2008年8月 8日 (金)

<ジャズ回想 第16回>暑い日にYoさん宅に集まった(その2)

やっぱりロリンズはいい!

今回のYoさん集まりではいろんなジャズ、クラシックを聴いた。ペッパー、ゴードン、マリアーノ、フィル・ウッズの50年代ジャズの後、ちょっと「現代ジャズ」(チコ・フリーマンとアーサー・ブライス)。クラシック(プレヴィンとカラヤンの「惑星」、展覧会の絵、デュプレのチェロ、ラフマニノフの3番、チョン・キョンファのバッハ曲など)も聴いた。マイルスやフランクロソリーノ、MODEレーベルのミニ特集、「my one & only love」の聴き比べ、それから、ロック(ツェッペリンの何か)も少し。もちろん女性ヴォーカルもいくつか聴いた。エセル・エニスのChange of Scenery(capitol)、リタ・オビンク(オランダの歌手)、エリス・レジーナ。さらに、サラ・ヴォーンとクリフォード・ブラウンのemarcy盤~ブルーバック、ブラックバック、カナダ盤、日本盤BOXセット(デジタル・リマスター)~の聴き比べ。これはなかなか面白かった。
いつものことだが、こうした音聴き会を終えると、いろんな音楽の様相~そのイメージみたいなもの~がアタマの中を渦巻いて、たいていその日の夜はうまく寝付けない。翌日もなにやらぼお~ッとした感じなのだが、それは「心地よい疲れ」でもあり、なかなか悪くない。そうして、ちょっと落ち着いてから、会で聴いた曲を改めて自分の手持ち盤で聴いてみると、その曲を聴いた時の感触がリアルに甦ってくるのだ。そんな具合で、混沌としていた音たちのイメージが整理されてくると・・・その日の音盤たちを記録しておきたくなるのが僕の病気だ(笑) どのレコードもいいものばかりなので「全て」を書き残しておきたい気持ちもあるのだが、今回の(その2では)ジャズ盤で印象に残っているものをいくつか書いてみたい。

《以下の写真~「橋」以外は全てYoさん提供》
Prst_7677_j Yoさんが「じゃあ、エルヴィンを」と言って針を落とす。張りのあるテナーとバリトンの野太い音。この両者とエルヴィンのドラムスが絡みあうようなテーマの曲だ。たしかに聴いたことのあるサウンドだが、うう・・・これはエルヴィンのbluenote盤かな? いや、ちょっとbluenoteとは感じが違うようだ。それとこのバリトンは・・・bluenoteのエルヴィンにバリトン入りなんてあったかな? そうか、このバリトン・・・ペッパー・アダムスか。となると・・・あっ、そうだ・・・アダムスのプレスティッジ盤、ズート入りのあれだ!「これ、エンカウンター?」と聴くと、Yoさんが「うん」と、ジャケットを見せてくれた。このレコード・・・僕は何かの再発盤で持っているのだが、ズート目当てに聴いたわりには、そのズートがいつもの柔らかい感じとは違っているような印象を持っていた。たしかにこのズート・・・いつもよりバリバリと吹いているみたいで、ちょっと新しい世代のテナーみたいに聞こえなくもない。エルヴィンと演っているためか、1968年の演奏なので、ズートのスタイルもちょっと変わってきているのか。聴いた曲は in and out。ブルースっぽい曲だが、バリトン、テナー、それからピアノ(トミー・フラナガン)が1コーラス(12小節)づつソロを取るのだが、どのコーラスでもエルヴィンがブレイクを取る。その4小節の間、ソロ奏者は「バッキングのリズムなし」でアドリブしなくてはならない。このブレイクがあまりにも頻繁なので、最初は新鮮に感じたその「ストップ感」がちょっとくどい感じもしないではない(笑)Prst_7677
それにしても、エルヴィンのシンバルの・・・いや、スネアやらバスドラ、それら全体から湧き上がってくるような「鳴り」は・・・凄い。ただ、もともと「ドカ~ン!」と鳴るエルヴィンの「響きの全体」に、ちょっと「エコー」が掛かり過ぎていて、量感は凄いがややタイトさに欠けるようにも感じる。1968年12月の録音。そんな「エコー感」からも、engineerは・・・ヴァン・ゲルダーだと思い込んでいたのだが・・・今、手元にある米fantasy再発盤(日本ビクタートレーディング)の裏ジャケットには、Tommy Nolaと表記されていた。

もう1枚、エルヴィン絡みで聴いたのは~As9160_j
Heavy Sounds(impulse) このimpulse盤は1967年発売なので、センターラベルは「赤・黒」がオリジナルとのことだ。これは好きなレコードだ。テナーがフランク・フォスター・・・特にフォスターという人を聴き込んではいないのだが、このレコードを聴くたびに「いいテナ ーだなあ」と思ってしまう。そしてこのimpulse盤、何がいいかって・・・ベースのリチャード・デイビスがいいのである。まずギュッと締まったベースの音色が心地いい。それから、デイビスのグイグイッと引っ張るようなビート感も、そして、ソロを取るときのガッツ溢れる「唄おうとするマインド」も素晴らしい。
そういえば、リチャード・デイビスを一度だけ見た。新宿ピットインで森山威夫のライブが終わった後に、翌日行われる<リチャード・デイビスmeets 森山威夫、板橋文夫>の公開リハーサルなるものを1時間ほど見ることができたのだ。あれは・・・たしか翌日にソニー・ロリンズを渋谷公会堂で見た時なので・・・1981年だったように記憶している。As9160_2
椅子とかは片付けられてしまい、それでも残った熱心なファンが注目する中、そのリハーサルが始まる。ところが、リチャード・デイビスのベースの音は・・・細くてペンペンだった(笑) レコードで聴くあの強靭さがほとんど感じられないその貧弱な音色に、僕はもう本当にがっかりしてしまった。ところが、デイビスが10分、20分と弾き込むにつれ・・・ベースの音が徐々に「深く」なってきたようなのだ。弾き込むことでベース自体が鳴るようになってきたのか、あるいはアンプの調整をうまく合わせてきたのか、とにかく「いい音」になってきた。リハーサルなので、テーマとエンディングの合わせくらいで、ベースもソロなどほとんど取らないのだが・・・なんというか、マグマの地熱のように吹き出てきて、演奏が「徐々に熱くなってくる」ような感じだった。あの独特なグルーブ感は・・・デイビス自身の持つ底の知れないジャズマインド~そのマインドの深さが生み出す凄さだったのかもしれない。リハーサルであの具合なら・・・これは本番では、さぞや・・・と思わせてくれるリチャード・デイビスであった。
ちなみに、私見では、この日、いくつか聴いたチコ・フリーマンとの名コンビのべーシスト~セシル・マクビーとよく似たタイプだと思う。音色の質、ビート感、マインド・・・好きなタイプのべーシストである。
さて、このHeavy SoundsからYoさんが選んだのは~shiny stockings。これは文句なく、いい曲だあ!(笑)この有名曲・・・実はフランク・フォスター自身の作曲である。
Heavy Sounds(impulse)は、先ほどのEncounter(presitge)とほぼ同時代の録音なのだが、「録音」という観点で比べると、僕はこのHeavy Soundsの方が、うんと好きだ。フォスターの(たぶん)しっとりした音色も自然な味わいだし、デイビスのベースのタイト感もよく録れている。そして何よりもエルヴィンのドラムス・・・その全体の鳴りが~もちろん「でっかい鳴り」ではあるが、過剰な強調感がない(ように感じる) こちらもimpulseなので、録音はVan Gelderかと思いきや・・・今、僕の手持ち盤(再発のグリーンラベル)でチェックすると、Bob Simpsonだった。この人、オスカー・ピーターソンの「リクエスト」の名エンジニアである。

Lps_2 ロリンズの「橋」をかけてもらった。このレコード・・・僕は長い間、日本盤で聴いていたのだが、ようやくRCA VictorのLSP盤(ステレオ)を入手した。自分の荒っぽい装置で聴いても「かなりの鮮度感」と思ったので、ぜひYoさん宅のいい装置で聴いてみたかったのだ。
where are you?を聴く。ロリンズのテナーの音が、その音の輪郭がググ~ッと余韻を持って拡がる。「エコー」で拡がるのではなく、ロリンズ自身がおそらくテナーを揺らして音色の音場を拡げている・・・そんなソノリティ(「音の響き具合」というような意味合いか)を感じる。時に、ロリンズが音をベンド(音程を微妙に上げ下げするような感じ)させる辺りの表現力・・・これには参ってしまう。あの上げ下げは・・・おそらく、マウスピースに通す息をわざと詰まるようにしてベンドさせているのだろう。そんな「小技」だけでなく、とにかく全編がロリンズ独特の音色によるロリンズの「唄」になっている。う~ん・・・これは気持ちいい!このwhere are you? は、ロリンズのバラードでは最高かもしれない。(笑)ジム・ホールの控えめな音量だが、キュッと芯のあるギターもいい音で鳴っている。以前からRCAのステレオ録音は好きだったが、この「橋」は、自然な質感の、しかし充分に音圧感を持った本当にいい録音だと思う。
次に、Yoさん手持ちのモノラル盤も聴いてみる。モノラル盤もやはりいい音だ。つまったような感じもなく、テナーの音も伸びやかに拡がるし、ウッドベースの厚み・音圧感は、やはりモノラル盤の方に分がありそうだ。
私見では、RCA Victorは、モノラル盤でもステレオ盤でも、音質の感じに大きな違いはないように思う。音質の傾向としては、過剰な色づけが少なくて、どの楽器の音もしっかり録られている感じがして、実に聴きやすい音だと思う。録音エンジニアは、Ray Hallだ。RCA Victorステレオ盤のいいところは・・・モノラル盤に比べても各楽器の音圧感がほとんど落ちないまま、ピシッと各楽器が定位されることで、僕はロリンズのテナーが右寄りから振りかぶってくるようなステレオ盤が好みである。

もうひとつ、Yoさん手持ちのロリンズのVictor盤を聴いた。Lsp_3355_j
The Standard(LSP:ステレオ盤~こちらもengineerはRay Hall) である。my one & only loveをかける。実はこの前に、ちょっとした「my one & only love」特集があり、チコ・フリーマン(Beyond The Rain)、リッチー・カムーカ(mode盤)のmy one & only loveを聴いていたのだ。そしてロリンズのこの曲~意外な感じがするが、ピアノがハンコックなのである。
僕は「このmy one、いいんだけれど、ハンコックのピアノがなあ・・・」と隣にいたkonkenさんに言うと・・・「合わないだけじゃないですか?」とクールな反応であった。ロリンズとハンコック・・・確かに「合わない」(笑)たぶん、他ではない取り合わせである。久しぶりに聴いたこのmy one & only love~ ゆったりと音をいつくしむように吹くロリンズはやっぱり素晴らしいじゃないか。良くない印象だったハンコックのピアノも、左手のハーモニーがちょっと「新しい感じ」で僕の好みとはちょっと違うが・・・切れのいいタッチがいい音で録られており、案外に悪くなかった(笑)Lsp_3355
このStandard~これも実にいい音だった! これではRCAのロリンズは全てステレオ盤で揃えたくなってしまう。そういえば、ブログ仲間のbsさん<Blue Spirits>で、うんと以前から「RCA期のロリンズは凄い。ぜひステレオ盤で聴いてほしい」という内容の記事を書かれていた。今回、「橋」と「スタンダーズ」のステレオ盤を続けて聴いてみて、bsさんの得たであろう感触を実感できた。
そして、もっと実感したのは・・・僕はやっぱり、ソニー・ロリンズを大好きなんだ!ということかもしれない(笑) 

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2008年7月31日 (木)

<ジャズ回想 第15回>暑い日にYoさん宅に集まった(その1)

リュウゼツランを観る会という名の音聴き会~

A702 今回のYoさん宅集まりは、なんと言っても50年に一度の開花と言われる「リュウゼツラン」を観る会~といういこともあり、到着後、まず皆がその面妖なる植物の下に集まる。根っこの部分には、長くて先の尖った「葉っぱ」~サボテンのように肉厚でしかもその葉っぱの両側には棘(とげ)がある~が何本も放射状に拡がっている。Yoさんによると、どうやら、この尖った凶暴な感じを指して「龍舌蘭」と呼んでいるとのことだ。その根っこ部分のの中央から直径10cmほどの太い茎が天に向かって伸びている。高さは4mほどか。その茎の一番高いほうに、クルクルと蔓(つる)状の小さい茎がが7~8本くらい飛び出している。
その先端がどうやら「花」(小さい円筒系の感じ)の部分らしい。なんとも不思議な姿のリュウゼツランである。
午前中から軽く30度はあるかという熱さでもあり、戸外にそう長くは居られない。記念写真も撮ったので、「じゃあ・・・そろそろ」ということで、いつもの「音聴き会」に突入する我々である。
《上写真はYoさん提供~7月上旬のリュウゼツラン。訪問時にはもう少し高くなっていたかもしれない。どことなく中国大陸を感じさせる植物だ》

Yoさん、リキさん、recooyajiさん、konkenさん、それに僕:bassclefの5人がソファに落ち着く。Musashi no Papaさんはやや遅れるが、絶対に参加したいとのこと。みんな気合充分なのだ(笑)
Bcp6010_j_2  まず、Yoさんがお気に入りの歌い手~オードリー・モリスのbethlehem盤を選ぶ。僕は、モノラル・カートリッジを含む4種のカートリッジで、出てくる音にどんな具合 に違いがあるかな?・・・という興味があったので、ちょっとお願いして、同じ曲を4種で聴き比べさせててもらうことにした。
モリスは落ち着いた声質(こえしつ)で、決して声を張り上げない唄い方の、とても品のある歌い手である。いつも思うのだが、ヴォーカリストへの好みというのは・・・本当に人それぞれだが、その理由は、最後は「声質」しかないと思う。その人の声が、好きなのか嫌いなのか?それは・・・純粋に感覚的、生理的なものだろう。「声」に対する(それぞれの方の)許容範囲があって、次に「巧さ」に対する評価~評価と言ってもこれも「好みの唄い方」かどうか・・・という類(たぐい)のものだと思う~そんなものから、さまざまな歌手への好みが決まってくるように思う。
当たり前のことだが、カートリッジを変えると・・・その声質(こえしつ)が微妙に違って聞こえてくる。Bcp6010_2
どう違ってくるのか・・・表現するのが難しいが、大雑把に言えば~
「声質~声が細めなのか、あるいはやや太めか」や「声の大きさ~声の出方とバックの楽器の出方のバランス」という辺りにおいて、わずかな違いが現れる・・・という感じかな。
《モリスの写真2点はYoさん提供》

Yoさんが昨夏に導入したエミネントの2種は(モノラル、ステレオ)同じ肌触りの音質だったが、ソロ(モノラル)の方が、やや声が大きく聞こえて、少しだけ声が丸くて太いかな・・・という気がした。ジュビリーとSPUでも同様にSPUの方が、声が若干太くなったように聞こえたように思う。僕の場合は、どうやら人間の声の変化に対しては、大雑把にしか感じ取れないようだ。楽器の音だともう少し判りやすい。ジュビリー、SPUの次に、エミネントのモノラルで掛けた時・・・(僕の耳には)バックの楽器がすっきりして、明らかにいい音になったように聞こえた。こざっぱりした・・・というか。それがベツレヘムの品格みたいなものに合うようにも聞こえて、僕には新鮮だった。
カートリッジ別での聴き比べをする際・・・こんな風に変わってしまうこと自体を楽しむ~ということもできるが、それはたぶん、僕のようなヴォーカル初心者のノリだろう。ヴォーカルの「聴き比べ」としては・・・もっとモリスの声の質感の方に拘った聴き方もできるはずだ。その「拘り」とは・・・おそらくその歌い手への愛情が強い人ほど「微妙な質感の違い」が気になってしまう・・・という類(たぐい)のものだと思う。要は(この場合)オードリー・モリスという人をどういう声質の歌い手だと捉えているか・・・どんな声質で聴きたいのか・・・どの声が好きなのか」という(感じ方の)基準みたいなものをしっかり持つことだと思う。そうであれば「この歌手にはこのカートリッジが合う」という判断もできるだろう。
正直に言うと、僕はヴォーカルの声質(への感性)については・・・今ひとつ定見がない(笑)だから今回の4種カートリッジ聴き比べで、その声質が微妙に変わると・・・オロオロと迷うばかりだった(笑)やはりどこまでいっても僕は「ヴォーカル初心者」のようだ(笑)

Cimg3803_2そうこうしている内にPapaさんが到着した。事情で早く帰らねばならない Papaさんの手持ち盤から聴くことになった。
まず、デクスタ ー・ゴードンの「煙草の煙ジャケ」が出てきた。Dootone盤~ Hot&Cool だ。Cimg3804その黒い盤面を見て、recooyajiさんが
「red vinylが・・・」とつぶやく。「えっ?」とPapaさん。recooyajiとYoさんが口を揃えて、そのデクスター、たしか「赤盤」が出ていたはずだ~と付け加える。それを聞いて・・・Papaさんの顔がどんよりと曇った(笑)
「黒盤でも充分にオリジナルですよ」という僕の言葉にも「いや、もし黒と赤が同時だとしても、赤が限定で出ている以上は、それがオリジナルです!」と、早くも新たなファイトを燃やすPapaさんである(笑)Cimg3805
cry me a river を聴く。堅めの音色で吹き倒すデクスター。時々、与太ったようにもたれたノリになる辺りが、妙にかっこいい(笑)
1955年のデクスターは、このDootone盤とベツレヘム盤くらいしかないはずで、この後、しばらく(レコード上は)ブランクがある。


Cimg3816_2 《上写真~papaさん所蔵のModern Art(intro)》 
続いて、出ました! intro盤のペッパーが!見ると、ジャケットも盤もピカピカだ。う~ん・・・こりゃ凄い。茶色のセンターラベルに格調高いロゴのINTRO文字が誇らしげだ(笑)

この「モダン・アート」を僕はもう好きで好きで、東芝盤で聴き倒してきたが、オリジナルのintro盤・・・果たして音の方は・・・?
ペッパーの絶品バラード~ bewitchedを聴く・・・う~ん、参りました!Cimg3814_2
なんだ、このアルトの音色はっ! 一聴、大人しめのアルトなのだが・・・これは凄い。なんというか・・・ピシッとした「芯」を感じさせるアルトの音色なのだ! そしてそれは・・・ペッパーの心の奥底に秘めていた情熱が、抑えても抑えても、沸々(ふつふつ)と湧き出てくるようなあの吹き方・・・そして、そういう吹き方であることが伝わってくるような音であった。なんなんだ・・・この存在感は! いやあ・・・やっぱり「イントロのペッパー」は素晴らしいレコードだ。世のコレクター諸氏があれだけ「ペッパーのintro盤」に情熱を賭けるのも、これは無理からぬことだと実感させられた。

Cimg3806 もうひとつ、ペッパーで行こう! Marty Paich Quartet(Tampa)だ。こちらは当然のごとく「赤盤」が出てくる。黒盤に黄色ラベルの方はリキさん宅で聴かせてもらったことがあるが、あの黒盤も実にいい音だった。
たまたまYoさんがこの「マーティー・ペイチ・カルテット」の日本バップ復刻盤を持っていたので、並べてみる。バップ盤も見事な出来映えである。盤の重さもあるし、センターラベルの赤色も、ほとんどオリジナルの色具合に近い。そのセンターラベルに1箇所だけ違いを発見した。下のラベルの写真2点を見比べてみてください。「溝」の有無だけでなく、オリジナル盤にはある「ハシゴ柵」の模様が復刻バップ盤にはないのである。この違いは・・・僕は製作者の良心からだと推測している。Cimg3811_3
Vap_tp28_3   









《左側~Papaさん提供、右側~Yoさん提供》
over the rainbowを掛ける。この赤盤オリジナルも、品格のある素晴らしい音で鳴った。Papaさんも嬉しそうだ。
このover the rainbow・・・もちろんペッパーの名演なのだが、実はちょっと面白い場面があるのだ。
このover the rainbowには、ちょっと変わったアレンジが施されており、ペイチのピアノがイントロとして先導フレーズ~なにやらバロック風の下降するフレーズ~を1小節だけ弾く。すると、ペッパーがあの有名なテーマを吹き始めるのだ。しかし、このバロック風フレーズがちょっとクセモノで、イントロとして1小節だけで終わらずに、アルトが主メロディに入ってもまだ1小節ほどそのバロック風のバッキングを続けるアレンジなのだ。それが・・・「判りにくい」(もう1小節そのパターンが続いていくかのように思える)
そしてたぶんそのためだろう・・・主メロディの2回目の出だし・・・ここでもイントロと同じ「バロック」をピアノが弾くのだが、そのピアノのフレーズが1小節を終えても、ペッパーが入ってこないのだ。ピアノはそのバロック風フレーズを続けているので、パッと聴いても「間違い」には聞こえない。聞こえないが・・・僕はこれはペッパーの勘違いだと思う。その証拠に「アタマの位置」からは、ちゃんとベースも入ってくるのだ。そのベースを聴いて「アッ、まずい!」とペッパーは思ったはずだ。しかし・・・出遅れたからには今さらメロディなんか吹いてたまるか・・・てなもんで、なにやらフワフワとしたフレーズ~まるで木の葉が風に舞っているような~を吹きはじめると・・・さすがはペッパー! それがちゃんとしたアドリブになってしまうのだ(笑) そのままサビ(ピアノのメロディの間にオブリガートを入れるペッパー)そしてエンド・テーマに入り短いコーダが付いて・・・その1コーラスだけで、実にあっさりと終わってしまう。このover the rainbowは・・・短いがしかし気の利いたエッセイのような、そんな逸品(いっぴん)だと思う。 そういえば、ペッパーには「もうひとつのover the rainbow」がある。ショーティー・ロジャーズとのcapitolCimg3812盤なのだが、それについてはまた別の機会に(笑)

余談だが・・・このMarty Paich Quartet の裏ジャケットを眺めていたら、「おっ!」という小発見があった。engineerに、Val Valentineと表記してあるではないか! このValentineという人~僕などは60年代に入ってからのVerveの中心的エンジニア氏という認識しかなかった。そのValentine氏が、まさかこんな早い時期(1956年)の西海岸のレコードを録音していたとは・・・そして、このTampa盤のMarty Paich Quartet~僕は(1956年としては)なかなかの音だと感じたのだ。
Cimg3810_2  Valentineという人は、Verveであれだけ多くの作品を録音しているのだから、もちろん名エンジニアのはずだが、これまで僕は、Verveでの彼の録音を特に素晴らしいとは感じていなかった。だからこのtampa盤のペッパーの音を聴いて「意外」な感じを受けたのだ。う~ん・・・これは、若かった感性の鋭いValentineだからいい音なのか、あるいは西海岸だからいい音なのか・・・加えて、Valentine氏にも西海岸時代があったということと、そしてValentineとWally Heider(西海岸の名エンジニア)の関係は? この辺り・・・まったく興味は尽きない。
《デクスター・ゴードン(dootone)とペッパー(intro, tampa)の写真~すべてPapaさん提供》

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2008年7月10日 (木)

<ジャズ雑感 第24回>初期のアーマド・ジャマル

<マイルスがジャマルを聴きまくった・・・という話しは本当だった!>

アーマド・ジャマルを猛烈に好きだという人は・・・あまりいないような気がする(笑)そういう僕も彼のピアノを聴き始めたのは・・・せいぜいこの10年くらいのことである。その頃から「ジャズのオリジナル盤」に惹かれ始めたのだが、廃盤店を見回すようになってみると・・・prestigeやbluenoteなどの名盤のオリジナル盤は、どれもこれも「うんと高い」ということも判ってきた。「高い」のには、それなりの理由があるのだろうが、とりあえず国内盤やOJCで聴けるものを、その何十倍も出してまでは買う気持ちにはなれなかった。
Jamallp_0011枚の名盤に2万出すのなら、4000円の地味盤を5枚聴きたいのだ。ただ最近は、本当にいいレコードだけ(もちろん自分が大好きなレコード)を、コンディションのいいオリジナル盤で集めていく~というスタンスもまた魅力的なのでは・・・という気分も現れてきた。あと10年もすれば、そんな集め方になるかもしれないが・・・今はまだ無理なようだ(笑)

そんなわけで、10年ほど前から、ちょっと安めのオリジナル盤で、まだ聴いたことのない(持ってない)ものを中心に狙い始めたのだ。そんな目線で廃盤店のタナを探ってみると・・・自ずとArgoやcadetのこの辺りのレコードが目に付くようになる。ラムゼイ・ルイスやアーマド・ジャマルというピアニストには、当時、相当な人気があったらしく、ArgoやCadetからはかなりの数のタイトルが発売されている。もちろんそれら全部を持っているわけではないが、ひとつ聴いてみると「案外、いいぞ~」と思うので、知らぬ間に、けっこう集まってしまうのである(笑)
今回は、ジャマルに絞って、ちょっと気になる初期のもの中心にをいくつか紹介してみたい。Jamallp_004

ジャマルと言えば、真っ先に思い付くのは、やはり「But Not For Me」ということになるのだろう(笑)僕も含めてジャマルというとこのLPしか聴いてこなかった方も多いと思う。
ジャマルのピアノは、かなり独特なスタイルである。どんな曲でも、たいてい高音域をコロコロと弾く。この「コロコロ」は、軽いタッチだが、スナップを効かせたようなタッチであって、力任せに押し込んだような感じではないので、決してやかましくはない。私見では、この「コロコロ」は、アート・テイタム風、ジョージ・シアリング風でもあり、もう少し言えば・・・後年のガーランドが時に見せる「コロコロ」にも近いものがあるように思う。
そんな「コロコロ・フレーズ」は、アドリブを弾きこむ~というより、その曲の構造上の美点みたいなもの感じを、力まずに軽々と表出している・・・という感じでもある。ベースとドラムス(あるいはギター)に、その曲の「骨格」を造ってもらっておいて、その上に「乗っかる」ように、遊び心溢れる高音域フレーズを繰り出してくる~という感じかな。
そうして流れ出るサウンドは・・・あくまで軽い(笑)しかし、この「軽さ」は・・・クセになる(笑)ジャマルの演奏にはいつも「洒落た工夫」があり、それが音楽の自然な流れにもなっているようで、聴いていてとにかく気持ちがいいのだ。だからジャマルにはライブ盤が多いし、あのリーダー作の多さは、やはりジャマルには相当な人気があったということだと思う。もちろん・・・ジャマル自身が、そういう「音楽の快楽」を表現することに徹していたのだろう。素晴らしい才人だと思う。 

Argoが先でCadetが後のはずだが、Jamallp_003Argoにもいろんなラベルがあるようだ。モノラル~黒・灰色、ステレオ~青というのが基本のようだ。ただ「青」にも、「普通の青」(662:Happy Moods)、「群青色っぽい青」(667:At The Pershing vol.2)、「紫っぽい明るい青」(691:All Of You)という具合に微妙な違いがあるようだ。音質については・・・どうもArgoにはそれほどいい印象がないのだが、同じ場所での1958年の録音音源であるBut Not For Me(黒・モノラル盤)とJamal At The Pershing vol.2(群青・ステレオ盤)を比べてみると、どうも「ステレオ録音」の方がいい音のように感じる(僕には)ピアノの音全体に厚みがあるし、艶がある。Jamallp_002蛇足だが、今回、ジャマルのLPをいろいろ聴いてみて、「音質」が一番よかったのは、1962年のAt The Blackhawk~実は国内盤(テイチク)しか持ってない~だった。やっぱりライブ録音でも、「西海岸もの」は一味違うようだ。ひょっとして、この1962年の西海岸録音Argo盤にも、ワリー・ハイダー氏が関わっていたかもしれないぞ(笑)
Argo時代のジャマルでちょっと珍しい2枚組~Portfolio Of Ahamad Jamal(argo 2638)については、そういえば、この<夢レコ>でも、だいぶ以前に取り上げている。こちらの<珍しレコ:Portfolio Of Ahamad Jamal(argo 2638)>もご覧ください。

ジャマルというと・・・「あのマイルスが、ジャマルに影響された」という話しがよくジャズ本に出てくるし、ジャマルはひょっとしたら「そのこと」だけで有名になっているような気もするが(笑)実際のところ「音楽の具体的な様子」として、マイルスがジャマルのどこにどんな風に影響されたか・・・については、あまり書かれていなかったように思う。それ以前に・・・なによりもジャマルのレコード自体が(日本では)あまり聴かれていなかったのだろう。それはもちろん僕自身も同じ状況で、その辺りのことが、ハッキリとは把握できていなかった。そんな状況だったことを推測しながら、このレコードを聴くと・・・ちょっとした誤解が生じてしまうような気もする。
というのは・・・
このBut Not For Meには、
but not for me
surrey with the fringe on top
no greater love
woody'n you
という「マイルス取り上げ曲」が入ってはいる。しかし・・・このジャマル盤は、1958年録音なのである。つまり・・・この4曲については、どれもマイルスの録音の方が先なのある。(but not for me~1954年、no greater love~1955年、surreyとwoody'n you は1956年)ということは・・・ジャマルという人を初めてこのLPから聴いた場合~
「マイルスが影響された云々(うんぬん)」という観点からは、まるで逆の「音」を耳にしていたことになる。もちろん僕もそうだったし、だから「マイルスにはジャマルからの影響が・・・」と言われても、どうもよく判らないのも無理からぬことだったのかもしれない。

さてそろそろ「マイルスがジャマルに影響された」証拠のLPを出さねばなるまい(笑)ジャマルのLPは、ほとんどがargoに在ると思われがちだが、実はそのちょっと前の時期の音源として、2枚のEpic盤があるのだ。

The Ahamad Jamal Trio(LN3212)~Goldmineによると1956年発売
Jamallp_008_2
The Piano Scene of Ahamad Jamal(LN3631)~Goldmineによると1959年発売

このEpic盤・・・2枚とも、どうやらOkehレーベル音源からの再発らしい。(推定)1951年録音のようだが・・・私見ではそこまでは古くなく、もう少し後の例えば1953年くらいの録音に聞こえる。いずれにしても、録音の音質は・・・よろしくない(笑) Epic盤の高音質というイメージとは程遠い。
このEpic盤2枚に収録してある曲から「後年にマイルスが取り上げた曲」を探ってみると・・・なんと、8曲もあるじゃないか!
love for sale
autumun leaves
squeeze me (以上3曲~The Ahmad Jamal Trio)
ahmad's blues
billy boy
will you still be mine
the surrey with the fringe on top
a gal in Calico(以上5曲~The Piano Scene Of~)

~Trio(3212)の方に「枯葉」が入っている。そのイントロのフレーズが、あのマイルス/キャノンボールの「サムシング・エルス」の枯葉と、ほぼ同じなのだ。ジャマルの方は、マイルス・ヴァージョンよりもやや速いテンポのラテン風で、あのフレーズをギターに弾かせている。「ほぼ」と書いたのは・・ジャマル版ではあのフレーズのアタマを半拍だけ休符にしているからだ。そのためかジャマル版の方が、よりラテン風に聞こえる(裏を返せば、マイルスの方がジャズっぽい・・・とも言える)Jamallp_007
ジャマルという人は・・・ある意味「アレンジャー的ピアニスト」でもあると思う。ほとんどの場合、スタンダード曲を素材にしているのだが、どの曲にも凝った工夫が施してあるのだ。1951年当時では、他のバンドではあまり考えられないような「合わせ」が~ベースやギターにメロディの一部を取らせたりしている~多いのだ。パッと聞いて「洒落た」サウンドをしているのだ。グループとしての「サウンド」を意識している点では、ジョージ・シアリングとも似ているかもしれない。この当時のジャマルのリズムセクションは、べースはイスラエル・クロスビー、ギターはレイ・クロフォードらしい。

Piano Scene(3631)の方には、Ahmad's blues, the surrey with the fringe on top, will you still be mine, a gal in Calicoなど、後にマイルスが吹き込んだ曲が入っている。
そしてこのPiano Sceneからも、ちょっとした驚きの曲がひとつ見つかった。
A面ラストのPavanneという曲~これ途中、ギターソロの部分があるのだが、そこがマイナー調のコードになっていて、途中で4小節だけ「半音、上がるのだ!そしてそのサウンド(の様相)は・・・もう明らかに「モード」なのだ。つまり・・・ドリアンというモードを使った「ソー・ファット」(あるいは「インプレッションズ」)と同じなのである。その時のギターのフレーズも、何やら「インプレッションズ」風なのだ(笑)推定~1951年録音のレコードである。時代性を考えれば・・・驚くほど「モダンなサウンド」だと思う。
そしてこれは僕の妄想だが、マイルスから「ジャマルを聴け!」と言われたコルトレーンは、このPavanneを聴き込んでいたので、あのimpressionsを造ることができた(笑)
*以下参考~「ドリアン」という旋法に興味のある方は、何かのキーボードで試してみてください~(Dドリアンの場合)「D=レ」から始めて「レ」で終わる音階を「白鍵のみ」で弾く~つまり<レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ>という弾くだけです。どうですか?これだけで何となく・・・So What? の感じになるでしょ(笑) Jamallp

マイルスとの繋がりについては・・・2枚のEpic盤の裏解説が興味深い。つまり、発売年度が早かった1956年の3212(Trio)には「マイルス」という言葉は全く登場してこないが、1959年の3631(Scene)のナット・ヘントフ氏による裏解説では、冒頭から「マイルス絡み」の話しばかりなのである。ジャマルのことを「基本的にはカクテル・ピアニスト」と評したことへ、マイルスが憤然と反論してきた~というような件が書いてあるようだ。マイルスが「ジャマルの造り出すスペースの生む効果」についても書いてあるが、どうやら「音楽の具体的な様子」については、ここでも触れられていないようだ。ひょっとしたら、「マイルスがジャマルに影響された云々」は、このヘントフ氏の裏解説から、広まった話しかもしれない。

では、Argo盤からもう1枚。実は「マイルス関わり」の音として僕が最も驚いたのが、これである。Jamallp_006
Ahmad Jamal/Chamber Music Of The New Jazz(argo 602) 1955年
これはargo/cadetに20枚近くもリーダーアルバムのあるジャマルのargo第1作である。このLPを、なぜだかこれまで全く聴いたことがなかった。ジャマルの国内盤発売は、いつもBut Not For MeやPenthouse だけだったし・・・オリジナル盤を探す際にも、この602盤は年代が古い分だけ、他のargo盤に比べるとやや見つかりにくいかもしれない。ちなみに、このレコード・・・creativeというレーベルから出たものが真のオリジナルらしい。

A面1曲目のnew rumbaのイントロ部分から、いきなり驚いてしまった。なんだ、これはっ!
そう・・・マイルスのLP~Miles Ahead のnew rumba、あれのそのままじゃないか!録音は当然・・・ジャマルの方が先(推定1955年)である。
いろんなジャズ本から「マイルスが、ジャマルからはヒントを得た」という話しは知っていた。知ってはいたが・・・それはあくまで「ヒント」くらいだと思っていた。しかしこのnew rumba・・・これはもう完全に「パクリ」である(笑)
new rumbaイントロでの、あのちょっとモードっぽい、かっこいいフレーズ~あれはギル・エヴァンスのアレンジかなと思っていたのだが・・・あのかっこいいリズムパターンとフレーズが、そっくりそのまま、このジャマルのLPに入ってるじゃないか!
このジャマルのLP収録曲で、マイルス取り上げ曲は~
new rumba
all of you
it ain't neccessarily so
の3曲である。しかし、もうひとつ・・・A面5曲目のMedleyというタイトル。これが曲者で、曲が始まると・・・「ああ・・・これも知ってる」
というメロディが軽やかに流れてくる。これも確かに「マイルス・アヘッド」に入ってる曲だぞ・・・と調べてみると「アヘッド」の
B面ラスト~I don't wanna be kissedじゃあないか(笑)この曲・・・メロディの出だしから3連符のフレーズで始まり、その後も2拍続けて3連符を使ったりするところが、ちょっとユーモラスな感じもして、強く印象に残っている曲だった。その「マイルス・アヘッド」のI don't wanna be kissed のアイディアそのままが、このジャマルの1955年のLPに入ってるじゃないか!ジャマルのピアノが、軽く小粋に弾く3連符は、マイルスが現そうとしたニュアンスそのままなのである。う~ん・・・これは・・・マイルスもギル・エヴァンスも、ジャマルにアレンジ料を払わなくては、まずいだろうな(笑)
蛇足をひとつ~ジャマルは1958年のBut Not For Me(前述)で「マイルス曲」を4つも取り上げた・・・あれは「ジャマルのお返し」だと、僕は踏んでいる(笑)

はうんと前から「マイルス・アヘッド」が大好きだった。あのLP、特にどの曲が・・・という訳ではないのだが、A面1曲目のspringsvilleが流れ始めると、継ぎ目なしに次の曲に移っていき・・・それはまるで川の流れのように全く自然な感じで・・・途中で針を上げることができなくなる。そうしていつも両面を聴き通してしまうのだ。あのLPの「サウンドのイメージ」がいつもアタマの中に渦巻いてしまって困るくらいの時期もあった。だから今回、ジャマルの1955年作品を聴いてみて、マイルスのあのLPの中で印象に残っている「部分」が、そっくりジャマルのアイデアだった・・・と判ってしまったわけで、その事実にちょっと軽いショック(がっかりしたような気持ち)を受けた僕である(笑)
しかし・・・だからと言って、マイルスへの(あのLPへの)見方が変わるわけではない。確かに、細部のアイディアを借用しているが、それらを巧く使い切った上で、あのLP全体を「あるムード」で包み込み、「ひとつの組曲」にまで造り上げてしまったのは・・・やはりギル・エヴァンスであり、何よりも「マイルスのあの音色」なのだから。

ちくしょう・・・オレはやっぱりマイルスが好きらしい。
その証拠に、今また僕は「マイルス・アヘッド」を聴いてみて・・・すっかり感動している(笑)

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