<旅レコ 第5回> マーティー・ペイチ/モーニン(discovery) 香港でレコードを探す(C面)
<1992年7月>トンロンワンにて、レコード店探索開始!
さて・・・トンロンワンにあるはずの「レコード店/united records」を目指ししばらく Lee Garden辺りを歩いたのだが、どうにも見つからない。南側に向って緩やかな上りになっている。すぐ先に「Garden Hotel」が見える。あれ? こんな遠くじゃないぞ・・・。地図によれば、レコード店は、そのホテルよりかなり下の方だ。ホテルのある小高い丘をとりまくように、ゆるく弧を描いたような横道がいっぱいある。だからシンプルすぎる地図に示されたレコード店が、どの路地なのか判りにくいのだ。しかたないので、上側の横道からジグザグに3つ4つ、順番にチェックすることにした。2つめだかの横道の中ほどで・・・・・ようやく「united records」を発見!小さい建物の2Fだ。回りは普通の住宅も多く、店の看板も小さい。こりゃあ判りにくい。 もう11時過ぎだ。昼までにじっくりチェックだ!と思った瞬間・・・・・ガックリだ。店がまだオープンしてないのだ! う~ん・・・小さい看板には、確かに open am11:00~と書いてあるのに。ちょっとだけその場で待ってはみたが、開きそうな様子がない。 しかたない・・・メイン通りまで戻って「そごう」とかで、時間つぶそうかなあ・・・と思いつつも、続く横道をジグザグと降りることにした。そうしたら偶然にも、2つばかり下の横道で、CDショップを発見したのだ! 店の名が怪しい・・・「京都CAPITOL」というのだ。「京都」の部分が、ちゃんと「漢字」で書いてある(笑) CDは本命じゃあないが、仕方ない。ここで時間つぶしだ。ここも開店直後の雰囲気で、お客は誰もいない。ほとんど期待せずにチェックを開始する。香港でのCDの相場は、昨日の「唱片」(レコード店)巡りで、判っている。新譜CDが100香港ドルくらい、バーゲン価格なら50~70香港ドルてな感じだ。よしっ。さあ、かかってこい!
この店、小さいが、ジャズの在庫は、昨晩の「精美唱片」より充実している。トンロンワンの街全体が、かなりの都会だしオシャレな店も多い。ジャズ音楽への需要もそれなりにある、ということだろう。この店の在庫も、capitol系のCDが多いようだ。バーゲン価格のものは少ない。ほとんど見たことあるようなタイトルばかりだったが・・・ひとつ、「あれっ」というのを発見した。それが、これだ。
Marty Paich/Mornin’ (Discovery DSCD-962) warner音源の「踊り子」と「シャワー」の2in1です。(すみません、CDなんです)
このCD、今では、特に珍しくもないのだが、1992年当時は、まだ「国内盤CD」が出てなかった。 warner音源のジャズは、なぜか国内盤の発売タイトルが少ないようで、僕は「踊り子」にも「シャワー」にも、国内盤LPに出会ったことがなかった。フレッシュサウンドからは、ジャケ復刻したLPが出てたようだが、これも地方都市の中古店には、なかなか出回らない。そんなわけで、この2枚は、何年も前から、「ぜひ聴いてみたいレコード」だったのだ。
ペッパー絡みでも、またベースのスコット・ラファロ絡みでも、とにかく「聴きたかった」のだ。こんなCDがdiscoveryから出ていることも全然、知らなかったので、この突然の発見は、すごくうれしかった。~うん、これこそ真の Discovery だ!(笑) 欲しかったレコードが2枚分、同時にゲットできるのだ。価格は、110香港ドル~2in1で1650円なら悪くない。こうなりゃCDでもいいじゃないか。2~3年後には、Discoveryと契約したどっかのレコード会社から発売された。その国内盤が発売される頃、ジャズ雑誌に発売広告が載った。「踊り子」の広告写真はジャスト、CDサイズだ・・・ようし・・・。
この右の写真~「踊り子」と「シャワー」のCDサイズ写真は、その広告ページから切り抜いたもの。元のジャケ写真の替わりにケースにはめこんだりしてます(笑) 気分は、国内盤オリジナルCDだ! とっても意地らしくもあり、せこいのですが・・・おそらく、日本で20人くらいは、同じことをやってる、と僕は確信しております(笑) ~たまたまこのブログ、見てましたら、ぜひ「僕も、わたしも」の声をお挙げください(笑)~
演奏は・・・「踊り子」、さすがの内容です。59年録音ですが、クレジットによると12人編成の小ビッグバンドの拡がり具合が「すっきりしたステレオ録音」で入ってるように思います。ちょっとだけ、全体にエコーがかかりすぎているようにも感じる。もう少しエコーが少なければなあ・・・と個人的には思う。
~この盤については、最近、オリジナル盤を聴く機会があった。端正な音質はさすがで、A面1曲目~It's All Right With Me が「プア~」と聴こえてきた瞬間、心地いいステレオ録音の拡がりとラファロの「鳴り」が、僕をシアワセな気分にさせてくれた~
ラファロのベースは、中央、やや左辺りから「ブンブン」うなり、「グォングォン」と鳴る。とにかくラファロのビート感(演奏がグイグイと彼のビートに引っ張られていくのだ!) は、どうしようもないくらいに、すごい!
2曲目の<I’ve grown accustomed to her face>このバラードがいい。ラファロよりもう少し左側から、ペッパーが~あのペッパーにしか唄えない節回しとサウンドで~ラファロに絡んでくるあたりが最高。素晴らしい!このCDは・・・CDではあるけれど・・・92年購入時からずーっと僕の愛聴盤だ。いつか、オリジナル盤がほしい。でも・・・高いよ、あれは(笑)
さて、そろそろ「united records」も開く頃じゃあ? 話しはまだ続く・・・。
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コメント
rollins1581さん、初めまして。rollinsさんのブログ「偏愛的~」は以前には、よく拝見しておりましたが、旧版は、確かに「重くて」それで見なくなっておりました。すみませんです(笑)。FC2版に変更していたようですね。今度はスムースですよ。「偏愛的~」ジャズの中身に踏み込んだコメントが、いつもとてもおもしろいです。それにしても「ロリンズ全アルバム・レヴュー」とは!素晴らしい!僕の方も、「偏愛的~」再読させていただきます。またコメントにてオジャマしますね。こちらへもどしどしどうぞ。よろしくお願いします。
投稿: bassclef | 2005年10月 9日 (日) 11:51
はじめまして。「BLUE SPIRITS」さんから飛んできました。
「踊り子」と「お風呂」は最近になってLONEHILLJAZZレーベルから2in1で再発されましたね。なぜか「お風呂」のジャケ写がついていなくてちょっとがっかり……
内容的には「フューチャリング・アート・ペッパー」の方が好きなのですが、「踊り子」と「お風呂」はやはりジャケットが秀逸ですよね。紙ジャケットで出ないかなぁ。
bassclefさんのブログ、すこしずつ読んでいきたいと思います。当方のブログにリンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
またおじゃまします。よろしくお願いいたします。
投稿: rollins1581 | 2005年10月 9日 (日) 05:13
こんにちは、いわと申します。マーティ・ペイチの記事で検索したところ、こちらが比較的最近書かれたものだったので、嬉しくなってトラックバックさせていただきました。
実は私、このCDはジャケ買いでした。アート・ペッパーの「コートにすみれを」は最高ですねー。
フラーのMagnificentは持っていないので、探して聴いてみたいと思います。
投稿: いわ | 2005年6月23日 (木) 09:23
Boneheadさん、ペイチ/モーニンへのトラックバック、ありがとうございます。bassclefと申します。さっそく、ブログ:Bonehead、拝見しました。ボントロ吹きの方なんですね!いい楽器です。僕のジャズ聴きの中では、ボントロはわりと最近、好きになってきた楽器です。バラードが好きなんで、カーティス・フラーのEpic盤、「マグニフィシャント」が、とても好きです。Two Different World って曲、チャーミングです。そちらにもオジャマしますね。これからもよろしくどうぞ。
投稿: bassclef | 2005年6月22日 (水) 18:52