LP盤が本線の僕としては、新品のCDを買ってもあんまりうれしくない。それに、1CDの相場が100香港ドル(当時、約1500円)なので、日本で買える「中古CD」とそれほど差がないのも「うまみ」がない。香港でわりと見かけるEMI系blunoeteのCDは、いつでも中古で買えるだろう。今回は、前から音源そのものを、どうしても聴きたかった「マーティー・ペイチ/moanin’」と「チェット・ベイカー/Chet in Paris vol.1」が、見つかった。この2枚で、もう充分だろう。朝からセントラル(中環:チュンワン)~コーズウエイベイ(銅羅湾:トンロンワン)~ジョルダン(佐敦)と徘徊してきたので、さすがに・・・疲れた。もうどの店にも、LPは置いてないようだし、それに香港は、暑くて蒸し蒸しだ(笑) わりと暑さには強い僕だが、もうふらふらだ。このジョルダンから一駅、あるけば、チムシャアチョイだ。ホテルに戻ろう。そうと決めたら、もうすぐにネイザンロードを南に向って歩き始めた。通りの右側の高台に「九龍公園」がある。とにかく南北に長く続く公園だ。ついでなので、その公園の中の歩道を抜けていくことにした。とにかく長い。クラクラするような暑さの中、歩いていくと、なにやら「歓声」が聞こえてきた。ああ、「夏の響きだなあ・・・」ともう少し進むと・・・公営プールみたいなのがあって、子供でいっぱいだ。ちょうど、そのプールの上を歩道が陸橋みたいになって超えられるようになっていたので、しばらく陸橋の上からプールをぼんやりと眺めたりした。ああ、水につかったら気分いいだろうなあ・・・入場料はいくらかな・・・とボンヤリ考えたりもしたが・・・再び公園の歩道を歩き始める。もうフラフラだ。九龍公園の端っこにベンチが置いてあるような広場があり、そこを抜けて下に降りれば、
すぐホテルだ。ちょうど木陰が気持ちよさそうなベンチが空いていたので、ちょっと腰を下ろして小休止にした。そしたらすぐに、ターバンをした多分インド人風の男が、す~っと近寄ってきて、声をかけてくる。日本語で「お時間ありますか?」とかなんとか・・・。手には、何やらパンフレットを持っている。間違いなく何かの勧誘だ。日本でも同様だが、宗教の勧誘というのは・・・全く、ノーサンキューだ。ここで「愛想笑い」をしてはならない(笑) 僕は「NO!」(thanks はつけなかった:笑)というなり、せっかくのベンチを放棄して歩き始めた。公園のタラップを降りて、ホテルの出入り口のある裏通りに回る。このホテル/ハイアット・リージェンシーは、ネイザンロード沿いにあるのだが、なぜか、ネイザンロード側からは出入りできないのだ(笑) ひとつ西側の路地の方に出入り口がある。出入り口のまん前にセブンイレブンがあるので、ここで飲み物やお菓子を買って部屋へ戻る。昨日もそうしたな(笑) 香港のホテルは、とにかく冷房が強烈だ。長袖のトレーナーをパジャマ代わりにしてちょうどいいのだ(笑)~夜まで、ゆっくり昼寝してから、前の晩も出かけた「ネッドケリーズ・ラストスタンド」へ出かける。出かける、といっても、ホテルからすぐそこ、ほんとに1~2分の場所なのだ。だから一昨日も昨日も来ている。3日連続だ。ハウスバンドが~年配のおじさんサックス、落ち着いたベース(電気)、ちょっとへたなキーボード、若いが上手いドラムス~ライブをやっていて、ジャズだったので、うれしくなる。この店、ちょっとガラの悪そうな白人(どうも海軍の兵隊みたい)とかも多いが、料金が安く3日とも満員だった。この晩は、他にも日本人グループ客が多かったので、いつもはジャズのスタンダード中心だったバンドが「日本人の方に一曲~」と一言・・・始まった曲は「雪が降る」だった(笑) 非常に力が抜ける香港3日目の夜だ。ああ、明日はもう帰るのか・・・ホンコン、楽しかったなあ・・・こんな風に、初めての香港の旅は終わっていくのであった。

それにしても・・・<旅先でのレコ買い>って、ほんと、楽しいものですね(笑) まことにもって・・・ジャズはやめられん!

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2005年6月22日 (水)

<旅レコ 第7回>チェット・ベイカー/チェット・イン・パリ(仏emarcy)香港でレコードを探す(E面)

<1992年7月> さあ、次は佐敦(ジョルダン)へ行くぞ!~

さて united recordsで、ようやくLP盤(ショーティー・ロジャーズ2LP)を手に入れ、ちょっと落ち着いた。この大きさ、この重さがいいんだよなあ・・・。近くの食堂で昼めしを済ませた後、地下鉄で九龍側の「佐敦」(ジョルダン)へ向う。ガイド本によれば、このジョルダンに、「レコード店」があるはずだ。
僕は特に方向音痴というわけではないのだが、地下鉄の駅から地上へ出た時、方角がわからなくなることがある。電車を降りると、進行方向から右・左と意識しながら、階段を上がるのだが、地表に出た時、自分が、例えば、この方角が「南」とか思っても90度ずれている!ということがけっこうあるのだ。間違った方向に歩き出して、また戻ったり・・・をどの街でも経験している。ここは香港だ・・・。慎重に周りを見渡すと、交差点の向こう側カドに「国家裕華」がある。前夜、あそこから「夜市」に曲がっていった。よし、もう判った。ここから南に向えば(というか地図では下の向き)、ホテルのあるチムシャアチョイ地区だ。方角が判ったので、もう安心だ。それで、交差点のこちら側を見ると・・・あったあった。すぐそこのビルのB1がレコード店/ジャンフィールドだ。狭い階段を地下に降りる。スタッフも若い。客も若い。どうやら香港でのオシャレCDショップ、という感じだな、これは。この店で驚いたのは、CDの陳列の仕方である。タテに細長く仕切られた棚に、CDが30枚ほどタテに積んであるのだ(笑) フツウはもちろんヨコに並んでいくのにタテなんです。まあ、確かに背表紙の英文字は読みやすいのだが・・・。ちょっと手にとってみたいCDを抜き出すのが、なかなか大変だ。上に積んであるCDを右手で支えながら~これがけっこう重いので、「うっ!」という気合と共に~素早く狙いのCDを抜き取る必要がある(笑) 失敗すると、CD雪崩れがおきる(笑) こんな「タテ積み方式」は、その後も見かけたことはない(笑)    そんな「オシャレなタテ積み」の店ではあるが、やはり夜店の通りのCDショップよりも品揃えはいいようだ。けっこう渋いのもある。ゲッツ(欧州ライブのコンピレーション)、ビル・エヴァンス入りのジョージ・ラッセル(これは日本のCBSソニー盤だ)などを選んだ。
それから、もう一枚~
DSCN0738Chet Baker/Chet In Paris vol.1(仏 emarcy)

1955年10月録音 仏 Barkley原盤

ベイカーをもちろん大好きだが、このCDでは、ピアノの Dick Twardzik が目当てだった。ツアージックは、録音の少ないピアノ弾きで、このパリ公演中に亡くなってしまったのだ。だから、チェットとのこのBakleyレーベルへの録音が、ツアージック最後の録音となったしまったのだ。このvol.1に、その9曲が収められていた。この9曲は凄い・・・。乾いた音色が「孤独」を感じさせるチェットのペットに、ツアージックの「孤独なつぶやき」のようなピアノが呼応する。聴き始めると、なんとも形容しがたいモノクロームなムードに包まれて、時間の経つのを忘れてしまう。なんという世界だろうか・・・。ほとんどの曲が、Bob Zieff という人の作曲なのだが、僕は、<Sad Walk>という曲のテーマ部分が特に好きだ。 淡々としたメロディーのあちこちから・・・ペイソス、と呼んでもいいような「感情」がこぼれおちてくるようだ。

これ以前に僕は、ツアージックを1曲だけ聴いていた。だいぶ前に、 キングから発売された「ピアニスト・ガロー」(パシフィック)というオムニバスLPに、ツアージックの<Bess,You is My Woman>が入っていたのだ。
DSCN0734 これを聴いた時、僕は、彼のあまりにも個性的なピアノにまいってしまった。というより、どうにも気になってしかたないピアノ弾きになってしまったのだ。なにかこう・・・暗い洞窟の奥に引き込まれていくような・・・暗い不安感みたいなものに包み込まれていくような感じ。「暗い」といってもマル・ウオルドロンのように、暗い曲を暗いムードで弾く、という感じではなく、もっと本質的に、深い孤独を感じさせるようなピアノの響きがするのだ。キングから出た「ピアニスト・ガロー」は、このLPでしか聴けないらしいハンプトン・ホーズや、カール・パーキンス、ジミー・ロウルズらのテイクも入っており、しかもそれらがどれもいい演奏で、とても好きなLPになっていた。そんな愛聴盤なので、キング盤だけでは飽き足らず、1年ほど前に、オリジナル盤~≪Jazz Pianists Galore≫(pacific)を手にいれた。DSCN0733モノラル/青ラベルだが、「音質」は・・・まままあよかった。    

特にB面1曲目、ロウルズの<Sonny Speaks>は、乾いた響きの端正なピアノの音が、不思議に素晴らしい・・・。ジャズの世界には、素晴らしいピアニストがいっぱいだ。・・・これだからジャズは止められない。

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2005年6月19日 (日)

<旅レコ 第6回>ショーティー・ロジャーズ/ショート・ストップス(RCA)香港でレコードを探す(D面)

<1992年7月> 香港3日目~トンロンワンからジョルダンへ~

「京都capitol」では、ペイチの他に、ゲッツとベイカーを買う。もう12時近い。もう一度、「united records」を見てこよう。もう開いているかもしれない・・・期待を込めて緩い坂道を上り、上の横道へ・・・「おお!オープンしてる!」 建物外の階段を上る時のうれしさよ。年配のオバちゃんが、威張った感じでレジに座っていた。どうやらここが本店らしい。さて、品揃えは・・・残念ながら、ランドマーク店と同じく、CDがほとんどのようだ。LP盤コーナーは、通路中央のレジまん前に、LPのエサ箱が少しある。ジャズは、あまりない。残念である・・・考えてみれば、本店といっても、ランドマーク店と仕入れが同じなら、在庫傾向も同じに決まってる。香港では、イギリス~フランスあたりからのインポートものが多いようで、総じて、アメリカ盤が少ないようだ。
EMI系~capitol~bluenoteのCDは、けっこう見かけたが、fantasy系は、OJCでさえ、LP/CD共に全く見かけなかった。多分、香港全体の輸入の流れみたいなものが関係しているのだろう。(*あくまでも1992年の話しです。現在のジャズCD/中古LPなどの市場はどんな感じなんでしょうか? ご存知の方、ぜひ教えてください~)

~そんな具合だったが、せっかくここまで来たのだし、やっぱりLP盤が欲しいよなあ・・・ということで、なんとかひとつを選び出した。
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≪Shorty Rogers/Short Stops with his orchestra and the giants(RCA bluebird:5917)2LP≫
裏に reissued by Ed Michel とクレジットされている。 1987年の再発らしい。音は、やけにスッキリしたきれいな感じだ。digitally remastered というのは、よくも悪くも「スッキリ」しすぎるようだ。この頃、米RCAが bluebird digitally remastered シリーズとして、未発表テイクなんかも入れて再発していたのだろう。同じ bluebirdシリーズで、ドラムのジョー・モレロ/It’s About The Time も持っている。この2LPを選んだのは、もちろんロジャーズではなく、ペッパーが目当てだった。ペッパー入りのRCA録音は、ちょっと判りにくい。もともとの10インチ盤が12インチ化される時に、いくつかのセッションが何枚かに分けられたようだ。一部しか聴いたことがなかったので、この2LPには、1953~1954年のペッパーやズート入りのセッションが、未発表(シングル発売のみ)なども交えて、32曲も収録されていた。2in1CDもそうですが、2x10インチ盤 in1LPというのも、なんか、お得な感じがしますね(笑)

1953年の8曲、これは10インチ盤が素のはずだ。演奏は・・・・これはもう素晴らしい。1曲が2~3分と短いが、時々出てくるペッパーのソロの見事なこと!この頃のペッパーは、鋭くも仄かに暖かみのあるサウンドと迷わないフレーズで、本当に切れ味の鋭いソロをとる。スパッと切れる日本刀のようだ。これで切られると・・・気持ちがいい(笑) ・・・ペッパーが好きだ。DSCN0703

≪Shorty Rogers & his Ginats≫(RCA Victor LP-3137)  

最近、ついに、この10インチ盤を手にいれた。RCA Victor にしては、センターラベルが「カラーの犬マーク」じゃなくて黒いラベルだし、盤そのものも薄くて軽い。1953年のオリジナル10インチかどうかは判らない。その後に、10インチ盤仕様で再発でもしたのだろうか?
それでも、この10インチ盤の音は・・・さすがによかった!<オリジナル盤は音がいい>と言ったって、どこがどういいの?と問われれば、僕などは、答えに窮する。ただ、オリジナル盤というのは多少、サーファスノイズ(プチ・パチ音など)があっても、とにかく・・・楽器の音色が生き生きしている! 肌合いが生々しいのだ。ちょっとの差じゃないか、と言われればそうかもしれないが、ジャズをある程度、聴き込んでから発見する、この「差」は・・・大きい。そうして・・・ずるずると・・・オリジナル盤の世界にはまっていくのだ(笑) 
とは言いつつも・・・オリジナルでも再発でも、結局はもともとの録音の良し悪しが一番大事だし、実際、「いい音」のオリジナル盤ばかりじゃあないからなあ・・・いや、それでもオリジナル盤というのは「音」だけじゃないんだ。ジャケット、紙の質感、古い匂いなど、それら全てから繰り出される、「どうにも魅力あるプロダクツ」だからなあ・・・やっぱりやめられんよなあ・・・などと、ぼやきが止まらない僕です。(笑)

CD、再発日本盤、再発外盤、オリジナル盤~同じ音源での音質や音色の違いを、表現するのはとても難しい。でも「映像」に例えると、違いの「雰囲気」」は、わかってもらえるような気がする。誰もが、知っている(気づいている)映像での違い~videoの映像が、全体にキレイにはっきり写っているのに対し、filmの映像は、いわゆる解像力では、劣っているのかもしれないが、「質感」が明らかに違う。しっとりと生々しく陰影などに味わいがある。「どちらが現実に近いか?」ということとは、また別の話しだと思う。「肌合い」「味わい」というものは、数値では測れない何かであろう。僕はそう信じたい。
「音」に対する好みも、多分・・・この<映像における、video(デジタル感)と film(アナログ感)の違い>に、そのまま置き換えることができるような気がする。アナログが絶対に好き!というのは「質感」「肌合い」「味わい感」みたいな部分で、これはもう生理的なものだと思う。それを、「時代遅れ」「偏屈」「意固地」と呼んでもらっても、一向に構わない。(笑)

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2005年6月16日 (木)

<旅レコ 第5回> マーティー・ペイチ/モーニン(discovery) 香港でレコードを探す(C面)

<1992年7月>トンロンワンにて、レコード店探索開始!

さて・・・トンロンワンにあるはずの「レコード店/united records」を目指ししばらく Lee Garden辺りを歩いたのだが、どうにも見つからない。南側に向って緩やかな上りになっている。すぐ先に「Garden Hotel」が見える。あれ? こんな遠くじゃないぞ・・・。地図によれば、レコード店は、そのホテルよりかなり下の方だ。ホテルのある小高い丘をとりまくように、ゆるく弧を描いたような横道がいっぱいある。だからシンプルすぎる地図に示されたレコード店が、どの路地なのか判りにくいのだ。しかたないので、上側の横道からジグザグに3つ4つ、順番にチェックすることにした。2つめだかの横道の中ほどで・・・・・ようやく「united records」を発見!小さい建物の2Fだ。回りは普通の住宅も多く、店の看板も小さい。こりゃあ判りにくい。 もう11時過ぎだ。昼までにじっくりチェックだ!と思った瞬間・・・・・ガックリだ。店がまだオープンしてないのだ! う~ん・・・小さい看板には、確かに open am11:00~と書いてあるのに。ちょっとだけその場で待ってはみたが、開きそうな様子がない。  しかたない・・・メイン通りまで戻って「そごう」とかで、時間つぶそうかなあ・・・と思いつつも、続く横道をジグザグと降りることにした。そうしたら偶然にも、2つばかり下の横道で、CDショップを発見したのだ! 店の名が怪しい・・・「京都CAPTAL」というのだ。「京都」の部分が、ちゃんと「漢字」で書いてある(笑) CDは本命じゃあないが、仕方ない。ここで時間つぶしだ。ここも開店直後の雰囲気で、お客は誰もいない。ほとんど期待せずにチェックを開始する。香港でのCDの相場は、昨日の「唱片」(レコード店)巡りで、判っている。新譜CDが100香港ドルくらい、バーゲン価格なら50~70香港ドルてな感じだ。よしっ。さあ、かかってこい!
この店、小さいが、ジャズの在庫は、昨晩の「精美唱片」より充実している。トンロンワンの街全体が、かなりの都会だしオシャレな店も多い。ジャズ音楽への需要もそれなりにある、ということだろう。この店の在庫も、capitol系のCDが多いようだ。バーゲン価格のものは少ない。ほとんど見たことあるようなタイトルばかりだったが・・・ひとつ、「あれっ」というのを発見した。それが、これだ。

Marty Paich/Mornin’ (Discovery DSCD-962) warner音源の「踊り子」と「シャワー」の2in1です。(すみません、CDなんです)

DSCN0698 このCD、今では、特に珍しくもないのだが、1992年当時は、まだ「国内盤CD」が出てなかった。 warner音源のジャズは、なぜか国内盤の発売タイトルが少ないようで、僕は「踊り子」にも「シャワー」にも、国内盤LPに出会ったことがなかった。フレッシュサウンドからは、ジャケ復刻したLPが出てたようだが、これも地方都市の中古店には、なかなか出回らない。そんなわけで、この2枚は、何年も前から、「ぜひ聴いてみたいレコード」だったのだ。
ペッパー絡みでも、またベースのスコット・ラファロ絡みでも、とにかく「聴きたかった」のだ。こんなCDがdiscoveryから出ていることも全然、知らなかったので、この突然の発見は、すごくうれしかった。~うん、これこそ真の Discovery だ!(笑) 欲しかったレコードが2枚分、同時にゲットできるのだ。価格は、110香港ドル~2in1で1650円なら悪くない。DSCN0699こうなりゃCDでもいいじゃないか。2~3年後には、Discoveryと契約したどっかのレコード会社から発売された。その国内盤が発売される頃、ジャズ雑誌に発売広告が載った。「踊り子」の広告写真はジャスト、CDサイズだ・・・ようし・・・。
この右の写真~「踊り子」と「シャワー」のCDサイズ写真は、その広告ページから切り抜いたもの。元のジャケ写真の替わりにケースにはめこんだりしてます(笑) 気分は、国内盤オリジナルCDだ!  とっても意地らしくもあり、せこいのですが・・・おそらく、日本で20人くらいは、同じことをやってる、と僕は確信しております(笑)  ~たまたまこのブログ、見てましたら、ぜひ「僕も、わたしも」の声をお挙げください(笑)~

演奏は・・・「踊り子」、さすがの内容です。59年録音ですが、クレジットによると12人編成の小ビッグバンドの拡がり具合が「すっきりしたステレオ録音」で入ってるように思います。ちょっとだけ、全体にエコーがかかりすぎているようにも感じる。もう少しエコーが少なければなあ・・・と個人的には思う。

~この盤については、最近、オリジナル盤を聴く機会があった。端正な音質はさすがで、A面1曲目~It's All Right With Me が「プア~」と聴こえてきた瞬間、心地いいステレオ録音の拡がりとラファロの「鳴り」が、僕をシアワセな気分にさせてくれた~

ラファロのベースは、中央、やや左辺りから「ブンブン」うなり、「グォングォン」と鳴る。とにかくラファロのビート感(演奏がグイグイと彼のビートに引っ張られていくのだ!) は、どうしようもないくらいに、すごい!
2曲目の<I’ve grown accustomed to her face>このバラードがいい。ラファロよりもう少し左側から、ペッパーが~あのペッパーにしか唄えない節回しとサウンドで~ラファロに絡んでくるあたりが最高。DSCN0700素晴らしい!このCDは・・・CDではあるけれど・・・92年購入時からずーっと僕の愛聴盤だ。いつか、オリジナル盤がほしい。でも・・・高いよ、あれは(笑)

さて、そろそろ「united records」も開く頃じゃあ? 話しはまだ続く・・・。

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<旅レコ 第4回> 香港でレコードを探す(B面) 

トラム(2階立て路面電車)に乗って、銅羅湾/トンロンワンへ向う~

香港3日目。さあ、今日はたっぷり時間があるぞ~! 僕ひとりで丸一日、自由行動だ。同僚たちは、もうマカオに出かけてしまった。
さっそく、スターフェリーでセントラルへ渡る。朝の10時前だったが、やけに人が多い。そういえば、九龍側と違って、セントラル地区は、高いビルやら銀行がいっぱいあるビジネスの街だったのだ。ここから東へ2~3キロはありそうな隣の街へ向うのだ。前の日にアン・バートンを買ったレコード店/united recordsでくれた名刺によると、支店(いや、本店か?)が、隣の街、トンロンワンにあるというのだ。「銅羅湾」と書く。いや、本当は「羅」の字には「糸遍」がつくのだ。英語名だと、コーズウエイベイとか呼ばれているようだ。地下鉄か路面電車で行ける。
香港に来て、スターフェリー、地下鉄と体験したので、今度はあの2階建ての赤い電車~トラムというやつに乗ってみたかった。ビジネス街なので、けっこうクルマがビュンビュン通るが、その道の真ん中に何人かが立って電車を待つ「停留所」がある。こんな風な「路面電車」には慣れている。市電の街~豊橋で生まれ育ったこのオレをなめるなよ(笑)
てなもんで道路を横切って停留所へ・・・もう何人か待っている。まもなく次の電車が来るのだろう。 
<ガオォォォーッ、ゴオォォォーッ>てなサウンドを響かせて、あの「赤い電車~トラム」がやって来た。車幅は案外に狭い。それで2階立てなんで、見た目に安定感がない。そのトラムは混みこみだった。10人くらいが乗り込みたいのだが、なかなか入っていけない。なんとか車内に乗り込むが、1Fフロアにはとても立っていられないので、小さい階段で2Fフロアに上がっていく。
2Fフロアもいっぱいだ。その時、隣の男性~スーツをピシッと着たインテリそうな黒人のビジネスマン風~と目が合った。すかさず、彼が笑顔を見せてくれたので、「も~朝から大変」という気分を共有したように感じた僕は・・・思わず「everyday,so crowded?」(毎日、こんなに混むのか~?と言ったつもり・・・)と訊いたら「yes・・・time(以下不明です:笑)」と答えてくれた。
まあ多分・・・「うん・・・午前中の特にこの時間帯は混むんだよ」とか言ったんだろう(笑) まあ、とにかくあの「トラム」に乗れたわけだ。
各駅(道の真ん中でどこが駅だか判らない)で、少しづつ乗り込む人がいて、徐々にだが、前の方に押しやられていく。しかし、まだまだ混みこみだ。何人かの降りる人を見ていると・・・どうやら降りるときは、前かららしい。 そういえば乗るときは、後ろからだった。
ワンチャイというところを過ぎて、観光案内の小さな地図を見ると・・・もうそろそろ「トンロンワン」のはずだ。そろそろだが・・・とにかく「停留所」に看板がない。アナウンスもない(ように記憶している) 考えてみれば地元の人たちは「歩くより少しは速い」から乗ってるだけで、「通りの風景」を見れば、どこら辺かもすぐ判るわけだし・・・要は、電車が止まったところが「停留所」なんだろう。そうこうしてる内に、大きな繁華街風の街に入ってきた。通りの右側には、いろんな店がいっぱいで、やけに活気がある。ここが「トンロンワン」に違いない。おっ、いよいよ電車も止まりそうだ・・・。外を指差して「トンロンワン? トンロンワン?」と前に座ってるオジサンに訊くと、「うんうん」とうなずいている。あっ!そうだ。前へいかなきゃ! 降りなきゃならぬ、このオレは! でも人がいっぱいだ。前へ前へ! さっきの黒人ビジネスマンも「front,front」とか言ってるぞ。 もう sorry,sorry の連発で、人の群れを押し分け掻き分け、なんとかフロントの降り口までたどり着いた。代金は降りる時、払うのだが、ちょっきりの小銭を用意しておいたので、素早く降りられた。(僕の記録メモを見たら・・・トラム~1.0香港ドルだった。ちなみに、スターフェリーは、1.2香港ドル。)
こんなわけで、この2階建て電車~トラムでの15分は・・・環境的には快適とは言えなかったが、降りたあとに「これも旅の楽しさだなあ」と思わず微笑んでしまうくらい、印象に残る場面になったようだ。トラムは楽しい!

降りてすぐ・・・目の前に「八百屋さん」があったな(笑) トラムの走っているメイン道路はわりと広いが、路地に入ると、もうごちゃごちゃだ。
とにかく、果物やら野菜やら魚やら、食品のお店がいっぱいだ。
さあ、ここが、トンロンワン/コーズウエイベイだ。 カードにある地図を見て「ユナイティッド・レコード店」を探すのだ!この辺りは、メイン道路の右手~緩やかに上っていくような Lee Garden地区だな。地図によると・・・Lee Garden Hotelというホテルの、やや下の方の通りらしい。さあ、全く知らない路地に踏み込んでいくのだ。僕は一人に慣れている・・・Let’s Go!
この時の時刻~推定 am10:30頃。 
~まだまだ元気な僕でした(笑)
(すみません・・・レコード紹介は次回、香港編(C面)に持ち越しです(笑)) 

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2005年6月13日 (月)

<ジャズ雑感 第1回>レコード買いの記録~究極の時系列・・・いや、単に横着な僕のレコードリスト

整理したり、記録したり、まとめたり。何かを事務的に処理するということ苦手だ。それでもひとつだけ、1972年(高1)の頃から続けていることがある。
手に入れたレコードの記録である。
A4/26穴のレポート用紙だと、たいてい31行くらいの罫線がある。
<ミュージシャン・タイトル・レーベル・購入日付け・曜日・購入場所・価格>を、この罫線の横1列に書く。
何の工夫もない。ただ、手に入れた順に書き付けていくだけ。(笑)

ここには、全く意味などない(笑) 純粋に個人的な記録なのです。
でもとりあえず、このリストのおかげで、その個人的に多少の意味があること<何を・どこで・いくらで買ったのか>が判る。
「ああ、あの頃は、やっぱりロリンズばっかり買ってるなあ」とか
「ふ~む。このあたりから、ペッパー聴きだしたのか・・・」とか。
それと各用紙の左端に通算のナンバリング(もちろん手書き)をしてあるので、「あの頃で、ちょうど1000枚だな」~とか、
「おっ、次に買うのが、記念すべき2000枚目だな」とか余分なことまで判ったりする。(笑)DSCN0685

それから、このリストを見ると、いつもと違う地名を発見したりする。
「そうだったな。この頃は、浜松によく出かけたんだよ」とか。
「ああ、この頃は、東京でのまとめ買いが多いぞ。そういえば、最近、出張がないなあ」
「おっ。札幌? そうだ、社員旅行だ」
「そういえば金沢にも行ったなあ。これは・・・家族の旅行だったな」とか。

ラビットフット(地元にあった中古レコード店/2004年8月に惜しくも閉店)でのタイトルが大量にあると・・・「そうだ、バーゲンがあったんだ」(笑) など。

買った時のお店の名前だけでなく、店内の様子とか雰囲気みたいなものもわりとリアルに思い出すことができるのだ。

数少ない海外でのレコ買い記録は、タイトルのリスティングと別に、レコードを含む現地での出費(地下鉄・食事・チップなど)
をメモに残している。(たいていホテルの便箋みたいなのに書くのだが)
ソウルや香港で 「レコードを求めてふらふらと歩き回ったあの感じ」を、個人的な記録として残しておきたい、というのが、
僕がこのブログ<夢見るレコード>を始めた素朴な動機なのだ。だから、第1回は<旅レコ>だったんです(笑)

全くズボラな僕が、こんなことを始めたのは、多分、1978年のはずだ。
というのは・・・100枚以上あるこのリストの最初の3枚が・・・<タイプライター>印字になっているからなのだ。タイプライターを買ったのが1978年。せっかく高い機械を買ったので、その時までの記録(これも手書きメモ)を全てタイプライターで打とう! と思ったのだろう。同じようなことをワープロ時代・エクセル時代にトライしたが・・・
めんどくさい!の一言。すぐに断念しました(笑)仮に全てを入力したとしても、いちいちパソコン立ち上げなきゃ、見れない。
ペーパーで、すぐ見れなきゃダメだよ~ん!ゴロンと寝っころがってリストを見たい時だってあるんだ! てな強引な理由付けで「手書き」で書くのが一番だよ! という結論に至っておる次第であります(笑) 

その代わり、レコードを買ってきたら・・・すぐ書くんです。未記入分がたまってくると、非常にまずい。2~3日書かない場合は、必ずレシートをとっておく。特にまとめ買いをした時、ユニオンなんかのレシートは、コード処理のものが多くて、全てにタイトルが印字されてるわけじゃあない。時間が経つと「どのタイトルがいくらだったか」が判らなくなってしまう。それは非常にまずい(笑)
だから・・・記憶のあるうちに、帰りの電車の中で、レシートにタイトルを書き込んだりします。 あれっ? 僕も、けっこうマメなのかも(笑)

実は、7~8年くらい前に、友人のkonken氏の全面的なサポートにより、かなりの枚数の「手書きのリスト」をエクセルに入れてもらったことがあるのです。その後、しばらくは、リストの続きを自分でも入力していたのですが・・・。
その頃から急速にレコード枚数が増え始めたこともあり、入力作業がめんどくさいなあ・・・とか思ってるうちに・・・いつの間にか断念・・・。
それでも、ひとつ告白すると・・・とても便利だったのが「フィルター機能」~例えば、Chet Bakerでフィルターをかけると・・・そのChet Bakerのタイトルだけがアソートされる。レーベル別なんかでも、すぐに見られる。例えば、タテの行に「米」とか入れておけば、そのアメリカ盤だけ一覧にもできる。こんな風に、瞬時に並び方が変えられて、しかも、元のリストの順番も守られる、というのは「使える」と、今でも思います。
うん、確かにあれは便利だったなあ・・・と感心しつつも、じゃあ今から全部、入力するぞ~!
・・・などとは、とても思えない僕なんですが(笑)

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2005年6月12日 (日)

<旅レコ 第3回>アン・バートン/アムアイブルー  香港でレコードを探す(A面)

<1992年7月> 初めての海外旅行が、香港だった。<旅レコ第1回>の神戸と同様に、これも社員旅行だ。根が出不精なので、仕事がらみでもないと、旅行にもなかなか行けない。そうして、どうせ行かせていただくのなら・・・空いた時間をうまく使って、レコード漁りです(笑)
香港の旅行ガイド本はいっぱい出ていたので、香港島、九龍にあるレコードショップの大体の場所をいくつか調べておいた。
普通のガイド本には、中古盤屋さんなんか載ってないので、残念ながら新譜ショップのようだ。

3泊4日の2日目、仲間とスターフェリーという船で香港島側に渡る。
最初にセントラル地区の大きなショッピングセンター「ランドマーク」に行く。化粧品やらブランド服のショップが多いが、このビルにレコード店があるはずなのだ。調べておいた 「united records」は、地下フロアの隅にあった。小さな店でCDが中心だったが、奥の方に少しだけLPのエサ箱もあった。さっそくチェック開始・・・。
香港のジャズレコード事情はよく判らないが、どうやらイギリスの影響が強いのか、サッチモやエリントン、ビリーホリデイなどが目立ち、在庫もヨーロッパのレーベルのものが多い。残念ながら、僕の好みのハードバップ系は、ほとんど見当たらない。価格は・・・ほとんどが100香港ドル以上だが、バーゲン品なら60香港ドル(当時、1香港ドル=15円ほど)あたりのものもある。20分ばかりチェック・・・ようやく、ちょっといいな、というものを見つけた。
 
jacketAnn Burton / Am I Blue (keytone) オランダ盤らしい・・・録音も新しめで、ジャケもイマイチだった。この時は、keytoneなんてレーベルも知らなくて、「なんだ・・・オランダ盤か」てな感じだった。だけど、55香港ドルだったし、アン・バートンは嫌いじゃないので、買うことにしたのだ。その後、何年かしてアン・バートンのこのオランダ盤は、日本で、けっこう人気があることが判った。多分・・・国内盤が出てない、というのが人気高の理由なんだろう。

inner_jacket 内容は、悪くない。選曲がやや地味だが、アン・バートンは、いつものようにシットリと唄っている。録音も優秀で、特にベースの音は量感もあり、自然な音質だと思う。
ただ、この盤は・・・残念ながら、今は僕の手元にない。
95年くらいに、ボーカル好きの友人~konken氏の手持ち盤とトレードしてしまったのだ。konken氏に聴かせたところ、とても気に入ってくれたし、僕の方は、やはりインスト盤が本線だったし、大体において、新しい録音(1968年以降くらいかな)の盤に、あまり愛着が湧かない性質(タチ)なので、トレードが成立したのだ。
その時のトレード盤は・・・ゲッツの「ザ・サウンド」(日本コロムビア)だ。その頃は、ベンクト・ハルベルグ(p)入りのストックホルム録音の6曲は、この盤でしか聴けなかったのだ。
・・・そんな訳なので、このアン・バートンのジャケ写真は、最近、konken氏から送ってもらったのです(笑) 
正直に言うと、ちょっと惜しいような気もしているが・・・いいんです!(笑)どのみち、僕は、新しい録音ものはあんまり聴かないんだから・・・などと自分に言いきかせて(笑) 今、久しぶりに聴いています。(konken氏がCD-Rにしてくれたので)・・・やっぱり、いいですね(笑)

さて・・・ランドマークを出て、今度は地下鉄に乗り、九龍側の油麻地(ヤウマアテイ)まで戻る。あたりを仲間と散策し「桃季園」という食堂で昼飯を済ませた後、「それじゃあ僕はちょっと・・・」と仲間とは別れ、一人でレコードショップ探索を開始した。この辺りのどこかで、毎夜、屋台が出てにぎわうとのことだったが、まだ昼間なので、どの店も閉まっているし、屋台は見当たらない。たまに見かける屋台には、幌がしっかりかぶせられており、通り全体に人影が少ない。仕方がないので、やけに広い九龍公園を縦断しながら、尖沙咀(チムシャチョイ)のホテルへ戻る。冷房は効きすぎだったが、夕方までゆっくり休息した。

夜になったので、ネイザンロードを、尖沙咀(チムシャチョイ)から左敦(ジョルダン)方面に歩き始めた。通りの左手にはイスラム風の寺院が見える。このネイザンロードは、大通りで、オシャレそうなファッションやら、バッグ、時計などのブランドショップが、多い。アイスクリームのジェラートなんかもある。5分ほど歩くと、よく香港の写真で見る「国家裕華」という、でっかいネオンが見えてくる。そのデパートの大きな交差点を左に曲がって、すぐの小さい通りを右に曲がると・・・そこからが夜店(多分、ここが男人街だ)の始まりだった。昼間はガランとしていた通りは・・・もうすごい人だかりだ。「ああ・・・これがホンコンの夜店か・・・」 

その通りは、もちろん歩行者オンリーになっており、道路の中央にはぎっしりと屋台が並んでいる。通りの両側のお店からも照明があふれ出し、どの店もなんというか・・・「扉」を開け放っており、道路の屋台と両脇のお店がつながっているようにも見えてしまう。ここでは、「路上」もお店なのだ!その間の空間をたくさんの人々が押し合いへし合い、歩いている、という感じなのだ。とにかく、すごい熱気だ。(この時は、まだ沢木耕太郎の「深夜特急」は読んでなかった。何年か後に文庫化されてから読んだのだが、ホンコンのネイサン通りを、熱に浮かされたように歩き回る様子や、夜店のにぎやかな様子などが、リアルな臨場感をもって想像することができた。素晴らしい本だ。)

「さあ、レコードだ!」てなもんで、その通りを進んでいくと、通りの右側にCDショップを発見!「精美唱片」という名前で、けっこう大きめの店だ。その「精美唱片」でも、やはり100~120香港ドルあたりが標準価格らしく、そう安いとは思えなかった。ただ、人気の落ちタイトルは、どんどん値を下げる売り方らしく、バーゲン品みたいな感じで50~60香港ドル前後のタイトルもチラホラ見つかる。当時、ジャズのCD新譜は2000円~2300円くらい、中古CDなら1400円前後だったので、安い外盤CDが見つかれば、買ってもいいかな・・・というくらいの気持ちで探してみた。
コルトレーン/Like Sonny(roulette/capitol EMI)、ベイシー&ベネット(roulette/capitol EMI)などを選んだ。2枚で110香港ドル。
もう1枚、ディーン・マーティンのクリスマスCDは、アウトシーズンものなんで、なんと30香港ドル(450円)だ。
次に、通りの左側斜め向かいに「時代唱片」を発見。どこもかしこも「唱片」だ。どうやら「唱片」はレコード、という意味らしい。
ここでは、1枚だけ。 Donald Byrd/Free Form(bluenote/capitol EMI) 68香港ドル。安くなってるのは、たいていEMI系だ。

こんな風にして、香港レコード探索初日は終了した。ちなみに、このあたりの「唱片」屋さんには、LPは皆無だった。
午前中に行ったランドマークの 「united records」 のLP盤、在庫状況からみても、どうやらホンコンには、いわゆる
「中古盤屋さん」みたいなのは少ないのだろうな・・・と推測するのだった。
それにしても・・・やっぱりビニールジャンキーとしては、CDよりLP盤が欲しい! 当然ですね!(笑) 明日は、会社の仲間は、ほとんどが「マカオ1日ツアー」に出かける。僕は申し込んでない。1日、完全にフリーなのだ。
よしっ! もう一度、香港島側を探索だ・・・1日あれば、どこにでも行けるぞ!アン・バートンを買った「united records」で「トンロンワン支店」というのがある、との情報を得ている。簡単な地図がついているカードももらってきた。その「トンロンワン」に行ってみようじゃないか! 

~まだまだ元気のある僕でした。(香港編B面に続く:近日中予定)

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2005年6月 8日 (水)

<旅レコ 第2回> セロニアス・モンク/モンクス・ミュージック

~前回の続き・・・ネムジャズインは、毎年土曜日の夜、徹夜で敢行されていた。明け方近く、ラストのセットは「ナベサダのリハーサルバンド」ラストナンバーは・・・<トリステーザ/悲しみ>という曲だ。

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《タクト/日本コロムビアのEP盤4曲入り。後に地元の古本屋~ミヤザワ書店だったかな~で購入。そしたら狙い通り、「あの曲が入っていた!それで、あのサンバ曲が<悲しみ>トリステーザと知ったのだ。ひょっとしたら、<トリステ>と呼ばれているかもしれない。》
・・・このトリステーザが、サンバのリズムで実にゴキゲンな演奏だったのだ。ナベサダやら峰厚介らのソロの後、エンディングはテーマの終わりでブレイク!しばし沈黙・・・バンドも聴衆もああ終わったのか・・・と思ったその瞬間、ナベサダがホイッスルを吹く!そしてそのホイッスルでカウントをとると、再びサンバのリズムが始まる・・・。楽しかったジャズの一夜が、まもなく終わる・・・終わってしまう。いや、まだ終わりたくないんだ! そんな気持ちがナベサダにもバンドにも聴衆にも満ち満ちており、~ブレイク~ホイッスル~カウント~サンバ。これを何度も何度も繰り返す。あの「悲しみ」の印象的なテーマ~楽しくて、明るくて、踊りだしたくなるような、それでいて、ちょっと哀しいようにも感じる、あの素晴らしいメロディが、すっかり、体中に沁みこんで しDSCN0696まったようだ。
そうして、ステージ左後方の空がすっかり白く明るくなった頃、ようやく最後のブレイク・・・ホイッスルは鳴らなかった・・・終わった。台風の風雨と、それを跳ね返すほどの美しい音楽の一夜が、とうとう終わってしまったのだ。《右の写真は雑誌からの切り抜き》

そのまま帰路。ネムの里から「鵜方」という駅までのバスが大混雑だったので、兄貴と僕は、「歩いていこう!」 そのまま徒歩で駅まで向ったのだ。海辺の丘からの長い坂道を下り、入り江沿いの道をトボトボと。1時間半は歩いたなあ・・・。鵜方から近鉄特急で名古屋まで戻るが、なぜかそのまま豊橋には帰らない(笑)それからちょっと、栄方面に寄ったのだ。徹夜の割りには、やけに元気だ。どうやら、ジャズの余韻が残っていて、やたらとハイになっていた高校生だったようです。(笑)

栄から納屋橋方面に5分ほど歩いたあたりに、朝日神社という小さい神社があり、そこを過ぎたあたりに「名曲堂」というレコード屋を見つけた。雑居ビルの1Fにある10坪ほどの小さな店だった。国内盤を置いてある店舗との仕切りガラスの外側~つまり他フロアに行くための通路のガラス寄り~なんと、そんな埃っぽい場所に、ジャズの輸入盤コーナーがあったのだ。
「秋吉敏子」の回に書いたように、当時は新品レコードが2000円~2200円くらいだったので、1500円前後で手に入るジャズの輸入盤には、かなりの魅力があったのだ。今思えば、その頃、手に入れた輸入盤は、60年台後半にアメリカで再発されたニセステ「モノ音源を擬似ステレオ化した盤」が多かったのだ。・・・でも当時(1972年)はそんなことは判らない。「安い」から外盤を買っていたのです(笑)
この名曲堂で、時間をかけて1枚だけ選んだのが~

Thelonious Monk/Monk’s Music(Riverside:RS-3004)CIMG0005

もちろんリバーサイドのオリジナル1stではなく、67~68年頃の米再発盤らしい。こげ茶の環っかラベルの 「abc Riverside」と呼ばれる盤だ。この盤も”electronically rechanneled for stereo” と表示されていた。擬似ステ盤の場合、「ステレオ」モードで聴くと、たいていは・・・
<低音と高音を強引に左右に振り分けてエコーをガンガンにかけたような>不自然な音質と音場感にになってしまう。そんな擬似ステ盤を聴くときには、しかたないので僕の場合は、「モノ」にして聴くことが多いのだ。
ところが不思議なことに、このabc Riverside盤からは、そういった不自然さを感じない。アンプのモードを「モノ」から「ステレオ」に変えても、ほとんど音質/音場感が変わらないのだ。僕の耳にはどう聴いても「モノラル盤」の音なのだ。
コルトレーンやホウキンスのテナーも生々しい。ウイルバー・ウエアのやけに重くて、バカでかいベース音。ブレイキーの少々やかましい(笑)しかしパワフルなハイハットもギシギシと鳴る。モンクのピアノも、強いタッチの力感が充分に感じられる。これらの楽器の音が、中央付近にギュッと詰まった
「大迫力のモノラル盤」の音と思う。特に<well,you needn’t>でのコルトレーンのもがくようなソロ、ウエアの超個性的なリズミックなソロ。もう最高!ジャズの醍醐味ここにあり!(*同一盤をお持ちの方、その音質など、ぜひコメント欄にて、お知らせください)

この「モンクス・ミュージック」は、すぐに僕の大愛聴盤になった。と言っても、まだジャズLPを5~6枚しか持ってない頃のことだけど(笑)
ネムジャズインの興奮の余韻の残る中、初めて寄った名古屋のレコード店で、こんなにもいい盤(僕にとって)を見つけてしまった! なんだろう、この引き合う力は?ひょっとしたら、僕がっともっとジャズの世界に踏み込んでしまうようにジャズの神様が、仕組んだ「罠」だったのかもしれない。うん、それも、素敵な tender trap だったのだ。

・・・あれから33年も経った。今でもジャズという音楽を好きでいられることに感謝したい。(誰にともなく・・・)

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2005年6月 5日 (日)

<ジャズ回想 第1回>1972年のネムジャズイン~チックコリア

<1972年・夏>
その頃、毎年夏になると、三重県で、「ネム・ジャズ・イン」というジャズコンサートが開かれていた。高1だった僕は、「ライト・ミュージック」というギター雑誌を買っていて、それに付いていた応募ハガキで「ネムジャズイン」のチケット懸賞に応募しておいたのだ。夏のある日、小さな封筒が届いた。早速、開けてみると「ネムジャズイン招待券」!ジャズにはまり始めていた僕は、もう行くしかない!と、そんな訳で、僕は兄貴と二人で、1972年7月のネムジャズインに行くことになったのだ。その年の目玉は・・・チックコリア。1年ほど前に出ていた「ソロピアノ集」のチックコリアが来る!という印象が強かった。いや、ソロピアノのコリア、というより「サークル」の過激なコリア、というイメージもかなり残っていたようにも思う。その証拠に、ポスターやチケットに載っていたコリアの写真が、「丸メガネにヒゲ+バンダナ」のヒッピー風だった。どうも記憶があいまいだが・・・とにかく、あの「カモメ」は、まだ日本発売されてなかったように思う。

その年のネムは・・・台風だった。夕方からもう風が強くて、夜になりとうとう雨も断続的に降り出してきて、それはもう・・・すさまじい雨だった。ネムはとにかく出演者が多い。早めの順で山下洋輔が出てピアノが痛んだ(らしい)。その後の出番のはずの菊池雅章がなかなか出てこない。どうやら出演をゴネテいるらしく・・・司会の油井正一が、「菊池くんの音楽はご存知のように大変に繊細なものだ。この台風と調律狂ったピアノでは僕の音楽は演奏できない、と彼は言っております。それも無理はないことだ。皆さん、なにとぞご理解ください」とかなんとか苦しい弁明をしたのだった。続けて「チックコリア氏のために用意したピアノ(ビニールカバーがきっちりかけられたいた)を使わせてもらえるよう、ただ今交渉しているので、しばらくお待ち下さい」
~てなわけで・・・多分、30分ほど僕ら聴衆は、大雨の中、待ってたのですが、だんだん一部の聴衆が騒ぎ出しました。そうこうしているうちに・・・油井正一がまた出てきて・・・「チックコリアが先に演奏してくれるそうです」 

DSCN0697「わお~!」 「Mr.チック・コーリア!」 「わお~」てな感じで、大雨の中、いきなり、コリアのソロピアノが始まったのです。その瞬間・・・・とにかくコリアの「みずみずしい音」が、野外の会場全体に「さあ~」と拡がっていった。 雨はちょっと弱まったり、いきなりざあ~っと強くなったりだったが、そんなことには関係なく・・・チック・コリアのピアノミュージックは・・・会場全体を包み、聴衆を魅了したのだった。   《このコリアの写真は、当時の音楽雑誌からの切り抜き》

モンクやマイルスを聴き始めてまだ間もない15才の僕も、もちろん、チックコリアの美しいピ アノに素直に感動したように思います。
(その後、徐々にハードバップジャズに入れ込み、ジャレットやコリアは、どちらかというと好みではない、ということがハッキリしてきたのですが(笑)) 

~この1972年7月のチック・コリアのソロ演奏は、僕の知る限りでは、未レコード化のはずだ。一ヶ月くらい後に、FM放送で何曲か流したのが唯一の(非公式)音源だと思う。そのFM番組は「長崎堂ハニーカステラ~ジャズなんとか」なる番組で、DJがなぜだか大平透というバリトンボイスの人。ソロ3~4曲は流したはずだ。・・・コリア自身が<フロッグ>と名づけた曲は・・・
大雨模様ということで、野外ステージのすぐ裏の方から「カエルの鳴き声」が聞こえていたので、そのカエルの声を聴きながら、ピアノの音の間に生かすようにして演奏したのだ、とかのコメントもおもしろかった。コリアのソロも素晴らしかったが、その後の「渡辺貞夫+チック・コリア」もとてもよかった。  <500マイルズハイ>も放送され、全部、エアチェックはした。 あれは・・・何度も聴いたカセットテープだが、今、すぐには見つからないので、確認もできないのだが・・・あのカセットテープ、まだ聴けるかなあ~

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2005年6月 2日 (木)

<思いレコ 第1回> 秋吉敏子/トシコ マリアーノ・カルテット  ジャズLP買い始めの頃~1972年。

CIMG0009 高校に入ってから、ジャズのLPを少しづつ買い始めました。それまではS&G、エルトン・ジョンなどを聴いていたんですが、FMからエアチェックしたマイルスやモンクの「音」がどうにも心に沁み込んできて、「よし。オレはもうジャズを聴くしかないんだ」などと、悲壮な覚悟をして、僕はジャズ宇宙に踏み込んでいったのです。当時(1972年)新品レコードは2000円ほどで、そんなにたくさんは買えやしない。僕の記念すべきジャズLP購入第1号は・・・

秋吉敏子/トシコ・マリアーノ・カルテット(candid/CBSソニー)だ。これもエアチェックして聴いた<黄色い長い道>がどうにも気に入り、ちょうどその頃、CBSソニーがキャンディドの復刻シリーズを発売していたので、タイミングよく地元のレコードショップ(名豊ミュージック)で買ったのです。 その店でたまたま音楽好きの同級生に会った。彼は、僕が手に持つLP袋を見て「おっ。何買ったの?」 僕は「・・・秋吉敏子」とだけ答えたのだった。ロック好きのその同級生に変な対抗心があったのか「オレはジャズ聴いてんだよ」というような妙な「カッコつけ心」がミエミエだったなあ(笑) 今振り返れば・・・ちと恥ずかしい。まあ blame it on my youth ということにして(笑)

お目当ての「黄色い長い道」は、やっぱりよかった。あの独特なメロディーは秋吉敏子自身が「大連の夕日の風景~」とかなんとか回想していたように記憶してるが、悪くない哀感のあるメロディーです。後になって聴くと、LP全体の曲調が、当時はやりだったはずの「モード」風になっているようで、敏子のピアノ自体も、「ちょっと堅いノリ」に感じて、高1の頃ほどは楽しめません。 だけど、このLPで一番、気に入ったのは・・・<deep river>です。この曲はtraditionalとクレジットされており、「黒人霊歌」らしいです。ここでのチャーリー・マリアーノ(as)、見事な謳い上げで、すごく好きになりました。でもその頃は、ジャズは黒人だ!の雰囲気横溢で、「マリアーノがいい」というようなジャズ記事では見かけたことなかったです。マリアーノは、その後も少しづつ初期のものも聴いてますが、やっぱり「バラード」がいいように感じます。 アルトっていう楽器は・・・なぜだか「バラードを情熱的に謳い上げる」のに ピッタリくるようです。アルトのバラード名手、ペッパーも同様に素晴らしい。

その年の9月だか10月にビクターから廉価盤1100円シリーズ(prestige)というのが発売されることになり、これには興奮しました。とにかくジャズの「新品LP」が当時2000円標準の半額ほどで買えるのですから。でも、まだそんなにジャズを聴き込んでいたわけでもない高校生には、そのシリーズは「かなり地味」なラインアップだったようです。今、リストを見ても相当に渋い音源ばかりです。その中から、真っ先に「コルトレーン」を買い、続けて「モンク・トリオ」「モンクとロリンズ」「ニューヨーク・シーン」「カッティン」などを購入しました。当時はジャズの本なんかで、もうコルトレーン神様!という雰囲気が充満しており、ジャズ聴き始め高1としては、とにかく<コルトレーン>を一枚でもたくさん聴かねば・・・という感じもあったのです。コルトレーンのリーダーアルバムは、この「コルトレーン」だけで、サイドメン参加のLPもたくさん出ましたが、そこまではとても手が出せませんでした。それでもすで「カインド・オブ・ブルー」(すでに聴いていた)での、あのコルトレーンが、廉価盤で聴ける!と素直に喜んだものでした。しかし、あのレコードの洗練された雰囲気に比べると、このprestige音源は、たいてい1957頃の録音だったわけで、ゴリゴリなハードバップジャズだったのです。(当時はそんなジャズの録音時期と音楽スタイルの違いみたいな知識は全くなかったの)だから・・・正直、すぐにはピンと来なかった。ロリンズなどは、あの「ぶお~っ」というテナーサウンドを「ふやけた音だなあ・・・」と感じて「・・・やっぱりテナーはコルトレーンだよな」などと思ったりもした。今ではもちろん、ロリンズ好きなんですが(笑)

そんな1100円盤の中で解説だけを読んで良さそうに感じ購入したのが 「アート・ファーマー・クインテット」(PJ-7117-4)です。このLPはすぐに  CIMG0014気に入りました。テーマのかっこいい覚えやすい曲が多かったのです。<evening in Casablanca>など、いいな、と思った曲のcomposerはジジ・グライスでした。ジジ・グライスの名は・・・知ってました。「モンクス・ミュージック」というLPにコルトレーン、ホウキンスなどと共にソロを吹いてました。その頃、立花実という人の「ジャズ評論集/ジャズへの愛着」という本を激読しておりました。その中で、コルトレーン信奉者の著者が、コルトレーンらのソロを激賞しつつも、このジジ・グライスのソロを「パーカー・イディオムでお茶を濁すようなソロ」と批判的に描写していたことを鮮烈に記憶していたのです。モンクス・ミュージックも好きでよく聴いてましたので、「ああ、あのグライス・・・でもこの人、いい曲つくるじゃん」という弁護的な心情を覚えました。  そのモンクス・ミュージック!この盤にも、いろんな思い出があります。次回に。

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